仮面ライダーマックス

第6話「デンジャーな出会いと激闘!」

 

 

 突然ユウキとセイラの前に現れた男、トシヤ。トシヤはユウキたちがビースターであることを知っていた。

「ビースターって、何なんですか?・・あなたはいったい・・・?」

 ユウキがトシヤに向かって疑問を投げかける。

「自分の姿が人間でないものに変わったこと、お前たちももう分かっているだろう?その動物の能力に特化した種族は、ビースターと呼ばれている。」

「ビースター・・龍みたいな姿になったオレや、ネコの姿のセイラ・・・」

 トシヤの話を聞いて、ユウキはこれまでの自分を思い返していく。セイラも記憶を巡らせて、ユウキと目を合わせる。

「ビースターは何らかの動物の能力に特化した存在。人間の力を大きく超えた存在だ。」

 トシヤがユウキたちにさらに話を続ける。自分がビースターになって憎しみをぶつけたことを、ユウキたちは思い出す。

「私たちはもう、元の人間には戻れないのですか・・・?」

 セイラが恐る恐るトシヤに聞く。

「いや、オレたちは元の人間には戻れない。そもそも、人間に戻ろうとする考えもないはずだ。」

 トシヤが口にした言葉を聞いて、ユウキとセイラが動揺を浮かべる。

 自分たちは悪い心の人間に絶望した。そんな人間のいいようにさせたくないと感情と力を高ぶらせて、普通の人であることも捨てた。

 どの道を選んだのか、なんのためにその道を進もうとしているのか。ユウキとセイラはそのことを改めて考えていた。

「オレたちの敵は人間。弱く愚かでしかない人間など、根絶やしにしてしまえばいい。」

 トシヤがさらに話を続けて、人間への敵意を見せる。しかしユウキもセイラも乗り気にならない。

「どうしたんだ?お前たちだって人間からひどい仕打ちを受けて、絶望したんじゃないのか?」

「確かに絶望した・・一方的に考えを押し付けられて、それが正しいことにされて・・それがどうしても許せなくて・・・」

 疑問を投げかけるトシヤに、ユウキが自分の考えを口にする。

「でもオレたちが倒さなくちゃならないのは、そういった悪い人間だけだ。人間そのものが悪いわけじゃない・・」

「甘いことだな。人間そのものが悪いというのに・・」

 ユウキの話を聞いて、トシヤがため息をつく。

「人間はどいつもこいつも、自分たちさえよければそれでいいという考えの持ち主ばかりだ。余計なことに気を回すことはない。」

「でもまだ、信じたいって気持ちが残っているのも、本当なんです・・」

 呼びかけるトシヤにセイラも正直な思いを告げる。

「信じたところで裏切られる。人間に情を持ったところで逆効果なだけだ・・」

 しかしトシヤはユウキとセイラの言葉を聞き入れない。彼の考えに対して、ユウキとセイラも複雑な気分に駆られていた。

「間違っても人間の味方をしようなどと思うな。さもなければ裏切り者として処罰されることになる。」

 トシヤが目つきを鋭くして、ユウキとセイラに警告を送る。一瞬釘を刺された気分を覚えた2人だが、素直に従おうという気にはならなかった。

「ビースターについて話してくれてありがとうございます・・でもオレたちは、オレたちのやり方と戦いをします・・」

「もしかしたら、同じビースターと戦うことになるかもしれません・・その人が、私たちの憎む敵だったら・・・」

 トシヤに偽れない気持ちを口にして、ユウキとセイラは歩き出した。

(あの2人、人間の味方になる可能性があるな・・要注意人物としてマークしなければ・・)

 トシヤはユウキとセイラを警戒して、1度この場を離れた。

 

