Silver Fairy

〜クロスオーバーエディション〜

For マリア様がみてる〜「前編」

 

 

 

「ごきげんよう。」

「ごきげんよう。」

さわやかな朝の挨拶が、澄み切った青空にこだまする。

マリア様のお庭に集う乙女達が、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をく

ぐり抜けていく。

汚れを知らない心身を包むのは、純白の制服。

スカートのブリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、

ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどと

いった、

はしたない生徒など存在していようはずもない。

私立リリアン女学園。

明治35年創立のこの学園は、もとは華族の令嬢のためにつくられたという、伝統あ

カトリック系お嬢さま学校である。

 

 

 

ある日の水月邸

 

「リリアン女学園?」

疑問の声を出す唯

「カトリック系列の御嬢様学校の事です。」

「…そう。んで、どうしろって言うの?仁科ちゃん。」

「近頃不可解な事件が起きてるって、電話があってな。

向こうも事を公にしたくないと言っていた。」

「…成る程。確かに私達なら事を公にしないで、解決出来るしね。」

「手筈は整っている。明日行ってくれ。」

「人数は?」

「そっちに任せる。」

「サンキュ。」

 

翌日

 

結局メンバーは唯・ルイ・フィーナ・フェルミナの4人

それと外部サポートで羽純と七夜の計6人

「…何か不安。まっ、仕方無いか?さ〜て、行くわよ。」

 

教室で紹介をされた後

案の定昼休みには話題の中心になっていた

ちなみに内訳は唯・フェルミナが2年

フィーナ・ルイが1年である

 

そんな昼休み

 

「高等部2年の水月唯さん。高等部2年の水月唯さん。山百合会がお呼びです。

至急生徒会室迄お越し下さい。」

「…生徒会室?どなたか解る方いらっしゃいますか?」

「水月唯さんですね?」

「…えぇ、貴女は?」

「白薔薇の蕾。藤堂志摩子と言います。

お姉さまに言われまして貴女を生徒会室にお連れ致します。」

「…お願いするわ。」

「はい。」

 

山百合会生徒会室

 

コンコン

「志摩子です。入ります。」

そう言うとドアを開け部屋の中に入る志摩子と唯

「ルイ、それにフィーナにフェルミナも。」

「ようこそ、リリアン女学園生徒会、山百合会へ。お待ちしていましたわ、水月唯さ

ん。」

「…自己紹介が必要みたいね。」

呆れながら口を開く唯

 

それぞれ着席する一同

「先ずはこちらから自己紹介致しましょう。

私は鳥居江利子。ロサフェディタと呼ばれているわ。」

そう言うと視線を移す江利子

「私は支倉令。そしてこっちが妹の…。」

「島津由乃です。」

「やっほ〜。始めまして。白薔薇ロサギガンティアこと、佐藤聖よ。

んで水月さんを連れて来たのが私の妹、藤堂志摩子よ。」

聖の言葉に一例する志摩子

「最期になるわね。紅薔薇ロサキネンシス、水野蓉子よ。」

「紅薔薇の蕾の小笠原祥子です。」

「い、妹の、福沢祐巳です。」

祐巳の紹介が終わると口を開く江利子

「以上が山百合会のメンバーよ。」

「ありがとう。それじゃ、こっちの方の自己紹介ね。」

そう言うと視線をフェルミナへと移す唯

「朱悠秋華です。一応ここでは2年に在籍します。」

そう言うと着席する秋華

「フィーナ=ラス=レイピアです。1年に在籍致します。」

「夢野瑠衣です。フィーナさんと同じく1年に在籍致します。

何か解らない事があれば私に。」

「私で最期ね。水月唯。羽咲市警特殊機動隊通称Saint Knightのリーダーよ。

何かあったら、私かルイに言って下さい。」

「水月さん、1つ良いですか?」

「なんですか?小笠原さん。」

「勉強はともかく、礼儀作法等については、大丈夫なのですか?」

祥子の言葉に考える唯

「う〜ん、私とルイはともかく、フィーナと秋華はどうなんだろう?」

そう言うと2人の方を見る唯

「唯〜、私は一応王族よ?礼儀作法ぐらい。

それにフィーナだってイリアから教わってると思うし…。」

「必死で目をそらしてますね。」

「…(先行き不安)。」

 

