オメガx鎧武xトッキュウジャー

スーパーヒーロー・ファイナルバウト

第7章

 

 

 烈車に乗り込んで危機を脱した光輝たち。しかし光輝も紘汰もダイゴたちを助けることができなかった自分を責めていた。

「ちくしょう!・・みんなを助けられなかった・・ディケイドを止められなかった・・・!」

 光輝が感情をあらわにして、握りしめた手を壁に叩きつける。

「お客さーん、烈車の中のものを壊さないようにー・・」

「チケットくん、今は部屋に声をかけないほうがよさそうです・・・!」

 声を上げるチケットの口を、車掌が手でふさぐ。打ちひしがれている光輝に、ライトが声をかけてきた。

「ホント、悔しいよ、オレ・・あなたやみんなにこんな思いをさせている自分が、許せなくなってくる・・・」

「ライトくん・・君が悪いんじゃ・・・!」

 自分を責めるライトに光輝が弁解を入れる。

「あぁ・・悪いのはオレだ・・・」

 2人に紘汰が言葉を挟んできた。

「いい案か何か思いついてれば、こんなことにはなんなかったんじゃないかって・・バカなオレ自身が情けなくなってくる・・・!」

「紘汰くん・・ライトくん・・君たちは別に・・・」

 同じく自分を責める紘汰に、光輝は困惑を募らせていく。ダイゴたちを守れなかったのを自分の責任と思って、彼らは落ち込んでしまっていた。

「ライト・・・」

「紘汰さん・・・」

 光輝たちの様子を見て、ミオと光実も戸惑いを感じていく。誰もが気に病んでいるレッドレッシャーの車内で、その沈黙を破ったのは竜也だった。

「そうまで自分に責任を感じているなら、ヤツらとまた戦わないといけないぞ、光輝・・」

「竜也・・・」

 竜也が投げかけた言葉に光輝が戸惑いを覚える。

「ヤツらのやっていることが間違いだというなら、戦うしかない・・たとえ倒さずに間違いを止めるためだとしてもだ・・」

「戦うしかないって・・このまま戦うだけになるなんて・・・!」

 竜也が投げかける言葉に、紘汰が言い返してくる。すると竜也が紘汰に鋭い視線を向ける。

「どうするかは自分自身だ・・だがそのために誰かを傷つけて平気でいたり、偽物の正義を振りかざしたりするのを、オレは許しはしない・・・!」

「アンタ・・・」

「戦いたくないという自分の決意のために、他のヤツを傷つけたり見殺しにしたりすることもな・・・」

 戸惑いを見せる紘汰に、竜也に忠告を投げかける。彼の言葉を受けて、紘汰が迷いを振り切ろうとする。

「止めないと・・このままじゃアイツら、他のみんなまで・・そのせいで、今のオレたちと同じ気分が味わうことに・・・!」

「紘汰・・そうだな・・らしくなくなってたな、オレ。こんなところでいつまでも止まっていることなんてなかったのに・・・」

 紘汰の決意を目の当たりにして、ライトも気を引き締めていく。

「オレたちの終着駅はここじゃない。まだまだ遠くの、もっとずっと先にある・・」

「あぁ、そうだ・・こっからはオレの・・いや、オレたちのステージだ・・・!」

 ライトと紘汰が決心を口にしていく。

「光輝、改めて聞く・・お前はどうするつもりだ?・・何のために戦う・・・?」

 竜也が真剣な面持ちで光輝に問いかける。

「僕は・・僕は戦う・・仮面ライダーとして、世界や宇宙の、自由と平和を守るために・・・」

 光輝も自分自身の決意を口にしていく。

「そのためには、ディケイドはどの世界にもいてはいけないんだ・・何度でも出てくるなら、何度でも倒す・・世界のために、みんなのために・・・!」

「そうか・・お前が見せる正義は、揺るがないものとなっていたと思ったのは間違いではなかった・・・」

 揺るぎない信念を示した光輝に、竜也が小さく頷いた。

「それじゃすぐに戻って、アイツらをやっつけよう!」

「残念ですが、すぐにはそれはできません。」

 意気込みを見せるライトを車掌が呼び止めてきた。

「ちょっと車掌さん、ここでストップはないでしょ〜・・」

「ダメですよ、ライトさん。あなたたちのイマジネーションも紘汰さんたちの体力も回復していません。」

「それなのに出てっても勝率悪くなるだけですよー。」

 肩を落とすライトに車掌とチケットが呼びかける。彼らに止められて、ライトは座席に腰を下ろすしかなかった。

「そうだな・・少し体を休めるとするか・・・」

 戒斗も続けて近くの座席に腰を下ろした。

「そうですね・・はやる気持ちは否めませんが、改めてディケイドたちの行方をはっきりさせておかないと・・」

「動きたくても動けない。闇雲で見つけるのには限界があるというものだ。」

 光実とヒカリが冷静に言いかける。

(そうだ・・今は落ち着かないと・・意思を示すのは、次に戦うときだ・・・)

