仮面ライダーオメガ -Spirits of Riders-
第11章
迫ってきた戦闘員たちを迎え撃つライダーたち。だがそこへ巨大な影が彼らに差し掛かった。
GODの大幹部、人型の巨大ロボット、キングダークである。
「おわっ!でっけーヤツが出てきやがったなー!」
大きくそびえ立つキングダークの姿に、良太郎が声を荒げる。
「オレに任せてくれ!大地の精霊よ、オレに力を貸してくれ・・・!」
前に出たJが意識を集中する。自然と大地の精霊の力を宿して、彼は巨大化「ジャンボフォーメーション」を果たした。
「また私の前に立ちはだかるか。何度来ようと私に返り討ちにされるだけということが分からんとは・・」
「大地の精霊がオレに力を与えてくれている!だからオレはお前には負けない!負けるわけにはいかない!」
キングダークが言葉を投げかけると、Jも強い意志を見せる。キングダークが両手からロケット弾を放つが、Jはものともせずに前進していく。
Jが繰り出したパンチを受けて、キングダークが後ろに押される。2人の動きのひとつひとつで、周囲が大きく揺れていた。
キングダークが目から破壊光線を放つが、Jが高くジャンプしてかわす。
「ジャンボライダーパンチ!」
精霊の力を宿したパンチを繰り出すJ。この一撃を受けてキングダークが怯んだ。
「今だ!一気にたたみかけるぞ!」
Jがキングダークに追撃を仕掛けようとした。だが突然彼が横から突き飛ばされた。
「何っ!?」
声を荒げるJが体勢を立て直して着地する。彼に突っ込んできたのは巨大なサイの怪物、エラスモテリウムオルフェノクだった。
「もう1体大きいのがいたなんて・・!」
「J1人だけではとても太刀打ちできない・・!」
映司と後藤がJのピンチに焦りの声を上げる。エラスモテリウムオルフェノクが連射した毒針をかわすJだが、キングダークが放った光線を受けて突き飛ばされた。
「ぐっ!」
追い込まれてうめくJ。さらにスカルライダーたちが集まり、巨大なスカルライダーとなった。
3体の巨大な敵を前に、Jや仮面ライダーたちは窮地に立たされていた。
「フィリップ、このままじゃオレたちが出し抜かれちまうぜ・・」
“そうだね・・僕たちが興味を持たれないのは感心しないね・・”
翔太郎の呼びかけにフィリップが答える。翔太郎の前に鳥型のガイアメモリ「エクストリームメモリ」が飛んできた。
“Extreme.”
エクストリームメモリがWドライバーにセットされると、翔太郎がまとうWの装甲の縦中央に銀のラインが入る。
Wの強化形態「サイクロンジョーカーエクストリーム」。エクストリームメモリにはフィリップの肉体がデジタル化されて入っているため、彼は通常以上に翔太郎との意識の共有を深めている。
「お前たちだけで戦いを進めるな。オレたちもやらせてもらうぞ。」
「生憎だな。そろそろ終わりにしようとしていたところだ。」
翔太郎がかけた声に、士が勝気な態度を見せる。
「だったら早速大技を出さないといけないな。」
“安い挑発で焦って・・君はどこまでいっても半熟卵だね、翔太郎・・”
先陣を切ろうとする翔太郎に、フィリップは呆れていた。
“Prism,Maximum drive!”
「プリズムの記憶」を宿したガイアメモリ「プリズムメモリ」をセットして、翔太郎がエネルギーとフィリップとのシンクロ率を極限にまで高めていく。
「オレも遅れを取るわけにはいかないな・・」
“Final attack ride Decade.”