校舎への帰り道

 

「水月さん。」

「ん?え〜と、支倉さん、だよね?」

「正解です。剣術に長けていると聞いたので、剣道部で指導してくれませんか?」

「…別に良いけど、驚くわよ。」

「是非、見てみたい物です。」

「OK。放課後、体育館?」

「はい。由乃を使いに出しますので。」

「解ったわ。」

 

放課後

 

唯のクラス

 

「すいませ〜ん、水月唯って方、居ますか?」

「…島津由乃さんね。」

「令ちゃんが体育館に連れて行けって言うから来ました。」

「…ご迷惑?」

「い〜え。行きますよ。」

そう言うと歩き始める由乃

「…(今の冷たい視線は?何?)」

「置いてきますよ。」

「ゴメンなさい。」

そう言うと由乃に駆け寄る唯

 

体育館

 

「令ちゃん、連れて来たよ。」

「ありがとう、由乃。」

「この埋め合わせは、絶対してね。」

「解ってる。」

「それじゃ、また明日ね。」

そう言うと去って行く由乃

「中が良いんですね。」

「まぁ、子供の頃からの付き合いだから。」

「そぅ。それじゃ、やりましょうか?」

「えっ?」

「実力、見てみたいでしょ?」

 

「本当に防具無しで良いんですか?」

「えぇ。思いっきり打ち込んで来て良いわよ。」

そう言うと髪を纏め竹刀を持つ唯

「準備は良い?」

「防具は、付けないんですか?」

「必要無い。むしろ返って邪魔なくらいね。」

「…解りました。」

そう言うと防具を外す令

「…手加減は、しないからね。」

「解っています。合図お願い。」

「あっ!はい。…始め!」

部員の一声に一瞬で距離を詰め打ち合いをする唯と令

両者譲らず打ち合う

「凄い。」

思わず言葉を漏らす部員

「め―――ん!!!」

令の放った面を避け後ろに回りこむ唯

「貰った!」

唯の放つ胴を竹刀で防ぐ令

そのまま上に唯の竹刀を弾く令

「め――――ん!!!」

竹刀を打ち込む令

「居ない!!!」

その直後令の顔の右側を竹刀が通過する

「…まだやる?」

「…いえ、完敗です。」

令の言葉に竹刀を引き納める唯

「中々の腕前ですね。」

「水月流は実戦を想定しているから。」

「機会があったら教えて欲しい物です。」

「明日にでも、良い?」

「是非。」

令の言葉の後、何かを感じる唯

「どうしました?」

「ゴメン、ちょっと席外すね。」

そう言うと外へ掛けて行く唯

 

マリア様の像の前

 

そこに、由乃の姿があった

「ごきげんよう、今お帰り?」

「…ごきげんよう、ロサカニーナ。えぇ、そうです。」

「なら一緒に帰りません?良い所を知っているのよ。」

「…是非。」

「そう。なら行きましょう。」

そう言うとマリア様像の前から去って行くロサカニーナと由乃

その2分後

唯がマリア様像の前に到着する

「…遅かったみたいね。仕方無い、戻るか。」

そう言うと振り返り体育館へと向かう唯

 

翌日の昼休み

 

生徒会室

 

