オメガx鎧武xトッキュウジャー
スーパーヒーロー・ファイナルバウト
第1章
地球、宇宙、様々な世界を守り続けてきたスーパーヒーロー。
仮面ライダー、スーパー戦隊、宇宙刑事。
様々な世界で、様々な敵と戦い、その度に地球や宇宙を平和に導いてきた。
だが彼ら全員が、世界や大切なもののために戦い、ヒーローとして慕われてきたわけではない。
夢と平和を敵にした破壊者がいた。
地方都市「沢芽市」。巨大企業「ユグドラシルコーポレーション」を中心としたこの街では、「ビートライダーズ」と呼ばれる若者たちがいた。
そのビートライダーズの1チーム「チーム鎧武」に所属する青年、葛葉紘汰。
紘汰は南京錠型のアイテム「ロックシード」をベルト「戦極ドライバー」にセットして変身する戦士「アーマードライダー」の1人、鎧武である。
ある日、紘汰はある噂を聞かされていた。
「えっ!?新しいアーマードライダー!?」
チーム鎧武のメンバー、高司舞から噂の話を聞いて、紘汰が驚きの声を上げる。
「あくまで噂なんだけどね。それもちょっと違うみたいで・・」
「違うって・・」
「ベルトみたいなのを使ってたのは似てるんだけど、姿も格好も違うらしいし・・」
舞の話を聞いて、紘汰はさらに疑問をふくらませていた。
「僕もそのことについては分かりません。そもそもアーマードライダーなのかも確証を見つけられていませんし・・」
チーム鎧武の1人、呉島光実が冷静に告げてきた。
「けどもしオレたちの仲間だったら、会ったほうがいいに決まってる。よし、早速探しに行ってくるか。」
紘汰が噂のライダーと思われる人物の捜索に乗り出すことを決めた。
「ダメですよ、紘汰さん。いるかどうかもまだ分からない人物を探すなんて・・仮にいたとしても、その人物が僕たちの敵である可能性も・・」
「たとえそれでも、確かめないでほったらかしにするよりはマシだ・・別に舞やミッチを巻き込むつもりはない。オレだけで行く。」
「そうですか・・分かりました。僕が紘汰さんと一緒に行きます。
「ミッチ・・」
光実が口にした言葉に、紘汰が戸惑いを覚える。
「紘汰さんだけだとガムシャラに突っ走りすぎそうですので、僕がブレーキになりますよ。」
「何だか悪口を言われているような・・」
光実に言われたことに引っ掛かりを覚える紘汰。
「とにかくありがとうな、ミッチ。オレのわがままに付き合せちまって・・」
「いえ。紘汰さんには助けられてばかりですからね。たまには僕が紘汰さんを助けないと・・」
感謝の言葉をかける紘汰に、光実が微笑みかける。
「紘汰さんのことは僕に任せてください。それでは行ってきます。」
「2人とも気を付けてね。こっちでも何か聞いたら連絡するから・・」
光実が声をかけて、舞が答える。紘汰と光実は噂の人物を探しに外に出た。
噂の戦士を探しに沢芽市を駆け回る紘汰と光実。しかしあくまで噂の域を出ず、2人はすぐに途方に暮れることになってしまった。
「ハァ・・やっぱり噂でしかないのかなぁ・・」
「でも、噂があくまで噂ということが分かっただけでもよしとしましょう。そのほうが紘汰さんは納得も諦めもしてくれますから・・」
ため息をつく紘汰に、光実が落ち着きを見せて言いかける。
「すまなかったな、ミッチ。オレのためにここまで引っ張り回しちまって・・」
「いえ。僕もいい気分転換ができたと思うことにします。」
感謝する紘汰に、光実が冷静に返事をする。
「うわあっ!」
そのとき、周りにいた人々が悲鳴を上げて逃げ出してきた。
「な、何だ!?」
紘汰が声を上げて周りを見回す。逃げ惑う人々を追うように、大人数の怪人たちが押し寄せてきた。
「これは・・!?」
「見たことがないヤツらだ・・新しいインベスか・・!?」
光実と紘汰が声を上げる。彼らはその怪人たちを、自分たちが扱い、戦っている怪物「インベス」の一種だと思った。
「とにかくアイツらを止めるぞ!みんなを守らないと!」
紘汰が怪人たちに立ち向かおうと、戦極ドライバーとオレンジのロックシードを取り出した。
“オレンジ!”
