オメガx鎧武xトッキュウジャー
スーパーヒーロー・ファイナルバウト
第８章
光輝たちの前にファイズ、ブレイドに変身した巧と一真が現れた。
「またおかしなことが起こっているみたいだな・・」
巧が光輝たちと士たちを見て呟きかける。
「オレは人々を守る。みんなを苦しめるお前たちと、オレは戦う！」
一真が士たちに向けて決意を言い放つ。
「お前らも正義の味方気取りか？そんなガキどもには、現実っていうのを教えてやる。」
「別にオレは正義の味方のつもりじゃないけどな・・」
あざ笑ってくるガオウに巧が言葉を返す。
「やっぱりオレたちの終着駅じゃなかったね。」
「ライトのイマジネーションは相当なもんだね。」
「あのスペードの人を見てると・・」
「まさに切り札って感じね。」
ライト、トカッチ、カグラ、ミオが巧と一真を見て言いかける。
「ファイズとして、オレはみんなの幸せをぶち壊そうとするヤツらと戦う・・・！」
「みんなの幸せを、オレが守る・・お前たちに虐げられる運命は、オレがぶち壊す！」
巧と一真が言い放って構える。
「ガキどもがいきがりやがって・・まずはお前らから地獄に叩き落としてやる！」
「逆にお前を地獄に送り返してやるよ・・！」
いら立ちを見せるガオウに巧が言い返す。巧が繰り出すパンチをかわして、ガオウが彼を蹴り飛ばす。
一真がガオウに向かっていって、剣「ブレイラウザー」を振りかざす。だが逆にガオウガッシャーに防がれて、ガオウに切りつけられる。
「くっ！・・見た目以上にパワーがあるということか・・・！」
「だったらこっちもパワーを上げればいいだけだろ・・」
毒づく一真に巧が言いかける。巧がトランスジェネレーター「ファイズブラスター」を手にして、一真が装備「ラウズアブソーバー」を左腕に付けた。
“Standing by,awakening.”
“Absorb queen,evolution king.”
巧がファイズブラスターに変身コードを入力してファイズフォンをセットして、一真がカテゴリークイーンのカードをラウズアブソーバーにセットしてカテゴリーキングを通す。２人がそれぞれ強化形態「ブラスターフォーム」と「キングフォーム」に変身した。
「どんな姿になっても、オレには勝てねぇよ。」
ガオウがため息まじりに言いかけて、ガオウガッシャーを構えて巧と一真に迫る。だが振り下ろされたガオウガッシャーを、一真が左手で受け止めた。
「何っ!?」
驚きの声を上げるガオウに、一真が剣「キングラウザー」を突き出す。押されるガオウに巧が向かっていって、パンチを叩き込んでいく。
「バカな・・２人がかりとはいえ、ここまでパワーが跳ね上がるなど・・!?」
驚きの声を上げるガオウが、エネルギーを集めた巧のパンチを受ける。重みのある攻撃にガオウは追い込まれていく。
「一気にパワーアップしたね、２人とも。」
「僕たちもパワーアップしてみたいなぁ〜・・」
ヒカリとトカッチが巧と一真を見て呟く。
「あんなみたいなパワーアップはないけど、オレたちにはそれに負けないチームワークとイマジネーションがある！」
「ライトらしいコメントね・・」
明るく言うライトに、ミオが苦笑いをこぼす。
「うん！私も負けないって気持ちになれる！」
カグラがライトに感動して、ミオがまた苦笑いを浮かべた。
「調子に乗りやがって・・こうなれば全員、オレが食ってやる！」
“Full charge.”
ガオウがいきり立って、構えたガオウガッシャーにエネルギーを集中させる。
「オレが相殺する！その隙を狙うんだ！」
“Spade ten,jack,queen,king,ace.Royal straight flush.”
