仮面ライダーオメガ&電王 Past of Justice
第5章
一矢と太一に次々と襲いかかるイマジンたち。しかし一矢は全く追い込まれていなかった。
「お前たちにムダな時間を取るわけにはいかない。これで終わりにさせてもらう・・」
一矢は悠然と言いかけると、ベルトの水晶をギガシューターにセットする。ギガシューターの銃口にエネルギーが集まる。
「ギガブラスター。」
ギガシューターから閃光が放たれ、イマジンたちを一掃していく。太刀打ちできないと本能的に思い知ったイマジンたちが、次々と一矢の前から逃げ出していった。
太一に襲いかかってきていたイマジンたちも、クリスセイバーを構える彼の前では歯が立たなくなっていた。
「いい加減にしてほしいよ・・お前たちに襲われて迷惑しているんだから・・・」
太一がベルトの水晶をクリスセイバーの柄にセットする。クリスセイバーの刀身にエネルギーが集まる。
「クリスストラッシュ!」
太一が振りかざしたクリスセイバーから光の刃が放たれ、イマジンたちをなぎ払っていく。巻き起こる爆発を見ながら、太一が肩の力を抜く。
「こんな大勢の相手、もうしたくないよ・・・」
「オレにとっては1人だろうと大勢だろうと関係ないがな・・」
不満を口にする太一と、勝気な振る舞いを崩さない一矢。
「光輝くんは大丈夫かな・・・?」
太一が光輝の心配をしたときだった。
ドラゴンイマジンと交戦していた光輝が、一矢と太一の前に吹き飛ばされていた。
「光輝くん!?」
驚きの声を上げる太一。起き上がる光輝に、ドラゴンイマジンが近づいてきた。
「やはりその程度か・・オメガだろうと電王だろうと、私を止めることはできない・・・」
不敵に言い放つドラゴンイマジン。精神エネルギーを消耗し、光輝は立ち上がるのもやっとの思いだった。
「たとえ敵わない相手だとしても、諦めるわけにはいかない・・諦めたら時間が、世界が壊れてしまう・・・!」
「ムダだ。どうあがいても、私を止められない・私の力で、時間は崩壊へと向かうのだ!」
声を振り絞る光輝をドラゴンイマジンがあざ笑う。
「そんなことはさせない・・オレがいる限り、お前たちの好きにはさせない・・・!」
「往生際が悪いぞ。主の怒りを受けたことで、私の力は何者にも勝るものへと跳ね上がった。私に壊せないものなどない。私こそが最高の存在なんだ!」
諦めない光輝をさらにあざ笑うドラゴンイマジン。
「最高の存在というのは聞き捨てならないな・・」
そこへ声をかけてきたのは一矢だった。
「ギガスか・・だがお前たちでも私には・・」
「そんなこと関係ないよ・・僕が君を倒して、元の時代に変えることに変わりはない・・」
言葉を返すドラゴンイマジンに、太一が続けて声をかける。
「あんまりおかしなことをしないでほしいよ・・ゴチャゴチャしたのはイヤだから・・・」
「ゴチャゴチャしてはいない。時間が崩れ、世界も崩れる。単純明快ではないか・・」
不満を口にする太一に、ドラゴンイマジンが悠然と言葉を返す。
「お前たちもここで葬ってやる・・電王とゼロノスも後を追わせてやる・・」
「オレは負けない・・過去も未来も、仮面ライダーオメガが守る!」
迫ってくるドラゴンイマジンに対し、決意を言い放つ光輝。世界だけでなく、世界の時間を守るために彼は戦おうとしていた。
良太郎と侑斗の必殺技の連携を直撃されたはずの竜也。だが竜也は倒れず、さらに怒りと力を膨らませていた。
「オレは終わらせる・・偽善から生まれる悲劇を・・そしてこの朽ち果てた世界を塗り替えて、本当の平和を取り戻す・・・!」
声を振り絞る竜也に、良太郎と侑斗が緊迫を覚える。
「ここまで力が上がるものなのか・・・!」
歯がゆさを見せる侑斗。その直後、竜也がスピードを上げて飛びかかり、良太郎と侑斗を押しこんでいく。
「こ、これは・・!?」
「脱出できない・・何というパワーとスピード・・・!」
声を荒げる良太郎と侑斗。竜也の勢いのある突進を受けて、2人が大きく突き飛ばされる。
