Ogre SID

-死を背負いし剣-

第14話「共存 –天使と悪魔の狭間-

 

 

 イフェルの手に掛かり、ラミアはオーガとともに消滅した。命を落としたラミアに、ミリィは絶望を膨らませていく。

「まずは1人・・それなりに楽しめたわね。大きく運動できたし・・」

 イフェルが腕を軽く動かして、満足した素振りを見せる。

「ラミアさん・・こんなことになるなんて・・・イヤ・・イヤ・・・!」

 ラミアを失った悲しみに打ちひしがれ、ミリィが体を震わせる。

「次はあなたが私の相手よ。もう私を止められないと思ったほうがいいわ・・」

 イフェルが微笑んで、ミリィに向かってゆっくりと近づいていく。

「イヤアッ!」

 目から涙を流して叫ぶミリィ。彼女は無意識に全身に力を込めていた。

 そのとき、ミリィのオーガの翼が広がり、まばゆい光を放った。オーガの中にいたミリィの姿が全裸になっていく。

 ミリィはオーガとのシンクロを上げることに成功した。

「前よりも力が上がったようね。念力のほうも警戒を強めたほうがよさそうね。」

 イフェルがミリィを見つめて微笑みかける。

「許せない・・あなたは私が倒します・・・!」

 ミリィが目つきを鋭くして、イフェルに向かっていく。

 イフェルがスピードを上げて、ミリィを翻弄しようとする。ミリィはひと息ついてから、1度動きを止めた。

 ミリィは腕を下に下げたまま、左手を後ろに向けて広げて力を入れた。

「えっ!?

 ミリィの後ろに回っていたイフェルが、念力に掛かって動きを止められた。透明になって近づいてきたイフェルだが、ミリィに居場所を気付かれた。

「姿を消していた私の位置に気付いた・・!?

「姿を消していても、動きによる空気の流れはついて回る・・ほんのわずかで普通だと気付きにくいけど、感覚を研ぎ澄ませれば、気付けないことはない・・・」

 驚愕するイフェルに、ミリィが低い声で語る。彼女はわずかな空気の動きから、イフェルが後ろに回り込んだのを捉えたのだった。

「あなた、怒りが増しているけど、それでいて冷静・・まだ私は、あなたを侮っていたようね・・・!」

 イフェルが作り笑顔を見せて、体に力を入れて念力を払いのけようとする。しかしミリィの念力から抜け出すことができない。

「念力の威力が上がっている・・このままではやられる・・・!」

 焦りを覚えてもがくイフェル。ミリィが振り返り、右手から光の刃を発した。

(メフィスト、こっちへ来るのよ・・!)

 イフェルが心の声を上げて思念を送った。彼女の近くにいたメフィスト数人が一瞬動きを止めて、ミリィに向かってきた。

 ミリィがメフィストたちの突撃をかわし、光の刃を振りかざす。メフィストたちが切りつけられて、事切れて落下していく。

 ミリィがメフィストと交戦している間、イフェルは念力から抜け出して、姿を消してミリィから離れた。

「近くにいない・・姿を消して逃げたみたい・・・!」

 ミリィがイフェルを見失い、ラミアを失った悲しみに再び襲われる。

「ラミアさん・・ごめんなさい・・助けられなくて・・・ヒビキさん、ごめんなさい・・・」

 ラミアとヒビキに対して罪の意識を感じて、ミリィが目から涙をあふれさせていた。

 

