ガルヴォルスLord 第13話「ショーの願い」
カナメの助けられて、リオンの率いる警官たちから逃れることができたショー。人間の姿に戻ったショーは、カナメを助けられなかったことを悔やんだ。
「僕のために・・お姉ちゃんは・・・!」
たまらなくなったショーは、そばの木に握った両手を叩きつける。どんなに悔やんでも悔しさが込み上げてくるばかりで、彼はいても立ってもいられなかった。
「助けないと・・お姉ちゃんを・・・!」
思い立ったショーは、カナメが通っている店に向かうことにした。
ショーと同行していたカナメのこれまでの行動を見守っていたカオリとカナエ。カナメの行動に対し、2人は呆れていた。
「あ〜あ。警察とやり合ってるとこまではよかったんだけど・・」
「何だかショーくんとのやり取りが、人間っぽいって感じがするのよね・・」
カナエがため息をつくと、カオリも肩を落として言いかける。
「それで、これからどうするの、お姉ちゃん?カナメを助けて警察とケンカをやっても、私は構わないけど。」
「そうね・・しばらく様子を見ましょう。今のカナメを助けるの、あまり気が進まないし・・」
カナエの言葉にカオリは落胆の面持ちを浮かべて答える。2人は次の獲物を求めて、この場を後にした。
リオンによって捕獲され、秘密研究所に運び込まれたカナメ。その研究室で彼女は衣服を脱がされ、磔にされて様々な実験をされようとしていた。
抵抗しようとしたりガルヴォルスになろうとしたりすると、台から電気が発せられて彼女の力を阻む。彼女はもはやなす術がないまま、リオンたちに利用されていた。
「不様ね。実に不様だわ。ま、お前たちガルヴォルスにはお似合いの格好だけどね。」
身動きの取れないカナメに、リオンが不敵な笑みを浮かべて声をかける。
「お前はいろいろな形であたしに利用されるのよ。対ガルヴォルス用の秘密兵器を作るのもいいし、他の連中をおびき出すエサにもなる。」
「冗談じゃないわよ・・お前のような人に、私を好きなようにされてたまるものか・・・!」
あざ笑うリオンに憤りを覚えて、カナメがガルヴォルスに変身しようとする。だが台に設置されている電気ショックを受けて、カナメは抵抗力を奪われてしまう。
「生意気な態度を見せるのは自殺行為にしかならないわよ。その台と錠には、力を加えると電撃が流れるようにセットしてあるから、ガルヴォルスになって力ずくに逃げ出そうなんてムリな話だから。」
淡々と告げるリオンの眼の前で、脱力したカナメが苦痛にあえぐ。抗うことも逃げることもできず、彼女は悔しさを噛み締めるしかなかった。
「お前たち畜生は、本当の知恵と力のある人間と比べたらクズに等しいのよ。せいぜいあたしの憂さ晴らしのために十二分に役立ててもらうわ。」
「人間?・・あまり人のことをバカにしないようにしてるけど、今度ばかりはおかしくて仕方がないわね。」
「何っ・・!?」
あざ笑ってきたカナメに対し、リオンが笑みを消して苛立ちを見せる。
「あなたは人間でもバケモノでもない。あんたが見下しているバケモノ以下だわ。自分の目的のために邪魔なものを、同じ人間さえも殺めた。そんなヤツのどこか人間なのよ。」
カナメの言葉に激昂したリオンが、彼女の顔を殴りつけると、銃を引き抜いて銃口を彼女の頭に突きつける。
「畜生の分際でいきがってんじゃないわよ!お前の命はあたしの手の内にあるってことを忘れんな、ボケ!」
「そんな罵声や脅しを仕掛けてきたって、私は屈しないわよ・・私は怒らせるほどに力を増すタイプみたいだから。」
「いきがるなって言ってんだよ、クズが!いざとなればお前なんてすぐに殺せるんだよ。まぁ、私たちにとっては、別にお前を殺しても実験体が死んでしまったという程度でしかないから構わないんだけどね。」
