オメガ×フォーゼ×ゴーカイジャー

スーパーヒーロー列伝

第3章

 

 

 バラオムとテレビ仮面を撃破した光輝たちは、1度ゴーカイガレオンに足を踏み入れることにした。別の戦隊にも変身できるマーベラスたちを、光輝は信じられないでいた。

「もしかして、彼らがディケイドと同じだと思っているのかい・・?」

 光太郎に突然声をかけられる光輝。考えていたことを当てられて戸惑うも、彼は小さく頷いた。

「心配することはない。彼らは海賊らしい振る舞いと考え方をしているが、仲間思いと地球を守ろうとする正義の心があるのは確かだ。世界の破壊者ではない。」

 志郎も続けて光輝に呼びかけてきた。

「彼らはレジェンド戦隊との出会いを経験して、地球を守ることの意味と大切さを学んだ。お宝を求める海賊ではあるが、スーパー戦隊としての正義の心は持っている・・」

「風見さん・・光太郎さん・・信じてもいいのでしょうか・・・?」

「それはお前自身の判断による。自分の心と正義で確かめてみるしかない・・」

 志郎に励まされるも、光輝は困惑を拭い去れないでいた。彼は何とか気持ちを落ち着かせて、マーベラスたちに目を向けた。

「お前たちは、世界を壊そうとは考えていないのか・・・?」

「オレたちの目的は、簡単に言えばお宝探しだ。気に入らねぇヤツをぶっ潰してはいるが、世界の破壊や征服なんてもんに興味はねぇな・・」

 光輝の問いかけに、マーベラスが強気な態度で答える。

「仮面ライダーのみなさんにも、ここでお話しておきましょう!オレたちの大冒険を!」

 鎧がテンション高く、光輝たちに話をしてきた。

「でもその前に、レジェンド大戦のことを話しておかないと・・」

「レジェンド大戦?」

 ドンの言葉に光輝だけでなく、弦太朗も疑問符を浮かべてきた。

「おっと、そうでした・・全宇宙の征服に乗り出してきた宇宙帝国ザンギャック。地球にもその魔の手を伸ばしてきたザンギャックに立ち向かっていったのが、ゴレンジャーからゴセイジャーまでの、34のスーパー戦隊だったのです!」

 鎧が光輝たちに向けて、高らかに語り出した。

 地球侵略に乗り出した宇宙帝国「ザンギャック」を迎え撃ったのは、34の歴代のスーパー戦隊だった。ザンギャックの撃退に成功したものの、彼らはスーパー戦隊の力を失ってしまった。

 失われたスーパー戦隊の力は、レンジャーキーとして宇宙に散らばっていた。レンジャーキーは全て、アカレッドが率いていた赤き海賊団によって回収された。

「そうか・・君たちはそのレンジャーキーで、他の戦隊にも変身ができるわけか・・」

「そういうことだ。特別にここでも見せてやる。」

 頷く光輝に言いかけて、マーベラスが立ち上がる。ジョーたちも立って、レンジャーキーとモバイレーツ、ゴーカイレルラーを構えた。

「ゴーカイチェンジ!」

“ゴーーカイジャー!”

 マーベラスたちがゴーカイジャーに変身する。

「そしてこれが、ゴーカイチェンジの本領だ。」

 マーベラスたち5人が別のレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“ゴーレンジャー!”

 彼らが別の戦隊へと変身を果たした。初代スーパー戦隊「秘密戦隊ゴレンジャー」である。

「すっげー!マジで他の戦隊にも変身しちまったぞー!」

 弦太朗がマーベラスたちの変身を見て喜びを見せる。

「驚くのはこれからですよ!」

 鎧が言いかけて、マーベラスたちが頷く。彼らはまた新たなレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“チェーンジマン!”

“シーンケンジャー!”

“ゴーゴーーファイブ!”

“カーーレンジャー!”

“ターイムレンジャー!”

