仮面ライダーマックス

第2話「オレの怒りは限界突破!」

 

 

 突然、龍の怪人へと変わったユウキ。怒りをあらわにした彼に、リコは恐怖していた。

「た、助けて!誰か助けて!バケモノが!バケモノがー!」

 リコが助けを求めて叫び声を上げる。するとユウキがリコの首をつかんで、壁に押し付けた。

「自分を押し付けて他の人を困らせておいて平気でいたお前が、誰かに助けを求めるのか・・・!?

「うるさい・・殺されそうになってるのに、何もしないで殺されてやるヤツなんて、誰もいないって!」

 鋭く言いかけるユウキに、リコがいら立ちをふくらませる。しかし彼女はユウキの手を振り払うことができない。

「とにかく放せ!こんなマネしてただで済むと思ってるの!?

 怒鳴りかかるリコに、ユウキがさらに怒りをふくらませる。

「自分のことを棚に上げて、どこまでも・・お前のようなヤツがいるから、みんなは・・・!」

 ユウキが左手をリコの体に突き立てた。

「うっ!」

 重みのある打撃を受けて、リコがうめく。意識が途切れた彼女が力なく倒れた。

 事切れたリコをユウキが見下ろす。彼が感じていたのは悲しみや人殺しをした自責の念ではなく、治まらない怒りだった。

「どうして・・どうしてこうなる前に分かろうともしなかったんだ・・・ちょっとでも聞く耳を持ってくれていたら・・・!」

 両手を強く握りしめたまま、ユウキは歩き出した。路地には息の根の止まったリコが取り残されていた。

 

 ビースドライバーとアニマルカードの力で変身を果たし、スパイダービースターを倒したノゾム。ベルトを外した彼の体からスーツとマスクが消えた。

「助かった・・あのビースターを倒すなんて・・・!」

 少女がノゾムの戦いを見て戸惑いを覚える。

「ノゾム、どうしたんだ、いったーい!?

 タイチがノゾムに駆け寄って心配の眼差しを送る。

「大丈夫、ノゾム!?どこかケガとか、おかしいって思うところはない!?

 タイチの声にノゾムが小さく頷く。彼は今の自分の状態を把握し切れていなかった。

 ノゾムが動揺を浮かべている少女に目を受けて、肩を落としてため息をついた。

「アンタ、これはいったい何なんだ?あのバケモノは何者なんだ?」

 ノゾムが少女に詰め寄って問いかけて、ビースドライバーを突き返す。

「わけの分かんないものを使えって言ってきて・・つい使ってあのバケモノをブッ倒しちまったけど、オレに何かあるのか・・!?

「あなたに何か異常が起こったってことは多分ないと思う。もしそうなら、私もどうかなっているはずだから・・」

 問い詰めてくるノゾムに、少女が戸惑いを見せながら答える。

「これはビースドライバー。科学者である私のお父さんのいる研究チームが開発したもので、強い戦闘能力を出すことができるの。今みたいに。」

 少女がノゾムとタイチにビースドライバーについて説明する。

「変身することは誰でもできる。でもその全員がビースドライバーとアニマルカードの力を使いこなせるわけじゃない。私も使いこなせなかったけど、あなたは使いこなせた・・」

 語りかける少女が深刻な顔を浮かべる。自分でビースドライバーを使いこなせなかった悔しさを、彼女は感じていた。

「どうすれば使いこなせるようになるのかは今でも分からない・・今のところ、使いこなせるのはあなただけ・・・」

 少女がビースドライバーからノゾムに視線を移す。

「本当は他の人を巻き込みたくないけど、今はこれしかいい方法が見つからない・・お願い・・あの戦士、マックスになって、ビースターを倒して!」

「ビースター?さっきのバケモノのことか?あんなのが他にもいるっていうのか・・!?

