ガルヴォルスextend 第15話「死神・かりん」

 

 

 死神の姿をした怪物、デッドガルヴォルスへの変身を遂げたかりん。彼女は驚きを見せつつも笑みを戻すマリオネットガルヴォルスを見据えている。

「夏子さんや他の人たちを元に戻して。でないと、私は・・」

「どうするの?あたしをどうにかしちゃうの?ダメだよ、お姉ちゃん。お姉ちゃんもあたしのお人形さんたちと一緒に遊んでもらうんだからね・」

 ためらいを思わせるかりんの警告。しかし少女は無邪気に笑うだけで、人形たちを操っていく。

 悟は依然として劣勢を感じていた。迂闊に攻撃すれば、操られているだけの人形にされている人たちが傷つくことになる。一気に少女に詰め寄らなければならない。

「それじゃ遊ぼう、お姉ちゃん。」

 少女が指先から伸びる糸を使って、人形たちを操作する。人質と攻撃を両立させれば、相手は手も足も出ない。

 はずだった。

 しかしかりんは素早く飛び込み、その群れを一気に突破する。そして間髪置かずに、驚愕する少女に向けて死神の鎌を振り上げる。

「ゴメンね・・でも、こうするしかないんだよ・・・」

 そして悲痛の言葉を呟きながら、その鎌で少女の体を切り裂く。死神の刃を受けて幼い体から鮮血が飛び散る。

「お姉ちゃん・・・」

 人間の姿に戻っていく少女の体が固まり、そして砂になって崩れ去った。その死にゆく様を、かりんは悔いを見せながら見下ろして、少女の命を奪った鎌を下ろす。

 少女の死によって、操りの糸が切れて周囲に散乱していた人形たちが光を宿し、元の人間に戻っていく。夏子もその呪縛から解放されて、困惑しながらもかりんに振り返る。

 かりんの正体、彼女の生還の謎を知って動揺を隠せなくなる悟と夏子。そして騒ぎを聞きつけて駆けつけた華帆も、かりんの姿に思いつめた表情を浮かべていた。

 3人の見つめる中で、かりんが人間の姿に戻る。その表情も物悲しいものだった。

 重い空気と静寂がこの場を包み込んでいた。その沈黙を破ったのは夏子だった。

「あなたがガルヴォルスだったなんて・・・!?」

 夏子は当惑を抱えたまま、かりんに近づく。かりんは答えることにためらいを見せたので、夏子はあえて肯定と取って話を続ける。

「これで分かったわ。あなたがなぜこうして生きていられたのか・・人並み外れたガルヴォルスだったから、悟くんの攻撃を受けても無事でいられたというわけね。」

 夏子の言葉にかりんは不安を見せる。そんな彼女を見て、夏子は優しく手を差し伸べる。

「安心しなさい。私も悟くんも、あなたを倒そうとは思っていないわ。むしろあなたの味方よ。」

「夏子さん・・・」

 夏子の励ましにかりんは一瞬安堵の笑みを見せるが、すぐに沈痛の面持ちを浮かべる。

「でも、あなたや悟さん、華帆が私を助けてくれても、多分、ガクトは私を許さないかもしれない・・・」

 かりんの言葉に、夏子と悟の表情も曇る。彼らが脳裏によぎらせている1番の問題だった。

「アイツはガルヴォルスのことを心の底から憎んでる。これでガクトとの犬猿の仲がさらに悪化しちゃうかな。アハハ・・・」

 空元気を見せるかりんだが、その様子が悟も華帆も痛々しく感じさせていた。ガクトのことを1番に想っていたのは彼女だった。

 しかし彼が、かりんがガルヴォルスだと知ったら。それが新たな最悪の事態への不安となっていた。

 思いつめているところへ、華帆がかりんに歩み寄ってきた。

「大丈夫だよ。ガクトはそんなに心無い人じゃないよ。それはかりんが1番よく分かってるはずだよ。」

「華帆・・・」

 華帆に励ましの言葉をかけられ、かりんは再び当惑する。

「あたしはかりんの親友だよ。かりんの考えていることは何でもお見通し。あなたがガルヴォルスだったってこともね。」

「えっ・・知って、いたの・・・!?」