 マーベラスたちが変身したのは1組の戦隊ではなかった。ただ共通していたのは、全員が赤の戦士になったことである。

 マーベラスが「電撃戦隊チェンジマン」のチェンジドラゴン、ルカがゴーゴーファイブのゴーレッド、ドンが「激走戦隊カーレンジャー」のレッドレーサー、鎧が「未来戦隊タイムレンジャー」のタイムファイヤーに変身した。

 そしてジョーとアイムが変身したのは、どちらもシンケンジャーのシンケンレッドである。レッドが2人存在したのは、それぞれ19代、18代シンケンレッドだからである。

「すげぇぜ!全員赤いぞ!」

「しかも同じ戦隊のレッドが2人・・」

 弦太朗だけでなく、光輝も感心の声を上げていた。

「シンケンレッドは特殊な例だからな。同じ戦士に同時に変身することはさすがにできねぇけどな。」

 マーベラスは言いかけて、別のレンジャーキーを取り出した。

「今度はコイツを見せておくか・・」

「ゴーカイチェンジ!」

“マージレンジャー!”

“デーカレンジャー!”

“カークレンジャー!”

“メーガレンジャー!”

“ターイムレンジャー”

“ジーヤッカー!”

 彼らがまた新たな戦隊へと変身した。

 「魔法戦隊マジレンジャー」の天空勇者、ウルザードファイヤー、デカレンジャーのデカマスター、「忍者戦隊カクレンジャー」のニンジャホワイト、メガレンジャーのメガブラック、タイムレンジャーのタイムピンク、「ジャッカー電撃隊」のビックワンである。

「またみんなバラバラに分かれたね・・この組み合わせは・・」

「チームリーダーといったところか。リーダーだけでなく、上官や父親というポジションもあるが・・」

 光太郎が呟くと、志郎が組み合わせの正解を口にした。

「正解ですー!すごいですね、志郎さん!」

 鎧が志郎に喜びの声を上げた。ゴーカイチェンジのことを話して、マーベラスたちは変身を解いた。

「君たちがどうやって他の戦士になれたのかは分かった・・宝探しが目的だと言ったが、地球にどんな宝が・・・?」

 光輝が改めて疑問を投げかけると、マーベラスが不敵な笑みを見せた。

「宇宙最大のお宝。それが地球にあると聞いて、オレたちはやってきた。」

「そのお宝の鍵がスーパー戦隊の大いなる力だったの。」

 マーベラスに続いてルカも話をしてきた。

「全てのスーパー戦隊の大いなる力を手に入れることが、宇宙最大の宝を手に入れる方法だった。」

「その旅の中で、私たちはスーパー戦隊の方々と出会って、いろいろなことを教わりました・・」

 ドンとアイムも話に参加する。彼らは地球での旅と戦いを思い出していた。

 大いなる力は、変身する力を失っていても、歴代のスーパー戦隊に宿っている。大いなる力を求めて、マーベラスたちは歴代の戦士たちと出会うこととなった。

 宇宙海賊と噂されていたマーベラスたちに対して、スーパー戦隊の反応は様々だった。友好的な人から懐疑的な人、試練を与えようとする人や、レンジャーキーを奪い返してスーパー戦隊の力を取り戻そうとする人もいた。

 だがマーベラスたちを彼らは認め、自分たちのスーパー戦隊の大いなる力を託すことにした。マーベラスたちも力を手にするだけでなく、スーパー戦隊の経験や思い、大切なことを学んで成長することができた。

「オレたちはスーパー戦隊から、地球や宇宙を守ることの意味と大切さを教えられた・・オレたちの中にも、地球を大事に思う気持ちが生まれたのかもしれない・・」

 ジョーも自分たちの冒険と戦いを思い返して、自分たちの本当に大切なものを実感していく。

「歴代の戦士から教わって受け継がれていく友情・・それは仮面ライダーだけじゃなく、スーパー戦隊も同じなんだなー!」

 マーベラスたちの話を聞いて、弦太朗が感動の声を上げてきた。

「34のスーパー戦隊の大いなる力・・手にするだけでも大変だったんじゃ・・・」

「そうだな・・ザンギャック以上に、厄介なヤツがいた・・・」

 光輝が投げかけた言葉を聞いて、マーベラスが目つきを鋭くしたときだった。突然彼のモバイレーツが鳴り出した。

 ゴーカイジャーは6人全員ゴーカイガレオンにいる。マーベラスたち以外にモバイレーツへの連絡を行えるのは、現時点ではいないはずだった。

 マーベラスは緊張を覚えながら応答に出た。

「誰だ・・・!?

