オメガx鎧武xトッキュウジャー

スーパーヒーロー・ファイナルバウト

第2章

 

 

 高いイマジネーションを持つ人だけが見ることのできる路線「レインボーライン」。主に子供がよく目撃されるその路線は、イマジネーションのエネルギーで走る車両「烈車(れっしゃ)」が走行していた。

 その烈車の先頭車両「レッドレッシャー」にて、5人の若者がくつろいでいた。

「へぇ。オレたちみたいに、悪い連中と戦ってる人たちがいるんだ。」

 レッドレッシャーの客車にて、若者の1人、ライトが車掌の話に興味津々になっていた。車掌の右手にはサルのパペット、チケットがはめられていた。

「はい。ライトさんたちのようにメンバーが色で分けられているチームが存在します。」

「それがスーパー戦隊なんでーす。」

 車掌とチケットがライトたちにスーパー戦隊について説明する。

「となると、烈車戦隊である僕たちも・・」

「スーパー戦隊ってことだね♪」

 トカッチが言いかけたのをライトが割り込む。

「他のスーパー戦隊も、世界のどこかで戦ってるのね。」

「いつか会えるといいなぁ・・いつか会えますように・・」

 ミオとカグラもスーパー戦隊のことで言いかける。

「でもどこにいるのか、ましてやいるのかどうかも分からないっていうのに・・」

 ヒカリがスーパー戦隊の存在を、根拠がないという理由で信じ切れないでいた。

「いるさ。そしてどっかで会えるときが来る。」

 するとライトが自信を込めて言ってきた。

「イマジネーションがあれば、どんなことだって現実になる。オレたちがスーパー戦隊に会いたいと心の底から願えば、必ず会えるって。」

「それって全然根拠ないんだけど・・・」

「ライトがああして言うなら、信じてもいいかもね。」

 スーパー戦隊に会えることを信じ抜いているライトに、ヒカリが呆れて、ミオが頷きかけた。

「まー、すぐに会えるかもしれないですしー、この先ぜーんぜん会えないかもしれないですしー。」

 チケットが他人事のように呟いてくる。

「それかどうかは、オレたちの気持ち次第さ。」

 それを聞いてもライトは前向きを消さないでいた。そんな彼にトカッチとミオが苦笑いを見せて、ヒカリが呆れ果てて、カグラが励まされたと思っていた。

 そのとき、突然レッドレッシャーが揺れ出して、ライトたちが振られる。

「な、何だ!?

「烈車が何者かに攻撃されているみたいです!」

 声を上げるライトに、車掌が呼びかける。

「またシャドーラインが襲ってきたの!?

 ミオが烈車の窓から外を見た。その瞬間に窓の前に出てきたのは、鉄のモグラのような姿の怪人だった。

「えっ!?シャドー怪人!?

 ミオがその怪人を見て驚きの声を上げる。レッドレッシャーに張り付いている怪人は複数いて、車体や窓を攻撃してきていた。

「このままじゃ烈車が壊されるー!」

「早くこの不正乗車をやめさせなくては!」

 チケットが悲鳴を上げて、車掌が声を荒げる。

「オレたちが止める!烈車での勝手なことは、オレたちが止めるよ!」

 ライトが呼びかけて、トカッチたちが真剣な顔で頷く。烈車が停車のためにスピードを落とす。

 レッドレッシャーのドアが開いて、ライトたちが外に出る。気付いて怪人たちが烈車から離れて、彼らの前に立ちはだかる。

「電車にしがみついてバンバン叩くのはマナー違反だよ。」

 ライトが注意を投げかけるが、怪人たちはうなり声を上げるだけだった。

「反省の色なし、というところか・・」

「それじゃ残念だけど、ここがお前たちの終着駅だ。」

 ヒカリがため息まじりに呟いて、ライトが怪人たちに言いかける。彼らが左腕に付けている踏切型ブレスレット「トッキュウチェンジャー」を構えて、左のボタンを押す。

“変身いたしまーす。白線の内側に下がってーお待ちくださーい。”

