Silver Fairy

〜クロスオーバーエディション〜

For マリア様がみてる〜「中編」

 

 

マリア様像の前

 

「さて、ここ迄来てどうするのかしら?」

祥子が口を開く

「取りあえず後ろから来ているのを何とかしなければなりませんね。」

「ルイ、私が行くから皆の事よろしく。」

「私も手伝う。」

秋華の言葉に口を開く令

「大丈夫なの?」

「えぇ。走ってる間に冷静になりましたから。」

「…そっ。ルイ、必ず合流する。だから。」

「解りました。皆さん、行きましょう。」

そう言うとそこから去って行くルイ達

「さて、支倉さん、貴女戦えるの?」

「何とかやってみる。」

そう言うとスールの誓いのロザリオより少し小さめのロザリオを取り出す令

それを見て口を開く秋華

「へぇ、こんな所で武装具を見るなんて。」

「…武装具の事、ご存知でしたか。」

「えぇ。ヴォルケス!!!」

そう言うと炎が出、その炎の中から槍が出て来る

その槍を掴む秋華

「…炎槍?」

「正解。さて、来るよ。」

「はい。武装!」

そう言うと鎧を纏う令

鎧を纏うと向かって来る黒い鎧の集団の中に知った顔を見つける令

「まさか!」

「何?誰か居たの?」

「…ロサキネンシス。」

「…祥子のグランスールの事?」

「はい。」

「どうする?貴女が戦う?それとも、私に任せる?」

「…私が、行きます。」

「了解。後ろの雑魚は任しといて。」

そう言うと同時に駆け出す秋華と令

 

一方ルイ達は薔薇園に避難していた

「ここなら大丈夫でしょう。」

ルイの言葉の後溜息を付く祥子

「…どうしたの?祥子。」

「ロサギガンティア。いえ、一体このリリアンで何が起きてるのかを考えていまし

た。」

「…確かに。何が起きてるのかは、私も疑問に思ってる。」

「私達も何の為にこんな事が起きてるのか、まだ解明していません。」

重い空気が漂う薔薇園

「ともかく、後手に回っている現状を、打破しましょう。」

「夢野さん、何か良い手がおありで?」

ルイの言葉に口を開く祥子

「恐らく門の所に羽純さんと七夜さんが居る筈です。

合流出来れば、こちらから先手を打つ事が可能になるでしょう。」

「1つお聞きします。その方達の性別は?」

「羽純さんは女性です。七夜さんは、男性です。」

「そう。」

そう言うと黙り込む祥子

「…祥子〜、いい加減治せないの〜?」

「…治そうと思って治せたら、苦労しませんわ、ロサ・ギガンティア。」

「…誰か来ます。」

ルイの言葉に緊張が走る薔薇園

「…フィーナさん?」

「ルイ?」

「フィーナさん、無事だったんですか?」

「まぁ何とかね。それより、秋華さんは?」

「マリア様像の前です。」

ルイの言葉に考えるフィーナ

「羽純達が門の所に居る。けど門へ行くにはマリア様の像の前を通らなくちゃいけな

い。」

そう言うと更に考えるフィーナ

ふと何かに気付き振り返るフィーナ

「フィーナさん?」

疑問に思い口を開く祥子

「誰か来る。」

そう言うと銃を手に取り構えるフィーナ

ふと姿を見せたのは…

「…支倉令。」

現れた令の腕には秋華の姿があった

「秋華!」

銃を仕舞い秋華に声を掛けるフィーナ

「外傷が多いですね。フィーナさん、法術の心得は?」

「…教会法術で良いのなら。」

「ならお願いします。」

「うん。」

その言葉の後地面に秋華を降ろす令

その直後治療を始めるフィーナ

「さて、支倉さん、まだ戦えますか?」

「何とか。」

「では私と一緒に足止めをお願いしてもよろしいですか?」

「…えぇ。」

そう言うと薔薇園を出て行くルイと令

それを見て口を開く聖

「フィーナさん、門の所だよね?仲間が居るの?」

「はい。」

「…祥子、志摩子を、お願い。」

「…はい。」

その返事を聞くと武装具を纏い門の方へ去って行く聖

「お姉さま、ご無事で。」

 

