仮面ライダーマックス

不滅のライダーカード

第2章

 

 

 突如現れて、ノゾムとソウマにライダーカードを渡した少女、ミラ。彼女は闇のライダーが他にもいることを伝えて、他のライダーカードを探してほしいと頼んできた。

 いつどこで闇のライダーが現れるのか。ライダーカードはどこにあるのか。

 ノゾムとソウマは動物公園の周辺を歩き回っていた。

「わざわざこっちから探しに向かわなくても・・敵のほうから出てくるんじゃないのか・・?」

「それはそうだけど、公園の近くでドンパチやるのは気が引けるんじゃないか?」

 ノゾムが愚痴をこぼすと、ソウマが気さくに答える。ノゾムは言い返そうとせず、ただため息をついた。

 そのとき、ノゾムは複数の足音がするのを耳にして、ふと足を止めた。

「どうした、ノゾム?」

「近くでおかしな足音がしている気がする・・こっちに近づいているのか・・・?」

 ソウマが聞いてきて、ノゾムが答えて目を凝らす。

「オレは見えないが・・まだ遠くにいるのか・・?」

 ソウマも目を凝らしてじっと見る。彼も近づいてくる複数の影を目撃した。

「何だ、アイツらは・・!?

 ソウマは人影の正体に気付いて声を上げた。ノゾムも仮面を着けた複数の人物が来たことに身構える。

「コイツらも、ライダーっぽい姿をしている・・!」

「しかもイヤな感じがする・・さっきのヤツの仲間か・・!?

 姿を現したライダーたちに、ノゾムとソウマも警戒を強める。2人の目の前に来たところで、ライダーたちは並列して足を止めた。

「お前たちは誰だ?さっきの黒いライダーの仲間か・・!?

 ソウマがライダーたちに問いかける。

「我らはショッカーライダー。我ら”ショッカー”にあだ名すライダーは、全て排除する。」

 仮面の戦士、ショッカーライダーの1人が答える。

「ショッカー?何だ、そりゃ?」

 ソウマが疑問を投げかけるが、ショッカーライダーは答えることなく飛びかかってきた。

「問答無用かよ・・お前たちのことなんか、知りたくもないけどな・・!」

 ノゾムがいら立ちを見せて、ソウマと一緒に足を出して、ショッカーライダーのうちの2人を蹴り飛ばす。

“マックス!”

“フォックス!”

 2人がそれぞれマックスカードとフォックスカードを、ビースドライバーにセットして左上のボタンを押した。

「変身!」

“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”

“チャージ・フォーックス!ソニックフォックス!ソリッドフォックス!ビース・ハイスピード!”

 ノゾムがマックスに、ソウマがフォックスに変身した。

「マックス、フォックス、ここで排除する。」

 ショッカーライダーたちが一斉に飛びかかって、ノゾムたちが迎え撃つ。

 ノゾムがショッカーライダーをパンチで攻め立てる。ソウマがスピードを上げてショッカーライダーに連続攻撃を当てる。

 だが人数の差で不利になり、ノゾムとソウマが次第に追い詰められていく。

「やっぱり数が多いし、それなりに力があるか・・!」

「だったら全員まとめてブッ倒すだけだ!」

 ソウマが毒づくと、ノゾムがいら立ちを見せて、ビースドライバーの左上のボタンを2回押す。

“マックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”