彼はオレンジロックシードを解錠して、戦極ドライバーにセットする。
“ロックオン!”
紘汰の上空に裂け目が現れて、巨大なオレンジが降りてきた。
「変身!」
“ソイヤ!”
“オレンジアームズ・ハナミチ・オンステージ!”
戦極ドライバーのカッティングブレードを倒してオレンジロックシードを開くと、紘汰の頭にオレンジが降りてきた。オレンジが展開して鎧となって、彼の体を包んだその姿は戦国武将のようだった。
紘汰はアーマードライダー、鎧武への変身を果たした。
「よっしゃ!ここからがオレのステージだ!」
紘汰が2本の刀「無双セイバー」と「大橙丸」を手にして、怪人たちに向かっていく。怪人たちも刀を手にして迎え撃つ。
紘汰が無双セイバーと大橙丸を振りかざして、怪人たちを斬りつけていく。
「僕も行きますか。」
光実も戦極ドライバーとぶどうのロックシードを取り出してセットする。
“ロックオン!”
彼がブドウロックシードを施錠すると、上空の裂け目から巨大なブドウが現れた。
「変身。」
“ハイー!”
“ブドウアームズ・リュウ・ホウ。ハッハッハッ!”
光実の頭にブドウが降りてきて、鎧へと展開した。彼はアーマードライダー「龍玄」に変身した。
光実がハンドガン「ブドウ龍砲」を手にして、怪人たちを射撃していく。彼と紘汰の力に怪人たちが焦りを感じていく。
「お前ら何者だ!?お前らもインベスなのか!?」
紘汰が問いかけるが、怪人たちはうなり声を上げるだけで答えようとしない。
「インベスと同じように、言葉を話さないのでしょうね。」
光実が冷静に怪人たちについて語る。
「ここは全滅させないで何人か逃がしましょう。僕たちが後を付けて、ヤツらを指揮している人物か本拠地を暴きましょう。」
「親玉を暴き出すってか・・うまく見つけられるか、自信がないなぁ・・」
光実の提案を受け入れるも、紘汰は肩を落とす。
そのとき、紘汰と光実、怪人たちのいる場所に和太鼓の音が鳴り響いてきた。
「な、何だ・・!?」
突然のことに紘汰が声を上げる。そこへ大勢の黒子たちが現れて、旗を掲げて陣幕を広げてきた。
そして6人の男女が陣幕の前に現れた。
「あれか。アーマードライダー。新しい仮面ライダーというのは。」
「こん人たちもディケイドん仲間やろか?」
青年の1人が冷静に呟き、少女の1人が京都弁で疑問を投げかける。
「とにかく、アイツらが仮面ライダーなのはもう見え見えなんだ!」
「とっとと成敗してお縄にしてやろうぜ!」
2人の青年が勢いよく言い放つ。
「とにかく行くぞ。ナナシもいることだしな。」
声を掛け合うと、6人はそれぞれ携帯電話を取り出した。
「一筆奏上!」
「一貫献上!」
彼らがその携帯電話「ショドウフォン」で文字を描き、「スシチェンジャー」を動かして文字を現すと、その文字を体に受けることでそれぞれの色の戦士へと変身を果たした。
「えっ!?何だ!?・・へ、変身した!?」
変身した彼らに紘汰が声を上げる。
「何なんだ、アンタたちは!?」
紘汰が問いかけると、男女が腰に下げていた刀を引き抜いた。
「シンケンレッド、志波丈瑠。」
「同じくブルー、池波流ノ介!」
「同じくピンク、白石茉子。」
「同じくグリーン、谷千明!」
「同じくイエロー、花織ことは。」
「同じくゴールド、梅盛源太!」
6人の男女、丈瑠、流ノ介、茉子、千明、ことは、源太が名乗りを上げる。
「天下御免の侍戦隊!」
「シンケンジャー、参る!」
丈瑠が声を上げて、流ノ介たちが声をそろえる。紘汰と光実の前に侍戦隊シンケンジャーが現れた。
丈瑠たちが刀「シンケンマル」と短剣「サカナマル」を構えて、残った怪人、ナナシ連中たちに攻撃を仕掛ける。
