オメガx鎧武xトッキュウジャー

スーパーヒーロー・ファイナルバウト

第4章

 

 

 沢芽市の中心にある巨大企業「ユグドラシルコーポレーション」。沢芽市の多くはユグドラシルの傘下に置かれている。

 そのユグドラシルの研究部門のリーダーを務めているのが、呉島貴虎(たかとら)。光実の兄である。

 光実は世界の異変に関する情報を探るため、貴虎に会っていた。

「確かに“クラック”出現の頻度も数も増してきている。こちらでも調査と対処を強化している。」

 貴虎が無表情で光実に言いかける。

「それでもこのクラックの発生の数は尋常じゃない。もしかしたら、誰かがクラックを意図的に開けているんじゃ・・」

「バカな。インベスでもそこまで企むほどの知能は持ち合わせてはいない。人間から変化したインベスでも、それほどの知能も失われている。」

 話を投げかける光実だが、貴虎は信じようとしない。

「それに、最近インベス以外の怪物も現れているみたいだし・・ヘルヘイム以外の脅威が沢芽市に、世界に押し寄せようとしているんじゃ・・」

「くだらない・・光実、疲れているようだな。根も葉もない噂を真に受けるものではない。信用するに足るのは、直接目にしたものだけだ。」

 光実が語りかける話に、貴虎が肩を落とす。

「だったら、ここにいるオレのことも信じられるということか。」

 そこへ別の声が飛び込んできて、光実と貴虎が振り返る。彼らの前に1人の青年が現れた。

「何だ、お前は?警備は何をやっている・・」

 貴虎が目つきを鋭くして、青年に問いかける。

「警備なら全員打ち倒してきた。マツボックリみたいなライダーたちもな。」

「まさか、ライダー部隊を倒したっていうのか・・!?

 青年が口にした言葉に、光実が驚きの声を上げる。

「貴様、何者だ・・・!?

「オレは門矢(かどや)(つかさ)。通りすがりの、仮面ライダーだ。」

 鋭く問いかける貴虎に青年、士が名乗って、1枚のカードを取り出した。

「変身。」

Kamen ride,Decade.”

 士がカードをベルト「ディケイドライバー」にセットする。すると彼の体をマゼンタの装甲と仮面が包み込んだ。

「何だと・・!?

「アーマードライダー・・じゃない・・別のライダー・・!?

 変身した士に貴虎も光実も目を疑う。

「オレは全てのライダーを・・いや、全てのヒーローを倒す。そして、オレが本物のヒーローとして君臨する。」

「ふざけたことを・・ユグドラシルに対してこのような大それたことをした罪、私の手で償わせてやる・・!」

 言いかける士に敵意を向ける貴虎。彼はベルト「ゲネシスドライバー」を身に着け、「メロンエナジーロックシード」を取り出した。

“メロンエナジー。”

 メロンエナジーロックシードを解錠する貴虎。

「兄さん、僕も戦います・・・!」

“ブドウ!”

 光実もブドウロックシードを解錠して、身に着けた戦極ドライバーにセットする。

“ロックオン!”

“ロックオン。”

 貴虎もメロンエナジーロックシードをゲネシスドライバーにセットする。

「変身。」

“ソーダ。メロンエナジーアームズ。”

 彼はゲネシスドライバーのハンドル「シーボルコンプレッサー」を押して、メロンエナジーロックシードを開く。同時にゲネシスドライバーの下部の容器「コンセントレイトポッド」にメロンエナジーロックシードのエネルギーが絞り出される。

 そして貴虎の体をメロンの鎧が包み込んだ。彼はアーマードライダー「斬月(ざんげつ)」に変身した。

「変身。」

“ハイー!”

“ブドウアームズ・リュウ・ホウ。ハッハッハッ!”