“はーい。久しぶりだね、マベちゃん♪”

 モバイレーツを通じて飛び込んできた声に、マーベラスは耳を疑った。彼だけでなく、ジョーたちも緊張を一気に膨らませた。

「お前、バスコか・・・!?

“あらら、もしかして忘れちゃっただなんて言わないよね?だけどあんなやられ方しちゃったら、生きてるなんて思わないよね。”

 マーベラスが問い詰めると、気さくな返事が返ってくる。

“正直、僕自身もビックリしたよ。死んだと思ったけど、どうやら生き返ったみたいだ・・”

「お前は本物。それもあのときオレに倒されたバスコでいいんだな・・・!?

“疑り深いねぇ。確かめたかったら外に出てきたら?丁度ガレオンの前に来てるから。”

 バスコの声を受けて、マーベラスがゴーカイガレオンの周囲をモニターに映す。ガレオンが上空を航行している街の中のビルの1つの屋上に、青年、バスコ・タ・ジョロキアが立っていた。

「間違いない・・本物のバスコじゃない・・・!」

「噂をすれば、ですね・・」

 バスコの姿を見て、ルカとアイムが呟く。

「しかし変だぞ・・バスコはあのとき、マーベラスとの一騎打ちに敗れて死んだはずだ・・」

「何で・・どうやって生き返ったんだ・・・!?

 ジョーとドンが疑問を投げかける。

「とにかく、アイツがまたオレたちにケンカを売ってきたことに変わりはねぇ・・今度こそケリをつけてやる・・・!」

 マーベラスが真剣な表情を見せたまま、ゴーカイガレオンから外に出ていく。

「何だかよく分かんねぇが、一大事みてぇだな!オレもじっとしちゃいらんねぇ!」

 弦太朗もマーベラスたちを追いかけていく。光輝たちも戸惑いを抱えたまま、外に出ていった。

 

 ゴーカイガレオンから外に出たマーベラスたち。ビルの屋上にいたバスコが、彼らの前に降り立った。

「まさかお前とまた会うことになるとはな・・」

「あらら、機嫌悪くしてる?僕はマベちゃんとまた会えて、すっごく嬉しいんだけどなぁ。」

 愚痴を口にするマーベラスに、バスコが気さくに声をかけてくる。

「今度は何を企んでるんだ!?残念だが、もう宇宙最大の宝はもうないぞ!」

 鎧が前に出て強気に言い放つ。するとバスコが笑みを強めてきた。

「その宇宙最大のお宝だけど、僕がちゃんと使わせてもらったよ・・」

「バカ言わないで!宇宙最大の宝は、あたしたちが壊したのよ!使えるわけないじゃない!」

 バスコが口にした言葉が信じられず、ルカが言い返す。

「確かに僕たちのいた世界の宇宙最大のお宝はなくなった。でも僕が使ったのは、この世界にあった宇宙最大のお宝さ。」

「バスコ、まさかお前・・!?

 バスコの言葉を聞いて、マーベラスが最悪の事態を脳裏によぎらせた。

「ここは僕たちがいた世界とは別の世界。簡単に言うとパラレルワールドということさ。ここはスーパー戦隊と仮面ライダー、2種類のヒーローが共存していた世界。もちろんこの世界にも、宇宙最大のお宝は実在したのさ。」

「まさか、宇宙最大の宝を使って、この世界を支配したというのか・・・!?

