月姫 -白夜の月紅-

Episode19「決別の一閃」

 

 

 シエルの心境が気がかりになり、志貴はさつきとともに、彼女のいるマンションを訪れた。志貴はシエルから事前に部屋の番号を聞かされていたため、彼は真っ直ぐにその部屋に向かった。

「確か、この部屋だったはず・・」

 志貴が自信なさげな様子で言いかける。そして部屋のインターホンに手を伸ばそうとした。

「待って、志貴。」

 そこへさつきに呼び止められて、志貴が手を止める。

「どうしたの、さつき・・?」

「・・聞こえる・・シエル先輩の声が・・・何だか様子がおかしいよ・・・」

「先輩が?」

 さつきの言葉に志貴が疑問を投げかける。吸血鬼となったさつきの身体能力は常人のそれを超えており、その聴覚が部屋の中の声を捉えたのだ。

「オレとさつきと有彦以外でここのことを知ってる人で思い当たるのは・・・」

 志貴は思考を巡らせて、思い当たる節を探る。そして彼とさつきが思い当たったのは、

(レナちゃん!)

 志貴がたまらず部屋のドアのノブに手をかける。だが鍵がかかっており、どんなにノブを回してもドアが開かない。

「ダメだ。内側から鍵が・・!」

「志貴、どいて!」

 毒づく志貴に呼びかけて、さつきがいきなりドアに殴りかかってきた。強烈な一撃によって、ドアが部屋の中に吹き飛ばされる。

「お、おい、さつき、これじゃ器物破損になるんじゃ・・」

 志貴が不安を見せるが、さつきはあまり気にしていないようだった。2人が部屋の中に眼を向けると、そこにはシエルに迫っていたレナの姿があった。

 2人の乱入に気付いたレナが体を起こし、2人に鋭い視線を向けていた。

「レナちゃん・・・シエル、先輩・・・!?

 レナとシエルの様子を目の当たりにして、志貴は驚愕を隠せなかった。レナがシエルを拘束して、その裸身を弄んでいたのだ。

「せっかく2人だけの時間を楽しんでたのに・・何でドア壊してまで入ってくるのかな?・・かな・・・!?

 冷淡な面持ちで志貴に問い詰めるレナ。そこへさつきが前に出て、レナに呼びかける。

「シエル先輩に何をしているのよ!?・・手足を縛って、体を無茶苦茶にして・・・!」

 言いかけているうちに、次第に頬を赤らめていくさつき。恥じらいが強まり、徐々に言葉が切り出せなくなる。

「とにかく先輩を放すんだ。こんな縛りつけ、先輩が望んでるはずがない。」

 志貴がレナに呼びかけるが、レナは冷たい視線を向けるばかりで聞こうとしない。

「シエルさんはあたしのものなの。シエルさんが望んでなくても、シエルさんに恨まれても、あたしはあたしのものにしたいのよ・・」

「そんな一方的な・・・君さえ満足すればそれでいいのか!?