マリア様の像の前

 

「ここ迄来れば、あとは門に行くだけ。…誰?」

ふと誰かに声を掛ける聖

「お久しぶりですね、ロサ・ギガンティア。」

「…ロサ・カニーナ。…そう言う事か。」

「察したようですね。」

「今ね。…1つ、聞いて良いかな?」

「どうぞ。」

「ロサ・カニーナ、貴女の目的は何?」

「…それは只1つ。ロサ・ギガンティア、貴女を私の物にする事です。」

「…それだけの理由でリリアンを巻き込んだって言うの?」

「えぇ。」

「…そぅ。」

そう言った直後門の方へ向けて走り出す聖

「なっ!フェイト!」

「生け捕りですか?黒薔薇様。」

「そうよ!傷付けても駄目よ!」

「承知しました。」

そう言うと聖を追いかけるフェイト

 

木が生い茂る道を門へと向けて疾走する聖

それを追いかけるフェイト

「…後ろから来てる。振り切れるかな〜?」

「止まりなさい。止まらなければ、討ちます。」

そう言うと聖の反応を見るフェイト

「…止まらないんですね。ならば、捕らえます!」

そう言うと剣を抜き詠唱を始めるフェイト

「汝時の神クロノスの名において全ての時を停止せよ。時間凍結(ティセンディラ)」

そう言って剣に生じた球体を聖に投げつける

「しまった!」

そう言うとその球体が聖に命中した

その直後ピクリとも動かず落下する聖

地面に落下すると鈍い音を立て地面に転がる聖

「…門迄あと10M。残念ね。」

そう言うと動かなくなった聖と共にそこから消えるフェイト

 

門の外

 

「どうしたの?七夜。」

「…今何かが近づいて来ていた。」

「えっ?」

七夜の言葉に疑問に思う羽純

「…行こう七夜。ルイと連絡が取れない。中で、何かが確実に起きている。」

「…解った。」

そう言うと手に持ったナイフで門を斬る七夜

すると門が崩れる

「行くよ!」

羽純がそう言うと七夜と共にリリアンに入って行く

 

薔薇園

 

「ふぅ。これで秋華さんは大丈夫です。」

そう言うと銃を取り出し構えるフィーナ

「ルイ!令!どいて!」

その言葉に気付き銃の射程内から避難する二人

その直後光の砲弾を放つフィーナ

その砲弾が止むとそこには気を失って倒れているリリアンの生徒の姿があった

「さて、ルイ、何処でも良いから山百合会の皆を避難させて。」

「…はい。なるべく、目に付き難い場所を探します。」

そう言うとそこから去って行くルイ達

それを見送ると口を開くフィーナ

「銀装。」

そう言うと銀の鎧に身を包んだフィーナの姿がそこにあった

「…さて、何の用ですか?フェイト。」

「貴女を誘いに来た。とでも言っておきましょうか?」

「…私に、闇に回れと言う事ですか?フェイト。」

「えぇ。貴女を加えれば恐れる者は何も無い。さぁ、いらっしゃい、フィーナ。」

そう言うと右手を差し出すフェイト

フェイトの右手を左手で弾くフィーナ

それと同時に銃をフェイトに向ける

「…銃を降ろしなさい。どうやら、力づくで連れて行くしか無いわね。」

そう言うと距離を置き剣を抜き構えるフェイト

銃を仕舞うと口を開くフィーナ

「本気で、貴女を討ちます!」

そう言うと剣を抜き構えるフィーナ

「行きます。」

 

体育館裏

 

