ガルヴォルスX 第22話「朽ちる二人」
シュウによって石化された健太とひとみ。2人の心の中にシュウが介入してきた。
健太がシュウにつかみかかろうとするが、突然体が言うことを聞かなくなる。
「このっ!・・こんなんで、オレが・・!」
健太が強引にシュウに詰め寄ろうとするが、それでもシュウに近づけない。
「貴様は本当に往生際が悪いヤツだ。無理やりオレに手を出そうとしても、オレを傷付けることは絶対にない。」
「勝手に決めんな・・オレはおめぇをこの手で・・・!」
「勝手などではない。既にそう決定付けられている。オレが貴様たちを支配した時点でな。」
詰め寄ろうとするも全く詰め寄れない健太を、シュウがあざ笑っていく。
「貴様たちはオレに対して何もできない。だがオレは貴様たちに何でもできる・・」
シュウは言いかけると、右手を伸ばして健太の首をつかんできた。
「うっ!」
「健太!」
首を絞められてうめく健太に、ひとみが声を上げる。健太がシュウの手を振り払おうとするが、手が言うことを聞かない。
「オレの手をのけようとすることも、貴様は拒絶されるのだ。このまま一方的に絞め殺す、心を砕くこともできるのだぞ。」
不敵な笑みを見せるシュウの前で、健太が息苦しさで顔を歪める。するとシュウが突然、健太の首から手を放した。
「だが、そうしたところで貴様に思い知らせることにはならない。オレの気が晴れることもないしな・・」
笑みを崩さずに言いかけるシュウと、首絞めから解放されて咳き込む健太。
「健太、大丈夫!?」
「あ、あぁ・・・!」
ひとみの心配の声に、健太が呼吸を整えながら答える。
「アイツに何かしようとすると、体が全然言うことを聞かなくなる・・どうなってるんだ・・・!?」
「物分かりの悪いヤツだ。貴様たちがオレにすることは全て拒絶されるのだ。」
困惑する健太にシュウが言いかける。
「いい加減に自覚できるだろう・・貴様たちはオレに絶対に逆らえない。逆らう行為は全て拒絶されて、オレにされるがままとなる・・」
「そう言われて、はいそうですかって納得できるか!」
強気に笑うシュウに、健太がさらに飛びかかる。しかしまた体が前に進まずに動きを止められる。
「ここまで来ると強情だな・・やはり徹底的に思い知らせないと意味がない・・」
シュウは笑みを消すと、ひとみに向かって近づいていく。」
「おい・・ちょっと待て・・!」
健太がシュウを止めようと手を伸ばすが、これも拒絶されて動きを止められる。
「くそっ!・・ひとみ、逃げろ!」
健太が呼びかけるが、ひとみはシュウが伸ばした手に捕まってしまう。
「は、放して!放してったら!」
「ちくしょう!放せ!ひとみから離れろ!」
ひとみと健太が声を張り上げるが、シュウはひとみから離れようとせず、健太もひとみもシュウを引き離すことができない。
「貴様はそこで見ているがいい。コイツが弄ばれていく様を・・」
シュウは健太に言いかけると、ひとみの体を抱きしめてきた。そしてシュウはひとみの胸に手を当てて、揉み始めた。
「イヤッ!ちょっと、触んないで・・!」
体を触られて、ひとみが悲鳴を上げる。抵抗しようと暴れるが、抵抗を拒絶されてシュウから離れられない。
「コイツ・・ひとみから離れろってんだよ!」
健太がシュウにつかみかかろうとするが近づけない。彼の目の前でシュウがひとみの体を撫でまわしていく。
「イヤだ・・イヤなのに・・コイツに逆らえない・・・!」
シュウから逃れることができず、ひとみが苦痛を感じていく。
「フフフフ。これが支配というものだ。どれだけ逆らおうとしても、オレに逆らうことはできない。」
焦りと苦痛を感じていく健太とひとみを、シュウがあざ笑っていく。
「ちくしょう!やめろ!やめろ!やめろ!ひとみから離れろ!」
健太が絶叫を上げて、シュウにつかみかかろうとする。しかし何度つかみかかろうとしても、健太はシュウに近づくこともできない。
