仮面ライダーオメガ -Spirits of Riders-
第6章
光輝の行方を追っていた竜也。人の姿のない道を歩く彼の前に、キバランが現れた。
「まだオメガを見つけられないでいるの?よかったら私が連れてきてあげようか?」
「ふざけるな。オレはオレの手で吉川光輝を見つけ出し、倒す・・邪魔をするならお前から叩き潰すぞ・・」
周りを飛び回るキバランに、竜也がいら立ちを見せる。しかしキバランは上品な振る舞いを崩さない。
「そうやって1人でやろうとしても、できることなんて限られてくるわ。少しぐらい誰かの世話になったらどう?」
「オレは偽りの正義を全て葬る・・お前たちもその連中の仲間だ・・その最大の象徴であるオメガ、吉川光輝を倒すことが、オレの最大の目的だ・・・!」
「やれやれ・・本当に強情なんだから・・でも、そういうガンコなところが、あなたの強さの理由にもなっているんだけどね・・」
「くだらない話をするな・・そんなにオレに倒されたいのか・・・!?」
キバランへの怒りを膨らませる竜也の頬に紋様が走る。それでもキバランは態度を変えない。
「私たちを倒しても消しても、私たちの存在は消えないわ。私はどの世界にとっても異空間にいる存在。どこにでもいるし、どこにもいない、おかしな位置づけにされているのよ・・」
語りかけるキバランを、竜也はドラゴンガルヴォルスに変身して右手を振りかざす。彼の打撃を受けて、キバランが霧のようにかき消えた。
「くだらない話をするなと、何度も言わせるな!」
「だからムダだって・・力任せにやっても通じないこともあるってことだよ・・」
怒鳴る竜也の耳にキバランの声が入ってくる。しかし彼女の姿はない。
「私は、私たち3姉妹は別の世界にいる。あの子もしっかりそばにいるわ・・」
「出てこい!逃げて隠れるとは卑怯だぞ!」
「だから言ってるじゃない。私たちはどこにでもいるし、どこにもいないって・・まるで空気みたいに、私たちはどこにでも存在しているってことよ・・」
怒鳴って赤い光をあふれさせる竜也に、姿を見せないキバランがさらに声をかけてくる。
「でもあなたの怒りの力は、最大になったら空気や空間さえも歪ませてしまう。でもオメガにも勝るとも劣らないその力を、あなた自身、その怒りのために制御できてない・・」
「黙れ!」
激高した竜也がエネルギーを放出させる。その膨大な力が、上空の空間を歪ませた。
あふれてくる力を抑えようとする竜也の姿は変化していた。全身からとげを生やした荒々しい姿に。
「オレはオレの敵を全て倒す!お前たちの言葉を聞き入れるつもりはない!」
叫び声を上げると、竜也は人間の姿に戻り、再び光輝の行方を追った。
「ホントにガンコだね。これはやられなきゃ分かんないって感じね・・」
再び姿を現したキバランが、竜也の態度に呆れていた。
どの世界からも隔離された異空間の中で、ヒカルは目を覚ました。彼女の周りの景色は、オーロラのように歪んでいた。
「やぁ。やっと目が覚めたか・・」
立ち上がったヒカルに、キバリンが声をかけてきた。キバルンも彼女たちのそばにいた。
「ここは、どこ?・・・光輝さんたちは・・・?」
「ここはあなたとあたしたちだけだよ♪その気になればすぐにオメガのところに行けるんだけどね♪」
ヒカルが疑問を投げかけると、キバルンが明るく答えてきた。
「会わせてください!光輝さんたちに今すぐ!」
「すぐにはムリだね。君をオメガに会わせるのは、海道竜也にオメガを会わせるときなんだから。」
