舞HIME –another elements- 第23話「風花真白」

 

 

 今の私は、あの人のそばにいることだけしか考えてませんでした。

 あの人と一緒なら、どんなことだって乗り越えられると信じていたからです。

 でも多分、もう昔のように戻れない気もしているのです。

 もしも風華学園に行かなかったら。

 もしも私が、結衣さんがHIMEじゃなかったら。

 もしもオーファンと出会わなかったら。

 もしも一番地に記憶を消されていたら。

 ずっと昔のままの生活ができたのかもしれない。

 昔のままのお兄ちゃんでいてくれたのに。

 

 不敵に笑うデルタを、千草は緊迫を抱えながら見据えていた。眼前の敵の力は、他のオーファンやHIMEの力さえ凌駕するものである。

 油断できない相手の上に、彼女は切羽詰っていた。早くしなければ、堅か舞衣たちが傷つくことになる。それが彼女に焦りをもたらしていた。

「さぁ、どうした?来るなら来い。オレが丁重に相手をしてやる。」

 デルタが千草を挑発する。彼は彼女の動きだけに気を配っていた。

 彼のこの場での目的は彼女を足止めすることだった。彼女が攻撃してくるか、この場から移動しようとした際に力を発動すればよかった。

 その気になれば倒すこともできるが、そうすれば堅の死が確立することになる。それはデルタにとっては面白くない展開だった。

 堅と舞衣、どちらが倒されるのか。悲劇を快楽としていたデルタは、これが楽しみなのである。

「私はお兄ちゃんのところに行きます。邪魔するなら、力ずくでも!」

 千草はエレメントの2本の刀身を合わせて、双刀の刃として構える。しかしデルタは笑みを消さない。

「いいだろう。お前の力がどれほどのものか、直に見極めさせてもらおうか。」

 デルタが右手に黒い炎を灯して、千草を迎え撃つ。その直後、何かの気配を感じ取ったデルタが視線を移す。

「必殺、地獄釜!」

 そこへ鉄球が向かってくるのを察知して、デルタは跳躍する。その地面が鉄球の直撃で破裂する。

 着地したデルタ、振り返った千草の視線に先には、ゲンナイを駆る晶の姿があった。

「チャイルド・・お前もHIMEというわけか。」

 晶がHIMEであることを悟ったデルタ。晶が戸惑いを浮かべている千草に視線を向ける。

「お前のアニキが危ない。早く行ってやれ。あの男はここで食い止める。」

「でも、晶くん・・・!」

「私は秘密の忍者だ!」

 デルタに視線を移す晶に千草が困惑を見せると、晶が苛立った様子を見せて言い放つ。その言動を見て、千草はふと微笑んだ。

「ありがとう、秘密の忍者くん!」

 晶に感謝の言葉をかけて、千草はペガサスを走らせて堅のところに向かう。

「悪いが逃がさないぞ。」

 デルタが彼女に向けて、黒い右手をかざす。そこへ晶の手裏剣が放たれ、デルタの追撃を阻む。

 千草への攻撃を断念したデルタは笑みを消し、身構えている晶とゲンナイに振り返る。

「せっかくの悲劇に水を差してくれたものだ。この落とし前は高くつくぞ。」

 鋭い視線を晶に向けるデルタが、右手に黒い炎を灯す。

「お前の想い、オレが粉砕してくれる。」

「ゲンナイ!」

 炎を放ったデルタ。晶の指示でゲンナイが飛び上がり、その炎をかわす。

 そこへデルタが跳躍して、晶に向かって氷の刃を放った。晶が手裏剣でそれを弾くが、そこへデルタが炎をまとって飛び込んできた。

 その炎にまかれて、晶がゲンナイから落下する。空中で体勢を立て直して着地する晶に、デルタが追い打ちをかけてくる。

 氷の刃と手裏剣が衝突し、火花を散らす。しかしさほどの熱量を寄せ付けないデルタの氷の攻撃に晶は押されていく。

 不敵な笑みを浮かべて、デルタが氷の刃を振りかざす。そこへゲンナイが飛び降りてくる。これをデルタが身を翻して回避する。

 体勢を立て直して構えなおす晶。しかし体力を消費して、息を荒げていた。

(何て力だ・・こんなに強い相手は師匠以外では初めてか・・・!)