 心の中で決意を固めていく光輝。彼も感情を抑えて、冷静であろうとしていた。

 

 全てのヒーローを倒すことを目的としていた士は、光輝たちを追い求めて歩き続けていた。

「オレは破壊者。お前たちをのさばらしておけば、オレは絶望するしかなくなる・・・」

 士が込み上げてくる感情を痛感していく。

「オレはあのとき、オメガに倒された。もしも魔空空間に落ちていなかったら、オレは完全にお陀仏だっただろうな・・」

 光輝に倒された瞬間を思い出していく士。

 絶対の自信を持っていた士だったが、その態度と言動が光輝の怒りを買うことになった。世界や夢を壊させないと強く意思を示した光輝の力によって、士は倒された。

「アイツに倒されたことで魔空空間に落ちて、その力を得て強くなったのは皮肉だったな・・」

 思わず笑みをこぼす士。しかし彼は強きを保ったまま笑みを消す。

「今度は負けない。いや、これからもオレは負けることはない・・」

 改めて絶対の自信を抱く士。彼は光輝たちが出てくるのを見据えていた。

 

 悲劇の瞬間から一夜が明けた。光輝たちはいつしか眠りについていた。夜に寝ていなかったのは車掌とチケットの他は、竜也と戒斗だけだった。

「お前とオレは似た者同士かもしれない。偽りの正義への憎悪を抱いている・・」

「それは違うな。オレは真の支配者が、真に力を持った者であると思っている。ただ権力や姑息なやり方で支配者ぶっているのが腹立たしいだけだ。」

 竜也が投げかけた言葉に、戒斗が自分の考えを込めて言い返す。

「オレはあくまでオレ自身のために戦っている。何も知らずに弱者のくせにのうのうとしているヤツらのためなどでは決してない。」

 戒斗が自分の考えを語りかけて、竜也に目を向ける。

「もしもオレのやり方に納得がいかないなら、邪魔者と見なす。葛葉紘汰と同じく。」

「オレの行く手を阻むなら容赦しない。たとえお前でも光輝でも。」

 竜也も戒斗に鋭い視線を向ける。すると戒斗が笑みをこぼしてきた。

「オレは相手あ何者であろうと負けるつもりはない。もしもオレと戦うことになるときのために、その首、洗っておくことだな。」

「オレも負けるつもりはない。だが、この戦いが終われば、オレも地獄に戻ることになるだろう・・」

「フン。負けるつもりはないと言っておきながら、早くも負けを認めるとはな。」

「違う。オレは、怪人たちをよみがえらせたガルヴォルスによって再生された1人だからな・・」

 竜也が投げかけた言葉に戒斗が眉をひそめる。

「この戦いが終われば、死者をよみがえらせた力も消える・・オレもここからいなくなることになる・・・」

「お前・・・」

「オレはもう死んでいる命だ。今こうしていること自体図々しいことだ・・」

 険しい表情を浮かべる戒斗に、竜也が語りかける。

「だから、オレとお前が戦うのはもう今しかないと言っても過言ではない、ということだ。」

「フン。どちらにしても、オレはオレの道を行くだけだ。弱者は力を見せつけ、邪魔者は退け、敵は徹底的に叩き潰す。これまでもこれからも、それは変わらない。」

 意思を示しながらも自分の運命を受け入れている竜也と、自分の意思を徹底的に貫こうとする戒斗。2人の考えや戦いは頑なのままだった。

「竜也、寝ていなかったのか・・・」

 そこへ光輝がやってきて、竜也に声をかけてきた。

「オレは生きながら死んでいるようなものだからな・・大したことではない・・」

「そんなことはない・・あのとき君は命を落としてしまったけど、今は生きている・・・」

「仮初めの命だがな・・」

 言いかける光輝に竜也が皮肉を口にする。

「光輝、お前の戦う理由、揺らいではいないのだろうな・・・?」

「うん・・もう、迷ったりしない・・・」

 竜也が投げかけた問いに、光輝が真剣な面持ちで頷いた。

「もうアイツは倒さないとダメだってことだよな・・?」

 さらに紘汰もやってきて、深刻な面持ちを見せてきた。

「紘汰くん・・紘汰くんはまだ・・・」

「はい・・納得できないことばかりだ・・バカな自分が情けない・・・」