「ここなら大丈夫でしょう。」

ルイの言葉に安心する祥子と志摩子

「…藤堂さん、心配なの?」

ふと志摩子に声を掛ける秋華

「…はい。」

「大丈夫。必ず帰って来るわ。」

そう言うと門があると思われる方向を見る秋華

(気を感じない。何があったの?佐藤聖。)」

「フェルミナ、センサーに感知。数は…3。2と1に分かれているわ。」

「方角は?」

「2が左から。1が斜め右前から。」

ルイの言葉にヴォルケスを構える秋華

ルイも神剣E―フェルディアを構える

「1の方が先に来ます。私が迎撃します。」

「OK。」

「…来る。」

そう言うと来る方角に剣を突き出すルイ

その直後ルイの頬を投剣がかする

「黒鍵?」

「ルイ。それにフェルミナ。」

「シスターイリア。何故ここに?」

疑問の声を出すルイ

黒鍵を仕舞うと口を開くイリア

「何か、嫌な予感がしてね。全く、来て正解だったみたいね。

近づいて来るのは羽純と七夜でしょうね。」

言い終わると同時に姿を見せる羽純と七夜

「ルイ。」

「シスターイリア。」

それぞれ口を開く羽純と七夜

「やっほ。七夜、エレイシアは?」

「敷地内には居るかと。」

「せんきゅ。羽純と七夜はルイ達と一緒に居て。」

「シスターイリアは?」

「エレイシア探して来る。」

そう言うと一瞬でそこから消えるイリア

「…さて、これからどうするか考えましょうか?」

ルイがふと口を開く

その瞬間

「お姉様見っけ♪」

その声に口を開く祥子

「…祐巳。」

「お姉様、私と一緒に黒薔薇の君様にお仕え致しましょう。」

祐巳の言葉に驚く祥子と志摩子

「志摩子さん、貴女もどう?貴女のお姉様もいらっしゃるわよ。」

「えっ?」

「良く考えて下さいね。断れば、死ですから。」

そう言うと特殊剣を構える祐巳

「迷う事など、ありません。」

そう言うと一歩前に踏み出す祥子

その右手には少し小さめのロザリオが握られていた

「私と、妹と戦う気ですか?お姉様。」

「えぇ。リリアンの秩序を乱す者は、山百合会が排除致します。」

そう言った直後真紅の鎧を纏い、髪の毛も真っ赤。

そして右手には真紅の刀身を持つ剣が握られていた

「来なさい、祐巳。」

「はい。お姉様。」

そう言うと構える両者

それを静かに見守る志摩子・ルイ・秋華

その2人の間に1人の女性の声が割り込んで来る

「福沢祐巳。何をしているの?あまり戦闘は控えるよう言われているでしょう?」

「ダークネスフェアリー。」

「…全く。」

そう言いながら祐巳に寄るフェイト

「…フィーナは?フィーナはどうしたのよ?」

たまらず口を開く秋華

「私がここに入るって事は、答えは1つでしょう?秋華。」

「フェイト―――!!!」

そう言うとフェイトに突撃する秋華

カキーン

独特の金属音が響く

「フフッ、仲間が1人倒されたくらいで怒るなんて、まだまだ未熟ね、秋華。」

そう言うと秋華を持っていた槍毎弾くと構えるフェイト

「喰らいなさい、漆黒の妖精の技を。」

そう言うと秋華に対し突っ込むフェイト

「黒流剣術奥義!漆黒の疾風斬!」

そう言って秋華を斬るフェイト

「深き闇に落ちろ。」

そう言うと倒れ込む秋華

「秋華さん。」

そう言って駆け寄る祥子・ルイ・志摩子

「…生命反応は有り。けど、意識が無い。」

「当たり前よ。封印の宝玉。彼女はここに居るわ。」

「なっ!」

「そしてこの宝玉は私か黒薔薇の君様を倒さないと壊れない。さぁ?どうする?」

そう言うとニヤリと微笑むフェイト

剣を納めると口を開く

「さぁ、次は誰が来るのかしら?」

そう言って挑発するフェイト

「私が相手になるわ。」

「へぇ、面白いわね。けど、一瞬で終わるわ。」

そう言うと詠唱を始めるフェイト

「汝よ我が名の元において漆黒の牢に身を置かん!」

「小笠原さん!避けて!」

たまらず口を開くルイ

「遅い!ダークプリズン!!!」

そう言うと黒い球体が祥子に触れそのまま祥子を飲み込む

祥子を飲み込んだ球体は小さくなりフェイトの手元に戻って行った

「残り3人。…いえ、5人ね。諦めて私と共に黒薔薇の君に忠誠を誓いなさい。

そうすれば、楽になれるわよ。」

尚も微笑むフェイト

「祐巳、この2つを持って君の所へ戻っていなさい。」

「はい。」

そう言うとフェイトから宝玉と黒い球体を受け取りそこから消える祐巳

「さぁ、2人で私を倒せるかしら?」

「…藤堂さん。貴女だけでも逃げて下さい。そして、シスターイリア達と合流して下

さい。」

「夢野さん。」

「…お願いします。」

ルイの言葉の後そこから去って行く志摩子

「…無謀ね、ルイ。私に1人で挑んで来るなんて。」

「えぇ。無謀と解っていても、私は貴女を止めます。」

「…行きなさい、ルイ。」

「えっ?」

「彼女を支えられるのは、貴女だけよ。行きなさい。」

フェイトの言葉に何も言わずにそこから去るルイ

「…そろそろ潮時かしら?」

そう言うとフェイトもそこから消える

 

「黒薔薇の君。福沢祐巳、只今戻りました。」

「ご苦労。中々良い結果が出せたみたいね。」

「はい。」

「宝玉をこちらへ。」

黒薔薇の君の言葉に宝玉を差し出す祐巳

「…成る程ね。祐巳、下がってなさい。何かあれば、こちらから呼ぶから。」

「はい。それでは失礼します。」

そう言うとそこから去って行く祐巳

「君。」

「フィーリア。」

「首尾良く行ってるみたいね。」

「えぇ。順調です。後は、白薔薇の蕾だけです。」

「そぅ。…そちらの、朱悠秋華の魂、私に任せて貰っても良い?」

「えぇ、構いません。なら私は小笠原祥子の方を。」

「楽しみにしているわ。」

そう言うと秋華の魂が入った宝玉を持ち去って行くフィーリア

 

マリア様像の前

 

