仮面ライダーマックス
不滅のライダーカード
第3章
ノゾムとソウマに返り討ちにされたショッカーライダー。生き残った1人が、ノゾムたちに対して逆襲の機会をうかがっていた。
「マックス、フォックス、必ずやお前たちの首を・・!」
「いつまでも見苦しい不様をさらしてんじゃねぇよ・・」
敵意をむき出しにしていたところで、ショッカーライダーが声をかけられる。振り返った瞬間、彼が一閃を食らって昏倒する。
「お、お前・・なぜ、私を・・・!?」
うめくショッカーライダーが爆発を起こした。
「負け犬にウロウロされると目障りなんだよ・・おとなしくあの世に逝っとけ・・」
ショッカーライダーを始末したライダーが、きびすを返して歩き出した。
ミラを捜して動物公園からその周辺へと捜索範囲を広げたノゾムたち。ツバキとタイチがミラを心配する中、ノゾムは彼女への疑念をふくらませていた。
「どこにいるんだよ・・オレたちのことを分かっているなら、さっさと出てこいよ・・・!」
ミラへのいら立ちを感じていくノゾム。目つきを鋭くした彼が周りを見回す。
「ミラちゃん・・他の悪いライダーに襲われてるかもしれない・・・!」
「あるいは・・・」
タイチの心配にソウマが言葉を続けようとした。
「あるいは・・・?」
ツバキがソウマに疑問を投げかけた。
そのとき、ノゾムたちの周りに冷たい空気が流れてきた。
「な、何だ・・!?」
「何だか寒気が・・どうしたっていうんだ・・!?」
ノゾムが警戒を強めて、タイチが体を震わせる。
「ち、ちょっと、火の玉・・!?」
さらに青白い火の玉が現れて、ツバキが緊張をふくらませていく。
「お前らだな、ビーストライダーっていうのは・・」
さらに1人の男が現れて声をかけてきた。黒い装甲に身を包んだ男である。
「そういうアンタは何者だ?この前の悪いライダーの仲間か?」
「仲間?オレをあんな連中と一緒にされちゃ困るな。この幽汽、なめるとすぐにあの世逝きになるぜ・・」
ソウマの問いかけに男、幽汽があざ笑いながら答える。
「お前らならオレを楽しませてくれそうだな。相手してもらうぜ・・」
「物騒なことを言ってくれるな・・地獄に送り返さなくちゃならないってヤツか・・」
挑発する幽汽にソウマが毒づく。
「ツバキとタイチはミラを捜してくれ・・あの幽霊ヤローはオレがブッ倒す・・」
ノゾムが幽汽に目を向けたまま、ツバキたちに呼びかける。
「分かったよ、ノゾム・・ソウマくんも気を付けて・・・!」
ツバキは答えてから、タイチと一緒にこの場を離れた。
「それじゃお前の望み通り、相手をしてやるよ・・!」
“マックス!”
“フォックス!”
ノゾムが幽汽に呼びかけて、ソウマとともにビースドライバーにそれぞれのアニマルカードをセットした。
「変身!」
“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”
“チャージ・フォーックス!ソニックフォックス!ソリッドフォックス!ビース・ハイスピード!”
