少女の恍惚
宝石、あなたの力は分かったわ。
私はその力に1つ、加えたいものがあるの。
怖い思いじゃなく、いい気持ちを感じさせるために。
街の中で有数の資産家である女性、月島レイン。彼女は誠実で真面目な人柄で、街の人からの信頼も厚かった。
その彼女が、ある宝石を手にしてから人生が大きく変わった。
レインは宝石から力を手に入れた。人間では手に入れられるはずのない力を。
それからレインは夜な夜な美女を誘拐するようになった。影や闇に溶け込むような黒ずくめの姿となった彼女は、手に入れた力を使って、次々に美女を手にしていった。
そしてレインは1人の少女、小森アイミを次の標的にした。
レインはその直前に1人の小さな悪魔を捕まえていた。アイミと一緒に暮らしている悪魔、デモである。
「おかしな生き物が私を狙っていたけど・・邪魔だったから捕まえておいたわ・・」
レインがアイミに気絶しているデモを見せつける。壁際に追い込まれているアイミに、レインが迫る。
「観念するのね。あなたは私のものになるのよ・・」
「そこまでよ、連続誘拐犯!」
そこへ声がかかって、レインとアイミが振り向く。その先の建物の上に、1人の少女が立っていた。
引き締まりのあるスーツと機械的な装備で全身を包んでいる少女である。
「あなたは・・?」
「私の名はスパークガール!犯罪の闇を暴く正義の稲光である私が、アンタを成敗する!」
問いかけるレインに少女、スパークガールが言い放つ。彼女の正体はアイミの親友、細川ライムである。
「スパークガール・・確かシャドウレディに挑んで、逆に服を破られて裸を見せていた子のことだったわね・・」
「ぐっ・・思い出したくないことを・・・!」
レインが口にした言葉を聞いて、ライムが恥ずかしさを覚える。
(シャドウレディにももう負けない・・今回もアイミちゃんを助けて、街の平和を守るんだから!)
自分に言い聞かせてから、ライムがレインに飛びかかっていった。
(いいわ。また裸にしてあげる・・いいえ、もっと、もっと解放させるわ・・)
レインが妖しい笑みを浮かべて、ライムを迎え撃つ。
ライムがレインに向けて素早い攻撃を繰り出す。スパークガールとなっている彼女は、手袋や背中の装備、ワイヤーを駆使してのスピードのある戦いを得意としていた。
しかしライムが繰り出すパンチやキックを、レインは軽々とかわしていた。
(ちょっと前だったら驚いていたところなのに、あのスパークガール、動きを見切っているわ・・)
レインはライムに対して余裕を感じていた。
そのとき、レインがライムに注意を向けていると判断して、アイミがこの場から離れようとした。しかしレインは彼女を見逃してはいなかった。
「キャッ!」
レインが伸ばした髪が伸びて、アイミの足に巻きついた。さらに髪は彼女の体を締め上げた。
(アイミちゃん!)
捕まったアイミに注意を向けてしまうライム。その隙を突かれて、彼女もレインに捕まってしまう。
「し、しまった・・!」
「やっと捕まえたわ・・2人とももう逃がさないわよ・・」
うめくライムを見つめて、レインが妖しく微笑む。ライムはレインの手から脱しようと抵抗を見せる。
「往生際が悪いわね・・いつまでも暴れられても困るし・・」
レインがライムに向けて、囁くように言いかける。
「そんなに私のものになりたいというなら、望みどおりにしてあげる・・ここでやらせてもらうわ・・」
レインがライムに対して意識を集中させる。レインに見つめられて、ライムが緊張を膨らませていく。
カッ
レインの目からまばゆい光が放たれた。眼光はライムを包み込むように降りかかった。
ドクンッ
その瞬間、ライムは強い胸の高鳴りを覚えた。その衝動は体全体に行き渡り、彼女は意識が飛びそうになった。
(何、今の!?・・体から力が抜けたみたいな感じ・・・!)
自分が今体感したことに困惑するライム。しかし彼女が感じた感覚は錯覚ではなかった。
ライムの体から淡い煙があふれていた。目を疑った彼女だが、意識が揺らいでいて確かめるどころではなかった。
ピキッ ピキッ ピキッ
突然、ライムが来ていたスパークガールの衣装が崩れだした。衣装も身に着けていた装備も、頭に着けていたヘアバンドもかつらの髪も、ボロボロと崩れ落ちていく。
「な・・何、コレ!?・・何で、服が・・・!?」
なぜ衣装が崩れていっているのか、ライムは分からなかった。しかし変化は衣装の崩壊だけではなかった。
あらわになったライムの体は固く冷たくなり、ところどころにヒビが入っていた。
「体が・・どうなってるの・・・!?」
「あなたも体感するといいわ。普通では絶対に味わえない解放感というのを・・」
困惑するばかりのライムに、レインが妖しく微笑む。
「自分の体が石になっているのは分かるかしら?でもこれは単純に、人から石に変わっているわけではないのよ。」
「な・・何を言って・・・!」
「体の質が人から石に変わっていくものなのよ・・私の力であなたは本当の意味で全てをさらけ出す・・この変化がもたらすのは、石化や脱衣だけではないわ・・」
ピキッ パキッ パキッ
ライムの体の異変が進む。彼女はレインの力によって体の質感が石へと近づいていき、その衝動でスパークガールの衣装が崩れるように引き剥がされていく。
「あ・・ぁぁぁ・・・!」
ライムが突然あえぎ声を上げる。彼女は今まで感じたことのない気分を感じていた。
「感じるようになってきたわね・・人から石に変わっていく変化が、激しい快楽となって駆け巡っていく・・私の力を受けたら、誰もこの快感に耐えることはできない・・」
「何わけの分かんないこと・・・!」