 光実も龍玄に変身する。2人が士を見据えて構えを取る。

「それが新しい仮面ライダーの姿か。だが今も過去も、全てのヒーローはオレが倒す。」

「貴様の正体は知らないが、ユグドラシルや沢芽市、いや、世界を脅かす敵として始末する。」

 淡々と言いかける士に言い返して、貴虎が弓矢「ソニックアロー」を手にする。彼は士に飛びかかり、ソニックアローを振りかざす。

 士はソニックアローをかわして、さらに受け解けて貴虎と組み付く。2人はそのまま窓を破って、外へ飛び出す。

「兄さん!」

 光実が慌てて貴虎を追いかける。地上に降りた貴虎と士が、再び攻防を繰り広げる。

 貴虎がソニックアローを構えて、士に向けてエネルギーの矢を放つ。貴虎の射撃は正確で、士のまとうディケイドの装甲に命中して火花を散らした。

「なるほど。実力はあるようだな。」

 士が笑みをこぼすと、専用武器「ライドブッカー」を取り出して「ソードモード」にした。

「これで少しは侍に近づけるか。」

 士が貴虎に向かっていって、ライドブッカーを振りかざす。貴虎もソニックアローを振りかざして迎え撃つ。

 2人の武器がぶつかり合って、激しく火花を散らす。

「兄さん!」

 そこへ光実が駆けつけて、ブドウ龍砲を発射してきた。士はライドブッカーを振りかざして、光実の射撃を弾く。

「兄さん、大丈夫・・!?

「オレがこの程度でやられるものか。余計な心配をするな、光実。」

 光実の心配の声に、貴虎が冷静に答える。

「余計な心配ということはないぞ。ま、ムダな心配になるかもしれないがな。」

「葬られるのはお前のほうだ。ここで終わりにする。」

 士に言い返して、貴虎がゲネシスドライバーからメロンエナジーロックシードを取り出して、ソニックアローにセットする。

“ロックオン。”

 メロンエナジーロックシードのエネルギーがソニックアローに注がれる。その直後、光実が士に向けてブドウ龍砲を発射してきた。

 士は光実の射撃を軽々とかわして見せた。

“メロンエナジー。”

 そのとき、貴虎がエネルギーを集めていたソニックアローから強力な矢を放った。光実の射撃は士を彼から注意をそらす陽動だった。

Attack ride,Illusion.”

 その瞬間、士の姿が3つに分かれた。貴虎の放ったエネルギーの矢は、士の作り出した分身の1人に当たってかき消した。

「分身・・!?

「分身を作って身代わりにしてきたのか・・!」

 光実と貴虎が驚きを覚える。

「さっさと終わらせたほうがいいなら、望みどおりにしてやる。オレもそのほうが気が楽だしな。」

 士が言いかけて、1枚のカードを取り出してディケイドライバーにセットした。

Kamen ride,Kabuto.”

 すると士のまとうディケイドの装甲が別の姿へと変わった。別の仮面ライダー、カブトへと変わった。

 士は基本形態であるディケイドだけでなく、他の仮面ライダーにも変身することができるのである。

「いくらお前らでも、このスピードについてこれるか?」

 士は強気に言うと、もう1枚のカードをディケイドライバーにセットした。

Attack ride,Clock up.”

 次の瞬間、士が光実と貴虎の視界から消えた。さらに次の瞬間、2人が体に衝撃を受けて突き飛ばされる。

「何だ・・何が起こっているんだ・・・!?

「高速だ・・目にも留まらぬスピードで動いて、オレたちを攻撃してきたのか・・・!」

 光実が困惑を見せる中、貴虎は士が仕掛けたことを悟った。

 カブトを始めとしたライダーシステムの特徴である能力「クロックアップ」は、超高速移動を行うことを可能とする。使用者の視界には周囲の動きがゆっくりに見えている。

 士が繰り出した高速の攻撃で、貴虎と光実が突き飛ばされる。その直後に2人はさらに打撃を食らって、上空に跳ね上げられる。

「原理が分かっていても、防御も回避も間に合わないのか・・・!?

