ガルヴォルスExbreak
第3話「人狼の狩人」

 ガルヴォルスの力の使い方を覚えてきたマサキ。彼の力と成長に期待していくバサラとシュラ。
「なかなかの力だな。ガルヴォルスの中でも上位のレベルだろう。」
 バサラがマサキの力に感心する。
「その彼と共闘できたのです。私たちにとって大きな収穫と言えるでしょう。」
「ヤツをうまく利用することに成功した。しかし我々から離反する可能性もゼロではない。監視は怠るな。」
 笑みをこぼすシュラに、バサラが注意を投げかける。
「それと、あの狼のガルヴォルスの行方は分かったか?」
「現在捜索中です。しかし動き出せば、我々が敷いた包囲網に掛かるでしょう。」
「決して油断をするな。見逃せば取り返しがつかないものと思え。」
「分かっています。」
 バサラからの指示にシュラが落ちつきを払ったまま答える。
(夜倉マサキ、お前の力、利用させてもらうぞ。)
 マサキがガルヴォルス打倒になると思い、バサラは笑みを浮かべていた。
 
 夜が明けた直後に、マサキはジンボーに帰ってきた。
「マスター、ただ今帰りました・・・」
 こっそりと店の中に入って声を掛けるマサキ。すると店の奥からヘイゾウが出てきて、マサキに詰め寄ってきた。
「マサキ・・・今まで何をしとったんじゃ・・・!?」
「すみません・・急にあるところから仕事の誘いを受けちゃって・・面接とかしてる間に時間が経っちゃって・・・」
 叱りつけてきたヘイゾウに、マサキが気まずくなりながら答える。彼はバサラたちやガルヴォルスのことを話さないようにした。
「もちろんこっちの仕事はちゃんとできるように、話はつけてきたから・・」
「そうか・・とにかく、ツバサちゃんたちが来たら、みんなにも謝っておくんじゃぞ。みんなも心配してたんじゃから・・」
「それはもちろん・・・ツバサちゃんとララちゃんを送るのが、みんなに心配掛けちまうなんて・・・」
「全くもってそうじゃな・・・」
 頭が上がらなくなるマサキに、ヘイゾウも頷いていた。
(マサキは自分で行動を初めておる・・どういうことに首を突っ込んでるのか分からんが、今はあえて聞かんことにしよう・・)
 マサキのことを信じて、ヘイゾウは彼から詳しく話を聞こうとしなかった。
 
 マサキによって倒されたヒルガルヴォルスだが、以前に彼が起こした吸血殺人に対する捜査を、テツオたち警察が行っていた。
「獣に襲われたような被害に、血を抜かれた死亡・・おかしな殺人ばかりだ・・何が起こっているんだ、一体・・・!?」
 事件の不可解さにテツオが不満を浮かべる。
「遺体が発見された場所は、どこも人気のない所で、目撃者もいません・・」
 刑事、猿山(さるやま)トモヤがテツオに報告する。
「もっと聞き込みを続けろ。目撃者がいないと決めつけるな。」
「はい!」
 テツオが檄を飛ばして、トモヤが再び聞き込みに向かった。
「ふざけたマネをする犯人が・・必ずしょっ引いてやるからな・・・!」
 テツオが憤りを募らせて、犯人の発見と逮捕への意志を強くした。
 
「みんな、すいません・・心配かけちゃって・・・」
 マサキがツバサたちにも謝って頭を下げた。
「まさかマサキくんが、みんなを心配させるなんてね・・」
 ララがマサキのことを気に掛けて呟く。
「きちんと連絡しないとダメだよ、マサキくん。」
「あぁ・・分かった・・・」
 ツバサからも注意されて、マサキが頷いた。
「さぁ、昨日の分もしっかり頑張ってね、マサキくん。」
 ツバサがマサキの肩に手を乗せて、檄を飛ばす。
「オレの自業自得とはいえ、人使いが荒いなぁ・・」
 マサキがため息をついて、ツバサたちと共に仕事を始めた。
「さて、マサキが戻ってきたから、気を取り直して店を開けるとするかのう・・」
 ヘイゾウも笑みをこぼして、調理の準備に取り掛かった。
 