一真が巧に呼びかけて、１０〜Ａのカードをキングラウザーにセットする。エネルギーが集中したキングラウザーを構える一真の前に、セットしたカードと同じ絵柄と形のエネルギーが現れる。
ガオウと一真が同時にガオウガッシャーとキングラウザーを振りかざす。それぞれ刀身と光の刃が放たれて、ぶつかり合って閃光と衝撃を巻き起こす。
「くっ！オレと互角の力だと・・!?」
「１対１だったらな・・・！」
毒づくガオウに巧が言葉を返してきた。巧が大きくジャンプして、足にエネルギーを集めたキック「クリムゾンスマッシュ」を繰り出した。
「何だとっ!?」
驚きの声を上げるガオウに、巧のキックが命中した。強烈な一撃を受けたガオウが、巻き起こった閃光に巻き込まれるように消滅していった。
「やったー！物騒なライダーをやっつけたー！」
ライトが巧と一真の活躍に喜びを見せる。
「それじゃオレたちも負けずに頑張るよー！」
「ライト、張り切りすぎだって〜！」
意気込みを見せるライトにトカッチが声を上げる。彼らは振り向いてきたオーガに向かっていく。
“切りまーす。”
ライト、トカッチ、ヒカリがトッキュウブラスターをキリマスモードにして、オーガストランザーを手にしたオーガに振りかざす。
“撃ちまーす。”
その間にミオとカグラがウチマスモードのトッキュウブラスターを構えて、ライトたちと交戦するオーガを見据える。
「ライト、どいて！」
ミオが呼びかけると同時に、カグラと一緒にトッキュウブラスターと発射する。ライトたちが離れた直後に、オーガが２人の射撃を受ける。
「射撃だったらオレも負けてないぜ！」
紘汰も意気込みを見せて、新しいロックシード「カチドキロックシード」を取り出した。
“カチドキ！”
“ロックオン。”
紘汰が戦極ドライバーにカチドキロックシードをセットして、カッティングブレードを倒した。
“ソイヤッ！”
“カチドキアームズ！イザ・シュツジン！エイ・エイ・オーッ！”
彼は「カチドキアームズ」を身にまとい、背中に備わっていた２本の「カチドキ旗」を手にした。彼の変身に気付いて、オーガが振り返る。
カチドキ旗を突き出す紘汰だが、オーガが振りかざしたオーガストランザーにはじき飛ばされる。だが紘汰はすぐにパンチを繰り出して、オーガに当てて押していく。
オーガがオーガストランザーを振りかざして反撃に出る。紘汰が切りつけられて押し返される。
「だったらコイツをお見舞いしてやる！」
紘汰が火縄銃「火縄大橙DJ銃」を手にした。彼は火縄大橙DJ銃のDJテーブルをスクラッチすると、ほら貝のような音声が発せられる。
向かってきたオーガに、紘汰が火縄大橙DJ銃を構えて射撃する。放たれた光の弾を、オーガがオーガストランザーを楯のようにして防ぐ。
紘汰がDJテーブルをスクラッチしていくと、ほら貝の音声の音程が高くなる。彼が撃った火縄大橙DJ銃からは、小さな光の弾が連射されてきた。
オーガが防ぎきれずに光の弾を当てられていく。さらに紘汰がJテーブルをスクラッチして、火縄大橙DJ銃を構える。
大きく威力のある射撃が放たれて、オーガが受けて爆発で吹き飛ばされる。
「すごい・・すごいよ、紘汰！」
ライトが紘汰の活躍にさらに喜びを見せる。立ち上がったオーガが、ベルト「オーガドライバー」にセットされている携帯電話「オーガフォン」の「ENTER」を押す。
“Exceed charge.”
