仮面ライダークロス
第48話「クロスとマックス 交わる怒りと魂」
全てのライダーソウルを集めたライだったが、1つに集まった仮面ライダーの力を制御できず、その力に囚われてしまった。
ライが聖也に向かって前進して、クロスカリバーを振りかざす。クロスカリバーの刀身から光の刃が放たれた。
聖也がとっさに横に動いて、光の刃をかわした。
「ギャアッ!」
ガラガランダが光の刃に切り裂かれて、絶叫を上げる。
「こ・・こんなことで終わりはせんぞ・・必ず、オレは復活する・・・!」
致命傷を負ったガラガランダが声を振り絞る。
「ハイパーショッカー・・ばんざーい!」
断末魔を上げて倒れて、ガラガランダは爆発した。
「確かに今までのクロスの中で最強の力だ・・だがライくんの意思が込められていない以上、私たちはそれに屈するわけにはいかない・・!」
ライの力に危機感を感じながらも、聖也はライを止める決意を強めた。
「かなたくん、ライくんからベルトを外すぞ!そうすれば変身が解ける!」
「はい!」
聖也の呼び声にかなたが答える。2人がライに向かって同時に走り出す。
「抵抗してくるか。ムダだと言っておく。」
ライが呟いて、足を振りかざして聖也とかなたを蹴り飛ばす。
「うあっ!」
聖也とかなたが返り討ちにされて、地面に倒される。
「ただ突っ込むだけではやられるだけか・・!」
「危険だが、全力を出して力ずくで止めるしかない・・ライくんの底力を信じて・・・!」
焦りをふくらませるかなたに、聖也が指示を出す。
「行くぞ、ライ・・目を覚ましてくれ!」
“シャドームーン!”
かなたがライに呼びかけて、シャドームーンソウルを取り出した。
“ダークチャージ・シャドームーン。”
かなたがシャドームーンソウルのスイッチを入れて、ルシファードライバーの左のソウルスロットにセットした。ルシファードライバーから緑の光があふれ出して、彼の両足に集まっていく。
「私も全力を出させてもらうぞ・・!」
聖也が鋭く言って、クラールドライバーの右のレバーを右手で上げて回転させた。
“ライダースマッシュ・ヴァーイス!”
聖也の両足にエネルギーが集まっていく。彼とかなたが同時にジャンプする。
「ヴァイスクラールキック!」
「ルシファーシャドーキック!」
聖也とかなたが両足のキックを、ライ目がけて繰り出す。
“アルティメットクウガパワー!”
そのとき、ライが構えたクロスカリバーから紫の光があふれ出した。
「クウガ・オールカリバー。」
ライがクロスカリバーを振りかざして、聖也とかなたを切りつけた。
「うあっ!」
聖也たちが大きく吹き飛ばされて、地面を激しく転がった。大きなダメージのため、2人の変身が解除された。
「今のは、クウガの力・・クウガソウルを使っていないのに、使ってきた・・・!」
「全てのライダーの力を束ねているからか・・・!」
クウガソウルを使わずにクウガの力を使ったライに、かなたと聖也が息をのむ。
「言ったはずだ。私は全てのライダーの力を宿していると・・」
ライが呟いて、ゆっくりと立ち上がった司に振り向いた。
「まだしぶとく生きていたか・・世界の破壊者、ディケイド・・」
「オレを追い詰めたヤツが、ずいぶんと落ちぶれたものだな・・」
言いかけるライに、司が呆れた素振りを見せる。
「お前もオレには勝てない。オレの、仮面ライダーの力を思い知ることだ・・」
「どうかな?今のお前のほうが弱くなっているからな・・」
ライに言い返して、司がライダーカードを手にした。
「変身。」
“Kamen ride,Decade.”
彼がディケイドに変身して、続けてケータッチを手にして画面にタッチした。
“Kuuga,Agito,Ryuki,Faiz,Blade,Hibiki,Kabuto,Den-o,Kiba.”
“Final kamen ride,Decade.”
