ガルヴォルス 第21話「美奈の悲痛」

 

 

 たくみと和海が意識を取り戻すと、そこは明かり1つない部屋だった。

 部屋の空気が体に冷たく触れ、2人は肌寒さを感じた。

(寒い・・・外でもないのに、空気がこんなに寒く感じるなんて・・・)

 和海が胸中で悲痛の言葉をつぶやく。

(そうか・・私たち、あずみさんの力で石にされて、着てるものみんな破かれちゃったのよね・・)

(ああ。お前の言ってた漫画の通りだったよ。)

 たくみも気がついて、和海に心の声を投げかける。

(たくみ、気がついたのね。)

(けど、オレたちはあずみに全てを奪われた。ガルヴォルスの力でも、アイツの石化をはね返すことができなかった。)

(裸にされて、いろいろなところ触られて、それなのに私たちはこみ上げる感情を抑えられず、弄ばれるだけだった。何もかも失って・・・あのキーホルダーだって・・)

(キーホルダーって・・・まさか・・・!?)

 たくみは和海に買ってあげたキーホルダーを思い出した。温泉旅行に行ったときに買った、天使と悪魔をかたどったものである。

 しかしあずみの石化の力によって身に付けているものは全て壊され、ポケットに入れていたキーホルダーも巻き添えを受けたのである。

(ゴメンね、たくみ・・せっかくのものなのに・・・)

(き、気にすんなよ。また行けば買えるんだからよ。またオレが買ってやるよ。)

 心の中で苦笑する2人。それが叶わぬ願いだと分かっていながらも、互いのために言わずにはいられなかった。

 今の2人はもう何もできない。

 他愛のない願いを叶えることも、交わされた唇を離すこともできない。裸の石像のまま立ち尽くし、流れ行く時の中を漂い続けるのだ。

 衣服を剥がされ、生まれたときの姿で、湧き上がる解放感を快楽として感じている。秘所から愛液が出なくても、2人の心は快感に包まれていた。

(ねぇ、これから私たちどうなるんだろう・・・?)

 和海が唐突にたくみにたずねてくる。

(さぁな・・・今のオレたちはあずみの手の中だ。このまま何もできずに、ずっとここにいることになるんだろうな・・アイツに好き放題にされながらな。)

(そんな・・・たくみと一緒にいられるのはいいけど、このままずっとここにいるなんて・・・)

 たくみの返答に和海が気落ちする。

 指一本動かす自由のないまま、2人は永遠の時をすごすことを覚悟した。

 そのとき、部屋の扉が開き、外の明かりがわずかに差し込んできた。

(だ、誰か入ってきたな。)

 たくみが警戒する。壊されはしないものの、何の抵抗もできないのだが。

(た、たくみ、周り!)

 和海が叫び、たくみが周囲に気を配る。

(おい、これって・・・!?)

 たくみと和海は息をのんだ。周囲には2人と同じように、服を引き裂かれて石化された女性たちが立ち並んでいた。

(ここまで漫画と同じなんて・・・)

(オレたちはいいさらしものってわけか。)

 和海が悲痛し、たくみも毒づく。2人は自分たちがあずみのコレクションとして飾られていると実感していた。

 扉を開けて入ってきた人が、ゆっくりと歩を進めてきた。そして緊迫しているたくみと和海へと近づいてきた。

(ア、アンタは・・!?)

(美奈・・!?)

 驚きの声を上げる2人。入ってきたのは美奈だった。彼女は着ているものを全て脱いでおり、悲痛の表情を見せて2人を見つめていた。

 彼女は両手を伸ばし、2人の頬に触れてきた。何かを手探りするように、頬を撫でる。

「たくみ、和海・・・」

(美奈・・・)

 和海が戸惑いながらの返事を胸中でかけると、美奈が笑みを見せ始める。

「和海、意識が戻ってたのね。よかった・・・」

 美奈が喜びの声を上げ、頬に触れていた手を離して、抱き合っている2人をその上から抱き寄せる。

(ち、ちょっと、美奈・・!?)