さらにあざ笑うリオンに対し、カナメはこれ以上反論することができず、苛立ちを押し殺すしかできなかった。
カナメを助けようとカイリの店に向かっていたショー。その途中、彼はカナメたちを追っていたライと対面する。
「あなたはあのときの・・」
「お前は・・・!?」
ショーとライが声を荒げる。ガルヴォルスであるショーに対し、ライが憤りをあらわにする。
「子供の姿をしていたって、ガルヴォルスには容赦しねぇ・・!」
「待ってよ!今はそれどころじゃないんだ!大変なんだ!僕のお願いを聞いて・・!」
「ガルヴォルスのお前の言うことは聞くつもりはねぇ!ガルヴォルスは全員、オレの敵なんだよ・・・!」
助けを請うショーの言葉を、ライがさらに怒りをあらわにして一蹴する。ライの頬に紋様が走り、ショーが驚きを覚える。
「もしかしてお前も、ガルヴォルス・・僕と同じ・・・!?」
「オレとお前を一緒にするな!ガルヴォルスはオレが全員倒す!」
「待って!今は争ってるときじゃないよ!お姉ちゃんが、カナメさんが・・!」
「カナメが?」
ショーの言葉にライが眉をひそめる。
「カナメさんがリオンに捕まって、このままじゃカナメさん、アイツに殺されちゃうよ・・・!」
「どこまでふざけたことをぬかす気だ!」
ショーの懇願に怒号を発したライがウルフガルヴォルスへの変貌を遂げる。その姿を見たショーが驚愕を膨らませる。
「お前・・カナメさんを襲ってきた・・・!?」
ライの正体を目の当たりにしたショーが、彼との距離を取る。そしてアルマジロガルヴォルスに変身して、ライと対峙する。
「いくら同じガルヴォルスでも・・僕を守ってくれた人を傷つけようとするヤツに、協力を頼もうとした僕が間違ってた!」
ショーはライに言い放つと、体を丸めて突進を仕掛ける。眼つきを鋭くしたライが、跳躍してその突進をかわす。
ショーはすぐに体勢を立て直して、口からプラスティック液を吐き出す。ライが着地するタイミングを狙って放たれた液は、彼の体に付着して両腕を封じる。
「くっ!・・これは・・・!?」
体の自由を奪われたライがもがくが、固まったプラスティック液は完全に彼の動きを封じていた。
「全身を固めて始末してもいいんだけど、今の僕にはそんな時間はないから・・・!」
「ま、待て・・!」
低く言いかけてこの場を離れるショーに、ライが怒りの声を上げる。体に張り付いているプラスティック液を、彼は強引に引き剥がす。
「ハァ・・ハァ・・ちくしょう・・ガルヴォルスが!」
呼吸を整えながら、ライもショーを追って駆け出した。
リオンに拉致されたカナメを助けるため、ショーはガルヴォルスの姿のまま、カナメのかすかな気配を探って、研究施設にたどり着いた。突然の異形の者の登場に、警備に当たっていた警官たちが驚愕する。
ショーは周囲の警官たちに眼もくれず、施設に突入する。時折体を丸めて球体となって、扉や隔壁を突き破りもした。
そしてついに、ショーはカナメとリオンのいる中央研究室にたどり着いた。ショーの登場にカナメが動揺の色を隠せなかった。
「お前は田丸ショー・・ここまで乗り込んでくるとは、ずい分と殊勝じゃないの。」
ショーの姿を見て一瞬驚くも、あざ笑ってくるリオン。
「カナメさんを放せ。でないと力ずくでも助け出す・・・!」
「力ずく?相変わらず野蛮なこと・・放せといわれて放すバカじゃないのよ、あたしは・・・!」
低く言い放つショーを、リオンが不気味な笑みを浮かべてあざ笑う。
「そんなに心配しなくてもいいよ!2人仲良く地獄に突き落としてやるからさ・・!」
「もうこれ以上、お前の思い通りにさせない・・僕は新しく、幸せをつかむことができたから・・・」
「ほざくな、畜生が!あたしがすずめの涙ほどしかないその価値を見出してやらなきゃ、お前らは生きる資格も持てなかったってのによ!」
