オメガx鎧武xトッキュウジャー

スーパーヒーロー・ファイナルバウト

第3章

 

 

 時の電車、デンライナー。時間と時間を渡る電車であるが、時間を乱すイマジンの追跡のためにも走行している。

 ライトたちと烈車の車掌はデンライナーに乗車した。良太郎、優斗、デネブ、アカレンジャーたちとともに。

 デンライナーの食堂車にはモモタロスたちイマジンと、乗務員の少女、ナオミがいた。

「はーい♪みなさん、おそろいでいらっしゃいませー♪」

 ナオミがライトたちに笑顔を見せて挨拶する。

「はじめまして。よろしくお願いします。」

 カグラも笑顔を見せて、ナオミに挨拶する。

「良太郎、コイツら何モンだ?・・おっ!ゴレンジャーも来てたのか!」

 椅子に腰かけていたモモタロスが声を上げてきた。

「その声とテンション・・もしかして、さっきの仮面ライダー!?

 ライトがモモタロスを見て声を上げる。

「お前ら、オレたちのパクリをしてたヤツらか!ここまで乗り込んでくるとは上等だ!ケリを付けてやるぜ!」

「ちょっと先輩、ここで暴れたらデンライナーが壊れちゃうよ・・」

 つかみかかろうとしたモモタロスだが、ウラタロスに口出しされて足を止める。

「そうだよ、モモタロス・・今はライトさんたちやゴレンジャーのみなさんの話を聞かないと・・今、何が起こってるのかを・・」

「良太郎・・しょうがねぇな・・」

 良太郎からも呼び止められて、モモタロスが不満げに椅子に腰を下ろした。

「それで今、何が起こってるの?世界でとんでもないことが起きてるってこと?」

 ライトがアカレンジャーたちに声をかける。アカレンジャーがライトたちに話を語りかけた。

「今、世界各地で、いや、地球以外の宇宙や別次元の世界でも、邪悪な戦士が復活を果たしている。」

「邪悪な戦士・・さっきの怪人のことですか?シャドーラインとは違う・・」

 アカレンジャーの話を聞いて、ヒカリが呟きかける。

「あのイマジンだけではない。今回もまた、怪人たちをよみがえらせるあのガルヴォルスの仕業である可能性が高い。」

「ガルヴォルス?そんな怪人もいたなんて・・」

 アオレンジャーの話に今度はミオが声を上げる。

「我々はこれまでに2度、そのガルヴォルスがよみがえらせてきた怪人たちを退けてきた。だが今回また邪悪な戦士が復活してきた。」

「それじゃ今度は僕たちも怪人たちをやっつけるってこと・・?」

「いや、今回は怪人や敵組織の幹部だけではない。悪の道を進んだ戦士も復活を遂げている・・」

 動揺を覚えるトカッチに、アカレンジャーが言葉を返す。

「仮面ライダーの中には、悪い心を持ったまま他のライダーと戦って、命を落とした人もいるんです。その人たちがまた現れて・・」

 良太郎も説明して、深刻な顔を見せる。

「それにもう1人、あのライダーが復活して、我々の排除を行っているようなのだ。」

「あのライダー・・?」

 ミドレンジャーが口にした言葉に、カグラが疑問符を浮かべる。

「ディケイド・・仮面ライダーディケイドだ・・」

「ディケイド・・・」

 アカレンジャーの言葉にライトが息をのむ。

「ディケイドはライダーであると同時に世界の破壊者でもあったわ。だから彼は倒されることになった。同じ仮面ライダー、オメガによって・・」

「オメガ・・そのオメガも、どこかで今回のことに直面してるのですか?」

 モモレンジャーの言葉にミオが聞き返す。

「おそらく・・今となってはそれを確かめる術がない・・」

「術がないって・・どういう・・?」

「ディケイドが、他の仮面ライダー、スーパー戦隊、宇宙刑事を倒しているのだ・・」

 トカッチが聞くと、アカレンジャーが衝撃の言葉を口にした。ライトたちも良太郎たちも緊張を隠せなくなっていた。

 その中でナオミは笑顔でコーヒーをカップに入れて、カグラがそれを飲んで和んでいた。

「おい、おめぇらはこんなときに・・・」

 2人の様子を見てモモタロスが肩を落とした。

 