 一方的に攻められる状況に危機感を感じていく貴虎。

Clock over.”

 地上に落下した彼らの前に、士が立ち止まった。

「しぶといな。だが今度こそ終わりだな。」

 士が倒れている貴虎に近づいて見下ろす。

「兄さんにはこれ以上手を出させない・・!」

 光実が立ち上がって、ブドウ龍砲を構える。

“ブドウスカッシュ!”

 彼は戦国ドライバーのカッティングブレードを1回倒して、ブドウ龍砲にエネルギーを集中させる。士もディケイドに戻って、ライドブッカーを「ガンモード」にする。

「まずはお前からか。」

Final attack ride,Decade.”

 エネルギーを集めたライドブッカーを構える士。彼の前に複数のカード状のエネルギーが現れた。

 光実と士が同時に発砲する。2人が放った光の弾がぶつかり合い、巨大な閃光と激しい衝撃をもたらす。

「うわっ!」

 光実がその衝撃に押されて、大きく吹き飛ばされてしまった。

「光実・・!」

 貴虎が声を上げて立ち上がる。

「アイツは逃がしたが、お前はとどめを刺す。」

 士は貴虎に振り返って、ライドブッカーをソードモードに戻す。

Final attack ride,Decade.”

 エネルギーを集中させる士の前に、カード状のエネルギーが複数枚現れる。

「お前などに、この世界をいいようには・・!」

「お前ももう、世界から消えていい。」

 抗おうとする貴虎に向けて、士がライドブッカーを振りかざした。光の刃が放たれてカード状のエネルギーを通って、貴虎に命中した。

「ぐあぁっ!」

 光の刃を受けた貴虎が閃光に巻き込まれて消えてしまった。

「これでまた1人、仮面ライダーが消えた。ライダーも、他の戦隊も、オレが倒す。」

 ヒーローへの敵意を胸に秘めて、士はこの場から歩き出していった。

 

 士に吹き飛ばされて、ユグドラシルタワーから大きく離された光実。龍玄への変身が解けた彼は、タワーのほうを見て愕然となっていた。

「兄さん・・兄さんが、あのライダーに・・・!?

 光実は貴虎が士に倒されたことを痛感する。愕然となった彼だが、すぐに冷静さを取り戻した。

「紘汰さんに・・紘汰さんに知らせないと・・・!」

 光実は急いで紘汰のところへ戻っていく。彼は走りながら携帯電話を取り出した。

 

