ガルヴォルスLord 第11話「非情の包囲網」

 

 

 両親を殺された怒りを爆発させて、アルマジロガルヴォルスになったショーがリオンに向かって飛びかかる。リオンはとっさに身を翻して、ショーの突進をかわす。

 ショーはリオンに振り返ると、うずくまるように体を丸める。そして球体になった体を前転させて、リオンに向かって再び突進する。

「くっ!」

 リオンは毒づきながら、この突進もかわす。そして上着の内ポケットから白い弾丸を取り出し、手にしていた銃に装てんする。

 体を元に戻したショーに向けて、リオンは銃口を向ける。だがすぐには発砲せず、確実に命中させられる間合いを見計らった。

 そして三度飛び込んできたショーとの間合いを取り、リオンは発砲する。新たに装てんされた白い弾丸が銃口から放たれ、ショーの左肩に命中する。

「ぐっ!ぐあっ!」

 撃たれたショーが左肩に激痛を覚えて悲鳴を上げる。前のめりに倒れこんだまま、彼は立ち上がることができないでいた。

「痛いでしょ!?苦しいでしょ!?今私が撃ち込んだのは特別製の弾でね!ガルヴォルスだけに見られる体組織を崩壊させる毒素があるのよ!これを頭か心臓に撃ち込まれれば、そのガルヴォルスは確実にお陀仏になるわね!」

 リオンが哄笑を上げながら、苦悶の表情を浮かべているショーに言い放つ。本来なら普通の人間の身体能力、治癒力を発揮するガルヴォルスだが、白い弾丸の毒素で回復するどころか痛みがひどくなってきていた。

「まぁ、後は普通の弾でも十分ね。すぐには殺さないわよ。じっくりじっくりなぶり殺しにしてやるわよ!」

 言い放つリオンの眼前で、ショーの姿が人間に戻っていった。

 

 ライとの壮絶な攻防を繰り広げていたカナメ。だがリオンに追い込まれているショーを目の当たりにして、彼女はさらなる緊迫を覚える。

(ショーくん!)

 ショーの危機にカナメはいきり立ち、翼を羽ばたかせて風を起こして、ライを怯ませる。その間に彼女は、リオンに銃口を向けられているショーの救出に向かう。

 だがカナメが駆けつけるよりもリオンが引き金を引くほうが早いと思われた。

「警部!」

 そのとき、ミミがリオンを背後から羽交い絞めにして、ショーへの発砲を阻止する。突然の妨害にリオンが憤慨を見せる。

「ミミ!?・・どういうつもりなのよ!?邪魔をしないで!」

「どういうつもりなのは警部のほうですよ!子供に銃を向けるなんて!」

 声を荒げるリオンに、ミミも負けじと声を張り上げる。

「相手はガルヴォルスよ!今仕留めなければ、また犠牲者が増えるわ!」

「あれはどう見ても人間の子供です!警部、どうか落ち着いて・・!」

「ミミ!」

 絶叫染みた声を上げて、リオンがミミの腕を振り払って、銃を持った手で殴りつける。殴られたミミが横転し、口から血があふれる。

「こんなときに何を寝ぼけてるのよ!ガルヴォルスは人の形を取る!見た目に騙されるなと、何度も念を押したはずよ!」

 殴られて赤くなった頬に手を当てるミミに言い放つと、リオンは再びショーに銃を向ける。だが助けに飛び込んできたカナメに、ショーは救われていた。

 リオンがとっさに銃を構えるが、カナメの飛行は速く、仕留めることができなかった。

「ちっ!」

 リオンが舌打ちをして乱暴に銃を降ろす。ミミが痛みをこらえて立ち上がると、リオンが彼女を鋭く睨みつける。

「せっかくガルヴォルスを仕留められるチャンスを、お前は・・・!」

 苛立ちを抑えられないリオン。ミミはそんな彼女の考えに対して疑念を抱くようになっていた。

 そこへ人間の姿に戻ったライが近づいてきた。

「アンタ、オレがアイツとやり合ってる間に、ショーってヤツを1人で仕留めようとしたのかよ・・?」

 ライが憮然とした態度で言いかけると、リオンがさらに怒りを募らせて振り返る。だがライはその憮然さを崩さない。

「オレはガルヴォルスを恨んでいる。アンタとこうして組んでるのは、別にアンタに花を持たせるためじゃねぇってのを忘れんなよ。」

 ライはリオンに言い放つと、きびすを返してこの場を離れていく。彼の言葉に腹が立ったが、リオンはあえてその怒りを抑えることにした。

(まぁいいわ。ガルヴォルスを始末してくれることに変わりないんだからね。)