 竜也との再会を果たした光輝は、世界に起きている異変の正体と思しきネクロマンサーガルヴォルスの行方を追っていた。しかし2人はネクロマンサーガルヴォルスどころか、怪しい人物さえも見つけられないでいた。

「おかしい・・今の状況なら、他のライダーたちも動いているはずなのに・・・」

「何か起きたと思うところか・・そうでなければ、異変に敏感な連中ならば動かないはずがない・・」

 光輝と竜也が辺りを見回して言いかける。

「とにかく誰かと合流しないと・・本当に心配になってきた・・」

 光輝が深刻さを募らせていく。彼の様子を見て、竜也が目つきを鋭くする。

「光輝、ひどく心配を抱えるようになったな・・」

「竜也・・?」

 竜也が口にしてきた言葉に、光輝が当惑を見せる。

「前にもそんなお前を見たことがある・・何かを気にしているのだろう・・」

「そんなことはない・・僕は・・」

「無意識に気にしているのかもな・・だから違うと口にできる・・」

 言葉を詰まらせる光輝に、竜也が真剣な面持ちで言いかける。

「オレの苦悩や感情に、お前は真正面から向かってきた。今度はオレがお前の苦悩と向き合うときなのかもしれない・・」

「竜也・・・」

 竜也の意思を聞いて、光輝は戸惑いを感じていた。

 そのとき、光輝と竜也の耳に悲鳴が響いてきた。

「何だ・・!?

 振り返った光輝が、逃げ込んでくる人々を目撃する。彼らを追って怪人たちが姿を現した。

「か、怪人!?見たことない怪人だ・・!」

 光輝が怪人たちを見て驚きの声を上げる。

「とにかく、今は街の人たちを助けるのが先だ・・!」

 光輝が人々を守ろうと、怪人たちに立ち向かおうとした。

 そのとき、1人の青年が現れて、怪人たちの前に立ちふさがった。

「危ない!早く逃げるんだ!」

 光輝が呼びかけるが、青年は逃げようとしない。彼は怪人たちを恐れる様子を全く見せずに、バナナの形をしたアイテムを取り出した。

“バナナ!”

「変身。」

 青年はバナナロックシードを解錠してベルト、戦極ドライバーにセットする。

“ソイヤ!”

“バナナアームズ・ナイトオブスピアー!”

 戦極ドライバーのカッティングブレードを倒してバナナロックシードを開くと、青年の頭上に巨大なバナナが現れた。青年の頭に降りてきたバナナが展開されて、西洋の鎧となった。

「えっ!?バナナ!?バナナの、仮面ライダー!?

「ザコばかりだが、肩慣らしにはなるか・・」

 光輝が驚きの声を上げているのをよそに、青年が怪人たちを見て呟きかける。彼は剣「バナスピアー」を手にして、怪人たちに向かっていく。

 迎え撃つ怪人たちを青年はバナスピアーで切りつけていく。彼の強さに怪人たちは一気に追い込まれる。

 そのとき、光輝は別の怪人が逃げ遅れた子供に迫っていたことに気付いた。

「ちょっと!そこに子供が!」

 光輝が呼びかけるが、青年は戦いを続ける。彼は聞こえていないのではなく、聞こえているのに無視していた。

「僕が助けないといけないのか・・!」

 青年の態度に毒づいて、光輝がベルト「オメガドライバー」を身に着けて、水晶「オメガクリスタル」を手にする。

「変身!」

 オメガドライバーにオメガクリスタルをセットする光輝。彼の体を赤い装甲が包み込んだ。

「あれは・・!?

