魔法少女リリカルなのは -Light&Dark-
第5話「すれ違っていく気持ちなの?」
クレープを買って戻ってきたなのはとユーノは、ただならぬ不安を覚えた。フェイトとアルフの姿が見えないことと、近くで強大な魔力が発生したことに、彼女たちは2人の危機を感じた。
だが、駆けつけようとしたなのはとユーノの前に、人間の姿のラークが現れた。
「ひばりちゃん・・・!?」
「なのはお姉ちゃん、ここから先は行かせないよ・・・」
動揺を見せるなのはとユーノに、ラークが淡々と告げる。
「ラーク、ライムのためになのはお姉ちゃんに邪魔してほしくないの。だからここで足止めなの。」
「悪いけど、君の相手をしている時間はないんだ。そこをどいて。」
両手を広げて立ちはだかるラークに、ユーノが真剣な面持ちで呼びかける。しかしラークは退こうとしない。
「どうしてもっていうなら、ラーク、戦うから。」
ラークはなのはたちに告げると、背中から光り輝く翼を広げて飛び上がる。その翼をはためかせて、光の羽根を飛ばす。
ユーノがなのはの前に出て両手を突き出す。彼の前方に淡い光の壁が現れ、無数の羽根を弾き返す。
「なのは、彼女は僕に任せて先に行って!」
「ユーノくん・・!」
当惑しているなのはに頷いてみせるユーノ。彼女も彼に頷いて、フェイトを助けるべく駆け出した。
「行かせない!」
ラークがなのはを止めようとするが、魔法の鎖が彼女の体を縛る。ユーノの放った拘束魔法「チェーンバインド」が彼女の動きを封じたのだ。
「君の相手は僕だ!」
集中するユーノに対し、ラークは苦悶の表情を浮かべた。それは束縛の痛みのせいではなく、なのはを食い止められないせいだった。
「レイジングハート、お願い!」
“stand by ready.set up.”
レイジングハートに呼びかけたなのはが白のバリアジャケットを身にまとい、杖へと形を変えたレイジングハートを手にする。フェイトとライムの衝突を止めるべく、彼女は急いだ。
ライムとの交戦の末、彼女の魔法を受けて氷漬けとなったフェイト。ライムは鎌の形のクリスレイサーを振り上げ、フェイトにとどめを刺そうとしていた。
「終わりだ・・フェイト・テスタロッサ!」
ライムがクリスレイサーをフェイトに向けて振り下ろした。だがその白い刃がフェイトに突き刺さる直前で止められる。
「えっ・・!?」
ライムが驚愕して眼を見開く。クリスレイサーの光刃を、なのはがレイジングハートで受け止めていた。
「な、なのはちゃん・・・!?」
「ライムちゃん!フェイトちゃんと戦うのをやめて!」
驚愕のあまりに力を抜いてしまうライム。そこをなのはが押し返し、ライムが後方に下がる。
「なのはちゃん、邪魔をしないで!僕はフェイトを倒さなくちゃいけないんだ!」
「ダメだよ、ライムちゃん!こんなことをしたって、フェイトちゃんだけじゃない!ライムちゃんだって辛くなっちゃうよ!」
自分の気持ちをぶつけ合いながらも、互いに引こうとしないライムとなのは。望まなくとも、このままでは戦うことになると2人とも覚悟していた。
(このままじゃダメだ・・アクセルアクションは使っちゃったし、魔法もそんなに使えない。こんなんじゃなのはちゃんと戦っても、勝ち目がない・・・!)
だがライムは魔力の消費を考慮して劣勢を感じていた。彼女が考えていたのは、フェイトにとどめを刺してすぐに撤退することだけ。
攻を焦るライムがなのはの横をすり抜け、氷漬けのフェイトに切り込もうとする。そこへ狼形態のアルフが彼女に飛び掛ってきた。バリアの破壊を得意とするアルフは、足元を凍結させていた魔力を破壊していたのだ。
「アルフ・・!?」
毒づくライムがアルフに押し倒される。フェイトを守るため、アルフが右手を振り上げる。
危機感を覚えたライムが砲撃形態のクリスレイサーをアルフののど元に突きつける。とっさにアルフが飛びのいた直後、杖から魔力の砲弾が放たれた。
(ラーク、このままじゃ僕たちはやられる!出直そう!)