 危機感を覚える晶が焦りを浮かべる。

「今さら後悔か?だが、もう逃れることはできない。」

 黒い炎と白い冷気をかけ合わせるデルタ。2つの力が混ざり合い、強大な力となって収束される。

「これで葬り去ってやろう。オレの最強の力、ミックスデルタでな。」

「ゲンナイ!」

 笑みを強めるデルタ。晶がゲンナイの上に立ち印を結ぶ。

「霧隠れの術!」

 するとゲンナイから煙が噴出し、その姿を消す。それを目の当たりにして、デルタが収束させていた力を消す。

「こんな小細工を使ってくるとは。まぁいい。あのHIMEならいつでも倒せる。すぐに千草を追いかけて、足止めしなくてはな。」

 笑みを消して、デルタが千草を追い求めて駆け出した。

 

 裏山を見つめて、真白は沈痛の面持ちを浮かべていた。その様子に、二三は気がかりだったがかける言葉が見つからなかった。

「私は、2人が再び手を取り合えることを信じています。これから起こるHIMEの運命も、切り抜けられるでしょう・・」

「真白様・・・」

 真白の呟いた言葉に、二三はただただ困惑を浮かべるばかりだった。

「2人に、彼女たちに過酷な運命を強いることになるのは、私の過ちなのかもしれません。」

「そんな!真白様は・・!」

 自分を責める真白に、二三が声を荒げる。すると真白が振り向き、笑顔を見せる。

「こんな私でも、信じることはできますよね?」

 HIMEたちとそれに関わりのある人たちに幸せが訪れることを、真白は切望した。それが叶わぬ願い、遂げられぬ想いと知りながらも、彼女は実ることを信じていた。

 彼女の笑顔を見て、二三も信じて笑顔で頷いた。

 

 その頃、堅は舞衣たちHIMEを交戦していた。HIMEの潜在能力に触発されるかのように、彼の中の殺意が暴走し、歯止めが利かなくなっていた。

 凶暴化して飛びかかってくる彼を、なつき、碧がチャイルドを呼び出して迎える。しかし彼を倒すことを躊躇し、防戦を強いられることになった。

(やるしかないの・・・これしか方法はないの・・・?)