士も負けじとベルトにカードをセットする。彼の目の前に10枚のカード状のエネルギーが出現する。
「ダブルプリズムエクストリーム!」
翔太郎とフィリップがエネルギーをまとって、士が10枚のカードを通って、それぞれのキックを繰り出す。
「その攻撃であろうと、私は倒れぬぞ!」
シャドウが剣を突き出して迎え撃つが、「ダブルプリズムエクストリーム」と「強化ディメンションキック」を跳ね返せず突き飛ばされる。
「がはっ!」
剣とともに跳ね飛ばされたシャドウ。地面に叩き落とされた彼だが、再び立ち上がってきた。
「フン・・さすがはディケイド・・世界の破壊者にふさわしい破壊力だ・・・そしてW・・2人で1人の仮面ライダーというだけのことはあった・・・」
シャドウが士と翔太郎、フィリップに向けて褒め言葉を投げかける。
「お前たちと戦えたこと、オレは誇りに思うぞ・・・」
シャドウが笑い声を上げながら倒れ、爆発を引き起こした。これでハイパーショッカーの大怪人、最強怪人が一掃されることとなった。
「やっと終わったか・・手を焼かされたな・・」
「だが最後に勝つのは、オレたち仮面ライダーたちだ・・」
淡々とした素振りを見せながらも、士も翔太郎も戦いが終わったことに安心を感じていた。それだけハイパーショッカーの幹部たちが手ごわかったことを示唆していた。
そこへ轟音が響き渡り、翔太郎たちが再び緊張を覚える。彼らの近くにJが倒れてきた。
「J!・・巨大な敵が3体も・・・!」
“これではJ1人ではさすがに敵わないね・・”
「のんきなことを言ってる場合じゃないだろ、フィリップ・・オレたちが助けに・・!」
“あんなに大きいもの、とても相手にできないだろう・・”
焦りを覚える翔太郎をフィリップが呼び止める。その間にもJはキングダーク、エラスモテリウムオルフェノク、スカルライダーに追い詰められていた。
「今度は大物のお出ましか。コイツらとも相手してやるか。」
マーベラスが強気に言いかけて、モバイレーツに「5501」と入力する。
“ゴーーカイガレオン!”
呼び寄せられた海賊船「ゴーカイガレオン」にマーベラスたち5人が乗り込む。ゴーカイガレオンが格納されていたマシン「ゴーカイジェット」、「ゴーカイトレーラー」、「ゴーカイレーサー」、「ゴーカイマリン」と合体と変形を行い、人型のロボットとなった。
「完成!ゴーカイオー!」
ゴーカイジャーのロボット「ゴーカイオー」がキングダークたちの前に降り立った。
「来い、豪獣ドリル!」
“発進!ゴージュードリル!”
鎧がゴーカイセルラーのボタンを押して、ドリルタンク「豪獣ドリル」を呼び出して乗り込んだ。豪獣ドリルが前方部のドリルを回転させて、エラスモテリウムオルフェノクに突進した。
顔面を傷つけられて絶叫するエラスモテリウムオルフェノクが毒針を連射する。すると豪獣ドリルもビーム砲「豪獣キャノン」で迎撃して撃ち落とした。
「ここからはオレたちが相手になってやる!」
ゴーカイオーを操縦するマーベラスが言い放つ。
「3対3となったから勝てるなどと思わないことだ。たとえ何人来ようと、お前たちは敗北する以外にない!」
キングダークが言葉を返して、両手からロケット弾を放つ。だがゴーカイオーはものともせずに前進し、キングダークに迫る。
「キングダーク様に近づけさせるか!」
そこへスカルライダーが飛び込み、ゴーカイオーに組み付いた。倒されるゴーカイオーだが、すぐにスカルライダーを突き飛ばした。
「割り込んでくるなんて卑怯じゃないかー!」
「上等じゃない。最初から正々堂々だなんて求めてないんだから。」
不満を口にするドンと気さくに振る舞うルカ。
「こちらの攻撃と行きましょう。」
アイムの言葉を投げかけて、レンジャーキーを手にする。するとゴーカイオーが変形して、侍を思わせる姿となった。
「完成!シンケンゴーカイオー!」
シンケンジャーのレンジャーキーによって、ゴーカイジャーは侍戦闘形態「シンケンゴーカイオー」となった。ゴーカイオーが巨大な長刀「ゴーカイナギナタ」を手にして構える。
ゴーカイオーがゴーカイナギナタを振りかざして、スカルライダーを横に突き飛ばした。スカルライダーが倒れたところで、キングダークがゴーカイオーに迫ってきた。
ゴーカイオーがゴーカイナギナタでキングダークをついて、巨大な烈火大斬刀に持ち替えた。
「ゴーカイ侍斬り!」
刀身に炎をまとった烈火大斬刀を振り下ろすゴーカイオー。この一撃を受けてキングダークが膝をつくが、倒れずに起き上がってきた。
「これを受けても倒れないとは、タフだな、ヤツは・・」
「それじゃ風雷丸、よろしく!」
ジョーが呟き、ルカがハリケンジャーのレンジャーキーをセットした。
「海賊と忍者ひとつとなりて、天下御免の手裏剣装備!」
上空の次元のトンネルから、1体のカラクリ武者が回転する巨大な手裏剣に乗って現れた。ハリケンジャーの力となっていた風雷丸である。
風雷丸がゴーカイオーと合体し、忍者戦闘形態「ハリケンゴーカイオー」となった。
「ハリケンゴーカイオー、推参!」
風雷丸が乗っていた手裏剣を手にしたゴーカイオーが、キングダークに向けて投げつける。手裏剣をぶつけられて、キングダークが押される。
「このような小賢しい攻撃、私には通用せぬぞ。」
キングダークが両手から強力なビームを放出する。ビームを当てられたゴーカイオーが、胴体から火花を散らして追い込まれていった。
「行くぞ!豪獣レックス!」
“ゴージューレックス!”