「よかった・・・和海たちは無事だったのね・・」

(ま、まぁ、無事といえば無事だけどな。すっかり石になっちまってるけどな。)

 美奈の言葉にたくみが苦笑する。そして美奈の笑顔が再び悲しみに染まっていく。

「和海、わたし、とても辛かったんだよ・・」

(美奈、何かあったの・・?)

 和海が問いかけると、美奈は涙を浮かべて、その場で泣き崩れてしまった。

(ど、どうしたんだ、美奈!?あずみに何かされたのか!?・・・まさか・・!?)

 たくみが美奈に呼びかけ、ふと一抹の不安がよぎった。美奈が泣き顔を彼らに向けた。

「和海、お兄ちゃんが・・・お兄ちゃんが・・・」

(た、隆さんが、どうかしたの!?)

 いまいち状況がのみ込めず、和海が声を荒げる。彼女の問いかけに美奈は涙をこらえきれず、答えられないでいた。

(そんな・・・)

 美奈の心境を察して、和海までも悲しみに暮れる。

 隆は死んだ。人間の軍人たちの非情の正義ともいえる正義の弾丸から、飛鳥と美奈をかばったのである。

 美奈は再び立ち上がり、石化した2人に手を差し出す。

「ちょっと倒すね。」

 美奈はたくみと和海を抱き寄せ、そのまま2人を横に倒した。立ち尽くした態勢のまま横になる2人。彼らの上に美奈がのしかかるように寄り添う。

「ホントにいい体ね。あずみさんの石化を受けて、さらにきれいになってるよ。」

(み、美奈・・?)

 美奈の悩ましい言動に和海が戸惑う。一糸まとわぬ姿の美奈の胸が、たくみと和海の腕に当たる。

(美奈、やめてくれ!オレたちからいったん離れてくれ・・!)

「やめない。やめたくない。だって、もうこれ以上誰も失いたくないもん!」

 美奈の顔が悲しみに染まる。たくみと和海にさらに体を密着させる。

 あずみによって石化させられた2人は、どんな力を受けても壊れることはない。その石の体を、美奈は悲痛を込めて力強く抱きしめる。

(美奈、いやぁ・・・)

 和海はこみ上げてくる感情にさいなまれる。美奈の柔肌が、たくみと和海の固く冷たくなった体に押し当てられる。

「もうお兄ちゃんは帰ってこない・・・今の私が頼りにできるのは、たくみと和海、飛鳥、そしてあずみさんしかいないのよ・・・」

 眼から涙をあふれさせながら、たくみと和海の石の肌を舐め始めた美奈。3人への快感がさらに強まる。

(いやぁ!美奈!)

「ダメだよ、和海。今のアンタたちはあずみさんの最高のオブジェ。私でも抵抗できないよ。今は私の抱擁に付き合ってもらうよ。」

(美奈・・・)

 たくみも快感を受けてあえぐ。

 美奈はたくみと和海に自分の体を寄せた。赤ん坊が母親に甘えるように、兄を失った彼女は彼らにすがっていた。

「ねぇ・・何だか気持ちよくなってきちゃった・・・やっぱり、こうやって肌の触れ合いしてると、イヤなことみんな忘れられる気がする・・・でも、それでも忘れられないよ・・」

(美奈・・・ハァ・・・ハァ・・・)

「私はもう、人間を信じることができない。かといって、ガルヴォルスっていう怪物を受け入れることもできない。だから、もうあずみさんの世界にすがるしかないのよ・・」

 美奈が泣きながら快感で息を荒げる。耐えられなくなり、彼女の秘所から愛液があふれ、たくみと和海の足に流れ落ちる。

 それでも美奈は抱擁をやめない。ひたすらたくみと和海への愛の挿入と自らの刺激を追い求めた。

 美奈は愛液あふれる秘所に手を伸ばし、自ら快楽を強める。そしてぬれた手をたくみたちの石の頬に再び触れる。

(美奈、やめてくれ!オレは、オレは・・・!)