オーガが構えたオーガストランザーから巨大な光の刀身が現れた。
“カチドキチャージ！”
紘汰がカチドキロックシードを火縄大橙DJ銃に移す。火縄大橙DJ銃の銃口にエネルギーが集まっていく。
オーガがオーガストランザーを振りかざすと同時に、紘汰が火縄大橙DJ銃から強力な砲撃を発射した。オーガストランザーの光の刃が紘汰に到達する直前に、紘汰の砲撃がオーガを包み込んだ。
紘汰の光を受けて、オーガが吹き飛ばされて完全に消滅した。
「くっ・・オーガまでやられたとはな・・・！」
エターナルが紘汰たちに毒づく。
「だが同じことだ。今のオレがいる以上はな。」
士が光輝たちを見て不敵な笑みをこぼす。
「そうはいかない・・オレが・・いや、オレたちがお前を止める！」
「そろそろ見せるとするか。お前やヒーロー全員を倒すための力を。」
言い放つ光輝に言葉を返して、士が１枚のカードを取り出した。
「お前の正義と心が導く無限の可能性。それをオレも見出した。」
「何だと!?・・オレはどんなことをしても、お前の道具にはならない！」
「フン。お前はどうやってもライドできないし、オレはそれをするつもりもない。」
言い放つ光輝に士が言葉を続ける。
「借りたのはお前の名前ぐらい・・オレが地獄の中で見つけた、オレ自身の力・・」
士がそのカードをディケイドライバーにセットした。
“Final kamen ride,Omega.”
士のまとうディケイドの装甲から金の光があふれ出す。その閃光に光輝たちが一瞬目を閉ざす。
光輝たちが視線を戻す。彼らの前に立つ士の、ディケイドの装甲は金色の輝きを宿していた。
「ディケイドの姿が・・・!?」
「その姿は・・・!?」
紘汰と光輝が士の姿を見て声を荒げる。士が両手を強く握りしめて、光輝たちを見据える。
「この力は、全てを終わらせ、全てを始めるもの・・・」
士が言いかけて、右手を軽く上げてから、一気に振り抜いた。すると金の閃光とともに激しい衝撃が巻き起こった。
「うわっ！」
「ぐあっ！」
光輝たちが吹き飛ばされて大きく横転する。
「な、何だ、このパワーは・・!?」
「アイツが今まで見せたことのない力だ・・・！」
ライトと光輝が士が発揮した力に驚きを見せる。
「これが今のオレの力。不可能のない無限の力だ。」
士が言いかけて、ライトたちに目を向けて構える。次の瞬間、士の後ろに２号の残像が浮かび上がってきた。
士が繰り出したのは２号を彷彿とさせるライダーパンチ。しかしその一撃は破壊力抜群だった。
「うわあっ！」
ライトたちが吹き飛ばされて、激しく横転する。
「ライト！」
声を上げる紘汰に、士がゆっくりと近づいてくる。
「こうなったら、コイツでアンタを止める！」
紘汰が火縄大橙DJ銃に無双セイバーを組み合わせて、「大剣モード」にして、士に向かっていく。火縄大橙DJ銃を振りかざす紘汰だが、士に軽々とかわされていく。
「今のオレには、お前の動きは遅く見える。」
士がソードモードのライドブッカーを突き出して、紘汰を切りつける。紘汰も必死に火縄大橙DJ銃で受け止めていくが、士の振りかざすライドブッカーに押されていく。
「くっ・・コイツでも歯が立たないのか・・・!?」
紘汰が士の強さに毒づく。
「ムダな抵抗をしなければ楽に終わらせてやるぞ。」
「冗談じゃない・・終わりにしてたまるか！」
勝気を見せる士に紘汰が言い返す。
“イチ・ジュウ・ヒャク・セン・マン・オク・チョウ・ムリョウタイスウ！”
紘汰が火縄大橙DJ銃にカチドキロックシードをセットする。火縄大橙DJ銃の刀身にエネルギーが集まっていく。