鎧の乗る豪獣ドリルが変形し、恐竜型ロボ「豪獣レックス」となった。
エラスモテリウムオルフェノクと豪獣レックスが突進し、力比べをする。エラスモテリウムオルフェノクが放った毒針を受けて押される豪獣レックスだが、ドリルのついた尻尾「豪獣レックスドリル」を振りかざして叩き付けた。
横転したエラスモテリウムオルフェノクが絶叫を上げる。
「よし!これでフィニッシュだ!」
“ゴージュージン!”
豪獣ドリルがさらに変形し、人型ロボ「豪獣神」となった。
「完成!豪獣神!」
豪獣神が起き上がったエラスモテリウムオルフェノクに、ドリルに変えた右手を突きつける。さらなるドリル攻撃を顔面に受けて、エラスモテリウムオルフェノクが絶叫を上げる。
「とどめだ!レンジャーキー、セット!」
鎧が3つのレンジャーキーをセットすると、豪獣神が分身として現れた豪獣ドリル、豪獣レックスとともにドリル攻撃を繰り出す。
「豪獣トリプルドリルドリーム!」
3形態のドリルの同時攻撃が決定打となり、突き飛ばされたエラスモテリウムオルフェノクが爆発に巻き込まれた。その中で胴体が灰と化し、完全に消滅した。
キングダークとスカルライダーの猛攻に、ゴーカイオーは押され気味になっていた。追い打ちを仕掛けようとしたスカルライダーだが、豪獣神が飛び込んで横から突き飛ばした。
「大丈夫ですか、みなさん!?」
「誰の心配をしてるんだ、鎧?そっちは終わったのか?」
心配の声をかける鎧に、マーベラスが質問を返す。
「あのサイみたいなのはやっつけました!後はあの2人だけです!」
「仕事が早いわね・・だったら協力して、こっちも早く終わらせるわよ。」
鎧が答えると、ルカが気さくに答える。
「来い、マッハルコン!」
マーベラスがまた新たなるレンジャーキーをセットした。
「バリバリー!」
次元のトンネルを突破して、ハヤブサをかたどったフォーミュラーカーが駆けつけてきた。ゴーカイジャーの味方となった炎神、マッハルコンである。
「レンジャーキー、セット!カンゼンソウル、セット!」
ゴーカイオーと豪獣神から金色の炎神ソウル「カンゼンソウル」が出現し、マッハルコンに装填される。ゴーカイオーが豪獣神、マッハルコンとの合体を果たす。
「完成!カンゼンゴーカイオー!」
3機の合体により、海賊の船長を思わせる風貌の完全戦闘形態「カンゼンゴーカイオー」が誕生した。
「ド派手に突っ走るぜ!」
「変形や合体をしてもムダだ!貴様もライダーたちも、ハイパーショッカーの前では敗北するしかない!」
言い放つマーベラスと、カンゼンゴーカイオーに向かっていくスカルライダー。だがカンゼンゴーカイオーの右手の「カンゼンドリル」を受けて突き飛ばされる。
「おのれ・・ジャンボスカルキック!」
苛立ったスカルライダーが飛び上がり、カンゼンゴーカイオーにキックを繰り出す。
「そんなものが通用するか!」
「ゴーカイカンゼンバースト!」
マーベラスが言い放ち、カンゼンゴーカイオーが左手を打ち出した。左手のパンチはスカルライダーのキックを弾き飛ばした。
「ぐっ!」
地上に落ちたスカルライダーがうめき声を上げる。
「よし、とどめだ!」
「レンジャーキー、セット!」
カンゼンゴーカイオーがスーパー戦隊の大いなる力を合わせて、左手を打ち出した。
「ゴーカイカンゼンスーパーバースト!」
大いなる力の集中攻撃がスカルライダーに命中。昏倒したスカルライダーが爆発を引き起こした。
「おのれ・・スカルライダーまでもが・・・!」
キングダークがカンゼンゴーカイオーに迫ろうとするが、Jが彼の前に立ちはだかる。
「見ず知らずの若者たちも戦ってくれた・・だからオレも負けるわけにはいかない!」
Jが決意を言い放ち、渾身のパワーを込めたパンチを繰り出す。この一撃を叩き込まれて、キングダークが大きく突き飛ばされる。
「オレには大地の精霊が、そして志を同じくする仲間が支えてくれている・・お前たちの企みはオレが、オレたちが止める!」
Jがキングダークを見据えて、大きくジャンプする。