(ライム!?・・分かった。ラークも公園を離れるよ。)
ライムの思念を受けてラークが答える。
「クリスタルレイ!」
“crystal ray.”
ライムはアルフにけん制のために氷の雨を放つ。アルフとなのはがかわすのを見据えながら、ライムはこの場を撤退する。
同時に、ユーノの魔法の鎖に動きを封じられていたラークが小鳥形態へと変身してその束縛を逃れる。
退散していくライムに、なのはは動揺を隠せなかった。その傍らで、人間の姿になったアルフが、氷漬けのフェイトに必死に呼びかけていた。
「フェイト!しっかりして、フェイト!」
悲痛ささえも伺えるアルフの呼びかけ。しかし氷塊の中にいるフェイトは全く反応を示さなかった。
「フェイトちゃん!」
なのはもユーノとともにフェイトに駆け寄ってきた。凍てついた親友を見て、なのはは沈痛の面持ちを浮かべた。
「フェイトちゃん・・・お願い、レイジングハート・・フェイトちゃんを助けて・・・!」
“all right.”
なのはの強い願いを受けて、レイジングハートも応答する。彼女と彼女の杖が、氷を解かすイメージを構想し、魔力を媒体に具現化する。
その直後に氷塊が崩壊し、閉じ込められていたフェイトが解放される。
「フェイト!」
「フェイトちゃん!」
アルフとなのはが叫んで、力なく倒れるフェイトを支える。人間の姿となったユーノも駆けつけ、フェイトの容態を見る。
「大丈夫。命に別状はないみたいだ。今すぐ魔法でできる限り治癒する。管理局もこの事態を察しているはずだ。」
ユーノはなのはとアルフに呼びかけながら、フェイトに両手をかざし、回復魔法「フィジカルヒール」をかけていた。彼が魔法による応急措置を行ってからすぐに、転移魔法にてリンディとクロノが駆けつけた。
フェイトをあと一歩まで追い詰めながらも、なのはとアルフの妨害に阻まれたためにやむなく撤退せざるを得なかったライム。魔力を消費していた彼女に、なのはとアルフの2人を相手にされれば、フェイトにとどめを刺すことさえできなかった。
「せめてあのとき、アクセルアクションが使えたら・・・」
公園の外の壁にもたれかかって、ライムは宝石の形のクリスレイサーを見つめていた。
クリスレイサーのアクセルアクションには欠点がある。10秒間に驚異的な速度とそれを受けた攻撃力を発揮するが、使用して次に発動するには、クリスレイサーの魔力の回復を待たなくてはならない。現時点では最低でも12時間は要する。
フェイトを倒せなかったことを悔やんでいると、ひばりの姿のラークが駆けつけてきた。
「ライム、大丈夫・・!?」
「僕は大丈夫だよ・・ラークは?」
「ラークも何ともないよ。」
お互いに心配を掛け合うライムとラーク。
「今はどうにもならない。体力と魔力の回復を待とう。それで今度こそフェイトを・・」
「でも、それまでどうするの・・・?」
ラークが問いかけると、ライムは物悲しい笑みを浮かべた。
「・・明日、母さんのところに行くよ・・・」
ライムの答えにラークは小さく頷いた。なのは、フェイト、ライム。3人の魔法少女の、それぞれのつかの間の休息が訪れた。
ライムとの戦いに敗れ、氷漬けにされたフェイトは、ユーノの回復魔法とリンディたちの保護に助けられ、現在アースラの医務室のベットで横たわっていた。管理局の監視下、彼女の回復と休息の専念のため、彼女とアルフはアースラでの待機が指示された。
ユーノの応急措置の甲斐があって、身体に別状はなく、体力と魔力の回復を待つだけだった。だが医務室を訪れるアルフやリンディは、フェイトが沈痛さを隠せないでいるのを理解していた。
「体調のほうは大丈夫のはずなんですが・・・」
「・・・体の傷より、心の傷のほうが辛いってところね・・・」
リンディとアルフがフェイトの様子に深刻になっていた。
プレシア・テスタロッサ事件において、フェイトはプレシアに利用されていた被害者だという見解が強まっている。だがライムにとっては、彼女を含むテスタロッサ一族全てが加害者だという見方を持ってしまっている。
