ガルヴォルスLord 第20話「女王(クイーン)と騎士(ジャック)」
突如現れた女性、マーブルの力によって裸の石像にされたルナ。変わり果てた妹に、レナの心は大きく揺さぶられていた。
「この子はもう私のもの。体も心も。」
マーブルは妖しく微笑むと、先ほどまでルナの秘所からあふれていた愛液を指ですくい取り、口に入れる。その味を確かめて、彼女が感嘆の声を上げる。
「おいしい・・この子の喜びが私の中に広がってくる・・・本当にお姉さん思いの妹さんね・・・」
恍惚に浸るマーブルの態度が、レナの感情を逆撫でした。
「ルナから離れなさい・・さもないと・・・!」
「どうして?この子はもう私のもの。美しいオブジェになって、私のコレクションに加わったんだから。」
いきり立ったレナの頬に異様な紋様が浮かび上がる。だがマーブルはレナの声に答えようとしない。
「その汚い手でルナに触るな!」
怒りを爆発させたレナが、ローズガルヴォルスへの変貌を遂げる。今の彼女には、普段見せているような悠然さは一切なかった。
一気に懐に飛び込んできたレナが、マーブルに向けて衝撃波を放ってルナから引き離す。先の大木に叩きつけられながらも、マーブルは余裕を崩さないでいた。
「あなたもガルヴォルスだったなんてね。それもかなりレベルが高い。そんな子を自分のものにしたとき、その喜びも大きくなるわね。」
「ルナを弄んだ人は、誰だろうと生かして帰さないわよ・・覚悟することね!」
怒りに駆り立てられたレナが、マーブルに向けて花びらの刃を放つ。
「悪いけど、自分に万に一つの勝機がない相手を狙ったりしないわ。」
するとマーブルが右手をかざし、衝撃波を放って花びらの刃を弾き飛ばす。衝撃波はさらにレナをも突き飛ばす。
「ぐっ!」
自分が扱う以上の念力を全身に受けて、レナがうめいて吐血する。一気に追い込まれた彼女を見下ろして、マーブルが妖しく微笑む。
「あんまり狙ってる子は傷つけたくないのよ。質を落とす要因になりうるから。」
あくまで悠然さを崩さないマーブル。彼女に向けて敵意をむき出しにするも、レナは押し寄せる疲弊に思うように動きが取れなくなっていた。
そこへライとカナメが駆けつけてきた。マーブルの姿を目の当たりにしたライが、憤りを募らせていく。
「お前・・・お前・・・!」
「久しぶりね、ライ。しばらく見ないうちに、ずい分とたくましくなったじゃないの。」
声を震わせるライを見つめて、マーブルが妖しく微笑む。彼は一糸まとわぬ石像へと変わり果てたルナを目の当たりにして、さらなる驚愕を覚える。
「まずはこの子を先にオブジェに変えてあげたわ。この子も私の力の中で、十分に喜びを感じていってたわ。」
「お前・・・!」
マーブルの言葉に逆なでされ、ライが怒りを膨らませていく。彼の頬に異様な紋様が浮かび上がる。
「姉さんだけじゃなく、ルナまで!」
叫んだライの姿がウルフガルヴォルスへと変わる。その異形の姿を眼にして、マーブルが笑みを強める。
「まさかガルヴォルスとして覚醒していたなんてね。それも私を引きつける要素にもなってるけどね。」
マーブルは言いかけると、自分の口元に指を当てて恍惚を募らせる。
「私は、この時をずっと待ってたのよ・・あなたを私のものにするときをね。」
眼を見開いたマーブルが右手をかざし、衝撃波を放つ。ライは身をかがめてそれをかわし、マーブルに向かって飛びかかる。
だがマーブルが振りかざしてきた右手に突き飛ばされ、ライは上空に跳ね上げられる。衝撃波を併用した彼女の攻撃にうめくライが、空中で体勢を整えて着地する。
「今のあなたでは私には敵わないわよ。まぁ、遊び相手をするには申し分ないけど。」
マーブルがライを見つめて妖しく微笑む。その態度がライの心をさらに逆撫でする。
「殺してやる・・お前だけは、絶対に殺してやる!」
激怒したライの体から稲妻がほとばしる。その凄まじい力を感じて、マーブルが笑みを消す。