 レナの態度に、志貴がついに憤りを覚える。だがレナは臆するどころか、哄笑を上げる。

「いいに決まってるじゃないの!だってシエルさんはかぁいいんだもん。絶対にお持ち帰りするんだから・・」

「そんなわがままをしたって、絶対に人を自分のものにすることはできない!」

「そんなことはない!そんなのはあたしが許さない!」

 志貴に対して感情をむき出しにしたレナが、吸血鬼としての力を発動させる。部屋の中がその衝撃で揺れ出し、志貴とさつきが緊迫を覚える。

「さつき、オレがレナちゃんを引き付けるから、シエルさんを頼む。

「でも、それじゃ志貴が・・」

 志貴の小声での呼びかけにさつきが戸惑いを見せる。

「オレに全裸の先輩を起こせっていうつもりか・・・?」

 恥ずかしがりながらの志貴の言葉に、さつきもたまらず赤面する。そして彼女は彼の言葉を受け入れることにした。

 志貴はレナの動きを見据えながら、かけていたメガネを外し、ポケットからナイフを取り出す。

「直死の魔眼だね。だけどあたしはそう簡単に受けたりしないから・・」

 レナは冷淡に言うと、志貴に素早く詰め寄る。危機感を覚えた志貴がその勢いに押され、そのまま部屋の外に飛び出す。

 死と隣り合わせになっている不快感を覚えながら、志貴は部屋から離れていく。レナも彼を追って部屋から出て行った。

 それを見計らってさつきがシエルに近づき、呼びかける。だが呆然としているシエルは反応を示さない。

 さつきはシエルの手足を押さえている光の輪を外すことを試みる。だがこの輪は高速魔術の一種であり、力任せに外すことができない。

「シエル先輩、起きてください!このままじゃ、志貴が・・!」

 さつきがさらにシエルに呼びかける。感情的になるあまり、さつきは思わずシエルを抱きしめていた。

 その抱擁に、失われかけていたシエルの意識が呼び戻される。その拍子に彼女の眼から涙はあふれ出した。

「さ・・さつき、さん・・・私は・・・」

 弱々しく声を発してきたシエルに、さつきが安堵の笑みをこぼした。

「シエル先輩、気がついたんですね・・!」

「弓塚、さん・・・?」

 呆然としているシエルの裸身に、さつきは制服の上着を羽織る。

「先輩、今、志貴がレナちゃんに追われてて危ないんです。私もすぐに追いかけないと・・」

 さつきがシエルに状況を説明して、志貴を追いかけようとする。そんなさつきの腕をシエルがつかんで、彼女を止める。

「待ってください、弓塚さん。ここは私が・・」

「シエル先輩、ダメですよ。さっきまで呼びかけても反応がなかったんですから・・!」

 志貴とレナを追おうとするシエルに、さつきが声を荒げて呼び止める。しかしシエルは退こうとしない。

「いいえ。今行かなくては行けないのです。遠野くんを助け、さらにレナさんを救い出すことができるのは、私だけなのです・・・!」

「シエル先輩・・・」

 必死に立ち上がろうとするシエルに、さつきは戸惑いを見せる。志貴とレナに対する想いを秘めるシエルに、さつきも心を動かされる。

「分かりました、先輩・・ただし、私も一緒に行きますよ。」

「弓塚さん・・」

 微笑みかけるさつきに、今度はシエルが戸惑いを見せる。

「それと、何か着てから追いかけましょう。いくらなんでも裸で外に出るわけにはいかないでしょう。」

 さつきのこの言葉で、シエルは自分の姿を眼にして頬を赤らめる。自分が全裸であることに、彼女はようやく気が付いた。

 

 殺気に満ちているレナを引き付けていた志貴だが、人気のない草原にたどり着いたところで、貧血によって息が上がってしまっていた。

(こんなときに・・体力が・・・)

 息を切らした志貴が草むらの上でひざをつく。何とか呼吸を整えようとしている彼に、レナが追いついてきた。

「どうやら疲れちゃったみたいだね。これで鬼ごっこはおしまい。」

 レナが冷たい視線を志貴に向ける。彼女の冷徹さと殺気に、志貴は危機感を覚えていた。

「アンタをやっつけた後に、アンタと一緒にいたあの人もやっつけて、それからシエルさんとの時間を過ごすのよ。」

「やめるんだ・・そんなこと、させるわけにはいかない・・・!」

 微笑を見せるレナに反論し、志貴が疲労のたまっている体に鞭を入れて立ち上がる。

「もし君がシエルさんやみんなを傷つけようとするなら、オレは・・・!」

 志貴がナイフを手にして、レナを見据える。正確にはレナを取り巻いている赤い線。線として見えている死の概念を。

「直死の魔眼だね。だけどあたしは受けないよ。」

 レナは言い終わると、素早く動いて志貴を翻弄させようとする。志貴は狙いを定めることができず、力を使うこともできない。

「どうしたの?直死の魔眼を使わないのかな?・・かな・・・!?