大きなダメージを受けて、良太郎と侑斗が電王、ゼロノスへの変身が解除される。同時に良太郎の体からジークが抜け出てしまった。
「こ、これは本当にまずいぞ・・・!」
「これだけやっても止まらないなんて・・・どうしたらいいんだ・・・」
打つ手を見出せなくなり、侑斗も良太郎も絶望に打ちひしがれる。竜也が怒りを見せたまま、2人にゆっくりと近づいてくる。
「もうやめるんだ・・・こんなことをして・・関係ない人たちまで巻き込んで・・君は心が痛まないの・・・?」
「では愚か者はどうなんだ!?・・・自分のためなら他のヤツを平気で切り捨てて傷つけて・・そんな愚か者を潰さなければ、世界は朽ち果てたままになってしまう・・・!」
呼びかける良太郎だが、竜也の怒りは頑なだった。
「オレは愚か者を滅ぼす・・そしてこの悲劇を終わらせるんだ!」
怒りの叫びを上げる竜也から、エネルギーが衝撃波のようにあふれ出してきた。思うように動けなくなっていた良太郎と侑斗が、大きく吹き飛ばされることとなった。
ドラゴンイマジンのパワーは増すばかりだった。一矢と太一を相手にしても、彼の優勢に変わりはなかった。
「ここまで力が上がっている・・しかもその力、まだまだ上がっているとはな・・・」
「しかも暴走していない・・本当に厄介だよ・・・」
一矢と太一が苦言を呈する。仰向けに倒れた光輝の体を、ドラゴンイマジンが踏みつける。
「これでも分からないのか?お前たちが力を合わせても、私には勝てない・・」
「勝てないと言われて、諦めるつもりはない・・・ここでオレが倒れたら、世界はムチャクチャになってしまう・・平和も、時間も・・・!」
声と力を振り絞って立ち上がろうとする光輝だが、ドラゴンイマジンの足を振り払うことができない。
「悲しみも苦しみも、始まりがなければないのと同じ・・私たちイマジンがしていることは、オメガ、お前の言う正義と同じではないのか?」
「違う!・・・オレの正義は、破壊ばかりをもたらすものではない・・・!」
ドラゴンイマジンの言葉に、光輝が声を振り絞って言い返す。
「壊すことばかりでは平和は取り戻せない・・壊すことよりも、守ることのほうが強く尊い・・・!」
「だが破壊をもたらす私の力に、お前たちはこうして追い詰められている・・このような不様では、お前の言っていることはただの戯言にしかならない・・」
「戯言ではない・・オレの正義も、良太郎くんたちが守り続けている時間も・・・!」
あざ笑ってくるドラゴンイマジンに対し、光輝が意識を集中する。ベルトにある水晶に輝きが宿る。
「メガフラッシャー!」
精神エネルギーを光に変えて放出する光輝。放たれた閃光に押されて、ドラゴンイマジンが後ずさりする。
「おのれ・・まだそんな力が残っていたとは・・・!」
毒づくドラゴンイマジンを見据えたまま、光輝がゆっくりと立ち上がる。
「壊されてたまるか・・・世界も、自由も平和も、それらから生まれる時間も!」
「やれやれ。お前の正義への頑固さにはいつも呆れる・・」
決意を言い放つ光輝の隣に、一矢が出てきた。太一も遅れて2人に並ぶ。
「でも、それが光輝くんなんだ・・光輝くんの夢は本物・・こうして僕が戦っているのも、光輝くんと出会えた瞬間があったからこそだ・・・」
「一矢さん・・太一くん・・・」
自分の心境を打ち明ける太一に、光輝が喜びを感じる。
「あのイマジンたちを倒したことは褒めておこう。だが結局は私の手駒にすぎないということだ。束になっても・・」
「しつこいぞ!何度も同じことを言わせるな!」
さらに悠然と言い放つドラゴンイマジンに、光輝が言い返す。
そのとき、轟音とともに良太郎と侑斗が吹き飛ばされてきた。
「光輝くん、侑斗くん!?」
倒れ込んできた2人に光輝が声を荒げる。さらに竜也が彼らの前に姿を現した。
「竜也くん・・・良太郎くんたちでも止められないのか・・竜也くんの怒りは・・・!」
暴走する竜也に光輝が歯がゆさを覚える。
