仮面ライダーマックス

不滅のライダーカード

第5章

 

 

 ミラには2つの人格があった。破壊を楽しむ裏の人格が表に出て、ノゾムたちを倒そうと企む。

「マックス、フォックス、このライダーであなたたちを葬ってやるわ・・」

 ミラが言いかけて、体から出ている黒いオーラを凝縮させていく。オーラは2人のライダーを具現化した。

 白い仮面ライダー、エターナルと金色のライダー、ゴルドドライブである。

「お前らに地獄を見せてやるよ・・」

「お前たちに披露しよう。究極の力というものを・・」

 エターナルとゴルドドライブが言いかけて、ノゾムとソウマに迫る。

「ツバキとタイチは離れているんだ!ここは危ない!」

「ソウマくん・・ノゾム、2人とも気を付けて・・!」

 ソウマが呼びかけて、ツバキがタイチと一緒にこの場を離れる。

「まぁいい・・まずはお前らから片づけてやる・・」

 エターナルが言いかけて、一気に加速してソウマを蹴り飛ばした。

「ソウマ!」

「お前の相手はこの私だ!」

 ソウマへ叫ぶノゾムに、ゴルドドライブが突っ込んできた。

「ぐっ!」

 ノゾムがパンチを食らって突き飛ばされる。ノゾムが踏みとどまって、ゴルドドライブに反撃を仕掛ける。

 しかしノゾムのパンチはゴルドドライブに軽々と回避と防御をされて、さらに瞬間移動でもかわされた。

「その程度で私に勝とうとは滑稽だな。お前自身の身の程知らずを思い知ることだ。」

 ゴルドドライブがノゾムをあざ笑う。彼が右手からエネルギーの糸を伸ばして、ノゾムの体を縛る。

「ぐっ!」

 エネルギーの糸に絡め取られて体の自由が利かず、ノゾムがうめく。

「こんなもので、オレがやられてたまるか・・!」

 もがくノゾムだが、ゴルドドライブに振られて壁や地面に叩きつけられる。

「これでは私の手をわずらわせることもできんな・・」

 ゴルドドライブがため息をついてから、ノゾムを地面に叩き落とした。

「私は天才なのだ。本来の最高の頭脳に加えて、そこから導き出した最高の力も兼ね備えている!」

 ゴルドドライブが高らかに言い放って、ノゾムをあざ笑う。

「世の中は私の頭脳の足元にも及ばない無能ばかり。私の天才を理解できない馬鹿ばかりだ・・だから今こそ、私がその偉大さを思い知らせるのだ!」

「理解したくもないな・・お前の思い上がりなんか・・!」

 自信を込めて言い放つゴルドドライブに、ノゾムが怒りの声を上げる。

「思い上がりなどではない。私が天才なのは紛れもない事実・・」

「それが思い上がりだって言ってるんだよ!」

 さらにあざ笑うゴルドドライブに、ノゾムが怒号を放つ。

「自分のためだけに他のヤツを弄んで平気でいるヤツを、オレは許さない・・お前のように、自分が正しいと言い張るヤツを、オレは野放しにはしない!」

「私の力と科学に、世界も屈することとなる!お前とて私に逆らうことなど許されはしないのだ!」

「勝手に決めるな!何がいいことなのか、何が正義かを見誤るな!」

 自分の考えが絶対と思っているゴルドドライブに、ノゾムがさらに怒りをふくらませる。

「オレはお前をブッ倒す・・お前のようなヤツの思い通りになってたまるか!」

 ゴルドドライブへの敵意をむき出しにするノゾム。そのとき、ノゾムの前に1つの光の玉が現れた。

「これも、もしかして・・!」

 ノゾムがつかむと、光の玉は1枚のカードに変わった。

「これは、オメガ・・!」

 仮面ライダーオメガが描かれたライダーカード「オメガカード」を目にして、ノゾムが頷いた。

“オメガ!”

 思い立ったノゾムがビースドライバーにオメガカードをマックスカードと入れ替えて、左上のボタンを押した。

“チャージ・オメガー!スピリットパワー・ソウルパワー!エンドレスオメガライダー!”