「ジャンボライダーキック!」
Jが足に精霊の力を集中させて降下し、キングダークに叩き込んだ。キングダークが体から火花を散らしながら突き飛ばされ、激しく横転した。
「まさか真っ向勝負で・・ライダーに敗れるとは・・・だが、これで勝ったと思うな・・・」
キングダークが起き上がれないまま、Jに言葉を投げかける。
「ハイパーショッカーは決して滅びぬ・・仮面ライダー、お前たちは地獄に落ちるしかないのだ・・・」
声を振り絞ったキングダークが、体から電気を走らせ、爆発を引き起こした。Jとゴーカイジャーの活躍で、巨大怪人との戦いが終わりを迎えた。
仮面ライダーとゴーカイジャーの戦い。その様子を見ていた1人の青年がいた。
バスコ・タ・ジョロキア。かつてマーベラスとともに赤き海賊団の一員だったが、スーパー戦隊の大いなる力を求めて彼らを裏切った。今は宇宙猿、サリーを連れて独自に大いなる力を探している。
「また暴れ放題やっちゃって〜。マベちゃんったら、こっちには何のお宝もないってのにさ・・」
「その割には、君もここで時間をつぶしてるみたいだけど?」
気楽な態度を見せて呟いていたところで、バスコが声をかけられる。彼の前に現れたもう1人の青年。海東大樹。士の知り合いで、彼のように異世界を渡り歩いて、価値のある宝を求めている。
「過去の仮面ライダーになれる世界の破壊者と、過去の戦隊になれる宇宙海賊。悪くない組み合わせだとは思うけどね・・」
「そういう君も僕も、ライダーとスーパー戦隊を使っている者同士じゃない。ま、お互い悪いとは思ってないけどね・・」
「君たちが探している宇宙最大のお宝・・僕も興味があるよ・・」
「僕もライダーの力、いただきたくなってきたよ・・・」
大樹が取り出した銃にカードをセットし、バスコが目を赤く光らせる。
「変身。」
“Kamen ride Diend.”
大樹が空に向けて銃の引き金を引いて、青を基調とした装甲を身にまとい、バスコが赤い怪人の姿へと変わった。
「ディエンド」に変身した大樹と、アカレッドも恐れた姿となったバスコが対峙する。しかし2人とも笑みをこぼして、戦いをやめた。
「ここで僕たちがやっちゃっても、お互い何の得にもならないなぁ。そろそろ退散させてもらおうかな・・」
「僕もそう思ったところさ・・お互い、背中には気を付けることだね・・・」
互いに変身を解いたバスコと大樹。大樹は銃をしまって、バスコはサリーを連れてこの場を、この世界を後にした。
ハイパーショッカーは、幹部の大半を倒されることになった。それは仮面ライダーたちだけでなく、ゴーカイジャーの活躍もあった。
「ありがとう。君たちの力がなかったら、おそらくこの窮地を乗り越えることができなかっただろう・・」
「別に助けるつもりで戦ったわけじゃない。ただアイツらが気に入らなかっただけだ・・」
感謝の言葉をかける1号に、マーベラスが不敵な笑みを見せて答える。
「引き返そうとしたところをヤツらが邪魔した・・」
「だからやっつけたってだけ。ま、それなりに楽しませてもらったけどね。」
ジョーとルカも自分たちの考えを口にする。
「できれば仲良くしたかったのですが、仕方がなかったです・・・」
「おおー!仮面ライダーがこんなにもたくさん!みなさんとこうして会えて、自分、ものすっっごく感動感激です!」
アイムが残念そうに呟き、鎧が仮面ライダーたちを見回して喜びの声を上げる。
「そろそろ帰ろうよ・・ここにいつまでもいるのはよくないって・・!」
「そうだな・・いい加減に帰るか・・・」
ドンの言葉を聞いて、マーベラスがきびすを返す。彼らはゴーカイガレオンに乗って次元のトンネルをくぐり、自分たちの世界へと帰っていった。
「残るは光輝さんだけか・・何も悪いことがなければいいんだけど・・・」
光輝のことを気にかけて、映司は不安を感じていた。
蜂女と交戦する太一。蜂女が突き出してくる剣をかわしながら、太一がクリスセイバーで切り付けていく。
「僕はこういうのを早く終わらせたいんだ・・だから悪く思わないで・・・!」
