オメガ×フォーゼ×ゴーカイジャー

スーパーヒーロー列伝

第5章

 

 

 バスコがいると思われる地点まで航行したゴーカイガレオン。そこは人気のない荒野だった。

「決戦といったら、こういうとこでやるのが決まりになってんのかしら?」

 ルカが荒野を見下ろしてため息をつく。

「だが、バスコと大いなる力を賭けて戦ったところも、こういうところだったよね・・」

「ですが、下には人の姿が見当たりませんね。どこかに潜んでいるのでしょうか・・?」

 ドンが微笑みかけて、アイムが地上を見下ろす。荒野の周りには木々や茂みなど、隠れられる場所はあったが、見た限りでは誰かがいる様子はなかった。

「罠である可能性が高いが・・」

「へっ。ここはアイツの思惑通り、罠に飛び込んでやるとするか。」

 光太郎の言葉を耳に入れながらも、マーベラスはバスコの罠に正面から飛び込もうとしていた。彼だけでなく、ジョーたちも真正面から立ち向かおうとしていた。

「よっしゃ!光輝はオレについてきてくれ!オレがオメガのベルトを取り戻してやっから!」

「ありがとう、弦太朗くん・・でもオメガのベルトは、僕自身の手で取り戻さないと・・」

 意気込みを見せる弦太朗に、光輝が真剣な表情で答える。

「それじゃいくぜ。鳥、ガレオンは任せたぞ。」

「えっ!?オイラ、また留守番!?

 マーベラスに言われて、ナビィが慌てる。その様子を背にして、マーベラスたちがゴーカイガレオンから飛び出して、荒野に降り立った。

「行くんだ・・僕がもう1度オメガに・・!」

 気を引き締めてから、光輝もガレオンから降りた。彼が着地したところで、隠れていた戦闘員が続々と姿を現した。

「やっぱり待ち伏せてたわね。」

「このぐらいのほうが、退屈しなくて済むな・・」

 ルカとジョーが呟き、マーベラスたちがモバイレーツとレンジャーキーを手にする。

「ゴーカイチェンジ!」

“ゴーーカイジャー!”

 ゴーカイジャーに変身し、ゴーカイサーベル、ゴーカイガン、ゴーカイスピアを手にするマーベラスたち。

「オレも変身と行くか!」

3.2.1...”

「変身!」

 弦太朗も戦闘員たちを見回してからフォーゼに変身する。

「宇宙キター!」

 高らかに叫んでから、弦太朗が戦闘員たちに視線を戻した。

「ケンカ上等!まとめて相手してやるぜ!」

「オレたちも派手にいくぜ!」

 弦太朗とマーベラスが言い放ち、戦闘員たちに向かっていく。身軽な動きと武器、数が攻め立ててくる戦闘員たちを、彼らは真正面から迎え撃つ。

 ゴーカイサーベルとゴーカイスピアによる近距離攻撃と、ゴーカイガンによる射撃、弦太朗のがむしゃらなパンチが次々と戦闘員を撃退していく。

「コイツをお見舞いしてやるぜ!」

Gatling.”

 弦太朗が左足にガトリングを装備して連射し、戦闘員たちを打ち倒していく。

「ホントに数が多いよ・・倒しても倒してもどんどん出てくる・・!」

 ドンが戦闘員の大軍勢に不安の声を上げる。

「だったら他のスーパー戦隊で一気に片付けりゃいい。」

 マーベラスが言いかけて、レンジャーキーを取り出した。

「ここは基本に戻るということですね。承りました。」

 アイムも同意して同種のレンジャーキーを手にした。

「ゴーカイチェンジ!」

“ゴーレンジャー!”

 マーベラスたち5人が初代スーパー戦隊、ゴレンジャーに変身した。

「5人そろって!」

「ゴレンジャー!」

 マーベラスが高らかに言い放ち、5人が声をそろえた。ゴレンジャーとなった彼らに戦闘員たちが向かっていく。

 マーベラスとルカがパンチとキックでショッカー戦闘員とゾルダーを撃退していく。

「ブルーチェリー!」

 ジョーが弓「ブルーチェリー」で新帝国「ギア」のメカクローンと「デストロン」の戦闘員を射止めていく。接近されてもブルーチェリーを剣のように振りかざして迎撃する。

「イヤリング爆弾!」

 アイムが手榴弾「イヤリング爆弾」を取り出して投げつける。大星団「ゴズマ」のヒドラー兵とワーム・サナギ体が爆発に巻き込まれる。

「ジョーさん、力を合わせましょう!」

「ああっ!」

 アイムの呼びかけにジョーが答える。アイムがジョーのブルーチェリーの矢の先に、小型爆弾を取り付けた。

「チェリーミサイル!」

 ジョーが爆弾付きの矢を放つ。矢は戦闘員たちが集まっている中央に飛び込み、爆発して吹き飛ばす。

「ミドメラン!」

 ドンがブーメラン「ミドメラン」を手にする。迫ってきた「クライシス帝国」のチャップとマシン帝国「バラノイア」のバーロ兵に対し、彼はミドメランで攻撃を防いでかいくぐる。