 マックスのスーツにオメガの装甲の模様が入る。マスクにもオメガの仮面の模様が入る。

「その姿・・オメガライダーの力を持ったのか。」

 ゴルドドライブがノゾムの姿を見て呟く。

「だが誰が何をしようと、私を超えることはできないのだよ!」

 ゴルドドライブは高らかに笑うと、ノゾムに向かって飛びかかる。ゴルドドライブが繰り出すパンチとキックを、ノゾムは正確にかわしていく。

「動きは早くなったようだ。だが私には遠く及ばないぞ。」

 ゴルドドライブは自信を絶やすことなく、ノゾムを攻め立てる。ノゾムが反撃を仕掛けて、ゴルドドライブにパンチを当てていく。

「ぐっ!・・この私に攻撃を当てるなど・・!」

 ゴルドドライブがいら立って、瞬間移動でノゾムの後ろに回った。だが感覚を研ぎ澄ませていたノゾムは、後ろ回し蹴りを繰り出して、ゴルドドライブを蹴り飛ばした。

「なん・・だと・・!?

 動きを読まれたことに驚くゴルドドライブ。

「お前の動きが手に取るみたいに分かるって気がする・・お前のイヤな感じ、イヤでも感じてくるな・・!」

 振り向いたノゾムが自分の正直な思いを、ゴルドドライブに向かって口にする。

「そんなことで、この私が劣勢に立たされるなど、あり得ん・・!」

 ゴルドドライブが納得がいかず、いら立ちをふくらませていく。

「あり得ないのは、お前のようなヤツが好き勝手することなんだよ!」

 ノゾムが怒号を放つと、ゴルドドライブに飛びかかって連続でパンチを叩き込んでいく。

「がはっ!」

 ゴルドドライブが突き飛ばされて地面を転がる。立ち上がった彼に向かって、ノゾムが歩を進めていく。

「や、やめろ!私を超える天才的頭脳は存在しない!私がいなくなれば、世界にとって大きな損失になるのだぞ!」

 危機感を覚えたゴルドドライブがノゾムに呼びかける。しかし彼の戦いの制止への呼びかけが利己的でしかないと感じて、ノゾムはさらに怒りを強めた。

「お前・・自分が天才だと思い上がっているのに、全然分かっていないな・・分かろうともしていない・・お前のようなヤツがいるほうが、世の中がおかしくなるんだよ!」

“オメガチャージ!ライダースマーッシュ!”

 ノゾムが怒号を言い放って、ビースドライバーの左上のボタンを2回押す。彼が右足にエネルギーを集中させて、ゴルドドライブに向かっていく。

「おのれ・・この愚か者が!」

 ゴルドドライブも激高して、右足にエネルギーを集めて、ノゾムと同時にジャンプしてキックを繰り出した。2人のキックがぶつかり合って、周囲に衝撃が巻き起こる。

「オレは戦う・・お前のような、思い上がっている敵と!」

 ノゾムが言い放って、ゴルドドライブのキックを押していく。

「私は偉大な頭脳の持ち主だ!私が消えることなどありえなーい!」

 絶叫を上げるゴルドドライブが、体にキックを受けて突き飛ばされる。ゴルドドライブが空中で爆発して、ベルト「バンノドライバー」も木端微塵に吹き飛んだ。

 着地してマックスの姿に戻ったノゾムが、ミラに振り返る。

「なかなかやるわね・・でもそのがんばりもここで終わりよ。」

 笑みをこぼすミラに対して、ノゾムが両手を握りしめて構えを取った。

 