そこには祐巳と聖、それに唯の姿があった

「へぇ〜、今日由乃来てないんだ。」

「ロサギガンティア、止めて下さい。」

「…ルイも同じ事を言っていたわ。何か、あるのかしら?」

「何かって?」

「まだ何も。けど、そのうち解るかと思うわ、ロサギガンティア。」

「そう。」

そう言うと祐巳にちょっかいを出す聖

「ロサギガンティア。小笠原さんから何か言われますよ。」

「別に〜、良く言われてるし〜。」

「なら何故止めようとしないんですか?福沢さんも嫌がってるのに…。」

「だって祐巳ちゃん可愛いんだもん♪」

聖の言葉に呆れる唯

「志摩子さんも大変ね。」

「えっ?」

「気にしないで下さい。」

「そう言えば。」

「ん?」

聖の言葉に何か感づく唯

「今日は蓉子と江利子も来てなかったな〜。」

「黄薔薇様と紅薔薇様が?」

疑問に思う祐巳

「…何かあるわね。ルイ。」

「はい、お側に。」

唯の言葉に突然表れるルイ

それに驚く聖と祐巳

「今日学校に来ている山百合会のメンバーを全員にここに連れて来て。フィーナ達も

ね。」

「解りました。」

そう言うとそこから去って行くルイ

「…彼女は一体?」

呆れながら口を開く聖

「別に。何でも無いわよ。取りあえず、今はルイが連れて戻って来るのを待ちましょ

う。」

「それじゃあ、紅茶、入れてきますね。」

そう言うと台所へ去って行く祐巳

「…ちょっと出て来る。福沢さん、私の分要らないから。」

「あっ、はい。」

「そんじゃ、ちょっと出て来るね。」

そう言うと部屋を後にする唯

「どうしたんだろう?」

「さぁ、私は知りません。紅茶、出来ましたよ。」

 

マリア様の像の前

 

「結構簡単に落としたわね。」

「まだまだです。あと1人、どうしても欲しい人が居ます。」

「…ロサカニーナ、取りあえず今はその2人を例の場所に。」

「…はい、お姉様。」

そう言うとそこから去って行くロサカニーナ

「…さて、貴女もここに来てたのね?水月唯。」

「フィーリア。貴女がここで起きてる事件の首謀者なのね?」

「えぇそうよ。」

フィーリアの言葉に銃を向ける唯

「何故?どうしてこんな事を起すの?」

「さぁね。首謀者と言っても、協力してあげてるだけよ。」

「協力?先程居た女性の事?」

「正解。唯、貴女もこちらに来ない?」

「それはフェイトになれと言う事かしら?」

「えぇ。」

2人の間に緊張が走る

「考えとくわ。」

そう言うと銃を仕舞いマリア様像の前から去って行く唯

 

生徒会室

 

ドアを開け中に入ると一通り揃っていた

「やっ、お帰り。結局江利子と蓉子、それに由乃が居ないだけ。」

「他は見ての通りって事かしら?ロサギガンティア。」

「そっ。」

「…心ここに有らず。って感じかしら?令は。」

そう言うと着席する唯

それと同時に紅茶を出す祐巳

「ありがとう。」

そう言うと一口飲む唯

「それで水月さん、これからどうするの?」

「どうするって言われても、

向こうから動いてくれないとこちらも対処が出来ないのが現状。」

「なら、このまま現状維持をしてろと言うのですか?」

「まぁそうなるわね。それと小笠原さん、福沢さん、借りて良い?」

「えっ?」

唯の言葉に疑問に思う祐巳

「祐巳に聞いて頂戴。」

「えっと、別に構いませんが…。」

「そぅ。それじゃついて来て。」

部屋を出る際フィーナに小声で告げる唯

“後の事、お願い”と。

 

マリア様像の前

 

「あの、水月さん、こんな所に連れてきて、一体何の用ですか?」

「全く、何としてでも私を手駒にしたいのね、フィーリア。」

唯がそう言うと姿を表すフィーリア

「黒月さん。」

「良いわ祐巳、フィーリアで。」

「ですが。」

「良いの。どうせ彼女にはバレテルんだから。」

「あっ、はい。」

「全く、紅茶の中にこんなん仕込んで。」

そう言うとポケットの中から何かを取り出す

「遅効性とは言え、睡眠薬とは、結構本気なのね?フィーリア。」

「えぇ。」

「全く。…アースランサー!!!」

そう言うとフィーリアの近くの地面が隆起する

「フィーリア様!」

思わず叫ぶ祐巳

「大丈夫よ、祐巳。貴女は一足先に帰ってなさい。」

「は、はい。」

そう言うとそこから走り去って行く祐巳

「良いの?行かせて?」

「貴女との戦い、居ても邪魔になるだけだから。」

「…そぅ。」

「行くわよ、クリス。黒薔薇の君の力、見せてあげる!!!」

 