 頼み込んできた少女に、ノゾムが疑問を投げかける。

「冗談じゃない・・そんなものに付き合ってられるか・・・!」

 彼がため息をついて、少女の頼みを断る。

「ちょっと待って!ビースターはどこに潜んでいるのか分からない!どこで人を襲うか分からないんだよ!だからビースターをやっつけて、みんなを守らなくちゃ!」

「ふざけんな・・そうやってオレに無理やり何かさせようとしても、そうはいかないぞ・・!」

 必死に呼びかける少女だが、ノゾムは不満を口にするばかりである。

「オレが気にくわないのは、おどしや押し付けをされてそれを正しいことにされること、ムチャクチャをされることなんだよ・・イヤな思いをされてめでたしめでたしになんてなるか・・!」

「そんな!私はそんなつもりじゃ・・!」

「オレにはオレの時間があるんだ・・オレがどうするかはオレが決める・・お前や他のヤツが勝手に決めるな・・・!」

 不満を言い放って歩き出すノゾムに、少女が動揺を隠せなくなる。

「ちょっとあなた、いい加減に・・!」

「あー、ちょちょちょ、ちょっと待ったー!」

 ノゾムに詰め寄ろうとした少女を、タイチが慌てて呼び止めた。

「これ以上言っても逆効果になるだけだよ〜!」

「マックスの力を1番引き出せるのはあの人だけなんだよ!こうしている間にも、ビースターが・・!」

「ノゾムも言ってたじゃない。無理やり何かやらされたくないって・・」

 声を荒げる少女をタイチがなだめる。

「ノゾムに無理やり何かやらせようとしても、逆にやる気をなくすよ。たとえどんなにいいことでも、どうしてもやらなくちゃいけないことでもね。」

「そんなこと言っても、のんびりしている場合じゃ・・!」

「そうやって引っ張り出そうとしたら、ノゾムは君の言うことを全然聞かなくなるよ・・」

 困る少女にタイチが冷静に言いかける。

「どうしてもノゾムに何かしてほしいなら、頼むのは1回か2回、後は返事が来るのを待つだけ。ノゾムはけっこう慎重派だから、ちょっと考えてから答えを出すことが多いんだよ。」

「そんな・・のんびりしていたら、いつどこでビースターが狙ってくるか・・・」

 ノゾムのことを話すタイチに、少女が深刻さをふくらませていく。

「そういえば君の名前、聞いてなかったね?僕はタイチ。さっきのがノゾムっていうんだ。」

「ツバキ・・大塚(おおつか)ツバキ・・・」

 タイチが問いかけて少女、ツバキが名乗る。

「ツバキちゃんか。よろしくね、ツバキちゃん。」

 タイチが笑顔を見せて、ツバキに手を差し伸べてきた。

「えっと・・おじさん・・代々木ゴロウさんを知らない・・・?」

 ツバキがタイチに問いかけを投げかけてきた。

「えっ!?君、父さんのこと知ってるの!?

「父さんって・・あなた、ゴロウさんの息子さん!?

 タイチとツバキがお互いに驚きを見せる。

「タイチ、何しているんだ?・・おや、ツバキちゃんじゃないかー!」

 そこへゴロウがやってきて、ツバキを見て感動の声を上げる。

「おじさん、お久しぶりです。会えてよかったです。」

 ツバキが安心の笑みを浮かべて、ゴロウと握手を交わした。

「どうしたんだい、ツバキちゃん?連絡してもらえたら迎えに行ったのに・・」

「ごめんなさい、おじさん・・バタバタしていて連絡が取れなかったんです・・」

 心配をするゴロウに、ツバキが事情を話す。しかし彼女はビースドライバーやアニマルカード、ビースターのことはゴロウには話さなかった。

 そのことをツバキがあまり他言したくないことを、タイチは悟った。

「そうか・・とにかく、僕の別荘に来て。ここで立ち話もなんだから・・」

「は、はぁ・・」

 ゴロウからの誘いに、ツバキがただただ頷く。

「父さん、僕はノゾムを呼びに行ってくるよ。2人は先に行ってて。」

 タイチはツバキたちに言うと、ノゾムのところへ向かった。

「も、もしかしてノゾムくんが何かしたのかな・・・?」

「い、いえ・・私が迷惑をかけてしまったみたいで・・・」

 ゴロウが心配の声をかけて、ツバキが苦笑いを浮かべて答えた。

 

 ツバキの頼みをはねつけて、ノゾムは動物公園の園内に来ていた。

 公園にはたくさんの動物が飼育されていた。それぞれの動物にできるだけ合った形で。

(できれば檻から出てのびのびさせたいとこだけど、逆に動物たちがイヤな気分になっちまうからな・・・)

