オメガ×フォーゼ×ゴーカイジャー

スーパーヒーロー列伝

第6章

 

 

 オメガのベルトを取り戻そうとバスコのところへ向かう光輝たち。彼らは廃工場の敷地に足を踏み入れた。

「隠れられそうなのはここぐらいでしょうか・・」

「怪人だったら、その気になったらどこにでも隠れられそうだけど・・」

 鎧と光輝が周りを見回して呟いていく。

「待っていたぞ、ゴーカイジャーと仮面ライダーたち!」

 そこへ声が飛び込んで、光輝たちが振り返る。彼らの前に現れたのは黒いユニフォームと野球ボールのような頭をした男で、手には赤いバットが握られていた。

「えっ!?野球ボール!?な、何なんだ、コイツ!?

 弦太朗が男を見て声を荒げる。

「お前たちにも名乗っておこう!オレの名は野球仮面!1度は引退宣言したが、今ここに現役復帰したぞ!」

 男、野球仮面が高らかに名乗りを上げる。野球仮面は黒十字軍の仮面怪人の1人。ゴレンジャーに敗れて引退宣言をした彼が今、現役復帰を果たして光輝やマーベラスたちの前に立ちはだかった。

「野球仮面ねぇ。ゴレンジャーハリケーンで散々アウトになってたくせに。」

 ルカが挑発を投げかけるが、野球仮面は動じていない。

「残念だが、ゴレンジャーハリケーン対策は徹底的に特訓してきたわ!それに今回は、オレにはチアリーダーという強い味方が付いている!」

「チアリーダー?」

 野球仮面の発言にドンが疑問符を浮かべる。すると3人の怪人が現れた。

 ショッカーの蜂女、「地球犠獄集団(ちきゅうぎごくしゅうだん)」の幽魔獣、遮光器土偶のピカリ眼、ザンギャックの開発技官、インサーンである。

「久しぶりね、宇宙海賊・・」

 インサーンがマーベラスたちに声をかけてきた。

「ザンギャック・・また出てきたと思ったら、コイツのチアリーダー?幹部だったヤツがずいぶんな格下げだな。」

「相変わらずの大口を・・しかし強がっていられるのも今のうちよ。」

 互いに強気な態度を見せるマーベラスとインサーン。

「仮面ライダーもスーパー戦隊も、我々の毒牙にかかって滅ぶことになる。ここにいるお前たちも例外ではない。」

「みんなあたしたちに支配されちゃうんだよ♪戦隊もライダーも人間たちもみーんな♪」

 蜂女が毅然と、ピカリ眼が明るく声をかけてくる。

「野球仮面の野球勝負の前に先兵を送らせてもらうわ。始球式じゃないけど。」

 インサーンが言葉を投げかけたとき、光輝たちの前に2人のライダー、エックスとカイザが現れた。

「またライダーキーのライダーか・・」

「どんなヤツが出てこようと、オレたちは前進あるのみだ。」

 ジョーが呟き、マーベラスが強気に振る舞う。エックスが棒型の武器「ライドルスティック」を、カイザが剣と銃が一体化している武器「カイザブレイガン」を手にして構える。

「後ろにいるみなさんを待たせては失礼になりますので、早く済ませてしまいましょう。」

 アイムが言いかけてレンジャーキーを取り出した。

「善は急げっていうしね。これでさっさと終わらせちゃおう。」

 ルカが同意して、マーベラスたちも同種のレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“ゴーゴーーファーイブ!”

 マーベラスたちが新たなる戦隊へと変身する。人の命、地球の未来を守ることを任務とする「救急戦隊ゴーゴーファイブ」である。

「人の命は地球の未来!」

「燃えるレスキュー魂!救急戦隊!」

「ゴー!」

「ゴー!」

「ファイブ!」

「出場!」

 ドン、アイム、ジョー、ルカの順で名乗りを上げて、5人が声をそろえた後でマーベラスが名乗りを締めくくる。エックスとカイザがマーベラスたちに向かっていく。

「よっしゃ!オレも行くぜ!」

「お前たちの相手はこの私がしてあげるわ。」

 マーベラスたちに加勢しようとした弦太朗の前にインサーンが立ちはだかった。

 

「ファイブレイザー!」

 マーベラスたちが銃型の「ガンモード」の「ファイブレイザー」を手にして、エックスとカイザを迎え撃つ。だがマーベラスたちは発射したプラズマビームをエックスがライドルスティックで弾いて、カイザがカイザブレイガンで射撃して相殺していく。

