仮面ライダーマックス
第37話「ハートを裂かれる絶叫!」
ジンキの命令に逆らって、ノゾムをかばって光の球を受け止めたゴロウ。
「がはぁっ!」
ジンキが大きなダメージを負って、力尽きてその場に倒れる。
「ゴロウさん!」
ノゾムが叫んで、ゴロウを支える。彼らの元へツバキたちが駆けつけた。
「ノゾム・・ゴロウさん・・!」
ツバキがノゾムたちを目の当たりにして、動揺を隠せなくなる。
「ゴロウさん、しっかりしろ!すぐに病院に連れていくからな!」
「ノゾムくん・・君が・・みんなが、こんな戦いをしていたなんて・・・」
呼びかけるノゾムに向かって、ゴロウが声を振り絞る。
「お父さん・・今はしゃべらないで!すぐに安全なところへ・・!」
「タイチ・・・すまない・・みんなが大変なことに巻き込まれているのに・・僕は何も知らなくて・・・」
タイチも呼びかけて、ゴロウが力を振り絞って手を伸ばす。
「ゴロウさん・・・!」
ツバキもゴロウを見つめて動揺を深めていく。
「オレがアイツらをブッ倒す!みんなはゴロウさんを連れて早く行け!」
ノゾムが呼びかけて、ジンキたちに目を向ける。そのとき、ノゾムはジンキが再び光の球を放ってきた。
「何度もやらせるか!」
ノゾムが叫んで、エクシードスマッシャーを振りかざして光の球を切り裂いた。
「終わりだよ、お前たちは!」
その瞬間、ララがノゾムたちに向かって飛び込んできて、右手を突き出してきた。
「危ない!」
ゴロウが立ち上がって、ノゾムたちを守ろうとする。ララの爪が彼女の体に突き刺さった。
「父さん!」
タイチが叫んで、倒れるゴロウを支える。
「お・・お前たち!」
ノゾムが怒号を放って、全身に力を入れた。彼はララに一気に詰め寄って、エクシードスマッシャーを連続で振りかざす。
「キャアッ!」
ララが体を切りつけられて、大きく突き飛ばされた。彼女は体に激痛を覚えて、倒れた直後に悶絶する。
「おのれ、神奈ノゾム・・これまでか・・!」
ジンキが毒づいて、この場から離れようとする。
「逃げるな!」
ノゾムがジンキに一気に詰め寄って、エクシードスマッシャーを振りかざす。ジンキがとっさに闇を広げて、ノゾムの視界をさえぎろうとする。
「誰が逃げていいって言った!」
ノゾムが手を伸ばして闇をかき分けて、その先のジンキの腕をつかんだ。
「ぐっ!」
腕を握られてジンキがうめく。ノゾムがエクシードスマッシャーを振りかざして、ジンキの体を切りつける。
「いい気になるな、愚か者が!」
ジンキも激高して、全身から黒い光を放つ。マックスのスーツから火花が散るが、ノゾムは攻撃をやめない。
「私は全ての支配者だ!お前たちに倒されるわけにはいかないのだ!」
「どこまでも思い上がって!そうやって何でもやれると思うな!」
怒号を放つジンキとノゾム。ノゾムがエクシードスマッシャーを突き出す瞬間、ジンキが黒い光を放出して彼の手を振り払う。
黒い光が爆発を起こして、ジンキとノゾムがその衝撃で押される。
「社長!」
ビートルビースターたちがジンキに駆け寄って、彼を連れて離れる。他のスタッグビースターたちが、ノゾムを食い止めようと飛びかかる。
「これ以上、社長には手出しはさせない!」
「お前たちも残らず叩きつぶしてやる!
妨害しようとするスタッグビースターに怒鳴って、ノゾムがエクシードスマッシャーの画面にオオカミのアイコンを表示した。
“ウルフスマーッシュ!”
