仮面ライダーマックス
第29話「ドラゴンとの大攻防!」
リョウガが開発していたエックスカードがノゾムの手に渡ったことは、ジンキの耳にも入っていた。
「リョウガは私ほどではないが高い戦闘力を持ったビースターだった・・ヤツが倒されるとは・・・」
ジンキが呟いて、モニターで戦闘の映像を確認する。
「どんなヤツが来ようと関係ないな。オレがやっつけて、3人のベルトとカードを奪ってやるよ。」
キリオがジンキに強気な態度を見せる。
「見くびるな、ジンキ。マキシマム以上の力を誇ったビースターが倒されたほどなのだぞ。なめてかかると、そいつの二の舞を演じることになるぞ。」
ジンキがキリオに注意を投げかける。
「それでもやらなくちゃ・・シュンの仇を討つ・・・」
ララがシュンのことを考えて、ノゾムたちへの敵意を口にする。
「ララも焦るな。今のお前の力ではエックスには勝てんぞ。」
「私には・・力が、足りない・・・!?」
自分の無力さを痛感して、ララが体を震わせる。
「ならばさらに引き出すしかないな。ビースターとしての力を・・」
「力を引き出す・・強くなればいいってだけだね・・・」
ジンキが投げかけた言葉を受けて、ララが笑みをこぼす。彼女は自分で納得して社長室を後にした。
「ま、社長はここで偉そうにふんぞり返っていればいいさ。オレの本気はまだまだあんなもんじゃないからな。」
キリオもジンキに笑みを見せてから、外へ出ていった。
(ベルトとカードの奪還には、オレも直接参加する必要があるようだ・・)
ジンキが自らも戦いの場に赴くことを予感していた。
(ベルトとカードは必ず取り戻す。そのときに試すのだ。エックスのカードと、この2枚カードを・・)
ジンキが机の引き出しを開けて、中にあった2枚のカードを確かめた。
エックスカードという新たな力を手に入れたこと、ビースターだったとはいえ実の父を手にかけたことをノゾムから聞いて、ツバキは動揺を隠せなくなった。
「ノゾム・・お父さんを・・血のつながった家族を・・・」
「アイツはオレの親父なんかじゃない・・アイツも、オレを子供じゃなく道具のように思っていた・・・」
ツバキが心配するが、ノゾムはリョウガへの憎悪を噛みしめていた。
「他のヤツにイヤな思いをさせても、自分さえよければそれでいい・・自分のやることが正しいと思い上がる・・オレはそういうヤツが許せないんだよ・・・」
「ノゾム・・・」
「そんな思い上がりは明らかに間違っている・・それをオレは思い知らせる・・・!」
自分を押し付けてそれを正しいことにしている相手への怒りをふくらませるノゾムに、ツバキが戸惑いを浮かべる。
たとえマックスにならなかったとしても、許せない相手に対して徹底的に反発する。ノゾムはそういう人格をしているのだと、ツバキは改めて思い知らされた。
「ノゾムのお父さんみたいなのが全員じゃない・・お父さんっていうのは、本当は強くて優しくて、子供のことを大切に思っているんだから・・・」
「それは分かってる・・オレの親父のほうがおかしいだけ・・・」
親や家族の大切さを訴えるツバキだが、ノゾムはそのことを理解しながらも、自分たちが違うことも実感していた。
ノゾムと別れて外へ出たツバキが、ソウマとシゲルが話をしているのを目にした。
「ソウマくん、シゲルくん・・ノゾムが、新しいアニマルカードを使ったって・・」
ツバキが声をかけて、ソウマたちが振り向く。
「あぁ。エックスのカードで、ノゾムの親父さんが持ってたんだ。オレは使えなかったが、ノゾムが使って・・」
「使ったって言っても、マキシマムのときみたいに強引に発動させた感じ合ったけど・・」
シゲルが説明をして、ソウマがノゾムに呆れる。
「それでノゾムは、実の父を・・・」
「ノゾムの父親だったけど、強力なビースターでもあった・・ノゾムにとってはそういうこと関係なく、敵としか認識してなかったみたいだけど・・」
ツバキが悲しい顔を浮かべて、ソウマがノゾムのことを考えて肩を落とす。
「それにしてもあのエックスのカードはすごい力だ・・」
「それを使った後で、ノゾムはいきなり倒れた・・あれは力が出る分、体力を大きく使うみたいだ・・」
シゲルとソウマがエックスカードについて語る。
「ただ、疲れるだけだったらいいけどな・・」
シゲルがふと深刻な顔で呟いた。
「シゲル、それって、どういうことだ・・・?」
「いや、ちょっと気になっただけだ・・他に何もなかったってことになればいいだけ・・」