「侍戦隊シンケンジャー・・」
「アーマードライダーではない・・あのような人たちがいたとは・・・」
丈瑠たちに対して、紘汰も光実も驚きを感じていた。丈瑠たちがナナシ連中たちを撃退すると、2人に振り返ってきた。
「お前たちがナナシを連れてきたのか?」
「ナナシ?今の怪物たちのことか?」
丈瑠が問いかけると、紘汰が逆に疑問を投げかける。
「お前らもディケイドの仲間だろ!?なぜならお前らも仮面ライダーなんだからな!」
源太が紘汰を指さして高らかに言い放つ。
「ディケイド!?仮面ライダー!?何のことだよ!?」
「この姿はみなさんからはアーマードライダーと呼ばれています。違う人と勘違いしているのではないですか?」
紘汰に続いて光実も言葉を返す。
「勘違いもへったくりもねぇ!その姿は間違いなく仮面ライダーだろ!」
「だとしたらディケイドの味方の可能性が大だってことだ!」
源太に続いて流ノ介も言い放つ。すると丈瑠が左手を出して2人を制する。
「と、殿・・!?」
「お前たち、本当にディケイドの味方ではないのだな?」
動揺を見せる流ノ介の前で、丈瑠が改めて紘汰たちに問いかける。
「そんなんじゃないって!第一、ディケイドなんてのも知らないってのに!」
「そうか。しかしお前たちは何者なのだ?詳しい話を聞かせて・・」
不満げに言い返す紘汰と、丈瑠は話し合いを持ちかけようとした。しかし光実が2人の間に割って入ってきた。
「すみませんが、そうして僕たちのことを調べようとする。その手には乗りませんよ。」
「ちょっと、ミッチ・・!」
丈瑠たちを警戒する光実に、紘汰が声を荒げる。
「そうか・・ならば不本意だが、荒療治をするしかないようだ・・」
丈瑠がため息まじりにいうと、シンケンマルを構えて紘汰と光実を見据える。
「そう来なくちゃ、タケちゃん!」
源太が笑みをこぼして、同じくサカナマルを構える。
「だからちょっと待てって!」
紘汰が呼び止めるが、丈瑠たちが迫ってきて、シンケンマルとサカナマルを振りかざしてきた。
「このっ!」
紘汰が無双セイバーと大橙丸で丈瑠が振りかざすシンケンマルを受け止めていく。
「よせって!」
「だったら、お前の仲間に攻撃をやめさせろ・・オレは本当に話をしたいと思っている・・!」
声を荒げる紘汰に丈瑠が呼びかける。
「ミッチ、たんまだ!戦いをやめてくれ!」
「そう言われても、向こうが・・!」
紘汰が呼びかけるが、光実は流ノ介たちをブドウ龍砲で迎撃していた。
「やっぱり武将や武者みたいな格好をしてるだけあるわね。」
「なかなか攻めきれへんなぁ・・」
茉子とことはが光実の力に驚きを覚える。
「そろそろ僕も本気にならないと・・」
光実が流ノ介に対して攻め立てようとしたときだった。
「おい、何だかにぎやかだな・・」
1人の人物が紘汰と光実、丈瑠たちの前に現れた。ヘビを思わせる形を含んだ紫の装甲の戦士である。
「えっ!?何だ!?・・アーマードライダー・・!?」
「いえ。似ていますが違いますね。ベルトの形も違いますし・・」
驚きの声を上げる紘汰に、光実が言いかける。
「イライラしていたところだ・・オレも混ぜてくれよ・・・」
男が笑みをこぼして肩を鳴らしながら、紘汰たちに近づいてくる。
「何だ、アンタ!?アンタもアーマードライダーなのか・・!?」
「あっ?何だ、そりゃ?ライダーは戦うもんだろ?戦って生き残るために・・」
紘汰が問いかけるが、男はあざ笑ってくるだけである。
「何言ってんだよ、アンタ!?オレたちが争うなんて・・!」
「甘いなぁ、お前・・すぐに死ぬぜ・・」
呼び止めてくる紘汰を男があざ笑ってくる。
「さぁ、オレを楽しませてくれよ・・!」
“Sword vent.”