(たくみ、もう、この気持ちに耐えられないよ・・・)

「そうだよ!もっと感じて!私の想いをもっと知ってほしいの!・・・アハァ・・・」

 うめくたくみと和海。さらに強く抱きしめる美奈。

 たくみと和海はさらに抱擁を強めたい気分だった。動かない体の代わりに、心が互いを抱きしめていた。

 しばらく抱擁を続けてから、美奈は体を起こし、今もなお口付けを交わしているたくみと和海の顔を見つめた。

「たくみ、和海、一緒にいよう。もう、誰も失いたくないから・・・」

 美奈が悲痛の表情でたくみたちに呼びかけた。

(美奈・・・)

 和海が落ち着いて、沈痛の面持ちでつぶやく。

「お兄ちゃんを亡くして、和海たちまでいなくなったら、わたし、どうしたらいいの・・・!?」

 美奈は孤独になっていく自分を辛く感じていた。

 ガルヴォルスの凶暴性。人間の非情な対応。それらが彼女の心を砕き、兄を死に追いやったのだ。

 不条理な現実の中で自分を保つためには、仲間に頼るしかない。美奈の想いは、仲間2人を受け入れることで精一杯だった。

 たくみは考えあぐね、心の声を発した。

(・・・ダメだ。)

「ダメ・・・どうして!?」

 たくみの返答に美奈が声を荒げる。

「あずみさんと一緒にいないと、たくみや和海までいなくなっちゃうんだよ!こんな世界は新しく変えないと、ちっともよくならないよ!」

(だからだよ。)

「えっ・・・?」

(アイツのやろうとしていることは、結局は世界を滅ぼすことだろ?そんなことして、世界がホントに救われると思ってるのか?)

「お、思ってるわよ・・・」

 美奈の返事には戸惑いが込められていた。

(そんな平和求めてどうするんだよ?平和を強要されたヤツがそいつを憎んで、自分の描く平和を求めて、お前の思う辛さがさらに増えるだけだ。)

「そんなことない!そんなこと・・・!」

 たくみの言葉に美奈が動揺を強める。

(滅ぼすことで手に入れても、そいつは平和なんかじゃない。そんなもの求めるくらいなら、オレは自分が生きることを考えるさ。)

(そうね。平和がどうのこうの言うくらいなら、今を一生懸命に生きることのほうがずっといいよ。美奈にだって、私たちがついてるんだから。)

 励ましをかけるたくみと和海。

 未来に向けて決意を固める2人と、自分のしていることへの自信が揺らいでいる美奈。しかし2人は石化させられ、その決意を実行に移すことができなかった。

「でも、それじゃ私は・・・」

「もう諦めなさい、美奈さん。」

 そのとき、美奈たちの背後から声がかかった。あずみが部屋に入ってきて、裸で寄り添い合っているたくみたちを見下ろした。

「石化されて私のものになっても、自分の意思を貫こうとしている。その心強さには敬服するけど、今のあなたたちは何もできない。今もこうして美奈さんに抵抗することさえできなかったのだから。」

(ああ、確かにな・・)

 あずみの言葉をたくみは認めた。その返答にあずみが眉をひそめる。

(今のオレたちはアンタに石にされた。オレたちにあるもの、みんなアンタに奪われちまった。ガルヴォルスの力も、全然発揮されない。)

(そうね。こうしてたくみと一緒にいられること以外、あなたのおもちゃになっちゃってるわけだから。いろいろやってみたいこととか、心残りなことが多いけど。)

 たくみに続いて和海も心の声をかける。裸のオブジェにされ、その体を弄ばれても、2人は完全に絶望したという心境はうかがえない。

 あずみは2人の心に当惑していた。なぜ快楽に身を沈めながら、こんなにも自分を保っていられるのだろうか。オブジェにされ、自分の手中に収められているのに、どうして穏やかでいられるのか。

「・・大したものね。いいわ。私がもっと楽にしてあげるわ。」

(えっ・・?)