 苦渋の選択に苦悩する舞衣。歯がゆい思いを抱えながら、彼女は意識を集中した。

「カグツチ!」

 エレメントの腕輪を展開した彼女の呼びかけで、炎の竜が出現する。剣を突き立てられた口が大きく開かれ、白い吐息をもらす。

 神々しく思えるその姿と炎に振り向いた堅が、小さく笑みを浮かべる。

 動きが一瞬止まった彼に、命が剣を振りかざしてきた。力を抜いていた彼は、持っていた波動の刀で受け止めるが、彼女の力に押されて弾き飛ばされる。

 さらにデュランに突進され、堅は大木に叩きつけられる。強烈な痛みで、手から刀を離して、大木の幹にもたれかかる。

 うめく堅の眼に、カグツチを駆る舞衣の姿があった。彼女はひどく困惑していたが、彼を倒すことも考慮していた。

「堅くん・・・もう1度帰ってきてよ・・・千草ちゃんと、きちんと話し合うことだってできるんでしょ・・・」

 舞衣が沈痛の面持ちで、堅に声をかける。しかし堅の気持ちは変わらない。

「もうムリだ・・オレがいたら、アイツやみんなに迷惑がかかる・・・だから戻れない。アンタたちのところにも、オレの思い出の中にも・・・」

「だったら、迷惑かければいいよ・・・」

 諦めていた堅に、舞衣は眼に涙を浮かべながら微笑んだ。

「千草ちゃんにたっぷり迷惑かけて、後でそれを返せばいいよ・・・」

 彼女の言葉に、堅は心を動かされたような感じを覚えた。しかし自らが死を受け入れることでしか、この事態は回避できない。そう思っていた。

 どうしても話し合いの場を持ちたいと思った舞衣は、戦意をかなぐり捨てる。

 しかし彼女の意思に反して、カグツチが攻撃の意思を見せる。堅に向けて炎を放とうとしている。

「ダメ!カグツチ!」

 舞衣が慌てて制しようとするが、カグツチは攻撃をやめようとしない。

「やれ!ひと思いにやるんだ!」

 堅が立ち上がり、攻撃を促す。それに触発されるかのように、ついに火球が放たれる。

「堅くん!」

 叫ぶ舞衣の眼前で、堅は笑みをこぼして死を受け入れようとしていた。

 その炎が直撃する直前、彼の姿が消えた。突然横切った何かにさらわれたのだ。

 大木が爆発し轟音が響く。横切ったものを眼にした舞衣が上空を見上げる。

 そこにはペガサスと千草の姿があった。堅を救ったのは彼女だった。

「千草ちゃん!」

「舞衣さん!・・お兄ちゃんと2人きりにさせて・・・!」

 笑みを見せる舞衣に、千草が真剣な面持ちで声をかける。彼女が視線を移していくと、なつきも命も碧も彼女の気持ちに同意する。

「分かったよ、千草ちゃん・・でも、遠くから見るのは構わないでしょ・・・?」

 舞衣も頷いてみせる。すると千草は何も言わずに頷き、堅を連れてこの場を離れた。

 

(オレは・・・あの世に逝けたのか・・・)

 暗闇の世界の中で、堅は心の声をもらしていた。

(貴典や結衣のいる天国には逝けそうもないな・・・オレはたくさん傷つけてきたから・・・)

 思わず小さく笑みをこぼす。

(千草、ホントに悪かった・・・)

 闇に満ちていた彼の視界が開け、千草の顔が浮かぶ。

(泣いてる・・・確か死に際に、今までの思い出が走馬灯のように蘇るって聞いたことがある・・・)

 人生の終幕を感じながら、彼は死を迎える。そんな彼の耳に、千草の声が響いてくる。

「お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・!」

(千草・・・こんなにオレを呼んで・・・)

「お兄ちゃん、しっかりして!」

(千草?)

 繰り返される声に堅は疑念を抱いた。意識を覚醒させると、そこに千草は実在した。

 体を起こして周囲を見回す。そこは裏山の中にある竹林だった。

「お兄ちゃん、気が付いたんだね・・・」

 千草が満面の笑みを浮かべて、喜びを感じる。

「千草、まさか・・・お前が助けたのか・・・?」

 おぼろげな意識の中で、堅が千草にたずねる。彼女が頷くと、彼は歯がゆい思いを感じる。

「お兄ちゃん、どうして私から遠ざかるの・・・どうして舞衣さんたちを襲ったり、倒されようとするの・・・?」

 千草が沈痛の面持ちで問いかける。

「千草、オレは生きてちゃいけない人間なんだ。いや、そもそも人間でもないんだ・・・」

「知ってるよ・・・オーファンの記号を埋め込まれたんだよね・・・舞衣さんたちから聞いたよ・・・でもお兄ちゃんは、心を持った人間だよ!私やみんなに優しくしてくれるじゃない!」