太一が蜂女に言いかけると、ベルトの水晶をクリスセイバーの柄にセットする。蜂女がいら立ちを見せながら太一に向かっていく。
「クリスストラッシュ!」
太一が振りかざしたクリスセイバーから光の刃が放たれる。光の刃によって真っ二つにされ、蜂女が絶叫を上げて倒れて爆発を起こした。
「やっぱり強引な女性は好きになれないよ・・・」
太一は弱気な態度を見せて、ゆっくりと歩き出していった。
強靭な攻撃力と耐久力、両手の爪を振るうシュバリオンだが、一矢に逆にパワーで押し切られていた。
「お前程度にオレをどうにかできるわけがないだろう?そんなことも分からないとは・・」
「おのれ、ギガス・・このまま済ましは・・・!」
肩を落とす一矢に、シュバリオンがいきり立って飛びかかる。一矢がベルトの水晶を右足の脚部に移す。
「懲りないヤツだ・・」
一矢がジャンプしてシュバリオンに両足を突き出す。
「ギガスマッシャー!」
彼が繰り出した両足のキックが、シュバリオンの体に叩き込まれた。突き飛ばされたシュバリオンが体から火花を散らす。
「オレはまだ・・まだ戦えるぞ・・・!」
声を振り絞るシュバリオンだが、力尽きて爆発を引き起こした。
「戦えたとしても、オレに勝つことはできない・・この敗北で体に叩き込むことだな・・・」
強気な態度を崩さずに言葉を投げかける一矢。彼のところへ太一が駆け寄ってきた。
「そっちも終わったんだね・・・」
「当然だ。この程度の相手にオレが負けるわけがないだろう・・」
笑みをこぼす太一に、一矢が強気な素振りを見せる。
「オレが借りを返す相手は別にいる・・今、吉川光輝が戦っている・・・」
一矢が呟いて視線を移す。その先で光輝はシャドームーンに追い詰められていた。
「強い・・いや、それだけじゃなく、攻撃を全て読まれている・・・!」
「諦めろ。お前たちの命は、既に我が手中にある・・」
焦りを募らせる光輝に、シャドームーンが淡々と言葉をかける。打開の糸口を見出せないでいる光輝に、一矢と太一が並び立った。
「やはりオレが相手をしたほうがよかったな・・」
「僕もやるよ・・こういうのは早く終わらせたほうがいい・・・」
一矢が強気に、太一が不安げに言いかける。3人が水晶を脚部にセットして、同時にジャンプした。
「ライダーキック!」
「ギガスマッシャー!」
「クリススマッシャー!」
光輝たちが繰り出したキックだが、シャドームーンはベルト「シャドーチャージャー」からビームを放ちながらジャンプしてかわした。
「シャドーパンチ!」
シャドームーンが繰り出したパンチが一矢に命中する。一矢が突き飛ばされて横転する。
「シャドーセイバー!」
シャドームーンが長短2本の剣「シャドーセイバー」を手にする。太一がクリスセイバーを振りかざすが、この速い一閃を受け止めて、シャドームーンが太一に切り付けた。
「うっ!」
クリスの装甲が切り付けられて、太一がうめく。さらにシャドームーンに切り付けられて、太一は突き飛ばされる。
「一矢さん!太一くん!・・こうなったら・・・!」
光輝が危機感を募らせながら、メガブレイバーに駆け寄る。彼はメガブレイバーに乗せていた剣を手にした。
「いくらなんでも、これまでは見切れないはずだ・・・!」
光輝がベルトの水晶を剣の柄にセットする。するとオメガの装甲に変化が起こった。
オメガの赤い装甲の一部分に、金のラインが入っていく。光輝は剣「スピリットカリバー」の力によって、オメガの最強形態「スピリットフォーム」への変身を果たした。
「スピリットライダーが、お前たちの野望を打ち砕いてやる!」
「その姿になってもムダだ。お前たちは地獄に落ちる以外の末路はない。オメガ、私がこの手で引導を渡してやる・・」
立ち向かう光輝を迎え撃つシャドームーン。スピリットカリバーを振りかざす光輝だが、シャドームーンに攻撃をかわされ、さらにシャドーセイバーに防がれていく。
「どうした、オメガ?パワーアップしたお前の力はその程度か!?」