 リオンは不敵な笑みを浮かべて、胸中で野心を募らせた。

 

 ライとリオンの猛襲から逃れ、カナメとショーは人気のない高架下に身を潜めた。カナメはショーにただならぬ様子に緊迫を解けないでいた。

(傷の治りが遅い・・普通の弾を撃たれたんじゃない・・・こうなったら・・)

 カナメは意識を集中し、背中の翼を広げる。その翼から羽根の矢が1本放たれ、ショーの体に刺さる。すると苦痛を浮かべていたショーが徐々に落ち着きを取り戻していく。

 スワンガルヴォルスであるカナメの広げる翼にある羽根は、彼女の意思によって効果が異なる。息の根を止める破壊だけでなく、傷を一気に治癒する回復の効果も備えている。

 やがて左肩の傷も白い弾丸の毒も消えて、ショーが安堵を浮かべる。

「痛みがなくなってく・・お姉ちゃん、これって・・」

「うん。これで傷も体の中の悪いものも消えているはずよ。」

 両手を何度か軽く握ってみせながら自分の体の感覚を確かめるショーに、カナメが微笑んで答える。

「・・ありがとう、カナメさん。助かったよ・・・」

「いいのよ、ショーくん。言ったでしょ?私があなたを守るって。それに・・あなたのような子に銃を向けるなんて・・リオン、許せない・・・」

 ショーの感謝の言葉を受け入れながら、カナメはリオンに対する憎悪を募らせていた。

「とにかく、どこか休める場所を探さないと・・ここでは落ち着けない・・・」

 カナメの言葉にショーが頷く。彼女は落ち着ける場所を探して思考を巡らせて思い当たる場所を模索する。

「とにかく私の家に行きましょう。そこなら私の知り合いにも連絡が取れるから・・」

「分かったよ。お姉ちゃんに任せるよ。」

 カナメの言葉にショーが再び頷く。2人は一路、彼女の家に向かうことにした。

 

 ウェイトレスの仕事をこなしていたレナとルナ。だがライとカナメが来ないことに、レナは不満を覚えていた。

「もう、ライもカナメもどこに行っちゃったのよ。かなりの繁盛だっていうのに、2人揃って連絡がつかないなんて。」

「落ち着いてよ、お姉ちゃん。今文句を言ったってしょうがないよ。」

 不満を口にするレナをルナが言いとがめる。

 そんな店内にあるテレビに、ニュース速報が流れた。そのテレビにレナ、ルナ、カイリが眼を向ける。

 その内容にレナたちは緊迫を覚えた。ニュースによって公開された内容。それはカナメの指名手配だった。

「そんな・・・!?

「カナメが、指名手配・・・!?

 そのニュースにルナとレナが思わず声を荒げる。

「そんなバカなこと・・・何かの間違いよ・・・!」

 必死にこの事実を否定しようとするレナ。そのとき、店にカナメがショーを連れて飛び込んできた。

「カナメさん!?

「カナメちゃん!」

 ルナとカイリが声を荒げる。呼吸を整えようとしているカナメに、レナが切羽詰った面持ちで詰め寄ってきた。

「カナメ、アンタ何をやったのよ!?今アンタ、指名手配されてるのよ!」

「レナ、カイリさん、この子をかくまって!この子も追われてるんです!」

 レナの心配を無視して、カナメが呼びかけてくる。その声にレナたちが、困惑を見せているショーに眼を向ける。

 そのとき、外からパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。カナメの深刻さを感じ取ったカイリは、彼女とショーに言いかける。

「2人とも奥へ!ルナちゃんも一緒にいてあげて!」

「カイリさん・・分かりました!」

 カイリの呼びかけにルナが笑顔で答えると、カナメとショーを奥の部屋に案内した。不満を募らせていたのをこらえて、レナは外に眼を向ける。

 その店の前にパトカーとフェラーリが停車し、降りてきた警官と1人の女性が店にやってきた。

「もしかして、警察ですか・・・!?