ノゾムがエクシードスマッシャーを振りかざして、一気にビースターたちを斬りつけて一掃した。しかしジンキとララ、他のビースターたちは逃走して姿を消していた。
「逃げるな!逃げられると思うな!」
ノゾムがジンキたちへの怒りが治まらず、その場の地面を強く踏みつけた。その衝撃で一瞬地面が揺れた。
「ノ、ノゾムお兄ちゃん・・すごい力・・・!」
ワタルがノゾムの力を実感して動揺する。
「父さん!父さん、しっかりして!」
タイチがゴロウを支えて、必死に呼びかける。
「タイチ・・ノゾムくん・・・僕・・みんなを守ることができたんだね・・・」
「ゴロウさん、生きるんだ!これからまたみんなで暮らしていくんだから!」
微笑みかけるゴロウに、ノゾムも駆け寄って呼びかける。
「ありがとう、ノゾムくん・・僕は、みんなと一緒に過ごせて・・とても幸せだったよ・・・」
ノゾムたちに自分の思いと感謝を口にするゴロウ。
「みんな・・本当に・・ありがとう・・・」
笑みをこぼしたゴロウが脱力して動かなくなった。
「父さん!?・・父さん!」
「ゴロウさん!」
タイチとノゾムがゴロウに向けて悲痛の叫びを上げる。彼らを守って、ゴロウは命を落とした。
「そんな!ゴロウさんが、こんなことになるなんて!」
ワタルもゴロウを見つめて悲しんで、涙を流す。
「どうして・・どうして僕たちやゴロウさんがこんな思いをしなくちゃならないんだ・・僕たちは、何も悪いことはしてないのに!」
タイチが理不尽への怒りを感じて叫ぶ。彼らの中でこの怒りと悲しみを感じていたのは、ノゾムだった。
「エックスビース・・オレは、お前たちの存在を認めない・・・オレがどこまでも追って・・1人残らずぶっ潰す!」
空に向かって怒号を放つノゾム。彼の叫びは雄叫びのようにこだましていた。
そのとき、ノゾムが体に激痛を覚えてふらつく。
「ぐっ!がはっ!」
「ノゾム!?」
あえいで倒れるノゾムにツバキが叫ぶ。
“スリービースト。”
マックスへの変身が解けたノゾムに、ツバキたちが近寄る。ノゾムは起き上がることができず、痛みで顔を歪める。
「ノゾム、どうしたの!?しっかりして、ノゾム!」
ツバキが呼びかけるが、ノゾムは痛みを抑えることができない。
「これって・・攻撃を受けすぎた痛みが、今になって・・・!?」
「いや・・それだけじゃない・・まさか・・!?」
セイラが不安を口にすると、タツヤが深刻さをふくらませる。
「これ以上、ノゾムくんにマックスに変身させてはいけない!特にエクシードのカード使えば、ノゾムくんは・・!」
タツヤがノゾムたちに呼びかけたときだった。
そのとき、ノゾムの体に異変が起きた。体や腕が蠢いて、姿かたちをも変わり始める。
「ノゾム!?」
「これって・・まさかタツヤさん!?」
ノゾムの異変にツバキとユウキが声を上げる。ユウキもノゾムの異変について気付いた。
「そうだ・・ノゾムの体は、ビースターに変わり始めている・・・!」
タツヤが口にした言葉に、ツバキたちは耳を疑って声が出なくなった。
それから意識を失ったノゾムだが、体の異変も痛みも治まった。ツバキたちはタツヤの投げかけた話に、動揺を隠せなくなっていた。
「ノゾムがビースターになるって・・人間でなくなるなんて・・・」
「たとえビースターになっても、お兄ちゃんはお兄ちゃんのまま・・でも、何でいきなりビースターになっちゃったの・・!?」
ツバキが声を上げて、ワタルがタツヤに疑問を投げかける。
「エクシードのカードには、強大な力をもたらすことができるが、体に大きな負担をかける以外にも副作用があった・・人間の体をビースターへと変えてしまうんだ・・」
タツヤがエクシードカードについて語りかける。エクシードカードには、ビーストライダーをビースターに変貌させる効果もあった。