夢中で走り、マリア様の像の前迄走って来た志摩子

ふとそこに傷付き倒れている女性を見つける

「…フィーナさん?」

「…えっと。」

「藤堂志摩子です。」

「そぅ。…全く、手加減すらして欲しいよ。」

「だ、大丈夫何ですか?」

「まぁ一応は。…ヒール。」

そう言うと光がフィーナを包み傷を治す

「…まぁこんな感じかな?さて、こっちの都合なんてお構い無しに来るのね。福沢祐

巳。」

フィーナがそう言うとそこに祐巳と機械的な鎧に身を包んだ人物が居た

「下がってて。」

「はい。」

そう言うとフィーナの後ろに下がる志摩子

「来い!」

「…行きなさい。」

祐巳の言葉に反応しフィーナに向かい突撃する機械の鎧に身を包んだ女性

そのまま突きを繰り出す

それを交わすと同時に攻撃を食らわすフィーナ

「雷蹴、裏拳。双雷掌!!!」

フィーナの連続攻撃を喰らい吹っ飛ぶ女性

「中々やるわね。けど、これならどうかしら?」

そう言うと同時に志摩子へ突撃する女性

「しまった!」

「えっ?」

女性を止めようと志摩子の元へ走るフィーナ

「藤堂さん!」

叫ぶフィーナ

その直後貫く女性

貫かれたのは、志摩子では無く

……祐巳だった

「祐巳、さん?」

「何で?」

呆気に取られるフィーナと志摩子

ふと女性の頭部が割れる

「祐巳。」

その下から出て来た女性がそう呟く

その女性は…

「小笠原祥子。」

その名を呼ぶフィーナ

「祐巳、何故?」

「さぁ?私にも…。」

「祐巳!」

その様子を見守るフィーナと志摩子

「祐巳!駄目、私を置いていかないで。お願い。」

「フィーナさん、何とかならないんですか?」

「…ごめん。」

そう言いながら祥子と祐巳を見るフィーナ

「お姉様、生きて、下…さ……い……。」

「祐巳?祐巳―――!!!」

目を閉じたまま祥子の腕の中で横たわる祐巳

「少しばかり、遅かったみたいね。」

ふと声が聞こえる

声のした方を見るとそこに居たのは…

「…唯姉。」

「小笠原祥子、どいてくれる?彼女を生き返らせるわ。」

唯の言葉に驚く祥子

「彼女の魂は、まだここに居るわ。だから、するのなら早くした方が良いの。

どいてくれるかしら?」

唯の言葉に祐巳を寝かせその場からどく祥子

「フィーナ、回りをお願い。」

唯の言葉に回りを見ると

黒い鎧に身を包んだリリアンの生徒が多数居た

「了解、唯姉。」

そう言うと左右に拳銃を持つフィーナ

「さて。この場に留まりし魂よ。汝己が器に戻り給え。フェルンベイドフェザー!!!」

そう言うと祐巳の身体に天使の羽を突き刺す唯

それと同時に光が発生する

「小笠原さん、戦えますか?」

「…えぇ。」

「なら、唯姉に敵を近づけさせないで下さい。」

「解ったわ。」

そう言うと同時に構える祥子

「さて、2人だけで何処まで行けるかな?」

「光破斬!!!」

突如声が聞こえ吹っ飛ぶ生徒達