リオンが憤慨すると、ショーに向けて発砲する。放たれた白い弾丸を、ショーは身を翻してかわしていく。
そしてショーは、磔にされているカナメに近づき、手足を拘束していた錠を外そうとするが、台に設置されていた電気ショックが2人を襲う。
「ぐあぁっ!」
その衝撃にうめくカナメとショー。ショーはその苦痛に耐えて、4つの錠を力任せに引き剥がした。
決死の特攻でカナメを解放することに成功したショー。だがこれまでに体力を一気に消耗してしまい、彼の体は疲弊しきっていた。
「お姉ちゃん・・よかった、無事で・・・」
「ショーくん・・私のために・・・!」
微笑みかけるショーに、カナメはいたたまれない気持ちにさいなまれた。その傍らで、リオンが彼女が解放されたことに舌打ちしていた。
「涙ぐましい友情だことで。だがそれが畜生同士だと、これほど気色悪くなるとは、あたしも驚きだねぇ。」
あざけるリオンに、カナメが眼つきを鋭くする。睨みつけてくる裸身の少女に、リオンも笑みを消して憤りをあらわにする。
「ガルヴォルス風情が、人間のあたしにここまで逆らってくるとはな・・・あんまり粋がると、後で後悔することになるわよ!」
リオンが銃を構えて鋭く言い放つ。内に秘める怒りを強めるカナメの頬に、異様な紋様が浮かび上がる。
「後悔するのはあなたよ・・今の私は、とても情けをかけられる状態じゃないわ・・・!」
低く言い放つカナメの姿がスワンガルヴォルスへと変化する。いきり立ったリオンが発砲するが、カナメはショーを抱えたまま、その白い弾丸をことごとくかわしていく。
実験室を飛び出し、向かってきた警官たちを翼の羽ばたきで退けると、カナメはショーを連れて脱出を図る。
安全と思える場所として、カナメは武装倉庫に来ていた。ここでもし警官たちと鉢合わせになっても、向こうは迂闊に攻撃することはできない。彼女はそう判断していた。
「ここでしばらく休みましょう・・私もあなたも、今の状態じゃとても逃げ切れない・・・」
「そうだね・・・ゴメンね、お姉ちゃん・・僕のせいで・・・」
カナメが言いかけると、ショーが謝罪の言葉を返す。するとカナメが微笑んで弁解を入れる。
「気にしなくていいのよ、ショーくん。あなたが私を助けてくれた。だから今度は、私があなたを助ける・・」
「僕の幸せが、みんなの幸せになればいいなぁ・・・そう思ったから・・・」
カナメの優しさに触れたショーが、自分の心境を告げる。彼の眼からうっすらと涙が零れ落ちる。
「ショーくん・・・ありがとう・・必ず、君を守る・・そして、みんな一緒に、あの海に行こうね・・・」
ショーを優しく抱きとめるカナメ。必ずこの少年の幸せを取り戻したい。彼女の気持ちは、時間がたつごとに強くなっていた。
カナメが外の状況を把握しようと、ドアに近づこうとしたときだった。
何かの違和感を感じて、カナメはドアに行く途中で足を止める。
(何かがおかしい・・何かが私たちの身に起きようとする気がしてならない・・・)
胸中で呟きながら、カナメがその違和感の正体を探る。そしてその正体に気付きかけて、彼女は戦慄を覚えた。
「どうしたの、お姉ちゃん・・・?」
「ショーくん、危ない!」
ショーが疑問を向けると同時に、カナメが叫んでショーに駆け寄る。
そのとき、カナメの背後から爆発が巻き起こる。武装倉庫からという躊躇をまるで感じさせず、リオンや警察たちは2人に向けて攻撃を仕掛けてきた。
倉庫内が一気に爆発を引き起こしていく。カナメとショーもそれに巻き込まれて、崩壊した床の下に落とされる。
落下した会議室には、リオンと警察が包囲網を敷いていた。2人を取り囲む形で配置についていた武装警官が、2人に向けて銃を構える。
爆発を受けて傷ついたカナメは、人間の姿に戻っていた。
「遊びはここまでよ。そろそろおしまいにさせてもらうわよ。」