「もちろんだよ。美代子さんと利樹くんが知っているかは分からないけど。」

「・・怖くないの?・・だって、私はガルヴォルスで、みんなを傷つけるだけの力を持ってるんだよ・・・」

 華帆の優しさに、かりんは不安を隠せずにいられなかった。しかし華帆は戸惑う様子さえ見せなかった。

「それでもあたしは、かりんのことを信じてる。たとえガルヴォルスでも、かりんはかりんだよ。」

「華帆・・・ありがとう、華帆・・・」

 かりんは華帆にすがりつくように寄り添った。彼女を華帆は優しく抱きとめる。

 しかし、ガクトに対する不安を、この場にいる彼女たちは拭えずにいた。

 

 悟を守ろうとガクトに立ちはだかるサクラ。しかしガクトはガルヴォルスになろうとしながら、臨戦態勢を取っていた。

「あなたは私を殺せない。人間である私を傷つけられない。」

「できるさ・・もしもお前がアイツを、ガルヴォルスをかばおうとするなら、オレも覚悟を決める・・・!」

 ガクトは歯を強く噛んで、覚悟を見せ付ける。しかしサクラには、動揺と迷いを隠そうとしているようにしか見えなかった。

「できないよ。だってあなたは人間だから・・私たちと同じ。人の心を持ってるから・・・」

 微笑みかけるサクラの言葉に、ガクトの心が揺らぐ。

「体はガルヴォルスでも心を持っていれば、その人は人間だよ。あなたも、悟も・・」

「違う!」

 ガクトがサクラの言葉をさえぎって、ついにガルヴォルスに変身する。竜に似た怪物の姿に、サクラは動揺しながらもすぐに真剣な面持ちに戻る。

「アイツを信じたせいで、かりんは死にかけたんだぞ!お前もいつか裏切られて、傷つけられることになるぞ!」

「悟は誰かを裏切るような人じゃない!それに悟に傷つけられるなら、私は何もかも受け入れられる!」

 悟を信じ抜くサクラの言葉を否定しようとして、ガクトは剣を具現化し、その切っ先を突き立てる。刀身は真剣に見据えてくるサクラの顔の横をわずかに外していた。

 あくまで悟を信じてガクトに屈しようとしないサクラ。その心構えを前に、ガクトの心は大きく揺さぶられていた。

 彼女に対して非情になることができず、ガクトは胸を締め付けられるような不快感を抱えたまま、人間の姿に戻る。そして傷ついた体に鞭を入れて、サクラとすれ違うところで声をかける。

「どうしてオレが、ガルヴォルスを憎んでいるかを教えてやる。オレの家族は、ガルヴォルスに殺されたんだ。」

「家族を・・・!?」

 語りかけるガクトにサクラが振り返る。

「パーキングエリアでのガルヴォルスの起こした事件は知ってるんだろ?オレの家族はそこで殺された。死神の姿をしたガルヴォルスにな!」

「死神・・!?」

「はっきりと姿を見たわけじゃねぇが、持っていた鎌は、死神が持っているようなものだった。オレはそのガルヴォルスを含めた、全てのガルヴォルスを倒す。そのために今までこの力を使って戦ってきたんだ。」

 ガクトの復讐心を知って、サクラは動揺を隠せなくなった。しばし考えを巡らせてから、彼女は再び口を開いた。

「事件のことは知ってて、いろいろ調べてるんだけど、まだその犯人は特定できてないわ・・」

「そうか・・・」

 サクラの返答にガクトは呟いてから、この廃工場を離れていく。

「待って。どこに行くの?まさか悟のところに・・!?」

 そんな彼をサクラが呼び止め、彼は足を止める。

「いや、オレはとりあえず“セブンティーン”に戻る。みんないろいろ心配かけてるだろうからさ。」

 彼女に視線を向けるガクトの顔には苦笑が浮かんでいた。するとサクラも安堵の笑みを浮かべて頷く。

「それなら私も一緒に行かせて。かりんさんやみんなにもいろいろ話を聞きたいからね。」

 ウィンクをしながら、サクラがガクトの横に並ぶ。一瞬腑に落ちない面持ちを見せるが、ガクトは彼女と同行することを受け入れた。

 