 ゴロウに保護されたツバキは、彼の家の手伝いや動物公園での仕事をしていた。動物の世話に手を焼くことが多いが、ツバキはめげずにこなしていた。

「ふぅ・・動物のお世話は難しいね。動物の気持ちを理解するのも・・」

 小休止するツバキがひと息つく。

「でもけっこううまくやれるようになっているよ、ツバキちゃん。」

 タイチがノゾムと一緒にやってきて、ツバキに声をかけてきた。

「動物は人間と比べて純粋で正直だから、私も正直で接してあげれば応えてくれるって分かったから・・」

 ツバキが微笑んで、動物の感情を汲み取る大切さを胸に刻んだ。

「その気持ちを忘れないようにね。動物はみんな正直者だからさ。」

 タイチが笑みをこぼして、ツバキが小さく頷いた。

「ツバキ、そろそろ話してくれないか?このマックスのベルトのことを・・」

 ノゾムがツバキに問いかけて、ビースドライバーを見せた。

「コイツはどういうもんなんだ?あのビースターってバケモノは何なんだ?」

「普段は人の姿をしていて、人を襲うときに怪物になる。そのビースターを倒せるだけの力を持つマックス・・僕たちの知らないことが多すぎる・・」

 ノゾムに続いてタイチも疑問を投げかける。ツバキが2人に真剣な顔を浮かべた。

「私のお父さんは科学者だったの。お父さんの開発チームが、ビースターのデータをもとに作られたのが、ベルトとアニマルカードなの・・」

 ツバキがビースドライバーとアニマルカードについて語りかける。

「元々はビースターや、お父さんたちの所属のための開発だったけど、お父さんたちはその組織への不信感から、ビースター打倒のためにベルトとカードを作ったの・・」

「その組織って、ビースターが集まっている組織なの・・!?

「私にはそこまでは分からない・・ビースターだけの集まりなのか、ビースターを子飼いにしているのか・・」

 タイチが疑問を投げかけて、ツバキが話を続ける。

「それでツバキ、お前の親父さんはどうしたんだ・・・?」

 ノゾムがさらに問いかけて、ツバキが思いつめた表情を浮かべる。

「父さんはベルトとカードを渡して、私を逃がしてくれた・・それからお父さんとも開発チームの誰とも連絡が取れないの・・」

「もしかして、ビースターに襲われたんじゃ・・・!?

 悲しみを痛感するツバキに、タイチが不安を口にする。

「そんなことない!お父さんたちはどこかにいるはずだよ!」

 ツバキが声を張り上げて、必死に父の無事を呼びかける。彼女に怒鳴られて、タイチが動揺しながら自分の口を手で押さえる。

「何か手がかりとか、心当たりはないのか?・・家とか、誰か知り合いとか・・」

 ノゾムが表情を変えずに、ツバキにさらに聞く。

「心当たりのある場所には連絡してみたけど・・・これ以上詮索すると、ヤツらに気付かれる危険があると思って・・・」

「そうか・・どこかからこっちに情報が流れてくるしかないわけか・・・」

 悲しい顔を浮かべるツバキに、ノゾムが肩を落としながら言いかける。

「それで、ビースターの組織が何なのか、分かるかい・・?」

 タイチが気持ちを落ち着けようとしながら、ツバキに問いかける。

「組織の名は、“(エックス)ビース”。表向きには“エックスコーポレーション”で知られているわ。」

「エックスコーポレーションって、超大規模企業じゃないか!世の中にあるものの有名どころのほとんどが、エックスが支援しているとか!」

 ツバキの口にした言葉に、タイチが驚きをあらわにする。

「だったらそこへ行って、親父さんのことを聞き出せばいいじゃないか・・」

「それで分かるなら最初からそうしてる・・でもお父さんを襲った人たちだよ。聞いても答えるわけないし、逆に怪しまれる危険が増える・・」

 ノゾムが言いかけるが、ツバキは乗り気にならない。

「エックスコーポレーションは他の大企業や政治家ともつながりがあるとも聞いている。もしかしたら、エックスビースのやっていることが、隠ぺい工作されている可能性も・・」

「そいつらも、自分の考えを押し付けている連中なのか・・・!?

 タイチが語ったこの言葉を聞いて、ノゾムが目つきを鋭くする。

「ノゾム、まさかエックスコーポレーションに・・!?