雷獣態へと変身したライが、怒りの赴くままにその力を解放する。その動きはマーブルですら見切ることができなかった。
ライの強烈な一撃がマーブルの腹部に叩き込まれる。その攻撃に彼女がうめいて吐血する。
ライはさらに一蹴を繰り出し、マーブルが突き飛ばされる。強靭なライの力にマーブルは脅威を感じていた。
「こんな・・これだけの力、いつの間に手に入れたっていうの・・・!?」
驚愕をあらわにするマーブル。その眼前にライが詰め寄り、彼女を鋭く見据える。
「姉さんを返せ・・今すぐオレの前に、姉さんを連れて来い・・元の姿の、優しい姉さんに!」
怒号を言い放つライから、稲妻がほとばしる。姉を奪われた青年の怒りの姿を、カナメは困惑の面持ちを浮かべて見つめていた。
「オレの理性が少しでも残ってるうちに・・・早くしろ!」
「ライ、落ち着いて!そんなに感情的になったら・・!」
叫ぶライに向けてカナメが呼びかけようとしたときだった。
突如、ライに向けて一蹴が飛び込んできた。奇襲を受けたライが蹴り飛ばされ、その先の大木に叩きつけられる。
「ライ!」
カナメが声を荒げて、ライに駆け寄ろうとした。だがその彼女の行く手を、差し出された刃がさえぎる。
カナメの前に立ちはだかったのは、異形の怪物だった。だが他のガルヴォルスと比べて、角などの器官が見られないすっきりした容姿で、右手には細身の剣が握られていた。
「姉さんの邪魔をするなら、たとえ君たちでも容赦しないよ。」
怪物は低い声音でカナメに言いかける。だがカナメは退こうとしない。
「どういうことか知らないけど、ルナちゃんを連れていかせはしない!だから誰であろうと、邪魔をするなら容赦はしない!」
いきり立ったカナメの頬に異様な紋様が浮かび上がる。
「僕が相手でも、容赦しないというのかい?」
「えっ・・・!?」
その怪物が口にした言葉にカナメが眉をひそめる。怪物の姿が変化し、その姿にカナメだけでなく、ライとレナも驚愕を覚える。
それはカイリだった。カイリはガルヴォルスであり、しかもマーブルの弟だった。
「カイリ、さん・・・!?」
カナメは眼の前にいるカイリが信じられなかった。なぜ彼がこのようなことをしているのか、カナメもライもレナも理解できなかった。
「どうして・・・なぜカイリさんがマーブルの弟だというの!?なぜルナを奪おうとする人に加担するの!?」
レナがカイリに向けて悲痛の叫びを上げる。だがカイリは冷淡な面持ちをレナに向ける。
「当然のことだよ。僕は魅黒マーブルの弟で、僕は姉さんを愛しているから・・」
「そんな、バカな・・・!?」
カイリの言動にライは愕然となった。これまで優しくしてくれた青年が、仇を守るガルヴォルスとして立ちはだかっていた。
「ありがとう、カイリ。お姉ちゃんのために体を張ってくれて、とっても感謝しているわ。」
「ううん。気にしなくていいよ。僕は姉さんが喜んでくれるだけで嬉しいんだから。」
微笑みかけるマーブルに、カイリも微笑んで頷く。そのやり取りを目の当たりにして、カナメも愕然となる。
「違う・・・あなたはカイリさん・・坂崎カイリでしょう!?」
「いいえ、違うわ・・この子は魅黒カイリ。紛れもない私の弟よ。」
悲痛さを込めてカイリに問い詰めるカナメだが、マーブルは淡々とそれを否定する。眼前の現実を受け入れられず、カナメはこれ以上言葉が出せなかった。
「ちくしょう・・こんなムチャクチャなでまかせ、オレがアイツを叩きのめして否定してやる!」
立ち上がったライが、マーブルに向けて突っ込もうとする。
そのとき、ライからあふれていた稲妻が突然消失し、彼が前のめりに倒れかかる。雷獣態への変身で体力を使い果たしてしまったのだ。
「くそ・・こんなときに時間切れかよ・・・!」
毒づきながら立ち上がろうとするライだが、体が思うように動かずよろけてしまう。その直後に彼の姿が人間へと戻る。
「ライ!」
カナメが倒れ込んだライに駆け寄り、支える。