 光輝が声をかけると、紘汰が肩を落とす。すると光輝が彼の肩に手を添えてきた。

「僕もバカだ、バカだってよく言われてた。もっと賢かったらちょっとはマシになれたかなって思うことが何度もあったよ・・」

「光輝さんも・・?」

「僕は仮面ライダーをTVで見ていて、ライダーになりたいって憧れも持ってた。そんな中で僕はこのオメガのベルトを手に入れて、仮面ライダーオメガ、ライダーの一員になったんだ・・」

 光輝が紘汰に今までの自分を思い出していく。

「でも世界や人々を守るのは、憧れや夢だけでできることじゃない。どうするのが正しいことなのか、誰かの思惑に乗せられていないか、考えながら、そして決めたことをやり通すことが大切だと知ったんだ・・」

「どうするのが正しいことなのか・・決めたことをやり通す・・・」

「自分のやっていることが正しいのか・・どっちも間違っていない、ということもある・・だから戦うときは気を付けないといけない・・一方的に相手が悪いと決めつけたり、目的のために手段を選ばなかったりするのは、もはや正義ではない・・」

「分かってます・・そんなこと、散々思い知ってきてます・・・」

 光輝の話を聞いて、紘汰が深刻な面持ちで答える。彼も戦極ドライバーとロックシードを手にして鎧武となってから、過酷な戦いと悲劇を経験してきた。

「悪い大人に騙されて、助けられたはずの人を助けられなかったり・・バカなオレも、経験して答えを見つけてきている・・・」

「オレはまだ、答えを探している途中かな。」

 紘汰が自分の辛い経験を口にすると、ライトも話に加わってきた。

「オレたちは名前と子供の頃のかすかな記憶しか覚えていない。君とはちょっと違うけど、オレたちも生きながら死んでいるようなもんだよ・・」

「ライトくん・・君たちも大変なことに・・・」

「オレたちは答えを探している途中だけど、紘汰もあなたたちも答えを見つけてる・・」

 戸惑いを見せる光輝に、ライトが笑みを見せて語りかける。

「答えを見つけるまでも戦い、答えを見つけてもその先も戦いが続く・・やめたり諦めたりしない限りは、自分自身の戦いに終わりはないんだ・・」

「そうですね・・オレもまだ、諦めるつもりはないですよ・・」

「オレも、オレたちも立ち止まらないよ。オレたちの答え探しも、この事件も。」

 光輝が投げかけた言葉を受けて、紘汰とライトが決意を口にした。

「ディケイドを倒す・・世界と人々の自由と平和のために・・・」

「止めないと・・これ以上、アイツのためにみんながムチャクチャになってたまるか・・!」

「みんなを絶望させるアイツは、オレたちで止める!」

 士と戦い、止めることを心に決める光輝、紘汰、ライト。彼らの様子を見て竜也と戒斗が笑みをこぼした。

「間もなく到着しますよ。準備はよろしいですか?」

「乗車も下車も駆け込みはやめてくださいよー。」

 そこへ車掌とチケットが光輝たちに呼びかけてきた。

「大丈夫。乗り降りは注意して、現場へは駆け込みで。」

 ライトが車掌たちに笑みを見せてきた。

「烈車を降りるときは気持ちを落ち着けて。」

「その後に、私たちの出発進行ってね。」

 トカッチとミオもやってきて、光輝たちに声をかけてきた。

「あなたたちがいるとはいえ、ライトだと暴走列車になりそうだからね。」

「もしそうなったら、私が止めないと・・・」

 ヒカルも笑みを見せて、カグラも小さく意気込みを見せる。

「僕もサポートさせてもらいます。ディケイドは何としても止めないと・・」

 光実も真剣な面持ちで言いかけてきた。彼らの決意を聞いて、光輝、紘汰、ライトが頷いた。

「行こう、みんな・・僕たちの正義も、自由と平和も、まだ終わらない・・これからも終わらない・・・!」

 光輝が言いかけて、紘汰、ライトと手を重ねて、決心を確かめ合った。

「さー、到着しましたよー。」

 チケットの声に光輝たちが頷いた。彼らはレッドレッシャーを降りて、街外れの通りに足を踏み入れた。

(お前の思い通りになることは何もない・・オレが、オレたちが何度でも・・・!)