「いい気味だ、金城健太。貴様のそういうザマを見ていると、気分がよくなる・・・!」
シュウがそんな健太に目を向けて、嘲笑を浮かべてくる。
「コイツ・・コイツ!コイツ!」
健太が憤り、強引にシュウに詰め寄ろうとする。
「ムダだ、ムダだ!無理やりつかみかかろうとしても、成功することは絶対にない!それで傷ついたりバラバラになったりすることもないがな・・」
その彼をさらにあざ笑ってくるシュウ。彼はさらにひとみの体を撫でまわしていく。
「やめて・・私から離れて・・離れてったら!」
「苦痛になってきたか?屈辱か?だが貴様は受け入れるしかない。貴様も金城健太もオレのものなのだからな!」
悲鳴を上げるひとみに対し、シュウが高らかに笑い声を上げる。
「ではもっと思い知らせるぞ・・貴様たちに支配というものをさらに実感させるために・・」
シュウが目を見開いて、ひとみの秘所に手を伸ばして指を入れてきた。
「イ、イヤアッ!・・ぁぁあああぁぁぁ・・・!」
ひとみが恍惚に襲われてあえぎ声を上げる。
「ぐっ!・・このっ!このっ!このー!」
全力を出してもシュウに近づけず、健太は悔しさのあまりに、思わず目から涙を流していた。
「支配者であるオレに、支配されている貴様たちは逆らうことはできない。そのことを噛みしめて、せいぜい絶望するのだな・・」
シュウが健太をあざ笑い、ひとみをさらに弄んでいく。一方的に弄ばれるだけの事態に、ひとみは絶望して涙を流していた。
「せっかく一緒にオブジェになっているんだ。それなりの遊びもしておこうか・・」
シュウは言いかけると、ひとみから少し離れてから健太の腕をつかんできた。
「ぐっ!」
腕をつかまれて苦痛を覚え、振り払うことも拒絶されて、健太はシュウに引っ張られてひとみに押し付けられる。
「くっ!・・ひとみ、しっかりしろ!ひとみ!」
健太が呼びかけるが、犯されたひとみは絶望感に満たされていて、目の焦点が合っていない。
「おめぇ・・おめぇだけは、ゼッテー許さねぇ!」
健太が怒りを爆発させて、シュウに鋭い視線を向ける。しかしシュウは嘲笑を浮かべるばかりである。
「貴様がオレを許さなくても、その怒りが果たされることはない。貴様たちはオレにされるがままとなるのだ。」
シュウが健太とひとみに近づき、2人を押し付け合う。
「さぁ、お互いもみくちゃになるがいい。お互いを弄び弄ばれるのだ!」
シュウが思念を送ると、健太の体が勝手に動き出す。
「なっ!?・・体が勝手に・・何で、アイツの思い通りに・・・!?」
シュウの思うがままに体が動くことに、健太が驚愕する。彼はひとみを抱き寄せて、恍惚を交わしていく。
「ちくしょう・・やめろ・・オレは、こんなことでエッチしても・・・!」
ひとみとの今の性交に不快感を感じていく健太。抗うことができず、健太もひとみも絶望感を膨らませていく。
「心を寄せ合っていたのだろう?このまま永遠にいい気分に浸っているといい。オレの支配の中でな。」
シュウが2人の様子を見てあざ笑っていく。
「このまま・・このままおめぇなんかに・・・!」
「諦めろ。貴様たちの全てはオレの手の中だ。」
声を荒げる健太に、シュウが冷徹に告げる。
「体も心も、決意や愛といったものも、全てオレのものなのだ。貴様たちも例外ではない。」
「ふざけるなって、何度も言ってんだろうが・・そんなんで・・そんなんでオレたちは・・・!」
「何度も言わせるな。貴様たちはオレに従う以外にないのだ・・」
言い返そうとする健太に、シュウは強気に言葉を返すだけだった。
「考えるのも逆らうのも意味はない。オレの思い通りになればそれでいいのだ。」
「オレは・・オレたちは・・こんな・・・!」
嘲笑を投げかけるシュウの前で、健太は抗うことができないことに絶望して、気力を失っていく。