 語りかけるバスコにジョーが問い詰める。

「宇宙最大のお宝を使えば、34のスーパー戦隊の存在が消えるはずだった。でもこの世界は特殊だったみたいだ・・スーパー戦隊の力は消えることなく、そのまま僕のものとなった。」

 スーパー戦隊の力の所持の維持を喜ぶバスコ。そこへ光輝と弦太朗が駆けつけてきた。

「スーパー戦隊のレンジャーキーと、仮面ライダーのライダーキー。みんな僕のために働いてくれているよ。」

「もしかして、私たちを攻撃してきたライダーのみなさんは・・・!?

「さっきのは挨拶代わりって思ってくれたらいいよ。」

 アイムが投げかけた言葉に、バスコは気さくな態度のまま答える。

「そういうことなら、なおさらお前をぶっ倒さねぇといけねぇみてぇだな・・・!」

 マーベラスが目つきを鋭くして、モバイレーツを手にする。ジョーたちもモバイレーツを、鎧もゴーカイセルラーを手にする。

「2度と復活できねぇように、ここでケリをつける!」

「ゴーカイチェンジ!」

“ゴーーカイジャー!”

 マーベラスが言い放ち、彼らがゴーカイジャーに変身した。

「相変わらず、海賊らしい戦隊で。でもマベちゃんたちの相手はコイツらだよ。」

 バスコは悠然と言いかけて、トランペット「ラッパラッター」にキーをセットして吹いた。するとマーベラスたちの前に、数人の仮面ライダーが実体化された。

 ライダーマン、ゼクロス、威吹鬼(いぶき)、ゼロノス、イクサである。

「仮面ライダー・・・!?

「アイツ、ライダーを呼び出しやがった・・・!」

 仮面ライダーたちを呼び出したバスコに、光輝も弦太朗も驚きの声を上げる。

「それがアイツのやり方とあのラッパの力だ。レンジャーキーも一緒に使って、戦隊を操っていた。仮面ライダーのキーがレンジャーキーと仕組みが同じなら・・」

 ジョーが光輝たちに説明を入れる。ラッパラッターとレンジャーキーを使ってスーパー戦隊を操ったように、バスコは仮面ライダーをも操っていた。

「仮面ライダーに悪いことをさせるなんて・・自分の目的のために、仮面ライダーを・・・!」

 光輝がバスコに対して怒りを見せる。

「お前のほうが・・ディケイドと同じ・・・絶対に許さないぞ!」

 光輝が水晶を手にして、バスコに向かっていく。

「変身!」

 オメガに変身した光輝が、迎え撃とうとしたライダーマンたちをジャンプで飛び越えて、バスコを直接狙う。

「あのラッパを壊せば、ライダーを操れなくなる・・!」

「よせ!そいつは!」

 バスコに向けてパンチを繰り出す光輝を、マーベラスが呼び止める。光輝のパンチを受け止めたバスコの目に、不気味な紅い光が発する。

「マベちゃんから僕のことを聞いてなかったのかな?伊達に高い懸賞金をかけられてるわけじゃないよ。」

 目つきを鋭くするバスコの姿が赤い体の怪人へと変わった。彼の変身に光輝が驚きを覚える。

「おわっ!」

 バスコが放った赤いエネルギーに突き飛ばされて、光輝が横転する。

「光輝!」

 弦太朗が声を上げて、フォーゼドライバーのスイッチを入れる。

3,2,1..”