 オーガとのシンクロを上げたシドが、ディアスとの激闘を繰り広げる。互角の攻防にシドがいら立ちを膨らませ、ディアスも緊張を膨らませていた。

「アポストルにしてはとんでもないパワーだ。オレだけではさすがに苦戦するか・・」

 シドの力を認めて、ディアスが笑みをこぼす。

「メフィスト・・お前たちの好きにはさせない・・・!」

 シドが敵意をむき出しにして、ディアスに向かっていく。

 その直後、シドは自分に迫る気配を感じて、スピードを弱めて身構えた。彼が振りかざした拳をかわして、イフェルが姿を現した。

「イフェル、来てくれたか・・!」

 合流してきたイフェルに、ディアスが微笑む。

「苦戦しているようね。それだけあのオーガの力をすごいということね・・」

 イフェルがシドに目を向けて言いかける。

「オレ1人だと相手にするには手ごわい・・しかしオレたち2人が力を合わせれば・・」

「アポストル程度には勝ち目がない・・」

 ディアスとイフェルが頷き合ってから、シドに視線を戻した。

「お前たち、2人ともまとめてオレが倒す・・!」

 シドが鋭く言って、ディアスたちに向かっていく。

「甘いわね・・私たちは2人揃ったときに、最高の力を発揮できるのよ・・」

 イフェルが言いかけて、ディアスとともに顔から笑みを消した。

 ディアスから離れたイフェルが姿を消した。シドの視界から消えたイフェルがスピードを上げて、彼に近づいていく。

「姿を隠しても、オレには分かっている・・・!」

 シドが感覚を研ぎ澄ませて、左横に拳を振りかざす。その先にいたイフェルが、姿を現すと同時に紙一重でかわした。

「それでも、一瞬でも注意を引き付けるには十分・・」

 イフェルが微笑みかけた直後、ディアスがシドに飛びかかり、右手を握りしめて拳を繰り出した。

「ぐっ!」

 ディアスの拳が右腕に当てられて、シドが顔を歪める。突き飛ばされた彼だが、すぐに踏みとどまった。

「その一瞬に、オレが力を高めた一撃を叩き込む・・それがオレたちの連携だ・・」

 ディアスがシドを見つめて笑みをこぼす。

「ディアスの本気の一撃が当たって骨が折れないなんて、本当に対したものね。アポストルとしては指折りの強さの持ち主かもしれないわね・・」

「しかしオレたちの攻撃にいつまで持ちこたえられるか・・」

 シドの動かす右手を見て、イフェルとディアスが感心する。

「その思い上がりごと、お前たちを叩き潰す・・メフィストは、存在してはならないんだ・・・!」

 シドが憎悪を募らせて、ディアスたちに向かっていく。イフェルがまた姿を消して、高速で動いてシドを狙う。

 シドはイフェルに構わずに、ディアスだけに狙いを定める。しかしイフェルの高速の攻撃に、彼は体勢を崩される。

「私を無視しても問題ないと思ったら大間違いよ。ディアスには敵わないけど、私にも力はある・・」

 イフェルが姿を現して、シドに忠告を送る。

「何度も受けて耐えられるほど、私の力は弱くはないわよ・・」

「オレとイフェル、どちらを攻撃しようと、オレたちの連携から逃れることはできないんだよ。」

 イフェルとディアスが勝ち誇り、シドがいら立ちを募らせる。

「お前たちを2人まとめて倒す・・それだけのことだ!」

 シドが力を振り絞り、ディアスに向かって突っ込む。

「分からない男ね・・」

 イフェルがため息をついてから、姿を消してスピードを上げる。彼女の連続攻撃を受けるも、シドはものともせずにディアスに向かっていく。

「イフェルの攻撃に耐えようとするとは・・しかし、塵も積もれば山となる・・」

 ディアスがシドの底力に感心する。

「ぐっ!」

 イフェルの攻撃を受けたダメージが蓄積されて、シドが体勢を崩す。

「強引に体を動かそうとしても、言うことを聞いてばかりというわけじゃないの。さすがにムチャが過ぎたようね。」

「いい加減に休むといい。永遠にね・・」

 イフェルが微笑んで、ディアスが右手を強く握りしめる。

「この一撃で、お前に対する決定打にしてやるぞ・・!」

 ディアスが目を見開いて、シド目がけて拳を振りかざそうとした。

 次の瞬間、ディアスの体が突然止まった。

「な、何っ・・!?

 体が思うように動かなくなり、ディアスが驚愕する。

「ディアス!?・・まさかこれは・・!?