司はコンプリートフォームに変身して、ライに近づいていく。
「その姿になっても、直前でやられたというのに・・」
「今度はそうはいかないぞ・・今のお前なら、なおさら負ける気がしない・・」
呟くように言いかけるライに、司が強気に言い返す。2人が同時にパンチを繰り出して、激しくぶつけ合った。
ライたちが無事に帰ってくるのを待っていたまりとひろし。その最中、まりは不安を感じて、外のほうへ振り返った。
「どうしたんだ、まりちゃん?」
「ひろしさん・・・ライくんに、何かあったんじゃないかって・・」
ひろしが声を掛けて、まりが動揺しながら答える。
「大丈夫だって。ライのヤツが戻れなくなるなんてことがあるもんか。意地でも帰ってくるって。」
ひろしが気さくに振る舞って、まりを励まそうとする。
「私もそう思いたい・・でも・・・」
しかしまりは不安を抑えることができなかった。
「あなたの不安、当たってしまったかもねぇ。」
そこへ声がかかって、まりとひろしが振り向いた。外から1匹の白いコウモリが入ってきて、2人の周りを飛び回ってきた。
「な、何っ!?」
「虫、じゃない・・コウモリか!?どっちにしても、店の中を飛び回りやがって・・!」
まりが驚いて、ひろしがそばにあった棒を持って、コウモリを追い払おうと振り回す。
「ち、ちょっと!やめてってば!襲ったりしないって!」
コウモリが悲鳴を上げて、ひろしたちから離れる。その先に1人の青年が姿を現した。
「ライは戦いに出ているみたいだな・・」
「あなたは確か、神奈ノゾムさん・・!」
呟いた青年、ノゾムにまりが声を掛けた。
ノゾムはライと以前に出会い、力を合わせて戦ったことがある。そのことをまりはライたちから聞いていた。
「ライくんたちは今、ハイパーショッカーと戦っているよ・・」
「ということは、司もそこにいる可能性が高いわね。もしかしたら海東も・・」
まりが事情を話してコウモリ、キバーラが司たちのことを考える。キバーラは司たちと行動をともにしたことがある。
「そのディケイドというヤツのことをそいつから聞いた・・自分が正しいと思い上がっているヤツだと・・・!」
ノゾムが司のことを考えて、怒りを覚えて両手を強く握りしめる。
自分の考えや目的のために他人を傷つけたり、自分が正しいと思って疑わなかったりして、それを何も悪いと思わない。そんな人物に、ノゾムは強い怒りを感じていた。
「この人に司のことを話すんじゃなかったと、今は後悔しているわ・・」
キバーラがノゾムを見てため息をついた。
「ライくんもノゾムさんと同じ気持ちを持っているから、結局同じだと思うけど・・・」
まりがノゾムの性格がライに近いと思って、苦笑いを浮かべた。
「ライがディケイドと戦っているということは、ライダーソウルの全部を集めたということか・・」
「その力を全部使いこなせたらいいんだけど、取り込まれてしまったら、最悪の事態になっているかもね・・」
ノゾムがライのことを呟いて、キバーラがライに起こっていることを口にした。
「最悪の事態・・ライくんに、何か・・・!」
「全てのライダーソウルの力を制御できずに囚われて、正義とか平和のためじゃなく、支配のために行動するようになってしまうの。元々の人格に関係なくね・・」
不安をふくらませるまりに、キバーラがライの状態について語っていく。
「きっと、全ての世界の支配に踏み切るでしょうね。」
「バカな!?ライがそんなふざけたことをしでかすわけがない!アイツはそんなヤツを許せない性格をしてるんだぞ!」」
キバーラの話に耳を疑って、ひろしが声を張り上げる。
「ライくん・・ライくん!」
まりがたまらず外へ飛び出して、ライのところへ行った。
「まりちゃん、待つんだ!」
ひろしが慌ててまりを追いかけていく。
「オレも行く・・ライをほっとけないし、ディケイドを野放しにはしない・・・!」
「ホントにしょうがないわね、みんな・・」
ノゾムが続いてライたちのところへ向かって、キバーラがため息をついてからついていくことにした。
ライダーソウルの力に囚われたライに、司は歯が立たずに打ちのめされていく。
「同じような力を持とうと、仮面ライダーの力を束ねようと、私には勝てん。」
「そいつはどうかな?・・そのライダーの力を、思い知らせてやるよ・・」
強気に言うライに言い返して、司がケータッチの画面にあるキバの紋章にタッチした。
“Kiba.Kamen ride,Emperor.”
構えを取る司の隣に、「エンペラーフォーム」のキバの幻影が現れた。
「その力も、お前以上に使いこなせるぞ。」
“エンペラーキバパワー!”