 素早く動きながら、レナが志貴に言いかける。

「使わないんだったら、そろそろやっつけに行くから・・」

 そして動きをつかめていない志貴を、レナが背後から突進してくる。その攻撃に志貴がうめき、顔を歪める。

 さらにレナが志貴に追撃を見舞っていく。傷ついていく志貴が倒れ、自力で立ち上がることすらできなくなる。

 そんな彼の前にレナが立ちはだかり、彼の手にしていたナイフを奪い取る。その切っ先を志貴に向けて、彼女は不気味な笑みを浮かべる。

「せっかくだからこれでズタズタにしてから終わりにしてあげる。どんな姿になると思う・・・?」

 レナが哄笑を上げながら、志貴に向けてナイフを振り下ろそうとする。そのとき、そのナイフが突如弾き飛ばされる。

 レナが振り返った先には、アルクエイドの姿があった。アルクエイドの爪による攻撃が、レナの志貴への攻撃を阻んだのである。

「まさかアンタがあたしの前に現れるなんてね・・真祖、アルクエイド・ブリュンスタッド・・」

 レナが冷淡な表情を崩さずにアルクエイドに声をかける。アルクエイドはレナに不敵な笑みを見せる。

「やっぱりアンタ、普通じゃなかったわね。あのときにあれだけの殺気を向けられたら、何かあるって思わないほうが不思議よ。」

「そうなの。それでもいいけど・・シエルさんに牙向く真祖・・・あたしは絶対にアンタを許さない・・・!」

 レナがさらに眼つきを鋭くして、アルクエイドを睨みつける。

「人間から転化したあたしが、本物を打ち破る・・それもいいものだね・・だね・・・!」

 レナは不敵な笑みを浮かべると、具現化させた鉈を手にしてアルクエイドに飛びかかる。アルクエイドは跳躍してその一振りをかわし、後退して着地する。

「いきなり物騒なことしてくれるじゃないの。でもね、私はそう簡単に真っ二つにはならないわよ。」

「そうね。一筋縄じゃいかないみたいね・・それでも、あたしは・・!」

 互いに言葉をかけるアルクエイドとレナ。レナが再び飛びかかり、鉈を振りかざす。

 アルクエイドが再びその一閃をかわすと、その鉈を地面に叩き落す。強く打ち付けられた鉈を引き上げようとするレナだが、引き抜くことができない。

 そこへアルクエイドが爪を振りかざし、レナがとっさに回避する。そこへアルクエイドの追撃が飛び込み、レナが突き飛ばされる。

 横転しつつも体勢を立て直したレナが、苛立ちを見せる。その眼前で、アルクエイドが笑みをこぼして言いかける。

「いくら元教会の代行者だったからって、結局は転び立て。力の制御も利いてないみたいだし、勝負は見えたかな。」

「ふざけるな!あたしはシエルさんを手に入れる!だからあたしは、ここで倒れるわけにはいかないのよ!」

 レナが言い放ってアルクエイドに反発する。その衝動がレナの周囲の草木を揺るがす。

「あたしとシエルさんの時間を、アンタなんかに邪魔されるわけにはいかないのよ!」

 いきり立ったレナが、丸腰ながらもアルクエイドに飛びかかる。だが落ち着いているアルクエイドに簡単に力を打ち破られてしまう。

 再び横転したレナが苦悶の表情を浮かべる。起き上がれないでいる彼女を、アルクエイドが鋭い視線を向ける。

「これでいい加減分かったでしょ?今のアンタじゃ、私に敵わない・・どうしても私の相手をしたいって言うなら、せめて力をコントロールできるようになってからにしなさいよ。」