健太とひとみは絶望に打ちひしがれて、抱擁したまま脱力していった。
「ようやく・・ようやくオレに屈したか・・・!」
健太とひとみを完全に屈服させたと実感して、シュウがかつてない喜びを感じていく。彼は両手を広げて高らかに笑い声を上げる。
「どうだ、金城健太!オレが支配者であることを思い知ったか!」
健太とひとみをあざ笑っていくシュウ。絶望で満たされている2人は、反応を見せることもなくなった。
「あまりの絶望に言葉もなくしたか。無理もない。それがオレに支配されるということなのだから・・」
シュウが落ち着きを払って、抱擁を続ける健太とひとみを見つめる。2人はすがりつくように抱き合って触れ合っていた。
「せいぜい自分たちの殻の中に引きこもっているといい。オレの思い通りになるしかないのだからな。」
シュウがきびすを返して、健太とひとみから離れていく。彼を意に介することなく、2人は抱擁を続けていた。
健太とひとみの心の中から意識を引き戻したシュウ。彼は2人を完全に屈服させたと確信して、高らかな哄笑を上げた。
「やった・・ついにこの2人もオレの支配下に堕ちた・・・」
シュウが健太たちを見てあざ笑っていく。
「誰もオレに逆らうことはできない・・オレの力に屈して、全ての者がオレに従うことになるのだ・・・!」
シュウがさらにユキや他の女性たちを見わたして、さらに笑い声を上げる。
「オレはこの調子で、全てを支配する・・オレだけが全てを許される・・・!」
シュウが言いかけて、笑い声を上げていく。
「そうだ・・全ての支配者はただ1人・・このオレだ!」
勝ち誇ったシュウが健太たちに背を向ける。
「このまま他の者たちも屈服させる。オレが支配者であることを思い知らせ、逆らおうとするなら処罰あるのみ。」
シュウはさらに自分の支配を広げようと企む。健太が支配下に置かれたことで、シュウは自分の支配を脅かすものは存在しないと思っていた。
「ここだけではない。世界の全てがオレの支配下となる。人間もガルヴォルスも、全ての生き物がオレのものとなるのだ!」
高らかに言い放ち、シュウは屋敷の外へ出て行った。健太もひとみも石化されて、心身ともにシュウに掌握されて、彼の屋敷に取り残された。
絶対の自信を得たシュウは、自分による支配を一気に推し進めるため、国会議事堂に進行してきた。
「何だ、お前は!?」
警備員たちがシュウに詰め寄るが、彼に軽々と吹き飛ばされる。
「このオレに反抗的な態度で気安く触れるな・・・!」
シュウは冷徹に告げると、さらに前進して議事堂の中に入る。警備員たちが次々に出てきて、銃や警棒を構える。
「道を開けろ。死にたくなければな。」
シュウが言いかけるが、警備員たちは引き下がることはない。さらに前進してきたシュウに向けて、警備員たちが発砲する。
だが弾丸は全てシュウに当たる直前に木端微塵になる。
「な、何っ!?」
「よほど死刑になりたかったのだな・・」
驚愕する警備員たちに向けて、シュウが影を伸ばす。影が刃になって、警備員たちを次々に突き刺した。
警備員たちが鮮血をまき散らして、次々に昏倒していった。
「愚か者どもが。オレの言葉を聞き入れればいいものを・・」
シュウは呟いてから、議事堂の廊下を進んでいく。そして彼は政治家や議員たちのいる会議場にたどり着いた。
「な、何だ、貴様は!?」
「警備は!?警備は何をしている!?」
政治家たちが声を荒げると、シュウが不敵な笑みを浮かべてきた。
「オレに刃向かうならば早死にすることになる。廊下にいた連中のようにな。」
シュウは言いかけると、周囲の影を動かしてみせる。彼の能力に政治家たちが目を疑う。
「これからは全てこのオレが支配する。貴様たちもこの国も、世界全てオレに屈服するのだ。」
「ふざけるな!そのような暴挙、認めると思っているのか!?」