 カイリが当惑を見せながら訊ねると、女性、リオンが警察手帳を見せて答える。

「樋口リオンです。白雪カナメはこちらにいらしていませんか?白雪カナメはここで働いていたそうですが?」

「カナメさん?・・いえ、今日は来てないですよ。」

 カイリは淡々と答えると、リオンは眼つきを鋭くして言いかける。

「そうですか。ではもしここに来ましたら連絡してください。大丈夫です。私たちは彼女から話を聞きたいだけなのです・・それでは、失礼します。」

 リオンは警官たちとともに店を後にした。姿が完全に見えなくなったところで、レナとカイリは安堵の吐息をつく。

「ふぅ・・・ルナちゃん、もういいよ。」

 カイリが呼びかけるとルナが、そしてカナメとショーが奥の部屋から姿を見せる。カイリが深刻な面持ちを浮かべて、カナメに声をかける。

「カナメちゃん、話を聞かせてもらえないかな?警察が動くほどだから、尋常ではないことは僕も理解できる。」

「カイリさん・・・すみません。詳しくは言えません。ですが、さっきのリオンという人が、私とショーくんを狙っているのです。」

 カナメは申し訳ない心境でカイリに答える。するとショーが口を挟み、カイリたちに言いかける。

「リオンは身勝手だ・・やっぱりアイツは、自分以外のものを邪魔にしてるだけなんだ・・・!」

「ショーくん・・・カイリさん、すみません。詳しくは後で話しますから・・」

 ショーの心境を察したカナメが、彼を連れて店を出ようとする。だがレナに腕をつかまれて止められる。

「カナメ、もしかしてこれって・・・!?

 レナが聞こうとしていることの内容に気付いて、カナメは小さく頷く。

「カナメ、私も一緒に行く。このままあなたが捕まっちゃったら、私の面目にも泥を塗ることになるからね。」

「相変わらず口が悪いわね・・でも、それだとレナたちにまで迷惑が・・」

「あなたのすることなすことにはいつでもどこでも迷惑してるわ。今こんなことになったって大差ないわよ。」

 困惑を浮かべるカナメに、レナが気さくな笑みを崩さずに言いかける。そこへライが店を訪れてきた。

 店内の騒然とした様子に眉をひそめるライ。その中でショーを眼にして、彼は憤怒を覚える。

(コイツ・・・!?

 思い立ったライは、自分の携帯電話を取り出して電話をかけようとする。だがそれをカナメに止められる。

「あなた、何をしてるのよ!?

