仮面ライダーオメガ 第28話
世界を震撼させた巨大な事件。
この脅威を、光輝たちは他の世界からやってきた仮面ライダーたちとの共闘で打ち砕くことができた。
だが事件が終わりを迎えた後、事件に関与していた残党、スカルライダーが残っていた。
その暗躍を阻止するべく、光輝はオメガとなって戦っていた。
メガブレイバーを駆り、バイクに乗るスカルライダーたちと交戦する光輝。力で敵わず、スカルライダーたちは追い詰められつつあった。
「こんなところでやられてたまるか!」
「お前たちの企みは潰えた!もう悪巧みはやめるんだ!」
叫ぶスカルライダーに光輝が呼びかける。しかしスカルライダーたちは敵意を消さない。
迫ってくる1人のスカルライダーに対し、光輝はベルトの水晶を右手の甲にセットする。
「ライダーチョップ!」
すれ違い様に繰り出した光輝のメガスラッシャーを受けて、スカルライダーが爆発して倒された。だがその間に残りのスカルライダーは逃亡していた。
「逃げられた・・もう悪さをしないといいんだが・・・」
「また何か企んでくるかもしれない・・気をつけたほうがいい・・・」
言いかける光輝にメガブレイバーが答える。スカルライダーの出方を伺いつつ、光輝はひとまず出なおすことにした。
スカルライダーとの戦いを終えて、家に戻ってきた光輝。家ではヒカルが料理の勉強をしていた。
「おかえりなさい、光輝さん・・悪い人たちはどうなったのですか・・?」
「うん・・何人かやっつけたけど、それ以外は逃げられた・・・」
声をかけてきたヒカルに、光輝が肩を落としながら答える。
「あれ?くるみちゃんはお買い物?」
「はい。アルバイト先のお友達と出かけています・・」
光輝が訊ねると、ヒカルが微笑んで答える。
「もう少し待っていてください、光輝さん。もうすぐ出来上がりますから・・」
「ありがとう、ヒカルちゃん・・こういうときはヒカルちゃんとくるみちゃんに助けられてばかりだから・・・」
呼びかけてくるヒカルに、光輝が苦笑いを浮かべる。
「あ、そういえば手紙が来ていましたよ、光輝さん当てに・・」
「えっ?僕に?」
ヒカルの言葉を聞いて、光輝が疑問符を浮かべる。彼はリビングのテーブルに置かれている手紙を手にする。
「・・・この手紙、あのスカルライダーのものじゃ・・・!?」
「えっ・・・!?」
この手紙を目にしたとき、光輝が驚愕する。彼の声を聞いたヒカルも驚きの声を上げる。
「どういうことなんですか、光輝さん・・!?」
「分からない・・でもこのドクロと内容は、確かに・・・」
駆け寄ってくるヒカルに、光輝が気持ちを落ち着けようとしながら答える。手紙にはドクロをかたどったマークが記されていた。
“吉川光輝、オメガ、君の戦いと勇気には敬服する。しかし我々は諦めない。お前たちを倒すまで何度でも挑戦する。首を洗って待っているがいい。 スカルライダー一同”
「す、すごい文章ですね、この手紙・・・」
手紙の内容にヒカルが唖然となっていた。
「しかもこの手紙、住所まで書いてありますよ・・・」
「ホントだ・・もしかして、そこがアジト・・・」
ヒカルが言いかけた言葉に光輝が頷く。
「そこに行ってみるよ・・これ以上、スカルライダーに悪巧みをさせちゃいけない・・!」