「リオン・・・!」
リオンが低い声音で言いかけてくる。カナメが鋭い視線を向けるが、爆発の影響で苦痛に襲われて、思うように動けないでいた。
「もうお前たちには利用される価値もなくなった。せいぜいガルヴォルスになったことを存分に後悔してから地獄に落ちろ!」
リオンがカナメに向けて白い弾丸を放つ。傷ついているカナメには、それを回避することが困難になっていた。
やられると覚悟したカナメ。だがその弾丸を受けたのは、彼女を庇って飛び出していたショーだった。
「ショーくん・・・」
力なく倒れていくショーの姿に、カナメは眼を疑った。
「ショーくん!」
カナメが悲痛の叫びを上げて、横たわるショーに駆け寄る。力を失った彼の姿がガルヴォルスから人間に戻る。
「ショーくん!しっかりして、ショーくん!」
カナメが呼びかけると、ショーはうっすらと眼を明けて彼女に微笑みかける。
「よかった・・お姉ちゃん・・・無事、だったんだね・・・」
「ショーくん、ダメよ!ここで終わっちゃダメ!・・一緒に、一緒にあの海に行くんでしょ!」
「そうだね・・・みんなで、あの海に行きたいな・・アハハハ・・・」
カナメの声にショーが笑みをこぼす。彼の眼からも涙があふれ、頬を伝う。
カナメがつかんでいたショーの手から力が抜け、彼女の手から滑り落ちて床に落ちる。そして彼の体が石のように固まっていく。
「ショーくん・・・!?」
カナメがショーのこの変化に疑念を抱く。その直後、ショーの体が崩壊して、カナメの腕の中から崩れ去っていく。
眼の前で起きた悲惨な出来事が信じられず、カナメは体を震わせる。彼女の両手の中には、ショーの亡骸が残っていた。
「ふぅ。やっと1匹片付いたか。畜生のくせに手間取らせやがる・・・」
そこへリオンの声が響き渡る。その言葉が、カナメの中にある怒りのスイッチを入れた。
「ショーくんは・・ショーくんはただ、みんなと一緒に幸せに暮らしていたかっただけ・・本当は誰も傷つけるつもりなんてなかったのに・・・」
「ハァ?何を寝ぼけているの?ガルヴォルスが幸せになれるはずがないじゃない。生きてることすら大罪の、醜い畜生じゃないの。」
さらにあざけるリオン。カナメの中に、これ以上ないほどの殺意が芽生えていた。それを表すかのように、彼女の頬に異様な紋様が浮かび上がっていた。
「それでもいいわ・・ただ、お前たちはその醜いと思ってるバケモノに、皆殺しにされるのよ!」
激昂したカナメの姿がスワンガルヴォルスに変わる。彼女の背中から広がった翼は、これまでにないほどに神々しく輝いていた。
その変貌に一瞬怯むも、警官たちはすぐに発砲する。だが白い弾丸は全てカナメの翼の羽ばたきで断裂される。
「き、効かない・・バケモノ・・・!?」
「本物のバケモノだ・・・!」
カナメの力に恐怖を覚え、ついに警官たちが逃走を図る。だがカナメが放った羽根の矢に体を貫かれて、全員が息絶える。
「皆殺しにすると言ったでしょ・・誰1人逃がさないから・・・!」
「お前、本気で・・・!?」
低く告げるカナメに、リオンが驚愕を覚える。だがその驚きはすぐに哄笑へと変わる。
「ついにやったね、お前!普通の人間を殺害して、もう逃げられないわよ!お前は殺人の罪で断罪されることに・・!」
リオンが言い放つが、彼女の左腕が突然断裂される。切り裂かれて飛んだ腕と飛び散る鮮血を目の当たりにして、リオンが絶叫を上げる。
「痛い!痛い!・・お前!お前、こんなことを!」
「痛い?その程度、ショーくんの受けてきた痛みに比べたら、かすり傷でしょう・・・!?」
怒りの叫びを上げるリオンに、カナメが冷淡に言いかける。怒りに駆り立てられたリオンが発砲するが、カナメの翼が全ての弾丸を粉砕し、さらに銃を持ったリオンの右腕さえも切り裂いた。