 RXと再会した光輝。光輝は竜也とともにRXから状況を聞いていた。そばには戒斗もいた。

「君の他にも、そのベルトを使うライダーがいるのか・・」

 光輝が戒斗からも話を聞いていた。

「あぁ。戦国ドライバーを持っているヤツは他にいる。おそらく鎧武、葛葉紘汰も、もしかしたらアンタらの誰かと会っているのかもな。」

「葛葉紘汰・・彼が新しいライダー・・」

 戒斗の話を聞いて、光輝は紘汰のことを気にする。

「それで彼は、紘汰くんはどこに・・?」

「さぁな。この沢芽市のどこかにいるのだろう・・」

 聞く光輝だが、戒斗はまともに答えようとしない。

「この街のどこかに・・すぐに会いに行かないと・・・!」

「探してどうする?もしもその男が、コイツのように世界のことよりも自分のことを考えるヤツだとしたら・・」

 紘汰を探しに行こうとした光輝に、竜也が言いかける。だが光輝は気持ちを変えない。

「それでも会うことは間違いじゃない。たとえ悪い仮面ライダーだったとしても、僕は会うことそのものに後悔はしない・・」

「フン。その行き当たりばったりなところ、葛葉紘汰そっくりだ・・」

 戒斗には光輝の姿に紘汰が重なって見えた。

「いいなぁ、お前たち、前向きで・・」

 そこへ声をかけられて、光輝たちが振り返る。その先には緑と茶色の装甲をした2人の仮面ライダーがいた。

「か、仮面ライダー・・もしかして、その2人のどっちかが・・・!」

「いや、この2人は違う・・パンチホッパーとキックホッパーだ・・・!」

 戸惑いを見せる光輝にRXが呼びかける。2人のライダーは紘汰ではない。

「いいよなぁ・・みんなヒーローだったりエリートだったり・・」

「昔はオレもエリートだったけど、今じゃ遠い過去・・」

 キックホッパーとパンチホッパーが光輝たちを見て言いかける。2人の言葉は自虐としか捉えられない内容だった。

「それにあのライダー、太陽の子という名前も持っているようだ・・」

「オレたちにはまぶしいな、本当に・・・けがしてやる・・太陽なんて・・・」

 2人はRXを見てさらに言いかける。

「アイツは知っているぞ・・地獄で見かけたことがあったからな・・」

「信じていた正義に裏切られて、偽物の正義を憎んで・・イヤな思いばかりしてきたんだろうなぁ・・」

「オレたちの仲間になろうぜ・・お前も闇がお似合いだ・・」

「こっちへ来いよ・・歓迎するぞ、兄弟・・」

 キックホッパーとパンチホッパーが竜也に向かって声をかけてくる。すると竜也が2人に対して目つきを鋭くする。

「何者かは知らないが、オレはお前たちとは違う・・オレはお前たちの誘いに乗るつもりはない・・・」

「あ〜あ・・すっかり嫌われたね、アニキ・・」

「別に構わん・・オレたちは嫌われて当然の、最低なヤツさ・・」

 竜也が言い返すと、パンチホッパーとキックホッパーが自虐の言葉を口にする。

「フン。えらく自分たちの身の程が分かっているようだな。弱者は強者につまはじきにされる。お前たちもその2人だ。」

 戒斗がキックホッパーたちに言いかけて、不敵な笑みを見せてきた。彼の態度にキックホッパーたちが反応する。

「お前、今オレたちのこと笑ったか・・?」

「別にいいさ・・笑えよ・・オレたちは落ちるところまでとことん落ちたからな・・・」

「せっかくだ・・オレたちの地獄や闇を教えてやろう・・・」

「そしてお前たちも地獄へ来いよ・・」

 キックホッパーとパンチホッパーが戒斗たちを手招きする。すると戒斗がまた笑みをこぼす。

「ならば教えてやるぞ。オレがこれから与える地獄に比べて、お前たちが受けてきたのがぬるま湯だということを・・」

“バナナ!”

 戒斗が言いかけて、バナナロックシードを取り出した。

「変身。」

“ロックオン!”

“ソイヤ!”

“バナナアームズ・ナイトオブスピアー!”

 バナナロックシードを戦極ドライバーにセットして、戒斗がバロンに変身する。彼はキックホッパーとパンチホッパーに向かっていって、バナスピアーを振りかざす。

 キックホッパーがバナスピアーをかわして、パンチホッパーが戒斗と組み付く。

「けっこう素早いな、お前・・パワーもある・・」

「だけど、オレたちのスピードと比べたらさすがに遅いな・・・」

 パンチホッパーがキックホッパーとともに言いかけて、戒斗を突き放す。2人が同時にベルトのスイッチを入れた。

Clock up.”

 キックホッパーとパンチホッパーが高速化して、戒斗の視界から消える。

「消えた!?

 この瞬間に戒斗が声を上げる。次の瞬間、彼は体に衝撃を覚えて突き飛ばされた。

「何っ!?