「主か・・怒りでさらに力を上げたか・・・」
ドラゴンイマジンが竜也に視線を向けて呟きかける。
「いいだろう・・全員まとめて私が葬ってやるぞ・・」
「そうはさせない!その前にお前を倒す!」
良太郎たちにも牙を向けるドラゴンイマジンの前に立ちはだかり、光輝がベルトの水晶を右足の脚部にセットする。一矢、太一も同様に水晶をセットする。
「ライダーキック!」
「ギガスマッシャー!」
「クリススマッシャー!」
3人が同時に飛び上がり、精神エネルギーを集中させたキックを繰り出す。ドラゴンイマジンもエネルギーを発して、3人攻撃を迎え撃つ。
「3人の同時攻撃がその程度か!」
ドラゴンイマジンのパワーに押されて、光輝たちが吹き飛ばされる。激しく横転する3人の変身が解除される。
「何という力・・・3人の力を合わせても、あのイマジンも止められないというの・・・!?」
ドラゴンイマジンのパワーに危機感を覚える光輝。だが彼は諦めず、力を振り絞って立ち上がる。
「これだけの攻撃を受けてもまだ立ち上がるか・・・」
「何度でも立ち上がるよ・・たとえこの体が砕け散っても、僕は戦う・・・自由と平和に戦う、仮面ライダーなんだから・・・!」
感心の声を上げるドラゴンイマジンに、なおも立ち向かおうとする光輝。
「そうだよね・・仮面ライダーがどういうのかはよく分かんないけど・・・」
良太郎も起き上がって微笑みかけてきた。
「今はモモタロスたちの力を借りることはできないけど・・みんなの時間を守るために戦うことはできる・・こうして僕が勇気を持つことができたのは、モモタロスたちと出会えたからと思っている・・・」
語りかける良太郎が、これまでの自分が歩んできた時間を思い返していく。
「何にだって始まりがある・・始まりは大切な出来事になくてはならないもの・・その始まりを、壊させるわけにはいかない・・・」
「オメガだけでなく、お前も強情なのだな、電王・・だがお前たちに、私を止めることだけの力すらない・・」
自分の気持ちを口にする良太郎をもあざ笑うドラゴンイマジン。
「たとえ力がなくても、オレたちには強い心がある・・自由と平和、時間を守ろうとする正義と勇気は、どんなに力の強い相手にも負けない・・・!」
光輝が決意を言い放ったときだった。メガブレイバーがハナを乗せて走り込んできた。
「ハナさん・・・!」
ハナの登場に良太郎が驚く。メガブレイバーは彼女だけでなく、2本の剣を乗せていた。
「スピリットカリバー」。精神エネルギーを増幅させるオメガ専用の武器。精神エネルギーとオメガクリスタルを駆使して、光の刃を放つこともできる。
「デンカメンソード」。電王である良太郎に新たなる変身と力を与える電王専用の武器。電王の4つのフォームの電仮面が組み込まれており、モモタロスたちの憑依が行われなくても彼ら力を借りることができるようになる。
「まだ諦めていなくてよかった・・メガブレイバーも、光輝さんにこれを渡したいと言ってきてね・・」
ハナは声をかけて、光輝と良太郎にスピリットカリバーとデンカメンソードを渡す。
「ありがとう、ハナさん・・これで僕は頑張れる・・・」
「これが終わったら、また“ミルクディッパー”に立ち寄らせてよね。あそこのコーヒーをまた味わいたいし・・」
感謝の言葉をかける良太郎に、ハナが笑顔を見せる。
「僕のこの戦い・・最初は夢だけでしかなかった・・でもみんなとの出会いがあって、オメガとの出会いがあって、僕はこうして戦っている・・・」
スピリットカリバーを受け取った光輝が、オメガとして戦ってきた自分を思い返していく。
「辛いことも悲しいこともあった・・後悔も、こんなことがなければとも思ったこともあった・・・でも、こうしてみんなを守っていることを大切に思っている・・・だから、過去を消させはしない!未来を壊させはしない!」
言い放つ光輝が、ベルトの水晶を取り出す。良太郎もライダーパスを手にする。
「変身!」
“Liner form.”