「う、うるさい!・・アンタなんかに・・アンタなんかに!」

 アルクエイドの忠告を受け入れようとしないレナ。傷ついた体を必死に起こして、アルクエイドと対峙しようとする。

「待ちなさい、レナさん。」

 そのとき、レナを呼びかける声が飛び込んできた。レナとアルクエイドが振り返ると、そこには藍色のワンピースを身にまとったシエルの姿があった。

「悪いけどシエル、この子の相手は私がしてるのよ。邪魔しないでくれない?」

「そうはいきません・・これは私とレナさんの問題。私たちが解決すべきことなのです・・・」

 アルクエイドが声をかけるが、シエルは退こうとしない。シエルの真剣な面持ちを目の当たりにして、アルクエイドがため息をつく。

「分かったわよ、仕方ないわね。」

 半ば呆れた様子を見せながら、アルクエイドがレナから離れる。そしてシエルとすれ違い様に、彼女はシエルに声をかける。

「せっかく私が譲るんだから、ちゃんとけじめ付けなさいよ。」

「あなたに言われるまでもありませんよ。」

 アルクエイドの言葉に、シエルは落ち着いた様子で答える。そしてシエルは苛立ちを隠せないでいるレナに眼を向ける。

「レナさん、あなたは私の罪・・」

 シエルが沈痛の面持ちを浮かべて囁きかけると、レナが憤りを消して戸惑いを見せる。

「私の罪が、レナさんをこんな姿にしてしまったのです・・・」

 シエルが黒い銃身を具現化させて、レナに狙いを定める。その武器の使用は、レナを確実に葬り去ることを示唆していた。

「シエルさん、あたしを倒そうって言うんですね・・・?」

 レナが物悲しい笑みを浮かべて言いかける。一瞬動揺を覚えるも、シエルはすぐに迷いを振り切る。

「これが最後の警告です。レナさん、私と一緒に帰りましょう。」

「シエルさん・・・あたしは・・あたしはシエルさんを・・・!」

 シエルの切実な思いを、レナは受け入れようとしない。シエルの最後の望みがここに絶たれたのだ。

「レナさん・・・」

 悲痛さを口にするシエルの眼からは涙があふれてきていた。レナに向かって飛び出し、その銃身を彼女に突き立てる。

 微笑みかけるレナの体を、黒い銃身が貫いた。そしてさらに銃身から、一条の閃光が放たれる。

 闇を撃ち抜く光が、闇に染まった少女を包み込んだ。シエルが目の当たりにしていたレナは、小さな笑みをこぼしていた。

「うれしい・・シエルさんにこうして抱かれて・・・」

 レナが囁くような弱々しい声でシエルに言いかけてきた。

「レナさん・・私は・・・」

「いいんですよ、シエルさん・・前にも言ったでしょ・・シエルさんに倒されるなら、それでもいいって・・・」

 当惑するシエルに、レナが優しく語りかける。

「あたし、ずっとシエルさんに憧れていたんです。強く優しくかわいく・・そのシエルさんみたいになれなかったのは心残りですけど、シエルさんと一緒にいられたことは、とっても幸せでしたよ・・・」

「レナさん・・!」

「こんなあたしでも・・神様は幸せにしてくれるのかな・・・かな・・・」

 閃光に抱かれて白んでいくレナ。その顔には確かに笑顔が宿っていた。

 