ソウマが疑問に感じて、シゲルが苦笑いを見せた。ソウマもツバキも引っ掛かりを感じながらも、心の奥に留めることにした。
裏路地を駆け抜けていく1人の男。彼は周りを見回しながら、必死に追手から逃げていた。
建物の壁のへこみに隠れる男。彼は近くにいた黒ずくめの男たちを視認して、緊張をふくらませていく。
追手が通り過ぎたのを見計らって、男は再び走り出した。
暗躍が激化するエックスビースに、ユウキとセイラは警戒を強めていた。
「エックスビースの人、私たちの周りに来ている数が増えてきたね・・」
「オレたちを警戒しているけど、力で敵わないから下手に手が出せないというところかな・・」
セイラとユウキが周りに意識を向ける。2人は見張られているのを感付いていた。
「あまり野放しにすると、ノゾムさんたちも巻き込まれることになる・・私たちのことを知られることになるかもしれない・・・」
「だから、オレたちが何とかするしかない・・エックスビースのビースターも、悪い人間も、マックスも・・・」
セイラと言葉を交わして、ユウキがマックスに対する怒りを噛みしめる。
「マックスは悪くはないわ・・人間もビースターも関係ない・・」
「いや、マックスはオレたちを倒そうとしている・・今までの戦いから、ビースターでも情けをかけるって感じはしなかった・・!」
セイラが呼びかけるが、ユウキは怒りをふくらませるばかりである。
そのとき、ユウキが前方で現れた男がふらついて倒れたのを目撃した。
「大丈夫ですか!?しっかりしてください!」
ソウマがセイラと一緒に男に駆け寄って呼びかける。
「オ・・オレに構わないでくれ・・でないと、君たちまで危険に巻き込まれる・・・!」
男は声を振り絞って、ユウキたちを気遣う。
「でも、ただごとじゃない様子のあなたを放っておくことはできません!」
しかし男は逆にユウキたちを心配して遠ざけようとする。そこへ数人の黒ずくめの男たちが現れて、彼を狙って走ってきた。
「追いついたぞ!こっちに来るんだ!」
黒ずくめの男の1人が呼びかけて、男をつかもうとした。しかしユウキが彼を引き寄せた。
「な、何をする!?邪魔をしないでくれ!」
「嫌がっているじゃないですか。事情はよく分かりませんが、無理やりなのはよくないです・・」
呼びかける男に、ユウキが深刻な顔で呼びかける。
「部外者は引っ込んでいてもらおう!」
黒ずくめの男たちがユウキとセイラを払いのけようとする。
「やめなさい!」
セイラが怒って手を出して、黒ずくめの男たちを引き離す。
「コイツら、邪魔しおって・・!」
いきり立った黒ずくめの男たちの姿が変化した。彼らがカブトムシとクワガタの姿をした怪物へと変わった。
「ビースター!」
ユウキが身構えて怪物たち、ビートルビースターとスタッグビースターの出方をうかがう。
「これ以上邪魔すると命はないと思え・・!」
ビートルビースターの1人が脅しをかけて、男を捕まえようとした。
「そんな理不尽に屈するオレたちじゃない・・!」
ユウキが怒りを噛みしめて、ビートルビースターたちを睨みつける。彼とセイラがドラゴンビースターとキャットビースターに変わった。
「ぬお!?お前たちもビースターだったのか!?」
「この2人、裏切り者のビースターだぞ!」
ビートルビースターたちがユウキたちに気付いて身構える。
「あなたたち、あの・・・!」
男もユウキたちに動揺を隠せなくなっていた。
「すぐに引き上げるなら何もしない・・これ以上手を出してくるなら容赦しないぞ・・・!」
ユウキが忠告を送って、ビートルビースターたちに鋭い視線を向ける。
「ここは引き下がるしかない・・出直しだ!」
ビースターたちが毒づいて、ユウキたちの前から去っていった。ユウキとセイラがひと息ついてから、ビースターから人の姿に戻った。
「2人はあのビースターだったのか・・!」
「そういうあなたも・・・」
声を上げる男に、セイラが深刻な顔を見せる。
「もしかして、エックスビースの人だったのですか?・・裏切って、抜け出してきて・・・」
「そういう、ところかな・・・」
ユウキがたずねて、男が小さく頷いた。
「私はタツヤ。小宮(こみや)タツヤだ・・」
男、タツヤがユウキたちに名乗った。タツヤはユウキとセイラに支えられて、この場を離れた。
「小宮タツヤを逃がした?」
タツヤについての報告を聞いて、ジンキが目つきを鋭くする。
“申し訳ありません・・霧生ユウキと金子セイラに邪魔されて・・・!”