 この場にアナウンスが鳴り響いて、地面に白線が引かれた。怪人の1人が白線の外に出ていて、他の怪人たちが内側に引き寄せる。

 そしてライトたちが鉄道模型型アイテム「トッキュウレッシャー」を取り出して、トッキュウチェンジャーにセットした。

「トッキュウチェンジ!」

 遮断桿型のレバーを倒すと、ライトたちの体を路線図が描かれたスーツと線路の描かれたマスクが包み込んだ。

“トッキュウ1号、トッキュウ1号。”

「はっ!」

“トッキュウ2号、トッキュウ2号。”

「あ、どうも。」

“トッキュウ3号、トッキュウ3号。”

「はっ!」

“トッキュウ4号、トッキュウ4号。”

「ふん!」

“トッキュウ5号、トッキュウ5号。”

「はーい。」

 鳴り響くアナウンスに合わせて、ライトたちがそれぞれのポーズやアクションを見せる。

「勝利のイマジネーション!」

「烈車戦隊!」

「トッキュウジャー!」

 ライトが声を上げて、トカッチたちが声をそろえる。彼らはイマジネーションエネルギーを力にして戦う烈車戦隊「トッキュウジャー」に変身した。

「よし!出発進行!」

 ライトが合図して駆け出して、トカッチたちが続く。怪人、モールイマジンたちが彼らを迎え撃つ。

 立ち向かってパンチとキックを繰り出していくライトたちだが、モールイマジンの攻撃に押されていく。

「うわっ!」

 モールイマジンの爪に切りつけられて、ライトが突き飛ばされる。

「ライト!」

「ひっかき攻撃をしてくるなら、コレで相手しないとね・・!」

 カグラとミオが声を上げて、万能武器「トッキュウブラスター」を手にした。

“切りまーす。”

 剣形態の「キリマスモード」にしたトッキュウブラスターからアナウンスが発せられる。モールイマジンが振りかざしてきた爪をトッキュウブラスターで受け止めて、トカッチたちが斬りかかる。

“撃ちまーす。”

 今度はトッキュウブラスターを銃形態の「ウチマスモード」に切り替えるライトたち。彼らがモールイマジンたちを、ビームを撃って射撃する。

「それじゃ一斉射撃といこうか!」

 ライトが呼びかけて、彼らがトッキュウレッシャー「スコープレッシャー」をトッキュウブラスターにセットする。

“撃ちますよー!ご注意ください、ご注意くださーい!”

 アナウンスが響く中、ライトたちがトッキュウブラスターを発射する。放たれたビームを受けて、モールイマジンたちが爆発を引き起こした。

「やった!僕たちの勝利だ!」

 トカッチがライトと一緒に勝利を喜ぶ。

「だけど、今の怪人、何者だったんだろう・・?」

 ヒカリがモールイマジンたちに疑問を感じていく。

「シャドーラインとは違うみたいだし・・」

「ちょっと車掌さんに聞いてみるかな?もしかしたら知ってるかもしれないから。」

 カグラが呟いて、ライトがレッドレッシャーに戻ろうとした。

「ありゃ!?何だよ、みんなやっつけられてるじゃねぇかよ、イマジン!」

 そこへ1人の少年がやってきて、不満を呟いていた。逆立った黒髪の一部に赤色が混じっていた。

「なぬ!?あれ、電車だよな!?こんなとこに線路があったみたいには見えねぇから、コイツも時間の電車か!?

「あれ?君にも烈車とレインボーラインが見えてるの!?

 レッドレッシャーを見回して驚きを見せる少年に、ライトも驚きを見せる。

「何だ、おめぇらは!?もしかしてオレのパクリってヤツか!?

「パ、パクリ!?

 少年が言ってきた文句にトカッチが声を荒げる。

「それってどういうことなのか、ちゃんと説明・・」

「もしかしてイマジンの仲間か!?だったらここで倒さねぇといけねぇな!」

 ヒカリが言いかけたのをさえぎって、少年が高らかに言い放つ。彼はベルトを身に着けて、パス「ライダーパス」を取り出した。

 少年はベルトの赤いボタンを押すと、ベルトから警笛のような音が鳴り出した。

「変身!」

Sword form.”