 バランスを崩してしまうも、ドンはその拍子でミドメランを投げつける。ミドメランは弧を描くように動いて、妖怪、ドロドロと「外道衆」のナナシ連中に命中していった。

「や、やった!」

 立ち上がったドンが喜びの声を上げる。

「みなさん、ゴレンジャーハリケーン、行きますよ!」

 アイムがラグビーボール型爆弾「ゴレンジャーハリケーン」を取り出し、マーベラスたちが構える。

「アタック!」

 マーベラスたちが向かってくる戦闘員たちに走り出す。

「ルカさん!」

 戦闘員たちを引き寄せつつ、アイムがルカにボールをパスする。ルカも飛びかかってくる戦闘員たちの横をすり抜けていく。

「ハカセ!」

 ルカからボールをパスされるドン。戦闘員たちに迫られるドンだが、コミカルな動きでその横をすり抜けていく。

「わ、わ、わ!ジョー、パス!」

 ドンが慌ただしくボールをパスし、ジョーがキャッチして地面に置く。

「エンドボールだ!」

「ゴレンジャーハリケーン・落とし穴!」

 ジョーが押さえているボールをマーベラスが蹴り飛ばす。ボールは形を変えて、戦闘員たちが進んでいた地面に溶け込んだ。

 戦闘員たちがその地点に来たとき、地面に穴が開いた。戦闘員たちが落ちた穴の中で爆発が起こった。

「やった♪」

「ま、こんなとこだな。」

 喜びを見せるルカと笑みをこぼすマーベラス。彼らの戦法に戦闘員たちが怖気づき始めていた。

 そのとき、マーベラスたちと戦闘員たちの間に爆発が起こる。

「お前たち、何をグズグズしている!?

 戦闘員の間をかき分けて、1体のロボットが姿を現した。

「おめぇ、何者だ?」

「オレは怪魔ロボット大隊最強の戦士、シュバリオン。ゴーカイジャーよ、ここを貴様らの墓場にしてくれる。」

 マーベラスに問いかけられて、クライシス帝国の怪魔ロボット、シュバリオンが名乗りを上げる。さらにダロムと新たな怪人、オクトパスファンガイア、さらにバスコがライダーキーで呼び出した仮面ライダー、1号と2号が現れた。

「少しは骨のあるヤツが出てきたか。」

「しかもバスコが呼んだライダーもいますね。しかも1号と2号。手ごわいタッグですね・・」

 呟くマーベラスに鎧が合流してきた。

「まずはあのロボットを仕留めるか・・」

「だったらコレで行くわよ。」

 ジョーが言いかけると、ルカがレンジャーキーを取り出した。

「だったらここからはオレも一緒に行かせてもらいますよ!」

 鎧も頷いて、同種のレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“デーカレンジャー!”

 マーベラスたちがデカレンジャーへと変身する。

S.P.D!デカレンジャー!」

 マーベラスたちが高らかに名乗りを上げる。彼らに対してシュバリオンが先陣を切る。

 シュバリオンが放ったビームの連射を、マーベラスたちは素早く横に飛んでかわす。

「ディーマグナム!」

 マーベラスが二丁拳銃「ディーマグナム」を手にして迎撃する。ビームを放つシュバリオンと、彼は激しい銃撃戦を演じる。

「電撃拳・エレクトロフィスト!」

 鎧が地面に拳を叩きつけ、地を這う電撃を放つ。マーベラスに気を取られていたシュバリオンが、電撃に襲われて体から火花を散らす。

「ディーショット!」

 ルカとアイムがナックルグリップ「ディーナックル」と十手「ディースティック」を組み合わせた拳銃「ディーショット」で射撃する。そのビームの連射に撃ち抜かれて、シュバリオンが怯む。

「ブルーフィニッシュ!」

「グリーンクラッシュ!」

 ジョーとドンが警棒「ディーロッド」を振りかざす。2人の一閃でシュバリオンが体を斬られる。

「よし!決めるぞ!」

「ディーバズーカ!」

 マーベラスがバズーカ砲「ディーバズーカ」を呼び出し、6人でシュバリオンに狙いを定める。

「ストライクアウト!」

 ディーバズーカからエネルギー弾が放たれ、シュバリオンに命中して爆発を引き起こす。

 だがシュバリオンは倒れず、まだ立っていた。

「しぶといヤツだ・・ならばこれで決める!」

“デーカレンジャー!”