「ライフバード!」

 ドンが鳥型のマシン「ライフバード」を呼び出す。ライフバードが分解して、5つのレスキューツールとなる。

「ビルドディスチャージャー!」

 ジョーが消火器「ビルドディスチャージャー」を噴射する。噴射された白い煙がエックスとカイザの視界をさえぎる。

「ビークドリラー!」

 マーベラスがエックスとカイザをスコープして、ドリル「ビークドリラー」を突き出す。エックスは迎撃が間に合わず、突き飛ばされて横転する。

 ドンがファイブレイザーを「スティックモード」にして、煙の中に飛び込む。がむしゃらに飛び込んだ彼だが、ファイブレイザーでカイザを突き飛ばしてカイザブレイガンを弾くことに成功。偶然にも「スティックボンバー」を繰り出すことになった。

「や、やった!」

 技が決まったことを喜ぶドン。

Exseed charge.”

 白い煙の中、エックスとカイザが高くジャンプする。

「ブイマシンガン!」

 マーベラスたちがもう1つの銃「ブイマシンガン」を構えて、空中の一点に向けて一斉に発射する。5つの光が集まって巨大な光弾となる。

「ビックブイバスター、シュート!」

 ライドルスティックを使って回転してからのキック「エックスキック」を繰り出すエックスと、両足のキック「ゴルドスマッシュ」を繰り出すカイザに、マーベラスたちが光弾「ブックブイバスター」を放つ。光弾を受けたエックスとカイザが、光弾の爆発に巻き込まれて消滅した。

「まぁこんなもんだ。そろそろ本番と行こうぜ。」

 ゴーカイジャーに戻ったマーベラスたちが野球仮面に振り返る。

「もー、調子に乗っちゃってー!野球ちゃん、ボッカボカに打っちゃって!」

「もちろんだ!戦隊チームを打ち負かすために、オレはこれまで特訓を繰り返してきたのだ!」

 不満を見せるピカリ眼に言われて、野球仮面が赤バットを振り回す。

「上等だ。だったらたまにはコイツでやってやらねぇとな。」

 マーベラスが不敵に笑って、彼らがレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“カーーレンジャー!”

 マーベラスたちが新たなる戦隊へと変身する。宇宙暴走族に立ち向かった「激走戦隊カーレンジャー」である。

「戦う交通安全!激走戦隊、カーーレンジャー!」

 マーベラスたちが高らかに名乗りを上げる。

「カーレンジャーで来たか!打ち取ってくれる!」

 野球仮面が意気込みを見せて、手にした野球ボールを赤バットで打って、マーベラスたちに向けて飛ばす。

「バイブレード!」

 マーベラスがジョー、ルカと一緒に剣「バイブレード」を手にして、バットの要領でボールを弾き返していく。

「オートブラスター!」

 さらにマーベラスがドン、アイムと一緒に銃「オートブラスター」を手にして、ボールを撃ち落としていく。

「もらった!シグナルスラッシュ!」

 鎧が警察手帳「シグナイザー」を警棒型の「ポリスバトンモード」にして飛びかかり、野球仮面に向けて振り下ろす。だが野球仮面はバッドを掲げて受け止める。

「コースが甘い!」

 野球仮面のバットに押されて、鎧が後ろに下がる。

「宣言通り、腕を上げてるみたいですよ!」

「だったらコイツはどうだ!ギガブースター!」

 鎧が声を荒げると、マーベラスがフォーミュラーマシン「ギガブースター」を呼び出す。ギガブースターがバズーカ砲「ブースターキャノン」に変形する。

 マーベラスたちがブースターキャノンを構えて、野球仮面たちに狙いを定める。

「イグニッション!」

 ギガブースターから光線が放たれる。これに対し野球仮面がバットを構えてきた。

「今のオレは、どんな攻撃もヒットにできる!」

 野球仮面が振ったバットが、ブースターキャノンの光線を打ち返した。

「何っ!?

 必殺技を跳ね返されて驚くマーベラス。光線の直撃で爆発が起こり、マーベラスたちが地面に倒される。

「必殺技を跳ね返すなんて反則じゃない・・・!」

「反則ではない!オレは正々堂々とお前たちの必殺ボールを打っただけだ!」

 文句をいうルカに、野球仮面が自信満々に振る舞う。

「こうなったら野球勝負で打ち負かすしかないです!やりましょう!」

「だけど、ゴレンジャー対策はバッチリだって・・!」

 呼びかける鎧にドンが不安を口にする。

「野球で対抗できる戦隊は、ゴレンジャーだけじゃないですよ!」

 そういって鎧が取り出したのは、「五星戦隊ダイレンジャー」のキバレンジャーキーだった。

「ですがダイレンジャーは野球の戦隊ではないはずですが・・?」

「今回は特別です!向こうも特別みたいですし!」

 アイムが疑問符を浮かべるが、鎧は意気込みを見せるだけだった。

「それじゃ鎧、ここは任せるぜ。」

「お任せください!」

 マーベラスに言われて鎧が頷いた。

「ゴーカイチェンジ!」

“ダーイレンジャー!”