呼びかけるヒカルにキバリンが強気に答える。
「正義と平和のために戦うオメガと、そのオメガに激しい怒りと憎しみを抱いている海道竜也。空間さえも歪めて壊してしまうかもしれない2人の巨大なパワーがぶつかり合ったら、どんなことになるんだろうね・・」
キバリンの言葉を聞いて、ヒカルは恐ろしい想像をした。
「どんなことになるのか楽しみで、今からワクワクしてきちゃうよ〜♪」
「そんな!・・空間が、世界が歪んで壊れたら。みんなは・・!」
「まぁ、無事じゃすまないことは間違いないね♪」
絶望感を覚えるヒカルに、キバルンが明るく答えていく。
「ダメ!すぐに2人が戦うのを止めないと!」
「せっかくここまで段取りしてきたのに、そんなことしたらもったいないじゃない・・」
声を張り上げるヒカルの前に、キバランが戻ってきた。
「仮にあなたが止めに行ったところで、オメガがあなたの言うとおりにして戦うのをやめたとしても、海道竜也は戦おうとするでしょうね。彼、思ってた以上にガンコだから・・」
「それでも・・それでもこのままじゃ・・・!」
「2人が戦って、どれだけの世界に影響が出るのか、私も興味が湧いてきているわ・・」
笑みをこぼすキバランたちに、ヒカルが悲痛さだけでなく怒りも感じていた。彼女の頬に異様な紋様が浮かび上がってきた。
「そういえばあなたもガルヴォルス、それもそのクイーンだったわね・・でもあなたがクイーンガルヴォルスになっても、状況は変わらないのよ・・」
キバランの言葉を受けて、ヒカルはクイーンガルヴォルスになるのを思いとどまる。
「ガルヴォルスの力は破壊の力。あなたがガルヴォルスになっても、世界の破壊を進めるだけよ・・」
「それもそれで楽しくなりそうだけどね♪」
「あなたでも他のライダーたちでも、オメガと海道竜也の対決は止められない。世界はムチャクチャになる以外にないってこと。」
キバラン、キバルン、キバリンがさらに呼びかけてくる。彼女たちの言葉に動揺を膨らませて、ヒカルはうずくまってしまう。
(光輝さん・・竜也さん・・やめて・・・!)
もうヒカルは、心の中で光輝と竜也に祈りを傾けることしかできなかった。
光輝、良太郎、侑斗に襲いかかってきたドラスの前に立ちはだかり、ディケイドに変身した士。彼は光輝たちと手を組んで、ドラスに戦いを挑もうとしていた。
「お前たちはヤツの注意を引け。オレが一気に片付ける。」
「ふざけるな。オレもヤツに攻撃を仕掛ける。オレをお前を認めているわけではない。」
指示を出す士だが、光輝は聞き入れようとしない。
「だったら勝手にやれ。オレもオレで勝手にやらせてもらう。」
開き直った素振りを見せて、士が「ソードモード」にした本型のアイテム「ライドブッカー」を構えて、ドラスに向かっていく。
「ディケイド・・世界の破壊者・・・」
ドラスがかぎ爪状の右手を振りかざして、士が振り下ろしたライドブッカーを受け止める。
「楽しくなりそうだね・・」
「悪いが悪い遊びは終わりだ。オレもアイツも暇じゃないんでな・・」
笑い声を上げるドラスに、士が強気な態度を見せる。
“Full charge.”
良太郎と侑斗がデンガッシャーとゼロガッシャーにエネルギーを集中させる。光輝もベルトの水晶を右手の甲部にセットする。
「行くぜ、オレの必殺技!」
良太郎が言い放って、侑斗とともにドラスに向かう。エネルギーを集めたデンガッシャーとゼロガッシャーが、ドラスの体に叩き込まれた。
“Final attack ride Decade.”
