ガルヴォルスExbreak

第22話「天魔の交わり」

 

 

 シュラやヴォルスレイの残党を追って、ガイは前進を続けた。怒りと憎しみに囚われている彼は、ドラゴンガルヴォルスになったまま移動していた。
「な、何だ、アレは!?」
「怪物!?」
 周りにいた人々がガイを見て恐怖する。彼らから避けられても、ガイは気に留めていなかった。
(近くにヴォルスレイの気配がする・・シュラが部隊をまとめているのか・・・)
 ガイはヴォルスレイのメンバーの居場所を捉えて、その方向へ移動をした。

 マサキたちと分かれたシュラは、ヴォルスレイの他の部隊と連絡を取っていた。
「ヴォルスレイ本部は壊滅・・バサラさんも亡くなられました・・・」
“バサラ様が!?・・そんなバカな・・・!?”
 シュラからの報告を聞いて、アルトが愕然となる。
「もはや私たちでは手に負えません。周囲に被害が出ないよう、人のいない場所で身を潜めます。」
“しかし、竜間ガイをこのまま放置するわけにはいきません!一般人に危害を出す可能性もあるのですよ!”
「彼の狙いは私たちヴォルスレイです。私たちが街にいることこそ、被害を増やすことになります・・・!」
“・・・分かりました・・部隊を引き上げ、移動します・・・!”
 シュラに強く言われて、アルトは渋々聞き入れた。彼との連絡を終えて、シュラが肩を落とす。
「みなさんのために、私たちは身を隠す・・これが最善の選択ですね・・・」
 自分に言い聞かせるように呟き、シュラも移動をした。
(マサキくんとツバサさん、無事でしょうか・・強いガルヴォルスですから、ガイくん相手でも簡単にやられることはないと思いますが・・・)
 マサキたちのことを心配しながら、彼は車を走らせた。

 ガイとの戦いで傷つき倒れたマサキ。彼を救おうと、ツバサが力を振り絞る。
 ツバサからあふれる光が、マサキの体に入り込んでいく。
「マサキ・・・」
 ツバサがマサキを抱きかかえて、エンジェルガルヴォルスとなる。彼女は背中から翼を広げて飛翔した。
 ツバサは今住んでいる自宅の自分の部屋に、ベランダから入った。同時に彼女は元に戻って、マサキをベッドに横たわらせた。
「マサキ・・・傷は塞がってきたけど、体力が落ちている・・もっと力を込めないと・・・!」
 マサキの状態を確かめて、ツバサが心配を募らせる。
「直接、マサキの体を温めないと・・・!」
 ツバサが息を呑んでから、マサキの上着を脱がせてから、自分の服を脱いで寄り添った。彼女は肌と肌を合わせて、マサキを温めようとしていた。
(温かさだけじゃない・・私の力を、直接マサキに送ることができる・・・!)
 ツバサがマサキを抱きしめて、自分の力を送り込んでいく。
(絶対に・・絶対にマサキを助ける・・・!)
 マサキへの想いを込めて、ツバサは持てる力を注いでいった。

 逃げ出す人々を目に留めることなく、ガイはシュラたちを追って前進を続けていた。その彼の前に警官が数人駆け付けて、銃を構えた。
「止まれ、怪物!大人しくしないと撃つぞ!」
 警官がガイに向けて警告する。ガイが足を止めて、彼らに鋭い視線を向ける。
「オレの邪魔をするな・・オレは敵を始末しているだけだ・・・」
 ガイは低い声で言って、再び歩き出す。
「止まれ!止まれと言っている!」
 警官が怒鳴って銃を撃った。射撃を右肩に受けて、ガイが立ち止まる。
「邪魔をするなと言ったはずだ・・これ以上やると、容赦しないぞ・・・!」
 ガイが警官たちを睨みつけて、地面を強く踏みつけた。その力に警官たちが脅威を覚える。
「我々に従え!でなければさらに当てるぞ!」
 警官が警告すると、ガイが彼らに振り向いて怒りをあらわにしてきた。
「お前たちも・・そんなにオレの敵になりたいか!」
「撃て!」
 怒鳴るガイに向けて、警官が銃を連射した。ガイが殺気と共に衝撃波を発して、弾丸を押し返した。
「何っ!?」
 驚愕する警官が数人、跳ね返った弾丸を体に受けて倒れた。
「バケモノだ・・銃弾を跳ね返すほどの力を持っているとは・・・!」
 生き残った警官がガイの力に脅威を感じて、恐怖を覚える。
「オレの邪魔をするなら命はない・・いい加減に理解して大人しくする以外に、生きる術はない・・・!」
 ガイが鋭く告げてから、改めて歩き出す。
「全く歯が立たない・・しかも、下手に手を出すべきではないのかもしれない・・・!」
 彼を追う意志も曲げられて、生き残ったはその場に崩れるように座り込んだ。