「ライ、しっかりして!大丈夫!?」
「カナメ、オレは大丈夫だ・・それよりもアイツを!あの女を、逃がすな!」
心配の声をかけるカナメに、ライは声を振り絞って呼びかける。その声に奮起したカナメとスワンガルヴォルスに変身し、ルナを優しく抱きしめているマーブルに向かって駆け出す。
だがカイリが再び異形の怪物、ジャックガルヴォルスへと変身し、具現化した剣を振りかざしてきた。その一閃が地面を削り、カナメの行く手を阻む。
「カイリさん・・・ルナちゃん!」
「ルナ!」
カナメとレナが叫ぶ先で、ルナを抱くマーブルが妖しく微笑む。
「狙った子は絶対に逃がさない。それが私の心の在り方よ。たとえそれが、自分より強い力の持ち主であってもね。」
そう言い残して、マーブルはルナを連れて姿を消した。カイリも慄然とした態度を保ったまま、この場から立ち去っていった。
「ルナ・・・ルナ!」
レナの悲痛の叫びが空にこだまする。マーブルの魔手にかかり、ルナは全裸の石像にされて連れ去られてしまった。
ライが恐れていた事態が、ついに現実のものとなってしまった。
その後、ライたちは店へと戻ってきた。ルナを助けたい一心になっていたレナだったが、ライとカナメに止められて、連れ込まれる形で店に戻ってきていた。
「ルナが・・ルナがあんなことになるなんて!」
レナがいたたまれなくなって、近くのテーブルを叩く。ライもカナメも、今回の出来事に困惑の色を隠せないでいた。
「アイツだ・・アイツがオレの姉さんを連れ去り、今度はルナまで・・・!」
ライがマーブルに対して憤りを募らせる。
「ライ、あのマーブルという女は何なの!?どうしてルナを・・ルナを!」
レナが感情をあらわにしてライに詰め寄る。
「やめなさいって、レナ。ライだって辛いんだから・・・!」
そこへカナメが呼びかけ、レナが踏みとどまる。
「ゴメン、ライ・・・私・・・」
「いや、いいんだ・・・妹を奪われたんだ・・それで冷静でいられるほうがどうかしてる・・・」
沈痛の面持ちを浮かべるレナに、ライが弁解を入れる。
「マーブルは気に入った女を連れ去って、あのように石化してコレクションしている・・姉さんやルナのように、体も心もアイツに支配されちまってるんだ・・・」
「そんな・・そんな自分勝手な・・・」
ライの言葉にカナメが沈痛さを浮かべる。だが彼らが深刻に考えているのはそれだけではない。
「それにしても、まさかカイリさんが、マーブルの弟だったなんて・・・」
「何でなんだよ・・何で・・・アイツは、オレたちを裏切ったっていうのかよ!」
カナメがかけた言葉を聞いて、ライが憤りをあらわにする。
「ちょっと待ってよ、ライ。カイリさんだって、カイリさんの考えがあって・・」
「アイツの味方になってるアイツに、どんな考えがあるっていうんだ!」
カナメが弁解を入れるが、ライが怒鳴って一蹴する。だがきつい言葉をかけてしまったと思い、ライは困惑しているカナメを見つめて我に返る。
「すまない・・オレ、アイツが・・・」
「ううん、大丈夫・・マーブルが許せないライの気持ち、分かるから・・・」
謝罪するライに対し、カナメが微笑んで答える。
「とにかく、今夜は休もう・・みんな疲れてるから・・体も、心も・・・」
カナメが言いかけた言葉に、ライとレナは気持ちを落ち着けて頷いた。
石化したルナを連れて自分の別荘に戻ってきたマーブル。彼女はカイリとともに、彼女のコレクションルームに来ていた。
部屋の中は裸身の女性の石像たちが立ち並んでいた。これらはマーブルの力を受けて石化された女性たちばかりである。しかも石化の影響で強烈な恍惚にさいなまれ、永久不変の快楽を堪能している。
マーブルはルナをその部屋の適当な場所に置くと、その裸身を見つめて妖しく微笑む。
「ウフフフ、これでまた、私のコレクションが増えたわね。」
マーブルは言いかけて、ルナの石の頬に手を伸ばす。
「とってもかわいらしい子。しかも胸が大きいし。思わず食べてしまいそうね・・」