 ベルトにライダーパスをかざした少年の体を赤い装甲が包み込んだ。

「オレ、参上!」

「ええっ!?変身した!?

 高らかにポーズを決めた少年、野上(のがみ)良太郎(りょうたろう)にトカッチが驚きを見せる。

 良太郎は時間の干渉を受けない存在「特異点」である。今、彼の体には怪人「イマジン」の1人、モモタロスが憑依しており、さらに電王(でんおう)・ソードフォームへの変身を果たした。

「オレに前振りはねぇ!最初からクライマックスだぜ!」

 良太郎に憑依しているモモタロスが言い放ち、武器「デンガッシャー」を取り出して「ソードモード」にして構えた。

「行くぜ、行くぜ、行くぜ!」

 モモタロスがライトたちに飛びかかって、デンガッシャーを振りかざす。

“切りまーす。”

 トカッチ、ミオ、カグラが慌ててよけて、ライトとヒカリがキリマスモードにしたトッキュウブラスターで防いでいく。

「問答無用っていうのか・・!?

「だったらちょっとその武器をはじき返したほうがいいってことだね!」

 ヒカリとライトが声を上げて、モモタロスを押し返す。

「なかなかやるな・・ちったぁ面白くなりそうだな!」

 モモタロスが笑みをこぼすと、再びライトたちに向かっていく。デンガッシャーとトッキュウブラスターが激しくぶつかり合っていく。

「何なんだい、君は!?君もシャドーラインの1人!?

「シャドーだぁ!?そんなの知らねぇよ!オレはイマジンで、電王なんだよ!」

 ライトの問いかけに言い返して、電王がデンガッシャーを振りかざす。ライトが後ろに飛んでかわして距離を取る。

「それじゃそろそろ決めてやるか・・行くぜ、オレの必殺技!」

Full charge.”

 モモタロスがベルトにライダーパスをかざす。デンガッシャーの刀身にエネルギーが集まる。

「そーりゃ!」

 モモタロスが振りかざしたデンガッシャーから刀身が放たれる。回転しながら飛んでくる赤い刃に、ライトが真正面から向かっていく。

「うわっ!」

 赤い刃にトッキュウブラスターを振りかざしてぶつけるライトだが、その衝撃で吹き飛ばされてしまう。

「ライト!」

 倒れたライトにトカッチたちが駆け寄る。

「イタタタ・・すごいパワーだった〜・・」

 ライトが驚きを見せながら起き上がる。

「こうなったらみんな、乗り換えと行こうか。」

「またアレをやるのか?ややこしくなっちゃうんだよなぁ・・」

 ライトが持ちかけた提案に、トカッチが肩を落とす。彼らはトッキュウチェンジャーからそれぞれのトッキュウレッシャーを外す。

“変身解除いたしまーす。お急ぎの方は乗り換えてくださーい。”

 トッキュウチェンジャーからアナウンスが鳴り響く。ライトたちがトッキュウレッシャーを交換して、トッキュウチェンジャーにセットする。

“トッキュウ1号、レッド、乗り換えてピンク。”

“トッキュウ2号、ブルー、乗り換えてレッド。”

“トッキュウ3号、イエロー、乗り換えてブルー。”

“トッキュウ4号、グリーン、乗り換えてイエロー。”

“トッキュウ5号、ピンク、乗り換えてグリーン。”

 するとライトたちの身に着けているスーツの色も入れ替わった。この変身に性格や能力といった変化はなく、それぞれの専用の武器が入れ替わる程度である。

「な、何だ!?入れ替わった!?ややこしいマネしやがってー!」

 モモタロスはそれを真に受けて、大きな変化があると思ってしまっていた。

“慌ててばかりなのはよくないよ、先輩。”

 そのとき、モモタロスに向けて声がかけられてきた。

「おい、カメ公、いきなりしゃべりかけてくんな!」

“向こうもフォームチェンジで来てるんだから。先輩ばっかり相手するのはずるいって。”

「ずる賢いカメ公に言われたくねぇっての・・」

 気さくな態度の声に不満を感じながら、モモタロスがベルトの青いボタンを押した。

Rod form.”