 ここでようやく青年が攻撃の手を止めて振り向いた。

「仮面ライダーオメガ!」

 光輝がポーズを決めて名乗りを上げた。彼は「オメガユニット」で変身する戦士、オメガに変身した。

 光輝は子供に迫ってきた怪人を横から突き飛ばした。

「大丈夫かい!?早く逃げるんだ!」

「う、うん!」

 光輝に呼びかけられて、子供が立ち上がって走り出していった。起き上がってきた怪人に、光輝が振り返る。

「人々を襲い、自由と平和を壊そうとするお前たちを、オレは止める!」

 光輝が言い放って、怪人たちに立ち向かう。彼の繰り出すパンチが怪人たちを攻め立てる。

 光輝はオメガクリスタルをオメガドライバーから外して、右手の甲部にセットする。彼の右手にエネルギーが集中する。

「ライダーパンチ!」

 光輝が繰り出したパンチ「メガブレイカー」が、怪人の1体に命中して爆発を引き起こさせた。

「なかなかやるようだな。だが力はオレのほうが上だ・・!」

 青年は光輝の力を確かめてから、怪人たちを突き飛ばす。

“バナナスカッシュ!”

 カッティングブレードを1回倒して、青年がバナスピアーを構える。彼が一気に加速して怪人を貫いた。その一閃の残像がバナナのようになっていた。

 他の怪人たちが恐怖を感じて、慌てて逃げ出していった。

「ちっ・・逃げたか・・」

 青年は毒づいてから、光輝に振り返ってきた。

「お前、何者だ?その姿、アーマードライダーとは違うようだが・・」

 青年が光輝に向けて疑問を投げかける。

「そういう君も見かけない仮面ライダーみたいだ。バナナライダーだ・・」

「誰がバナナライダーだ!バロンだ!駆紋(くもん)戒斗(かいと)だ!」

 声をかけてきた光輝に青年、戒斗が言い返す。

「君・・子供が襲われそうになっていたのに、どうして助けなかったんだ・・・!?

「フン。オレには関係ない。オレは人助けなどというくだらないことをする気はない。オレが戦うのは強くなるため、己の力を見せつけるためだ。」

 問いかける光輝に対して、戒斗が自分の考えを口にする。

「お前・・それでも仮面ライダーなのか・・・!?

「オレはお前やアイツのような正義の味方気取りじゃない。オレが倒すべき敵は別にいる・・」

 怒りを覚える光輝に戒斗が言い返す。

「お前もオレの強さを証明する糧になってもらうぞ。」

「待て!オレたちが争っている場合では・・!」

 バナスピアーを構える戒斗を、光輝が呼び止める。しかし戒斗は聞かずに光輝に向かっていく。

 戒斗が振りかざすバナスピアーをかいくぐっていく光輝。戒斗が突き出したバナスピアーを、光輝がつかみかかる。

「今はこんなことをしている場合じゃない!世界に大変なことが起こっているんだぞ!」

「大変なことならば既に起こっている。だがそれもオレがねじ伏せる!」

 互いに言い放つ光輝と戒斗。攻撃の手を止めない戒斗に、光輝が焦りを感じていく。

「アイツもふざけたマネをして、光輝も迷いを捨てきれないか・・・!」

 2人の考え方にいら立ちを覚えた竜也。彼の頬に異様な紋様が浮かび上がってくる。

「竜也!」

 声を荒げる光輝の前で、竜也が竜を思わせる姿の怪人へと変わった。彼はガルヴォルスの1人、ドラゴンガルヴォルスとなった。

「貴様もインベス!?・・いや、違うのか・・!?

 竜也の変化した姿に驚愕を覚える戒斗。

「お前が問答無用の行動を取るなら、オレもそれなりの手を打つことになる。お前のようなヤツにとっては、そのほうが都合がいいことなのが癪に障るが・・」

「待て、竜也!君まで戦ったら・・!」

 戒斗に言いかける竜也を光輝が呼び止める。

「今は倒すために戦うのではない・・止めるために、話をさせて、話を聞かせるための戦いだ・・!」

「上等だ・・止められるものなら止めてみろ!」

 意思を示す竜也に言い返して、戒斗が向かってくる。カイトがバナスピアーを突き出すが、竜也は素早くかわしていく。

「オレの攻撃が通じないだと・・!?