ドラスから離れた士がジャンプすると、彼の前に10枚のカード状のエネルギーが出現する。そのエネルギーをまとってのキック「ディメンションキック」が発動した。
「メガスラッシャー!」
同時に光輝が飛び込んで、エネルギーを集めたチョップを繰り出してきた。2人の攻撃が同時にドラスの体に叩き込まれた。
光輝たちの立て続けの攻撃を受けて、その激しい衝撃に襲われたドラス。苦痛を感じてふらついたものの、ドラスはまだ倒れていなかった。
「まだだよ・・まだ僕は負けてない・・・」
ドラスが全身から光線を放出してきた。光線が地面にぶつかって爆発が起こり、光輝たちが吹き飛ばされる。
「ぐっ!物騒なことをしやがるぜ、あのヤロー・・!」
倒れた良太郎がドラスの攻撃に毒づく。ドラスは右手を銃砲に変えて、エネルギーを集める。
「これでみんな吹き飛ばせば、僕の勝ちだね・・」
「そうはさせないぞ!」
だがそのとき、ドラスの右腕にロープが巻きつけられて、銃砲を上に向けられる。銃砲からビームが放たれ、上空で爆発が起こった。
「V3キック!」
さらにドラスにキックが叩き込まれた。ふらついて後ろに下がるも、ドラスはすぐに右腕に巻き付いているロープを振り払う。
光輝たちを助け、ドラスの前に現れたのは、仮面ライダーV3、風見志郎とライダーマン、結城丈二だった。
「大丈夫か、君たち!?」
「はい、大丈夫です!ありがとうございます!」
呼びかけてくるV3に、光輝が感謝の言葉をかける。
「お兄ちゃんたちも、僕の遊び相手になってくれるんだね・・」
「ネオ生命体・・実験を繰り返して生み出された生物・・・!」
笑みをこぼすドラスに、ライダーマンが声を振り絞る。
「命を弄ぶお前たちを、オレたちは許してはおかないぞ!」
「命・・よく分からないよ・・・」
V3が怒りの言葉を言い放つが、ドラスはその意味を理解していない素振りを見せる。ドラスは重力に逆らうように空中に上昇してきた。
「みんなやっつけるからね・・そうすれば僕が1番だ・・」
「そんなことはさせないと言っている!」
そこへまたも新しい仮面ライダーが現れた。ドラスが飛び上がった空から。
「スカイキック!」
「クリススマッシャー!」
ドラスにキックを命中させてきたのは、スカイライダー、筑波洋と太一だった。太一は上空から光輝たちを探していたところで、スカイライダーと出会ったのである。
スカイライダーと太一のキックを受けて、ドラスが地上に叩き落とされる。
「太一くん!・・太一くんだけで来たのか・・・?」
「うん・・光輝くんのことが心配で、僕だけで来たら、あの人と会ったんだ・・」
光輝が声をかけると、太一が事情を説明する。
「翔太郎さんたちはあの電車に戻るって・・他のみんなと合流しているはずだよ・・」
「そうか・・みんな集まって、ハイパーショッカーとの全面対決をしようと考えているんだね・・」
太一の言葉を聞いて、光輝が納得して頷いた。
「オレたちのことも忘れてもらっては困るぞ。」
そこへ現れた2人の仮面ライダー。それは仮面ライダースーパー1、沖一也と仮面ライダーゼクロス、村雨良である。
「スーパー1、ゼクロス、君たちも来ていたのか・・」
「できれば全員合流してハイパーショッカーに立ち向かいたいところだが、君は君の戦いに向かうのだろう、光輝くん?」
声をかけてきたスカイライダーに頷いてから、スーパー1が光輝に問いかけてくる。光輝が頷くと、ゼクロスが彼の肩に手を乗せてきた。
「自由と正義のために戦うならそれで構わないが、何が正義なのかを見誤るな。くれぐれも怒りと憎しみに囚われるな・・」
「分かっています・・そのことを伝えたい相手が、オレにはいます・・・」
ゼクロスの言葉に頷く光輝。
「だったら急いだほうがいい。みんなのためにも、自分自身のためにも・・」
そこへまた新たに、龍騎、城戸真司とキバ、紅渡が駆けつけてきた。
「君が戦っているのは、大切な人を助けて守るためでもあるんでしょう?だったら絶対に助けないと・・」
「ありがとう、そう言ってくれて・・・でも、みんなが・・」
渡に呼びかけられて感謝を覚えるも、光輝は良太郎たちの心配をする。