生徒会室

 

「…遅いわね、水月さん。」

「と、取りあえず放課後、また集まって貰えませんか?」

フィーナが口を開く

「…解りました。」

そう言うと部屋を出て行く一同

 

校舎への帰り道

 

「支倉さん。」

「…えっと、夢野さん、だっけ?」

「はい。心中お察します。グランスール・プティスール共に行方不明。

さぞかしお辛いとは思いますが、事件が解決すれば、

必ず戻って来ますので、それ迄は我慢をして下さい。」

「…ありがとう、夢野さん。」

「いえ。」

 

放課後

 

生徒会室

 

「結局、戻って来なかったわね、水月さん。」

「祐巳ちゃんも戻って来てないんじゃない?祥子。」

「…そう言えば。」

「とにかく!唯姉が戻って来てない以上、

この事件に関しての総指揮は私が取らせて貰います。」

「…大丈夫なの?」

疑問に思い口を開く聖

「聖さん、ご安心を。伊達に銀十字を継承してはいませんから。」

「ルイ。銀十字の事は…。」

「あっ。」

「珍しい、ルイが失敗するなんて。」

「フェルミナ。貴女迄。」

「それよりさ〜、これからどうするの?」

聖が突っ込むように言う

「お姉さま。」

「ん?どうしたの?志摩子。」

「外、見て下さい。」

志摩子の言葉に外を見る聖

「…あらま〜。フィーナ・ルイ・羽純、外見てみて。」

聖の言葉に外を見るフィーナ達

ちなみに祥子・令も見ている

「黒い、鎧?」

「向こう本気みたいね。」

冷静に喋る聖

「…ルイ・フェルミナ、山百合会の皆さんを連れて何処か安全ば場所に。」

「フィーナは?」

「私は、足止めをする!」

そう言うと窓を開け飛び降りるフィーナ

「…取りあえず安全な場所へ。」

フェルミナがそう言うと移動を始める一同

 

地面に着地し、黒い鎧の集団を見るフィーナ

「さて、何処まで行けるかな?」

そう言うと二丁拳銃を取り手に持つフィーナ

「聖浄化(キュレスト)。」

そう言うと白く光るフィーナの銃

「どきなさい。」

そう言うと1人の女性が出て来る

「…ロサフェディタ。」

「正解。蓉子、貴女は彼女達を率いて白薔薇達を追って。」

「解ったわ。」

そう言うとそこから去って行く女性達

「…仕方無いな〜。」

そう言うと銃を仕舞うフィーナ

「来い。」

「死んでも文句は言わないでね!」

そう言うと突撃し特殊剣を振るう江利子

その斬撃を握り拳で受け止めるフィーナ

「なっ!」

「甘い。トロン!!!」

そう言うと空いている左手でイカヅチの剣を打ち込むフィーナ

「がはっ!」

「もう一発!!!」

そう言うともう一発トロンを打ち込むフィーナ

トロンを2発受け地面に倒れ込む江利子

「…さて、浄化しておくか。」

そう言った瞬間殺気を感じるフィーナ

「…誰?出てきなさい。」

フィーナの言葉に姿を表したのは…

「…島津由乃。」

「正解。」

「何しに来たの?」

「お姉さまを回収しに来ただけです。」

「…お人好し、なのかな〜?」

「えっ?」

由乃が疑問に思った直後

その場から姿を消すフィーナ

「…見逃して、くれた?」

 

 

中編に続く

 

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