「ルイ。」

「羽純さんと七夜さんも居ますよ、フィーナさん。」

ルイの言葉に姿を見せる羽純と七夜

「唯姉の術が終わる迄敵の接近を許さないで下さい。」

フィーナの言葉に頷く一同

「行くよ!」

そう言うと四方に散らばるフィーナ達

 

―――白い世界

ただ、全てが白い

「福沢、祐巳ね。」

「えっ?あっ、はい。」

「不思議な感じがするでしょう?この世界。」

「は、はい。」

「…でしょうね。ここは生と死の狭間の世界ですから。」

「…それじゃあ、やっぱり私死んだんだ。お姉様に貫かれて。」

「お姉様?小笠原祥子の事かしら?」

「はい。」

「福沢祐巳。貴女の進むべき道は2つ。このまま進み死を迎えるか?

それとも戻り日常を取り戻すべく戦うか?」

女性の質問に悩む様子も無く答える祐巳

「戻ります。戻って、戦います。」

「そぅ。貴女なら、そう言うと思っていたわ。」

そう言うと現実世界の様子を写す女性

「行きなさい。福沢祐巳。」

「はい。」

そう言うと現実世界の様子を写した穴に飛び込む祐巳

「…頑張ってね。」

 

「光が、止んだ。」

ふとフィーナが口を開く

「祐巳!」

たまらず駆け寄る祥子

静かに目を開ける祐巳

「祐巳。」

「お姉様。」

「祐巳、行くわよ。」

「はい、お姉様。」

そう言うと2人同時に構える

「私も力を貸すわ。小笠原祥子。福沢祐巳。」

そう言うと2人の頭上に浮かぶ唯

「紅き光よ。」

「我が名クリスの名において。」

「闇を討て!」

「「「紅光陣!!!」」」

そう言うと紅い光が周囲の生徒を直撃する

それと同時に兜が割れ倒れる生徒達

「凄い。」

思わずそう呟く志摩子

「本来彼女達に備わってる力よ。私はそれを手助けしただけ。」

そう言いながら着地する唯

「さてと、先ずは…福沢祐巳。」

「は、はい。」

「目を閉じて。何も考えないで私の言葉を聞いて。」

唯の言葉に目を閉じる祐巳

額に指を当てる唯

「…何かがこみ上げて来るのが、解るかしら?」

「…はい。」

「解き放て。聖なる力よ!」

そう言うと光に包まれる祐巳

その直後光が止むとそこには、

紅色のカラーリングの鎧を身に纏った祐巳が居た

「これは?」

「聖紅装・茎。それがその武装具の名前よ。次、藤堂志摩子。」

「は、はい。」

そう言うと唯に近づき目を閉じる志摩子

同じく額に指を当てる唯

「…何かがこみ上げて来てるのが、解るでしょう?」

「はい。」

「解き放て。聖なる力よ!!!」

そう言うと同じく光に包まれる志摩子

その直後光が止むとそこには、

白銀のカラーリングの鎧に身を包んだ志摩子が居た

「聖白装・蕾よ。」

「蕾。」

「さて、小笠原祥子だけど、不思議なのよね〜。」

「えっ?どう言う事?」

唯の言葉に疑問に思う祥子

「既に光の力が解放されてる。自ら断ち切ったのかな〜?