 突然のことに声を荒げる戒斗。

「あの2人も、カブトのライダーシステムの、クロックアップを・・!」

 光輝が声を上げると、RXが頷いてきた。

「君たちには見えていないだろう・・だがオレには・・マクロアイ!」

 RXがマクロアイでキックホッパーとパンチホッパーの高速を透視する。彼は戒斗に向かってくる2人の動きが見えた。

「前後だ!」

 RXが戒斗に呼びかける。だが戒斗が彼の声を聞いて迎撃するには、あまりにも対応が遅すぎた。

「これじゃ居場所が分かってもよけられない・・・!」

 危機感を感じた光輝がオメガクリスタルを手にする。

「変身!」

 彼はオメガドライバーにオメガクリスタルをセットして、オメガに変身する。

「オメガ、いくら君でも今の2人のスピードには・・!」

「はい!ですがこれならどんなに速くても・・!」

 注意を呼びかけるRXに光輝が答える。

「メガフラッシャー!」

 光輝がオメガクリスタルから精神エネルギーを光にして放出する。高速で動いていたキックホッパーとパンチホッパーだが、光を浴びてダメージを受けて高速を止められる。

「こ、これは・・!?

「光・・またオレたちを追い込むのか・・・!」

 キックホッパーが驚きの声を上げて、パンチホッパーがいら立ちを浮かべる。

「いくら速くても、全体にエネルギーを放てば・・・!」

「アイツも・・闇に落としたほうがよさそうだ・・・」

 構えを取る光輝に、キックホッパーが言いかける。

「2人から話を聞き出さないといけない。それを忘れないように・・」

 RXが光輝たちに呼びかけて、キックホッパーたちに挑む。

「あ〜あ、いいよなぁ・・たくさん仲間がいて・・オレは裏切られて見捨てられるのがお似合いだ・・・」

「そんなものを求めるな、弟よ・・お前にはオレがいる・・・」

「分かっているよ・・ありがとう、アニキ・・」

「ここにいる全員に教えてやろうじゃないか・・地獄というものを・・落ちるところまで落ちたオレたちがどういうものなのかを・・」

 パンチホッパーとキックホッパーが光輝たちに向かっていく。光輝がパンチホッパーと、RXがキックホッパーと戦う。

「オレは地獄に落ちたのだろう・・だが、お前たちのいう地獄に落ちるつもりはない・・・!」

 竜也も飛び出して、キックホッパーに飛びかかる。竜也の繰り出すパンチで、キックホッパーが押されていく。

「お前も闇に落ちる・・オレたちのところへ来るのも近いぞ・・・」

 笑みをこぼすキックホッパーを竜也が蹴り飛ばす。

「お前たちが見てきた地獄など、オレが感じてきた怒りと憎しみに比べればただの遊びだ・・・!」

 竜也が憎悪をむき出しにして、両手に力を込める。彼が突き出した両手を受けて、キックホッパーが装甲から火花を散らす。

「アニキ!」

 パンチホッパーがたまらず声を上げる。その隙に光輝がオメガクリスタルを右手の甲部に移す。

「ライダーパンチ!」

 光輝がパンチホッパーに向かっていって、メガブレイカーを繰り出す。

「ライダーパンチ。」

Rider punch.”

 パンチホッパーも右腕にある装備「アンカージャッキ」を動かして、ライダーパンチを繰り出して光輝を迎え撃つ。2人のパンチがぶつかり合って衝撃を巻き起こす中、光輝のパンチがパンチホッパーのパンチを押し返した。

「ぐあぁっ!」

 パンチホッパーが爆発を引き起こして消滅していった。

「お前・・よくも弟を!」

「お前の相手はオレだ。」

 苛立ちをあらわにしたキックホッパーに、戒斗がバナスピアーを振りかざす。彼の一閃に切りつけられて、キックホッパーが突き飛ばされて、装甲から火花を散らす。

 キックホッパーが踏みとどまって、足のアンダージャッキを弾く。

Rider jump.”

 キックホッパーが高くジャンプする。RXも同時にジャンプする。

「ライダーキック。」

Rider kick.”