 マサキを助けようと懸命になるツバキ。彼女はマサキに寄り添ったまま、眠りについていた。
 そして先に目を覚ましたのはマサキだった。
「ここは?・・オレは、いったい・・・?」
 マサキが体を起こして、記憶を呼び起こす。
「ツバキ?・・・えっ!?」
 ツバキがそばにいることに気付いたマサキだが、彼女が裸になっていることに驚く。
(何でこんなことになっているんだ!?オレ、何かしたのか!?)
 マサキがツバキから目を背けて動揺する。
「うっ!」
 そのために体に力を入れた瞬間、マサキは傷の痛みを感じて顔を歪めた。
(オレは、ガイと戦って・・そのときの傷か・・・!)
 彼はガイとの戦いを思い出し、そのときに深手を負ったことも理解した。
(でも傷の治りが早い・・ツバサが治してくれたのか・・・!)
 マサキがツバサに視線を戻して戸惑いを感じていく。
「マサキ・・目が覚めたのね・・・」
 ツバサも目を覚まして、マサキに声を掛けてきた。
「ツバサ・・・オレを助けてくれたんだね・・・」
「うん・・体の傷は、塞がったみたいだね・・・」
 マサキが体のことを聞いて。ツバサが頷いた。
「だけど、何でオレたち、裸になっているんだ・・・!?」
「回復させるだけじゃ完治しなくて・・体を温めないといけないと思って・・・」
「それは助かったけど・・裸になって、ツバサは大丈夫だったのか・・・!?」
「裸・・でも、気にしている場合じゃなかった・・・」
 マサキに言われて、ツバサが自分の体を抱きしめて答える。
「オレは見ないから、今のうちに服を着るんだ・・オレもその後に服を着るから・・・」
 マサキがツバサに背を向けて呼びかける。するとツバサがマサキの背中に寄り添ってきた。
「ち、ちょっと、ツバサ・・・!?」
「ゴメン、マサキ・・でも、このまま一緒にいさせて・・・」
 動揺を膨らませるマサキに、ツバサがお願いをする。
「ジンボーのみんなが傷ついて、ヘイゾウさんとララだけになって・・マサキまで傷ついて・・・」
 ツバサが悲しみを吐露して、マサキもジンボーが襲われたときのことを思い出して、絶望を感じていく。
「あなたまでいなくなったら・・私・・・!」
 悲しみと辛さを募らせて、ツバサがすがりつくようにマサキを抱きしめる。
「いなくならない・・オレがいなくなったら、オレの仲のいい人が悲しむから・・・」
 ツバサの抱きしめている腕に優しく手を当てて、マサキも正直な思いを言う。
「その仲のいい人の中に、私もいるよね・・・?」
「あぁ・・もちろんだ・・・!」
 ツバサが聞いて、マサキが小さく頷いた。
「ありがとう・・嬉しいよ、マサキ・・・」
 ツバサが嬉しくなって、マサキに感謝した。
「マサキ・・・今は一緒にいて・・私のこと、好きにしていいから・・・」
 ツバサがすがりついて、マサキが戸惑いを募らせる。
「色々なことがありすぎて・・考え事をすると、辛いことを考えてしまうから・・・」
「オレもだ・・・オレも、同じ気持ちだよ・・・」
 気持ちを言うツバサに、マサキも本音を口にした。
「マサキ・・・」
 戸惑いを浮かべるツバサに、マサキが振り返った。
「オレも、今は考えるのが辛い・・向き合わないといけないのも分かっているけど、今は・・・」
「うん・・気持ちを切り替えるのは、後でいいよね・・・」
 不安を口にするマサキの思いを、ツバサが受け止める。
「マサキ・・・」
「ツバサ・・・」
 ツバサとマサキが見つめ合ってから、想いに突き動かされるままに唇を重ねた。ツバサと共に心地よさを感じて、マサキが彼女の胸に触れた。
「あ・・・き・・気分が・・・」
 ツバサが刺激を感じて声をもらす。マサキが込み上げる感情のままに、彼女の胸を揉んでいく。
「うあ・・も・・もっと・・もっと・・・」
「ツバサ・・・ここからどんどんいくよ・・オレも・・もっといきたい・・・!」