もはやリオンの上げる叫びは、声にならない断末魔の絶叫と化していた。姿勢を保てなくなり、彼女はその場に仰向けに倒れる。
「すぐには殺さないわ。あなたにはショーくんが受けてきた苦しみと辛さを十分に叩き込んでから、息の根を止めてあげるわ・・・!」
カナメは言い放つと、リオンの両足を引きちぎった。絶叫を上げるリオンから鮮血があふれる。
「こんなことをして、ただで済むと思ってるのか!?・・人間を殺して、許されると思って・・・!」
「あなたに言われたくないわ・・だってあなたは、あなたが見下していたバケモノ以下なんだから・・・」
言い放つリオンに対し、あくまで冷淡に告げるカナメ。
「これで終わりにするわ。でもあなたはショーくんに謝れない。なぜなら、あなたは地獄に落ちるから・・・」
カナメは言い終わると、リオンの体に向けて腕を振り下ろす。その突きに体を貫かれ、リオンが吐血する。
リオンを貫いていた腕を引き抜いたカナメの眼から涙があふれる。それはリオンを手にかけた罪ではなく、ショーを守れなかった自分の無力さを表していた。
その会議室に飛び込んできた気配に、カナメが振り返る。それは憤りをあらわにしているウルフガルヴォルス、ライだった。
「お前・・・またこんな・・・!」
「あなたは・・・」
歯がゆさをこらえきれないライに、カナメが囁くように言いかける。
「また自分の目的のために、こんなことを!」
いきり立ったライが、カナメに向かって飛びかかる。カナメはその突進に突き飛ばされ、窓から外に飛び出す。
横転しながらも立ち上がるカナメ。そこへライが間髪置かずに拳を繰り出してくる。
翼を広げて回避しようとするカナメだが、体が思うように動かせず、拳の一撃を叩き込まれる。腹部に拳がめり込み、彼女の口から吐血がもれる。
そのまま突き飛ばされたカナメが、その先のドラム缶の山に叩きつけられる。何とか立ち上がるも、彼女の体はふらついていた。
カナメは体力をかなり消耗していた。ショーを死なせたことで怒りを爆発させ、感情の赴くままに力を使った。もはやまともに戦うことも困難になっていた。
そのことに構わず、ライはカナメにさらに攻撃を仕掛ける。反撃することもままならず、カナメは苦渋を募らせる。
(このままではやられる・・せめて反撃の一矢を・・・!)
残された力を振り絞り、カナメが羽根の矢を放つ。羽根の矢の速度は速く、ライの右肩を貫いた。
「ぐっ!」
右肩に苦痛を覚えて、ライがたまらずひざを付く。そこを狙って、カナメがライに一蹴を見舞う。
さらにライに向けて拳を叩き込んでいくカナメ。絶対に負けられない。絶対に死ねない。それが今の彼女を突き動かしていた。
連続攻撃の後、カナメがさらに拳を繰り出そうとする。
「お前、いい加減に!」
激情に駆り立てられたライも負けじと拳を繰り出す。2人の攻撃が衝突、相殺、反発する。
静電気のように弾け飛んだライとカナメ。力を使い果たした2人の姿がガルヴォルスから人間へと戻る。
「えっ・・・!?」
「お前・・・!?」
元に戻った互いの姿を目の当たりにして、カナメとライが驚愕をあらわにする。2人は互いの正体を目の当たりにして、しばらく言葉をかけることができなかった。
カナメによって四肢を断裂されたリオン。だがリオンは眼を見開き笑みをこぼしていた。
「フフフフ・・ガルヴォルスたち・・せいぜい今のうちにいきがってろ・・お前たちには絶対に未来は訪れない・・・」
不気味な哄笑を上げた直後、リオンの体が崩壊を引き起こした。彼女の断末魔が表すかのように、かつてない悲劇が訪れようとしていた。
次回
「ライが、ガルヴォルス・・・!?」
「アイツ、ずっとオレたちを騙してたのか・・・」
「カナメはあなたが思ってるような子じゃない。」
「相手が誰だろうと邪魔はさせねぇ・・・」
「カナメは、オレが倒す・・・!」