 戒斗が驚愕を感じながらも、さらにバナスピアーを振りかざす。竜也はバナスピアーをかわして、戒斗に拳を叩き込んだ。

「うっ!」

 重みのある一撃を受けて、戒斗が突き飛ばされる。

「今はおとなしくしろ・・お前ほどの実力の持ち主が、この世界の異変に気付かないとでもいうのか?」

「コイツ、ふざけたマネを・・・!」

 言いかける竜也に戒斗がいら立ちを見せる。彼は新しくマンゴーのロックシードを取り出した。

“マンゴー!”

 戒斗が戦極ドライバーにセットされているバナナロックシードとマンゴーロックシードを入れ替えた。

“ソイヤ!”

“マンゴーアームズ・ファイトオブハンマー!”

 戒斗がカッティングブレードを倒してマンゴーロックシードを開くと、巨大なマンゴーが現れる。マンゴーは彼の頭に降りると、展開して新しい装甲となった。

 戒斗が棍棒「マンゴパニッシャー」を手にして、竜也に向かっていく。マンゴパニッシャーは重量があり、扱うにはかなりの力が必要だが、その打撃力は高い。

「力で攻めてくるか・・だがオレはお前には屈しない!」

 全身に力を込める竜也。カイトが彼に向かってマンゴパニッシャーを振りかざす。

 しかしマンゴパニッシャーの重い一撃は、竜也の腕に受け止められてしまう。

「何っ!?ぐあっ!」

 パワー重視のマンゴーアームズでも力負けして、戒斗が押し返される。

「スピードもパワーも、ヤツには通じないなど・・ありえん!」

 いきり立った戒斗が竜也にまた攻撃をしようとした。

「そこまでだ、君たち!」

 そこへ声がかかって、竜也と戒斗が攻撃の手を止めた。振り向いた彼らの前に現れたのは、黒い体と赤い目の仮面ライダー。

「あなたは、仮面ライダーBLACK RX・・!」

 光輝はその仮面ライダー、RX(みなみ)光太郎(こうたろう)と知り合いだった。

「今オレたちが争っても、ヤツらの思い通りになるだけだ。それぞれの考えがあるのだろうが、今はそれに執着するときじゃない・・」

 RXの呼びかけに頷いて、光輝がオメガへの変身を解いた。

「ちっ!」

 戒斗は舌打ちしてから、バロンへの変身を解除した。竜也もドラゴンガルヴォルスから人の姿に戻った。

RX、他のみなさんは?・・みなさんも今の異変に気付いているのでは・・」

 光輝がRXに問いかける。竜也と戒斗も話に耳を傾ける。

「ディケイドが復活した・・今の彼は、オレたちの敵に回っている・・」

「ディケイドが・・・!?

 RXが口にした言葉に、光輝は驚きを隠せなかった。

「オレのように、そのディケイドというヤツもよみがえらせたということか・・お前たちが戦ってきた、死人をよみがえらせることのできるガルヴォルスに・・」

「それは分からない。だがこの異変を起こしている敵の野望は食い止めなければならない。たとえその相手がディケイドであっても・・」

 竜也の問いかけに答えて、RXが意思を口にする。

「ディケイドの手にかかって、他の仮面ライダーやスーパー戦隊の中に、消滅させられた者が出ている・・」

「そんな、バカなこと・・・!?

「元々世界の破壊者と呼ばれていたディケイドだが、本当の意味での破壊者と化してしまったようだ・・」

 RXが話したディケイドのことで、光輝は愕然となる。

「まずは他のライダーや戦隊と会うのが先決だろう・・みんな、無事でいるといいが・・・」

「他のライダーか・・もしかしたら、アイツも会っているのかもしれないな・・」

 RXの言葉に戒斗が呟きかける。

「アイツ・・?」

 戒斗のこの言葉に竜也が疑問を投げかけた。

 