「変身!」

 フォーゼドライバーのレバーを引いて、弦太朗がフォーゼに変身する。

「宇宙海賊キター!」

 弦太朗が高らかに叫ぶと、光輝を助けるため、バスコに向かっていく。だが弦太朗が繰り出すパンチを、バスコは両手で軽々と防いでいく。

「私たちも行きましょう!」

 アイムの呼びかけで、マーベラスたちも向かおうとする。だが彼らの前にライダーマンたちが立ちふさがった。

「仕組みが同じなら、ダメージを与えれば消える・・!」

「オレたちらしいやり方だな・・派手にいくぜ!」

 マーベラスたちがゴーカイサーベルとゴーカイガンを手にして、ライダーマンたちに立ち向かう。

 マーベラスのゴーカイガンの射撃とゴーカイサーベルの斬撃を、ゼクロスは素早い動きと「十字手裏剣」で迎え撃つ。

 ドンとゴーカイガンを交換して、ジョーがゴーカイサーベルの二刀流で、右腕を「ロープアーム」にしたライダーマンに斬りかかる。

 アイムとゴーカイガンを交換したルカが、威吹鬼がトランペット型の銃「音撃管(おんげきかん)烈風(れっぷう)から放った空気弾を弾いていく。

 ドンとアイムがゴーカイガンで、「サーベルモード」の「ゼロガッシャー」を構えるゼロノスを狙い撃つ。

 鎧がゴーカイスピアで、「カリバーモード」の「イクサカリバー」を振りかざすイクサと攻防を繰り広げる。

「心がなくても、能力は本物と同じ・・一筋縄じゃいかないみたいだ・・・!」

 ドンが弱気な言葉を口にする。マーベラスたちが集まり、ライダーマンたちを見据える。

「あれは結城!?・・いや、違う・・!」

 そこへ志郎が光太郎とともに駆けつけてきた。彼はライダーマンの姿を見て一瞬驚くが、すぐに本物、結城(ゆうき)丈二(じょうじ)でないことに気付いた。

「アンタも偽者だってすぐに分かったみてぇだな・・手加減なしでやらせてもらうぜ!」

 マーベラスが志郎に言いかけて、レンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“オーーレンジャー!”

 レンジャーキーをセットして、マーベラスが新たなる戦隊に変身した。

「超力戦隊!」

「オーレンジャー!」

 マーベラスが高らかに名乗りを上げて、6人が声をそろえる。彼らは超古代のロストテクノロジーを駆使して戦う「超力戦隊オーレンジャー」となった。

「キングブラスター!」

 マーベラスたち5人が銃「キングブラスター」を手にして、ライダーマンたちに向けて射撃する。ライダーマンたちは素早く動いて、この射撃をかわす。

 ライダーマンがジョーに迫り、右手のロープアームを振りかざす。

「デルタトンファ!」

 ジョーが2本のトンファ「デルタトンファ」を手にして、ライダーマンのロープアームを防いでいく。ライダーマンがロープアームを射出して、ジョーの右腕に巻きつける。

「ローリングボンバー!」

 ジョーが高速回転してロープアームのロープを振り払う。その弾みでライダーマンが体勢を崩す。

「キングスティック!」

 そこへ鎧が飛び込み、万能杖「キングスティック」を手にして、剣として振り下ろす。ライダーマンが体を斬られて火花を散らす。

「よし!キングビクトリーフラッシュ!」

 さらに鎧がエネルギー弾を発射して、ライダーマンを突き飛ばす。

「今です、みなさん!」

「おう!オーレバズーカ!」

 鎧の呼びかけを受けて、マーベラスがバズーカ砲「オーレバズーカ」を呼び出す。

「ハイパーストレージクリスタル、セットオン!」

 マーベラスたち5人が水晶「ハイパーストレージクリスタル」をオーレバズーカにセットして、エネルギーを充てんさせる。

「ファイヤー!」

 オーレバズーカからビームが放出された。ライダーマンがビームを受けて爆発を引き起こした。

「おっしゃ!」

 撃破に喜びを見せるマーベラス。彼らの前にゼクロスと威吹鬼が立ちはだかる。

「性懲りもなく、というところか・・」

「だったらもっと思い知らせたほうがよさそうね・・」

 ジョーが呟き、ルカが新たなレンジャーキーを取り出した。

「目には目を、忍者には忍者を、ですね!・・って、オレは何になれば・・・!?

 感心の声を上げるも、鎧がすぐに頭を抱えた。

「他のになればいいだろ。忍者の戦隊は1組じゃないだろう。」

「あ、そうでした、そうでした・・」

 ジョーに言われて鎧が納得する。鎧はマーベラスたちとは別の戦隊のレンジャーキーを取り出した。

「ゴーカイチェンジ!」

“カークレンジャー!”