 公園にいる動物のことを考えるノゾム。

 ノゾムはタイチやゴロウなど、自分に近しい人以外に対する疑心暗鬼を抱えていた。自分に強要したり不愉快な思いをさせてきたりして正しいことにすることへの憤りを感じていて、彼はそれをされると徹底的に反発しようとするのである。

(オレはそいつに対して何も悪いことをしてない・・明らかに向こうが悪いのに、悪いこととも思っちゃいない・・・)

 自分たちの責任を果たさない人への怒りを噛みしめて、ノゾムは自分を貫こうとしていた。

「お兄ちゃーん♪」

 そこへワタルが両親、ワオンと一緒にやってきて声をかけてきた。

「お前は・・」

「さっきはワオンを助けてくれてありがとうね♪ワオン、いつもは僕の言うことをきちんと聞き分けてくれるんだけど・・」

 目を向けるノゾムにワタルが感謝する。突然走り出したワオンに、ワタルは不安を感じていた。

「動物は危険に敏感なんだ・・イヤな予感ってヤツを、人間よりも感じやすいんだ・・」

「お兄ちゃん・・・」

 ノゾムが口にした言葉を聞いて、ワタルが戸惑いを感じていく。

「オレも敏感になっちまってるんだよ・・世の中の危険に・・・」

 周りの不条理への憤りを感じながら、ノゾムはそれらを過剰に気にしている自分へのわだかまりも感じていた。もう少し気楽になれたらと、彼は心の片隅で思っていた。

 

 ゴロウに連れられて別荘の近くまで来たツバキとタイチ。そこへゴロウがふと思い出して声を上げた。

「しまった〜!部屋の中、整理整頓の途中だった〜!」

 頭を抱えるゴロウに、ツバキとタイチがあ然となる。

「ゴメン、ツバキちゃん!軽く片づけてくるから、ちょっと待ってて!」

「あっ!おじさん!」

 別荘に駆け込んでいくゴロウに、ツバキが声を上げる。

「父さん、いつもこの調子なんだよねぇ。どこか抜けているっていうか・・」

「前と会ったときと変わってなかった・・相変わらずっていうところだね、おじさん・・」

 ゴロウのことを話して、タイチとツバキが苦笑いを浮かべた。

「ヤツめ、仕留め損なったのか・・・?」

 そのとき、ツバキたちに向かって声がかかった。振り返った2人の前に、1人の大柄の男が現れた。

「どうかしましたか?ご案内しましょうか?」

 タイチが男に向かって駆け寄ろうとした。

「待って、タイチくん!・・この人、もしかして・・!?

 ツバキが呼び止めて、タイチが足を止める。男が2人に向かって手を差し伸べてきた。

「お前が持っているという強力な武器、オレによこせ。」

 男が手招きをしてツバキにビースドライバーを要求する。

「あなたもビースターなの・・!?

「そういうことだ。命がほしかったら武器をよこしな・・!」

 ツバキが問いかけて、男が笑みを浮かべる。彼の体から黒い霧があふれ出す。

「えっ!?な、何っ!?

 男の変化にタイチが驚く。男がゴリラのような姿をした怪人へと変わった。

「ビースター!・・あなたになんか絶対に渡さない!」

 ツバキが言いかけて怪人、ゴリラビースターに対して身構える。

「・・あ、あれ・・!?

 そのとき、ツバキは自分がビースドライバーを持っていなかったことに気付いた。

「あれ、どこ!?どこに行っちゃったの!?

 彼女が慌ててビースドライバーを探す。

「ああっ!あの人が持ったままだった〜!」

 ツバキはノゾムがビースドライバーを持っていたことを思い出して、頭を抱えてから大きく落ち込む。

「それじゃ僕も君も、生身で何とかしなくちゃならないってこと!?

 タイチもこの事態に動揺をあらわにする。

「何をゴチャゴチャやっている!?武器を渡さないなら、命はないぞ!」

 ゴリラビースターがいきり立って、ツバキとタイチに迫る。

「は、早くノゾムのところに行かなくちゃ!」

 タイチが呼びかけて、ツバキを連れて走り出す。

「逃がすか!」

 ゴリラビースターがタイチたちを追って走り出す。タイチとツバキが必死にゴリラビースターから逃げていく。

「早くノゾムを見つけて、あのベルトであのバケモノを何とかしないと・・!」

 タイチが慌てて言いかけて、ツバキが頷く。ゴリラビースターが地響きを上げながら、2人を追いかけた。

 

 別荘のほうから騒々しさを感じたノゾム。彼は再びイヤな予感を感じていた。

(さっきのバケモノが他にもいるってんじゃないだろうな・・・!?

