仮面ライダーマックス
不滅のライダーカード
第1章
世界や地球、人々の自由と平和を守り続けてきた戦士、仮面ライダー。
彼らはそれぞれの世界、それぞれの場所で戦いを続けている。
その強さが、新たなるライダーに宿る。
動物の能力を備えた怪人「ビースター」。暗躍して人々を襲うビースターと戦う戦士「ビーストライダー」。
神奈ノゾムと渋谷ソウマ。2人はビーストライダー、マックスとフォックス。
それぞれの信念に基づいて、2人はビースターと戦っていた。
その2人の前に、新たな脅威が迫ろうとしていた。
ノゾムは居候している動物公園で動物の世話をしていた。この日も公園での仕事をこなしていた。
同じく動物公園の別荘で暮らしている少女、大塚ツバキがやってきた。
「私も手伝うよ、ノゾム。」
「ここはもうちょっとで終わる。やるならそっちを頼めるか?」
ツバキが声をかけて、ノゾムが作業を続けながら呼びかける。
「ノゾムもツバキちゃんもがんばっているね。」
そこへ1人の青年がやってきて、ノゾムたちに声をかけてきた。代々木タイチ。この動物公園の園長を任せられている。
「僕もやるよ。ツバキちゃん、一緒に行こう。」
「ありがとう、タイチくん。でもできる限り、私だけの力でやってみたいの・・」
手伝おうとするタイチにツバキが感謝する。2人の会話を耳に入れながら、ノゾムは仕事を続けた。
そのとき、動物公園の近くで悲鳴がしたのを、ノゾムたちは耳にした。
「何だろう?何かあったのかな・・?」
タイチが疑問符を浮かべて、騒ぎを気にする。
「僕、ちょっと見てくるよ。」
「ほっとけよ、タイチ。この近くで何かあったわけじゃないんだし・・」
様子を見に行こうとするタイチに、ノゾムが言いかける。
そのとき、ノゾムたちの近くに1人の人物が現れた。黒いスーツとパーカー、白い仮面を着けていた。
「何だ、アレは!?・・ビーストライダー・・じゃないよね・・!?」
「シャドームーンでもない・・別のライダーか・・!?」
タイチとノゾムがその人物を見て声を上げる。仮面を着けたその戦士は、ノゾムがかつて戦ったシャドームーンではなかった。
「私はダークゴースト。神奈ノゾム、仮面ライダーマックスを倒すためにここに来た。」
「何っ・・!?」
現れたライダー、ダークゴーストにノゾムが驚きを覚える。
「オレに何かしようっていうなら、オレは容赦しないぞ・・!」
ノゾムがダークゴーストに鋭い視線を向ける。
「またおかしなことになっているみたいだね。」
そこへ1人の青年がやってきて、ノゾムと合流した。
「ソウマくん!」
ツバキが青年、ソウマに声を上げる。ソウマはツバキに目を向けて微笑んでから、ダークゴーストに視線を戻す。
「もう1人のビーストライダー・・ここで2人まとめて葬り去る。」
ダークゴーストが言いかけて、ゆっくりと構えを取る。
「お前の思い通りにはならない・・オレがお前をブッ倒す・・・!」
「お前もビースターじゃないけど、いい気にさせとくわけにいかないな・・」
ノゾムとソウマがダークゴーストに言いかけて、それぞれカード「アニマルカード」を手にした。
“マックス!”
“フォックス!”
2人が身に着けているベルト「ビースドライバー」に、それぞれアニマルカード「マックスカード」と「フォックスカード」をセットした。
「変身!」
彼らがビースドライバーの左上のボタンを押した。
“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”
“チャージ・フォーックス!ソニックフォックス!ソリッドフォックス!ビース・ハイスピード!”