「まだ逆らおうとする気持ちがあるのはすごいわね・・でも逆らうことはない。このままこの快感を味わえばいい・・」
声を振り絞るライムに、レインがさらに微笑みかける。
パキッ
ライムの体がさらに石に近づいていく。スパークガールの衣装は完全に崩れ去り、素肌も素顔も全てさらけ出してしまう。しかし理性を揺さぶられていたライムは、自分の裸を隠そうと考えられず、その場に立ち尽くしていた。
そしてレインの石化が、ライムにさらなる快楽を与えていく。
「ど・・どうして・・・!?」
ライムはさらに愕然となる。彼女の秘所から愛液があふれ出し、石化していっている素足を伝っていた。
「何で出ちゃうの・・・止まって・・止まって・・・!」
「とうとう出てきたわね・・快楽がここまで大きくなったのよ・・イヤだとか違うとか頭で思っても、体はしっかりと感じていっているのよ・・」
呼吸をも乱しているライムを見つめて、レインが微笑んでいく。愛液を止めようとするライムだが、体はいうことを聞かず、愛液はあふれるばかりになっていた。
「怖い思いを感じたままオブジェにするのはいけないからね・・体も心も美しくなって、いい気分にならないと・・」
「こ・・こんなこと・・・こんな・・ことって・・・」
喜びを見せているレインの前で、声を振り絞るライム。彼女の視界に、困惑の表情を浮かべているアイミの顔が入った。
(アイミちゃん・・・)
パキッ ピキッ
同じく困惑を感じていくライムの体が、完全に石になろうとしていた。
「ゴ・・ゴメン・・・タスケ・・ラレ・・・ナ・・・」
ライムがアイミに向けて謝意を示す。
ピキッ パキッ
石化が終わりに近づき、ライムはこの快楽にも取り込まれようとしていた。
(アイミちゃんを助けることもできず、こんなおかしな気分になるなんて・・・イヤ・・こんなの・・・イヤだよ・・・)
心の中で石化と快楽に取り込まれていくことに絶望を感じていくライム。彼女の目からは涙が浮かび上がってきていた。
フッ
その涙があふれた瞬間、ライムの体は完全に石になった。秘所からあふれていた愛液も止まり、彼女は棒立ちのまま、呆然とも無表情とも取れる表情のまま動かなくなった。
「スパークガール!!!」
変わり果てたライムの姿を目にして、アイミが悲痛の叫びを上げる。次の瞬間、彼女が髪に縛られたまま、レインに抱きしめられる。
「今度はあなたが気持ちよくなる番よ。あなたは今は少しだけおとなしくしていてね・・」
レインはそう言ってからアイミを気絶させる。そしてレインは、全裸の石像となって立ち尽くしているライムに視線を戻す。
「シャドウレディを追い詰めたスパークガールも、美しいオブジェとなって私のものになった。そして彼女も気持ちよさに抱かれて解放されている・・」
レインは囁くように言いかけると、ライムの石化した素肌に触れる。完全に石化したライムは何の反応も見せない。
「こうして触られるだけでも、あなたは気持ちよくなれる・・気持ちよくなることを願っている・・」
レインは笑みを強めると、ライムを抱き寄せた。
「スパークガール、あなたもこれからは私のコレクションの中で、美しいオブジェとして過ごしていくのよ・・これからもずっと、いい気分でいるのよ・・」
レインが囁くようにライムに言いかける。
「あなたが正体を暴こうとしていたシャドウレディも、近いうちに解放させてあげるわ・・あなたと同じように、いい気持ちになれるオブジェにするわ・・・」
シャドウレディにも狙いに加えていくレイン。彼女はアイミと石化したライムを連れて、この場を去っていった。
それからレインはライムを自分のコレクションに加えた。彼女の屋敷の中の大部屋には、たくさんの美女の石像が立ち並んでいた。全てレインに石化された美女たちである。
レインはアイミも石化してコレクションに加えようとした。そしてシャドウレディもコレクションに加えることを企んでいた。
しかしシャドウレディの正体はアイミだった。アイミは感情のままに、レインの前でシャドウレディに変身した。
欲望をむき出しにしたレインだが、シャドウレディに軽くあしらわれてしまった。
シャドウレディを諦めることができなかったレインは、手にした宝石に力を求めた。強まっていった彼女の欲望は、宝石の中に封じ込めていた魔人を覚醒させることになった。
そのときにレインは力を失った。欲望に駆り立てられていた彼女は、立ち直れないほどの絶望に襲われた。
表のレインも裏の彼女も、完全に気力をなくすことになった。
宝石から復活を果たした魔人によって、石化されていた美女たちが元に戻った。同時に彼女たちはこの出来事に関する記憶を消された。
ライムも石化が解かれて元に戻った。スパークガールとしてレインに挑んで、逆に石化されて全裸にされたことを忘れさせられて。
「何でいつもあたし裸なの〜・・!?」
何度も裸にされていることに悲鳴をあげるライム。しかも今回、彼女はなぜ裸になっているのか分からず、困惑するばかりとなっていた。
事件の記憶を消されていたライムだったが、不思議でおかしな気分はかすかに覚えていた。それは石化された際に襲われた快感だった。
「何、この気分・・何だか、気になってしまう・・・」
快感を思い出してしまい、ライムが体を震わせた。
「思い出したくない・・思い出さないほうがいいかも・・・」
自分に言い聞かせて、ライムは他の美女たちと一緒に保護されることになった。
それからライムはスパークガールとして、シャドウレディに勝つため、悪者を懲らしめるために動き出すのだった。
石化されたこと、裸にされたこと、そして快感を感じたことを忘れたまま。