 声を荒げるイフェルが、駆けつけてきたミリィに目を向けた。ミリィの放った念力がディアスを止めたのである。

「あなたたちを許しません・・もうあなたたちに、命を奪わせはしない!」

 ミリィがディアスたちに怒りを向ける。

「ディアス!」

 イフェルが叫んで、姿を消してミリィに近づいていく。ミリィが気付いて後ろに下がるが、その隙にディアスに掛かっている念力が弱まった。

 ディアスが体に力を入れて、念力を打ち破る。

「あのアポストル、少し厄介な能力を使うようだな・・しかしやはり、オレとイフェルの連携を止めることはできない。たとえあのアポストルと同時に攻撃してきても・・」

 ミリィの念力を警戒しながらも、ディアスは自分たちの勝利が揺るがないと思っていた。

「イフェル、2人を攻めろ!2人まとめてでも翻弄することは可能だ!」

「いつも簡単に言うわね、ディアスは・・」

 呼びかけてくるディアスに、イフェルが呆れた素振りを見せる。

「オレがその隙に1人ずつ、確実に倒してみせる・・!」

「いいわ、ディアス。期待しているわ。」

 ディアスの強い意思を聞いて、イフェルが信頼して攻撃に専念する。

「では私のスピードを、あなたたち2人に味わわせてあげるわ・・」

 イフェルが微笑んで、姿を消すと同時に一気にスピードを上げた。

「ぐっ!」

「うあっ!」

 イフェルの見えない高速に翻弄されるシドとミリィ。2人ともイフェルに対して反撃することもままならなくなっていた。

「これなら、とどめを刺すのも難しくないようだ・・」

 攻撃の準備を整えて、ディアスが右手を強く握りしめた。イフェルの攻撃でダメージが蓄積されて、シドとミリィが空中から落下していく。

 シドとともに地上に落ちたミリィが、力を消耗して融合が解けて、オーガから外へ出た。

「オーガとの融合が・・力を使い過ぎたということ・・!?

 ミリィが動揺して、ディアスたちを見上げる。

「ではまず、そのアポストルにとどめを刺すとするか。」

 ディアスがシドに狙いを絞り、ゆっくりと降下していく。

(このままではやられてしまう・・私たちは、死ぬわけにはいかない・・!)

 ミリィが生き延びようとして、力を振り絞る。

(オレは死なない・・メフィストを倒すまで、オレは死ぬわけにはいかない・・・!)

 シドが怒りと力を膨らませて立ち上がる。

「まだ立ってくるとはね・・でも、私たちと戦えるだけの力が残っているのかしら?」

 イフェルがシドを見下ろして微笑む。

「この一撃で、お前との戦いを締めくくらせてもらう・・・!」

 ディアスがシドに向かって降下し、拳を叩き込もうとした。

「シドさん!」

 ミリィがたまらずシドの足元に飛びついた。シドはミリィに気付かないまま、ディアスを迎え撃つ。

(もう1度・・もう1度戦える力を・・・シドさんを、みんなを守れる力を・・・!)

 ミリィが力への渇望と思いを募らせる。

「オーガ!」

 彼女が自分のオーガを再び呼び出そうとして叫んだ。

 そのとき、ミリィの体がシドのオーガの中に吸い込まれた。

「えっ!?あ、うわあっ!」

 驚愕するミリィが、シドのオーガの中に完全に入り込んだ。次の瞬間、ディアスが繰り出した拳がシドに叩き込まれた。

 打撃の爆発がシドとディアスを包み込んだ。

「これで終わったわね・・」

 決着がついたと確信して、イフェルが微笑んだ。

 次の瞬間、ディアスが爆発の煙の中から飛び出してきた。彼は吹き飛ばされていて、上空で踏みとどまった。

「どうしたの、ディアス?」

 緊張を浮かべているディアスに、イフェルが近寄った。

「あのアポストルを倒したのよね・・?」

「いや・・今の一撃を当てる瞬間に、ヤツの力がまた跳ね上がった・・今まで以上に・・・!」

 問いかけるイフェルに、ディアスが緊迫を募らせながら答える。爆発の煙の中から、シドが姿を現した。

 それまで悪魔的だった姿かたちばかりではなかった。悪魔のような翼はなく、代わりに背中から光の粒子を発していた。

「姿が変わっている・・また進化をしたというの・・・!?