ノゾムとソウマの体をそれぞれ赤、黄色と茶色のスーツが包んで、頭に野獣とキツネを思わせる形状のマスクが装着された。
「オレの怒りは限界突破!」
「オレの強さは疾風迅雷!」
ノゾムとソウマが言い放って、ダークゴーストを見て構える。
ソウマが先行してダークゴーストに飛びかかる。スピードのあるソウマのパンチとキックを、ダークゴーストは正確に回避と防御をしていく。
「思ったよりも素早いようだな・・!」
ソウマが毒づきながら、ダークゴーストへさらに攻撃を仕掛ける。ノゾムもソウマに加勢するが、それもダークゴーストは回避してみせる。
「あの人、何だか手ごわそうだよ・・!」
「ノゾムもソウマくんも、手も足も出なくなっている・・・!」
ダークゴーストの動きを見て、タイチもツバキも動揺を隠せなくなる。
ダークゴーストがパンチを出したソウマの右腕をつかんで投げ飛ばす。ノゾムもダークゴーストの出した左足のキックを受けて突き飛ばされる。
地面を転がるソウマとノゾムが、すぐに立ち上がってダークゴーストに視線を戻す。
「コイツ、あんまりいい気になるなよ・・!」
ソウマがいら立ちを見せて、ビースドライバーの左上のボタンを2回押す。
“フォックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ソウマがスピードを上げて走って跳んで、右足にエネルギーを集めたキックを繰り出した。彼のキックがダークゴーストに命中した。
「やった!」
決定打になったと思って、タイチが喜ぶ。だがダークゴーストは平然としている。
「何だとっ!?」
ダメージを与えられていないことに驚くソウマ。彼がダークゴーストが振りかざした腕に叩かれて突き飛ばされる。
「ソウマ!だったらオレが!」
ノゾムがいきり立って、ビースドライバーの左上のボタンを2回押した。
“マックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ノゾムがジャンプして、エネルギーを集めた右足をダークゴースト目がけて繰り出した。しかしダークゴーストはキックを直撃されても、ダメージを受けていない。
「どういうことだ・・オレたちの技が効かないぞ・・!?」
ノゾムもダークゴーストに攻撃が通じないことに、驚きを隠せなくなる。
「どうなってるの〜!?マックスとフォックスの攻撃が効かないなんて〜!?」
「何かからくりでもあるっていうの・・!?」
タイチがさらに動揺して、ツバキが疑問を感じていく。
「どうやればアイツにダメージを与えられる!?・・全く通じないなんてこと、絶対にありえない・・・!」
ダークゴーストに太刀打ちできないことに納得がいかず、ノゾムが怒りをふくらませていく。
「ビーストライダーの力では、そのライダーは倒せない。」
そこへ声がかかって、ノゾムたちが振り向く。彼らの前に1人の白髪の少女が現れた。
「何だ、お前は!?・・そいつの仲間か・・・!?」
「ううん・・私はミラ。あなたたちの力になりたいの・・」
身構えるノゾムに少女、ミラが自己紹介をする。
「このカードを使って・・それならあなたたちは勝てる・・・」
ミラがノゾムとソウマにそれぞれカードを1枚ずつ投げて渡した。ノゾムたちが手にしたカードには、それぞれ装甲と仮面を身に着けた戦士が描かれていた。
「これは、エグゼイド!?・・エグゼイドのカード・・!」
「こっちのはビルドが写っているぞ・・!」
ノゾムとソウマがカードを見て声を上げる。カードに描かれているのは仮面ライダー、エグゼイドとビルド。ノゾムたちは2人のライダーと対面したことがある。
「コイツを使えっていうのか・・!?」
ノゾムが言いかけて、ミラが静かに頷いた。ノゾムとソウマが目を合わせて、ミラの言葉を信じた。
“エグゼイド!”
“ビルド!”
ノゾムとソウマがエグゼイドカードとビルドカードをビースドライバーにセットして、左上のボタンを押した。
“チャージ・エグゼーイド!レッツゲーム・メッチャゲーム・ムッチャゲーム・エグゼイドライダー!”
“チャージ・ビルドー!サムズアップ・ビルドアップ・フィジックス・ビルドライダー!”