RXキック!」

 キックホッパーがライダーキックを、RXが両足にエネルギーを集めた「RXキック」を繰り出す。2人のキックがぶつかり合い、爆発のような衝撃を巻き起こす。

 着地するRXとキックホッパー。キックのぶつけ合いの末にひるんだのは、キックホッパーだった。

「やはり・・地獄にいるオレたちには、太陽は思っていた以上にまぶしかったということなのか・・・」

 キックホッパーがRXに振り返って声を振り絞る。

「リボルケイン!」

 RXがベルト「サンライザー」から剣状スティック「リボルケイン」を引き抜いて手にする。彼はリボルケインをキックホッパーに突き刺した。

「弟よ・・これからもどこまでも、地獄の底へ行こうか・・・」

 リボルケインに貫かれたキックホッパーが笑みをこぼす。

「お前たちをよみがえらせたのは何者だ!?あの、怪人たちをよみがえらせることのできるガルヴォルスか!?

 RXが問いかけると、キックホッパーは笑みをこぼしてきた。

「弟よ・・すぐにお前のところへ行くぞ・・・」

 キックホッパーが手を出してRXを引き離す。キックホッパーが火花を散らしながら倒れて、爆発を起こした。

「くっ・・首謀者のことを聞き出せなかった・・・」

 キックホッパーたちから話を聞くことができず、光輝が歯がゆさを覚える。

「どうやらオレたちアーマードライダー以外にも、ライダーや別の戦士がいるということか・・」

 戒斗が呟きかけて、光輝たちに振り返る。

「これだけのことが他でも起きているなら、紘汰もお前たちを探しているはず。アイツはそういうヤツだ。」

 戒斗の言葉を聞いて、光輝が安心と希望を感じていく。

 そのとき、光輝たちの前に別のライダーが現れた。同じ姿かたちのライダーたちは、光輝たちを一斉に取り囲んできた。

「な、何だ!?

 突然のことに光輝が声を荒げる。

「これは、ライオトルーパーか!」

「いきなりこれほどの数が出てくるとは・・・!」

 RXと光輝が声を上げる。量産型の仮面ライダー「ライオトルーパー」」は1000人を超える大人数だった。

「ここを切り抜けなければ、みんなには会えない・・・!」

 窮地に立たされて焦りを感じていく光輝。すると竜也が前に出て、両手を握りしめてきた。

「ならば倒すだけだ。最低でも活路を切り開かなければ、オレたちが敗れるだけ。それだけは絶対に許さない・・」

「竜也・・・」

 竜也が口にした言葉に、光輝が戸惑いを覚える。ライオトルーパーたちが剣と銃を兼ねた武器「アクセレイガン」を手にして構える。

「だったらオレたちも相手するぜ!」

 そこへ声が飛び込んできて、光輝たちが振り向く。ライオトルーパーの数人が切りつけられて突き飛ばされる。

 ライオトルーパーをかき分けてきたのは、鎧武に変身した紘汰だった。

「紘汰!」

「えっ!?

 戒斗が上げた声に光輝が驚く。彼はようやく紘汰と対面することができた。

「えっ!?戒斗!?お前もここにいたのか!?

「相変わらず騒々しいヤツだ。お前を探していたヤツがいるぞ・・」

 同じく驚きの声を上げる紘汰に、戒斗が呆れながら答える。すると紘汰が光輝と目を合わせた。

「アンタが、オレを探してたってのは・・アンタも仮面ライダーってヤツか・・?」

「あぁ・・だけど話は、ライオトルーパーの包囲から脱出してからだ・・!」

 問いかける紘汰に答えて、光輝が呼びかける。

「今のオレは1人じゃない・・!」

 紘汰が言いかけたところで、彼と一緒に来ていた丈瑠たちもシンケンマルでライオトルーパーを斬りつけていた。

「シンケンジャー!」

「スーパー戦隊ともう会っていたんだ!」

 RXと光輝が声を上げる。

「とおっ!」

「たあっ!」

 さらに仮面ライダー1号、2号、V3が飛び込んできた。かれらもパンチとキックでライオトルーパーを打ち倒していく。

「先輩、無事でしたか!」

RXも、光輝くんも無事だったか!」

 RXと1号が声を掛け合う。

「これだけの大人数を相手にしている時間はない・・!」

「一気に突破するぞ!」

 2号とV3が呼びかけて、ライオトルーパーを引き離す。だがライオトルーパーに数で取り囲まれて、光輝たちは脱出ができない。

「このままじゃみんなやられてしまうぞ・・・!」

「こうなったら、コイツで一気に・・!」

 声を荒げる光輝と、新しくロックシード「ジンバーレモンロックシード」を取り出す紘汰。

“レモンエナジー。ロックオン。”