男は言い放つと、手に剣「ベノサーベル」を持って向かってきた。だが振り下ろされたベノサーベルは、丈瑠が構えたシンケンマルに止められる。
「コイツは仮面ライダーでありながら、己の渇望のために行動しているヤツだ・・!」
「ほう?お前の方が分かっているじゃねぇか・・けどな、お前らも自分の望みのために戦ってるんだろうが・・」
紘汰に呼びかける丈瑠も、男があざ笑う。
「オレたちはお前のように、自分のためだけに戦ってはいない。家族のため、仲間のために、オレはこの剣を振るう・・!」
「言うじゃねぇか。ふんぞり返る殿様のくせに・・」
自分たちの意思を言い放つ丈瑠を、男はさらにあざ笑う。次の瞬間、丈瑠が男を押し返して、さらに流ノ介と千明が飛び込んできてシンケンマルを振るって、男を引き離す。
「大丈夫ですか、殿!?」
「あぁ。」
流ノ介の呼びかけに丈瑠が頷く。彼らが男に目を向けて構える。
「朝倉威、仮面ライダー王蛇、お前をここで成敗する・・!」
「フン。オレを縛り付けられるのは、オレだけだ・・・!」
互いに言い放つ丈瑠と男、威。
「ちょっと・・まだよく分かんないんだけど・・アンタたちは味方で、アイツは自分勝手な悪者でいいんだよな・・・!?」
「あぁ。お前はアイツとも違うし、ディケイドの仲間でもない。そうだな?」
「何度もそうだと言ってるじゃないか!」
「ではオレは、お前たちを信じよう。力を貸してくれ・・」
紘汰と言葉を交わして呼びかける丈瑠。
「あ、あぁ・・ありがとう!」
紘汰は丈瑠に礼を言って、威に対して無双セイバーと大橙丸を構える。
「いいぜ・・何人でも相手してやるよ・・・!」
威が言い放つと、ベノサーベルを構えて紘汰たちに飛びかかってきた。紘汰が先に飛び出して、無双セイバーと大橙丸をベノサーベルにぶつけていく。
「自分が楽しむために力を使うなんて・・そのために他のヤツが傷ついても構わないっていうのか!?」
「は?力っていうのはそういうもんだろ?お前だって今の自分を十分楽しんでるんだろうが。」
「オレはお前とは違う!」
あざ笑う威を突き飛ばして、紘汰が無双セイバーのつばから弾丸を発射する。威はベノサーベルを振りかざして弾丸を弾く。
「自分の目的のために誰かを犠牲にするようなこと、オレは絶対に許さねぇ!」
「フン。どっかのバカみたいなセリフを・・イライラするんだよ・・お前みたいなヒーロー気取りしてるヤツはな・・!」
怒りの言葉を言い放つ紘汰にいら立ちを見せて、威が飛びかかる。彼の荒々しい打撃とベノサーベルによる一閃が、紘汰を追い詰めていく。
「紘汰さん!」
光実が威に向けてブドウ龍砲を発射する。威が気づいて弾丸をかわして、紘汰から離れる。
「大丈夫ですか、紘汰さん!?」
「あぁ!助かった、ミッチ!」
駆け寄る光実に紘汰が答える。
「めんどくせぇ・・まとめて地獄に落としてやるぜ・・!」
威がいら立ちを見せて、杖「ベノバイザー」を手にする。
“Final vent.”