 すると電王の装甲の外装が外れて、別の形に再装着される。同時に良太郎の体からモモタロスが抜けて、代わりに別の青いイマジン、ウラタロスが入ってきた。

「君たち、僕に釣られてみる?」

 電王がライトたちに声をかけて、デンガッシャーを「ロッドフォーム」に変えた。彼の声はモモタロスではなくウラタロスである。

「あっちも乗り換えができるみたいだね!ワクワクしてきたー!」

「あたしたちの乗り換えとはちょっと違うかな・・」

 興奮を見せるライトにミオが苦笑いをこぼす。

「それじゃ、今度は僕が相手をさせてもらうよ。」

 ウラタロスがデンガッシャーを構えて、ライトたちにゆっくりと近づいていく。ウラタロスはライトたちが仕掛ける攻撃をデンガッシャーで弾き返していく。

 ウラタロスの反撃にミオが押される。ところがウラタロスは追撃を仕掛けない。

「その変身した格好でも僕には分かる。君のかわいさやすばらしさは、その格好やマスクで隠せるものではないさ。」

「こんなときにナンパしてこないでよね!」

 気さくに声をかけてくるウラタロスに、ミオが不満の声を上げる。彼女がブルー専用武器「ホームトリガー」を取り出して、ウラタロスに向けて発射する。

「おっと。」

 ウラタロスがとっさにミオの射撃をかわす。彼は次にカグラに近寄ってきた。

「君も魅力的だ。でもやっぱり、今の緑よりピンクのほうが似合うかな?」

 ウラタロスがカグラにも気さくに声をかけてきた。しかしカグラは彼に答えず、両手を前で握りしめて、自分に言い聞かせていた。

「私は強い、私は強い、私は強い・・・スーパーガール!」

 自分が強いと自己暗示をかけたカグラが、グリーン専用武器「トンネルアックス」を持ち上げた。彼女はさらに、重量のあるトンネルアックスをウラタロス目がけて振りかざしてきた。

「おわっ!」

 カグラからの思わぬ攻撃で、ウラタロスが大きく突き飛ばされる。すぐに立ち上がった彼だがカグラの発揮した力に動揺を植え付けられる。

「これはとんでもない力だね。言葉の裏には針千本。まさか僕がそう思わされるとはね・・」

 ウラタロスが笑みをこぼすと、ベルトにライダーパスをかざす。

Full charge.

 彼がデンガッシャーを釣竿のように振りかざして、先端の刃を伸ばす。刃はヒカリに命中すると、彼を絡め取って動きを封じる。

「う、動けない・・!」

「ヒカリ!」

 うめくヒカリと声を上げるライト。ウラタロスがジャンプして、エネルギーを集めたキック「デンライダーキック」を繰り出してきた。

「レールスラッシャー!」

 トカッチがとっさにレッド専用武器の剣「レールスラッシャー」を振りかざした。レールスラッシャーの刀身からエネルギーが鞭のように伸びて、ウラタロスを縛って攻撃を止めた。

「おわっ!」

 体勢を崩されてウラタロスが地面に落とされる。

「まさか、僕が釣られるなんて・・」

 自分が縛られたことにウラタロスが苦笑いをこぼす。

“おい、カメの字!そろそろ選手交代や!”

 その彼に向けて声が飛び込んできた。

「しょうがないね。この力仕事は君に任せるよ、キンちゃん。」

 ウラタロスがベルトの黄色のスイッチを押して、ライダーパスをかざす。

Axe form.”