 イフェルもシドを見て疑問を覚える。

「でもあの姿、あの天使みたいなオーガにも見える・・・!」

「何っ・・!?

 シドの姿をさらに中止するイフェルの言葉に、ディアスが驚きの声を上げる。今のシドの両肩や頭には、天使の羽根のようにも見える突起があった。

「まさか・・!?

 シドに起こった変化に、ディアスが危機感を覚えた。

 

 変化したオーガの中には、シドだけでなく、ミリィもいた。シンクロ率を高めているオーガの中にいるため、シドだけでなくミリィも全裸の姿になっていた。

「お前!?・・なぜお前がここにいるんだ・・・!?

「えっ!?・・ここって、シドさんのオーガの中・・・!?

 シドとミリィが互いを見て驚きを浮かべる。

「シドさんは今、オーガとのシンクロを高めている・・ということは、私、シドさんに裸を・・!?

 シドに裸を見られて、ミリィが赤面する。シドもミリィの裸を見せられて、動揺を抑えるのに必死になっていた。

「すぐに追い出したいところだけど・・今はアイツを倒すのが先だ・・・!」

 シドがディアスたちとの決着に意識を向ける。ミリィもディアスたちとの戦いを終わらせることを考える。

 オーガの背中からの光の粒子があふれて、翼の形になった。オーガはその翼をはばたかせて飛び上がった。

「前と比べてどう変わったか、確かめさせてもらうわ・・・!」

 イフェルが微笑んで、スピードを上げてシドを迎え撃つ。イフェルがシドの後ろに回り込んだ。

「もらった・・!」

 イフェルがシド目がけて爪を突き出した。彼女の突きがシドの背中を捉えたように見えた。

 しかしそれは、瞬時に動き出したシドの残像だった。

「えっ!?

 消えていく残像を目の当たりにして、イフェルが驚く。彼女がシドの行方を追うが、姿が見えない。

「私が見失うほどのスピードを出すなんて・・!?

 イフェルが驚きを隠せなくなり、体を震わせる。次の瞬間、高速で飛び込んできたシドに、彼女が顔面を殴られる。

「うっ・・!」

 イフェルが体勢を崩して落下する。

「イフェル!おのれ・・!」

 ディアスが叫び、シドに向かって飛びかかる。

「オレの攻撃、必ずお前に当てる!」

 ディアスが右の拳に力を込めて振りかぶる。シドが素早く動いて、ディアスの打撃をかわす。

「逃がすか!」

 ディアスが直感だけを頼りに、続けて拳を振りかざした。拳はシドを捉えてはいたが、シドの左手に拳が受け止められた。

「何だとっ!?

 力を集中させた一撃を止められたことに、ディアスも驚愕を隠せなくなる。

「オレはメフィストを滅ぼす・・そのためなら、オレは何でもする・・何にでもなってやる!」

 シドが怒号を言い放って、ディアスの拳を受け止めている左手に力を込めた。

「うぐっ!ぐあっ!」

 右手を強く締めつけられて、ディアスが激痛を覚えてうめく。彼はとっさにシドの手を振り払い、距離を取った。

「スピードもパワーも桁違いに上がっている・・オレたちが全く歯が立たない・・・!」

「2人のアポストル、2人のオーガが1つになって、これほどの力が出るなんて・・・!?

 ディアスもイフェルもシドの力に脅威を感じていた。

 シドが光の翼を広げて、ディアスに向かって高速で向かっていく。

「があっ!」

 シドの目にも留まらぬ打撃を次々に叩き込まれ、ディアスが絶叫を上げる。反撃もままならず、ディアスがふらつく。

「こ、このままではやられる・・・!」

 窮地に追い込まれたディアスが、シドから離れようとする。

「お前もアイツも、他のメフィストも倒す!」

「あなたたちのために、これ以上、大切な人を失わせはしない!」

 シドとミリィが怒りと思いを言い放つ。2人のいるオーガが両手から光を発して、巨大な剣の形にした。

 シドが剣を構えて、ディアスに向かって突っ込んだ。

(速すぎる・・かわし切れない・・・!)