ビースドライバーの左上のボタンを押して、ノゾムとソウマがマックスとフォックスに変身した。
「オレの怒りは限界突破!」
「オレの強さは疾風迅雷!」
ノゾムとソウマが言い放って構えを取る。
「オレを相手にいつまでいい気になっていられるか!」
幽汽がいきり立って、ノゾムたちに飛びかかる。
ノゾムとソウマが応戦して、幽汽へパンチとキックを繰り出す。しかし幽汽はものともせずに2人に反撃を当てる。
「どうした!?そんなんじゃちっとも面白くねぇぜ!」
幽汽があざ笑って、剣を手にして振りかざす。
「ぐっ!」
マックス、フォックスのスーツが剣で切られて火花を散らして、ノゾムとソウマがうめいて突き飛ばされる。
「ムダなんだよ、オレに勝とうなんて・・このままオレに倒されて、地獄巡りでもしてくるんだな・・!」
幽汽がノゾムたちを見下してあざ笑う。
「ふざけたことぬかすな・・オレはお前のように思い上がっているヤツが許せないんだよ・・!」
ノゾムたちが立ち上がって、幽汽に向かって怒りの声を上げる。
「生意気なヤローだ・・お前らはオレにおとなしくやられてくたばりゃいいんだよ!」
幽汽がいら立ちを見せて、剣を振りかざしてノゾムを切りつける。
「くっ!」
「ノゾム!」
うめくノゾムにソウマが叫ぶ。
「オレはくたばらない・・くたばるのはお前のほうだ・・オレはお前をブッ倒したくて仕方がなくなってるんだよ!」
さらに幽汽への怒りをふくらませるノゾム。
そのとき、ノゾムの目の前に赤い光が現れた。ノゾムが戸惑いを感じながら手を伸ばすと、光が1枚のカードに変わった。
「また、ライダーのカードか・・!」
ノゾムがそのカードを見つめて頷く。電車のライダー、電王・ソードフォームが描かれたライダーカード「電王カード」である。
“電王!”
ノゾムがビースドライバーに電王カードをセットして、左上のボタンを押した
“チャージ・電王!モモ・ウラ・キン・リュウ・トレインライダー!クライマックスライダー・電王!”
マックスのスーツと仮面に変化が起こって、電王・ソードフォームを思わせるデザインと模様が入った。
「オレ、参上!」
ノゾムが突然ポーズを決めた。次の瞬間、彼は我に返って、自分のしたことに恥を覚える。
「・・って、何でこんなことやってるんだ・・・!?」
ノゾムが肩を落として、ソウマもあ然となっていた。
「電王・・忌々しいアイツの姿になるとはな!」
幽汽がいら立ちを覚えて、ノゾムに飛びかかる。ノゾムが武器「デンガッシャー」を「ソードモード」にして手にした。
ノゾムが振りかざしたデンガッシャーと幽汽の剣が激しくぶつかり合う。ノゾムが勢い任せに攻め立てて、幽汽をだんだんと押していく。
「コイツの中身もガムシャラってのか!?」
毒づく幽汽がデンガッシャーに切られて突き飛ばされる。
「オレの怒りは、最初からクライマックスなんだよ!」
ノゾムが言い放つと、ビースドライバーの左上のボタンを2回押す。
“電王チャージ!ライダースマーッシュ!”
ノゾムがエネルギーを集めた刀身を、デンガッシャーから放つ。刀身はブーメランのように回転しながら、幽汽を切りつけていく。
「くそー!こうなったらー!」
幽汽がいら立って、ベルトに「ライダーパス」をかざす。
“Full charge.”
鬼火をまとった剣を地面に叩きつけて、幽汽が衝撃波を放ってノゾムを狙う。
“フォックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ソウマが飛び出して、幽汽の衝撃波をキックではじき飛ばした。
ノゾムが頷いて、デンガッシャーの刀身を落として、幽汽を切り裂いた。
「お、おのれ!」
幽汽がとっさに体から何かを飛び出させた。彼の正体である怪人「イマジン」の1人、ゴーストイマジンが爆発する幽汽から分離した。
「おのれ、マックス・・こうなったら何もかもぶっ壊してやるよ!」
いら立ちが頂点に達したゴーストイマジン。
「人間もこの世界も、全部ムチャクチャになったらどうなるか、楽しみだぜ!」
「そんなことさせるか!」
ゴーストイマジンに言い返したのはソウマだった。
「オレたちはこの場所で生きる人間だ!お前のようなバケモノたちに、オレたちの居場所を荒らされてたまるか!」
ソウマが言い放って、ゴーストイマジンに向かって握った右手を突き出す。
「オレは戦う・・人間として・・人間を守るために!」
決意を口にしたときだった。ソウマに前に赤い光が現れて、1枚のカードに変わった。
「また新しいライダーのカードか・・」
ソウマがそのカードを手にして見つめる。仮面ライダーファイズが描かれた「ファイスカード」である。
「オレもやらせてもらうとするか!」
“ファイズ!”