「だったらオレはコイツだ。」
士がライドブッカーを構えて、エネルギーを集中させる。彼の後ろにＷ・サイクロンジョーカーエクストリームの幻影が現れる。
紘汰と士が火縄大橙DJ銃とライドブッカーを振りかざして、巨大な光の刃を放った。２つの刃が激しくぶつかり合うが、紘汰の刃が士の刃に打ち消されていく。
「何っ!?」
驚きの声を上げる紘汰に士の刃が飛び込む。刃による爆発に紘汰と光輝、ライトたちが吹き飛ばされて変身が解けてしまう。
「すごい・・ここまでとんでもないパワーだなんて・・・！」
「いや、それだけじゃない・・オレの攻撃が打ち消された・・・！」
トカッチと紘汰が士のパワーに対して驚きの声を上げる。
「Ｗの力を使って、紘汰くんの攻撃を無効化したのか・・・！」
光輝が士の見せた力について語りかける。
「情報というのも役に立つものだな。ま、どっちにしても今のオレに、お前たちの力は通じないけどな。」
「お前・・どこまでライダーの力を・・・！」
淡々と語りかける士に光輝が憤りを覚える。
「今のオレはあらゆるヒーローの力を使いこなすことができる。それもオリジナルを大きく超えた形で。」
「ヒーローって・・まさか・・!?」
士の言葉を受けて、ヒカリが緊張を膨らませる。ライドブッカーを構えた士の後ろに、レッドビュートを構えたアカレンジャーの幻影が現れた。
「仮面ライダーだけでなく、スーパー戦隊、宇宙刑事の力を使いこなせる。」
士がライドブッカーを振りかざして衝撃を巻き起こす。光輝たちがその衝撃で再び吹き飛ばされる。
「お前たちは今、全てのヒーローを相手にしているのと同じ状況にある。」
士が光輝たちに言いかけて、ゆっくりと近づいていく。
「諦めろ。往生際が悪いのはみっともないぞ。」
「それで諦めると思っているのか・・・!?」
低く告げる士に言い返してきたのは竜也だった。
「竜也・・・！」
「オレも光輝も、お前の言いなりにはならない。たとえお前も倒されたとしても・・」
光輝が戸惑いを見せる前で、竜也が士に意思を示す。
「別にお前たちを手下だとか部下だとかにしようなどとは思っていない。お前たちがオレに倒されるのは確かだけどな。」
士が言いかけて、ライドブッカーの切っ先を竜也に向ける。
「オレはお前に倒されない・・倒されるとしても、お前を道連れにする！」
「竜也・・お前、まさか・・・!?」
竜也が口にした言葉に、光輝が不安を覚える。
「道連れになどされない。地獄に行くのはお前たちだ。」
強気を崩さない士に竜也が向かっていく。力を込めてパンチを繰り出す竜也だが、士に左手に受け止められてしまう。
「最強クラスのガルヴォルスもこの程度にしか感じないのか・・」
士が言いかけて、竜也に炎のパンチを叩き込む。その後ろにアギト・バーニングフォームの幻影がいた。
竜也が体を焼かれながら突き飛ばされる。
「大丈夫か!?」
倒れた竜也に一真が駆け寄る。巧が士に向かってパンチを繰り出していくが、士には全く通じない。
士はライドブッカーをガンモードにして、巧を射撃する。彼の後ろには「特捜戦隊デカレンジャー」のデカレッド・スワットモードの幻影がいた。
士の強力な射撃を受けて、巧が大きく横転する。
「巧さん、剣崎さん・・竜也・・・！」
光輝が声と力を振り絞る。だが思うように体を動かせず、竜也たちの援護に回れない。
「これで終わりにする。最後は宇宙刑事の力だ。」
士がライドブッカーをまたソードモードにして構える。彼の後ろに現れた幻影は、レーザーブレードを構えたギャバンだった。
「やばい！ライト！」