シャドームーンが反撃に転じ、シャドーセイバーで光輝を切り付けていく。オメガの装甲が切り付けられて火花が散る。
「どういうことなんだ・・スピリットフォームになっても、攻撃を当てることができない・・・!?」
「その姿も私は熟知している。攻撃が通用しないのは当然だ。」
驚きを隠せなくなっている光輝に、シャドームーンが言葉を返す。スピリットフォームさえも、シャドームーンのマイティアイによって見切られていた。
「負けられない・・この先にヒカルちゃんが、竜也くんがいるんだ・・・!」
光輝は諦めず、スピリットカリバーを地面に突き立ててから再びシャドームーンに立ち向かう。だがパンチもキックも全てかわされ、光輝は逆にシャドームーンの右手に首をつかまれる。
「つ・・強い力・・スピリットフォームでも、ダメージが・・・!」
シャドームーンの腕を払うことができず、光輝がうめく。彼はそのまま光輝を投げ飛ばした。
「ブラックサンをはじめ、全ての仮面ライダーを滅ぼす・・オメガ、まずはお前から葬り去る・・・!」
シャドームーンが再びシャドーセイバーを手にして、光輝に迫る。反撃の糸口を見出せず、窮地に追い込まれていた。
「地獄に落ちろ、オメガ!」
シャドーセイバーを光輝に向けて振り下ろそうとしたときだった。シャドームーンが突然横から突き飛ばされた。
「えっ・・!?」
突然のことに光輝は驚きを感じていた。横転したシャドームーンだが、すぐに起き上がってきた。
彼らの前にバイク「マシンマッシグラー」に乗って現れたのは、学ランとリーゼントといった不良を思わせる風貌の青年だった。
「君は・・・!?」
「何者だ、お前は・・・!?」
声を上げる光輝と、青年に声をかけるシャドームーン。すると青年が笑みを見せて名乗りを上げてきた。
「オレは如月弦太朗。天ノ川学園の生徒全員と、そして、仮面ライダー全員と友達になる男だ!」
「仮面ライダー・・それじゃ、君も・・・!?」
「初めて会うことになるけど、おめぇも仮面ライダーだな。ならおめぇも今からオレのダチだぜ!」
「弦太朗くん・・オレは吉川光輝。仮面ライダーオメガだ・・」
青年、弦太朗に握手の手を差し伸べる光輝。だが弦太朗が差し出した右手は握り拳だった。
「友情の印は、握手よりもグータッチだぜ。」
「なるほど・・」
弦太朗の言葉を受けて、光輝も差し出していた手を握る。2人は互いの拳を打ち合わせて、結束を分かち合った。
「さーて、オレも変身といくか!」
弦太朗がシャドームーンに振り返り、ベルト「フォーゼドライバー」のスイッチソケットをONにする。
“3,2,1...”
「変身!」
フォーゼドライバーの右側にあるレバーを引くと、弦太朗が装甲に包まれた。彼は白いロケットを思わせる姿の仮面ライダー「フォーゼ」に変身したのである。
「宇宙キター!」
弦太朗がX字に背伸びするようにして、高らかに叫んだ。
「お前も仮面ライダーだったのか・・・!」
「おうよ!オレは天ノ川学園の仮面ライダー部の仮面ライダーフォーゼだ!」
声をかけるシャドームーンに弦太朗が答える。しかし弦太朗がシャドームーンに対して気がかりなことを思い浮かべる。
「そういえばおめぇも仮面ライダーだよな?何で悪いヤツの味方してんだ?」
「我が名はシャドームーン。全ての世界を支配するため、邪魔者である仮面ライダーを全て葬り去る。」
疑問を投げかける弦太朗に、シャドームーンが淡々と答える。
「ムーン・・月・・おめぇ、名前に月が入ってんのに、やろうとしてることに全然夢も希望も感じねぇぞ・・」
弦太朗がシャドームーンに対して自分の考えを口にする。
「確かに本物の月は寒くて暗い。おめぇのその体と心みてぇにな・・だけどな、月に行こうとしてるヤツの夢と希望は、熱く燃えてるんだ!」
弦太朗がシャドームーンに向けて言い放ち、構えを取る。
「シャドームーン、この仮面ライダーフォーゼが、タイマン張らせてもらうぜ!」
「戯言を・・そこまで私の手にかかりたいというなら、望みどおりにしてやる!」
戦いを挑む弦太朗をシャドームーンが迎え撃った。