光輝が水晶をスピリットカリバーに、良太郎がデンカメンソードの刀身にライダーパスをセットする。
光輝が変身したオメガは、赤い装甲の一部分に金のラインが入っており、ところどころに違いも見られる。良太郎が変身した電王も、他のフォームとは異なる形状となっていた。
オメガの最強形態「スピリットフォーム」と、電王の新形態「ライナーフォーム」である。
「行くぞ、イマジン!世界の時間はオレが、オレたちが守る!」
「うん!行くよ、光輝くん、みんな!」
言い放つ光輝と良太郎。2人がスピリットカリバー、デンカメンソードを構えて、ドラゴンイマジンに向かっていく。
「電王もオメガも、今まで以上のパワーを出してきたか・・・!」
ドラゴンイマジンが呟いて、光輝の突撃をかわす。さらに良太郎が振りかざしてきたデンカメンソードを、手にしていた剣で受け止める。
「ぐっ!」
だが良太郎のパワーに押されて、ドラゴンイマジンがうめく。そこへ光輝がパンチを繰り出し、ドラゴンイマジンは左手で受け止める。
「まさか、ここまで強さが増すとは・・・!」
危機感を覚えたドラゴンイマジンが、光輝と良太郎を突き放す。だが2人はすぐに態勢を整え、すぐさま反撃に出る。
再び距離を取って、ドラゴンイマジンがエネルギーを放射する。この攻撃で光輝と良太郎は突撃を阻まれる。
「手強い・・だが、それでも・・・!」
光輝は怯むことなく、ドラゴンイマジンが立て続けに放ってきたエネルギーを迎え撃つ。
「スピリットフラッシャー!」
精神エネルギーを光に変えて放出する光輝。放たれた閃光が、ドラゴンイマジンのエネルギーを相殺する。
その直後、良太郎がドラゴンイマジンに飛びかかってきた。彼が全力で振り下ろしてきたデンカメンソードが、ドラゴンイマジンの胴体に命中する。
「ぐっ!・・この程度のことでいい気になるな、お前たち!」
追い込まれながらも、ドラゴンイマジンが剣を突き出す。その突きを受けて、良太郎が押されて倒される。
「良太郎くん!」
光輝が続いて飛び出し、ドラゴンイマジンに両手を突き出す。踏みとどまろうとするドラゴンイマジンに、光輝がさらに攻撃していく。
「誰にだって、何にだって始まりはある!その始まりを消すことなど、絶対に許されない!」
「では怒りや憎しみを消すことが間違っているというのか?主のような者が生まれてもいいと?」
言い放つ光輝にドラゴンイマジンが問い詰めてくる。
「怒りや憎しみが生まれても、乗り越えることができる!オレは、竜也くんも必ず自分の怒りを乗り越えられると信じている!」
「戯言をほざくな!信じて怒りを乗り越える!?笑わせるな!」
信頼を込めた光輝の言葉に、ドラゴンイマジンがついに声を荒げる。
「オレは信じ続けてきた!それで太一くんは勇気を持てた!みんなが人の心を取り戻してくれた!」
「光輝くん・・・」
光輝の言葉に太一が戸惑いを覚える。
「どんなに信じても報われないこともある!だが、信じ続けることは、決してムダではない!」
光輝がドラゴンイマジンの右腕をつかみ、勢いを乗せて背負い投げをする。地面に叩きつけられるドラゴンイマジンだが、すぐに横転して光輝から離れる。
「だがこの怒り、お前の言う信じる心でも消すことはできない!お前は主を止めることは絶対にできない!」
「やってみせる!たとえ不可能に近くても、オレは絶対に諦めない!信じることも、竜也くんの暴走を止めることも!」
ドラゴンイマジンに言い返す光輝が、右手に意識を集中させる。
「スピリットライダーパンチ!」
精神エネルギーを集中させて、光輝が必殺技「スピリットブレイカー」を繰り出す。この一打を受けて、ドラゴンイマジンが大きなダメージを負って、押された後に膝をつく。
“良太郎、こっちは準備OKだぜ!クライマックスで行けよ!”