 思うように動けず、ディアスが倒されることを覚悟する。

「ディアス!」

 そこへ姿を消していたイフェルが駆けつけて、ディアスを横に突き飛ばした。直後にイフェル自身も回避しようとする。

「イフェル!?

 目を見開くディアスの前で、シドの剣がイフェルの左肩を貫いた。

「イフェル!コイツ!」

 血をあふれさせるイフェルに叫び、ディアスが怒りを込めて拳を振るった。シドが殴られて遠ざけられるが、ダメージは受けていない。

「イフェル、大丈夫か!?今は下がるぞ!」

「え、えぇ・・!」

 心配するディアスに、イフェルが答える。ディアスが足を強く踏みつけて、土煙を巻き上げて視界を遮った。

 シドが全身から衝撃波を発して、土煙を吹き飛ばす。しかしそのときにはディアスとイフェルは去っていた。

「アイツら・・次こそは必ず仕留める・・・!」

 シドがディアスたちへの憎悪を噛みしめていく。

「ラミアさん・・・!」

 ミリィがラミアのことを気にして、悲しみを感じていく。

(何だ、これは!?・・コイツの悲しみだけじゃなく、違う何かが・・・!?

 そのとき、シドは不思議な感覚を覚えて、動揺を覚える。それはミリィの悲しみだけでなく、彼女の記憶や過去だった。

(間違いない・・前に話したことそのままだ・・でも話だけで想像できる範囲を超えているぞ・・今、見えているのは・・・!)

 ミリィの過去の光景が頭の中に入ってきて、シドが困惑する。

「シドさん・・これって・・昔のシドさん・・・!?

 ミリィもシドの過去を目の当たりにして、動揺を感じていた。

「お前も!?・・まさかオレたち・・!?

「お互いの記憶、心の中を見ているの・・・!?

 シドとミリィが互いの心の内を目の当たりにして、戸惑いを感じていく。

「私たちが1人のオーガの中にいると、体も心も全部見られるの・・・!?

 何もかもが筒抜けになっている自分たちに、ミリィは困惑するばかりだった。

「は、早く降りろ!オレのオーガから出ていけ!」

「は、はいっ!」

 恥ずかしさを感じているシドに怒鳴られて、ミリィが慌てて外へ出た。

(私、自分のオーガだけでなく、シドさんのオーガの中にも入った・・・!)

 今、自分が体験したことに、ミリィが戸惑いを募らせていく。

(これが、シンクロ率の高いオーガの中に2人以上入ったときの現象なのかな・・・!?

 オーガとのシンクロを高めれば、中にいる者同士のシンクロも上がることになる。オーガについて知って、ミリィは困惑していた。

 

 ディアスとイフェルが撤退したことで、他のメフィストたちもグレイブヤードへの進攻を中断して引き上げていった。

「ふぅ〜・・危ないところだった〜・・」

 アロンが危機を乗り切ったと思い、安心の吐息をもらす。

「あのメフィスト2人・・許しちゃおかねぇぞ・・必ずオレがこの手で仕留めてやる・・・!」

 ギギがディアスとイフェルにやられたことに、憤りを感じていく。

“全員、引き上げろ。こちらも体勢を整える。”

 ハントからの指示が伝わり、ギギたちが引き上げていく。

「ラミアさん・・・」

 ラミアの死を痛感して、ミリィは悲しみに暮れていた。

 

 ディアスとイフェルが撃退されたことを知って、笑みをこぼす1つの影があった。

「まさかあの2人がやられるとはね。これは私も退屈しないで済みそうだ・・」

 影が期待を感じて呟いていく。

「それに向こうのオーガが融合をしている。そのような現象、今まで見られなかったこと・・」

 影がシドとミリィが1つになったことを気に掛ける。

「私が出向いて、どういうことなのかを直接確かめる必要があるな・・」

 シドたちとの戦いに、影も自ら飛び込もうとしていた。

 

 

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