「オレたちのことは気にしなくていい。どんな相手でも、絶対に負けたりしない・・!」
真司も光輝に呼びかけて、ドラスを見据えて構える。他の仮面ライダーたちもドラスに立ち向かおうとしていた。
「ありがとう、みんな・・だったらすぐにでも行かないと・・・!」
「僕も行くよ、光輝くん・・光輝くんだけに行かせられない・・・」
決意を口にする光輝に太一も呼びかけてくる。
「弱虫で臆病だった僕に勇気をくれたのは君だ・・だから僕も、君を助けるために頑張るよ・・」
「太一くん・・ありがとう・・一緒にヒカルちゃんを助けて、竜也くんを止めよう・・」
太一の気持ちを受け止めて、光輝が頷いた。
「メガブレイバー!」
「クリスレイダー!」
光輝と太一の呼びかけを受けて、メガブレイバーとクリスレイダーが駆けつけてきた。
「メガブレイバー、この戦いは、今までの中で最も厳しいものとなるだろう・・力を貸してほしい・・」
「私はどこまでもあなたとともにいますよ、光輝・・君がオメガであり続ける限り・・・」
光輝が呼びかけると、メガブレイバーが切実に答える。
「ありがとう、メガブレイバー・・・行くぞ!」
光輝がメガブレイバーに乗って、ヒカルと竜也を探しに走り出した。太一もクリスレイダーに乗って光輝に続いた。
「さあて、オレたちもこっから本腰入れるぜ。クライマックスの中のクライマックスだぜ!」
良太郎が言い放ってドラスに向かっていく。ドラスが右肩からのレーザーで良太郎を狙撃して突き飛ばすが、スーパー1と渡が続いて攻撃を仕掛ける。
スーパー1の拳法と渡の鋭い攻撃を受けて、ドラスが徐々に押されていく。
“Sword vent.”
真司が左腕に装備されている「ドラグバイザー」にアドベントカードをセットして、出現した剣「ドラグセイバー」を手にする。彼はドラスに詰め寄って、ドラグセイバーで切り付けていく。
「衝撃集中爆弾!」
ドラスの後ろに回り込んでいたゼクロスが放った「衝撃集中爆弾」が、ドラスに命中して爆発を起こす。
「今だ!」
スーパー1が呼びかけて大きくジャンプする。
「ウェイクアップ!キバっていくぜ!」
キバがベルトにセットされているキバットバット3世がウェイクアップフエッスルをくわえて、渡のパワーをアップさせる。彼の背景が三日月の浮かぶ夜に変わる。
「スーパーライダー月面キック!」
空中で型を決めて、スーパー1がドラスに向けてキックをぶつける。怯んだドラスに、渡が続けてキックを叩き込んだ。
大きなダメージを受けて、ドラスが膝をついた。
「よっしゃ!オレがフィニッシュを決めるぜ!」
良太郎がとどめを刺そうとデンガッシャーを構えた。
だがそのとき、ドラスの周囲に突然爆発が起こり、良太郎たちがとっさに後ろに下がる。
「これ以上の勝手にはさせぬぞ、仮面ライダーたち・・」
ドラスを助けて良太郎たちの前に現れたのは死神博士だった。
「死神博士・・お前が出てくるとは・・!」
ライダーマンが死神博士を見据えて構える。
「数多くの仮面ライダーが集結してきているようだが、我々にとってそのほうが好都合。一網打尽にして、まとめてお前たちを葬り去ってくれるぞ・・」
「そうはいかないぞ!お前たちの企みは、オレたちが打ち砕いてやるぞ!この手で必ず!」
不気味な笑みを見せてくる死神博士に、V3が決意を言い放つ。しかし死神博士は笑みを消さない。
「それはどうかな・・ドクガンダー、ザンジオー、サイ怪人!」
死神博士に呼ばれて、毒蛾の怪人、ドクガンダーと山椒魚の怪人、ザンジオーとゴルゴムのサイ怪人が姿を現した。怪人たちに良太郎たちの相手を任せて、死神博士はドラスを連れて姿を消した。
「おい、コラ!逃げるな、卑怯者!」
良太郎が叫ぶが、彼らにドクガンダーたちが襲いかかってきた。
「どけ!邪魔だ、お前ら!」
良太郎が迎え撃とうとするが、ドクガンダーが毒の鱗粉をまき散らしてきた。
「下がれ!あの鱗粉を浴びるのは危険だ!」
スーパー1に呼びかけられて、良太郎が後ろに下がる。
「こうなったら一気に吹き飛ばす!」
“Strike vent.”