 ジョーがデカブルーからデカマスターに変身する。彼は剣「ディーソード・ベガ」を手にして円を描き、構えてシュバリオンを見据える。

 シュバリオンが放つマシンガンとビームの連射をすり抜けて、ジョーがディーソード・ベガを振りかざす。

「ベガスラッシュ!」

 ジョーの一閃を受けてシュバリオンの胴体が切り裂かれた。

「ゴッチュー!」

 ジョーの背後で倒れたシュバリオンが爆発を起こした。マーベラスたちがダロムたちに振り返る。

「おのれ、ゴーカイジャー・・お前たち、まとめて行け!」

 ダロムの命令で1号と2号、さらにオクトパスファンガイアがマーベラスたちに迫った。

「魔物退治ならこれで行こうか・・」

 ドンが新たなレンジャーキーを取り出した。

「分かりました、ハカセさん。行きましょう。」

 アイムが同意して、マーベラスたちがレンジャーキーを構えた。

「ゴーカイチェンジ!」

“マージレンジャー!”

 彼らはマジレンジャーとなり、オクトパスファンガイアの前に立ちふさがる。

「あふれる勇気を魔法に変える!魔法戦隊、マジレンジャー!」

 マーベラスたち6人が名乗りを上げる。1号たちが彼らに向かっていく。

 マーベラスたち5人がマントを翻すように軽やかに動き、1号たちの攻撃をかわしていく。

「グリーングランド!」

 ドンがステッキ「マジスティック」を斧型の「マジスティックアックス」にして地面に叩きつけ、衝撃波を放つ。1号と2号はジャンプでかわしたが、オクトパスファンガイアが衝撃波に巻き込まれる。

 苛立ったオクトパスファンガイアがドンに向けて触手を伸ばす。

「ジンガ・マジュナ!」

 ドンが魔法で光の壁「マジカルカーテン」を出して触手を防ぐ。

「おのれ!」

 ダロムがドンに向けて念動波を放つが、割り込んできた鎧の光の壁で防がれる。

「手を焼く念力攻撃も、オレたちの魔法には通じないぞ!」

 言い放つ鎧にダロムが苛立ちを見せる。

「ジー・マジカ!」

「ジー・ジジル!」

 ジョーとルカが魔法でそれぞれ水と雷を放つ。水を浴びたことで、1号と2号が受けた雷のダメージが増大した。

「マージ・マジーロ!ピンクストーム!」

 アイムが変身魔法で扇風機になって旋風を巻き起こす。押されていく1号と2号だが、逆にこの風が彼らのベルトを回してパワーを上げることになった。

「パワーを上げちゃったよ・・」

「申し訳ありません・・軽率なことをしてしまったみたいです・・・」

 不安を見せるドンと、謝るアイム。

「気にすんな。このぐらいのハンデがあったほうが盛り上がるってもんだ。」

 マーベラスがアイムを励ましたところで、オクトパスファンガイアが彼らに迫ってきた。

「マージ・マジカ!レッドファイヤー!」

 マーベラスが魔法の炎を身にまとって突っ込む。彼の突進を受けたオクトパスファンガイアが炎に包まれて倒れる。

「へっ。たこ焼きの出来上がりだな。」

「それ、ちょっと違うような・・・」

 不敵な笑みをこぼすマーベラスに、鎧が口をはさむ。そのとき、1号と2号が同時にジャンプして、マーベラスたちに向けてキックを繰り出す。

「目には目を、キックにはキックだ!」

 マーベラスの言葉を受けて、ジョーたちも頷く。彼ら5人もジャンプして、空中で反転する。

「ファイブファンタスティックキック!」

 マーベラスたちが放った魔法のキックが、1号と2号の「ダブルライダーキック」とぶつかり合う。強力な2人のライダーのキックだったが、5人のキックに競り負けた。

 決定打を受けて倒れた1号と2号が光となって消滅した。

「チェックメイト!」

 マーベラスたちが指を鳴らして、勝利を確かめた。するとオクトパスファンガイアが起き上がってきた。

「しぶといヤツだ。だったら今度はコイツだ。」

 マーベラスたちが新たなレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“ゴーセイジャー!”