良太郎の心に、デンライナーにいるモモタロスの声が響いてきた。
良太郎がライナーフォームとなっている今、デンライナーにいるモモタロスたちは、食堂車内にある回転椅子に待機している。回転椅子はデンカメンソードのモードや技に連動して回転する。
「ありがとう・・・行くよ、モモタロス・・・!」
モモタロスに呼びかけて、良太郎がデンカメンソードを構える。伸びてきたレールの上を滑るようにして、彼はドラゴンイマジンに向かっていく。
「電車斬り!」
エネルギーを集めたデンカメンソードを、ドラゴンイマジンに向けて振り下ろす良太郎。必殺技「デンカメンスラッシュ」がドラゴンイマジンに命中する。
良太郎の攻撃の威力を抑えきれず、ドラゴンイマジンが倒れる。
「良太郎くん・・やった・・やったね・・・」
光輝が良太郎に喜びの声をかけてきた。
「うん・・モモタロスたちだけじゃなく、光輝くんも一緒だったから・・・」
感謝を見せる良太郎に、光輝も頷きかけた。
「まだだ、野上、吉川!」
そこへ侑斗が声をかけてきた。再び緊張感を覚えた光輝と良太郎の前で、ドラゴンイマジンが起き上がってきた。
「何てヤツだ・・・!」
「あれだけの攻撃を受けても、まだ立ってくるなんて・・・!」
声を荒げる光輝と良太郎。2人が構えを取った瞬間、ドラゴンイマジンが放ったエネルギーを受けて突き飛ばされる。
「許さん・・このままにしておいてたまるか・・・!」
怒りを爆発させるドラゴンイマジンから、紅いオーラがあふれ出てきていた。
「私の全ての力を使って、お前たちを消滅させてやる!2度と私の前に現れないように、存在すら消してやる!」
「くそっ!やはりアレをやるしかないのか・・・デネブ!」
この戦況を見かねた侑斗がデネブを呼び出し、赤いカードを取り出した。
「変身!」
“Zero form.”
カードをベルトに差し込んだ侑斗。彼が変身した姿は、これまでのゼロノスとは違っていた。
アルタイル、ベガの2フォームと異なり赤銅色を基調としており、アルタイルフォームの全ての能力を上回っている。
同時にデネブも銃へと姿を変えて、侑斗の右手に握られる。
ゼロノスの最強形態「ゼロフォーム」。デネブが変形したのは「デネビックバスター」である。
「最初に言っておく!オレはかーなーり、この上なく強い!」
デネビックバスターの銃口をドラゴンイマジンに向けて、侑斗が高らかに言い放つ。そして侑斗はデネビックバスターの引き金を引き、ドラゴンイマジンに発砲する。
デネビックバスターから放たれる弾丸は速く連射も可能で、ドラゴンイマジンに立て続けに命中して動きを止める。
「このような小賢しいマネをしたところで!」
だがドラゴンイマジンは弾丸の群れを振り切って、侑斗に飛びかかる。彼が振り下ろしてきた剣を、侑斗がデネビックバスターを掲げて受け止める。
力押しをしてくるドラゴンイマジンだが、侑斗は踏みとどまる。
「身軽な姿をしていながら、パワーもあるようだな!」
侑斗の戦闘力にドラゴンイマジンが声を荒げる。ベガフォームに劣るものの、ゼロフォームはドラゴンイマジンに力負けしていなかった。
ドラゴンイマジンが振り上げた剣を再び侑斗に振り下ろした。そこへ光輝が飛び込み、スピリットカリバーでドラゴンイマジンの剣を受け止める。
「オレはまだ倒れてはいないぞ!」
光輝が力を振り絞って、ドラゴンイマジンを剣ごと押しのける。彼に引き離されて、ドラゴンイマジンが後ろに下がる。
「余計なことをしてくれる・・だが、とりあえずは礼を言っておくぞ・・」
「うん・・ありがとう、侑斗くん・・・」
互いに感謝の言葉をかける侑斗と光輝。良太郎も2人に駆け寄って、ドラゴンイマジンを見据える。
「そろそろ終わらせないと・・これ以上、過去の世界の被害を増やしたらいけない・・・!」
光輝がスピリットカリバーを構えて、ドラゴンイマジンに立ち向かおうとする。
そこへ竜也が光輝たちとドラゴンイマジンの間に割って入ってきた。
「竜也くん・・・!?」
竜也の乱入に光輝が身構える。だが竜也は光輝たちではなく、ドラゴンイマジンに目を向けてきた。
「ヤツは許してはおかない・・オレのこの手で倒す・・邪魔はさせない・・・!」
竜也が声を振り絞り、ドラゴンイマジンを鋭く見据える。
「何を言っているんだ・・お前だけで敵う相手でないことは、お前も分かっているだろう!」
「お前から先に倒されたいのか・・・!?」