「私やユウキくんたちは、ビースターになってもその力や闘争本能をある程度制御することができる。しかしビースター全てがそうというわけではない・・」
「もしかして、ノゾムさんがビースターの力に振り回されて、見境を失くしてしまう可能性があるってことですか・・!?」
タツヤの話を受けて、セイラが深刻な顔を浮かべる。
「私はノゾムくんの信念の強さを信じているし、みんなも知っている・・しかしそれでも100%乗り越えられる確証があるわけでもない・・」
「・・つまり、最悪の事態に備えて用心しないといけないってことか・・」
タツヤが話を続けて、シゲルが不安を口にする。
「とにかく、ノゾムが1人だけで突っ走らないように気を付けないと・・」
「そうね・・今のノゾムなら、エックスビースを絶対にほっとかないから・・・」
ユウキが言いかけて、ツバキが小さく頷く。
(しかし、ノゾムがこのままビースターになったらどうなるんだろうか・・戦い方が変わるのだろうか・・・?)
ユウキはノゾムに対して複雑な気分を感じていた。ビースターとなることでノゾムも自分と同じ考えを持つのではないかと、ユウキは考えていた。
別荘のベッドで眠っていたノゾムが意識を取り戻した。彼が体を起こして、自分の両手を見つめる。
(どうしたんだ・・オレに何が起こったんだ・・・?)
ノゾムが記憶を巡らせて、自分のことを思い返していく。
(オレは・・いきなり痛みが出て、立ってられなくなって・・・そのまま気を失ったのか・・・)
激痛に襲われたことを思い出して、ノゾムが一瞬体を震わせた。
(ゴロウさん・・・オレは・・あなたを助けることができなかった・・・!)
ゴロウが死んだときのことを思い出して、ノゾムが両手を強く握りしめる。彼はゴロウを利用したエックスビースと、守れなかった自分を責めていた。
(オレはエックスビースを許しはしない・・1人残らずぶっ潰す・・アイツらに味方するヤツも含めて・・・!)
エックスビースを滅ぼすことを、ノゾムは心の中で強く決意していた。
「ノゾム・・」
そこへツバキがやってきて、ノゾムが目を覚ましたのを見て戸惑いを浮かべる。
「ツバキ・・みんなは・・・?」
「みんな外にいるよ・・ノゾムは、体は大丈夫・・?」
「あぁ・・今は痛みは感じない・・ケガとかもないみたいだ・・・」
「ノゾム・・・」
ノゾムとツバキが問答して、深刻さを浮かべる。
「オレはエックスビースを倒す・・アイツらがいるとオレは、オレたちは心から安心できない・・・」
「私もエックスビースは許せない・・タイチくんたちも同じ気持ちのはず・・でも、ノゾムが無事でいてほしいっていうのも、私とみんなの気持ちだから・・・」
決意を告げるノゾムに、ツバキが心配の声を投げかける。
「オレはヤツらと戦って死ぬつもりはない・・何が何でも生きて、お前たちのところに帰ってくる・・!」
ノゾムの揺るがない信念を聞いて、ツバキの心が揺れる。
「ノゾム・・あなたの体・・・」
ツバキがノゾムに体のことを話そうとした。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん!」
そこへワタルが駆けつけてきて、ノゾムたちに声を変えてきた。
「ワタルくん、どうしたの・・!?」
「近くにビースターが現れて・・エックスビースじゃないみたいだけど・・!」
ツバキが振り向いて、ワタルが答える。
「暴れてるのか、そいつは・・!?」
「うん・・今、ユウキお兄ちゃんたちが向かっているよ!」
目つきを鋭くしたノゾムが問いかけて、ワタルが頷く。
「分かった・・オレも行く・・!」
「ノゾム、待って!」
別荘を飛び出すノゾムを、ツバキが慌てて追いかける。
(エクシードのカードを使わせないようにしないと・・!)