“ハーリケンジャー!”

 マーベラスたちが新たなる戦隊へと変身する。鎧だけは別の戦隊であったが、忍者の戦隊であることは共通していた。

「人に隠れて悪を斬る!」

「忍者戦隊、カクレンジャー、見参!」

 マーベラスが名乗りを上げて、ジョーたちも声をそろえる。

「緑の光弾、天空忍者、シュリケンジャー!」

 「忍風戦隊ハリケンジャー」のシュリケンジャーに変身した鎧も名乗りを上げる。

「どっちが真の忍者か、白黒つけてやるぜ!」

 マーベラスたちが刀「カクレマル」と「シュリケンズバッド」を構えて、ゼクロスと威吹鬼に向かっていく。彼らの刀による攻撃を、威吹鬼は軽やかにかわし、ゼクロスは両手で防いでいく。

 ゼクロスがマーベラスに向けて鎖「マイクロチェーン」を伸ばして、彼のカクレマルの刀身を絡める。引き離そうとするマーベラスだが、マイクロチェーンを通じて放たれた高圧電流で痛みを覚える。

 怯んだマーベラスに向けて、ゼクロスが電磁ナイフを投げつけた。ナイフはマーベラスの体に命中したように見えた。

 次の瞬間、マーベラスの体が2人に分かれた。彼はさらに別れて計8人となった。

 マーベラスはニンジャレッドの「分け身の術」で分身して、ゼクロスを取り囲んで一斉に飛びかかった。反撃に出るゼクロスだが、本物を捉えられず、逆にマーベラスの攻撃を受けることになった。

「折り鶴の舞!」

 威吹鬼が烈風で放った空気弾を、アイムが無数の折り鶴を飛ばして迎え撃ち、相殺する。

「隠流・雷光落とし!」

「プラズマ剣!」

 ドンが威吹鬼に向けて雷を、鎧がプラズマエネルギーを放つ。2つのエネルギーを同時に受けて、威吹鬼が怯んだ。

「忍者の戦隊同士、相性はバッチリです!」

「だったらそろそろ、もっと相性をよくしないといけないね。」

 意気込みを見せる鎧に、ドンが新たなレンジャーキーを取り出した。

「おっ!ハリケンジャーですね!ありがとうございます!」

 喜びを見せる鎧。マーベラスたち5人もハリケンジャーのレンジャーキーを構えた。

「ゴーカイチェンジ!」

“ハーリケンジャー!”

 彼らもハリケンジャーへの変身を果たした。ドンとアイムは「電光石火ゴウライジャー」、クワガライジャーとカブトライジャーに変身していた。

「忍風戦隊、ハリケンジャー、参上!」

 マーベラスたちが高らかに名乗りを上げる。

「忍者勝負はまだ終わっていませんわ。」

「もちろん鬼退治もね♪」

 アイムとルカが言いかけて、ゼクロスと威吹鬼を見据える。

「やるぜ!」

 マーベラスたちが刀「ハヤテ丸」、棒「イカヅチ丸」を手にして飛びかかる。ゼクロスが放った十字手裏剣をかわし、ジョーとルカが切り付けていく。

「超忍法・牙稲妻!」

 ドンが頭の牙から電撃を放つ。電撃を受けるゼクロスだが、すぐに体勢を整えて「衝撃集中爆弾」を投げつけた。

 ドンは回避を取って爆発から逃れた。その爆発を突き抜けて、ゼクロスに詰め寄った。

「超忍法・乱れ斬り!」

 ルカがハヤテ丸で、ゼクロスに連続で斬りかかっていく。防御することもできず、ゼクロスが体から火花を散らしながら倒れる。

 ダメージを負ったゼクロスを守ろうと、威吹鬼が立ちふさがる。

「三位一体トリプルハリケーン!」

 マーベラス、ジョー、ルカが旋風を巻き起こし、ゼクロスと威吹鬼を吹き飛ばす。

「これでとどめだ!」

「五重連ビクトリーガジェット!」

 マーベラスたちがそれぞれの専用武器を組み合わせて、銃砲「五重連ビクトリーガジェット」を完成させる。威吹鬼が烈風を吹いて、「音撃射(おんげきしゃ)疾風(しっぷう)一閃(いっせん)」を放つ。