 彼らがダイレンジャーへの変身を果たす。

「天に輝く五つ星!今回は特別!」

「野球戦隊、ダイレンジャーズ!」

 鎧が高らかに名乗りを上げて、6人が声をそろえる。今回彼らは通常のダイレンジャーの名乗りではなく、最後に野球のバッティングフォームを取り入れていた。

「野球戦隊?相手にとって不足はない!」

 高らかに言い放つ野球仮面の前に、マーベラスが立ちふさがる。

「まずはオレからだ。派手にかっ飛ばしてやるぜ!」

「望むところだ!打ち取ってくれるわ!」

 互いに言い放って構えるマーベラスと野球仮面。野球仮面が力を込めてボールを投げた。

「天火星・稲妻斬り!」

 マーベラスがバットを剣のように振り下ろして、ボールを打つ。打たれたボールは野球仮面の横に飛んで、後ろの蜂女に命中した。

「お、おのれ・・この私にボールをぶつけるとは!」

 怒った蜂女がフェンシングの剣を手にして、針のように連続で発射する。

「次はあたしよ!天時星・スロー映像!」

 ルカが飛んでくる素早い針の動きを見切り、バットを振って跳ね返す。

「アター!」

「いったーい!」

 跳ね返された針は野球仮面とピカリ眼の頭に刺さった。2人は痛がりながら刺さった針を抜いた。

「もー、痛いじゃないのー!」

 ピカリ眼が不満の声を上げて、野球仮面が持っていたボールをぶんどる。

「これでもくらえー!」

「おっしゃ!オレが受けて立つ!」

 そのボールを投げつけてきたピカリ眼と、バットを構える鎧。向かってくるボールに対して、鎧がバントの構えを取った。

「そんなことでこの球を受けられるわけないって♪」

「そいつはどうかな!」

 明るく勝気に振る舞うピカリ眼に、鎧が自信を見せる。

“カキーン!”

 バントでボールを当てたように見えたが、まるでバットを全力で振って打ったようにボールが強く跳ね返された。勢いを持ったまま、ボールは蜂女に命中した。

「決まった!やまびこヒットでポイントゲット!」

 バッティングがうまくいって、鎧が喜ぶ。

「一気に決めるぜ!スーパー気力バズーカ!」

 マーベラスに呼ばれて、バズーカ砲「スーパー気力バズーカ」が現れる。彼らは狙いを怯んでいる蜂女に向ける。

「ファイヤー!」

 スーパー気力バズーカから放たれた気力が蜂女に命中。倒れた蜂女が爆発を引き起こした。

「げげー!はっちゃんがやられちゃったよー!」

 ピカリ眼が頭を抱えるが、すぐに野球仮面に駆け寄ってきた。

「野球ちゃん、あんな反則技に負けちゃダメだからね!」

「任せんしゃい!」

 ピカリ眼に応援されて、野球仮面が意気込みを見せた。

「しぶといヤツらだ。だったらこっちは選手交代だな。」

 マーベラスが言いかけて、新たなるレンジャーキーを取り出した。

「それですか!?確かにその戦隊も野球で戦ったことがありますけど、オレが・・!」

「野球が得意なヤツがもう1人いただろう・・」

 動揺を見せる鎧に、ジョーが淡々と言葉を投げかける。

「そうでした・・じゃオレはそれでいきます!」

 鎧は別の戦隊のレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“チェーンジマン!”

“ハーリケンジャー!”