まっ、そのうち出て来るでしょう。聖紅装・蕾が。」

そう言うと奥の方を見る唯

「来たわね。」

そう言った先には、島津由乃の姿があった

「由乃さん。」

「フフッ、黒薔薇様に楯突く者は全て私が殺してあげる。」

由乃の言葉に呆然とする祐巳

「先ずは、祐巳さんから!」

そう言って祐巳目掛け飛び込んで来る由乃

「先ず1人。」

そう言った直後

独特の金属音が響く

「なっ!」

金属音に驚く由乃

そこには唯と祥子の姿があった

そしてそのまま由乃を弾く唯

「咄嗟に動いたのは、私だけじゃないみたいね。」

「妹を、むざむざ殺させるもんですか。」

「…確かにね。さて、どうしようか?」

そう言うと由乃を見る唯

祥子も同様に由乃を見る

「卑怯だと思うけど、2対1で行くよ。小笠原祥子。」

「えぇ。」

そう言うと同時に駆け出す唯と祥子

「福沢さん。」

「…フィーナさん。」

「行かないの?」

「えっ?」

フィーナの言葉に疑問に思う祐巳

「友達なんでしょ?なら自分の手で、助けてあげなきゃ。それが、友達って物よ。」

そう言うと銀十字を祐巳に手渡すフィーナ

「思い浮かべて。彼女を助けるのに、最適な武器を。」

フィーナの言葉に銀十字を握り締め何かを思い浮かべる

その直後光を発する銀十字

その光が止むと祐巳の手の中には1本の槍が握られていた

「それが、友達を救う為の、武器よ。」

そう言うと拳銃を左右の手に持つフィーナ

「唯姉!!!」

フィーナの言葉に気付く唯

「タイミングが来たら言いますので、想いを込めて、貫いて下さい。そうすれば、戻

ります。」

そう言うと由乃に向い突撃するフィーナ

それを見て立ち上がり槍を構える祐巳

それを横目で確認する唯

「やる気になったみたいね。小笠原さんはどいてて!!!」

唯の言葉にその場から離れる祥子

それと同時に二丁拳銃で飛び込んで来るフィーナ

そのまま乱射するフィーナ

それを全て弾く由乃

「やっぱ駄目か。」

そう言うと拳銃を仕舞い格闘戦に切り替えるフィーナ

「フィーナ!!!」

「解ってます!!!」

そう言うと両手にイカヅチを発生させるフィーナ

「ちゃんと手加減しますよ!双雷掌!!!」

フィーナの攻撃を受け体が浮く由乃

間髪入れずに銀十字の槍で由乃を貫く祐巳

「抜いて。祐巳さん。」

フィーナの言葉に槍を抜く祐巳

由乃の身体を掴んで着地する唯

そしてそのまま地面に寝かせる

「…元に戻るんですよね?これで。」

「えぇ。」

そう言うと銀十字に戻る槍

「あっ。」

「返してね。」

そう言うと祐巳から銀十字を返して貰うフィーナ

「そう言えば。」

ふと口を開くルイ

「ルイ、どうしたの?」

疑問に思い口を開く唯

「いつの間にか、支倉さんとはぐれていた。」

「…そう言えば、居ないわね。」

唯がそう言った瞬間殺気を感じる

「そこっ!」

直ぐにフィーナが反応し早撃ちで殺気を感じた場所を討つ

「移動してる。小笠原さんと福沢さん、それに藤堂さんにルイは島津さんを囲んで!