トカッチが慌ててライトを後ろに引っ張った。次の瞬間、士がライドブッカーを振りかざして、巨大な光の刃を放った。
「うわあっ！」
光輝、紘汰、ライトが大きく吹き飛ばされる。
「光輝・・絶対に、己を曲げるな・・・！」
光輝に呼びかける竜也の姿が光の刃の閃光の中に消える。巧、一真、トカッチ、ミオ、ヒカリ、カグラも閃光の中に巻き込まれてしまった。
「竜也！みんな！」
光輝の悲痛の叫びが閃光と虚空にこだました。
士の発揮した力によって竜也たちも消滅させられてしまった。士は自分の発揮した力を実感していた。
「これが、今のオレの力・・全てのヒーローの力を、オレは使いこなせる・・」
自分の両手を握りしめて、士が呟きかける。
「だが全滅したわけじゃない。この攻撃で遠くに飛ばされたようだ・・」
士が辺りを見回して光輝たちを探す。しかし光輝たちの姿も見当たらない。
「だがすぐに見つけ出す。残るはヤツらだけだ。」
光輝たちを追って、士は歩き出していった。
「くっ・・このままで済むと思うな・・ヤツらを地獄に送るのはオレだ・・！」
彼の後ろ姿を見て、エターナルがいら立ちを見せる。彼は先に光輝たちを倒そうと、躍起になっていた。
士の放った光の刃に吹き飛ばされた光輝、紘汰、ライト。意識を失っていた３人。しばらくたってから、光輝は目を覚ました。
「くっ・・ディケイドと戦った場所とは違う・・あそこから吹き飛ばされてきたのか・・・」
光輝が起き上がって辺りを見回す。
「紘汰くん、ライトくん！しっかりして！」
光輝が呼び起こすと、紘汰とライトも目を覚ました。
「オ・・オレたち・・・」
「オレたちだけここまで吹き飛ばされてきたみたいだ・・」
記憶を巡らせる紘汰に、光輝が事情を説明する。
「あれ!?トカッチは!?ミオ、ヒカリ、カグラ！」
ライトが辺りを見回してトカッチたちを探す。すると光輝が表情を曇らせる。
「オレたち以外は、ディケイドにやられて・・・！」
「そんな・・みんなまで・・・！」
光輝が口にした言葉を受けて、ライトが愕然となって膝をつく。
「どんなときでも、今までずっとみんな一緒だったのに・・・！」
トカッチたちまでも失って、ライトが感情をあらわにする。彼はこの非情な現実に打ちひしがれていた。
「アイツ・・どこまで・・どこまでオレたちの仲間を消せば気が済むんだ!?どれだけ世界をムチャクチャにすれば気が済むんだ!?」
紘汰も士の行動に怒りと悔しさを隠せなくなる。
「ディケイド・・もう世界や夢だけじゃな・・全ての破壊者と化してしまった・・・！」
「光輝さん・・・！」
憤りを口にする光輝に、紘汰がさらに感情を見せる。
「何としてでも、アイツを止めないといけない・・これ以上、アイツのいいようにはさせない・・・！」
士に対する静かな怒りを募らせていく光輝。彼の中にあった迷いや苦悩は完全になくなっていた。
「やっぱりアイツは、自由と平和のために倒すべきだったんだ・・・！」
「倒すべきかどうかは分かんないけど、何とかしないとっていうのはオレも思う・・・！」
光輝が口にした言葉にライトが言葉を返す。
「このままじゃオレたちだけじゃない・・アイツのために、世界が闇に染まることになる・・そんなのは絶対に止めないと・・・！」
「ライト・・そうだ・・こんなこと、絶対に認めるもんか・・オレが、オレたちが止める・・・！」
ライトに頷いて、紘汰も続いて決意を言い放つ。
「紘汰くん・・ライトくん・・・ありがとう・・・」
２人の意思を受け止めて、光輝が感謝の言葉を送る。
「オレは諦めない・・オレたちはまだ諦めていない・・いつまでもどこまでも戦い続ける・・それぞれの正義や、大切なもののために・・！」