侑斗が苦言を呈するが、竜也に鋭く言い返される。言い寄ろうとする侑斗を、光輝が右手を差し出して制止させる。
「吉川・・・!」
「もしもみんなに被害をもたらすなら、オレは君の邪魔をせざるを得ない・・君を倒してでも、オレは平和と時間を守る・・・」
侑斗の前で、光輝が竜也に忠告を送る。しかし竜也は聞き入れる様子を見せない。
「何度も言わせるな・・オレはオレの戦いをする・・・!」
竜也は鋭く言いかけると、ドラゴンイマジンに向かって歩き出す。
「お前から私に倒されたいようだな、主・・・」
「お前はオレの敵・・自分なら何をしても許されると思い上がっている時点で、お前はオレとは全く違う存在だ・・・!」
あざ笑ってくるドラゴンイマジンに、竜也が敵意をむき出しにする。
「強情だな・・そこまで言い張るなら、見事私を倒してみるか!?」
「倒す!なぜなら、お前も世界を壊す愚か者だからだ!」
互いに言い放ち、同時に飛び出すドラゴンイマジンと竜也。2人が振りかざした剣がぶつかった瞬間、激しい轟音が鳴り響いた。
「なぜ止めた、吉川!?このようなことを、みすみす見逃すのか!?」
侑斗が怒鳴り声を上げるが、光輝は竜也とドラゴンイマジンの戦いを見守り続けていた。
「あのイマジンは竜也くんの怒りと心が生み出したものだ・・だから、これは竜也くんが決着をつけたほうがいいかもしれない・・」
「光輝くん・・・」
語りかける光輝に、良太郎が戸惑いを覚える。
「僕たちがあのイマジンを倒しても、竜也くんの心は救われない・・竜也くんが倒すことで、彼が自分の過去を乗り切る・・そう思ったから、オレは竜也くんにやらせることにしたんだ・・・」
「そうだね・・自分のことは自分自身で乗り切ったほうがいいよね・・・」
光輝の考えに良太郎が頷く。彼も竜也へ信頼を寄せていた。
「まったく・・お前たちには本当に呆れるぞ・・」
侑斗が光輝と良太郎に呆れた素振りを見せる。エネルギーを消耗していたドラゴンイマジンは、竜也に追い込まれていた。
「バカな・・私の力は主の怒り・・主が怒りを増せば、私も力を増す・・その私が、主に負けているなど・・・!」
「オレはお前のような思い上がったヤツを倒す・・それ以外の結末など、オレは認めない・・・!」
焦りを膨らませていくドラゴンイマジンに、竜也がさらなる怒りを見せつけていく。
「私はお前の平和を取り戻すことができる!愚か者の始まりがなければ、お前が朽ち果てた世界に苦しむこともなくなる!その平和を、お前は自らの手で握りつぶそうというのか!?」
「お前たちの見せる偽物の平和など、オレは認めない・・オレはオレの手で、本当の世界の正しさを導き出してやる・・・!」
ドラゴンイマジンの言葉をはねつけて、竜也が両手に力を込める。彼が繰り出す両手が、次々とドラゴンイマジンに叩き込まれていく。
「認めないぞ・・このような劣勢、私は認めない!」
「認めていないのはオレのほうだ!オレはお前のような存在など、絶対に認めるものか!」
互いに憤慨するドラゴンイマジンと竜也。竜也が剣を構えて、ドラゴンイマジンに向かって走り込んでいく。
「真正面から来るか!ならば木端微塵にしてやる!」
ドラゴンイマジンも両手にエネルギーを集めて迎え撃つ。竜也は踏みとどまったり横に動いたりすることなく、なおも前進していく。
竜也が突き出した剣に両手を突き出すドラゴンイマジン。彼は竜也の剣を叩き折ったと確信していた。
だが、竜也の剣はドラゴンイマジンに突き刺さっていた。
「バカな・・・!?」
「何度も言わせるな・・オレはお前を倒すと・・・!」
驚愕するドラゴンイマジンから、竜也が剣を引き抜く。決定打を受けて、ドラゴンイマジンが後ずさりする。
「これだけの力を持ちながら・・その力が通じないとは・・・!」
「それが、お前がオレに倒される最大の理由だ・・・!」
愕然となるドラゴンイマジンに、竜也が低い声音で言いかける。彼はドラゴンイマジンに剣の切っ先を向ける。
「これでとどめだ・・お前を倒し、オレは本当の世界の平和を取り戻す・・・!」
「認めん・・・こんなことが、あってたまるか!」
激昂したドラゴンイマジンが持てる力を暴走させてきた。不意を突かれた竜也が、ドラゴンイマジンの打撃を受けて突き飛ばされる。
「こうなれば、時間をつなぐ時の電車を破壊してくれる!」
「何だとっ!?」
怒号を放つドラゴンイマジンに侑斗が声を荒げる。ドラゴンイマジンは力を振り絞って、世界、時間を震撼させていた。