真司が呼びかけてカードをドラグバイザーにセットして、右手に龍型の武器「ドラグクロー」をセットする。彼の構えに合わせて、出現した赤い龍「ドラグレッダー」が炎の球を放つ。
炎の球は毒の鱗粉を吹き飛ばして、ドクガンダーに命中した。強烈な炎の攻撃を受けて、ドクガンダーは大きなダメージを受けた。
そこへサイ怪人が突っ込んで、真司に向かってきた。
「サイにはあんまりいい思い出がないんだよね・・・!」
“Final vent.”
真司が呟きながら、さらにアドベントカードをセットする。ドラグレッダーと一緒に大きくジャンプして、彼は上空からキックを繰り出した。
突進を龍のキックに打ち負けて、サイ怪人が吹き飛ばされて倒された。怪人を撃破して着地した真司が、ドクガンダーに振り返った。
そのとき、泡状になって地面の上を移動して、ザンジオーが真司の後ろに姿を現した。
「しまった!」
不意を突かれた真司に襲いかかろうとしたザンジオー。だがゼクロスが放った十字手裏剣を当てられて、ザンジオーが怯んだ。
「そこから離れろ!」
ゼクロスは真司に呼びかけてからジャンプして、左腕を右ななめ下、右腕を右ななめ上へ伸ばすポーズを空中で取って、エネルギーを集中させた。ザンジオーがゼクロスに向けて炎を吐き出す。
「ゼクロスキック!」
ゼクロスがその炎を突き破って、ザンジオーにキックを叩き込んだ。突き飛ばされたザンジオーが力尽きて倒れて、爆発を引き起こした。
2体の怪人を倒されて、自分もダメージを受けて、ドクガンダーは危険を感じて良太郎たちの前から逃げようとした。
そのとき、ドクガンダーが突然鋭い爪に切り裂かれて息絶えた。ドクガンダーを倒した人物は、怪人のような姿をしていたが、スカイライダーたちは彼が仲間であることを知っていた。
彼らの前に現れたのは仮面ライダーシン、風祭真である。
「シン、来てくれたのか・・」
「また怪人たちが命を弄ぶ行動をしていたのでな。倒していたらここでお前たちに会っただけだ・・」
V3が声をかけると、シンは冷淡に言葉を返してきた。
「他のみんなも集まってきている・・あなたも来てくれますか・・?」
「いいだろう・・お前たちも命を守るために戦っているからな・・」
渡の呼びかけにシンが答えた。ヒカルと竜也のことを光輝と太一に任せて、良太郎たちは1度デンライナーに戻ることにした。
1度デンライナーが停車している場所の近くに戻ってきた、翔太郎たち。仮面ライダーたちも続々と集結していた。
「こんなに集まって・・ホントにすごいです・・」
「それでもまだ全員ではない・・それでも、もしもハイパーショッカーとの全面対決に突入しようとも、オレたちは立ち向かうことになるだろう・・」
仮面ライダーの多さに驚く映司に、1号が真剣に言いかける。
「これが世界の英雄となっている、仮面ライダーたちか・・」
ライダーたちの姿を見回して、後藤が呟きかける。
「くるみさん・・本当に無事でよかった・・・」
くるみを心配して戻ってきた一矢だが、くるみは意識を取り戻していた。