「言い訳はいい。今度は2人も連行しろ。不可能と判断するなら始末してもいい。決して逃がすな。」
“了解・・!”
ジンキの命令に男が答えた。連絡を終えたジンキがため息をつく。
(ララとキリオがうまくそっちへ行けばいいが・・)
心の中で呟いてから、ジンキは席を立った。
ユウキとセイラに助けられたタツヤ。3人は物陰に隠れたところでひと息ついた。
「エックスビースの研究員?」
「はい。そこでビースターに関する研究をしていたんだ。でもその研究に耐えられなくなって逃げてきたんです・・」
ユウキが聞き返して、タツヤが事情を話す。
「私も研究に関する情報を握っている。それが外にもれることを恐れて、私を追ってきたんだ・・」
「そうだったんですね・・ということは、またあなたを狙ってくる・・・」
タツヤの話を聞いて、セイラが緊張を感じていく。
「このままエックスビースの思い通りにさせるわけにはいかない。オレたちもそろそろ行動を起こさないと・・」
ユウキが言いかけて、セイラが深刻な顔を浮かべて頷く。
「向こうが私たちを見つける前に、私たちがエックスビースにもぐりこむことができたら・・・」
セイラが口にした言葉に、ユウキが小さく頷いた。
「脱走者を捜してたら、裏切り者を見つけたか。」
そこへ声がかかって、ユウキたちが振り返る。彼らの前に現れたのは、キリオとララ。
「あなたたちは、エックスビースのビースター・・!?」
セイラが緊張をふくらませて、ユウキが身構える。
「丁度いい・・みんなまとめて始末してやるとするか・・!」
強気な笑みを浮かべたキリオが、シャークビースターとなった。
「マックスたちもだけど・・裏切り者も倒す・・・!」
ララもいきり立って、ローズビースターとなった。
「タツヤさんは逃げてください!セイラ、タツヤさんを頼む!」
「ユウキ!」
飛び出してドラゴンビースターとなったユウキに、セイラが叫ぶ。ユウキがキリオと交戦して、拳と爪を振りかざす。
「タツヤさん、早く逃げましょう!」
セイラが呼びかけて、タツヤを連れて走り出した。
「逃がさない!」
ララが2人を追って駆け出す。ユウキがセイラたちのことを気に掛けながら、キリオを食い止める。
「まずはお前の息の根から止めてやるぜ・・!」
「息の根を止められるのはお前たちのほうだ・・!」
笑みを浮かべるキリオにユウキが言い放つ。2人が駆け出して、再び攻防を繰り広げた。
タツヤを連れて逃げていくセイラ。しかし2人がララに回り込まれた。
「逃がさない・・お前たちを始末する・・・!」
ララが声を振り絞って、セイラたちに向かって飛びかかる。
「離れてください!」
セイラがタツヤを遠ざけてから、ララを迎え撃つ。2人が手足を振りかざして、激しくぶつけ合う。
「タツヤさんに手出しはさせない・・!」
「私じゃなくても、他のビースターが手を出すよ・・・!」
セイラが言い放つと、ララが笑みをこぼす。タツヤの前にビートルビースター、スタッグビースターたちが現れた。
「いけない!タツヤさん、逃げてください!」
セイラが呼びかけて、タツヤを助けに行こうとする。しかしララの攻撃に行く手を阻まれる。
「お前もここで始末される・・心配することはない・・・!」
ララが笑みをこぼして、セイラが焦りを感じていく。
「さぁ、今度こそついてきてもらおうか・・!」
ビートルビースターが言いかけて、タツヤに手を伸ばす。
「そうはいかない・・いくものか!」
ビートルビースターの手を払ったタツヤの体に変化が起こる。彼の姿がヘビのような怪人へと変わった。
「き、貴様・・!」
ビートルビースターがいら立ちを見せて、他のビースターたちとともに身構える。