唯の言葉に直ぐに由乃を囲む祥子・祐巳・志摩子・ルイの4人

「フィーナ、私の事は構わず殺気を感じる方向に撃ち続けて。」

「はい。」

フィーナの返事を聞くと殺気のする方向に飛び込む唯

リロードしながら銃を撃ち続けるフィーナ

「キリが無い!!!」

「何か来る。」

ルイの言葉に疑問に思う祥子・祐巳・志摩子

「マジ?こっちだけでも大変なのに。」

「…何これ?」

「どうしたの?ルイ。」

「膨大な魔力を感知。…手当たり次第の上級悪魔(オーバーズ)召喚魔法陣!!!」

「うわ〜、厄介。」

そう言うと一旦リロードしてから二丁拳銃にするフィーナ

「ルイ、そっちで何とか出来そう?」

「やるだけやってみますよ。小笠原さんと藤堂さんは私と一緒に。福沢さんは島津さ

んを。」

ルイの言葉に頷く3人

「来ます!!!」

ルイの言葉の直後周囲に大量に現われる上級悪魔(オーバーズ)

その直後2〜3体の悪魔(デーモン)が切り刻まれ消失する

その光景に呆然とする祥子と志摩子

「ルイ!後ろ!!!」

フィーナの叫びに後ろを向くと拳を構えたデーモンが一体そこに居た

「しまった!!!」

そう口にした瞬間

その場から消失するデーモン

「えっ?」

「救援、とでも言うのですかね?翼よ。我が敵を撃て。フェザーレイニング!!!」

そう言うと四方へ散る光の羽根

周囲のデーモンを一瞬で消し去る

「やっほぅ。無事みたいね。」

「羽純、さん。」

ふとその名前を呟くルイ

「イリアと七夜も要るよ。」

羽純の言葉の後ルイの近くに近寄るイリアと七夜

「そうそう、もう1人居たわ。」

思い出すようにそう言うイリア

「ねぇ、エレイシア。」

そう言うと同時に3体の悪魔が消失する

「全く。急に呼び出すから何かと思えば…。」

「ゴメンね。埋め合わせは必ずするから。」

「絶対ですからね。」

そう言うと2人揃って黒鍵を構える

1つ、言ってもいいかしら?」

ふと祥子が口を開く

「何?小笠原さん。」

「…先程より、増えてませんか?」

祥子の言葉に周囲を見るルイ・イリア・エレイシア・羽純・七夜

「…確かに。」

納得するイリア

「七夜さん!!!」

叫ぶルイ

「解っている。」

冷静に答える七夜

そう言って一体一体消失させながらとある地点に向っていた

一旦木に飛び移ると目標地点を確認し飛び出す七夜

その前方にデーモンが割って入って来る

「なっ!」

驚く七夜

その直後消失するデーモン

そのまま何かに掴まれる七夜

「何処に降ろせば良いんですの?」

七夜を掴んでいたのは

…祥子だった

「今俺が向おうとしていた地点だ。」

「…解りました。」

そう言うと少し上昇する祥子

「行きますわよ。」

「あぁ。」

その言葉に七夜を放す祥子

そのまま勢いをつけ、狙った地点へと降下する七夜

「そこだぁぁぁ!!!」

そう叫びながら一点をナイフで突く

その直後

一気に消失するデーモン達

「消えた?」

疑問に思う祥子

「召喚魔法陣の基盤となっている部分を“殺す”なんて。流石ですね。」

ルイの言葉に素っ気無く言葉を返す七夜

「そう言えば、水月さんは?」

ふと志摩子が口を開く

その言葉に周囲に唯の姿を探す一同

「大丈夫。私はここに居る。」

そう言うと支倉玲を抱え姿を表す唯

「これで残るわ、各薔薇と黒薔薇姉妹。」

唯のその言葉に疑問に思う祥子・祐巳・志摩子と

何なのか解り、黙り込むルイ・フィーナ・イリア

「とりあえず2つに分けましょう。イリア・エレイシア・七夜に志摩子さんはここに。

 

残りは私と一緒に薔薇の館へ。」

唯の言葉に頷く一同

「イリア。いえ、イシュタル。そっちの指揮、お願いね。」

「えぇ。気をつけてね、姉さん。」

「解ってる。それじゃ、行くね。」

そう言うとそこから去って行く唯達

「さて、2人が目覚めたら私達も行くからね。」

イリアの言葉に頷く一同

 

 

後編に続く

 

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