奮起した光輝がスカルライダー撃破のために飛び出そうとした。だがそのとき、彼のおなかの虫がなり出し、空腹を訴えてきた。
「その前に食べていってください。腹が減っては戦いはできませんから・・」
笑顔を見せるヒカルに、光輝は苦笑いを浮かべた。
ヒカルの手料理を食して元気を取り戻した光輝。改めてスカルライダーとの戦いに向かうべく、家を飛び出した。
「今度こそ終わりにしよう、メガブレイバー・・」
「私もそう思う・・ここまでの連戦は久しぶりだ・・」
呼びかける光輝にメガブレイバーがぼやく。光輝はメガブレイバーを加速させて、スカルライダーのアジトを目指す。
彼はスカルライダーの迎撃を受けることなく、手紙に記されていた住所に行き着いた。
「おかしいな・・もう気付かれてもおかしくないはずなのに・・・」
疑問と困惑を隠せなくなる光輝。彼が訪れたのは古びた邸宅だった。
「ここで考え込んでも始まらない・・行くしかない・・・」
気持ちを引き締めて、光輝は邸宅に向かって歩き出す。罠が待ち受けているかもしれないと思い、警戒しながら近づいていく。
玄関の前に来た光輝は、そのドアのノブを軽く触れる。電流や熱線が仕掛けられているのではないかと思った彼だが、何も起きない。
そのノブをつかんで、光輝は音を立てないようにゆっくりとドアを開ける。開けた途端に襲撃してくるのではないかとも思ったが、その先に人の姿や罠はない。
「ホントに、どういうことなんだ・・・!?」
膨らんでいく疑問に困惑していく光輝。警戒心を強めたまま、彼は邸宅の中に足を踏み入れた。
そのとき、光輝の背後に人影が忍び寄ってきた。直後、後ろから殴られて、光輝が前のめりに倒れてしまう。
「し、しまった・・・!」
危機感を痛感する光輝が、倒れたまま意識を失ってしまった。
目を覚ました光輝は、台の上で磔にされていた。彼は不意打ちを受けて、邸宅の中に連れ込まれてしまったのだ。
「まさかこうも簡単にやってくるとはな・・」
そこへ哄笑を上げて、スカルライダーがやってきた。スカルライダーたちは磔にされている光輝を見下ろして、さらに笑みをこぼしていた。
「さすがはオメガ。さすがは仮面ライダーというところか・・だがオメガユニットがなければ、お前など大したことはない・・」
スカルライダーが言いかけると、光輝から奪っていたオメガユニットを掲げてきた。
「それはオメガ!?・・僕が気絶している間に・・・!」
「お前には最悪の結末を迎えさせてやる・・自分が今まで使い込んできたオメガの力で、不様に葬られるがいい・・!」
驚愕する光輝に、スカルライダーが高らかに言い放つ。だが他のスカルライダーたちが口を挟んできた。
「待て待て。オメガユニットを使うのはオレだ。これでこの小僧を・・」
「待て!それはオレの役目だ!オレがフィニッシュを決めてやる!」
オメガユニットを使って光輝を始末する役目を巡って、スカルライダーたちが言い争いを始め出す。その有様に光輝は唖然となる。
「お前、手柄を独り占めするつもりか!?」
「それはお前だろ!自分を棚に上げて!」
「邪魔するな!オレがオメガになるんだ!」
ついにオメガユニットの奪い合いを始めてしまったスカルライダーたち。彼らは光輝のことを完全に忘れてしまっていた。
(とにかくまずはこの状況を何とかしないと・・これじゃ手も足も出ない・・・!)