「ベントカード」の1枚「ファイナルベント」をベノバイザーにセットする威。彼の後ろの地面から巨大な紫のヘビ「ベノスネーカー」が現れた。
「な、何だ、あのヘビは!?」
「ヤツが契約したモンスターだ。ヤツの技が来るぞ・・!」
声を荒げる紘汰に丈瑠が言いかける。威が空中に飛び上がり、ベノスネーカーが同時に口から毒液を吐き出す。その勢いで威が紘汰たち目がけて飛び込んできた。
そのとき、茉子とことはが威の前に出てきて、ショドウフォンで「防」の字を描く。文字はピンクと黄色の光の壁となって、威の連続キック「ベノクラッシュ」を防いだ。
「くっ!小賢しいマネを・・!」
「何だ、今のは・・!?」
威と紘汰が茉子たちが発揮した力に声を上げる。
「モヂカラってゆん。描くことでそん文字を具現化させるんよ。」
ことはが紘汰と光実に「モヂカラ」について説明する。文字を描くことでモヂカラはその文字の効果を発揮する。
「オレも負けてられねぇな・・オレはコイツで!」
紘汰が意気込みを見せて、新しく「パインロックシード」を取り出した。
“ロックオン!”
彼は戦国ドライバーにセットしていたオレンジロックシードとパインロックシードを入れ替える。
“ソイヤ!”
カッティングブレードを倒してパインロックシードを開くと、紘汰の上に巨大なパイナップルが現れた。
“パインアームズ・フンサイ・デストロイ!”
彼の頭に降りたパイナップルが展開して、新たな装甲になる。鎧武の別形態「パインアームズ」である。
「コイツをくらえ!」
紘汰がパイナップルの形をした鉄球「パインアイアン」を投げつける。威は素早く動いてパインアイアンをかわす。
「そう来るか。だったらとっておきを見せてやるか・・」
威は不敵な笑みをこぼすと、カードを1枚取り出してベノバイザーにセットした。
“Unite vent.”
ベノスネーカーの他、サイ「メタルゲラス」とエイ「エビルダイバー」が現れた。3体は合体して「ジェノサイダー」となった。
「えっ!?怪物が合体した!?」
「さぁ、存分に楽しませてくれよ・・!」
驚きを見せる紘汰に対して、威が笑みを強める。
“Final vent.”
威がベノバイザーにカードをセットすると、ジェノサイダーが腹部の穴で吸い込みを行う。その吸引力に紘汰たちが引き寄せられる。
「こんなもんで・・!」
「これでオレたちを押さえ込めると思ったら、大間違いだ・・・!」
紘汰と丈瑠が声と力を振り絞って、ジェノサイダーの吸い込みに踏みとどまる。その2人に向かって威が飛びかかって、キックを繰り出してきた。
「烈火大斬刀!」
丈瑠が巨大な刀「烈火大斬刀」を手にして構えて、刀身で威のキックを防いだ。
「ぐっ!」
威が押し返されて横転する。丈瑠がジェノサイダーに目を向けて、紘汰に呼びかける。
「オレが怪物を斬る。お前は王蛇を倒せ。」
「あ、あぁっ!」
紘汰が頷いて、丈瑠とともに構える。吸い寄せようとしてくるジェノサイダーに丈瑠が、威に紘汰が向かっていく。
“パインスカッシュ!”