 丈瑠や1号たちから話を聞いた紘汰と光実。怪人たちがよみがえった事件について、紘汰たちは動揺を感じていた。

「オレたちの知らないところで、そんなとんでもない事件が起こってたなんて・・」

「知らなくて当然だろう。そのときには君たちはまだ、仮面ライダーではなかったのだから。」

 落ち込む紘汰に2号が励ましの言葉を投げかける。

「ですが、今回の事件はそのガルヴォルスという怪物ではなく、ディケイドの仕業なのですか・・?」

 光実が問いかけて、丈瑠が小さく頷く。

「もはやオレたちに協力してくれたディケイドは、もういない。オレたちや世界を滅ぼす、全ての敵に回ってしまった・・」

「もうアイツにいい気にさせてたまるかってんだ!今度こそ引導を渡して、三途の川へ送り返してやる!」

 丈瑠が言いかけると、源太が不満いっぱいの態度を見せる。

「ディケイドのせいで、世界がムチャクチャになっていく・・そんなことさせてたまるか・・・!」

「紘汰さん・・・」

 ディケイドに怒りを覚える紘汰に、光実が戸惑いを覚える。

「オレにできることがあるなら、みなさんの手助けをしたいです・・オレだって、この世界を救いたい・・!」

「紘汰さん・・・!」

 丈瑠たちの手助けがしたいと申し出た紘汰を、光実が呼び止めてきた。

「僕たちにもやらないといけないことがあるのです。たとえ世界を守ろうとしている方々のためとはいえ、他のことに手を回す余裕はないんですよ・・」

「そんなことは分かってる・・オレたちのことだって、自分でも手に負えないくらいのことだとも思ってる・・だけどこのままだと、違う問題で世界がどうかなっちまうんだろ・・!」

「それは、そうですが・・・」

「今起こってる事件で世界がムチャクチャになっちまったら、オレたちがこの街を守ることが無意味になっちまう・・・!」

 光実が呼び止めるが、紘汰は考えを変えない。彼は世界を守るために体を張る決意を固めていた。

「オレにも手伝わせてくれ・・オレにできることがあるなら・・・!」

 紘汰が1号たちと丈瑠たちに頼み込む。すると2人が彼に手を差し伸べてきた。

「わざわざ頭を下げることではない・・さっきは刃を向けてすまなかった・・」

「君に迷惑をかけたくはなかった・・君のその決意と勇気、しっかりと受け止めよう。」

「丈瑠さん・・本郷さん・・ありがとうございます!」

 丈瑠と1号に紘汰が感謝の言葉をかけた。

「そうだ・・みなさん、ライトたちを、トッキュウジャーを知ってますか・・!?

 紘汰が思い出して、丈瑠たちに聞く。彼と光実はライトたちと会ったことがあった。

「トッキュウジャーって、新しく出てきたスーパー戦隊のことだな?」

「紘汰、トッキュウジャーと知り合いだったのか!?

 流ノ介と千明が紘汰に対して声を荒げる。

「はい。ライトたちが沢芽市に来たときに会って・・」

「そうだったか。それなら両者を紹介するのは不要だな。」

 紘汰が事情を説明すると、V3が納得して頷く。

「他ん戦隊や仮面ライダーんどなたかが、トッキュウジャーに会っていればええやけど・・」

「心配いらないっすよ!ヒーローの絆は広く強くつながってるもんだ!」

 呟きかけることはに源太が意気込みを見せる。

「それじゃみんなと合流しよう。」

「僕は別行動を取らせていただきます。もしかしたらインベスも関与しているのかもしれませんので。」

 2号が言いかけたところで、光実が申し出てきた。

「そうか。ミッチは頼りになるからな。何かあったら連絡ってことで。」

「はい。情報が入りましたらすぐに知らせます。」

 信頼を送る紘汰に光実が微笑んで頷く。光実は紘汰たちと別れて、単独で行動していった。

「大丈夫なのか、1人で行かせて・・?」

 流ノ介が光実のことを気にして、紘汰に聞いてきた。

「大丈夫ッスよ。ミッチはオレよりしっかりしてるし、頭もいいから・・」

 紘汰は不安に思っておらず、光実を頼りにしていた。

「では、改めて行くぞ。」

「はい!」

 丈瑠の呼びかけに紘汰が答える。彼らはトッキュウジャーや他の戦士たちと合流するため、動き出した。

 