「ヒカルちゃんを連れて行かれたのはショックだけど・・今は光輝を信じるしかない・・・」
光輝を信じることしかできないことに、くるみは切なさを感じていた。自分が行動を起こしてもヒカルや光輝を助けられないことを、彼女は痛感させられていた。
「吉川光輝の考えに賛成するつもりはないが、くるみさんが望むなら助けに行ってもいい・・」
「そういう意地悪なことは言わないの!」
強気な態度を見せる一矢が、くるみに顔面を殴られる。顔を押さえて痛がるも、一矢は笑みを崩していなかった。
「とにかく、オレとくるみさんの敵は、オレが退治してやる。オレという越えられない壁があることを教えてな・・」
強気な態度を続ける一矢に、くるみは呆れて肩を落としていた。
「ほとんどの仮面ライダーが集まったようだな・・」
そこへ声がかかり、映司たちが振り返る。彼らの前にゾル、ブラック将軍、地獄大使が現れた。
「お前たち・・こうも早くお前たちが出てくるとはな・・!」
「貴様ら仮面ライダーの力と厄介さは、我々も熟知している。これだけの数になれば、その力もさらに手を焼かされることになるだろう・・」
「だが逆に貴様たちをいっぺんに始末できれば、我々の全世界の支配も早く遂行できるというもの・・」
ゾルと地獄大使がライダー打倒の野心を口にする。
「戦力の規模が大きいのはこちらも同じ。全員まとめて、お前たちを処刑してくれる!」
ブラック将軍も映司たちに言い放つ。するとハイパーショッカーに属したショッカー戦闘員、クライシス帝国のチャップ、ワームのサナギ体、マスカレイドドーパント、屑ヤミーが続々と出現してきた。
「本当に数で攻めてくるか・・厄介だな、これは・・」
「だが量よりも質だ。あのような連中をかき集めたところで、オレたちに勝てるはずもない・・」
一真と総司が戦闘員たちを見つめて呟きかける。
「それはどうかな?」
そのとき、死神博士とジャークも映司たちの前に現れた。2人の後ろにはアポロガイストやシャドウ、北崎たち怪人たちも集結していた。
「仮面ライダーよ、お前たちを我らの支配のために、栄えある人柱としてくれようぞ・・」
「そうはいかないぞ!世界は全て、その世界に生きる全ての生き物のものだ!」
淡々と言いかけるジャークに、光太郎が鋭く言い返してきた。
「全ての世界はオレが、オレたちが守る!ハイパーショッカー、お前たちの企みは、オレたちがここで粉砕するぞ!」
もう1人の光太郎も決意を言い放ってきた。過去と現代の2人の光太郎が、それぞれ変身ポーズを取る!」
「変・・身!」
「変身!」
2人の光太郎がそれぞれBLACKとRXに変身する。
「かかれ、お前たち!」
ブラック将軍の命令で、戦闘員たちが映司たちに襲いかかってきた。
「変身!」
“Cyclone,Joker!”
“Accel.
“タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タトバ・タ・ト・バ!”