 かりんたちのことが気がかりになり、店を飛び出した利樹。彼はいつしか街中の雑踏の中に入り込んでしまっていた。この人だかりの中から特定の人物を探し出すことは困難なことだった。

「しまったぁ。こんなところじゃ、とてもお姉ちゃんたちを探し出せないよ・・」

 利樹は大きくため息をついて、ひとまず人気の少ないビルの前まで避難する。そこで一息つきながら、人ごみの中からかりんたちを探す。

 そのとき、利樹の影が不気味に伸びたような変化を見せた。ビルの窓ガラスにきらめいた輝きも含めて、その出来事があまりに一瞬だったため、利樹当人も周囲にいた人たちも全く気付かなかった。

「休憩終わり。さて、ここから少し離れたところを探してみよう。」

 利樹は自分に言い聞かせてから、再びかりんたちの捜索を始めた。

 この一瞬の出来事が何だったのか、何を意味しているのか。利樹は何も知らずに、何らかの洗礼を受けていた。

 

 かりんがガルヴォルスだったという驚愕の真実を知った悟たち。困惑が消えない心理状態のまま、彼は自分の体の状態を確かめていた。

「ふう・・何とか体の傷は消えたみたいだ。あと少しで完治しそうだ。」

 自分の体の回復を察知して、悟は安心する。

「そういうのが1番危ないんだからね。ムチャは禁物よ。」

 そこで夏子に念を押されて、悟は苦笑を浮かべる。その笑みを消して、彼はかりんに振り向く。

「ところでかりんさん、これからどうするつもりなの?」

 悟の問いかけに、かりんは再び緊迫を覚えていた。

「君をガルヴォルスだと分かった以上、今までどおりの生活ができるのか、不安なところが強い。華帆さんは君のことを信頼し、オレも先輩も気持ちの上では君を信じたいとは思ってるけど・・」

 ガルヴォルスのことを快く思っていない人がいることが否めないのが現状である。その中で人として生きていこうとすることは、生半可なことではない。

 かりんのこれからのことについて不安になっていたのである。

「分かりません。これからどうしたらいいのか・・華帆や悟さん、みんなで決めることでもあるから・・」

 不安の色を見せまいとしながらかりんは言いつける。悟も華帆も夏子も、彼女を受け入れようという気持ちに変わりはなかった。

「何なら、事務所のほうに来る?あなたのこと、ちゃんと保護するからね。」

「いいえ・・夏子さんたちに迷惑をかけるのは・・・」

 優しく招きいれようとさえ思っている夏子に、かりんは苦笑いを浮かべる。悟も小さく笑みをこぼしていた。はじめに彼のガルヴォルスの姿を見せたときのように、サクラも彼女を受け入れてくれるだろう。

 そのとき、彼はこちらにやってくる1人の女性に眼が留まる。黒をメインとしたレディーススーツを身に付けていて、切れ長なメガネを右手の人差し指で軽く上げる仕草を見せていた。