 彼らは天使のカードを駆使して戦う「天装戦隊ゴセイジャー」となった。

地球(ほし)を護るは天使の使命!天装戦隊、ゴセイジャー!」

 マーベラスたちが高らかに名乗りを上げる。オクトパスファンガイアが両足を車輪の形にして迫る。

「スカイックソード!」

 マーベラスが剣「スカイックソード」を手にしつつ、ジャンプしてオクトパスファンガイアの突進をかわす。その瞬間にスカイックソードを振りかざして、オクトパスファンガイアを切り付ける。

「スカイックショット!」

 アイムが銃「スカイックショット」を手にして、光弾を発射する。切られて怯んでいたオクトパスファンガイアに光弾が命中する。

「ランドコンビアタック!」

 ドンとルカがそれぞれ斧「ランディックアックス」とかぎ爪「ランディッククロー」を叩きつけて地割れを引き起こす。地割れに巻き込まれたオクトパスファンガイアが衝撃に襲われて、体から火花を散らす。

「シーイックボウガン!」

 ジョーがボウガン「シーイックボウガン」から光の矢を放つ。光の矢を刺されて、オクトパスファンガイアが怯む。

「これでフィニッシュだ!」

 鎧がゴセイナイトの装備を合体させた武器「ダイナミックレオンレイザー」を構える。

「こっちも決めるぞ!」

 マーベラスたちもクロスボウ型の武器「ゴセイバスター」を構える。2つの武器がエネルギーを集めて、オクトパスファンガイアに狙いを定める。

「パニッシュ!」

「バニッシュ!」

 2つのエネルギー砲「ゴセイダイナミック」と「ナイトダイナミック」が放たれる。2つのエネルギーに巻き込まれて、オクトパスファンガイアが完全に消滅した。

「くっ・・ライダーも怪人もことごとく倒すとは・・・!」

 苛立ちを膨らませていくダロムの前に、マーベラスたちが立ちはだかる。

「今度は逃がしはしねぇ。ここで倒させてもらうぜ。」

 マーベラスが言い放ち、彼らが新たなレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“マースクマン!”

 彼らは武道とオーラパワーを駆使して戦うマスクマンに変身した。

「光戦隊!」

「マスクマン!」

 マーベラスが名乗りを上げて、5人が声をそろえる。鎧は1度ゴーカイシルバーに戻り、ダロムに加勢する戦闘員たちを迎え撃った。

「おめぇの念力とオレたちのオーラパワー、どっちが上か見せてやるぜ!」

 マーベラスが言い放つと、ダロムが念動波を放つ。マーベラスたちが両手を前に出してオーラパワーを放ち、念動波を跳ね返す。

 念動波を押し返されて、ダロムが怯む。

「レーザーマグナム!」

 ジョーとドンが光線銃「レーザーマグナム」を手にして発砲する。放たれたビームが次々にダロムに命中する。

「ハカセ!」

 ジョーに呼びかけられて、ドンがレーザーマグナムを渡す。ジョーは2つのレーザーマグナムを剣タイプにして、ダロムに向かっていく。

 刀身にオーラパワーを宿して、ジョーがレーザマグナムを振りかざす。切り付けられたダロムが怯む。

 そこへゴルゴムのサイ怪人が現れ、ダロムを助けようと飛び込んできた。

「ゴルゴムのサイ怪人です!ここはオレが!」

「いや、オレたちが一気に片付ける。」

 迎え撃とうとした鎧にマーベラスが呼びかける。

「ジェットカノン!」

 彼の呼びかけでバズーカ砲「ジェットカノン」が現れる。

「メディテーション!」

 マーベラスたちがジェットカノンを構えて、精神を集中してオーラパワーを送り込む。オーラパワーを集めた光線が、突進をしてくるサイ怪人に向かって放たれる。

 オーラパワーの直撃を受けて、サイ怪人が爆発を引き起こした。

「サイ怪人!・・おのれ、ゴーカイジャー!」

 怒りをあらわにするダロムがマーベラスたちに迫ってきた。

「しつこいわね。コレで今度こそ終わらせるわよ。」

 ルカの提案で、マーベラスたちが新たなレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“ボーウケンジャー!”