 また電王の装甲の外装が分解、再装着される。同時に良太郎からウラタロスが出て、黄色のイマジン、キンタロスが入ってきた。

「ウソっ!?また変わった!?ホントに乗り換えとちが・・うわっ!」

 電王の変身に疑問を投げかけるトカッチだが、近づいてきた彼の顔をキンタロスがつかんできた。そのはずみでトカッチが言葉をさえぎられる。

「オレの強さにお前が泣いた!」

 キンタロスが言い放つと、トカッチを放す。トカッチが押されてしりもちをつく。

「わ〜、泣く〜!こんな目に合わされたら泣くって〜!」

「泣く?涙はこれで拭いとき!」

 悲鳴を上げるトカッチに、キンタロスが懐紙を渡す。

「アンタの力で泣きっ面になってるんだよ!」

 トカッチがさらに悲鳴を上げる前で、キンタロスがライトたちにも目を向ける。

「みんな腕っぷしのあるヤツばかりや。オレも最初から本気でやらなあかんな!」

 デンガッシャーを斧の「アックスモード」にして、キンタロスが構える。

「今度のは正々堂々ってヤツだね・・それじゃオレも真っ向勝負だ!」

 ライトが気を引き締めて、鉄橋型の爪「テッキョウクロー」を構えて迎え撃つ。デンガッシャーとテッキョウクローが激しくぶつかり合って、火花を散らしていく。

「今度のはホントに力があるね・・油断できない・・!」

「そういうお前さんもなかなかのもんや。」

 ライトとキンタロスが喜びを感じて笑みをこぼす。

「このー!」

 そこへカグラが飛び込んできて、トンネルアックスを振りかざしてきた。ところが彼女はライトとキンタロスの間に割って入るように飛び込んで、そのまま転んでしまった。

「度胸あるな、嬢ちゃん。せやけど勝負は勝負や。」

Full charge.”

 キンタロスがエネルギーを集めたデンガッシャーを構えて、大きくジャンプする。

「ダイナミックチョップ!」

「シンゴウハンマー!」

 そこへヒカリが信号機の形をしたハンマー「シンゴウハンマー」を振りかざしてきた。デンガッシャーとシンゴウハンマーがぶつかり合い、両方の衝撃が反発して彼らが吹き飛ばされる。

「うわっ!」

「キャッ!」

「ぐあっ!」

 地面や壁に叩きつけられて、ライトたちとキンタロスがうめく。

「うわ〜・・すごい衝撃・・爆発みたいだった〜・・」

「あんな物騒なの、早いとこ何とかしちゃわないと・・!」

 キンタロスのパワーにライトとミオが声を上げる。キンタロスもヒカリとの衝突の衝撃を痛感していた。

「こりゃ久々に腕が鳴る勝負になりそうや!」

“ねぇねぇ♪おもしろそうだね♪僕にもやらせてよ♪”

 そんなキンタロスに向けて別の声が飛び込んできた。

「リュウタ・・せっかくえぇとこやったのに・・!」

 キンタロスが不満を口にすると、ベルトの紫のボタンを押した。

Gun form.”

 電王の装甲が外れて再装着される。良太郎からキンタロスが出て、紫のイマジン、リュウタロスが入ってきた。

「お前たち倒すけどいいよね?」

「あのねぇ・・倒していいと聞かれて“うん”っていう人いると思う!?

 デンガッシャーを銃型の「ガンモード」にするリュウタロスの問いかけにミオが不満を言う。

「答えは聞いてない。」

「じゃあ聞くなよ!」

 続けて言うリュウタロスにトカッチが文句を言う。リュウタロスがライトたちに向かってデンガッシャーを発砲する。

「今度はすごく子供っぽいよ・・!」

「ライト以上に手が付けられないかも・・!」

 リュウタロスの性格にカグラとヒカリが声を上げる。

「こうなったら撃ち合い勝負よ!」

 ミオがホームトリガーを構えて、リュウタロス目がけて撃つ。リュウタロスが軽やかにかわして迎撃していく。

「すばしっこい!このっ!」

 ミオがさらにホームトリガーを発射するがかわされて、逆にリュウタロスに撃たれてしまう。

「うわっ!」

「よーし♪当たったー♪」

 押されて倒れるミオに、リュウタロスが無邪気に喜ぶ。

「大丈夫、ミオ!?