なぜそこまでフェイトを憎むのか。アルフは未だに信じられない気持ちでいっぱいだった。
「なんで・・なんでフェイトがここまで責められなくちゃならないの・・・!?」
アルフがフェイトの辛さに対して悲痛さを覚えていた。
「フェイトはあの女のために必死になって、あの女に見放された被害者だっていうのに・・」
「アルフさん・・・」
「それなのに責められて・・・あたし、たまんないよ・・・!」
フェイトが気がかりになるあまり、涙をこぼすアルフ。リンディも沈痛さを痛烈に感じていた。
「小室ライムさんも・・プレシア・テスタロッサの被害者なのです・・・」
「・・・どういうことよ・・・!?」
突然のリンディの言葉に、アルフは耳を疑った。リンディはライムに関することを話す決意をした。
その頃、ライムは母親のいる病院に、ラークを連れて向かっていた。その門の前で、彼女たちはなのはを見つける。
「なのはちゃん・・・」
戸惑いを覚えるライムの声に、なのはが気付いて振り向く。
「ここにライムちゃんのお母さんがいるって聞いて・・・」
なのはも困惑気味に答える。だが彼女はここを教えてくれたのがリンディであることをあえてライムに言わなかった。
まだライムの口からフェイトを狙う理由を聞いていないし、時空管理局のことを告げればライムたちが警戒を強めることになると思ったからである。
「そういえば聞きたがってたね。どうしてフェイトを狙うのか・・・」
深刻の面持ちのライムの言葉に、なのはは小さく頷く。
「一緒に来て。その答えを教えてあげるから・・・」
ライムとラークが先行し、なのはも彼女についていった。
病院内では静かながらも和やかな雰囲気があふれていた。進む廊下の途中で、すれ違う医者やナースに挨拶を交わしていくライム。
3階奥の病室の前にたどり着くと、そこでも1人の医者が病室から出てきたところだった。
「あ、先生、こんにちは。」
「やぁ、ライムちゃん、ひばりちゃん。今日もご苦労だね・・おや、その子は?」
医者がなのはに眼をやって声をかけてきた。
「こんにちは、高町なのはです。」
「なのはちゃんか・・ライムちゃんのお友達かな?」
医者が笑顔で訊ねると、ライムは照れながら頷く。
「それで、母さんは・・・?」
ライムが笑みを消して、深刻な面持ちで医者に訊ねる。すると医者も沈痛の面持ちで答える。
「良好には向かっているようなんだが・・まだ・・・」
それから医者もライムも言葉が出なかった。しばらくの沈黙の後、ライムとラークは病室のドアをゆっくりと開けて中に入った。
「母さん・・・」
ライムは元気のない声をかけた。
病室は個室になっていて、窓からは海辺が見下ろせた。そのベットには1人の女性が虚ろな表情を浮かべて、どことも取れない方向を見つめていた。
彼女がライムの母親である。母親はライムたちの入室に気付いておもむろに振り向いた。
「母さん・・また来たよ・・・」
ライムが母に向かって呼びかけるが、この声色と表情は喜びを表してはいなかった。
「今日は友達を連れてきたよ・・・高町なのはちゃんだよ・・・」
ライムが必死に笑顔を作りながら、母親に呼びかける。しかし彼女の一途な願いは母には届いていなかった。
「あなた・・・誰・・・?」
母親が口にしたこの言葉に、ライムの作り笑顔が消える。
「何言ってるんだよ・・・僕だよ・・ライムだよ・・・」
「知らない・・・知らない・・・!」
苦悩をあらわにする母親が頭を抱えて苦しみだす。その姿に愕然となるライムに、なのはも動揺を隠せなかった。
「記憶がないんだ・・・」
ひとまず病室を出て屋上に来ていたライムとなのは。ライムは母親に起きている現状をなのはに話し始めた。
「僕のことだけじゃない・・自分が誰なのかさえ分からなくなってるんだ・・・思い出そうとすると、さっきみたいに苦しみだして・・・」
「そんな・・・」