 揺るぎない決意を心の中で呟く光輝。彼らは士を追い求めて歩き出す。

「やっと姿を現してきたか・・」

 そこへ声がかかり、光輝たちが振り向く。彼らの前にリュウガとオーガが現れた。

「お前ら・・よくもみんなを・・!」

 紘汰がリュウガたちに怒りをあらわにする。

「自分勝手な人間たちは滅びなければならない・・ヤツらを守っているお前たちも・・・」

 オーガが低い声音で言いかけて、光輝たちに近づいていく。

「滅びたりはしない・・世界のみんなも、僕たちも!」

 光輝が言い放って、オメガクリスタルを手にする。そして紘汰、戒斗、光実もロックシードを手にする。

「変身!」

“オレンジアームズ・ハナミチ・オンステージ!”

“ブドウアームズ・リュウ・ホウ。ハッハッハッ!”

“バナナアームズ・ナイトオブスピアー!”

 光輝、紘汰、光実、戒斗がオメガ、鎧武、龍玄、バロンに変身する。

“変身いたしまーす。白線の内側に下がってーお待ちくださーい。”

「トッキュウチェンジ!」

“トッキュウ1号。2号。3号。4号。5号。”

 ライトたちもトッキュウジャーに変身する。光輝たちがリュウガとオーガに立ち向かう。

Sword vent.”

 ドラグセイバーを手にしたリュウガが、紘汰の無双セイバーと大橙丸、戒斗のバナスピアーを受け止めていく。さらに光実のブドウ龍砲の射撃も素早い動きでかわしていく。

「コイツ、かなり動きがいいぞ!」

「いや、このリュウガの強みはスピード以上にパワーだ!龍騎に負けず劣らずの力を発揮する!」

 声を上げる紘汰に光輝が注意を促す。

「フン。どんなヤツだろうと、敵は倒すまでだ!」

 戒斗がバナスピアーを構えて、リュウガに攻撃を仕掛けようとした。そのとき、彼らの中心で突然爆発が起こった。

「何だ!?

G4!アイツもいたのか!」

 紘汰と光輝が声を上げる。G4がギガントで彼らを攻撃してきたのである。

「近距離と遠距離の両方かよ・・!」

「あっちは僕が押さえます!紘汰さんたちはリュウガを!」

 毒づく紘汰に光実が呼びかける。彼は新しくロックシード「キウイロックシード」を手にして、戦極ドライバーのブドウロックシードと入れ替えた。

“ロックオン!”

“キウイアームズ・ゲキ・リン・セイヤッハッ!”

 光実がキウイアームズを身にまとい、2つの刃の輪「キウイ撃輪」を手にする。G4がギガントを発射するが、光実はキウイ撃輪を盾として使って、ミサイルを防ぐ。

 光実がG4に近づいて、キウイ撃輪を振りかざす。G4は距離を取って銃「GM-01」を手にして発砲する。

 光実が射撃をかいくぐって、キウイ撃輪でG4を切りつけていく。押されて壁に叩きつけられたG4が、光実の動きを注視する。

 さらにキウイ撃輪を振りかざす光実。だが今度はG4は的確にキウイ撃輪をかわした。

「えっ!?

 一瞬驚きを覚えながらも、光実は続けて攻撃を仕掛ける。だがその全てを、G4は回避と防御をやってのけた。

「僕の攻撃が読まれている・・!?

 ついに驚きを隠せなくなる光実。反撃に出たG4のキックを受けて、彼は突き飛ばされる。

「ミッチ!」

 光輝がたまりかねて、G4に向かっていく。

「待て!G4には予知能力が備わっているかもしれない!」

「だったら読まれてもよけられないようにすれば!」

“ミックス!オレンジアームズ・ハナミチ・オンステージ!ジンバーレモン!ハハーッ!”

 光輝の注意に答えて、紘汰がジンバーレモンアームズを身にまとう。彼は素早い動きでG4の予測が追いつかないスピードで、ソニックアローで攻め立てる。

 突き飛ばされたG4を見据えて、紘汰がジンバーレモンロックシードをソニックアローに移す。

“オレンジスカッシュ!”

“レモンエナジー。”

 戦極ドライバーのカッティングブレードを1回倒して、ソニックアローにエネルギーを集中させる紘汰。彼が放った光の矢が、G4の装甲を貫いた。

 体を貫かれたG4が怯む。

“キウイオーレ!”