 タイチが不安の声を上げたところで、ノゾムが1人歩き出す。

「待って、ノゾム!ノゾムが乗り込んでいったら、大変なことになっちゃうよ!」

「オレは自分たちのいいようにしているヤツらの思い通りには絶対にならない!」

 慌てて呼び止めるタイチだが、ノゾムは聞かずに走り出す。

「ノゾム!・・追いかけないと!でないとノゾムが大変なことを仕出かしちゃう!」

「うん!ノゾムの性格なら、エックスビースを放ってはおかないから!」

 タイチが飛び出して、ツバキも彼と一緒にノゾムを追いかけていった。

 

 自分たちの戦いと生きる道を選んだユウキとセイラ。2人は動物公園の近くに来ていた。

「この近くに動物園があったなんて・・」

「動物・・みんな優しくていいですね・・真っ直ぐで、裏表がなくて・・・」

 ユウキが周りを見回して戸惑いを感じて、セイラが安らぎを感じていく。

「人間もみんな、そんな感じだったらいいのに・・・」

 セイラが表情を曇らせて、ユウキも深刻さを感じていく。

「そういえばオレたち、まだ自己紹介していなかったね。オレは霧生ユウキ。」

「私はセイラ。金子セイラです・・」

 互いに自己紹介をして、ユウキとセイラが握手を交わした。

「おっと、ゴメンよ。」

 そのとき、1人の男がセイラにぶつかってきた。

「大丈夫、セイラさん・・!?

 ユウキが倒れかかったセイラを支える。

「はい・・私はだいじょう・・・」

 答えようとしたセイラが、自分の持っていた財布がないことに気付く。

「財布が、ない・・・!?

「えっ!?・・もしかして、さっきの人に・・!?

 不安を覚えるセイラに、ユウキが声を上げる。

「オレが取り返してくる!セイラさんは待っていて!」

 ユウキが男を追いかけて走り出す。

「ユウキさん、待って!私も!」

 セイラもユウキを追いかけて、慌てて走り出した。

 

 エックスビースへ急ぐノゾムと、彼を止めようと追いかけるツバキとタイチ。しかし通りの人混みでタイチが2人と離される。

「タイチくん!」

「僕のことは気にせずに、ノゾムを追いかけて!僕も追いつくから!」

 声を上げるツバキにタイチが呼びかける。

「タイチくん・・分かった!」

 ツバキが納得して、そのままノゾムを追いかけた。

「ぼ、僕も急がないと・・!」

 タイチもノゾムたちを追いかけようと人混みをかき分けて進む。

「キャッ!」

 そのとき、タイチは誰かにぶつかって、たまらず足を止めた。

「あ、すみません!大丈夫ですか!?

 タイチが慌てて手を差し伸べる。彼の前にいたのは、ユウキを追いかけていたセイラだった。

「は、はい・・大丈夫です・・周りが見えていなくて、すみませんでした・・・」

 謝るセイラがタイチの手を取る。そのとき、タイチがセイラの顔を見て、戸惑いを覚える。

(か・・かわいい・・きれいな子だ・・・!)

 セイラに見とれて顔を赤くするタイチ。

「あ、あの・・・」

 セイラに声をかけられて、タイチが我に返る。

「あぁ、すみません・・どうかしましたか、こんなに慌てて・・?」

 苦笑いを見せてから、タイチがセイラに問いかける。

「はい・・財布を盗まれて・・私の知り合いが追いかけているのですが、その人を私は見失ってしまって・・・」

 セイラが頷いて、タイチに事情を話す。タイチが振り返るが、人混みを目にして動揺をふくらませる。

「いったん離れたほうがいいみたい・・ここが人がいっぱいいて危ないよ・・」

「でも私の知り合いが・・」

「近くに、僕の友達がいるから、連絡を取ってみるよ。」

 不安を口にするセイラに、タイチが微笑んで言いかける。2人は1度人混みから離れて、人の少ない小道に移動した。

(ツバキちゃん、ノゾムに追いつけたかな・・・?)

 ノゾムとツバキのことを心配するタイチ。

(ユウキさん・・私のためにすみません・・・)

 セイラもユウキを心配して、胸を締め付けられるような気分を感じていた。

 

 エックスビートを目指すノゾム。しかし彼はエックスコーポレーションの社屋の場所を知らなかった。

「どこだ・・どこにあるんだよ・・・!?