「決まってるだろ!コイツを探してるヤツに言っておくんだよ!」

「何、バカなことをしてるのよ!ショーくんは悪い人に狙われてるのよ!」

「コイツはガルヴォルスだ!ガルヴォルスは誰だろうといてはいけないんだ!」

 カナメの呼びかけに反論するライ。その言葉に憤怒して、カナメはライの頬を叩いた。

「ガルヴォルスだったら子供でも切り捨てろって言うの!?あなたがそんなふざけた考えを持ってたなんて、見損なったわ!」

 ライのこの態度に我慢がならなくなり、怒鳴るカナメ。だがライも怒りを募らせて、カナメの頬を叩き返す。

「ふざけてんのはお前だろ!ガルヴォルスを庇ったって、苦しい思いをするのはお前なんだぞ、カナメ!」

「・・どうして・・どうしてそこまでガルヴォルスを憎むの・・ガルヴォルス全員が、あなたが思っているような怪物じゃないわ・・・!」

「ガルヴォルスに肩入れするな!そんなことをしても、何の得にもならない!オレはお前がガルヴォルスに傷つけられるのを見たくないんだ・・・!」

「自分の今の行為が私のためになると、本気で思ってるの!?あなたはガルヴォルスを許せない気持ちを私に押し付けてるだけ!結局は自分主体じゃない!」

 カナメはライの態度に我慢がならなくなり、ついに店を飛び出してしまった。

「あっ!お姉ちゃん!」

 ショーもカナメを追いかけて店を出る。いきり立ったライが追いかけようとするが、カイリに止められる。

「今のは君が悪いよ、ライくん。君は自分の気持ちに真っ直ぐになりすぎるあまり、カナメちゃんを傷つけてしまった・・」

「・・どうして・・どいつもこいつもガルヴォルスの肩を持つんだよ・・・ふざけんなよ・・ふざけんな!」

 激昂したライがカイリの手を払い、カナメとショーを追って飛び出した。

「ライ!・・もう、カナメと揃って、しょうがないんだから・・・!」

 レナは呆れた態度を見せて、カイリに眼を向ける。

「カイリさんとルナはここにいて。3人とも私が連れ戻してくるから。」

 レナはカイリとルナに言いかけると、ライたちを追って店を飛び出した。

 

 ショーとともに店を飛び出したカナメは、近くの小さな公園に来ていた。そこはあまり人が訪れないため、2人はそこでひとまず落ち着くことにした。

 その水飲み場の水でぬらしたハンカチを、ライに叩かれた頬に当てるカナメ。ひとつ吐息をついたところで、彼女はショーに声をかけられた。

「大丈夫、カナメさん・・?」

「ショーくん・・・うん、平気。このくらい、昔に比べたら虫に食われたくらいなものだから・・・」

 心配するショーに、カナメが照れ笑いを浮かべて答える。だがすぐに沈痛の面持ちを浮かべて、物悲しい笑みを浮かべる。

「やっぱり、あなたを自分と重ねてるのかもしれないわね・・」

「えっ・・・?」

「子供の頃、私、ひどい仕打ちを受けててね。それで一時期、人間が信じられなくなってたのよ・・だからショーくんに、私と同じ辛さを感じてほしくないの・・・わがままだったかな、アハハ・・」

 自分の心境を語るうちに苦笑いを浮かべてしまうカナメ。彼女の心のうちを聞いて、ショーは戸惑いを覚える。

 そのとき、カナメは公園内に草木がざわめく音を耳にして、緊迫を募らせる。彼女は公園内に何者かが身を潜めていると感じて、周囲を警戒する。

 そして彼女は、草木の茂みに姿を隠している人影を捉える。

「隠れているんでしょ!?姿を見せなさい!」

 カナメが呼びかけたのを引き金にしたかのように、物陰から続々と武装警官たちが姿を現し、彼女とショーに向けて銃を構えてきた。公園の出入り口には、警官数人を伴ったリオンが立っていた。

「まさか姿を見せてくるとはね。度胸があるというか、バカというか。」

「バカなのはお前だ、リオン!自分の目的のために僕のパパとママを!」

 嘆息をつくリオンに、ショーが憤りを浮かべる。その言葉にリオンも激昂する。

「畜生の分際で威勢だけはいいわね・・・その2人を射殺しなさい!」

 リオンの呼びかけを受けて、武装警官たちがカナメとショーに向けて発砲する。

「リオン、お前は!」

 怒りを爆発させたショーがアルマジロガルヴォルスに変身する。ショーは体を丸めて銃弾を跳ね返すと、警官に向けてプラスティック液を吐きかける。

 警官に付着した液体はすぐに固まり、警官たちを死に至らしめる。ガルヴォルスの脅威に警官たちが後ずさりする。

「怯むな!特殊弾に切り替えなさい!」

 リオンはそんな警官たちに一喝して、ショーに向けて発砲する。カナメは即座にスワンガルヴォルスになって、ショーを抱えて白い銃弾を回避して、そのまま飛翔する。

「逃がさないで!すぐに追いかけるのよ!」

 リオンはカナメたちを追撃するため、乗り込んだフェラーリを走らせた。

 

 カナメとショーを追って街中を駆け回っていたレナ。郊外に差し掛かったところで、彼女は空を飛翔しているカナメを発見する。

「カナメ!?・・こんなところで・・・!」

 声を荒げるレナがカナメを追う。するとカナメを追っているかのように走行するリオンのフェラーリを目撃する。

 リオンがフェラーリを運転しながら銃を撃つ。その白い弾丸がカナメの右翼を貫いた。

「ぐあっ!」

 その銃撃に悲鳴を上げるカナメ。体勢を崩された彼女は、そのまま地上に落下する。

 彼女とショーが落ちたのは、小さな一軒家の屋根の上だった。落下の衝撃で屋根の瓦の一部が砕かれていた。

「カナメさん、大丈夫!?カナメさん!」

 ショーが呼びかけるが、カナメは苦痛にあえいでいてまともに答えることができない。白い弾丸の毒素が彼女の体に侵入し、蝕んでいた。

(体は時期に治ると思うけど、今はまともに動けない・・・!)