必死に打開策を模索する光輝だが、磔にされている彼は身動きが一切取れなかった。
そのとき、部屋の中にサイレンが鳴り響いてきた。それを聞いたスカルライダーたちが我に返り、モニターを映し出す。
モニターには、クリスに変身する太一の姿が映し出されていた。
「クリス!?」
「バカな!?ヤツはここから離れた場所にいたはずだぞ!?」
太一の登場に驚愕の声を上げるスカルライダーたち。一方が光輝が喜びを感じていた。
「何者かが連絡をしたというのか・・こうなったら、吉川光輝だけでも!」
「完全に自分を見失っているようだな、お前たちは・・」
いきり立って光輝にとどめを刺そうとしたスカルライダーに向けて声がかかる。彼らが振り向いた先には、ギガスに変身している一矢が立っていた。
「貴様、いつの間にここに!?」
「見張りは何をやっている!?」
たまらず声を荒げるスカルライダーたち。もはや彼らに冷静な判断はできなくなっていた。
「群れなければ戦えない君たちに、オレを止められるはずもないだろう?」
一矢が悠然とした態度でスカルライダーたちに言いかける。そこへ太一もスカルライダーたちを蹴散らして駆けつけてきた。
「太一くん!」
歓喜の声を上げる光輝を拘束している錠を、太一が力ずくに引き剥がす。体の自由を取り戻して、光輝が立ち上がる。
「無事だったみたいだね、光輝くん・・よかった・・・」
「こんなことで絶体絶命になるとは、見るに耐えないな・・」
太一が安堵の言葉を口にし、一矢が呆れてため息をつく。
「ありがとう、太一くん、一矢さん・・・これでまた僕も・・って、オメガのベルトはアイツらに取られちゃったんだった・・・」
「光輝くん・・・もう、僕がやるしかないじゃないか・・・」
オメガユニットを奪われたことを思い出して苦笑いを浮かべる光輝に、太一が呆れてため息をつく。その間にも、スカルライダーたちはいがみ合いをしたままだった。
太一がそんなスカルライダーに飛びかかる。冷静さを欠いていたスカルライダーたちは、簡単にオメガユニットを奪い返される。
「しまった!オメガユニットが!」
「光輝くん!」
声を荒げるスカルライダーたちの前で、太一が光輝にオメガユニットを投げる。受け止めたオメガユニットを身につけて、水晶を手にする。
「変身!」
水晶をベルトにセットして、光輝がオメガに変身する。
「仮面ライダーオメガ!」
高らかに名乗りを上げる光輝。力を取り戻した彼に、スカルライダーたちが危機感を膨らませる。
「オレに敵などいない。なぜなら、オレは無敵だから。」
「もう僕しか、未来を切り開けないんだ・・・!」
一矢が悠然と、太一が深刻さを込めて言いかける。3人の戦士を目の当たりにして、スカルライダーは危機感を隠せなくなっていた。
「もういい!オメガ、ギガス、クリス、ここを貴様らの墓場にしてくれる!」
「何を言う?ここが墓場になるのはお前たちのほうだよ・・」
いきり立ったスカルライダーたちに、一矢が悠然と言いかける。飛びかかってくるスカルライダーたちを、光輝たちが迎え撃つ。
多人数のライダーの入り乱れての大攻防が展開される。しかし力の差でスカルライダーたちが次々と撃退されていく。
「ち、力が違いすぎるというのか・・・!?」
「今さら言うことじゃないだろう?オレと対峙している時点で、お前たちの命運は尽きているんだ・・」
愕然となるスカルライダーたちに、一矢が淡々と言いかける。
「終わりだ・・お前たちの顔ももう見飽きた・・・」
一矢が低く告げると、スカルライダーたちに畳み掛ける。スカルライダーの1人が剣を振りかざすが、一矢によけられてその先のコンピューターを傷つけてしまう。
「しまった!基地が爆発するぞ!」
慌てて部屋を飛び出していくスカルライダーたち。光輝たちも続いて飛び出すと、部屋が爆発と炎に巻き込まれた。
炎上する邸宅から脱出したスカルライダーたちと光輝、一矢、太一。光輝たちは先回りし、スカルライダーたちの前に回り込む。
「鬼ごっこはいい加減に終わりにしようか・・」
一矢がスカルライダーたちに向けて淡々と呼びかける。3人の戦士に回り込まれて、スカルライダーが焦りを隠せなくなる。