 マーベラスたちが新たなる戦隊「轟轟戦隊ボウケンジャー」に変身した。

「果てなき冒険スピリッツ!轟轟戦隊、ボウケンジャー!」

 彼ら6人が高らかに名乗りを上げて、銃「サバイバスター」、「サガスナイパー」を構える。放たれる射撃がダロムに次々に命中していく。

「ラジアルハンマー!」

 ドンがハンマー「ラジアルハンマー」を手にして振りかざす。ダロムが念動波を放つが跳ね返され、この打撃を受けて突き飛ばされる。

「よし!サガスピア!」

 鎧がサガスナイパーをサガスピアに変えて、ダロムに飛びかかる。

「サガスラッシュ!」

 彼はサガスピアを振りかざして光の刃を飛ばして、ダロムに命中させる。

「とどめだ!アクセルテクター!デュアルクラッシャー!」

 マーベラスたちがプロテクター「アクセルテクター」を身に着ける。同時に彼は光線銃「デュアルクラッシャー」を手にする。

「ドリルヘッド!」

 マーベラスがデュアルクラッシャーの銃口にドリルヘッドをセットする。鎧もサガスピアをサガスナイパーに戻して、ダロムに狙いを定める。

「シュート!」

 2つの銃から放たれた光線がダロムの体を貫いた。決定的なダメージを受けた彼が、倒れて爆発を起こした。

「やっと倒れたか・・ここまでしぶといとは、さすがは大怪人といったところか・・」

 ジョーが呟き、マーベラスたちがゴーカイジャーに戻ったときだった。弦太朗たちがいるところで爆発が起こった。

「退屈しのぎをするか。」

 マーベラスが弦太朗の戦いに加わるため、走り出していった。

 

「変身・・V3!」

「変身!」

 志郎と光太郎もV3RXに変身して、弦太朗に加勢する。3人の仮面ライダーの猛攻に押されて、戦闘員たちが後ずさりする。

「みんな・・僕も戦います!たとえオメガになれなくても、戦おうとする意思はちゃんとあります!」

 光輝も弦太朗たちと一緒に立ち向かおうとした。だがV3に手で制される。

「お前が戦うべきときは今ではない。まずはオメガのベルトを取り返してからだ。」

「ですが・・!」

「お前は1人で戦っているのではない。オレたちの底力を信じてくれ。」

 声を上げる光輝だが、志郎に激励されて戸惑いを覚えた。

 そのとき、彼らのいる場所に爆発が起こった。V3に助けられて、光輝は爆発から逃れて無事だった。

「な、何だ・・!?