 ツバサがあえぎ声を上げて、マサキが彼女の胸の谷間に顔をうずめた。
(すごい刺激・・落ち着かないし、他のことを考えられない・・・)
 胸を打つような刺激と恍惚を感じて、ツバサが呼吸を乱していく。
(やってはいけないことをしている気がしてくる・・でもどうしても、ツバサにすがらずにいられない・・そうしないと、逆にどうかなってしまいそう・・・!)
 ツバサの胸から顔を離したマサキが、感情のままに彼女を抱きしめる。
「もっと抱いて・・もっと、マサキに触れていたい・・・」
 ツバサが声を振り絞り、マサキが彼女の肌に触れていく。
「ぁぁぁ・・・」
 マサキの手が腰や尻、下腹部に回っていって、ツバサが恍惚を強めていく。
(これが、女性の・・触れてはいけないけど・・引き込まれてしまう・・・)
 ツバサの秘所にも触れて、マサキが戸惑いを募らせる。
「いいよ、マサキ・・・あなたのを入れてもいい・・・」
「えっ・・!?」
 ツバサが口にした言葉に、マサキが動揺する。
「きっとすごいのが押し寄せてくるんじゃないかって思っている・・もっと刺激を感じて、イヤなことを忘れさせて・・・」
「そんなことをして、どうなるか分からないよ・・・」
「私は構わない・・マサキが納得できるなら・・・」
「ツバサ・・・それじゃ、いくよ・・・」
 ツバサに促されて、マサキが頷いた。マサキは意を決して自分の性器を、ツバサの秘所に入れた。
「う、うあ・・うああぁぁ・・・!」
 刺激と恍惚が高まり、ツバサがあえぎ声を上げる。マサキも快感を覚えて、そのまま体を揺さぶる。
「あぁぁぁ・・・すごい・・どんどんすごくなってくる・・・!」
 ツバサが恍惚を募らせて、心をも揺さぶる。そのあまりに彼女は目に涙を浮かべていく。
「いけない・・何かが出てきそうだ・・・!」
「マサキ・・・いいよ・・そのまま出していい・・・!」
 戸惑いとためらいを抱くマサキに、ツバサが呼吸を乱しながら言葉を返す。
「ツバサ・・・ダメだ・・もう・・我慢・・できない・・・!」
 あえぐマサキが、ツバサの秘所に入っている性器から精液を出した。その感覚を覚えたツバサが目を見開き、マサキと完全に交わったと思った。
「は・・入ってしまった・・・オレの中のものが・・・」
 性器をツバサの秘所から抜いて、マサキが困惑していく。
「マサキが、私の中に・・本当に、つながったのね・・・」
 ツバサが自分のお腹に手を当てて、マサキと結ばれたと確信する。
「ツバサ・・オレは死にたくないし、オレの知り合いの誰も死んでほしくない・・・」
「私も同じ気持ちだよ・・誰かに命を奪われたくない・・・」
 マサキとツバサが正直な思いを言って、再び互いを抱きしめ合う。
「生きるんだ・・オレたちは生きて、大切な人を死なせないようにする・・・」
「マサキ・・・うん・・・」
「ジンボーの仲間がほとんどいなくなって、ヴォルスレイも壊滅したけど・・オレたちの戦いは終わっていない・・・」
「ガイさんのことだね・・・ヴォルスレイを滅ぼして、今はどうしているのかな・・・?」
「いや、まだシュラさんやヴォルスレイの生き残りはいる。ヴォルスレイを完全に滅ぼさない限り、ガイは攻撃をやめない・・」
「それじゃ、ガイさんはまた、見境なしに攻撃をする・・・」
 マサキがガイの行動を気にして、ツバサが不安を募らせる。
「止めたい・・私としては、ガイさんを止めたいと思う・・」
「オレもだ・・アイツの復讐のために、他の人が巻き込まれるのはダメだ・・・」
「アイツと戦って、どうなるか分からない・・でも絶対に生き残る・・それだけは譲らない・・・!」
「私たちでガイさんを止めて、ララとヘイゾウさんのところへ帰ろう・・・」
 生きて帰る決意を強く持って、マサキとツバサがまた抱きしめ合う。
「オレたちが生きるために・・・」
「みんなを生かすために・・・」
 2人は口付けを交わしてから、抱擁したまま眠りについた。