 疑問と不快感を抱えながら、ノゾムが歩き出す。

「オレは行くぞ・・」

「お兄ちゃん・・う、うん・・」

 低い声で言いかけたノゾムを、ワタルが小さく頷いて見送った。

(コイツ、持ってきてたのか・・アイツに返さないと・・)

 ツバキにビースドライバーを返そうと、ノゾムは彼女のところへ戻ることにした。

 その別荘への道の途中だった。

「あっ!ノゾム!」

 ノゾムがタイチ、ツバキと鉢合わせとなった。

「ノゾム、いたー!大変だよ!さっきの怪物がまた現れたんだー!」

 タイチがノゾムに会えて安心する。

「早くビースドライバーを返して!ビースターをやっつけないと!」

 ツバキがノゾムに呼びかけて手を差し伸べる。するとノゾムがため息をついてきた。

「オレは押し付けられるのはイヤなんだよ・・だからコイツを返そうと思った・・・」

 ノゾムが言いかけてから、ツバキにビースドライバーを返そうとした。

「だけどコイツをお前はまともに使えないんだろ?現時点でまともに使えるのはオレだけ・・」

 しかしノゾムはビースドライバーを外さずに、ゴリラビースターに目を向ける。

「お前も気に入らないんだよ・・人から無理やり何かしたり何かをぶんどろうとしたりするのがな・・!」

「たわごとを言っていないで、それをオレによこせ。そいつがその強力な武器なんだろう?」

 いら立ちを見せるノゾムに向けて、ゴリラビースターが右手を伸ばす。

「そう言われて渡すバカはいないんだよ・・!」

 ノゾムがゴリラビースターの要求を拒むと、ビースドライバーの左上のスイッチを押した。ドライバーにはアニマルカードの1枚「マックスカード」がセットされたままである。

“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”

 ノゾムが赤いスーツとマスクを身にまとう。彼は仮面の戦士、マックスへの変身を果たした。

「変身することでパワーアップするというものか!どれほどのものなのか、オレが試してやるぞ!」

 ゴリラビースターが笑みをこぼして、ノゾムに迫る。ゴリラビースターが振りかざすパンチを、ノゾムが軽やかな身のこなしでかわしていく。

 ゴリラビースターが両手を前に出して捕まえようとするが、ノゾムがジャンプして彼の背中を踏みつけて飛び越える。

「すごい!マックスになったノゾムに、ビースターが手も足も出ていない!」

 ツバキがノゾムの動きを見て、戸惑いを見せる。

「でも見た目通りパワーはすごそうだから、捕まったら大変だよ・・!」

 タイチが不安を口にして、ツバキが息をのむ。

「動きは素早いな!だがいつまでも逃げ切れるものではないぞ、オレからもビースターからも!」

 ゴリラビースターが言い放って、握り合わせた両手を地面に叩きつけた。地面が大きく揺れて、ノゾムが揺さぶられてふらつく。

 体勢を崩したノゾムが、ゴリラビースターの両手に捕まってしまう。

「ノゾム!」

 持ち上げられるノゾムに、タイチが叫ぶ。

「捕まえたぞ!このままぶっ潰してやる!」

 ゴリラビースターが笑みを浮かべて、手の力を入れてノゾムを締め付ける。

「ぐっ!」

 ノゾムが体に痛みを覚えてうめく。彼がゴリラビースターに地面に押し付けられる。

「ま・・負けないで!ビースターに負けたら、みんなも大変なことになってしまう!」

 ツバキが声を振り絞って、ノゾムに呼びかける。ノゾムが彼女に一瞬視線を向ける。

「人も動物も、みんなビースターにムチャクチャにされてしまう!」

「動物がムチャクチャに・・・!?

 ツバキの言葉を耳にして、ノゾムが感情を高ぶらせる。彼が両足を前に出して、ゴリラビースターの体を押し込む。

「ぐぬっ!?

 ノゾムに突き飛ばされたことに驚くゴリラビースター。彼との距離を取って、ノゾムが呼吸を整える。

「平和に暮らしている動物たちにひどいことをしようっていうのか・・そんなことさせるかよ・・!?