翔太郎、竜、映司、後藤がW・サイクロンジョーカー、アクセル、オーズ、バースに変身して、1号たちとともに戦闘員たちを迎え撃つ。数で攻め立てる戦闘員たちだが、映司たちのパワーと動きに太刀打ちできず、次々に攻撃されて撃退されていく。
「数ばっか増やして、鬱陶しいヤツらだ・・」
次々に押し寄せてくる戦闘員たちに、巧が不満を口にする。
「やはり戦闘員では数を多くしてもムダのようだな・・」
「だったら僕が遊ぶことにするよ・・」
死神博士が呟いたところで、北崎が前に出てきた。
「みんな僕がやっつけるから・・邪魔しないでよね・・・!」
目つきを鋭くした北崎が、ドラゴンオルフェノクへと変身する。彼は狙いを総司に向けて襲いかかってきた。
「それなりの強さのヤツが来たか・・だがオレの勝利は変わらない・・」
爪を振りかざしてきた北崎を、総司が強気に迎え撃つ。だが総司は北崎に徐々に力で押されていった。
「勝手なマネをするヤツがいるとは・・」
北崎の独断専行にジャークが不満を感じていた。だが地獄大使は笑みを浮かべていた。
「いいではないか、ジャークよ。行動や考え方に問題はあるが、ヤツもライダーを始末しようとしていることに変わりはない・・」
「そうだな・・ライダーたちをこのまま一網打尽にするには、そのような行動を見逃すのもやむをえまい・・」
地獄大使の言葉にジャークが答える。
「ならば私に任せていただこう。」
そこへアポロガイストが現れて、ジャークと地獄大使に声をかけてきた。
「仮面ライダー打倒、私のこの手で進めてみせよう・・アポロチェンジ!」
アポロガイストが人間の男の姿から赤い鎧のような怪人の姿に変身した。前進した彼は銃「アポロショット」と縦「ガイストカッター」を手にして、映司と後藤、Xに迫った。
「Xライダーとの因縁もあるが、オーズ、バース、厄介なお前たちもこの手で処罰してくれる!」
「うわ、鎧みたいなのがやってきましたね・・・!」
「オレとお前も鎧みたいな姿をしていないとは言えないけどな・・」
アポロガイストの姿を見て、映司と後藤が呟きかける。アポロショットを構えるアポロガイストの前に、ライドルスティックを手にしたXが立ちふさがった。
「アポロガイスト、この世界でも支配を企んでいるのか・・・!?」
「Xライダー、貴様との因縁、どこまでも続くようだ・・だが勝利を収めるのは私のほうだ!」
アポロガイストがアポロショットを発砲するが、その弾丸をXはライドルスティックを振りかざして弾き飛ばす。
「気をつけろ、2人とも。ヤツは実力はあるが、やり方は卑怯だ。」
「卑怯か・・ならばなおさら許してはおけない敵ですね!」
Xの呼びかけを受けて、後藤がバースバスターを手にする。アポロショットの弾丸とバースバスターのセルメダルが激しくぶつかり合う。
「甘いぞ!ガイストカッター!」
アポロガイストが刃を出したガイストカッターを、ブーメランのように投げつけてきた。その刃をぶつけられて、後藤が突き飛ばされて、バースの装甲から火花が散る。
「後藤さん!・・普通に戦っても手ごわい・・・!」
声を上げる映司が、Xと交戦するアポロガイストを見据える。彼はメダジャリバーを手にして、Xに加勢する。
「甘い!」
アポロガイストがとっさにXをアポロショットの射撃で突き飛ばし、ガイストカッターでメダジャリバーで受け止めた。さらにアポロガイストはアポロショットで映司を撃っていく。
「ぐあっ!」
「映司くん!」
突き飛ばされた映司にXが声を上げる。
「覚悟はいいか、ライダーたち?お前たちも、我々の世界支配によって裁きを受ける他ないのだ。」
「そいつはどうかな!?」
強気に言い放つアポロガイストに向けて声がかかった。突然飛び込んできた射撃に気付いて、アポロガイストはとっさにガイストカッターを構えて射撃を防いだ。
良太郎と士がアポロガイストの前に現れた。士の持つガンモードのライドブッカーが、アポロガイストを狙ったのである。
「ディケイド、電王・・貴様らも現れたか・・・!」
「お前には大分世話になったな・・だけどそれも今度で終わりだ。オレが終わらせてやる・・」
身構えるアポロガイストに、士が淡々と言いかける。
「おいおい、オレのことも忘れてもらっちゃ困るぜ・・」
「オレたちもお前たちの企みを打ち砕いてやるぞ!」
良太郎とゼクロスがアポロガイストに向けて言い放つ。全面対決に打って出たハイパーショッカーを、歴代の仮面ライダーが迎え撃とうとしていた。