 この日のバイトを終えて、マサキが休憩室に来て、椅子に腰を下ろした。
「ふぅ~・・今日はマジで疲れた~・・」
 マサキがひと息ついて、大きく肩を落とした。
「お疲れ様です、マサキ先輩。」
 その休憩室に男子、川村(かわむら)アツトが入ってきて、マサキに声を掛けてきた。
「アツト・・お前にも迷惑かけちゃったな・・」
「いや、いいんですよ。先輩の頑張りにオレも刺激されちゃいましたよ。」
 謝るマサキにアツトが気さくな笑みを見せて答えた。
「ま、明日からはこっちは落ち着くかもしれないから、気持ちを切り替えとかないとな・・」
「オレも次もしっかりやって、先輩をサポートしますよー!」
 マサキが深呼吸をして、アツトも意気込みを見せた。
「さて、オレは出るとするか。アツト、お疲れ。」
「お疲れでした、マサキ先輩!」
 帰り支度をするマサキに、アツトが明るく挨拶した。
 
 部隊が包囲網を敷く中、シュラは狼の怪物、ウルフガルヴォルスの正体についても調べていた。
(どんな犯人も足取りというものがある。それを追えば、正体や居場所を突き止められるというもの。)
 冷静にガルヴォルスの足取りを分析していくシュラ。確率や推測も織り交ぜて、彼はウルフガルヴォルスの行動範囲を絞っていく。
(この辺りか・・ここの監視を強化しよう。)
「私です。今から指示する場所への監視を強化してください。マサキさんへの連絡は私がします。」
“了解です。”
 シュラが指示を出して、部隊の隊員が答えた。
「では、私はマサキくんに連絡です。」
 シュラが笑みをこぼして、スマートフォンを取り出した。
 
 ジンボーを後にしたマサキに、シュラからの連絡が入った。マサキがスマートフォンを取り出して、電話に出た。
“マサキくん、今よろしいですか?あなたを襲ったガルヴォルスの居場所を絞れてきました。”
 シュラの話を聞いて、マサキが目つきを鋭くした。
「今は行ける。場所はどこなんだ?」
“案内しますよ。後ろの車に乗ってください。”
 答えるマサキにシュラが呼びかけてきた。マサキの後ろに止まった車に、シュラは乗っていた。
「アンタ、いつの間に!?」
「偶然ですよ。ここを通ったらあなたを見つけたのです。」
 驚くマサキに、シュラが微笑んで答えた。
(マサキさんの居場所も、私たちには手に取るように分かっているのですけどね。)
 マサキも監視の対象としていて、シュラは始めから彼の居場所を捉えていた。
 
 シュラの運転する車に乗って、マサキはウルフガルヴォルスのいる場所へ向かった。
「この辺り、先輩の住んでるマンションの近くだな・・」
 マサキが周りを見て呟く。
「もしかして、マサキくんの同じ大学の生徒の自宅があるところでしたか?」
「あぁ。サッカー部なんだけど、オレをしつこく勧誘してくるんだよなぁ・・」
 シュラが話を聞いて、マサキが肩を落とす。マサキはジロウのことを思い出していた。
「でも、先輩の近くにバケモノが隠れてるなんて、けっこう物騒なことだ・・」
 マサキが悪い状況に気まずくなる。
「この辺りで停車します。この周囲を、私の部隊の隊員たちが監視を続けています。」
 シュラがマサキに言いかけて、車を止めた。
「こ、ここは・・!?」
 シュラとともに車から降りたマサキが、前にあるマンションを見て戸惑いを覚える。
「その先輩の住んでいるマンションだ・・この部屋のどこかに、バケモノが・・・!?」
 ジロウが襲われる危険が高いを思って、マサキが緊張を膨らませた。
「私たちも監視をしましょう。狼のガルヴォルスが動き出すのは、夜になってからですから。」
「いや、すぐに先輩のところへ行かないと・・!」
 待機を呼びかけるシュラだが、マサキは聞かずにマンションの中に駆け込んだ。
「これは・・移動中にきちんと説明したほうがよかったかもしれませんね・・・」
 シュラが肩を落としてから、マサキを追いかけた。
 