マックスとフォックスのスーツがそれぞれピンク、赤と青に変わった。2人のマスクの模様もエグゼイド、ビルドのマスクと同じ形状となった。
「さぁ、実験を始めようか・・ん?」
「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ・・ん?オレ、何言ってるんだ?」
言い放つソウマとノゾムだが、その自分たちに疑問を覚える。2人とも無意識に言葉が出てしまった。
「えっ?えっ!?」
「どういうことなんだ・・・!?」
ツバキもタイチも2人の言葉に疑問符を浮かべる。
「き、気を取り直して、アイツを倒すことにするぞ!」
ソウマが呼びかけてノゾムが頷く。2人がダークゴーストに向かって飛びかかって、パンチとキックを繰り出す。
「マックスになっているときと比べて違和感がない・・それどころか、やる気があふれてくる・・!」
エグゼイドの力を実感して、ノゾムは高揚感を覚える。
「この力なら変えられそうだな・・イヤな運命ってヤツを・・!」
ノゾムが自信を見せながら、ダークゴーストにパンチを叩き込む。重みのある一撃を受けて、ダークゴーストが大きく突き飛ばされて壁に叩きつけられる。
「よし・・勝利の法則は決まった!」
ソウマが言いかけて、ノゾムと頷き合う。
“ダイカイガン!ダークゴースト!オメガドライブ!”
ダークゴーストがエネルギーを集中させて、ジャンプしてキックを繰り出す。
“ビルドチャージ!ライダースマーッシュ!”
ソウマがビースドライバーの左上のボタンを2回押してからジャンプする。彼がグラフの形をしたエネルギーの滑走路に沿ってキックを繰り出す。
“エグゼイドチャージ!ライダースマーッシュ!”
ノゾムもジャンプして、エネルギーを集めた右足のキックをダークゴースト目がけて繰り出した。ノゾムとソウマのキックにキックが押し負けて、ダークゴーストが突き飛ばされた。
倒れたダークゴーストが立ち上がるが、力尽きて再び倒れて、爆発を起こした。
「やった!黒いライダーをやっつけたよ!」
ノゾムとソウマの勝利をタイチが喜ぶ。
“スリービースト。”
マックス、フォックスへの変身を解いたノゾムとソウマ。2人はビースドライバーから取り出したエグゼイドカード、ビルドカードを見つめる。
「このカードを使ったら、アイツを倒せた・・・!」
「だけどこのカード、いったいどういうものなんだ・・?」
ノゾムが呟いて、ソウマがミラに問いかける。
「これは、仮面ライダーの力が宿った“ライダーカード”。他のライダーの力が使えるようになる・・」
ミラがライダーカードについて説明する。
「今、闇の力を宿したライダーが復活を果たした・・そしてそのライダーを倒すには、ライダーの力を宿したこのカードを使うしかない・・」
「このカードしか・・確かにマックスの力が、アイツには効かなかった・・・!」
ミラの話を聞いて、ノゾムはダークゴーストとの戦いを思い返す。
「ライダーカードは他にもあるの・・どこにあるのか、何かきっかけがあるのか、私には分からないけど・・・」
ミラが続けてライダーカードのことを話していく。
「それじゃ、他のカードも、他の黒いライダーもまだいるってこと!?」
タイチが不安を感じて周りを見回す。
「はい・・だから他のカードも見つけて、闇のライダーを倒さないといけないの・・」
「そのライダーのカードがないと、闇のライダーに勝てないっていうのか?」
頷くミラに、ソウマがさらに疑問を投げかける。
「また、ややこしいことが始まったのかもな・・・」
ノゾムがいら立ちを浮かべて、今起こっている事態への不満を噛みしめていた。
暗闇に包まれた地下道を歩く複数の影。彼らは首に着けているマフラーをなびかせて、足音を響かせながら前進する。
影たちは無言のまま歩き続けた。自分たちにとっての敵と認識した者を求めて。