 彼は戦極ドライバーにジンバーレモンロックシードをセットする。

“ミックス!オレンジアームズ・ハナミチ・オンステージ!ジンバーレモン!ハハーッ!”

 紘汰のまとう鎧武の外装が変わった。その装甲は陣羽織を思わせるものである。

 「ジンバーレモンアームズ」を身にまとった紘汰が、ソニックアローを手にする。彼がエネルギーの矢を放ち、ライオトルーパーに当てていく。

 紘汰の発揮した力に動揺を見せるライオトルーパー。だがすぐに彼らに数で攻め立ててくる。

「くっ・・数が多すぎる・・・!」

 ライオトルーパーの多さに焦りを覚える紘汰。ライオトルーパー数人が彼らに近づいてきた。

 そのとき、RXがさらなる変身を果たした。金と黒の機械的な体に。

 変身したRXが重みのあるパンチでライオトルーパーを突き飛ばして引き離す。

「オレは炎の王子!RX、ロボライダー!」

 RXの多段変身「ロボライダー」が名乗りを上げた。パワー重視のロボライダーが、迫ってくるライオトルーパーを突き放していく。

「ボルティックシューター!」

 ロボライダーが銃「ボルティックシューター」を手にして、距離を取っていくライオトルーパーを射撃していく。

「すごいパワーだ・・オレも負けていられない!」

 紘汰も負けじとソニックアローを発射していく。次々に倒れていくライオトルーパーだが、さらに押し寄せてくる。

 丈瑠たちもシンケンマルとサカナマルを振りかざすが、徐々にアクセレイガンに防がれていく。

「殿、いくらなんでも数が多すぎます!」

「このままじゃこっちの体力が持たないよ!」

 千明と茉子が声を上げる。彼らも徐々にライオトルーパーに追い込まれていく。

 そのとき、ライオトルーパーたちの群集を1列の電車が突っ込んできた。

「あれはデンライナー!」

「電王も来てくれたか!」

 光輝と2号が声を上げる。デンライナーから電王・ソードフォームが飛び降りてきた。

「オレ、参上!」

 モモタロスが高らかにポーズを決める。

「来たのはコイツとオレだけじゃないぞ。」

 ゼロノスになっている優斗が言いかけると、デンライナーからライトたちも降りてきた。

「うわぁ・・これまたとんでもないことになってる・・」

「だけど、大勢の相手は、戦隊のお決まりってところかな。」

 トカッチが不安を見せて、ライトが笑みを見せる。

「ライト!お前たちも来たのか!」

 ライトたちの登場に紘汰が声を上げる。

「オレたちもやろう。」

 ヒカリの声にライトたちが頷いた。

“変身いたしまーす。白線の内側に下がってーお待ちくださーい。”

 彼らがトッキュウチェンジャーの左のボタンを押すと、ライオトルーパーたちのいる場所に白線が引かれて、退けていく。

「トッキュウチェンジ!」

 ライトたちがトッキュウチェンジャーにトッキュウレッシャーをセットする。

“トッキュウ1号。2号。3号。4号。5号。”

 アナウンスが流れる中、彼らがトッキュウジャーに変身する。

「勝利のイマジネーション!烈車戦隊トッキュウジャー!」

 ライトたちが名乗りを上げた。光輝たちはライトたちとの邂逅も果たしたのだった。

 

 

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