 アカレンジャーやモモタロスたちから話を聞いたライトたち。そんな中、カグラはナオミが用意したコーヒーとケーキを堪能して、笑顔を浮かべていた。

「おやおや、重い空気が張りつめていますね。」

 そこへ1人の男が食堂車に入ってきた。デンライナーのオーナーである。

「本日はお客様が多いですね。まぁ、状況が状況ですので・・・」

 オーナーが客室を見回して声をかけていく。彼の視線が烈車の車掌で止まった。

「あなたもこちらに来ていましたか。」

「お久しぶりです、デンライナーのオーナー。お邪魔させていただいています。」

 オーナーが声をかけて、車掌が挨拶をする。

「緊急事態だったため、パスなしで乗車してしまいました。申し訳ありません。」

「いえいえ。本当に緊急事態でしたので仕方ありません。ですが今ここで・・」

 頭を下げる車掌に言いかけて、オーナーが1本のスプーンを取り出した。

「あなたとの勝負に、決着を付けさせていただきます。」

「それでしたか。それは私も望むところです。」

 オーナーが切り出した挑戦を、車掌は受けて立った。

「実はこのときのために、コレを用意していたのです。」

 車掌は持ってきていたケースを開けた。その中には数本、数種類のスプーンが入っていた。

「車掌さん、何、そのスプーン!?

 ライトが車掌のスプーンを見て声を上げる。

「ナオミくん、例の用意を。」

「はーい♪」

 オーナーに言われて、ナオミが1度客室を出た。そしてオーナーもケースを取り出して開いた。

「えっ!?こっちにも!?