 苛立ちと焦りを噛みしめるノゾム。肩を落とす彼にツバキが追いついた。

「ノゾム、ダメだって・・1人で乗り込んだって、ノゾムの立場が危なくなるだけだよ・・!」

 ツバキが呼吸を整えながら、ノゾムに呼びかける。

「オレは自分たちが正しいと思い上がっている連中の手のひらで踊るつもりはない・・ヤツらの思い通りになるくらいなら・・・!」

「そうだとしても、向こうにはきっとビースターもたくさん控えているはず・・いくらマックスでも、1人で乗り込んだら確実にやられてしまう・・!」

 いら立ちを見せるノゾムを、ツバキが必死になだめる。

「それでお前は平気なのかよ!?・・お前の親父が心配じゃないのか・・・!?

「心配だけど・・焦っても逆に遠ざかってしまうことだってある・・心配だからこそ、冷静にならなくちゃって・・・!」

 不満の声を上げるノゾムに、ツバキが必死に呼びかける。不満を拭えなかったが、ノゾムはこらえようとする。

 そのとき、ノゾムとツバキが2人の男が走ってくるのを目にした。前を走る男の手に財布が握られたことにも、ノゾムは気付いた。

 ノゾムがとっさに足を出して、男を引っかけてつまずかせた。

「うあっ!な、何をする!?

 男がノゾムに振り向いて怒鳴りかかる。

「人の財布盗んどいて何をするはないだろ・・」

 ノゾムが不満の声を男に投げかける。男を追いかけていたユウキが追いついた。

「返してください!その財布はオレの知り合いのものなんです!」

「うるせぇ!コイツはオレのものだ!」

 呼びかけるユウキだが、男は再び走り出そうとする。しかしノゾムに腕をつかまれて、勢い余って引き倒される。

「往生際が悪いんだよ・・いい加減そいつを返せってんだよ・・」

 ノゾムが痛がる男を鋭く睨みつける。ユウキが男の腕を握って、財布を奪い返す。

「ホラ。アンタ・・のじゃなくて、知り合いのなんだろ?」

「あ・・ありがとうございます・・」

 財布を差し出したノゾムに、ユウキが感謝する。彼はノゾムから財布を受け取って、微笑みかける。

「く、くそっ!覚えてろよ!」

 男は捨て台詞を口にして、ノゾムたちの前から逃げ出した。

「ったく、しょうがないヤツだ・・」

 ため息をつくノゾムが、ツバキとユウキに視線を戻す。

「ありがとうございました。財布を取り返してくれて・・すみませんが、オレは知り合いのところに戻ります・・」

 ユウキはノゾムたちにお礼を言って、セイラのところに戻ることにした。

「ハァ・・気がそがれちまった・・オレも戻ることにする・・」

 ノゾムはまたため息をついてから、きびすを返して歩き出す。

「ノゾム・・しょうがないんだから・・・」

 彼に呆れながら、ツバキも戻ることにした。

 

 セイラと出会ったタイチは、人混みから離れてからスマートフォンを取り出した。しかしノゾム、ツバキと連絡が取れない。

「まだ向かってるのかなぁ・・どっちか気付いてくれたらいいのに〜・・」

 タイチが気まずくなって肩を落とす。彼はセイラに見られていることに気付いて、戸惑いを覚える。

「ぼ、僕はタイチ。代々木タイチっていいます・・」

「私は金子セイラ・・ありがとうございます、タイチさん・・」

 タイチとセイラが照れながら、互いに自己紹介をする。

「も、もう1度友達に連絡してみるよ・・」

 タイチは動揺を見せたまま、またノゾムたちへの連絡を試みる。

「えらく仲がいいみたいだな。」

 そこへ声がかかって、タイチとセイラが振り返る。2人の前にトシヤが現れた。

「オレたちに逆らって、無事でいられると思ったら大間違いだぞ。」

「あ、あなたは・・!?