「上級レベルのガルヴォルスの動向をうかがってきたのですが、報告を入れた直後に倒されてしまうとは・・」

 女性が一瞬落胆の表情を見せるが、すぐに真剣な眼つきに戻る。

「でもそれ以上の力を持ったガルヴォルスを見つけることができました。でも、一応はその力、直に確かめさせてもらいます。」

 身構える女性の顔に紋様が走る。

「まさか、ガルヴォルス・・!?」

 悟が身構えたところで、女性の姿が異様な怪物へと変身する。頭部と両肩には相手を魅了させるほど綺麗なアネモネの花が開いていた。

「先輩、かりんさんと華帆さんを!」

 悟がガルヴォルスに変身して、女性、アネモネガルヴォルスに立ち向かっていく。

「あなたの相手をするつもりはないのですが・・仕方ありませんね。」

 女性は再び落胆のため息をついてから、悟に対して身構える。その手の指の間には、黄緑色のトゲが挟み込まれていた。

 そのトゲを悟に向けて放つが、彼はこれを跳躍してかわす。そこへ女性が鞭を振るい、悟の足に巻きつけて捕らえる。

「何っ!?」

 虚を突かれた悟が地面に叩きつけられる。そこへ女性が左手をかざすと、その手のひらから黄色いガスが噴出される。

「毒花粉か!?吸ったら・・・うぐっ!」

 悟は毒づいてとっさに口を手で押さえる。彼が察したとおり、まかれたこの花粉には、精神をかき乱す効果を備えていた。

(くっ!少し吸ってしまったか・・考えがまとまらなくなってきた・・・!)

 広がっていく花粉から抜け出たものの、悟は花粉の毒に犯され始めていた。花粉の霧が晴れたその先で、女性が平然とした態度で振り向いてきた。

「なかなかの動きですが、この毒花粉をわずかでも吸ってしまった以上、あなたの勝機は著しく減退しています。諦めることをお勧めします。戦意を失くした相手を、私は追撃するつもりはありません。」

 淡々と告げる女性が、視線を当惑しているかりんに移していた。

「ダメだ・・かりんさんには手を出させない・・・たとえこの体が傷つこうとも、オレはみんなを守りぬく・・!」

 言うことを聞かなくなってきている体を起こして、悟は完全と女性の前に立ちはだかる。すると女性はため息をつく。

「あまり懸命な判断とは言い難いですね。私の考えに反しますが、止むを得ません。とどめを刺させていただきます。」

 女性は黄緑色の長い槍を出現させて、その切っ先を地面に突き立てる。するとその部分の地面が灰色に変色する。

「この槍には石化の毒が含まれています。せめて楽に終わらせてあげましょう。」

「悟さん!」

 悟の危機にかりんがたまらず飛び出し、ガルヴォルスに変身する。

「そちらから向かってきましたか。」

 女性が標的をかりんに移して、槍を構えて彼女の攻撃に備える。具現化されて振り下ろされた死神の鎌をかわしつつ、その槍を突き出す。

 それをかりんは鎌を回転させて槍を受け止め弾き返す。そして再び鎌を振り下ろす。

 槍を叩き落され、毒づきながら女性は後退する。間合いを取ったところで、2人は互いを見据える。

「さすが上位レベルのガルヴォルスですね。」

 かりんの力を賞賛しながら、女性は微笑をもらした。

 