紘汰は戦国ドライバーのカッティングブレードを1回倒してから、パインアイアンを威目がけて蹴り飛ばす。パインアイアンが巨大化して威に覆いかぶさり、動きと視界を封じた。
「ぐっ!何だ、コレは!?」
威がいら立って暴れるが、パインアイアンから抜け出せない。同時に丈瑠がジェノサイダーに向かって烈火大斬刀を振りかざす。
炎をまとった烈火大斬刀がジェノサイダーを斬りつけた。「百火繚乱」を受けたジェノサイダーが倒れて爆発を引き起こした。
同時に紘汰が大きくジャンプして、身動きの取れない威に向けて飛び蹴り「無頼キック」を繰り出した。無頼キックをパイナップルごと直撃された威が、爆発に巻き込まれて消滅した。
「やったぜ!」
「やりましたね、紘汰さん。」
ガッツポーズを見せる紘汰に、光実が微笑みかける。2人は振り返って、丈瑠たちと顔を見合わせた。
「どうやら本当に、ディケイドの仲間ではないようだ。お前たちに話しておかないといけないな。オレたちのことやディケイドのこと、他のスーパー戦隊や仮面ライダーのことを・・」
「それならオレたちも立ち会おう。」
丈瑠に続いて声がかけられた。彼らと紘汰、光実の前に3人の男たちが現れた。
「アンタたちも、アーマードライダー・・じゃない・・・」
「あなたたちは何者ですか?もしかして、あなたたちがその・・」
紘汰と光実が男たちに声をかける。彼らは本郷猛=仮面ライダー1号、一文字隼人=2号、風見志郎=V3である。
「君たちがアーマードライダー、鎧武と龍玄だな。」
「今、この世界で、いや、宇宙にも広がりつつある事件が起こりつつある。」
1号と2号が紘汰たちに声をかける。
「事件・・!?」
「この街や世界だけじゃなく、宇宙にも広がっている事件とは・・?」
紘汰が声を荒げ、光実が1号たちに疑問を投げかける。するとV3が2人に事件について打ち明けた。
「ディケイドが、仮面ライダーディケイドが、全ての世界の破壊を行おうとしている・・・!」
「ディケイドも、仮面ライダーだっていうのか・・・!?」
V3が告げた言葉に、紘汰が息をのむ。
「そのディケイドというのは、どのような仮面ライダーなのですか?」
光実が問いかけると、丈瑠が流ノ介たちと一緒に変身を解いてきた。
「ディケイド・・世界の破壊者と呼ばれた男だ・・」
道路を走り抜ける1台のバイク。そのバイクに乗って疾走する1人の青年。
青年の名は吉川光輝。光輝は世界の異変に気付いて、バイク「メガブレイバー」に乗って疾走していた。
「今、世界で何かが起こっている・・それは間違いないんだね、メガブレイバー?」
「あぁ。それは間違いない。その正体や状況は詳しくは分からないが・・」
光輝の声にメガブレイバーが答える。
「それにガルヴォルスのエネルギーも感知している。その中で光輝、君にとって忘れていない存在も感知している・・」
「その存在って、もしかして・・・」
メガブレイバーの言葉を聞いて、光輝が息をのむ。
「海道竜也の反応だ。なぜまた感知したのかは分からない・・」
メガブレイバーが投げかけた言葉を受けて、光輝は戸惑いを覚える。
「竜也は死んだ・・オレに自分の正義と思いを託した・・そのアイツがこの世界のどこかにいるとしたら、それはもしかしたら・・・」
呟く光輝はある怪人の存在を思い出していた。
ネクロマンサーガルヴォルス。仮面ライダーやスーパー戦隊、宇宙刑事に倒された怪人たちをよみがえらせた怪人である。だがネクロマンサーガルヴォルスは倒され、復活を果たしても再び倒された。