ビースターと化して人の心を失わないように、ツバキはノゾムを止めることを考えていた。
人々を襲う2人のビースター。カニのクラブビースターが男の1人を持ち上げて投げ飛ばして、タコのオクトパスビースターが触手を伸ばして女性の1人の首を絞めつけていた。
「ヘッヘッヘッヘ・・いいぜぇ・・力を存分に振るえるっていうのは・・!」
「オレたちに敵う人間なんて存在しないんだよ・・!」
オクトパスビースターとクラブビースターが自分たちの力に酔いしれて、笑い声を上げる。
「もっとだ!もっとオレたちを楽しませてくれよ!」
クラブビースターが叫んで、逃げ惑う人々を狙って歩を進める。彼らの前にシゲルたちが駆けつけた。
「また派手に暴れてくれちゃって・・それなら遠慮は必要なさそうだ。」
シゲルがクラブビースターたちを見て、ため息まじりに言いかける。
「やめろ!お前たちも自分のためだけに、人を襲うのか!?」
ユウキがクラブビースターたちに向かって呼びかける。
「いきなり何を言い出すんだ?・・この最高な力で、どんなものも壊していく・・」
「こんなに最高なことが他にあるかよ!」
しかしオクトパスビースターとクラブビースターはあざ笑うばかりである。
「あなたたちのような人は、倒さないといけないみたい・・人間もビースターも、関係ない・・!」
「倒さないと、他の人が犠牲になることになる・・エックスビースと同じだ・・・!」
ユウキとセイラがクラブビースターたちを自分たちの敵だと認識した。2人とタツヤがビースターへと変身する。
「コイツらもビースターなのか!?ビースターのくせにオレたちに刃向かおうってのか!?」
「丁度いい・・ビースター相手でもオレたちの力が通用するってところも、証明してやるとするか・・!」
クラブビースターとオクトパスビースターがユウキたちにも敵意を向ける。
「ノゾムが万全じゃないんだ・・オレたちがやるしかない・・!」
シゲルが気を引き締めて、オックスカードを取り出した。
“オックス。”
彼がオックスカードをビースブレスにセットした。
「変身!」
“スタートアップ・オックス。”
リードライバーにビースブレスをかざして、シゲルがオックスに変身した。
「オレの力は天下無敵!」
シゲルが言い放って、タツヤと一緒にクラブビースターに向かっていく。ユウキとセイラがオクトパスビースターを迎え撃つ。
シゲルが連続でパンチを繰り出す。しかしクラブビースターは体にパンチを受けても平然としている。
「オレのパンチが効いてないのか・・!?」
「オレの体は硬いんだ!そんなやわなパンチじゃ、痛くもかゆくもないぞ!」
驚くシゲルに向かって、クラブビースターが高らかに言い放つ。
「防御だけじゃなく、攻撃も強固ってこともわかるよな!」
「おわっ!」
クラブビースターが腕を振りかざして、シゲルが突き飛ばされてうめく。
「シゲルくん!」
タツヤが叫んで、クラブビースターに向かってキックを繰り出す。しかしクラブビースターの体にキックが当たった瞬間、タツヤは押し返される。
「どうした?勝手に吹っ飛んだな!」
クラブビースターがタツヤを見下ろしてあざ笑う。
「タツヤさん!」
ユウキがタツヤたちを助けようとするが、オクトパスビースターの伸ばす触手に行く手を阻まれる。
「お前たちの相手はオレだぞ〜・・」
不気味に笑うオクトパスビースターの触手の攻撃に、ユウキとセイラは移動範囲を狭められていた。
セイラが一気にスピードを上げて、ジャンプでオクトパスビースターを飛び越えようとした。が、着地の瞬間に触手による足払いを受けて、セイラが体勢を崩す。
「セイラ!」
ユウキが叫んで、感情を高ぶらせる。彼の姿が刺々しいものへと変わった。
オクトパスビースターがユウキも捕まえようと触手を伸ばす。ユウキが全身に力を入れて衝撃波を放って、かまいたちのように触手を切り裂いた。