不敵な笑みを見せるシュウに、議員の1人が反発してきた。が、直後に彼はシュウの影の刃に体を貫かれた。
「なっ!?」
血をあふれさせて昏倒する議員に、他の議員たちが驚愕する。
「認められないのは、貴様たちのオレに対する反抗的な態度だ。無力で無能な貴様たちが、オレに刃向かえばどうなるか、分からないとでも言うつもりか?」
シュウが鋭い視線を向けて、議員たちが恐怖を感じて後ずさりする。逃げようとする彼らだが、影が壁になって出入口をふさぐ。
「ここから逃げられない。逃げてもオレの支配から逃れることはできない。貴様たちが何をしようとな。」
さらに笑みをこぼすシュウに、議員たちが恐怖を募らせて、震えるばかりになっていた。
「お、お前はいったい・・・!?」
「何を企んでいる!?・・我々に何を・・・!?」
議員たちが声を振り絞り、シュウに問いを投げかける。
「言ったはずだ。全てを支配することだと。全てがオレの思い通りとなり、全員がオレの言いなりになればそれでいいのだ。」
シュウは強気に自分の野心を口にしていく。
「た、助けてください!私、死にたくない!死にたくないんだ!」
議員の1人がシュウに近づき、土下座をして命乞いをしてきた。
「死に急ぎたくなければ、オレに従うこと。そう思っているならば賢い選択だ・・」
シュウが口にした言葉を聞いて、議員が安堵の笑みをこぼす。
「だがあまり暑苦しく泣きつかれるのは、オレは好きではない。オレが何も言わないうちは、おとなしくしているのが身のためだと思え。」
「は、はい・・・!」
シュウから冷淡に言われて、議員が恐怖しながら後ずさる。
「貴様たちもオレに逆らおうなどと決して思うな。長生きしたければな・・」
シュウが不敵な笑みを見せて、議員たちが畏怖して従うだけとなっていた。
「全世界に伝えろ。全てはこのオレ、鳥尾シュウが支配すると。」
シュウは議員たちに告げると、出入口をふさいでいた影を消して、その中の1つから出ていった。
「こ・・これは、大変なことになったぞ・・・!」
総理大臣がシュウの言動に、今までにない危機を感じていた。
シュウの全世界支配宣言。それは世界中の人々に衝撃をもたらした。この事態に自衛隊も行動を起こす。
シュウを国会議事堂を占拠した犯罪者として、自衛隊は銃を構えていた。
「鳥尾シュウ、大人しく投降しろ!さもなくば突入し、拘束する!」
隊長が警告を呼びかける。するとシュウが議事堂から出てきて、不敵な笑みを見せてきた。
「オレは支配者だぞ!このオレにこのようなマネをしてくるとは、万死に値する!」
言い放つシュウが影を操り、伸ばして自衛隊の隊員数人の体を貫いた。
「がはっ!」
「な、何っ!?」
昏倒する隊員たちに、隊長が驚愕をあらわにする。
「か・・構わん!撃て!突撃するのだ!」
隊長が命令を下し、隊員たちがシュウに向けて発砲する。だが放たれた弾丸は全て、飛び出した影に防がれる。
「恐怖するのはよしとするが、それでも刃向かうのは愚かなことだぞ・・」
シュウが目つきを鋭くすると、さらに影を伸ばして自衛隊を攻撃する。
「ま、まずい・・このままでは・・・!」
「逃げろ・・逃げないと!」
自衛隊が恐怖を募らせて、慌てて逃げ出していく。
「こんなマネをして、尻尾巻いて逃げられると思っているのか?」
シュウがため息をつくと、影が自衛隊を次々に殺害していった。
「思い知るがいい。オレが全ての支配者であることを。支配者に逆らう者は死あるのみだということを!」
自衛隊の無残な姿を見下ろして、シュウが高笑いを上げる。彼は自分が絶対の存在であることを確信していた。
次回
「全てはオレのために存在しているのだ・・」
「オレが求めてたのは、こんな形の愛じゃねぇ・・・」
「どんなことにも屈したりはしねぇ・・!」
「オレはひとみのためなら、どんなことだってやり通す男だ!」