 ノゾムがジャンプして、ショッカーライダーの1人にキックを当てた。しかしショッカーライダーは押されただけでダメージを受けていない。

「コイツもあの黒いライダーと同じなのか・・!」

 マックス、フォックス自体の力でショッカーライダーを倒せないことを、ソウマが痛感する。

「だったらこのカードを使うしかないってことか・・!」

 ノゾムが思い立ってビルドカードを取り出した。

 だがそこへショッカーライダーの1人がジャンプで飛び込んできて、キックを繰り出した。ノゾムが蹴り飛ばされて、そのはずみでビルドカードを落としてしまう。

「コイツ、邪魔するなよ!」

 ノゾムが不満の声を上げて、ショッカーライダーを蹴り飛ばす。だが他のショッカーライダー2人に腕を取り押さえられる。

「ノゾム!」

 ソウマが声を上げるが、他のショッカーライダーたちに行く手を阻まれる。

「お前たちをショッカー基地へ連れていく。抵抗はムダだ。」

 ショッカーライダーがノゾムたちを連行しようとする。

「ふざけるな!お前たちの言いなりにはならない!」

 ノゾムがショッカーライダーに抵抗しようとして、踏みとどまろうとする。

「オレは戦う・・お前たちのように、誰かをいいようにしようとするヤツらを、オレはブッ倒す!」

 自分の信念と敵への怒りを貫くノゾム。

 そのとき、ノゾムたちのいる場所に2つの光が飛んできた。光はショッカーライダーたちを吹き飛ばして、ノゾムとソウマの目の前で止まった。

「この光・・もしかしたら・・!?

 ソウマが声を上げて、ノゾムが光に手を伸ばす。光は1枚のカードに変わった。

「コイツも、仮面ライダーっていうヤツなのか・・・!?

 ノゾムがそのカードを見て呟く。このライダーカードに描かれていたのは、初代仮面ライダーだった。

 ソウマも光をつかむと、もう1枚のライダーカードに変わった。

「こっちもだ・・ちょっと似てるが違うみたいだ・・」

 ソウマが言いかけて、自分とノゾムが持っているライダーカードを見比べる。ソウマが手にしたライダーカードに描かれているのは、仮面ライダー2号である。

「今回はコイツを使えってことか・・!」

 ノゾムが頷いて、ライダーカード「1号カード」をビースドライバーにセットした。

“1号!”

 ビースドライバーから音声が流れる。

「よし!オレも!」

“2号!”

 ソウマもビースドライバーにライダーカード「2号カード」をセットした。ノゾムと彼がビースドライバーの左上のボタンを押した。

“チャージ・1号!ライダーキック・ライダーパンチ・テクニックファーストライダー!”

“チャージ・2号!ライダーパワー・ライダージャンプ・パワーセカンドライダー!”

 マックスとフォックスのスーツが緑を基本としたものに変わった。マスクもそれぞれ1号ライダー、2号ライダーの仮面を思わせる模様となった。

「そ、その姿・・1号ライダーと2号ライダーだと・・!?

 ショッカーライダーたちがノゾムたちの姿を見て、動揺を見せる。

「強さが湧いてくる・・これが、最初の仮面ライダーの力・・・!」

「たまにはスピードじゃなくパワーで攻めるのも悪くないか!」

 ノゾムが湧き上がる力を感じて、ソウマが笑みをこぼす。

「うろたえるな!姿がWライダーになろうと所詮は偽者!我々の敵ではない!」

 ショッカーライダーの1人が他のショッカーライダーたちに檄を飛ばす。

「お前たちだって偽者じゃないか!」

 ソウマがツッコミを入れて、ノゾムとともに立ち向かう。2人がショッカーライダーへ攻撃を仕掛ける。

 ショッカーライダーのパンチとキックを、ノゾムが正確に回避と防御をしていく。

「いつもより動きやすい・・これが本当の、仮面ライダーの力か・・!」

 1号ライダーの力を実感して、ノゾムが頷く。

 ソウマもショッカーライダーを力強いパンチで攻め立てていく。

「これが力の仮面ライダーってことか・・!」

 2号ライダーの力にソウマが戸惑いを自信を覚える。彼のパンチがショッカーライダーたちを吹き飛ばす。

「よし!このまま一気にアイツらを倒すぞ!」

 ソウマが意気込みを見せて、ビースドライバーの左上のボタンを2回押す。

“2号チャージ!ライダースマーッシュ!”

 ソウマが右手を強く握りしめて、ショッカーライダーの1人に飛びかかる。

「ライダーパンチ!」

 ソウマが繰り出したパンチがショッカーライダーの1人に命中した。空中に跳ね上げられたショッカーライダーが、空中で爆発を起こした。

「オレもやってやるぞ・・!」

 ノゾムもいきり立って、ビースドライバーの左上のボタンを押す。

“1号チャージ!ライダースマーッシュ!”