 マーベラスたち5人がチェンジマンに、鎧がハリケンジャーに変身した。

「電撃戦隊!」

「チェンジマン!」

 マーベラスが名乗りを上げて、5人が声をそろえる。

「緑の光弾!天空忍者、シュリケンジャー!」

 鎧も名乗りを上げて、シュリケンズバットを手にする。

「チェンジソード!」

 マーベラスたちが剣「チェンジソード」をバットに変えて構える。

「いいだろう!今度の戦隊も打ち負かしてやるぞ!」

 野球仮面がバットを振って、マーベラスたちに向けてボールを飛ばす。マーベラスたちはそのボールを打ち返して、野球仮面とピカリ眼に命中させた。

「やるようになったなー!ならこれならどうじゃー!」

 野球仮面が負けじと、連続でボールを打ってきた。

「負けないぞ!超忍法・秘打ミラクル千本ノック!」

 鎧もシュリケンズバットで飛んできたボールを連続で打ち返す。野球仮面もそのボールを打ち返し、壮絶なノックを繰り広げていく。

 だがその攻防に追い付けなくなり、野球仮面がボールをぶつけられた。鎧とのノックで一気に体力を消耗して、野球仮面は呼吸を乱していた。

「今です、みなさん!」

「あぁ!パワーバズーカ!」

 鎧の呼びかけを受けて、マーベラスたちがそれぞれのバズーカを組み合わせて、巨大バズーカ「パワーバズーカ」を完成させる。

「セット!」

 マーベラスがパワーバズーカに弾丸をセットする。

「マーク!」

 ルカが野球仮面に狙いを定める。

「ファイヤー!」

 パワーバズーカが発射され、エネルギーの弾丸が放たれる。野球仮面が赤バットを振りかざして打ち返そうとするが、バットが折れてしまい、爆発に巻き込まれた。

 巻き上がる煙の中から、野球仮面が出てきた。しかしボロボロで、受けたダメージは大きかった。

「まさかまた負けるとは・・・こんなことになるなら・・引退したまま隠居していればよかったわい・・・」

 自分の不甲斐なさを痛感する野球仮面が負けを認める。

「あたー!」

 落下してきたボールを頭に受けて倒れ、野球仮面が爆発を引き起こした。マーベラスたちが野球勝負に勝利した。

「野球ちゃんまでやられちゃうなんて・・・こうなったら、人間たちを操って、お前たちに襲わせてやるー!」

 ピカリ眼が不満をあらわにして、人々を探して操ろうとしていた。彼女は人の感情を消して操ることができるのである。

 だが移動しようとしたピカリ眼の行く手を鎧が阻んだ。

「逃げられると思わないことだな!」

「このー、調子乗ってんじゃねぇぞ、海賊!」

 言い放つ鎧にピカリ眼が怒鳴る。

「おめぇの相手はコイツでやってやるぜ。」

 マーベラスたちが新たなレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“ファーイブマン!”

 彼ら5人がファイブマンに変身した。

「地球戦隊!」

「ファイブマン!」

 マーベラスが高らかに名乗りを上げて、5人が声をそろえた。ファイブマンとなった彼らを見た途端、ピカリ眼が突然狂喜乱舞を見せてきた。

「キャー♪ファイブマン♪ファイブマンだよー♪」

「な、何、いきなり・・・?」

「どうやらファイブマンが大好きみたいですけど・・・」

 ピカリ眼の大喜びにドンとアイムが唖然となる。

「だったらファイブマンで倒されるんだから、本望ってもんよね。」

 ルカが笑みをこぼすと、マーベラスが先陣を切ってピカリ眼に向かっていく。

「ファイブラスター!Vソード!」

 マーベラスがレーザー銃「ファイブラスター」と剣「Vソード」を手にして、ピカリ眼に向かて射撃と斬撃を仕掛ける。ピカリ眼はバネのように飛び跳ねて、マーベラスの攻撃をかわす。