 忠告を告げるトシヤに、セイラが緊張を覚える。彼女はトシヤが裏切り者として始末しに来たと考える。

「誰ですか、あなた?セイラさんに何か・・?」

 タイチがトシヤに歩み寄って問いかけてきた。

「危ない、タイチさん!」

 セイラが呼びかけるが、タイチがトシヤが出した拳を体に受けて突き飛ばされる。

「タイチさん!」

 セイラがとっさにタイチを受け止める。殴られたタイチは気絶して動かなくなる。

「私のために関係ない人を・・・!」

 セイラがトシヤに対して感情をあらわにする。

「人間に肩入れしたところで、裏切られるのは目に見えているのに・・」

 トシヤがそんな彼女に呆れて肩を落とす。

 タイチを横たわらせてから、セイラが体に力を入れる。彼女の姿がネコを思わせる姿、キャットビースターに変わった。

「ビースターになったばかりだというのに・・身の程知らずが・・」

 いら立ちをふくらませるトシヤの姿も変わる。彼は鳥の姿をしたバードビースターとなった。

「生まれたてのひよこが鶏に勝てはしない。そのことをその体に思い知らせてくれる。」

 トシヤが笑みを浮かべて、腕と翼を広げて飛び上がる。セイラがタイチから離れて、トシヤを迎え撃つ。

 飛翔したトシヤが急降下して、セイラに飛びかかる。セイラが加速して迎撃するが、トシヤの突撃を受けて突き飛ばされる。

「ムダだ。お前が速さを出しても、オレの速さには敵わない。」

 倒れているセイラを見下ろして、トシヤがあざける。彼は空中を旋回して再びセイラに向かって突っ込む。

 そしてトシヤの突進がセイラの体を捉えた。その直後、トシヤのスピードが止まった。

「な、何っ!?

 突進を止められたことに驚くトシヤ。セイラは彼の体をしっかりと受け止めてつかんでいた。

「いくら速くても、向かってくるのが分かるなら・・!」

 セイラが声と力を振り絞って、トシヤを思い切り投げ飛ばす。

「ぐっ!」

 トシヤが壁に叩きつけられてうめく。体勢を整えようとする彼が、身構えているセイラを視認する。

「まさか、これほどの力を備えていたとは・・!」

 セイラの潜在能力に毒づいたトシヤが、やむなくセイラの前から飛び去った。

「私に、これだけの力が・・・」

 ビースターとなった自分の力に、セイラ自身動揺を感じていた。

 

 トシヤと対面する直前、ノゾムは彼からの着信に気付いた。面倒事に巻き込まれているのではないかと思って、ノゾムはツバキ、ユウキより先に戻ることにした。

「タイチもタイチだな・・オレのことを言えないじゃないか・・」

 愚痴をこぼしながら足を速めるノゾム。彼は横たわるタイチと、キャットビースターになっているセイラを目撃した。

「ビースター・・アイツ、タイチを・・!」

 ノゾムがセイラに怒りを覚える。彼はセイラがタイチを襲おうとしていると思った。

“マックス!”

 ノゾムがビースドライバーにマックスカードをセットした。

「変身!」

“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”

 ビースドライバーの左上のボタンを押して、ノゾムがマックスに変身した。彼の接近に気付いて、セイラが身構える。

 ノゾムがセイラに向かって、握った右手を振りかざす。セイラが後ろに跳んで、ノゾムのパンチをかわす。

「何、この人!?ビースターとは違う!?

 ノゾムの変身しているマックスに、セイラは驚くばかり。彼女に向かってノゾムが攻撃を続けて、タイチから引き離す。

「手は出させないぞ、ビースター・・勝手なマネをさせるか・・!」

 ビースターへの怒りをふくらませて、ノゾムがセイラに向かっていく。

 そこへツバキが駆けつけて、倒れているタイチを目にした。

「タイチくん!」

 ツバキがタイチに駆け寄って、支えて呼びかける。するとタイチが小さく吐息をもらす。

「気絶しているだけみたい・・・」

 ツバキがタイチの様子を見て安心する。そしてユウキが遅れてやってきて、セイラを目撃する。

(セイラさん!)

 ツバキたちの後方で、ユウキがマックスに攻撃されているセイラを見て動揺する。

(セイラさんを・・アイツ!)

 激高したユウキがドラゴンビースターになった。彼は飛び出してノゾムに向かっていく。

「ビースターがもう1人!?

 ツバキが上げた声を耳にして、ノゾムがユウキの接近に気付いた。ノゾムがユウキの突撃を受けて、セイラから引き離される。

「オレの仲間に手出しはさせないぞ!」

「仲間がいたのか!?

 怒鳴りかかるユウキに、ノゾムが声を上げる。マックスとドラゴンビースター、2人の戦いが始まった。

 

 

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