「2度あることは3度ある・・あのガルヴォルスがまた現れて、今度は竜也を・・・!」
光輝が竜也を思い出して、憤りをふくらませていった。
竜也は光輝に全てを託して命を落とした。彼が生きているなら、何らかの出来事で復活した以外になく、それがネクロマンサーガルヴォルスの仕業である可能性が高い。光輝はそう考えていた。
「どっちにしても、世界に何かが起こるのは間違いないかも・・その正体を見つけないと・・何かイヤなことが起こる前に・・・」
一抹の不安を抱えたまま、光輝はさらに急いだ。
そのとき、光輝が見覚えのある人物の姿を捉えて、メガブレイバーを止めた。
「どうした、光輝?」
メガブレイバーが声をかけるが、光輝はその人物をじっと見つめたままだった。彼の前にいたのは竜也だった。
「竜也・・竜也なのか・・・!?」
「お前は・・吉川光輝・・・!?」
思いもよらなかった再会に、光輝も竜也も驚きを感じていた。
「本当に・・本当に竜也なのか・・!?」
「あぁ・・だが、なぜオレがここにいるのか、分からない・・」
「もしかして・・あのガルヴォルスがまた・・・!」
「あのガルヴォルス・・?」
「あぁ・・仮面ライダーだけでなく、スーパー戦隊や宇宙刑事が倒してきた怪人たちをよみがえらせてきたガルヴォルスがいたんだ。オレたちで2度に渡って倒してきたんだけど・・」
「それがまた現れて、オレをよみがえらせたというのか・・・?」
「分からない・・でも可能性が高い・・・」
光輝から話を聞いて、竜也が深刻な面持ちを浮かべる。光輝もすぐに表情を曇らせていく。
「竜也・・君はこれから、どうするつもりなんだ・・・!?」
光輝が竜也に思い切って疑問を投げかけてきた。
「オレはオレが憎むべき敵と戦うつもりだ・・だが基本は敵の愚かさを止めるだけだ・・」
竜也が真剣な面持ちで自分の考えを告げる。
「これは光輝、お前がオレに呼びかけ続けてきたことだ・・」
「竜也・・・」
「お前は、お前が見出した答えを貫いているのだろう・・?」
竜也が投げかける問いかけに、戸惑いを感じていた光輝はすぐに頷くことができなかった。
「何を気にしている?・・何を迷っている・・・?」
竜也がさらなる疑問を投げかけるが、光輝は答えることができない。
「何があった?・・オレが命を落として、こうして生き返ったまでの間に・・」
「竜也・・・話すことにするよ・・」
竜也に問い詰められて、光輝は話を切り出すことにした。
「オレは仮面ライダーの1人、ディケイドをこの手で倒した・・」
「ディケイド・・オレがあのとき戦ったヤツか・・」
光輝の話を聞いて、竜也が記憶を思い返す。
「みんなの夢を壊すアイツのやり方がどうしても許せなかった・・だからオレはアイツを倒した・・」
「そうか・・ヤツは光輝が持っていた正義からかけ離れていた存在だったのだな・・」
光輝の話を聞いて、竜也が納得する。
「ならば気にすることはないはずだ。そうしなければお前が、いや、お前が守ろうとしてきたものが危険にさらされたのだろう・・?」
「あぁ、そうだ・・これ以上アイツに世界を、夢を壊されたくなかった・・オレが止めないといけなかった・・・」
竜也のさらなる問いかけに、光輝が声を振り絞って答えた。
「そして今起きている異変、オレも解決に行かないと・・きっと他のライダーや戦隊、宇宙刑事のみなさんも動いているはずだ・・」
「そうか・・ならばオレも一緒に行く。オレの目で、お前の正義を改めて確かめる・・」
互いに自分の考えを口にする光輝と竜也。竜也の言葉を聞いて、光輝が戸惑いを覚えた。