ルナの顔をじっと見つめて、マーブルが感嘆の声を上げる。恍惚に耐え切れなくなり、彼女はルナの石の胸を舐め出した。
「あなたは不満に感じてるんじゃないかな、カイリ。今まで一緒の時間を過ごしてきた子の1人なんでしょう?そんな子をオブジェに変えて、しかも私は今その子の体を弄んでいる。もっともこの子も私の力で十分の気持ちよくなってるんだけれどね。」
その途中、マーブルがカイリに言いかける。だがカイリは気に病む様子を見せない。
「僕の幸せは姉さんと一緒にいることだけ。今までルナちゃんやレナちゃんたちと過ごしてきた時間も、悪くない気分だったけどね。」
「そう?なら私も遠慮する必要はないわね。これで他の子たちも、みんな私のものにできる・・」
淡々と答えるカイリに、マーブルは妖しく微笑む。
「このときをずっと待ってたのよ。未熟だった果実が光り輝くときをね。」
「ライくんのことですか?」
「そう。でもライくんだけじゃなかった。ルナちゃんのように、周りにすばらしい子たちが取り巻いているようね。確か名前は、白雪カナメちゃんと柊レナちゃんだったかしら。」
「となると、みんなが寂しくなることはなくなりますね。」
マーブルの言葉を受けてカイリが笑みをこぼす。
「あの2人は今までで最高位の輝きを秘めている。私の石化の雷にかければ、本当にすばらしいオブジェになるわね・・期待に胸が張り裂けそうだわ。ウフフフフ・・」
期待と歓喜を募らせて、マーブルが哄笑を上げる。彼女の魔手が今まさに、ライたちに伸びようとしていた。
衝撃の出来事が起きた日の夜。1人だと寂しいということから、レナはカナメの家に招かれた。
様々な思惑が交錯する夜間、ライは廊下から窓越しに外を見つめていた。自分たちが遭遇しているのは、今まで予感していた、これまでにない壮絶になると彼は考えていた。
(絶対に助け出すんだ。姉さんとルナを・・そして守るんだ。レナを、カナメを・・・!)
胸中で決意を呟いて、マーブルの戦いに備えるライ。そんな彼の前に、レナが近づいてきた。
「レナ・・・」
ライがレナに眼を向けるが、レナは困惑の面持ちを浮かべるばかりで、何も言葉をかけようとしない。
「眠れなくなったのか?・・ムリもない。お前は・・」
「お願い、ライ・・私のそばにいてほしいの・・・」
言いかけたライに、レナが弱々しく言いかける。その申し出にライが眉をひそめる。
「ルナがいなくなる時間なんて考えられなかった・・考えたくもなかった・・・こんなに寂しく感じるなんて・・・」
「レナ・・・」
「わがままなのは分かってる・・でもお願い・・今夜はそばにいて・・・」
眼に涙を浮かべて懇願するレナに、ライは困惑する。だがレナとルナの幸せのために、ライはこの申し出を受け入れるわけにいかないと思った。
「悪いがオレは、お前に触れるわけにはいかない・・ここでお前に触れたら、今度はオレが、お前とルナの、お前たちだけの気持ちを壊すことになる・・・」
「ライ・・・」
「どうしてもっていうなら、オレよりもカナメのほうがいいだろ・・アイツなら、お前を犯してしまうこともないだろう・・・」
ライの言葉を聞いて、レナは渋々頷いた。そこへカナメが現れ、2人の心境を察する。
「ライ・・レナ・・・」
「カナメ、お願い・・今夜、一緒にいさせて・・・」
当惑しているカナメに、レナが言いかける。
「ルナの代わりと思われて気分が悪くなるのは分かってる・・それでも、私は・・・」
「レナ・・・いいわ。付き合ってあげる。」
レナの申し出を、カナメは真剣な面持ちを浮かべて受け入れる。
「カナメ・・・」
「あなたとの縁も長いからね。ルナちゃんと離れ離れになって、とても心細くなっているあなたの気持ち、理解できなくもないから・・・」
戸惑いを見せるレナに微笑みかける。心細さと甘えに駆り立てられるように、レナはカナメに寄り添った。
「ゴメンね、カナメ・・そして、ありがとう・・・」