 ヴォルスレイの残党にガイからの逃亡を指示して、シュラは身を潜めていた。
(みなさん、うまく逃げていればいいですが・・・)
 ヴォルスレイの仲間のことを気に掛けるシュラ。
(マサキくんもツバサさんも、無事でいてください・・あまり無理をなさらぬように・・・)
 彼はマサキたちのことも気にして、戸惑いを感じていく。
 そのとき、シュラは強い殺気が近づいてきているような悪寒を覚えた。
(ガイくんはヴォルスレイへの強い憎悪を抱いていて、私たちをすぐに見つけ出せます・・)
 すぐにガイに居場所を見つけられると考え、シュラは追われるのを覚悟で移動を始めた。

 シュラが動き出したことに、ヴォルスレイを追っていたガイはすぐに気付いた。
(シュラが動いている・・仲間を守ろうとして、オレを遠ざけるつもりか・・)
 ガイがシュラの動きを把握して、目つきを鋭くする。
(他のヤツらはまだつかめていない・・誘いに乗ることになるが、今はヤツを追うしかない・・・!)
 ガイはシュラを追うことを決めて、大きく跳び上がって前進していく。
(たとえ他のヴォルスレイから遠ざけられても、オレはお前たちを滅ぼす・・そのためなら決して容赦はしない・・・!)
 ヴォルスレイへの復讐だけを考えるガイ。
(こんなことをしても、お前は喜びはしない・・むしろオレを軽蔑するだろう・・だけど、こうしなければオレの心は晴れないんだ・・アキハ・・・)
 アキハのことを気に掛けながらも、ガイは復讐を果たす意思を貫こうとしていた。

 夜が明けて窓から朝日が差し込んだことで、マサキとツバサは目を覚ました。
「すっかり眠ってしまったか・・・」
「私たち、イヤなことを忘れようとして、気持ちをよくしようとしていたんだね・・」
 マサキが外を見て呟き、ツバサが微笑む。
「これで何もかもスッキリしたわけじゃないけど・・割り切っていかないと・・・」
「ガイさんを止める・・できれば話し合って分かり合いたいけど・・・」
「ガイは憎しみに憑りつかれて、周りの声に耳を貸さない・・」
「最悪、倒して止めることになるかもしれない・・したくはないけど、その覚悟は決めないといけない・・・!」
 ガイと戦う倒すことになることも予想するツバサとマサキ。
「行こう、ガイを止めに・・それでオレたちの戦いを終わらせる・・・!」
「うん・・・!」
 声を掛けるマサキに、ツバサが頷く。2人は服を着て、再び窓から外を見た。
(ガイはシュラさんたちを追っている・・ヴォルスレイを憎んで、力を発揮しているはずだ・・)
 マサキがガイの同行を推測して、感覚を研ぎ澄ませる。ツバサも続けて集中力を高めた。
「いたよ、マサキ・・この感じ、ガイさんだよ・・!」
 ツバサがガイを見つけて声を上げた。
「オレたちでガイを止める・・そしてオレたちみんなで生き延びて、ヘイゾウさんとララのところへ帰るんだ・・・!」
「うん・・・!」
 マサキが決意を言って、ツバサが頷いた。2人は気を落ち着けてから、外へ出た。

 

 

第23話へ

 

作品集に戻る

 

TOPに戻る

inserted by FC2 system