「けどオレの中の憎しみが、いつみんなを傷つけるか分からないんだ。その前に、誰かに倒されたかったんだ・・」

「・・・お兄ちゃん、自分が怖いんだね・・・でも、私がそばにいるから。舞衣さんもなつきさんも、命ちゃんも。」

「ダメだ、千草!オレがいたら、お前が傷つくことになるんだ!」

「イヤッ!お願い!私の話を聞いて、お兄ちゃん!」

 悲痛になる堅に、千草は涙を浮かべてすがりつく。しかし堅の悲痛は消えない。

「ペガサスが死ねば、オレも消えて死ぬんだ!」

「・・・えっ・・・?」

 堅の叫びに、千草が疑いの眼差しを向ける。感情的になったことを悔やみながら、彼は落ち着こうと呼吸を整える。

「誰かに言われなかったか?HIMEであることを受け入れるとき、自分の1番大事なものを賭けることになるって。」

 低い声音で言う堅に、千草は小さく頷いた。

「チャイルドがHIMEの想いが形となったもの。もしも破壊されたら、その想いの相手が死ぬことになる。だから、ペガサスが死んだら、オレも道連れに・・・」

 堅が自分の胸に手を当てて語りかける。しかし千草はそれほど苦悩していなかった。

「やっぱり・・・何となく分かってたよ・・・」

「千草・・・」

「死ぬっていうのは命が消えるってことじゃない。想い、心、魂が消えるってことだよ・・HIMEの戦いって、まさにそれなんだよ・・・」

 物悲しい笑みを見せる千草。彼女は何となく、HIMEの力が何なのか感付いていた。

 彼女はその運命を受け入れながらも、それを認める気持ちと否定する気持ちの葛藤に悩まされていた。

「だから、お兄ちゃんがいなくなったら、私は生きてることにならない。お兄ちゃんがいるから、私もここにいるんだよ。」

「千草・・・」

 千草の言葉に戸惑う堅。千草は笑顔を作って、さらに続ける。

「考え方次第で、自分が誰かなんて簡単に変わっちゃうもんなんだよ。オーファンの力や憎しみに負けるかどうかは、自分自身・・お兄ちゃん自身なんだよ・・」

「自分、自身・・・」

「だからお兄ちゃん、自分を信じて。どうしてもダメって言うなら、お兄ちゃんを信じてる私を信じて。」

 堅の手を取り、自分の想いを込める千草。

「私も舞衣さんも、みんなお兄ちゃんを信じてるから・・・」

 千草の純粋な気持ちを受け取って、堅は心が安らいだように感じた。殺意に満ちて紅く染まっていた彼の瞳が元に戻る。

「オレの描いたシナリオを台無しにしてくれたな。」

 そのとき、竹林に鋭い声音が響き渡った。

「千草!」

 堅が千草を抱くようにして、彼女を守る。そこに氷の刃が飛び込んでくる。

 その刃が堅の左肩に突き刺さる。その激痛に顔を引きつらせる堅を目の当たりにして、千草が眼を疑う。

「お、お兄ちゃん・・・!」

「よかった・・・無事だったか・・・」

 愕然となる千草に、堅が笑みを見せる。その直後、彼はそのまま前のめりに倒れる。おびただしい血が彼の体から出てくる。

「お兄ちゃん!」

 たまらず叫ぶ千草。堅に刺さった氷を引き抜く。そこへ鋭い視線で彼女を見下ろすデルタの姿があった。

「もう茶番はここまでだ。オレを不愉快にさせた礼はさせてもらう。お前が死んでも、お前の想いとともに堅は死ぬことになる。」

 右手に黒い炎を灯して、デルタが千草に敵意を見せる。

 千草は堅を寝かせ立ち上がる。その面持ちからは静かな怒りが込められていた。

「許せない・・・あなただけは、絶対に許せない!」

 激情をあらわにする千草が、エレメントの短刀を握り締めて構える。

「ペガサス!」

 彼女の呼びかけで、金色の翼を羽ばたかせる天馬が姿を現す。彼女の心の影響を受けているのか、その雰囲気は荒々しい。

 2本の短刀の柄を合わせ、デルタに飛びかかる千草。デルタは振り下ろされた剣をかわし、左手に持っていた氷の刃を振りかざす。

 しかし千草の猛襲は止まらない。なりふり構わずに剣を振り下ろし、デルタを押していく。

「小賢しいマネを・・!」

 苛立ちを覚えたデルタは飛び上がり、千草とペガサスを見下ろす。

「この黒き炎、ブラックデルタは、力押しでは切り抜けられないぞ!」

 デルタが黒い右手を振りかざし、黒い炎を放つ。

「ペガサス!」

 天馬に乗った千草が剣を振りかざし、迫り来る炎の真っ只中に飛び込んでいく。剣を振りかざして、その炎を両断しようとするが、炎は彼女と天馬にまとわり付くように襲いかかってくる。