光輝が言いかけて手を差し伸べてきた。紘汰とライトも手を差し伸べて、光輝の手と重ねた。
「まだ諦めていなかったのか。」
そのとき、光輝たちの前に士が現れた。
「ディケイド・・・！」
士の登場に紘汰が光輝とともに憤りを見せる。
「今度こそ終わりだ。確実にこの手で葬ってやる。」
「もうこれ以上・・みんなを好き勝手にはさせない！」
右手を握りしめてきた士に、光輝が言い返してくる。
「そうだ・・アンタを止めるまで、オレは絶対に諦めない！」
「オレたちの終着駅はここじゃない・・だからオレたちは絶望することはない・・！」
紘汰とライトも士に言いかける。すると士がため息をついてきた。
「諦めの悪さはヒーローの最大の武器というところか・・だがお前たちにできることは何もない。」
士が強気な態度で光輝たちに言いかける。
「お前たちはたったの３人だ。その上オレは今までにない力を手に入れている。これでお前たちに勝ち目があるのか？」
「あるね・・！」
士に言い返してきたのはライトだった。
「オレたちには見えている。お前が勝ち目がないと言っているこの状況を逆転するイマジネーションがね！」
「そんなものはない。お前が見ているのはただの幻だ。」
「幻でも夢でも、イマジネーションをふくらませれば現実になる。」
あざ笑ってくる士だが、ライトは思いと信頼を消さない。
「光輝さん、紘汰、２人にも見えているはずだよ。」
ライトが声をかけて、光輝と紘汰も頷いた。３人が１度目を閉じて、逆転の瞬間を想像していく。
（竜也・・みんな・・今までみんなが守ってきたこの地球、たくさんの世界、たくさんの宇宙・・そんなみんなを信じている、世界の人々・・）
光輝が竜也や仮面ライダー１号、アカレンジャー、撃たちの姿を思い出していく。
（ミッチ、戒斗、舞・・オレはまだ諦めてないぞ・・・）
紘汰も心の中で戒斗たちのことを思い出して、心の中で語りかけていく。
（トカッチ、ミオ、ヒカリ、カグラ・・分かっているよ・・）
ライトもトカッチたちに呼びかけて、その瞬間を見出した。彼らが閉ざしていた目を開いて、士に目を向けた。
「実現することのない想像じゃなく、お祈りでもしていたほうがかわいげがあるぞ。」
士が言いかけてライドブッカーを振りかざす。その衝撃に押されて光輝たちが突き飛ばされる。
「今のオレは絶対の存在になった。誰にもそれを覆すことはできない。」
「いいや、オレたちが覆す・・・！」
士の言葉に言い返して、光輝が立ち上がる。紘汰とライトも続いて立ち上がった。
「仮面ライダー、スーパー戦隊、宇宙刑事・・ヒーローの伝説は、終わることも、お前の好き勝手にされることもない・・！」
光輝が言い放ち、彼らはそれぞれオメガクリスタルとスピリットカリバー、カチドキロックシード、トッキュウレッシャーを手にする。
“変身いたしまーす。白線の内側に下がってーお待ちくださーい。”
「変身！」
「トッキュウチェンジ！」
“カチドキアームズ！イザ・シュツジン！エイ・エイ・オーッ！”
“トッキュウ１号。トッキュウ１号。”
光輝、紘汰、ライトがオメガ・スピリットフォーム、鎧武・カチドキアームズ、トッキュウ１号に変身した。
「往生際が悪いな、本当に・・」
士が光輝たちに呆れてため息をつく。
「アンタ、いろんなヒーローの力を使えるんだったな!?」
そんな士に紘汰が声をかけてきた。
「オレもアンタほどじゃないが、いろんな武器や技が使えるぞ！」
紘汰が新たなロックシード「極ロックシード」を取り出した。
“フルーツバスケット！”