「なぬっ!?オレの足が切られたー!?」
オクトパスビースターが驚いて慌てる。
「優しい心の持ち主が、お前たちのような自分勝手なヤツらに踏みにじられている・・そんなこと、オレたちは認めない!」
ユウキが怒りを口にして飛びかかる。オクトパスビースターが慌ててユウキから離れていく。
「だったらこれならどうだ!」
シゲルが思い立って、リードライバーの中心部を回転させる。
“オックス・ロードスマッシュ。”
リードライバーからエネルギーがあふれて、シゲルの体を伝って右手に集まっていく。彼が繰り出したパンチがクラブビースターの体に命中した。
しかしクラブビースターは少し押されただけで、体に傷1つ付かなかった。
「今のは少し効いたぞ・・マッサージには丁度いいか・・!」
クラブビースターが笑みをこぼすと、カニのハサミの形をした剣を手にして振りかざす。
「ぐあっ!」
切りつけられたオックスのスーツから火花が散って、シゲルが突き飛ばされる。
「シゲルくん!」
立ち上がったタツヤがシゲルに呼びかける。そこへノゾムがツバキ、タイチ、ワタル、ワオンと一緒に駆けつけた。
「コイツら・・自己満足に好き勝手に暴れているのか・・!」
ノゾムがクラブビースターたちを見て怒りを覚える。
「こんなヤツがいつまでものさばっているから、他のヤツも、オレたちも・・ゴロウさんも!」
怒りの声を上げて、ノゾムがマックスカードを取り出した。
“マックス!”
彼がビースドライバーにマックスカードをセットして、左上のボタンを押した。
「変身!」
“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”
ノゾムがマックスに変身して、クラブビースターの前に立ちふさがった。
「オレの怒りは限界突破・・お前たちもオレがブッ倒す!」
ノゾムが言い放って、クラブビースターに向かっていく。
「そいつは頑丈だ!気を付けろ!」
シゲルが呼びかけると同時に、ノゾムがクラブビースターにパンチを叩き込む。しかしクラブビースターはビクともしない。
「お前も非力な蚊トンボか?遊び相手にもならないな!」
クラブビースターがあざ笑って、剣を振りかざす。マックスのスーツが切られて火花を散らす。
「ノゾム!」
倒れたノゾムにタイチが叫ぶ。ノゾムはすぐに立ち上がって、クラブビースターに鋭い視線を向ける。
「力が足りないなら、力を上げればいいだけだ・・!」
“エレファント!”
ノゾムが声を振り絞って、ビースドライバーにセットされているマックスカードとエレファントカードを入れ替えた。
“チャージ・エレファーント!ハイフット・ハイレッグ・ハイハイエレファーント!”
マックスのスーツが灰色になって、ノゾムはエレファントフォルムとなった。
“エレファントチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ノゾムがクラブビースターに向かっていって、両足のキックを繰り出した。クラブビースターは押されるも、ノゾムのキックに耐えた。
「今のは効いたぞ・・ほんのちょびっとだけだけどな!」
クラブビースターがあざ笑って、剣を突き出す。
「おあっ!」
ノゾムが突き飛ばされてしりもちをつく。エレファントのパワーでも、クラブビースターにダメージを与えられない。
「そろそろ遊びもここまでだ!お前らをズタズタにして、他のとこでも暴れてやるぞ!」
「くっ!・・そんなマネさせるかよ・・!」
自分の野心をむき出しにするクラブビースターに対して、ノゾムがいら立ちをふくらませる。
「こうなったら、徹底的にぶっ潰してやるぞ!」
思い立ったノゾムがエックスカードを取り出した。
「ノゾム、まさか!?」
“エックス!”