 ノゾムがゴリラビースターに鋭い視線を向ける。

「そんなことは誰だろうとさせないよ・・どんなヤツだろうとな!」

 言い放つノゾムがゴリラビースターに向かっていく。彼が力を込めてパンチを繰り出すが、ゴリラビースターの体に大きなダメージを与えられない。

「スピードはあるが、パワーは足りないようだな!」

 ゴリラビースターが笑みをこぼして、両手のパンチを出してノゾムを突き飛ばした。

「くそっ!だったら・・!」

 ノゾムがいら立ちを感じて、ビースドライバーの左上のボタンを2回押す。

“マックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”

 ノゾムがジャンプして、エネルギーを集めた右足のキックを繰り出した。キックはゴリラビースターに命中したが、彼は押されただけで踏みとどまっていた。

 ゴリラビースターが体から力を入れて、ノゾムを突き飛ばした。

「そんな!?あのキックが効かない!?

 タイチがノゾムのピンチに焦りを見せる。ノゾムが立ち上がって、いら立ちを覚える。

「そんなものか、お前のちからは!?

 ゴリラビースターがそんなノゾムをあざ笑う。

「他のカードを、アニマルカードを使って!マックスの力は今の姿だけじゃない!」

 ツバキがノゾムに向かって呼びかけた。

「カードって、変身するときに使ったヤツみたいなのか・・・!?

 ノゾムがビースドライバーの横にあるカードホルダーに手を伸ばした。ホルダーには数枚のカードが収められていて、それぞれ動物が描かれたものだった。

「その中のカードをベルトに入っているカードと入れ替えて!」

「入れ替えろって・・どれを使えば・・・!?

 ツバキが呼びかけて、ノゾムがホルダーから取り出したアニマルカードを見て疑問を覚える。

「コイツは・・もしかしたら使えるかもしれない・・・!」

 ノゾムはその中から1枚のカードを取り出した。ゾウが描かれたカードである。

 ノゾムがビースドライバーからマックスカードを取り出して、アニマルカード「エレファントカード」をセットした。

“エレファント!”

 続けてノゾムはビースドライバーの左上のボタンを押した。

“チャージ・エレファーント!ハイフット・ハイレッグ・ハイハイエレファーント!”

 するとノゾムのまとうマックスの姿に変化が起こった。スーツのメインカラーが灰色となり、マスクもゾウを思わせるものとなった。

「変わった!あれはもしかしてゾウ!?

 タイチがノゾムの変身した姿を見て声を上げる。

「コロコロと姿を変えたところで、オレに勝てるわけがないだろうが!」

 ゴリラビースターが言い放って、ノゾムに飛びかかる。

 ゴリラビースターが両手を伸ばすが、ノゾムの両手に受け止められる。

「何っ!?

 攻撃を受け止められたことに驚くゴリラビースター。彼が力を込めるが、ノゾムの手を振り払うことができない。

「コイツ、さっきよりもパワーが上がっている!?

 ノゾムの発揮するパワーに、ゴリラビースターがさらに驚く。

「オレの怒りは、限界を超えているんだよ!」

 ノゾムが言い放って、ゴリラビースターを持ち上げてきた。

「な、何だと!?

 声を上げるゴリラビースターを、ノゾムがそのまま放り投げた。地面に叩きつけられて、ゴリラビースターが地面を転がる。

「動物には手を出させない・・お前のようなヤツにはな!」

 ノゾムが言い放って、ビースドライバーの左上のボタンを押した。

“エレファントチャージ!アニマルスマーッシュ!”

 ノゾムの両足にエネルギーが集まっていく。彼はジャンプして、立ち上がったゴリラビースターに両足を突き出した。

「ぐおっ!」

 ゴリラビースターが大きく突き飛ばされて、壁に叩きつけられた。

「オレの力をも、上回るというのか・・・!」

 断末魔の声を振り絞って、ゴリラビースターが倒れて爆発を起こした。

「すごい・・これが、マックスの力・・変身したノゾムの力・・・!」

 マックスに変身したノゾムを見て、タイチが動揺を隠せなくなる。ノゾムがタイチとツバキに振り返って視線を向ける。

 ビースターとの戦いに、ノゾムも身を投じることになった。

 

 

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