 エターナルに蹴り飛ばされて、廃屋の中に飛び込んだソウマ。追ってきたエターナルを前にして、ソウマが立ち上がる。

「まだまだ音を上げてくれるなよ。本当の地獄はこれからだからな・・」

 エターナルがため息まじりに言いかけると、ソウマに一気に詰め寄る。彼の繰り出すパンチとキックを受けて、ソウマが押されていく。

「けっこう速いじゃないか。だけどスピードでオレに敵うヤツはいない!」

 ソウマが素早くジャンプして、エターナルの攻撃をかわす。だが着地の直後にエターナルに蹴り飛ばされる。

「オレには見え見えなんだよ、ウスノロが・・」

 エターナルがソウマを見下ろして嘲笑する。

「オレはこの世界全部を地獄に変えてやる・・お前にも他のヤツらも、オレの受けてきた地獄を思い知らせてやるんだよ・・・!」

「世界を地獄に変えるだと!?・・ふざけたことをぬかすな!」

 自分の野望を口にするエターナルに、ソウマが怒りをあらわにする。

「オレはここで生きている!みんなもそれぞれの場所で幸せになろうとがんばっている!それを、お前だけの都合でムチャクチャにされてたまるか!」

 ソウマが言い放って、エターナルに敵意を向ける。

「オレは守る!オレの大切な人たちを、みんなの居場所を!」

 そのとき、ソウマの前に黒と緑、2つの光が飛びだしてきた。2つの光は合わさって、1枚のカードになった。

 仮面ライダーWが描かれたライダーカード「Wカード」である。

“ダブル!”

 ソウマがビースドライバーにWカードをセットして、左上のボタンを押した。

“チャージ・ダブル!2人のライダー・ダブルライダー・サイクロンジョーカー!”

 フォックスのスーツとマスクが右側が緑に、左が黒になる。マスクにさらにWの形の模様が入った。

「さぁ、お前の罪を数えろ!」

 ソウマがエターナルを指さして言い放つ。

「その姿・・イライラしてくるな・・!」

 エターナルがソウマを見ていら立ちを見せる。

「まずはお前を地獄の底へ叩き落とす必要があるな!」

 エターナルが飛びかかって、ソウマに攻撃を仕掛ける。しかしソウマの流れるような動きに、エターナルはパンチもキックも当てられない。

「いつまでも逃げ切れると思うな・・!」

 エターナルが左手を伸ばして、ソウマの右肩をつかんだ。次の瞬間、右腕を振りかざしたソウマの右半身から、緑の旋風が巻き起こった。

「何っ!?

 エターナルが驚きを感じながら、旋風に巻かれて宙を回って、そのまま倒された。

「コイツ、能力までWを再現している・・!」

 立ち上がるエターナルがソウマに宿っている力に毒づく。

「お前にはこの風の速さには追いつけない・・自分のことしか考えてないお前じゃな!」

 ソウマは言い放つと、ビースドライバーの左上のボタンを2回押した。

“ダブルチャージ!ライダースマーッシュ!”

 ソウマが緑の風に乗って宙に浮く。

「追いかける必要はない・・地獄へ叩き落とすだけだ!」

 エターナルがナイフ「エターナルエッジ」のスロットに「ガイアメモリ」の1本「エターナルメモリ」をセットした。

Eternal!Maximum drive!”

 エターナルも浮遊して、ソウマと同時にキックを繰り出す。

「ジョーカーエクストリーム!」

 ソウマの体が縦半分に分かれる。彼の時間差のキックが、エターナルのキックとぶつかり合う。

 ソウマの力と風に押されて、エターナルが体にキックを受けた。

「またやられるのか、オレは・・地獄で待っているぞ・・・!」

 断末魔の笑みをこぼして、エターナルが落下しながら爆発して消えた。

「やった・・急いでノゾムのところに戻らないと・・・!」

 ソウマは頷いてから、ノゾムのところへ戻っていった。

 

 マックスの姿に戻ったノゾムが、ミラと対峙する。ノゾムを前にしても、ミラは笑みを絶やさない。

「私はこの世界を混乱させて、その様子を楽しむのよ。あなたたちが何をしてきても、私を止めることはできないわ・・」

「止める!・・お前の身勝手な楽しみで、オレたちがムチャクチャにされてたまるか!」

 自分の野望を口にするミラに、ノゾムが怒りの声を上げる。

「なら見事止めてみる?反抗してくる相手をねじ伏せるのも面白いからね。」

「コイツ!」

 ミラの言葉にいら立って、ノゾムが飛びかかる。だがミラが伸ばした右手から放たれた念力に捕まって、ノゾムは宙で身動きが取れなくなる。

「くっ!・・こ、このっ!・・ぐあっ!」

 もがくノゾムがミラの念力に吹き飛ばされて、地面を転がる。

「言ったはずよ。誰も私を止めれないって・・」

 微笑みかけるミラからあふれている黒いオーラが、彼女自身を包み込んだ。現れた彼女の姿が、黒い体の怪人へと変わっていた。

「まずはあなたから、私の力を味わってもらうわよ・・!」

 立ち上がったノゾムを見つめて、ミラがさらに微笑んだ。

 

 

 

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