「パワーカッター!」

 ドンが刃「パワーカッター」を手にして、ピカリ眼に振りかざす。自分の体に回転を加えたドンの攻撃が、ピカリ眼を捉えた。

「うわっ!」

 攻撃されたピカリ眼がバランスを崩してしりもちをつく。

「メロディータクト!」

 ルカが武器「メロディータクト」を手にして、リボンを出してピカリ眼の体を縛る。ルカがリボンを振りかざすと、ピカリ眼が回されて、目を回して倒れる。

 すぐに起き上がるもふらふらするピカリ眼。ルカが駆け寄ってメロディータクトを振りかざして、ピカリ眼に叩きつけていく。

 ダメージを蓄積されて再び倒れるピカリ眼。

「とどめだ!スーパーファイブボール!」

 マーベラスが爆弾ボール「スーパーファイブボール」を取り出した。彼らがふらふらしているピカリ眼を取り囲んだ。

「このー、こんなもんで負けるかー!」

「ハカセ、行くぞ!」

 ピカリ眼が迫ると、マーベラスがドンにボールを渡す。

「ジョー!」

「アイム!」

 ドン、ジョー、アイムとボールがパスされていく。

「ルカさん、エンドボールです!」

「OK!」

 アイムがボールを構えて、ルカが両手を突き出してボールを飛ばす。ボールが命中してピカリ眼が爆発に巻き込まれた。

 1度倒れたピカリ眼だったが、爆発の煙からすぐに出てきた。

「まさかファイブマンにやられるなんて・・しかもファイブイエローにとどめを刺されるなんて・・・幸せ・・ゲットだよ・・・ガフッ!」

 最後に喜びの言葉を口にして、再び倒れたピカリ眼が爆発を引き起こした。

「おかしなヤツだった・・」

「ま、それなりに楽しませてもらったからよしとするか・・」

 ジョーとマーベラスが呟いて、インサーンと戦っている弦太朗たちに振り返った。

 

 インサーンとの激闘を繰り広げる弦太朗。インサーンが両肩に仕込んでいたミサイルを発射し、弦太朗が右腕にロケットを装備して飛び回って、ミサイルをかいくぐっていく。

「逃げ回っているだけでは私には勝てないわよ。」

 インサーンが笑みをこぼし、弦太朗が反撃に出ようと頭を使っていた。

「ミサイルたくさんぶっ放してきやがるぜ!あれじゃよけるだけで精一杯だ!」

「あの火力に打ち勝つのはかなりの危険を突破する覚悟がなければならない!」

 弦太朗に続いてV3が声を上げる。

「火力・・火・・それならコイツがいい!」

 思い立った弦太朗が新たなるスイッチをセットした。

Fire.”

 彼のまとうフォーゼの装甲が赤に変わる。射撃と炎の攻撃を得意とする形態「ファイヤーステイツ」である。

「別の姿になっても、私は止められないわよ!」

 インサーンが弦太朗に向けて再びミサイルを連射する。弦太朗が銃「ヒーハックガン」からの火炎放射で、ミサイルを迎撃していく。

 が、全てのミサイルを撃ち落とせず、弦太朗たちが爆発に襲われていく。

「ウフフフ、お前たちが何をしようと、私には通用しないのよ!」

 インサーンが笑い声をあげて、RXに向かっていく。彼女は爪を伸ばして、爆発で怯んでいるRXを切り付けた。

「まずはあなたからよ。私の毒で時間をかけて苦しませてやるわ。」

「残念だが、オレにはその程度の毒は効かないぞ・・!」

 笑みをこぼすインサーンに、RXが強気に言い返す。

 太陽の石「キングストーン」を埋め込まれた改造人間であるRXは、普通の人間の能力をはるかに超えていた。毒に対する耐性も彼には備わっていた。

「まさか私の毒牙が通じないとはね・・敵でなければ惚れていたかも・・」

「お前たちのような悪がいる限り、オレたち仮面ライダーは不滅だ!」

 さらに笑みをこぼすインサーンに、RXが言い放つ。彼の言葉を聞いて、インサーンが緊張を覚える。

 弦太朗がヒーハックガンを構えて、インサーンに狙いを定めていた。ヒーハックガンとセットされているファイヤースイッチにエネルギーが集中していた。

「これは・・!?

 驚きを見せるインサーン。弦太朗の攻撃に巻き込まれないように、RXがインサーンから離れる。

 ファイヤースイッチとヒーハックガンには炎などの熱エネルギーを集めて、一気に放出する能力を備えている。インサーンが放ったミサイルの爆発の炎を、弦太朗は吸収させていた。

Limit break.”