そして、カナメとレナの夜が始まった。着ていたものを脱ぎ捨てて一糸まとわぬ姿となったカナメが、ベットの上に大の字になる。
「さぁ、それからどうするの?あなたのことだから、いつもあなたがルナちゃんをいじくってたんでしょう?」
「あなたには何でもお見通しのようね・・その通り。今夜はいろいろと遊んであげるから。」
カナメの言葉に頷くと、レナも着ているものを脱ぐ。そしてカナメの上に乗り、裸身を寄せる。
「そういえば、今日の出来事を見て、あの漫画を思い出しちゃうわね。」
「あの美女誘拐犯のことでしょう?あなたには何度も見せられたわ。」
言いかけるレナにカナメが半ば呆れながら答える。
「あの石化で、一気に丸裸にされちゃったね。あれを受けたら、恥ずかしくならないはずがない。」
レナは微笑みかけて、カナメの左手に右手を添える。そしてそこからカナメの左腕を撫でて左胸を、さらに腰に進んで秘所に触れていく。その接触にカナメがうめき声を上げる。
「月日の流れを見続けるがいい・・私に傷を負わせたことを後悔しながら・・・」
「そのセリフ、何度も聞かされたわ。誘拐犯の前で体が石になって、服も一緒に破けていくんでしょう?」
「あのときは何度もあなたに言って聞かせてたわね・・・体が石になると、本当に全然体が言うことを聞かなくなるのよね。だから好き放題されても文句は言えない・・・」
頬を赤らめるカナメに語りかけて、レナは彼女の胸の乳房に口をつけた。胸を吸い付かれて、カナメがあえぎ声を上げる。
(少し強引な感じがある・・レナらしいというべきかな・・ルナちゃんとは、いつもこんな感じで攻めてるのかな・・・)
レナに弄ばれる中、カナメは胸中で思考を巡らせていた。レナとルナの愛情を、カナメは直に感じ取っていた。
(いつもはあんなに突っ張って、自分が1番みたいな風を吹かしてるけど・・本当は弱くて寂しがりや・・ルナちゃんがいないと何もできない弱虫だって・・・)
心の中でレナを想うカナメ。レナに秘所を舐められて、カナメはさらに声を張り上げる。
(でも私は、そんなあなたが情けないとは全然思っていない・・むしろルナちゃんのために全てを賭けるあなたを、私はすばらしく思ってる・・・)
さらに心を声を呟きかけるカナメ。しばらく彼女の体を舐め取ると、レナは彼女に声をかける。
「カナメ、ホントにありがとう・・あなたと会えたことを、私は誇りに思う・・ルナと私の次に、かけがえのない人だと思う・・・」
「・・そういう言い方は、あまり褒め言葉に聞こえないんだけど・・」
レナの言葉にカナメが苦笑を浮かべる。
「ライの気持ち、少しは分かったかもしれない・・・大切なものを奪われて・・助けたいという気持ちと、奪っていった人への怒りが、心の中で渦巻いてる・・・どうにもならなくなりそう・・・」
「レナ、あなた・・・」
「・・会いたい・・ルナに会いたいよ・・・このままルナと離れ離れになっちゃったら、私は・・・!」
戸惑いを見せるカナメの前で、レナが打ちひしがれて泣き崩れる。レナの眼からあふれた涙が、カナメの裸身にこぼれ落ちる。
その心と寂しさを受け止めたカナメは、レナを優しく抱きしめた、その突然の抱擁にレナがと枠を覚える。
「助けよう・・ルナちゃんを・・・奪われたものを、私たちの手で取り戻そう・・・」
「カナメ・・・」
「あんな人に、私たちの全てを壊させてたまるものか・・・取り戻すのよ・・ルナちゃんも、ライのお姉さんも・・・!」
カナメが口にした決意にレナも小さく頷いた。自分の心を締め付けていた束縛から解放されたような感覚を覚え、レナは子供のように泣きじゃくっていた。
次回
「あなたたちのほうからやってくるとはね。」
「アイツから全てを取り戻すか、アイツに全てを奪われるか・・」
「一世一代の大勝負というところね。」
「オレはもう、何も失いたくない・・・」
「お前がいなくなったら、オレは生きていけないんだよ・・・!」