 「セブンティーン」に向かう途中、ガクトはサクラから缶コーヒーをおごらされていた。しかもそれがホットだったため、彼は息を吹きかけて冷ます羽目になった。

「ゴメンなさい。冷たいのだと体に毒だと思ったんだけど、まさか猫舌だったなんて・・」

「気にすんな。オレのためにやったことなんだろ?」

 謝るサクラに言い返しながら、ガクトはコーヒーを冷ましていた。

 そのとき、川の向こうで轟音が轟き、ガクトとサクラが振り返る。

「今の爆発・・!?」

「まさか、ガルヴォルスが・・!」

 サクラが驚き、ガクトがとっさに駆け出した。サクラも慌しく彼を追いかける。

 しばらく走り抜けたところで、ガクトが足を止め、サクラもとっさに立ち止まる。眼の前にいる人物に、ガクトが眼を見開いていた。

 対立する2人のガルヴォルスのうちの1人、死神の姿を見据えて。

「アイツ・・・!?」

 ガクトの脳裏に、息絶えていく妹、久恵の姿が蘇る。その命を奪った死神が眼の前にいる。

「お前が久恵を・・オレの家族を!」

 憤怒をあらわにしたガクトが飛び出す。顔に異様な紋様が浮かび、ドラゴンガルヴォルスに変身する。

 竜の怪物の乱入に気付いたかりん。突進を受けながらもしっかりと受身を取っていた。

「ついに見つけたぞ・・オレの全てを奪ったお前を!」

 ガクトは叫びながらかりんを突き飛ばす。そしてえん曲の剣を出現させて振り下ろす。

 それをかりんが死神の鎌で受け止める。しかしガクトは力押しでねじ伏せようとする。

「お前はオレが倒す・・今日、ここで!」

 いきり立ったガクトが鎌ごとかりんを弾き飛ばす。体勢を立て直しながら、かりんも反撃に転じようとする。

「やめろ、ガクト!彼女は・・!」

(ガクト!?)

 そこへ飛び込んできた悟の叫びに、かりんが動揺をあらわにする。戦意を揺らいでいる彼女だが、怒りに駆られているガクトにはその様子が見えていなかった。

「絶対に逃がさない!これ以上、お前には誰も傷つけさせない!」

 叫ぶガクトが別形態へと変身する。そして眼にも留まらぬ動きで、迷っているかりんに攻撃を仕掛ける。

 動きが速いはずのかりんだが、相手がガクトであることを知ったため、攻撃も回避もままならなくなっていた。

 連続攻撃を受けて、地面に叩きつけられるかりん。砂煙を舞う中で、彼女が仰向けに倒れる。

 その眼前に、ガクトが戦意を研ぎ澄ましたまま着地する。体力の消耗を避けるため、はじめの形態へと戻る。

「もう終わりか・・何にしても、これで終わりだ・・・!」

 低い声音で言い放って、ガクトが剣の切っ先をかりんに向ける。

「待て!」

 そこへ悟が切羽詰った面持ちで呼びかける。ガクトがゆっくりと彼に振り返る。

「そのガルヴォルスはかりんさんだ!やめるんだ、ガクト!」

「やっぱ生きてたか、悟。そのガルヴォルスがかりんだって?バカなこと言ってんじゃねぇよ!」

 悟の言葉を突き放し、ガクトは全く聞きいれようとしない。

「コイツはオレの仇だ!オレの家族を殺した、死神のガルヴォルスだ!」

 その言葉に悟だけでなく、夏子も華帆も、ガクトを追いかけてきたサクラも驚愕する。かりんこそが、パーキングエリアで事件を引き起こしたガルヴォルスだという。

「オレはコイツを倒すためだけに、今まで生きてきて、この呪われた力を使って戦ってきたんだ!コイツを倒した後は、悟、お前を倒すからな!」

 悟に敵意を見せつけた後、ガクトは視線をかりんに戻す。

(コイツを倒せば・・久恵・・みんな・・・)

 憎しみと悲しみを思い返しながら、ガクトが剣を高らかに振り上げる。

 そのとき、死神のガルヴォルスが人間の姿に、かりんの姿に戻る。その瞬間にガクトは愕然とし、振りかざした剣を振り下ろせなくなる。

「そんな・・・!?」

 どういうことなのか分からなくなり、ガクトは混乱し持っていた剣を手から落とす。完全に戦意を失い、人間の姿に戻る。

「ガクト・・ホントにガクトだったの・・・!?」

 おもむろに立ち上がったかりんも、ガクトの正体に動揺を隠せなかった。互いに信じられないような眼で見つめ合っている。

「かりん・・・お前が・・オレの家族を・・・!?」

 ガクトが困惑を見せたまま、必死に言葉を振り絞る。かりんもどうしたらいいのか分からず、体を震わせる。

「ガクト・・・私・・私・・・」

 どうにもならなくなったと思ったかりんは、たまらずガクトに背を向けて駆け出した。驚愕にさいなまれて、ガクトはこの場を動くことができなかった。

 

 

次回

第16話「過去の大罪」

 

「私が・・ガクトの家族を・・・」

「やっぱ、アイツはオレを騙してたのか・・・!?」

「君たちを私たちの同士として迎え入れたいのですが?」

「やめろ、ガクト!」

「オレはかりん、お前を殺す!」

 

 

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