「あなた、ビースターだったんですか・・・!?」
タツヤがヘビの怪人、スネイクビースターだったことに、セイラも驚きを隠せなくなっていた。
晴れない気分を少しでもよくしようと、ノゾムは1人外を歩いていた。しかしどれだけ体を動かしても、悪い気持ちは晴れない。
(どうして・・こんなイヤな気分が続くんだよ・・・)
いら立ちを感じてため息をつくノゾム。それでも気分をよくしようと、彼はさらに道を歩いた。
そのノゾムの視界に、交戦するユウキとキリオの姿がよぎった。
「アイツら・・・!」
ノゾムが怒りをあらわにして、マックスカードを手にした。
“マックス!”
彼がビースドライバーにマックスカードをセットして、左上のボタンを押した。
「変身!」
“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”
マックスに変身して、ノゾムが走り出す。彼はユウキとキリオの間に割って入る。
「マックスまで出てきやがったか・・!」
「マックス・・今度こそお前を・・!」
ノゾムの登場にキリオが笑みをこぼして、ユウキが怒りをあらわにする。
「お前たち、まとめてブッ倒してやる!」
ノゾムが言い放って、ユウキとキリオ、2人に対して攻撃を仕掛けた。
「丁度いい・・オレもお前らまとめて息の根を止めてやるぞ!」
キリオもいきり立って、ノゾムとユウキを狙って飛びかかる。しかし2人はキリオを気に掛けることなく、互いに攻撃をぶつけ合っていた。
「コイツら・・オレを無視するとは上等だ!」
キリオがさらにいら立って、再び飛びかかる。
「邪魔だ!」
ノゾムとユウキが同時に怒鳴って、足を突き出してキリオを蹴り飛ばした。
「ぐおっ!」
キリオが大きく突き飛ばされて、草むらの先に姿を消した。
「お前がいると、オレたちは安心して生きていけない・・オレたちが生き残るためには、お前を倒さないといけない!」
「勝手なことをぬかすな!好き勝手に攻撃をしてきて!黙ってやられるほど、オレは気弱でもバカでもない!」
互いに怒りの声を上げるユウキとノゾム。
「負けられない・・絶対に負けるものか!」
感情を高ぶらせた瞬間、ユウキの体に変化が起きた。彼の体から出ていた刃が鋭くなって、より刺々しいすがたになった。
「その姿・・コイツ・・!」
ノゾムがいきり立って、ユウキに向かっていく。しかしユウキが繰り出すパンチを受けて、ノゾムが押し返される。
「このヤロー・・こうなったら!」
“マキシマム!”
いきり立ったノゾムが、マキシマムカードをビースドライバーにセットした。
“チャージ・マキシマーム!マックス・マキシ・マキシマーム!ビース・マキシマムライダー!”
ビースドライバーの左上のボタンを押して、ノゾムはマキシマムフォルムとなった。
「オレの怒りは限界突破!」
ノゾムが言い放って、ユウキに向かっていく。2人が同時にパンチを繰り出して当てて、続けてキックをぶつけ合う。
ユウキの高まっているパワーに、ノゾムがだんだんと追い詰められていく。
「ぐっ!」
ユウキに重みのあるキックを体に受けて、ノゾムが突き飛ばされて大木に叩きつけられる。
「マキシマムよりもパワーが上がっているのか・・!」
ユウキの力を痛感して、ノゾムが毒づく。ユウキが両手を握りしめて、ノゾムに近づいていく。
「コイツを使うしかないってことか・・・!」
ノゾムがエックスカードを手にして見つめる。より強力なパワーを発揮できる代わりに体力の消耗も激しくなることを、ノゾムは気にしていた。
「やるしかない・・でなきゃ今のコイツをブッ倒すことができない・・!」
“エックス!”