 呆れたように告げるあずみの言葉に疑問符を浮かべるたくみと和海。するとあずみは倒れた2人を起こし立たせる。

「私がなぜあなたたちを欲したのか、教えてあげるわ。美奈さん、服を着てきなさい。あなたにも見せてあげるわ。」

「はい、分かりました。」

 美奈は頷いて立ち上がる。すると秘所から足へと流れている愛液が床にこぼれ落ちる。それを見てあずみが苦笑する。

「シャワーを浴びてきなさい。このままじゃ服がぬれてしまうわ。」

 あずみに言われ、美奈はシャワールームに向かって駆け出していった。それを見送って、あずみはたくみと和海に寄り添った。

「さて、私たちも行きましょうか。」

 あずみはそういって、たくみと和海を連れて音もなく姿を消した。

 

 たくみと和海があずみの瞬間移動で連れてこられたのは、淡い光が漂う研究室とも思える大部屋だった。周囲には厳密な機械の類が並べられ起動していた。

(な、何なんだ、ここは・・!?)

 なおも和海との口付けを交わしたまま動けずにいるたくみが、周囲の異様な空気に動揺する。あずみが彼の心の声を聞き、振り返って妖しく微笑む。

「ここは神の力を完全覚醒させるための場所。ここで私は神としての洗礼の儀式を行うのよ。」

(洗礼の儀式・・!?)

「たくみ、和海さん、あれに注目しなさい。」

 あずみが指し示すほうに、たくみと和海が注意を向ける。

 その天井には、不気味にうごめく巨大な物体があった。

(な、何アレ!?)

(ガルヴォルス!?・・いや、でっかい細胞か・・!?)

 天井に張り付いて鼓動している生物に、たくみと和海が驚愕する。生物は鼓動を鳴り響かせているだけだった。

「これは神への生贄を受け入れるために存在する生物。あなたたち2人はその人柱となるのよ。」

(何だとっ!?)

 あずみの言葉にたくみの心に緊迫が走る。あずみが2人を連れてきた目的は、2人を人々を滅ぼす神の力を得るためだった。

 あずみは2人をゆっくりと生物の増したにある台座の上に運ぶ。床から明かりが灯る台の上にたたずむ天使と悪魔のオブジェ。

「これをかけると自動的に石化が解け、激しい激痛に襲われてしまうけど、あなたたちの力が世界を救うのよ。そして私は本当の神の力を得る。人間をひとまず全て滅ぼし、ガルヴォルスの因子の存在しない、新しい人間を生み出すのよ。」

(オレたちが、世界を滅ぼすために・・・!?)

「私の石化もその因子を消滅させる効果を備えているけど、あれは時間がかかりすぎるのよ。でも、神の力を手に入れれば、その効果を早めることも簡単よ。」

(だから、ガルヴォルスの力が使えなかったのね。)

「因子を消したオブジェたちが、過ちを繰り返す人間の滅んだ世界の新しい人類となる。そしてあなたたちはそのアダムとイヴになるのよ。」

 あずみが妖しく語りかけ、一糸まとわぬオブジェの石の肌に触れる。しかしたくみと和海はさほど動じずに話を続ける。

(アダムとイヴねぇ・・悪くないとは思うな。けど・・)

(そんな世界を創るくらいなら、今を一生懸命生きるほうを選ぶね。私たちなら。)

「でも抵抗もできないことは、あなたたちなら分かっていることよね?」

 気さくに振舞うたくみと和海。それを妖しく笑うあずみ。

 あずみのオブジェと化している2人は何の手立てもない。彼女の行為を受け入れるしかなかった。

 談話をしていると、美奈がシャワーを浴びて部屋にやってきた。衣服はたくみたちを止めたときに着ていたものだが、髪はぬれて垂れ下がっていた。

「お待たせしました、あずみさん。」

「では、始めるとするわ。神の儀式をね。」

 美奈のぬれた髪をなで、あずみが微笑む。そして振り返り、たくみと和海に右手を伸ばす。

「神よ、今こそ私にその力をもたらせ。その2つの命を持って、私の力を解放させたまえ。」

 あずみが右手に力を込め、光の球を天井の生物に放った。力を受けた生物が、その鼓動をさらに強める。

(な、何をするつもり・・・がはっ!)