「うん、平気。でもアイツ、すっごい身軽だよ・・!」

 ヒカリの声にミオが答える。

「ミオ、選手交代だ!今度はオレが撃ち合いをやるよ!」

 ライトがミオに呼びかけて、トッキュウチェンジャーからトッキュウレッシャーを抜いた。

「ライト、しょうがないんだから・・」

 ミオがため息をつきながら、同じくトッキュウレッシャーを抜いた。

“変身解除いたしまーす。お急ぎの方は乗り換えてくださーい。”

 2人はトッキュウレッシャーを取り換えて、トッキュウチェンジャーにセットする。

“トッキュウ1号、ピンク、乗り換えてブルー。”

“トッキュウ3号、ブルー、乗り換えてピンク。”

 ライトとミオがスーツの色を入れ替えて、それぞれホームトリガーとテッキョウクローを手にする。

「さーて、今度はオレが相手だ!」

「いいよ。勝つのは僕だけどね!」

 ライトとリュウタロスが声を掛け合って、ホームトリガーとデンガッシャーで撃ち合いを繰り広げる。リュウタロスの動きを見切っていたライトは、彼を徐々に追い込んでいく。

「もー!よけないでよー!」

「だったら当ててみれば!オレにはお前に射撃が当たるイメージが浮かんでるんだ!」

 文句を言うリュウタロスにライトが言い放つ。

 トッキュウジャーは高い想像力、イマジネーションの持ち主であり、ふくらませたイメージを実現させる力を備えている。今、ライトはリュウタロスに射撃を当てるイメージをふくらませていた。

「もー!こうなったらコイツでやっつけてやるー!」

 不満を爆発させたリュウタロスが、ライダーパスをベルトにかざす。

Full charge.”

 エネルギーを集めたデンガッシャーを構えるリュウタロス。

「くらえー!」

 紫のエネルギーの弾をライト目がけて放つリュウタロス。

「今だ!」

 その瞬間に、ライトが横に動いて紫の弾をかわす。そしてすかさずライトはホームトリガーから車止め標識型のエネルギーを発射して、リュウタロスに命中させた。

「う・・動けない・・・!?

「これでゆっくり話ができるね。」

 体の自由が利かなくなったリュウタロスに対して、ライトがホームトリガーをしまってから近づいてきた。

「君たちは誰なんだ?シャドーラインの連中とは違うみたいだけど・・」

「シャドーライン?知らないよ、そんなの!それよりも動けるようにしてよー!」

 問いかけるライトにリュウタロスが文句を言う。

「ねぇライト、この仮面、どっかで見たような・・?」

 そこへミオも近づいてきて、電王の姿を見ていく。

「どっかって、どこで・・?」

「もしかして秘密基地で?」

「いや、そんな昔にこういうのいなかったし・・」

 トカッチ、カグラ、ヒカリが声をかけていく。

「彼の名は仮面ライダー電王。今は彼の中にイマジンと呼ばれる存在の1人が憑依している。」

 そこへ5人の戦士たちが現れて、ライトたちに声をかけてきた。ライトたちトッキュウジャーと同じく、それぞれの色のスーツを身に着けていた。

「その色、その格好・・もしかして、あなたたちもスーパー戦隊っていう人たち・・!?

「あぁ。私はアカレンジャー。そして我々は・・」

 ライトが声をかけると、赤いスーツの男が名乗る。

「5人そろって!」

「ゴレンジャー!」

 アカレンジャーが声を上げて、アオレンジャー、キレンジャー、モモレンジャー、ミドレンジャーが声をそろえる。秘密戦隊ゴレンジャーがライトたちとリュウタロスの前に現れた。

「すごーい!これがスーパー戦隊なんだー♪」

「そういう私たちもその戦隊なんだけど・・」

 ゴレンジャーに感動を見せるライトに、ミオが呆れる。

「みんな、とりあえず仲間内で争うのはやめるんだ。話を聞いてくれ。」

「オレも話を聞きたいと思ってたところです。何がどうなってるんですか?」

 キレンジャーが呼びかけると、ライトが質問を投げかけてきた。

 そのとき、ライトたちの横を電車が走り込んできた。ライトたちの乗っている烈車とは違う電車だった。

「えっ!?違う電車が走ってきた!?