 今度はトカッチが驚きの声を上げる。車掌とオーナーがそれぞれスプーンを1本手にして、互いに向け合う。

「私たちの決戦は・・」

「今ここで始まるのです。」

 オーナーと車掌が勝負に火花を散らす。

「まーたくだらない勝負をやるつもりですかー?そんな暇ないんですけどねー。」

「チケットくん、水を差さないでください。」

 軽々しく声をかけてきたチケットの口を、車掌が持っていたスプーンの先でふさぐ。そしてナオミが客室に戻ってきた。大皿に盛られた大盛りのチャーハンを持って。

「チャーハン、だよね・・・?」

「なぜ、チャーハン・・・?」

 ミオもヒカリもなぜチャーハンが用意されたのか分からなかった。

「旗を倒してしまったほうが負けということで。」

「分かっています。」

「先攻、後攻はあなたにお任せします。」

「お気遣い感謝します。ではお言葉に甘えて、先攻で行かせていただきます。」

 車掌の気遣いを受ける形で、オーナーが先にチャーハンをスプーンですくい取った。

「では次は私の番ですね。」

 次に車掌が左手で持ったスプーンでチャーハンをすくう。最初の一手は2人とも旗を倒さずに済んだ。

「アイツもオーナーの対戦相手だったのかよ・・」

「それも、オーナーにも駅長さんにも負けず劣らずみたい。」

 モモタロスとウラタロスが車掌に対して声を上げる。

「それにしても、あの車掌の右手のアレ・・」

「うん・・絶対にはまっているよね・・腹話術っていうのかな・・・?」

 キンタロスと良太郎が車掌の右手にはまっているチケットを気にする。

「よーし♪僕があのおサルさん、捕まえちゃうよー♪」

 リュウタロスがチケットを捕まえようと飛び出してきた。

「ちょっとあなた、勝負の最中ですよ!」

「だったらその間にこのおサルさんと遊ぶー♪」

 声を荒げる車掌にリュウタロスが詰め寄る。

「おサルさん、一緒に遊ぶよ♪」

「ふざけないでください!私はあなたなんかと遊んでいる場合じゃ・・!」

「答えは聞いてない!」

「聞きなさいってー!」

 無理やり捕まえようとするリュウタロスに、チケットが文句を言う。車掌が慌ててチケットをリュウタロスから引き離そうとする。

「ちょっとリュウタロス、やめてって!」

「小僧、大人しくしてろって!」

 良太郎とモモタロスがリュウタロスを止める。何とか騒ぎは収まったが、その騒動でチャーハンの旗が倒れてしまった。

「どうやら決着は持ち越しのようですね・・」

「今度は邪魔の入らないところで、真剣に・・」

 オーナーと車掌が低く告げると、リュウタロスに目を向けてきた。

「いいじゃなーい。おサルさんと遊んだってー。」

 リュウタロスが不満を見せて、客室を出て行ってしまった。

「すまないがオーナー、他の戦隊やライダーとそろそろ合流しないといけない・・」

 アカレンジャーがオーナーに声をかけてきた。

「そうでしたね・・他のライダーや戦隊のことは、私たちも聞き及んでいます。」

 オーナーが席を立って答えていく。

「ライダーたちはディケイドによって倒されています。このままではあなたたちも、全てのヒーローが滅ぶことになってしまうでしょう。」

「そんなことさせない!オレたちも他のヒーローも、絶対に滅んだりなんてしないよ!」

 オーナーが口にした言葉を聞いて、ライトが声を上げる。

「何だかよく分かんないけど、話は分かった。オレたちもこの問題の解決に力を貸すよ。」

「ライト・・」

 笑みを見せて決意を言うライトに、カグラが戸惑いを見せる。

「まさかライトくん、この事件に首を突っ込むつもりですか?」

「これはシャドーラインとは関係ないんですよー!あなたたちの、トッキュウジャーの使命を間違えてもらっては困ります!」

 すると車掌がライトに詰め寄ってきて、チケットと一緒に注意を呼び掛けてきた。しかしライトは決意を変えない。

「使命とか違うとか、そういうんじゃない・・このことをこのまま素通りしたら、みんなの幸せとか夢とかが壊れてしまう・・そう思えてならないんだ・・」

「ライトくん、君は・・」

 自分の考えを口にするライトに、良太郎が戸惑いを覚える。

「みんなを守りたい、世界を救いたい。大事なのはきっと、そういう気持ちのほうだと思う・・」

「やれやれ。ライトらしいというか何というか・・」

「ライトは1度決めて言い出したら聞かないからね・・」

 ライトの決心にヒカリが呆れて、ミオが苦笑いを浮かべる。

「ということで良太郎くん、ゴレンジャーのみなさん、オレも協力させてください。」

「ライトくん・・ありがとう。君たちの強力に感謝する。」

 頼み込むライトにアカレンジャーが快く答える。2人が握手を交わして、協力を分かち合った。

「そうだ!オレたち、仮面ライダーに会ったことがあるんだ!」

 そのとき、ライトがあることを思い出して声を上げてきた。

「おい、いきなりでっけー声出すなよ!」

 彼の声に驚いて、モモタロスが怒鳴る。

「そのライダーって、もしかして・・」

「確か、鎧武って名前だった・・紘汰!葛葉紘汰!」

 良太郎が言いかけて、ライトが声を上げる。

「鎧武・・新しい仮面ライダーか・・」

「その鎧武にあなたたちが会っていたとは・・」

 アオレンジャーとミドレンジャーが呟きかける。

「前に烈車が沢芽市に来たときに会ったんです。」

 ライトがアカレンジャーたちに説明をする。彼らは沢芽市に来て、紘汰たちと出会っていた。

「そのときに確か、他の仮面ライダーたちと会いましたなぁ・・1号、2号・・3号じゃなくて、えっと・・」

V3よ。」

 思い出そうとするトカッチにミオが付け加える。

「1号ライダーたちにも会っていたとは・・よし。みんなのところへ行こう。」

「よーし!出発進行!」

 アカレンジャーとライトが紘汰たちに会いに向かう。

「私たちは烈車に戻っています。何かあれば連絡しますし、すぐに駆けつけます。」

「もー、ライトさんたちはしょうがない人たちですよ、まったくー!」

 車掌がライトたちに言いかけて、チケットが不満げに言う。彼らは1度烈車に戻っていった。

 

 

 

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