 ジロウの部屋に向かって走るマサキ。部屋の近くに来た彼は、廊下でジロウと出くわした。
「せ、先輩!」
「マ、マサキ!?何でこんなところにいるんだ!?」
 マサキとジロウが顔を見合して、互いに驚く。
「もしかして、サッカー部に入る決心ができたのか!?いやぁ、それは嬉しいぞ!」
「いや、その誘いは断ったし、話は終わってますよ・・」
 感動の声を上げるジロウに、マサキが呆れながら言い返す。
「それよりも神木先輩、大変です!このマンションに、あの連続殺人の犯人が隠れているんです!」
 マサキが率直にジロウに事情を話した。
「あの殺人犯が!?・・だけど、何でお前がそんなことを知っているんだ?」
「えっと、それは・・・!」
 ジロウから投げかけられた疑問に、マサキが口ごもる。
「犯人がどういうヤツかも、どこにいるのかも分かってないんだぞ・・それをお前はどうやって・・・?」
「それは、その犯人があなたということですよ。」
 マサキを問い詰めるジロウに言い返したのは、銃を構えたシュラだった。
「何だと!?・・・先輩が、犯人・・・!?」
 マサキがシュラの言葉に耳を疑い、ジロウも息を呑んでいた。
「アンタ、何を寝ぼけたことをぬかしてるんだよ!?先輩はしつこい性格だけど、人を傷つけるようなことはしない!」
 マサキがシュラの言葉に反発する。
「犯人の行方を追跡していました。ある日、その犯人が正体を見せる機会がありました。屋上の陰に隠れて日常に戻っていたようですが、徐々に監視の目を増やしていった私たちから、逃げ切ることはできません。」
 シュラが悠然とした態度を見せて、ジロウに向けて語りかける。
「何でしたら監視カメラの映像でも見ますか?加工も偽装もしていないことは保証します。」
「何なんだよ、アンタは!?警察でもそんな違法捜査、許されないだろ!」
 微笑みかけるシュラに、ジロウが不満の声を上げてきた。
「だいたい、どうしてオレが殺人犯だと思うんだよ!?勝手なこと言ってオレを悪者扱いすると、許さないぞ!」
「自分は犯人ではないと、あなたは言うのですね・・では、やむを得ませんね・・」
 怒鳴るジロウにため息をついてから、シュラが彼に銃口を向けた。
「おい、冗談だろ!?銃で撃つつもりなのか!?」
 ジロウが緊迫を募らせて後ずさりする。
「よせ!そんなことはさせないぞ!」
 マサキがとっさに飛びかかるが、シュラに軽やかにかわされた。
「やめろって言ってるのが分かんないのか!?」
 怒りを燃やすマサキの顔に紋様が走った。
「そこまでです。あなたを始末させていただきます。」
 シュラが改めて銃を構えて、ジロウが身構えた。彼を狙ってシュラが銃の引き金を引いた。
 銃から出たのは銃弾ではなく、まばゆい光と電気のような光線だった。放たれる瞬間、ジロウの顔にも紋様が浮かび上がっていた。
「それは・・・まさか先輩、ホントに・・!?」
 ジロウの異変にマサキが目を疑う。
「まさか本物の銃じゃなかったとはな・・・」
「特殊な電気銃でして、今は閃光を派手めにして、電気の威力を最小限に抑えた。だから仮に普通の人間がこれを受けても、体が痺れる程度で済んだのですけど・・」
 いら立ちを浮かべるジロウに、シュラが持っている銃を見ながら語る。
「もっとも、仮に引っかからなくても、電撃の威力を上げて撃てばいいだけなんですけどね・・」
 シュラが銃の出力を上げて、再び構えた。
「すっかりはめられて、暴かれちまったってことかよ・・・!」
 ジロウがため息をついて、目つきを鋭くした。
「神木先輩、マジなんですか!?・・アンタが、人殺しを・・・!?」