ライも呟いて、クロスカリバーを構える。その刀身に赤い光が宿る。
「キバ・オールカリバー。」
ジャンプして両足のキックを繰り出してきた司に対して、ライがクロスカリバーを振りかざして赤い刃を放った。
「ぐっ!」
司が赤い刃に押されて、地面に叩き落とされる。
「司だけに任せておくわけにはいかないね・・!」
大樹が苦笑を浮かべて、ライダーカードをディエンドライバーにセットした。
「変身。」
“Kamen ride,Diend.”
彼がディエンドに変身して、司に加勢する。
「2人がかりになれば勝てるというものでないことは、先ほど証明されたはずだ。」
「調子に乗りすぎると痛い目にあうよ。」
ライの投げかける言葉に、大樹が気さくに言い返す。
「あの2人とオレを一緒にされたら困るな。」
司が強気に言って、ケータッチの画面の電王の紋章にタッチした。
“Den-o.Kamen ride,Climax.”
構えを取る彼の隣に、「クライマックスフォーム」の電王の幻影が現れた。
「往生際の悪いヤツだ・・」
“クライマックス電王パワー!”
ライも電王の力を宿したクロスカリバーを構えた。
「電王・オールカリバー。」
ジャンプしてキックを繰り出した司に向けて、ライがクロスカリバーを振りかざした。
「今だ・・!」
“Final attack ride,Diend.”
その瞬間、大樹がディエンドライバーにライダーカードをセットして、ライに向かって光線を放った。光線がクロスカリバーの刀身に当たって、一閃の軌道がずれた。
司からクロスカリバーが外れて、彼のキックがライに命中した。
「当たった・・効いたか・・・!?」
聖也がライの状態を確かめて、彼を注視する。
「これで私を止められると思っていたのか・・?」
ライが笑みをこぼして、平然とした素振りを見せた。
「直撃だったのに、効いてないの・・!?」
攻撃が通じないことに、かなたは絶望に襲われていた。ライを助けることも勝つこともできないと思い知らされて、かなたは心を揺さぶられていた。
「他の仮面ライダーの力を使う者でも、格の違いというものがあることを、お前たちも分かるはず。」
ライが言いかけて、再びクロスカリバーを構えた。
“エクストリームWパワー!”
ライとクロスカリバーから光があふれ出す。彼の後ろに「サイクロンジョーカーエクストリーム」のWの幻影が現れた。
「W・オールカリバー。」
ライが司と大樹を狙ってクロスカリバーを振り下ろした。
「うあっ!」
一閃を受けた司と大樹が吹き飛ばされて、ライたちの前から姿を消した。
「ディケイドもディエンドも私には及ばなかった。お前たち2人からこの世界から排除してやるぞ。」
ライが聖也とかなたに振り向いて、ゆっくりと近づいていく。
「目を覚ますんだ、ライくん!君はこのように力を振るうことを、望んでいないはずだ!」
聖也が感情を込めて、ライに呼びかける。
「これは私の意思。新たな私が見出した目的なのだ。」
しかしライは口調と考えを変えずに言い返す。
「違う!ライはそんな支配、逆に憎んでたくらいだ!ライだったら、今こうして振り回されているのに納得しているわけがない!」
かなたもライに向かって必死に呼びかけた。
「これが本当の私だ。仮面ライダーの力を束ねて、本当の私に目覚めたのだ。」
それでもライの意思に変わりがない。
「とどめを刺させてもらう。天で私の世界統一を見届けるがいい。」
ライが聖也たちに対して構えを取った。聖也もかなたも戦えるまで体力が回復していない。
「やめて、ライくん!」
そこへまりが走ってきて、ライを呼び止めた。
「まりちゃん!?」
彼女の登場に、かなたが目を見開く。ひろし、ノゾム、キバーラも続いて駆けつけた。
「ひろしさんも!?・・白いコウモリ・・!?」
聖也も声を上げて、キバーラも見て緊張をふくらませていく。
「ライ・・ずいぶんと愚かになったものだな・・・!」
ノゾムがライを見て、ため息をついた。
「マックスも来たか。何人出てきても同じことだが。」
「たとえ誰だろうと、思い上がるなら容赦しないぞ・・・!」
言いかけるライに怒りをあらわにして、ライが1枚のカードを取り出した。動物の力を宿した「アニマルカード」の1枚「マックスカード」である。
“マックス!”