 たくみと和海に激痛が襲った。生物が彼らに向けて何かを吸い付けるような動きを見せていた。

 2人の石の体のヒビが広がり、その殻が剥がれていく。そして生身の体から鮮血があふれ出す。

 たくみと和海の体に激痛と傷痕が走る。強烈な吸引力によってあずみの石化は解かれ、血が下から上へと上っていく。そしてその血を天井の生物が吸い取っていく。

(オレたちの血が・・あの化け物に、吸い取られていく・・・!)

 生物に取り込まれていく自分の血を視界に入れながら、たくみと和海が眼を見開く。2人の体からあふれ出る鮮血。その台座があずみがボタンを押したことでカプセルに閉じ込められる。

(このままじゃ、血を全部抜き取られて死んでしまうぞ!)

 流血漂うカプセルの中で直立した状態でいる2人。たくみが危機を感じて、傷ついた体に力を込める。しかし、顔に紋様が浮かぶものの、悪魔への変身を遂げることができない。

(くそっ!出血がひどくて、力が出ない・・・!)

 激痛にあえぎながらたくみが毒づく。あずみが笑みを見せて告げる。

「ムダよ。そのカプセルはあなたたちの力を計算した上で作られているのよ。たとえガルヴォルスになっても、脱出はできないわ。」

 悠然と見つめるあずみ。美奈も無表情で、血みどろになっているたくみと和海を見つめる。

 和海は流血と苦痛で意識を失いかけ、眼の焦点が定まっていなかった。

「ちくしょう!ちっくしょうがぁっ!」

 たくみは叫び声を上げ、力任せにカプセルを叩き始めた。

「だからムダだって。ガルヴォルスでも割れないのに、弱体化している今の状態で割れるはずがないわ。」

 あずみが余裕の言葉を口にする。しかし彼女の声に耳を貸さず、たくみはひたすらカプセルを叩き続ける。

 繰り返すうち、たくみの叩く手も赤くなる。しかし鮮血に満ち溢れているカプセルの中では、その区別が見分けられない。

「たく、み・・・」

 和海がもうろうとした意識の中で、たくみの名を呟く。

「たくみ!」

 必死に脱出を図ろうとするたくみに向けて、和海が消えかけていた意識を覚醒させる。残された力を振り絞り、天使の翼を広げる。

 神々しい光を帯びた息吹が、ガルヴォルスの力にも耐えうる強度のカプセルを打ち砕いた。生物に吸われようとしていた紅い血があふれ出し、たくみと和海がなだれ込むように出てくる。

「そんなっ!あの強化ガラスのカプセルが割れるなんて!?」

 あずみが和海の力に驚愕の声を上げる。

 和海がたくみを抱えて、動揺するあずみと美奈に視線を向ける。

「たくみの力は分かっても、私の力は分からなかったみたいね・・・」

「何っ!?」

「小さな力でも、刃先を小さくすれば威力は上がる。私の羽根の先端を鋭くして、威力を上げたのよ・・・」

 言い終わって、和海は力を失って倒れ伏す。彼女の翼も脱力したことで散る。

「か、和海・・・!」

 たくみが力を振り絞り、和海を支えて立ち上がる。そして呆然となっているあずみたちの視界の中、ゆっくりと歩いて部屋を出て行く。

 2人の底力を目の当たりにして、あずみと美奈は彼らの後ろ姿を見つめるしかなかった。

 

 

次回予告

第22話「対立する理想」

 

血みどろの中、あずみから逃れたたくみと和海。

満身創痍の彼らの前に現れたのは飛鳥だった。

しかし飛鳥の心は重く沈んでいた。

理想を失った者と生きるために戦う者。

今、2つの思いが激突する。

 

「共存なんて望めなかったんだ・・人間とも、ガルヴォルスとも・・」

 

 

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