 マサキが困惑しながら、ジロウを問い詰める。
「切り刻む快感が嬉しくなってきてな・・この感触がオレの心を刺激するんだよ・・・!」
 ジロウが語りながら笑みを浮かべる。マサキが見たことのない、不気味な笑みを。
「だからって、人を傷つけたり殺したりしていいことにはならないだろうが!」
「そうしないとオレが抑えられなくなるんだよ!」
 怒りの声を上げるマサキと、いら立ちを膨らませるジロウ。
「上からも下からも周りから勝手なことをして、オレのストレスは増すばかりだ・・こんなときに、オレの体に変化が起こったんだ・・・!」
「それが、あなたが怪物になった瞬間ですね・・」
 体を震わせて語っていくジロウに、シュラが言いかける。
「この爪と牙で人をズタズタにすると爽快になる・・押しつぶされそうなくらいのストレスが一気に減った・・・!」
「そんなことで・・そんなバカげた考えで・・アンタは人殺しをするのか!?」
 高揚感を募らせていくジロウに、マサキが怒号を放つ。
「アンタはしつこい性格だけど、間違ったことはしないと思っていたのに・・みんなのために全力を作る人なのに!」
「やかましい!他のヤツのために、オレが潰されるわけにはいかないんだよ!」
 信頼を破られて辛さを感じていくマサキに、ジロウがいら立ちを爆発させる。彼の体が狼の怪物へと変貌した。
「神木先輩がホントにバケモノに・・ガルヴォルスに・・・!」
 ウルフガルヴォルスとなったジロウに、マサキが息を呑む。
「ここで終わりわけにはいかない・・こうなった以上、マサキ、お前も確実に始末してやる・・!」
 ジロウが掲げた右手を握りしめて、マサキとシュラへ敵意をむき出しにする。
「マサキさん、早くガルヴォルスになってください!」
 シュラがマサキに向かって指示を出す。しかしマサキはジロウと戦おうとしない。
「許せない・・許せないけど、神木先輩を攻撃するなんてできない・・・!」
「しかし向こうは私たちを敵だと認識しています!」
 ためらいを抱くマサキに、シュラが呼びかける。
 ジロウが飛びかかり、マサキを狙って爪を振りかざす。マサキがとっさに動いて、爪を回避した。
「逃がさないぞ・・必ず息の根を止めてやる!」
 ジロウがマサキを睨みつけて、憎悪をむき出しにする。
「やめてください、先輩!こんなこと、間違っています!」
「間違っていようと何だろうと、オレが納得しないとどうにもならないんだよ!」
 説得しようとするマサキに言い返して、ジロウが再び飛びかかる。先ほどよりも彼のスピードが速く、マサキが両肩をつかまれて押し倒された。
「さぁ、ここで息の根を止めてやるぞ・・!」
 ジロウが笑みを浮かべて、右手を構えた。
「マサキさん、抵抗しないと死んでしまいますよ!」
 シュラが投げかけた言葉を聞いて、マサキが死の恐怖を覚えた。
(死ぬ・・このままオレが死んだら、マスターやみんなが悲しむ・・神木先輩を止めることもできなくなる・・・!)
 死ねないという強い意思が、マサキを突き動かした。紋様が走った彼が、黒い怪人へと変化した。
 デーモンガルヴォルスとなったマサキが、ジロウの突き出した爪を素早くかわした。
「やはりお前もオレと同じだったか・・そのお前が、オレの邪魔をするとはな・・・!」
 変身したマサキを見て、ジロウが笑みをこぼす。
「オレはアンタとは違う・・人殺しをして喜ぶような、体も心もバケモノじゃない!」
 ジロウの言葉を否定して、マサキが両手を握りしめる。
「体がバケモノだろうとそうじゃなくても、どいつもこいつもバケモノじみた思考の持ち主ばかりなんだよ!」
 ジロウがいきり立ち、マサキへ爪を振りかざす。マサキが回避して、拳を振りかざす。