「あれは、デンライナーではありませんか!」

 トカッチが驚いたところで、車掌がレッドレッシャーから顔を出して、デンライナーを見て声を上げてきた。

「デンライナー?烈車じゃないの?」

「デンライナーは時の電車です。時間と時間を渡り、時に時間を乱すイマジンを追いかけたりもします。」

 ライトの疑問に車掌が説明する。

 そのとき、リュウタロスの動きを止めているエネルギーが突然断ち切られた。この出来事にライトたちが振り返る。

 ライトたちとリュウタロスの前にモールイマジンが現れた。

「コイツ、まだいたのか!?

「別に行動していたのか!」

 別のモールイマジンの出現にライトとアオレンジャーが声を上げる。モールイマジンがライトたちに迫ろうとした。

「ちょーっと待ったー!」

 そのとき、ライトたちのいる場所に声が響いた。彼らの前に青年と緑色の怪人が現れた。

「デネブ、騒ぎ過ぎだぞ。もうちょっと落ち着けっての。」

「ゴメン、優斗・・」

 青年、桜井(さくらい)優斗(ゆうと)に注意されて怪人、デネブが謝る。

「アンタたちのことが知っている。コイツはオレが始末する。」

 ライトたちに呼びかけて、優斗が身に着けていたベルトにカードをセットする。

「変身。」

Altair form.”

 優斗が変身して緑の装甲を身にまとう。彼は仮面ライダー、ゼロノスに変身した。

「最初に言っておく!オレはかーなーり、強い!」

 優斗がモールイマジンを指さして高らかに言い放つ。爪を構えて向かってきたモールイマジンに、優斗は「サーベルモード」のゼロガッシャーを振りかざす。

 モールイマジンが返り討ちにされて、さらにゼロガッシャーで切りつけられていく。

「この程度じゃ長引かせても意味がないな。」

Full charge.”

 優斗がベルトのスイッチを押すと、エネルギーを集めたゼロガッシャーを構える。彼が振りかざしたゼロガッシャーから放たれた一閃「スプレンデッドエンド」で、モールイマジンは切り裂かれて爆発を起こした。

「その姿・・もしかして君も、仮面ライダーなの!?

 ライトが声をかけると、優斗がゼロノスへの変身を解除した。

「お前たちか、トッキュウジャーっていう新しい戦隊は?」

 優斗が問いかけると、ライトが頷いた。

“変身解除いたしまーす。”

 ライトたちもトッキュウジャーへの変身を解除した。電王も変身が解けて、同時に良太郎の体からリュウタロスが抜けた。

「話を聞かせてもらえないかな?何かが起こってるんですよね?」

「そうは言いましても、レインボーパスがなければ烈車に乗ることはできませんよ。」

 ライトが話を聞こうとすると、車掌が口を挟んでくる。

「それならデンライナーに来ればいいんじゃないかな?そこなら話ができるよ。」

 すると良太郎が優しく声をかけてきた。

「デンライナーですか・・そこのオーナーにはずいぶんとお世話になりましたからね。」

「あなた、オーナーと知り合いなんですか・・?」

 呟きかける車掌に良太郎が疑問を投げかける。

「知り合いであると言いますかー、因縁といいますかー。」

「チケットくん、余計なことは言わないように。」

 チケットが口にした言葉に車掌が注意をする。

「では私も参りますか。いろいろ意見交換とかもしておいた方がいいでしょう。」

 車掌がそそくさにレッドレッシャーからデンライナーに移動していった。

「ホントに何もないのかな?」

 車掌に疑問を感じながらも、ライトもトカッチたちと一緒にデンライナーに乗っていった。

 

 

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