 ノゾムがショッカーライダーを鋭い視線を向けてから、大きくジャンプする。壁から壁へとジャンプを繰り返していくと、彼の足に電気がほとばしっていく。

「ライダー稲妻キック!」

 ノゾムの電撃を帯びたキックが、ショッカーライダーの1人に命中した。ショッカーライダーが倒れて爆発を起こした。

「な、なんということだ・・!」

「本物のWライダーに勝るとも劣らない強さだ・・!」

 ノゾムとソウマの強さを目の当たりにして、ショッカーライダーたちが動揺する。

「今度は同時攻撃をやってみるか、ノゾム!」

「それも悪くないか・・・行くぞ、ソウマ・・!」

 ソウマとノゾムが声をかけ合って、ビースドライバーの左上のボタンを押した。

“1号チャージ!ライダースマーッシュ!”

“2号チャージ!ライダースマーッシュ!”

 2人が同時にジャンプしてショッカーライダーのうちの2人もジャンプする。

「ダブルライダーキック!」

 ノゾムとソウマ、ショッカーライダーたちが繰り出したキックがぶつかり合う。ノゾムたちのキックにショッカーライダーたちが突き飛ばされた。

 倒れて転がったショッカーライダーたちが、動かなくなって爆発した。

「お、おのれ、仮面ライダーども・・!」

 残った1人のショッカーライダーが、慌てて逃げ出そうとする。しかしジャンプして飛び越えたソウマに回り込まれた。

「おっと!1人だけ尻尾巻いて逃げられると思うなよ!」

 自信を見せるソウマに、ショッカーライダーが動揺を隠せなくなる。

「お前たちは誰だ?・・この前の黒いライダーの仲間なのか・・!?

 ノゾムがショッカーライダーに問い詰める。

「我々は世界征服を企むショッカーの一員・・お前たちを戦力に加えれば、ショッカーの戦力は盤石となる・・」

「だからそのショッカーっていうのは何なんだ?まさか悪の組織だなんていうんじゃないだろうな?」

 ショッカーライダーが語りかけるが、ソウマは呆れて肩をすくめる。

「我々を倒したところでショッカーは、怪人たちは滅びることはないのだ・・!」

 ショッカーライダーが高笑いを上げると、大きくジャンプしてノゾムたちの前から逃げた。

「しまった!逃げられた!」

「くっ・・見つけたら今度こそ叩き潰してやる・・!」

 ソウマが肩を落として、ノゾムがショッカーライダーへの怒りを噛みしめる。

「それにしても、今回のショッカーライダーといいこの前のヤツといい、一体何なんだ・・?」

 ソウマがショッカーライダーやダークゴーストへの疑問を感じていく。

「アイツに、ミラにもうちょっと詳しく聞いたほうがいいかもしれない・・」

「聞きに行くとするか・・」

 ノゾムの呟きにソウマが頷く。2人はミラに改めて話を聞こうと走り出した。

 

 ミラに話を聞こうと動物公園に戻ってきたノゾムとソウマ。2人の前にツバキとタイチが駆けつけた。

「ノゾム、ソウマくん、ミラちゃんがいなくなってしまったの!」

「何だって!?

 ツバキが口にした言葉に、ソウマが驚く。

「アイツにもっと状況を詳しく聞こうと思ったのに・・!」

 ノゾムがいら立ちを浮かべて周りを見回す。

「さっきまた悪いライダーが現れたんだ。そのことで話を聞きたかったんだけど・・」

「まさか今回のこと、アイツの仕業なんじゃ・・!?

 ソウマが事情を話すと、ノゾムがミラへの疑念を覚える。

「まさかそんな・・不思議で謎なところがあるけど、悪そうな感じはしなかったよ・・」

 タイチが腕組みをして、ミラのことを考える。

「とにかく、ミラを捜すぞ!何にしても話を聞かなくちゃならないからね!」

 ソウマが呼びかけて、ツバキとタイチが頷く。ノゾムたちはミラを捜しに駆け回った。

 

 外の明かりがほとんど差し込まない部屋の中。その奥で黒い煙のようなオーラがあふれていた。

 あふれたオーラは1つに集まって、1つの影を生み出した。霊魂を宿すような不気味な雰囲気を醸し出した仮面ライダーの姿を。

 

 

 

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