 光実が戦極ドライバーのカッティングブレードを2回倒して、キウイ撃輪を振りかざしてエネルギーの刃を飛ばす。さらに切りつけられたG4が爆発を起こして消滅した。

「やったな、ミッチ!」

 紘汰が声をかけて、光実が小さく頷く。

「光輝さんたちの援護に戻りましょう。」

「あぁ!」

 光実の呼びかけに紘汰が答える。2人がリュウガと戦っている光輝、戒斗と合流しようとした。

「危ない、紘汰さん!」

 そのとき、光実が紘汰を横に突き飛ばした。次の瞬間、光実の体を一条の光が貫いた。

「ミッチ!」

 叫ぶ紘汰の前で光実がふらつく。2人の前にディケイド・コンプリートフォームになっている士が現れた。彼がガンモードのライドブッカーで光実を撃ち抜いたのである。

「勘がいいな。鎧武を先に仕留めたかったんだけどな。」

「ミッチ!しっかりしてくれ、ミッチ!・・お前!」

 呟きかける士に紘汰が怒りをあらわにする。紘汰が士に飛びかかって、ソニックアローを振りかざす。

「今度こそお前を仕留めさせてもらう。」

 士がライドブッカーをソードモードにして、ソニックアローをはじき返す。突き立てたライドブッカーに紘汰が突き飛ばされる。

「相手が武将なら、コイツで決めるのがいいな。」

Hibiki,kamen ride,armed.”

 ライドブッカーを構えた士の隣に、音撃増幅剣「装甲声刃(アームドセイバー)」を構えた装甲(アームド)響鬼(ひびき)の幻影が現れる。

「紘汰さん!」

 光実が飛びかかって、士に向けてキウイ撃輪の1つを投げつける。軽々とかわした士に、光実がもう1つのキウイ撃輪を振りかざす。

 次の瞬間、士が振りかざしたライドブッカーが光実の体を切り裂いた。

「ミッチ!」

「紘汰さん・・僕は・・・!」

 叫ぶ紘汰の前で、声を振り絞る光実が閃光に包まれて消えていった。

「ミッチ!」

G4、うまく注意を引き付けてくれたというところか。」

 悲痛の叫びを上げる紘汰と、笑みをこぼす士。

「お前、よくも・・よくもミッチを!」

 怒りをあらわにした紘汰が士に飛びかかる。彼は力任せにソニックアローを振りかざす。

「慌てるな。お前もすぐに後を追わせてやる。」

 士がライドブッカーでソニックアローを跳ね返して、紘汰に切りかかる。紘汰の怒りは空回りになり、士に押され気味になる。

「紘汰くん!」

 リュウガと交戦する光輝が声を上げる。戒斗がリュウガの攻撃をかいくぐって、士に向かっていく。

 そこへエターナルが飛び込んできて、戒斗を横から蹴り飛ばしてきた。

「エターナル!アイツも出てきたのか・・!」

 エターナルの出現に光輝が焦りを募らせる。立ち上がった戒斗の前に、エターナルが立ちはだかる。

「お前も味わってみるか、地獄を?」

「お前のことなど知ったことか。それに、オレが受けた地獄のほうが上だ!」

 あざ笑ってくるエターナルに言い返して、戒斗がバナスピアーを振りかざす。だがエターナルにかわされて、逆にキックを受けて突き飛ばされる。

「大口ばかりだな。お前みたいな小僧とは、くぐってきた修羅場が違うんだよ。」

 倒れている戒斗を見下ろして、エターナルがあざ笑う。

「ここらで体験してくるといい。本当の地獄ってヤツをな!」

Eternal,maximun drive.”

 言い放つエターナルが足にエターナルウェーブを集めて飛び上がる。

「地獄に送られるのは貴様のほうだ!」

“バナナスパーキング!”

 戒斗が即座に戦極ドライバーのカッティングブレードを3回倒して、エネルギーを一気に引き出す。彼がバナスピアーを地面に突き立てると、地面からバナナの形のエネルギーがエターナル目がけて飛び出してきた。

 エターナルのキックがバナナ状のエネルギーとぶつかり合った。エターナルはバナナのエネルギーを打ち破り、戒斗の体にキックを命中させた。

「ごあぁっ!」

 蹴り飛ばされた戒斗が激しいダメージを負って、起き上がるのがやっとになっていた。

「戒斗!ぐっ!」

 声を上げる紘汰が、士に切りつけられて突き飛ばされる。

「そいつもそろそろうっとうしいな。オレが始末してやる。」

 士が戒斗に目を向けて呟きかける。

Final kamen ride,Decade.”