彼は極ロックシードをカチドキロックシードの横にある鍵穴に差し込んで回す。
“ロックオープン！”
すると２つのロックシードが同時に開いた。
“キワミアームズ！ダイ・ダイ・ダイ・ダイ・ダイショウグン！”
紘汰がまとっていたカチドキアームズがはじけ飛んで、中から銀の鎧「極アームズ」が現れた。
「それがお前の最強形態というヤツか。」
士が極アームズを披露した紘汰を見て呟く。
「光輝さん、ライト、オレが先に仕掛ける。２人は援護を頼む・・」
「紘汰くん・・しかし・・！」
呼びかける紘汰に光輝が当惑を見せる。
「頼みます・・絶対に負けられない戦いということは、十分分かっています・・・！」
「紘汰くん・・分かった。頼むぞ・・」
紘汰の申し出を光輝は聞き入れた。
「今見せてやる・・みんなの力を！」
紘汰は言い放つと、戦極ドライバーにセットされている極アームズを回していく。
“ダイダイマル！”
すると彼の手元にオレンジアームズの武器、大橙丸が現れた。
“バナスピアー！”
さらに極アームズを回した。すると戒斗のバナナアームズであるはずのバナスピアーが現れた。
「これって、もしかして他のライダーの武器も使えるってこと・・!?」
ライトが紘汰の発揮する極アームズの能力に驚きの声を上げる。
「そう来たか。面白い。試してやる。」
士が言いかけてライドブッカーを構える。紘汰も飛び出して、大橙丸とバナスピアーを振りかざす。
「武器を真似しているだけじゃない。力も上がっているようだな。だが・・」
士が紘汰の極アームズの能力を分析すると、即座に反撃に転ずる。彼はライドブッカーでバナスピアーを受け止めて、キックで紘汰を突き飛ばす。
「うっ！」
「紘汰くん！」
紘汰がうめいたところで、光輝が飛び込んで、スピリットカリバーを振りかざす。スピリットカリバーをライドブッカーで受け止めてく士だが、光輝に押されていく。
「オメガの力は精神力。精神力を高めたことで、オレとの力の差を詰めようとしてくるか。」
士が光輝の力を実感していく。
「だが、オレほどではないな。」
士が光輝にパワーを込めたパンチを叩き込む。彼の後ろにオーズ・サゴーゾコンボの幻影がいた。
「ぐっ！」
重みのあるパンチを受けて光輝が押される。
「光輝さん！」
紘汰が士に向かっていって、大橙丸とバナスピアーを振りかざす。だが士が振り上げたライドブッカーで大橙丸がはじき飛ばされる。
紘汰がとっさにバナスピアーを左手から右手に持ち替えて、左手で極ロックシードを回す。
“メロンディフェンダー！”
士が振りかざしてきたライドブッカーを、紘汰は手にした盾「メロンディフェンダー」で受け止める。そしてバナスピアーで士を突き飛ばす。
「よーし！オレも！」
“撃ちまーす。”
ライトがウチマスモードにしたトッキュウブラスターで、士を狙い撃つ。だが士にライドブッカーで射撃を防がれる。
「攻撃の手数を増やしても、オレを倒すことはできない。」
士が一気にスピードを上げて、光輝、紘汰、ライトを突き飛ばす。その残像にはファイズ・アクセルフォームの幻影も混じっていた。
士が残像とともにジャンプして、エネルギーを集めたキックを繰り出してきた。
「うわっ！」
「ぐあっ！」
光輝たちが突き飛ばされて横転する。力を振り絞って立ち上がる彼らの前に、士が着地する。
「力も手数も、オレのほうが圧倒的に上だ。」
「まだだ・・オレたちは絶対に諦めたりしない・・・！」
淡々と言いかける士に、光輝が声も振り絞る。
「諦めの悪さもここまでだ。これで終わらせる。お前たちも全ても。」
光輝たちにとどめを刺そうと、士が意識と力を集中させていた。