ノゾムが装着しているベルト「ビースドライバー」のバックル部分に、マックスカードをセットした。
「変身!」
彼はビースドライバーの左上のボタンを押した。
“チャージ・マーックス!マックスパワー!マックスハート!ビース・マックスライダー!”
ノゾムの体を赤いスーツとマスクが包んだ。彼は「ビーストライダー」と呼ばれる戦士の1人「マックス」に変身した。
「オレの怒りは限界突破・・・!」
ノゾムが鋭く言って、ライに近づいていく。
「待って!ライくんを傷付けないで!」
まりがライとノゾムの間に割って入って、止めようとした。
「ライくん、目を覚まして!元に戻って、みんなで帰ろう・・!」
「私はこの世界を1つに束ねる。この私が世界の覇者となる。」
呼びかけるまりだが、ライは態度を変えない。
「違う!ライくんは約束してくれた!みんな一緒に帰ってくるって!ライくんが、みんなのことを大切に思うライくんが、この約束を破るわけがない!」
「これが本当の私。全てのライダーソウルが集まったことで、私は真の目覚めを果たすことができた。」
まりが声を張り上げるが、それでもライの考えは変わらない。
「それがお前の本音だと言い張るなら、オレはお前を倒すことになる・・・!」
ノゾムがライに向かって鋭く告げる。
「誰にも私は倒せない。マックス、お前が怒りで無限に力を高めたとしても。」
「そうまでして、オレの敵に回りたいというのか・・・!?」
ライに対して、ノゾムが怒りをふくらませていった。
「待って!ライくんは悪くない!ノゾムくんも一緒に戦って分かっているはずだよ!」
まりがノゾムに振り向いて、彼も呼び止める。
「それでもアイツが自分を押し付けようとして、倒そうとするなら、アイツはオレの敵・・アイツがオレの敵に回ったんだ・・・!」
「事実を言ったまでだが、言葉よりも目と体で理解したほうが早いか。」
敵意をむき出しにするノゾムに、ライが落ち着いたまま言い返す。
「やめてよ!2人が戦うなんて、絶対にダメ!」
まりが声を張り上げて、ライにすがりついた。
「邪魔をするなら、すぐに地獄に行くことになるぞ。」
ライが低い声で忠告して、手を出してまりを横に押しのけた。
「まりちゃん!」
倒されたまりにかなたが叫ぶ。まりが傷ついたにもかかわらず、ライは全く動じない。
「そこまで、救えないヤツになってしまったって言いたいのかよ・・!?」
ノゾムが激高して、ライに飛びかかって握った右手を振りかざす。ライもパンチを出して、ノゾムと打撃のぶつけ合いを繰り広げる。
「まりちゃん、大丈夫・・!?」
かなたがまりに駆け寄って支えて、心配の声を掛ける。
「ライくん・・どうして・・・!?」
ライに声が届かないことに、まりは絶望を感じていく。
「ベルトを外すしかない・・」
聖也が2人に近づいて、ライを止める方法を告げる。
「残された道は2つ。ライくんを倒すか、ライくんからベルトを取り上げて変身を解くかだ・・!」
「そんなの決まってる・・ライくんを助ける・・!」
聖也の告げた言葉に対して、かなたは迷いを振り切っていた。
ライに打撃を仕掛けていくノゾムだが、ライの力に押されて返り討ちにされていく。
「これが力の差というものだ。全てのライダーの力と、たった1人のライダーの力の・・」
「そんなことは関係ない・・オレはお前を倒すまで、絶対に倒れない・・!」
笑みをこぼすライに言い返して、ノゾムがビースドライバーの左上のボタンを2回押した。
“マックスチャージ!アニマルスマーッシュ!”
ノゾムが右足にエネルギーを集めて、大きくジャンプする。
「ムダなあがきを・・」
ライが呟いて、クロスタイフーンの右のレバーを右手で上げて回転を加えた。
“ライダースマッシュ・オール!”
クロスの装甲からまばゆい光があふれ出して、ジャンプした彼の両足に集まっていく。
「オールクロスキック。」
ライが繰り出したキックが、ノゾムのキックとぶつかり合った。
「うあっ!」
ノゾムがライのキックに押されて、地面に強く叩きつけられた。激痛に襲われてうめくノゾムの前に、ライが着地する。
「これで諦めるか、とどめを刺されるか、お前自身で選ぶがいい。」
「オレはお前には絶対に屈しない・・オレはお前を、必ず倒す・・!」
選択を迫るライに怒りをふくらませて、ノゾムが立ち上がる。彼がアニマルカード「エックスカード」を取り出した。
“エックス!”