彼がエックスカードをビースドライバーにセットして、ツバキが緊張を浮かべる。
“チャージ・エーックス!アンリミテッド・ハイパワー!ビース・エックスライダー!”
ビースドライバーの左上のボタンを押して、ノゾムがエックスフォルムに変身した。彼は続けてエクシードカード2枚を取り出した。
「待って、ノゾム!エクシードのカードを使ったら・・!」
「エクシードの力に慣れないと、エックスビースのビースターたちとはまともに戦えない・・!」
ツバキが呼び止めるが、ノゾムはエクシードカードを使うことをやめない。
「ダメ!これ以上使ったら、ノゾムの体は・・!」
“エクシード!インフィニットマックス!”
ツバキがそれでも呼び止めるが、ノゾムがエックスブレスにエクシードカードをセットした。
“チャージ・エクシード!インフィニット・エックス!インフィニット・マックス!ビース・エクシードライダー!”
マックスのスーツが銀色に変わって、X字の金のラインが入った。ノゾムはエクシードフォルムに変身した。
「ノゾムくん・・エクシードのカードを・・!」
タツヤが動揺を浮かべる中、ノゾムがクラブビースターに向かっていく。
「コロコロと姿を変えやがって・・そんなことでオレに勝てると思ってるのかよ!」
クラブビースターが高らかに笑って、ノゾムに飛びかかる。次の瞬間、彼の視界からノゾムの姿が消えた。
「何っ!?ごあっ!」
驚くクラブビースターが体に衝撃を覚えてうめく。彼の懐にノゾムが飛び込んでいて、パンチを叩き込んでいた。
「い、いつの間に!?・・しかも、このオレに傷を付けるなど・・!?」
ノゾムの攻撃の強さに、クラブビースターが動揺を深める。ノゾムがビースドライバーの左上のボタンを3回押した。
“エクシードスマッシャー!”
ノゾムがエクシードスマッシャーを手にして、画面をスライドしてゾウのアイコンを表示して、そばのボタンを押した。
“エレファントスマーッシュ!”
彼が右手を握りしめて、力を集めていく。
「その思い上がりと一緒に、お前をブッ飛ばしてやる・・!」
ノゾムが怒りの声を上げて、クラブビースターに向かっていく。
「いつまでもいい気になるな・・オレに勝てるヤツなんかいないんだよ!」
クラブビースターがいら立ちをふくらませて、剣を振りかざす。しかしノゾムが左手で持っているエクシードスマッシャーに、剣をはじき飛ばされる。
「がはっ!」
ノゾムの右のパンチが体に命中して、クラブビースターが大きく突き飛ばされた。その先の壁を突き破って、彼が大きく転がる。
「ま、まだだ・・オレは、まだまだ暴れ足りないんだよ・・・!」
力を振り絞って立ち上がるクラブビースター。しかし力尽きた彼が再び倒れて、爆発を起こした。
「そんな・・アイツのあの頑丈さを破るなんて・・・!?」
オクトパスビースターがノゾムの強さに緊張を隠せなくなる。彼にノゾムが振り向いて、続けて攻撃を仕掛けようとした。
そのとき、ノゾムが突然体に激痛を覚えてふらついた。
「ノゾム!?」
ノゾムの異変にツバキが叫ぶ。シゲルとタツヤがノゾムに駆け寄って、慌ててビースドライバーを外す。
“スリービースト。”
マックスへの変身が解けたノゾムだが、体を駆け巡る痛みは消えない。
「ノゾム、しっかりして!ノゾム!」
ツバキがノゾムに向かって必死に呼びかける。
そのとき、ノゾムの体に変化が起こった。異形の姿、ビースターの姿に。
「ノ・・ノゾム・・・!?」
ノゾムの変貌にツバキもタイチたちも驚く。ノゾムは野獣の怪人、ビーストビースターに変わった。