「もうこれ以上、お前たちの勝手にはさせないぞ、スカルライダー!」
「おのれ!こうなればここで全てを終わらせてやる!」
光輝が言い放つと、スカルライダーたちがいきり立って飛びかかる。
善悪のライダーの一進一退の攻防。性能の面で、スカルライダーが優位に立つことはなかった。
「もういい加減にしてよ・・しつこいのはよくないと思うよ・・」
太一が不満を口にして、手にしたクリスカリバーに水晶を手にする。
「クリスストラッシュ!」
太一が放った光の刃がスカルライダーたちを吹き飛ばす。
「ギガブレイカー!」
一矢が繰り出した打撃が、スカルライダーを吹き飛ばす。追い詰められたスカルライダーたちの前に、光輝が立ちはだかる。
「数々の悪や企みを打ち破ってきた仮面ライダー・・彼らの正義がある限り、オレも戦い続けるんだ!」
決意を言い放つ光輝が、ベルトの水晶を右足の脚部にセットする。
「ライダーキック!」
飛び上がった光輝が、スカルライダーたちに向けてメガスマッシャーを繰り出す。この一蹴により、スカルライダーは全滅の末路を辿った。
(これで完全に、スカルライダーの企みを打ち砕くことができた・・・)
着地した光輝が、胸の中にある思いを呼び起こす。
(みなさんがいたから、オレもこうして戦い、自由と平和を守ってこれるんです・・・ありがとうございます・・仮面ライダー・・・)
これまで憧れ続けてきた仮面ライダー。その正義と勇気を改めて実感した光輝が、仮面ライダーに感謝を送った。
仮面ライダーの名に恥じない戦いを行っていく。光輝は終わりのない戦いを続けていくことを、改めて心に誓うのだった。
「やれやれ・・しばらくは骨を見る気にはなれないな・・・」
「もうあんなのとは会いたくない・・・」
変身を解除した一矢と太一が、憮然とした態度を見せていた。同じく変身を解除した光輝は、自身の決心を確かめていた。
「全てが終わったところで、すぐに帰らないと・・ヒカルちゃんとくるみちゃんが待ってる・・・」
光輝は言いかけると、急いで家に戻っていった。
スカルライダーたちとの戦いを終えて、光輝は家に帰ってきた。
「ただいま・・」
「もう、遅いじゃないのよ、光輝・・正義の味方もいいけど、心配してるこっちの身にもなってよね・・」
声をかけた光輝に、顔を見せたくるみが不満げに言いかける。
「ゴメン、くるみちゃん・・でもこれで、もうスカルライダーたちの脅威は去ったから・・・」
「ハァ・・・もういいわよ・・光輝が正義の味方なのは、今の始まったことじゃないし・・」
謝る光輝にくるみが呆れて肩を落とす。
「それより早くこっちに来なさい。ヒカルちゃん、腕によりをかけて料理作って、待ってるんだから・・」
「ヒカルちゃんが・・・!」
くるみの言葉を聞いて、光輝が喜びを見せる。彼がリビングに向かうと、ヒカルがテーブルに豪勢な料理を並べていた。
「おかえりなさい、光輝さん・・丁度できたところです・・」
ヒカルが光輝に笑顔を見せてきた。
「ありがとう、ヒカルちゃん・・あまり遅くならなくてよかった・・・」
「おなかがすいては何とかといいますからね・・冷めないうちに食べてくださいね・・」
笑みをこぼす光輝に、ヒカルが笑顔を見せて言いかける。その言葉に甘えて、光輝がテーブル席に着く。
「おいしい・・おいしいよ、ヒカルちゃん♪」
「そうですか・・嬉しいです、光輝さんのお口にあって・・」
笑顔を見せる光輝に、ヒカルも微笑んで喜ぶ。
「それじゃきちんと残さず食べないとねぇ・・頑張ってね、男の子♪」
そこへくるみが口を挟み、光輝が肩を落とす。するとヒカルとくるみが笑みをこぼし、光輝も苦笑いを見せた。
こうした笑顔や幸せを守るために、これからも戦い続ける。誓いを新たにして、光輝はこれからの戦いに備えるのだった。
光輝たちへの逆襲とクリスタルユニットの強奪を、幸介は虎視眈々と狙っていた。
(このままでは済まさないぞ、お前たち・・最後に全てを制するのはこの私だ・・・)
強い野心を胸に宿して、幸介は歩き出す。彼の猛威が、光輝たちに再び忍び寄ろうとしていた。