 それでも千草は止まらない。感情の赴くまま、想いの向かうまま、彼女とその想いは突き進んでいく。

「私はみんなを、この想いを守るために!」

 自分の想いを全て、振り上げる剣に込める千草。

「私は負けない!」

 振り下ろされた刃に光が宿り、黒い炎ごとデルタを一蹴する。

「何っ!?」

 驚愕を覚えるデルタが後退し、体勢を立て直す。彼にはもはや不敵な態度を取る余裕を失くしていた。

「あの娘・・想いが強くなっている・・・!」

 憤りを覚えて顔を歪める。

「ならば!」

 デルタは持てる力を解放し、黒い炎と白い冷気をかけ合わせる。相反する力が結合し、膨大な力となって発動される。

「これがオレの最大の力、ミックスデルタ!炎と氷の力の融合は、次元さえ脅かす絶対的な力となる!」

 神々しくまばゆい光を収束させ、デルタが向かってくる千草に狙いを定める。

「お前の兄と、お前の想いとともに消えるがいい、不知火千草!」

「ゴールデン・スマッシュ!」

 ミックスデルタを解き放つデルタ。千草の意思を受けて、ペガサスが金の角から光の矢を放つ。

 激しい轟音と唸りを上げて衝突する2つの光。しかしデルタの力に、天馬の矢が次第に押され始める。

(ダメ・・・このままじゃ負けちゃう・・・でも・・でも!)

 劣勢を感じながらも、負けることができない千草。さらに力と想いを注ぐが、力の優劣が揺らぐには至らない。

「千草ちゃん!」

 そこへ炎の球が飛び込み、デルタの力に叩き込まれる。

 攻撃を加えたのは舞衣の駆るカグツチだった。

 千草と舞衣の力に、優勢を強いていたデルタが押され出す。

「おのれっ!」

 ミックスデルタをはね返し、飛び込んできた光の矢を、デルタは回避する。憤慨の面持ちを見せ、千草、舞衣、なつき、命、碧を見下ろす。

「HIMEたちよ!お前たちの敗北が、お前たちに絶対的な絶望を与える!その絶望、オレが味あわせてくれる!」

 デルタは高らかと言い放ち、炎に紛れて姿を消した。

 安堵する舞衣たち。しかし千草は着地して、倒れている堅に駆け寄る。

「お兄ちゃん!お兄ちゃん、しっかりして!」

 千草が悲痛の叫びを上げながら、堅に呼びかける。しかし堅は反応を見せない。

 碧が深刻な面持ちで2人に駆け寄り、傷ついた堅の容態を見る。

「ひどい傷だけど、まだ息はある。急いで病院に連れて行ったほうがいいわ。」

「なら私が・・!」

「私が行きます!」

 堅を運ぶことを申し出ようとした舞衣の声をさえぎって、千草が申し出る。

「私のペガサスなら、早く病院まで行けます!それに、お兄ちゃんは私をかばって怪我したんですから・・・!」

 自分を守ろうとして傷ついた堅を見て、千草が歯がゆい思いを見せる。堅の体を担ぎ、そのまま天馬の背に乗る。

「ペガサス、行って!」

 千草の低い声音を聞いて、ペガサスが背の翼を羽ばたかせる。兄の無事を信じて、彼女は病院へと向かった。

 

 

次回

第24話「玖我なつき」

 

「私は、デルタと戦います。みんなの想いのために。」

「覚悟はもうできてるってわけか。」

「不知火堅!」

「けじめぐらいは、ちゃんとつけないとな。」

「私にもあの2人にも、今はやるべきことがある。」

 

 

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