「ライダー爆熱シュート!」

 弦太朗が熱エネルギーをインサーンに向けて解き放った。大きくなった熱エネルギーに直撃されて、インサーンが焼かれるようなダメージを負う。

「こんなことで私が・・この私があぁぁーーー!」

 熱エネルギーに巻き込まれて、インサーンが悲鳴を上げながら消滅していった。

「よっしゃ!うまくいったぜ!」

 弦太朗が勝利を喜んで、ファイヤーステイツを解除した。

「炎を吸収して返すとは、さすがだな。」

 V3が弦太朗に賞賛を投げかける。彼らの戦いを見ていた光輝は、心を揺るがせていた。

「みんなが命がけで戦っているのに・・僕は何もできていない・・・」

「そんなことねぇって。今は変身できなくても、オレたちと一緒に戦ってることに変わりはねぇ。」

 自分の無力さを感じている光輝に、弦太朗が励ましの言葉を投げかける。

「ベルトを取り戻して変身できるようになったら、思いっきりやってやろうぜ。」

「弦太朗くん・・・うん・・・」

 弦太朗の声に答えて、光輝が笑みをこぼした。

 そのとき、光輝たちの前で爆発が起こった。振り返った彼らの前にストロンガーとアクセルが現れた。

「またバスコが呼びだした仮面ライダーか・・」

「ライダーも戦隊に負けず劣らずの戦力ってことだね・・」

 ジョーとドンがストロンガーとアクセルを見て呟く。

「ストロンガーはオレたちに任せてくれ。ゴーカイジャーはアクセルを頼む。」

 V3がマーベラスに呼びかけて、弦太朗、RXとともにストロンガーを迎え撃った。

「言うことを素直に聞くのは癪だが、アイツのほうが面白そうだ・・」

「こっちも派手に振り切ってやりましょう!」

 笑みをこぼしたマーベラスに、鎧がレンジャーキーを取り出した。

「オレのセリフを取るなって。」

 マーベラスが不満を見せながらも、同じ戦隊のレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“ゴーーオンジャー!”

「メットオン!」

 彼らは「マシンワールド」のマシン生命体「炎神」のドライバーに選ばれた「炎神戦隊ゴーオンジャー」変身した。

 鎧はゴールドとシルバー、2つのレンジャーキーを掛け合わせたゴーオンウィングスキーで変身した。彼は複数のレンジャーキーを掛け合わせて、新たなレンジャーキーを作り出す能力を持っている。

「正義のロードを突き進む!炎神戦隊、ゴー!オンジャー!」

「テイクオフ!ゴーオンウィーングス!」

 マーベラスたちが高らかに名乗りを上げる。アクセルが大剣「エンジンブレード」を手にして、マーベラスたちに向かっていく。

「ガレージランチャー!ランチャースターター!」

「レーシングバレット!」

 ジョーがランチャー「ガレージランチャー」を構えて光弾を放ち、ルカも弾丸「レーシングバレット」を投げつける。アクセルがエンジンブレードで2人の攻撃を弾き飛ばす。

「ブリッジアックス!アックスツーリング!」

「カウルレーザー!レーザーハイビーム!」

 ドンが斧「ブリッジアックス」を振りかざして衝撃波を飛ばし、アイムが銃「カウルレーザー」で光弾を連射する。2人の遠距離攻撃を防ぎきれず、アクセルが押された。

Trial.”

 アクセルはベルトにセットされていたガイアメモリ「アクセルメモリ」を「トライアルメモリ」に移し替える。アクセルの装甲が赤から黄、そして青へと変わった。

 アクセルの高速形態「アクセルトライアル」である。

「さらにスピードを上げようってことか!」

「だったらこっちもマッハ全開。スピードアップと行くか!」

 鎧とマーベラスが言い放つと、アクセルがトライアルメモリのタイマーを動かした。

「マンタンガン!ロードサーベル!」

「ロケットダガー!」

 マーベラスがマンタンガンと剣「ロードサーベル」を、鎧が短剣「ロケットダガー」を2本手にする。アクセルが目にも止まらないスピードで2人に迫ってきた。

 マーベラスがマンタンガンを発砲し、鎧がスピードを駆使してアクセルの注意をかき乱す。

「今だ!サーベルストレート!」

 マーベラスが現れた光のロードを突っ切って、アクセルに向かって飛びかかる。

Trial,Maximum drive!”

 アクセルが超高速の連続キックを繰り出し、マーベラスが振りかざしたロードサーベルを迎え撃つ。

「そこだ!ジェットダガー!」

 鎧が体を回転させて飛び上がり、マーベラスを攻め立てているアクセルに飛び込む。エネルギーを集めたロケットダガーが、アクセルを切り付けて突き飛ばした。

 鎧の攻撃でのダメージでのトライアルでの大きな負荷で、アクセルからトライアルへの変身が解除された。

「とどめだ!スーパーハイウェイバスター!」

 マーベラスたちがバズーカ砲「スーパーハイウェイバスター」を呼び出し、ふらついているアクセルに狙いを定める。

「ゴーオン!」

 スーパーハイウェイバスターから放たれた炎神のソウルが、加速してアクセルに飛び込む。アクセルが爆発に巻き込まれて消滅を引き起こした。

「やった!やりましたよ!」

「スピード勝負はオレたちの勝ちだったようだな。」

 喜びを見せる鎧と、不敵な笑みをこぼすマーベラス。彼らはアクセルとのスピード勝負に勝利した。

 

 

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