歯がゆさを浮かべるライムに、なのはも困惑を覚える。
「フェイトの母、プレシア・テスタロッサの魔法で津波が起きて、その津波に母さんが巻き込まれて・・それで・・・」
ライムが話した事情に、なのははようやく理解することができた。ライムがなぜフェイトを執拗に狙い続けたのか。
母親の笑顔を奪ったテスタロッサへの復讐のため、その一族に属しているフェイトを倒そうと考えたのだ。
だがなのははライムの考えを受け入れることはできなかった。フェイトは母親のため、母親の言われるがままに戦っただけである。結果彼女は母親から見放され、一時は人格崩壊にまで陥ってしまった。
なのはから見れば、管理局の見解からも、フェイトはプレシアの被害者でしかない。だがライムからすれば、彼女は母親の笑顔を奪った加害者の1人としか見ていなかった。
同じ頃、アルフもリンディからライムのことを聞かされて、当惑していた。
「そんな・・・そんなことがあったなんて・・・」
「母親を記憶喪失に陥らせたために、ライムさんはフェイトさんを含めたテスタロッサ一族を強く恨んでいます。フェイトさんを倒すことが、母親の笑顔を取り戻すことだと信じて・・」
ライムに対して沈痛さを抱えるアルフとリンディ。リンディの言葉を受けて、アルフが切実な思いを口にした。
「せめて話ぐらいは聞いてもらいたいよ・・フェイトだって、あの女のためにやってただけだって・・・」
アルフの言葉に同意しながらも、リンディは首を横に振った。
「母親の笑顔、家族の絆を奪われた子に、たとえ事実や思いを伝えようとしても、聞き入れようとはしないでしょう・・強い憎悪に囚われた心は、簡単には癒されないのです・・・」
リンディの言葉を聞いて、アルフは歯がゆさを浮かべるしかなかった。
そんな2人の会話を、医務室にいたフェイトが扉越しに聞いていた。ライムの心境を知って、フェイトも強い困惑を覚えていた。
母親との悲痛な見舞いを終えたライムとラークは、なのはを連れて病院の近くの海辺に来ていた。天気も波も穏やかで涼しい風が流れて砂地を小さく揺らしていた。
ここがライムが母親と過ごした思い出の海辺である。
「昔はよくここで、母さんと一緒に遊んだんだ・・あの頃はホントに楽しかったよ・・・」
ライムが物悲しい笑みを浮かべてなのはに語りかけた。
「母さんをあんなにしたテスタロッサを、僕は許すことができない・・・だから僕はフェイトを・・!」
「ダメだよ、そんなの!」
フェイトに対する怒りをあらわにするライムを、なのははたまらず反論する。
「フェイトちゃんを恨んだって、ライムちゃんの気持ちは晴れないし、ライムちゃん、きっと今より悲しくなっちゃうよ!」
「どうして、そんなこと・・・!?」
「分かるよ・・私にも・・・」
戸惑いを見せるライムに、なのは物悲しい笑みを浮かべた。
なのはの父、士郎はかつて、要人のボディガードをしていたが、テロに巻き込まれ、瀕死の重傷を負ったことがある。父親を傷つけた人物に対し憎悪を抱いたなのはだが、恨んでも何もならないし、逆に自分たちを辛くしてしまうと思った。
だから、なのはは母親を傷つけられて憤るライムの気持ちが痛いほど分かっていたのだ。
「確かに君の言うとおり、辛いだけかもしれない・・・だけど僕には、この方法しかできないよ・・・」
物悲しい笑みを浮かべて、ライムは宝石型のクリスレイサーを取り出してなのはに見せる。
「お願いだよ、なのはちゃん・・・フェイトがどこにいるのか教えて・・・!」
フェイトの行方を追い求めるライムだが、なのはは何も答えない。
「何も教えてくれないって言うなら・・・僕はなのはちゃん、友達である君とも戦う!」
“stand by ready.set up.”
強い決意をあらわにするライムの感情に呼応して、クリスレイサーが答える。杖へと形を変えるクリスレイサーと、純白のバリアジャケットを身にまとうライム。
“Launcher mode.”