 黒い銃身を発射し、レナは完全に消滅した。銃身を持つシエルの手が震え、彼女はその震えを抑えることができないでいた。

「シエル先輩・・・」

 さつきに支えられていた志貴が、シエルの悲痛さを目の当たりにして、おもむろに呟く。そして彼はシエルに近づいていく。

「遠野くん、私はこれでよかったのでしょうか・・・?」

 シエルが志貴に顔を向けずに弱々しく声をかける。

「私は代行者として、闇の住人となった彼女を葬っただけ・・それは決して間違いではないはずです・・・それなのに・・・」

 涙をこらえることができず、その泣き顔を志貴に見せまいとするシエル。彼女はこれまでにないほどの悲しみを感じていた。

 すると志貴がおもむろに、シエルの肩に優しく手を添える。その接触にシエルは戸惑いを覚える。

「先輩が決めて、覚悟してしたことなんでしょう。それにレナちゃんも不満はなかったのでしょう・・・それなら、シエルさんがそんな辛い顔をしていたら・・・」

 志貴に励まされて、シエルは一途の安らぎを感じる。

「埋葬機関に属する者として、私は常に非情に徹してきたつもりでした。ですが心と優しさを切り捨てることができませんでした。代行者として、あるまじきことです・・・」

「ですが、あなたはオレやみんなに優しさや笑顔を見せてくれた・・あなたは心のある人間です・・・」

 志貴の言葉を受けて、シエルはようやく彼に顔を見せる。すると志貴は微笑みながら手を差し伸べてきていた。

「ひとつ、わがままを言ってもいいでしょうか・・・?」

「はい、何でしょうか・・・?」

 言いかけるシエルに、志貴が疑問を投げかける。

「あなたのことを、“志貴”と呼んでもいいですか?あと、私のことを“シエル”と呼んでください。」

「えっ!?そんな、先輩・・・!」

 シエルの申し出に思わず声を荒げる志貴。だが彼女の気持ちを汲んだ彼は、彼女の申し出を受け入れた。

「分かりました・・努力してみます・・・」

「・・・ありがとうございます、志貴・・・」

 苦笑しながら頷く志貴に、シエルが笑顔を見せた。

「やれやれ、アンタって人は・・・」

 その様子を見て呆れると、アルクエイドはきびすを返してこの場を後にした。

 

 夜の街をビルの屋上から見下ろしていたルナ。そこで彼女は、レナの気配が消えたことに気付く。

(レナが死んだか・・力の性質から、葬ったのはシエルか・・)

 ルナがレナの死を確かめると、再び街に眼を向ける。

(もう十分に血は蓄えた。これで真祖と互角、いや、それ以上の優勢で戦える。)

 ルナは手を軽く握って見せると、音もなく屋上から姿を消した。人気のない細道に降り立ったところで、彼女は戦慄を覚える。

 彼女の周囲には、吸血鬼に転化して理性を失った死徒たちが取り囲んでいた。だがルナは顔色を変えない。

「死徒たちか・・誰を相手にしているのかすら分からなくなっているようだな。」

 ルナが落胆の言葉を口にすると、死徒たちを鋭く見据える。力の発動により、彼女の瞳が紅く染まる。

 彼女の体から紅いオーラがあふれ出す。オーラは刃となって周囲に振りかざす。

 刃は直接は死徒には届いてはいない。だがルナが切り裂いたのは死徒ではなく、死徒の死だった。

 紅い刃と直死の魔眼の併用により、死徒たちが次々と切り刻んでいく。細道は一瞬にして血みどろの通路と化した。

「ムダに力を使わせるばかりか、私の糧にもならない。死徒というものは実に厄介かつ不愉快だ。」

 ルナが不満を口にして、ため息をつく。

「この騒ぎ、やはり貴様の仕業だったか、ロア。」

 そこへ男の声がかかり、ルナが振り返る。その眼前には、不敵な笑みを浮かべているネロの姿があった。

「お前もここに来ていたのか、ネロ・カオス・・」

「久しいものだな、ロア。いや、今の貴様は、ロアの魂を得た別人というべきか。」

 淡々と告げるルナと、笑みを崩さないネロ。

「私はそろそろ戦いに赴くことになるだろう。おそらく、アルクエイドと戦うことにもなりうるだろう。」

「愚かな。真祖の姫の相手は私がする。貴様などに明け渡すつもりはない。」

「勘違いするな。私は相手は誰でもいいのだ。アルクエイドでも、お前でも・・」

 ネロに敵意を見せるルナの眼光が紅く不気味に光る。するとネロが彼女に対してあざ笑う。

「滑稽だな。いくらロアの転生した姿といえど、所詮は小娘。ロアも転生を果たす相手を間違えたようだな。」

「私はロアであってロアではない。それはお前も分かっていると思うが・・・」

 ルナが紅いオーラを解放し、ネロも漆黒の獣たちを彼女に差し向けた。

 

 

Episode20

 

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