 胸中で毒づくカナメ。必死に体を動かそうとするが、その反動で屋根の上から道端に落ちる。

「カナメさん!」

 ショーが叫んでカナメに駆け寄る。そこへリオンが駆けつけ、フェラーリから降りて銃を向けてきた。

「次は心臓か頭に撃ち込んで終わりにするわ!」

 言い放つリオンに対し、ショーが毒づく。カナメは白い弾丸の消毒と回復をまだ終えていない。

 その危機を眼にしたレナが、緊迫を募らせる。

「カナメ!」

 レナがカナメたちに向かって駆け出す。彼女の姿がローズガルヴォルスへと変貌を遂げる。

 リオンが放った弾丸を、レナはバラの花びらの刃を放って切り裂いた。その破裂の直後、リオンとショーがレナに眼を向ける。

「カナメ、しっかりしなさい!こんなところで寝てる場合じゃないでしょ!」

 レナがカナメに駆け寄って呼びかける。するとようやく落ち着きを取り戻したカナメが微笑みかけてきた。

「僕を守ろうとして、あの女の撃った弾の毒で・・」

 ショーが代わりに説明すると、レナが背後にいるリオンに振り返る。リオンは慄然とした態度を見せて、銃口をレナたちに向けていた。

「ガルヴォルスは全員始末されなくちゃならないのよ・・だから大人しく葬られなさい!」

 リオンは怒号とともに白い弾丸を放つ。レナが手を勢いよく振り下ろすと、発せられた衝撃波が白い弾丸を叩き落す。

「ちっ!」

 狙撃を阻まれて舌打ちをするリオン。レナが花びらの刃を放つが、リオンは横に飛び退いてこれをかわす。

 カナメとショーをかばう形になり、レナはリオンに対して拮抗状態を余儀なくされた。

 

 カナメを追って疾走するライ。街外れの細道に入ったところで、彼はリオンと交戦しているガルヴォルスたちを発見する。

「ガルヴォルス・・・群がって好き勝手に・・・!」

 怒りを募らせたライがいきり立ち、ウルフガルヴォルスに変身する。リオンとにらみ合っているカナメに向かって、ライが奇襲を仕掛ける。

 ライが繰り出した拳がカナメに叩き込まれる。毒からやっとのことで解放された彼女には、彼の攻撃をかわすことができなかったのだ。

「ガルヴォルスはオレが倒す・・誰1人、絶対に逃がしたりしない!」

 叫ぶライがカナメに追撃を仕掛けようとする。だがその前にレナが立ちはだかってきた。

「あなたたちは逃げなさい!ここは私が押さえるから!」

 レナの呼びかけに躊躇を覚えるも、カナメは思い立ち、ショーを連れてこの場を離れる。ライが追おうとするが、レナが行く手を阻む。

「アイツは特に許せねぇガルヴォルスなんでな!だが邪魔するって言うなら、お前から始末してやる!」

「やってみたら?やれるもんならね・・・!」

 いきり立つライに対し、レナも激情を見せて衝撃波を放つ。ライは跳躍してかわし、レナに一蹴を見舞う。

 突き飛ばされながらも、レナはライに向けて花びらの刃を放つ。刃はライの頬をかすめていた。

 その2人の戦いを、リオンは不敵な笑みを浮かべてみていた。

(いいザマね・・所詮貴様らはガルヴォルス。不様に共倒れするのがお似合いなんだよ!)

 ガルヴォルスの同士討ちに歓喜して、リオンは眼を見開いてあざ笑っていた。

 

 

次回

第12話「思い出の場所」

 

「やっぱり血はきれいなほうがおいしいね・・」

「パパとママと一緒に、よくここに来たんだ・・・」

「あんなバケモノ連中の好きには、絶対にさせないわ・・・!」

「今度はみんなと一緒に、ここに来よう・・・」

 

 

作品集に戻る

 

TOPに戻る

inserted by FC2 system