 マーベラスたちが風と雷のエネルギーのビームを放射する。ビームは威吹鬼の旋風を吹き飛ばして、彼をゼクロス共々吹き飛ばした。

 仮面ライダー3人に勝利したマーベラスたちが、ゼロノスとイクサに振り返る。

「2人のうちの1人はゼロノス!時間を渡る仮面ライダーの1人です!」

「時間か・・だったらコイツがピッタリだな。」

 鎧からの説明を聞いて、マーベラスが新たなレンジャーキーを取り出した。

「みなさん楽しんでいますね。私もですけど・・」

 アイムが微笑み、マーベラスたちがレンジャーキーを構えた。

「ゴーカイチェンジ!」

“ターイムレンジャー!”

 彼らは「未来戦隊タイムレンジャー」への変身を果たした。

「タイムレンジャー!」

 高らかに名乗りを上げるマーベラスたち。ゼロノスがゼロガッシャーを、イクサがイクサカリバーを構える。

 マーベラスたち5人が長剣「スパークベクター」と短剣「アローベクター」を手にして、鎧が「DVディフェンダー」を「ディフェンダーソード」にして飛びかかる。振りかざしてきたゼロガッシャーとイクサカリバーを防いで、彼らはゼロノスとイクサの横をすり抜けつつ切り付けていく。

 マーベラスの素早い攻撃で、ゼロノスとイクサは追い込まれたかに思われた。

Zero form.”

“ラ・イ・ジ・ン・グ”

 そのとき、2人の姿が変化した。ゼロノスが赤褐色の装甲の「ゼロフォーム」、イクサが戦闘能力を高めた「ライジングイクサ」となった。

「うわぁ・・何だか強くなっちゃったみたい・・」

「関係ないわよ、あたしたちにはね。」

 不安を口にするドンと、強気な態度を崩さないルカ。ゼロノスがガトリングガン「デネビックバスター」を手にして、連射を仕掛けてくる。

 鎧がDVディフェンダーを銃型の「ディフェンダーガン」にして、「バルカンモード」にして光線「DVバルカン」を連射する。鎧とゼロノスの撃ち合いで激しい火花が巻き起こるが、ガイがゼロノスに競り勝った。

「よし!DVリフレイザー!」

 鎧はDVディフェンダーをディフェンダーソードにして、ファイナルモードを発動させる。

Full charge.”

 ゼロノスもデネビックバスターにエネルギーを集中させて、光線「バスターノヴァ」を放つ。だが鎧の素早い動きにかわされ、X字に体を切り付けられた。

「こっちも決めるぜ!ボルテックバズーカ!」

 マーベラスたちも重火器を組み合わせて、バズーカ砲「ボルテックバズーカ」を完成させる。イクサも専用武器「イクサライザー」を手にして、エネルギーを集中させる。

「ターゲット!」

「ロックオン!」

 マーベラスとアイムが叫んで、イクサに狙いを定める。

「プレスリフレイザー!」

 彼らが光弾「プレスリフレイザー」を発射し、イクサもエネルギー波「ファイナルライジングブラスト」で迎え撃つ。だがイクサは砲撃の反動で体勢を崩し、マーベラスたちに競り負けて光弾の直撃を受けることになった。

 爆発に巻き込まれたゼロノスとイクサが凍結を引き起こした。

 時間犯罪を取り締まるタイムレンジャーは、犯罪者の打倒ではなく逮捕を目的としている。扱う武器の中には圧縮冷凍を行うものもある。

 マーベラスたちによって凍結されたゼロノスとイクサだが、受けたダメージも大きく、そのまま光となって消滅していった。

「こっちは片付いたな・・後はアイツか・・・!」

 ジョーが呟き、マーベラスたちがバスコに目を向けた。

 

 

 

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