遠距離用の形へと成したクリスレイサーをなのはに向けるライム。しかしなのはは彼女に屈しない。
「いくらライムちゃんでも、フェイトちゃんを傷つけさせない・・・」
なのはも決意を固めて、宝石型のレイジングハートを取り出す。1度決め込んだらその決意を最後まで貫き通す強い意志を彼女は持っていた。
「お願い・・レイジングハート!」
“stand by ready.set up.”
なのはの呼びかけにレイジングハートが答える。杖へと変形したレイジングハートを、バリアジャケットを身にまとったなのはが手にする。
「できるなら、君とは戦いたくなかったよ、なのはちゃん・・・」
「私もだよ、ライムちゃん・・・」
互いに物悲しい笑みを見せあった後、真剣な面持ちとなる2人の少女。2人の持つ杖から魔法の閃光が解き放たれ相殺する。
ライムは背から翼を広げて飛翔し、なのはもフライアーフィンを駆使して彼女を追いかける。
追跡してくるなのはをライムは迎撃しなかった。迎え撃つつもりではなく、場所を移動するためにライムは行動していた。思い出の海辺を戦場にしたくない本心からだった。
飛翔を続けて、2人は海鳴臨海公園の上空にまで移動していた。そこでライムが止まって、追いかけてきたなのはに振り返る。
「たとえ君を倒してでも、僕はフェイトを探し出して倒す!」
なのはと同様に決意を言い放つライム。クリスレイサーを中心に魔力が放出し、数個の砲弾となり、氷の刃へと形を変える。
“crystal ray.”
氷の刃「クリスタルレイ」が、なのはに向かって飛んでいく。なのはは氷の刃をいくつか魔力を放出して弾き、後退して残りをかわす。
だがライムは次の魔法の詠唱を行っていた。
“white smasher.”
フェイトを凍てつかせた純白の閃光を、なのはに向けて放つライム。なのは飛翔してこれをかわすと、標的を外した閃光は公園の脇の海を凍てつかせた。
その光景に驚きを見せているなのはに、クリスレイサーに刃を出現させたライムが飛び込んできた。レイジングハートとそこから放たれる魔力で刃を受け止めるなのはだが、ライムの突進力に押されて落下していく。
凍りついた氷の床を滑るように移動していくなのはとライム。ライムが振りかざしてくる白い刃を、なのはは回避と受け流しを駆使してかわしていく。
だがやがて氷の床が途切れ、勢いに流されていたなのはが海に落ちる。ライムも彼女を追って海に飛び込む。
なのはの行方が分からなくなり、ライムは海中を詮索する。そして彼女は、魔法の砲弾を出現させているなのはを発見する。
なのはが魔法弾「ディバインシューター」をライムに向けて放つ。ライムはクリスレイサーを振りかざして迎え撃とうとしたが、それを躊躇した。
ライムとクリスレイサーの魔法は凍結の効果を備えている。水中で魔法を使えば、自分が凍結に巻き込まれかねない。
とっさに上昇して水中から抜け出そうとするライム。しかし誘導式のディバインシューターは、彼女を執拗に追いかけてくる。
しかしライムの動きのほうが速く、彼女は追いつかれることなく海上に飛び出す。そしてクリスタルレイで数弾のディバインシューターを撃ち落とす。
その直後、なのはも海中から飛び出してくる。濡れる髪や体に構わずに、2人は互いを見つめ合う。
「なのはちゃんはすごいね。僕の攻撃に真正面から受け止めて返してきてくれる。」
「ライムちゃんもすごいよ。追いかけるのがやっとだよ・・」
互いに笑みをこぼすライムとなのは。しかしライムはすぐに笑みを消し、真剣な面持ちになる。
「でも僕は負けるつもりはない。たとえなのはちゃんが相手でも!」
ライムがクリスレイサーを振りかざし、意識を集中する。
“accel form.set up.”
クリスレイサーが呼応すると、ライムのバリアジャケットがアクセルフォームへと変化する。フェイトとアルフを翻弄したアクセルアクションで、ライムはなのはに仕掛けようとしていた。
次回予告
友達を守ろうとする少女。
母さんの笑顔を守ろうとする少女。
親友同士の2人の気持ちが、稲妻のように駆け巡っていく。
自分の心を守るには、相手の気持ちを壊すしかないの・・・?
リリカルマジカル、強くありたい・・・