ソウマがビースドライバーにファイズカードをセットして、左上のボタンを押した。
“チャージ・ファーイズ!ワン・ツー・スリー・フォー・ゴーゴゴー!エクシードライダー・ファイズ!”
フォックスのスーツに赤いラインが入って、マスクにファイズの顔の形の模様が入る。ソウマはファイズの力を身に宿した。
「みんなの幸せは、オレが守る!」
ソウマが言い放って、ゴーストイマジンに向かって走り出す。
「たわけたことを!」
ゴーストイマジンがいら立って、手にした剣を振りかざす。ソウマは剣をかわして、早く力強いパンチをゴーストイマジンに叩き込んでいく。
「ぐあっ!」
ゴーストイマジンが突き飛ばされて、痛みを感じてうめく。
「コイツもパワーが跳ね上がってるみてぇだ・・あんなにガムシャラな攻撃なのに・・!」
ゴーストイマジンがソウマの戦い方にも毒づく。ソウマが右の手首を鳴らしてから、右足を振り上げてゴーストイマジンを蹴り飛ばした。
地面を転がったゴーストイマジンに目を向けて、ソウマがビースドライバーの左上のボタンを2回押した。
“ファイズチャージ!ライダースマーッシュ!”
ソウマがジャンプして右足を突き出す。彼に右足から赤い光の円錐が放たれて、立ち上がったゴーストイマジンの眼前に迫った。
ソウマが円錐の中を通るように急降下した。彼のキックがゴーストイマジンの体を貫いた。
「がはぁっ!・・このオレが・・このオレがやられるなど・・!」
絶叫を上げるゴーストイマジンが爆発して消滅した。
「やった・・また新しいライダーの力が使えるようになったな。」
ソウマが呟いて、自分が変身した姿を確かめる。
“スリービースト。”
彼がノゾムとともに変身を解いた。
「ツバキたちを追いかけるぞ・・アイツを見つけてるかもしれない・・」
「そうだな・・急がなくちゃな・・!」
ノゾムとソウマが声をかけ合って、ツバキとタイチを追いかけていった。
ミラを捜しに動物公園の周りを駆けていくツバキとセイラ。2人のミラへの心配はふくらむばかりだった。
「ミラちゃん、ホントにどこに行っちゃったんだよ〜・・・!?」
タイチが動揺しながら周りを見回す。彼とツバキは公園から離れた裏通りに足を踏み入れた。
「もう私たちのそばにはいないんじゃ・・!?」
「そんなわけないよ!ミラちゃんと会えなくなるなんて!」
不安を口にしたツバキに、タイチがたまらず声を上げる。ところがツバキが動揺を浮かべたのを見て、タイチは言葉を詰まらせる。
「ゴメン、ツバキちゃん・・僕、ミラちゃんのことが心配で・・・」
「謝るのは私だよ、タイチくん・・無神経なことを言っちゃって・・・」
互いに謝って気分を落ち着かせるタイチとツバキ。
そのとき、ツバキたちの近くの廃工場から、光が煙のように出てきた。
「あれは・・!」
「もしかしたら、あそこにミラちゃんが・・!?」
ツバキが声を上げて、タイチがミラのことを考える。
「ミラちゃんが危ないかもしれない・・僕は行くよ!」
「あっ!タイチくん、待って!」
タイチが工場へ向かって走り出して、ツバキが追いかけた。
廃工場の中に入ったツバキとタイチ。2人はミラのことを気にしながらも、ゆっくりと中を歩いていく。
そしてツバキたちは外へ出ていた光の元を見つけた。
「こ、これって・・・!?」
「まさか・・・!?」
驚きのあまりに思わず声を上げてしまうツバキとタイチ。すると光の矛先が2人に向けられた。
「キャアッ!」
「うわあっ!」
ツバキとタイチが悲鳴を上げて、意識を失った。倒れた2人を1つの影が見下ろしていた。