「うぐっ!」
 重みのある打撃を体に受けて、ジロウがうめく。
「お・・おのれ、マサキ・・・!」
 激痛に耐えて、ジロウがマサキへの攻撃を続ける。しかし打撃のダメージで彼の動きが鈍っている。
「もうやめてくれ・・優しさのあった先輩はどこに行っちまったんだよ・・・!?」
「これがオレだ・・獲物を狩ってその刺激を味わう・・これが本当のオレだ!」
 マサキの悲痛の声を、ジロウがあざ笑ってはねつけた。
「もう先輩はいないのか・・・アンタは完全に、オレの敵になったのかよ!?」
 怒りを爆発させたマサキが、刺々しい姿に変化した。
「そ、その姿は・・・!」
 ジロウがマサキに脅威を覚えて身構える。マサキがさらにスピードを上げて、拳を繰り出した。
「うぐっ!」
 マサキの拳が体にめり込み、ジロウが目を見開く。さらに強い激痛に襲われて、彼は口から血をあふれさせる。
「お・・おのれ・・・!」
 ジロウが力を振り絞り、マサキの肩に爪を突き立てた。痛みを覚えて顔を歪めるマサキだが、拳に力を込める。
「がはっ!」
 拳が体を貫いて、ジロウが吐血した。マサキが拳を彼から抜いて離れる。
「死ねない・・オレはまだ、狩りを楽しみたいんだよ・・・!」
 ジロウが自身の欲望に突き動かされて、マサキに近づいていく。
「先輩・・・いや・・ジロウ!」
 迷いを振り切ったマサキが、剣を具現化して振り下ろした。真っ二つに切りつけられて、ジロウが鮮血をまき散らして倒れた。
 事切れたジロウの体が崩壊して、マサキたちの前から消滅した。
「そんなに我慢できないものなのかよ!?・・人殺しをしないと、収まりがつかないのかよ・・・!?」
 自分の欲望と殺人を優先するばかりだったジロウに、憤りを抑えられなくなるマサキ。両手を強く握りしめて震えたまま、彼は人の姿に戻った。
「どうしても止められないときに、覚悟を決めないといけないことがあります・・そうしないと、他の人が傷つくことになります・・・」
 シュラが深刻な面持ちを浮かべて、マサキに言いかけた。
「だけど、他に方法があったんじゃないかって・・何とかして先輩を止められたんじゃないかって、思えてならないんだ・・・!」
 ジロウを助けられなかった自分を責めて、マサキが打ちひしがれる。
「それは分かりますが・・今回のような、最悪の場合も頭に入れておかなければなりません・・・」
「だけど・・それで納得しろと言われて、できるわけないだろうが!」
 シュラから忠告をされても、マサキは憤りを抑えることができない。
「・・・今は撤収しましょう・・気持ちの整理はその後に・・・」
 シュラがマサキの肩にそっと手を乗せてなだめる。
「分かった・・・オレはもう、帰らせてもらう・・・」
 マサキが頷いて、1人この場を離れた。心身ともに疲弊していて、彼は夢遊病者のような歩きをしていた。
「ここは任せます。私はマサキくんのケアを・・」
「分かりました。」
 シュラが指示を出して、隊員の1人が答えた。事故処理を行う隊員たちを背にして、シュラはマサキを追った。
 
 シュラの車まで戻ったマサキ。彼はそばの壁にもたれかかって、大きく深呼吸をした。
(オレがこの手で、神木先輩を・・・でも、こうしないと、マスターやみんなが殺されてしまうかもしれない・・!)
 苦悩を深めるマサキが、思わずその場に座り込んだ。
「マサキさん・・・」
 ふさぎ込みそうになっているマサキに、追いついたシュラは深刻さを募らせていた。
 
 
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