 声を上げる光輝。見上げた彼の視界に、飛行する2つの影があった。スカイライダーとキグナスゾディアーツである。

「我が名はキグナス。悪しき仮面ライダー、正義のライダーであるこのスカイライダーとともに、お前たちに裁きを下す。」

 キグナスゾディアーツが優雅な振る舞いを見せる。その彼の言動をV3が鼻で笑う。

「お前たちが行っているのは正義ではない。本当の正義の心は、オレたちと心の強さを持つ人たちの中にあるんだ!」

「愚かなことだ。自分の悪を棚に上げて、自分たちが正義だと言い張るとは・・」

 言い放つV3をキグナスゾディアーツがあざ笑う。そしてスカイライダーが「セイリンジャンプ」で飛び上がって、光輝とV3に向かってきた。

「危ない!」

 V3が光輝を横に引き離すが、スカイライダーの飛行からの突進を直撃される。

V3!」

「私なら大丈夫だ。このぐらいでやられたりしない・・」

 声を上げる光輝にV3が言葉を返す。そこへキグナスゾディアーツも飛び上がり、笑い声をあげてきた。

「しぶといことだ。ならば私が直接、正義の裁きを下す!」

 キグナスゾディアーツが腕を振りかざして光の風を巻き起こす。風が地面にぶつかって爆発を起こす。

「あれだけ高いところにいられたら、追い付けない・・!」

「安全なところから攻撃とは卑怯だぞ・・正義が聞いてあきれるぜ・・!」

 RXV3が声を上げる。彼らに飛行の能力はなく、ジャンプしても迎撃されるだけである。

「あまり時間をかけるのはよくない。終わりにするとしよう・・」

「おめぇらの負けでな。」

 勝ち誇っていたキグナスゾディアーツに、マーベラスが口を挟んできた。

「悪いけど、あたしたちは海賊。イカサマも卑怯な手段も関係ないの。」

「悪役には慣れていますので、正義のヒーローと名乗っても構いませんよ。」

 ルカとアイムも気負うことなくキグナスゾディアーツを見据える。

「宇宙海賊・・正義に敵対する悪としか呼べない存在・・・」

 キグナスゾディアーツが低く告げたときだった。スカイライダーがマーベラスを捕まえて上空に飛び上がった。

「マーベラス!」

 ドンが声を上げる。スカイライダーにつかみ上げられたマーベラスが空中から落とされる。

「落ちるがいい、地獄の底まで!」

 キグナスゾディアーツが落下するマーベラスを見て言い放つ。

「正義のヒーローのセリフじゃねぇな・・ゴーカイチェンジ!」

“ジェーットマン!”

 マーベラスが鳥の飛行能力を備えた戦隊「鳥人戦隊ジェットマン」のレッドホークに変身。翼「ジェットウィング」を広げて飛行し、地上への衝突から逃れた。

「ジェットマンなら空を飛べるってわけだね。」

 ドンが言いかけて、彼らもレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“ジェーットマン!”

 ジョーたち4人もジェットマンになって、マーベラスの横に並ぶ。

「鳥人戦隊!」

「ジェットマン!」

 マーベラスが名乗りを上げて、5人が声をそろえる。彼らが空から着地したスカイライダーとキグナスゾディアーツを見据える。

「行くぞ!」

 マーベラスたちがスカイライダーとキグナスゾディアーツに向かっていく。

 マーベラスとジョーが剣「ブリンガーソード」を手にして、スカイライダーに向けて振りかざす。スカイライダーは素早い動きでブリンガーソードをかわして、セイリンジャンプで飛び上がる。

「逃がすか!」

 マーベラスも飛び上がって追う。スカイライダーが空中からのキック「スカイキック」を繰り出すが、マーベラスはその横をすり抜けつつ、ブリンガーソードで切り付けた。

 ルカとアイムが手をつないで飛び上がり、キグナスゾディアーツにキックを繰り出す。2人のキックを受けて、キグナスゾディアーツが突き飛ばされる。

「小賢しいマネを!」

 キグナスゾディアーツがルカたちに向けて風を巻き起こす。だが風にあおられて上空に飛ばされたのは、飛び込んできたドンだった。

 空中から落ちてきたドンが、落下の勢いでキグナスゾディアーツに向かっていく。彼が振りかざしたブリンガーソードの切っ先が、キグナスゾディアーツの体に命中した。

「空を飛べる戦隊・・これならば対抗できるわけか・・」

 V3マーベラスがたちの戦いを見て納得する。

「よし!ジェットフェニックス!」

 マーベラスたちが空高く飛び上がり、火の鳥となってスカイライダーに向かって飛び込んだ。炎に焼かれるようにスカイライダーが爆発を引き起こして消滅した。

「お、おのれ、宇宙海賊・・!」

「ファイヤーバズーカ!」

 苛立ちを見せるキグナスゾディアーツを見据えて、マーベラスたちがバズーカ砲「ファイヤーバズーカ」を構える。向かってくるキグナスゾディアーツに狙いが定まる。

「ファイヤー!」

 ファイヤーバズーカから火の鳥のような光弾「プラズマブレッド」が放たれる。キグナスゾディアーツが直撃を受けて、爆発を起こした。

「へっ!決まった!」

 マーベラスが勝気な態度を見せて、彼らがゴーカイジャーに戻った。

「すまん。助かった・・」

「助けたつもりはない。ついでに片づけただけだ。」

 感謝の言葉を投げかけるV3に、マーベラスが強気な態度を見せる。

「まだバスコは姿も見せてはいない。盛り上がるのはこれからだ。」

「取り返さないと・・オメガのベルトを・・・!」

 マーベラスに続いて光輝が声をかけてきた。

「行くんだ・・バスコにベルトやライダーたちをいいように使わせてたまるものか・・・!」

「言うようになったな・・オレたちも行くぜ!」

 走り出す光輝に続いて、マーベラスたちも駆け出していった。

「よっしゃ!オレも行くとするか!」

 弦太朗も彼らを追うように走り出していった。

「最近のヒーローは活気があるな。」

「オレたちにも活気はありますよ。」

 V3RXも声を掛け合って走り出した。

(待っていてくれ、オメガ、メガブレイバー・・必ず取り戻す・・・!)

 心の中に決意を秘めて、光輝はバスコのところへ向かっていった。

 

 

 

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