 大きくジャンプした士の前にエネルギーのカードが現れる。彼はカードを通ってエネルギーをまとって、戒斗にキックを叩き込んだ。

「オレは・・オレはまだ!」

 声と力を振り絞る戒斗だが、士のキックの光の中に消えていった。

「戒斗!」

 戒斗も士の手にかかったことに、紘汰が絶叫を上げる。

「ディケイド・・貴様!」

 光輝の士に対する怒りが頂点に達した。士に向かおうとした光輝だが、リュウガ立ちふさがってきた。

「どけ!」

 光輝がスピリットカリバーを手にして、オメガクリスタルを移し替える。彼はスピリットフォームになって、リュウガを切りつけていく。

 押されて突き飛ばされるリュウガが、起き上がったところでブラックドラグバイザーにカードをセットした。

Final vent.”

 大きく飛び上がるリュウガの後ろにドラグブラッカーが舞う。ドラグブラッカーの炎に押される形で、リュウガが光輝目がけてキックを繰り出す。

「スピリットスラッシャー!」

 光輝が精神エネルギーを刀身に込めたスピリットカリバーを振りかざした。スピリットカリバーから光の刃が放たれて、リュウガの黒い炎のキックとぶつかった。

 光の刃に切り裂かれて、リュウガが光の中に消えていって消滅した。

「ディケイド、オレはお前を許さん!」

「だったら試してみろ。オレはもう2度と負けることはない。」

 言い放つ光輝に士が勝気を見せる。光輝が振りかざしたスピリットカリバーを、士がライドブッカーで受け止める。

 光輝と士がさらにスピリットカリバーとライドブッカーをぶつけ合い、火花を散らしていく。

「スピリットライダーパンチ!」

 光輝が士とつばぜり合いを繰り広げたまま、精神エネルギーを集めたパンチ「スピリットブレイカー」を繰り出す。パンチをライドブッカーに叩き込まれて、士が押される。

「お前をこのまま野放しにしておくわけにはいかない!絶対に倒す!」

「正義や使命をいいわけにした、自己満足のためにか?」

「いや、世界や人々の自由と平和のためだ・・!」

 あざ笑ってくる士に光輝が決意を言い放つ。

「自分の目的のために、ミッチや戒斗まで・・オレは、アンタの好き勝手を絶対に許さねぇ!」

 紘汰も怒りをあらわにしてソニックアローを構える。彼と光輝が士の前に立ちふさがる。

「うわあっ!」

 そのとき、ライトたちが突き飛ばされて、光輝と紘汰の前に転がってきた。

「ライト、大丈夫か!?

 紘汰がライトに駆け寄って声をかける。彼らの前にオーガがやってくる。

「オーガが、ここまで強くなっていたのか・・・!?

「いや、オレが加勢したからだ。」

 光輝が疑問を抱いたとき、声がかかってきた。オーガが発したものではなく、彼の後ろからもう1人のライダーが現れた。

「お前は、ガオウ・・来ていたのか・・・!」

 光輝が銅のライダー、ガオウに声をかける。

「久しぶりにこの世界で大暴れできてうれしいぜ。しかもまた電車みたいなヤツらを見つけるとはな。」

「それって電王のことかな?電車と縁があるってことかな、お前・・!」

 不敵な笑みをこぼすガオウに、ライトが皮肉を口にしていく。

「そうかもな。どっちにしても、お前らは終わりだ。オレとこうして会った時点でな。」

 ガオウが武器「ガオウガッシャー」を手にしてソードモードにして、切っ先をライトに向けてきた。

「それは違うな。オレたちの終着駅は、こんなところじゃない!」

 ライトが諦めずにガオウに言い放つ。次の瞬間、ガオウが突然横から突き飛ばされた。

「誰だ!?

 すぐに体勢を立て直したガオウが、振り向いて声を上げる。彼の前に現れたのは2人の仮面ライダー。

「巧さん、剣崎さん、無事だったんですね・・・!」

「姿を見せないと思っていたら、ここで出てきたか。」

 喜びの声を上げる光輝と、呟きかける士。彼らの前にファイズ=(いぬい)(たくみ)とブレイド=剣崎(けんざき)一真(かずま)が現れた。

 

 

 

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