思い立ったノゾムがビースドライバーにエックスカードをセットして、左上のボタンを押した。
“チャージ・エーックス!アンリミテッド・ハイパワー!ビース・エックスライダー!”
白くなったマックスのスーツの真ん中に縦のラインが入り、マスクも「X」の形のラインが入った。両腕にもそれぞれエックスブレスが装着された。
ノゾムはエックスフォルムになって、ユウキと対峙する。
「これは!?・・マックスも強くなったっていうのか・・!?」
ユウキがノゾムの姿を見て息をのむ。
「アイツが何をしようと、オレはアイツを倒すだけだ!」
ユウキがいきり立ってノゾムに飛びかかる。だがユウキが繰り出したパンチがノゾムに手で止められる。
「ぐっ!・・こうも簡単に止められるなんて・・・!」
ユウキがさらにパンチを繰り出そうとしたが、ノゾムは素早くかわしていく。
「がっ!」
ノゾムのパンチを体に受けて、ユウキがあえいで押される。さらにノゾムがジャンプしながら右足を振りかざして、キックでユウキを蹴り飛ばした。
「負けられない・・負けるわけにはいかないんだ!」
ユウキが体に力を入れて、ノゾムに飛びかかる。
“エックスエレファーント!グランドブレイク!”
ノゾムが右のエックスブレスにエレファントカードをセットした。マックスのスーツの右側が灰色に変わった。
ユウキが繰り出した右のパンチを、ノゾムが右手で受け止めた。
「ぐっ!」
パンチを押し込むこともノゾムの手を振り払うこともできなくなって、ユウキがもがく。ノゾムが右手を振り上げて、ユウキを投げ飛ばす。
仰向けに倒れたユウキに振り返って、ノゾムがホークカードを取り出して、左のエックスブレスにセットした。
“エックスホーク!スピーディフライ!”
マックスのスーツの左側が黄色に変わった。エレファントフォルムのパワーとホークフォルムのスピードと飛行能力を、今のノゾムは兼ね備えていた。
ユウキが具現化した剣を手にして、ノゾムへ飛びかかって振りかざす。ノゾムは上に飛んでかわして、空を飛行する。
「これで決めてやる!」
ノゾムが言い放って、ビースドライバーの左上のボタンを2回押す。
“エックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ビースドライバーと2つのエックスブレスから光があふれ出す。その光を身にまとって、ノゾムが急降下して右足のキックを繰り出す。
ユウキが剣を振りかざして、ノゾムのキックとぶつけ合う。
「ぐあぁっ!」
ノゾムのキックに剣をはじかれて、ユウキが突き飛ばされた。大きく地面を転がった彼のそばに、ノゾムが着地した。
「ぐっ・・力が・・入らない・・・!」
ダメージが大きく、ユウキは立ち上がることができない。
「しぶといヤツだ・・すぐにとどめを・・!」
ノゾムが声を振り絞ると、ユウキが力尽きて突っ伏した。彼の姿がドラゴンビースターから人の姿に戻った。
「なっ・・!?」
ノゾムがユウキの姿に目を疑った。ドラゴンビースターの正体がユウキであることを知って、ノゾムは動揺を覚えた。
「ユウキ・・お前がドラゴンヤローだったのか・・!?」
動揺が深まったノゾムがふらつく。心の乱れに加えて、エックスフォルムになったことでの体力の消耗で、彼がふらついて倒れた。
そのはずみでビースドライバーが外れて、ノゾムのマックスへの変身が解けた。
「ノゾム!?・・お前が、マックスだったのか・・・!?」
マックスの正体がノゾムであることを知って、ユウキも動揺を隠せなくなった。