ノゾムがビースドライバーにセットされているマックスカードとエックスカードと入れ替える。彼はビースドライバーの左上のボタンを押した。
“チャージ・エーックス!アンリミテッド・ハイパワー!ビース・エックスライダー!”
ノゾムがまとっているマックスのスーツに変化が起こる。白くなったスーツの真ん中に縦のラインが入り、マスクも「X」の形のラインが入った。
マックスの強化形態「エックスフォルム」である。
「ノゾムくんも、パワーアップを・・!」
まりがノゾムの姿を見て、動揺をふくらませていく。ノゾムはさらにアニマルカード「エクシードカード」を2枚取り出した。
“エクシード!インフィニットマックス!”
彼がエクシードガードを、それぞれ左右のエックスブレスにセットした。
“チャージ・エクシード!インフィニット・エックス!インフィニット・マックス!ビース・エクシードライダー!”
ノゾムをまとうマックスのスーツからまばゆい光があふれ出した。エックスフォルムの白から銀色になっていて、前と後ろに金のラインがX字になるように描かれていた。
ノゾムはマックスの更なる進化の姿「エクシードフォルム」となった。
「マックスの力を最大限まで上げても、私には敵わない。その力も私の中にあるのだから。」
「関係ない・・オレはお前をブッ倒す・・それだけだ!」
強気を消さないライに怒鳴って、ノゾムが飛びかかる。2人が力を込めて、パンチを連続でぶつけ合う。
この打撃の猛攻が、爆発のような衝撃を巻き起こしていた。
「ものすごい戦いだ・・これだけの衝撃では、迂闊に近づけばそれだけでやられてしまう・・・!」
聖也がノゾムたちの戦いを見て息をのむ。ライとノゾムの戦いは互角のまま、互いの体力が起きく消耗されていった。
「私に力を使わせるとは・・しかし、私を追い詰めるとまでは言い切れないぞ。」
「どこまでも思い上がって・・それが大きな間違いだということを分からせる!」
言いかけるライに怒鳴りかかって、ノゾムがさらに攻撃を仕掛ける。
「まずいわね。このままだと2人とも共倒れになるわね。」
「何っ・・!?」
キバーラが口にした言葉に、ひろしが驚きを隠せなくなる。
「お互いに巨大な力をぶつけ合っている。しかも相手が倒れるまで、強引に動いて攻撃を仕掛けている。となると同時に倒れる以外に、この戦いは決着しないことになる・・」
「そんな!?早く2人を止めなくちゃ!」
キバーラの話を聞いて、まりが動揺をあらわにする。
「残念だけど、それはできないわね。今はクラールもルシファーも万全じゃないし、近くに他の仮面ライダーもいない。2人の間に割り込むこともできないわ・・」
「そんな・・・!?」
キバーラが否定をして、まりが絶望をする。聖也もかなたも完全には回復していない。
「どうすればいいんだ・・このままじゃ、ライとノゾムくんが・・!」
ライたちを止める方法が分からず、かなたも不安をふくらませていく。
「方法が1つだけあるわ。でもあなたが危険に飛び込むことになるわよ。」
「それって、どういう・・・!?」
キバーラが投げかけた案に、まりが疑問を投げかける。
「まさかキバーラ、まりちゃんが・・!?」
「そう。私を使って、あなたが仮面ライダーに変身するのよ。」
かなたが驚きを浮かべて、キバーラがまりに告げた。
「仮面ライダーキバーラ・・ディケイド以上の力を備えているライダー・・」
かなたがキバーラのことを思い出していく。キバに力を与えるキバットバット3世のように、キバーラも戦う力を与えることができる。
「戦いという危険に飛び込む・・確かにそうだ・・しかしやるかやらないかを決めるのは、まりさん自身だ・・」
聖也が言いかけて、かなたとひろしがまりに目を向ける。
「まりちゃんが戦いに加わるなんて、僕は耐えられないけど・・・」
「ううん・・私もやるよ・・ライくんを助けるために・・・!」
正直な気持ちを口にするかなたに、まりが顔を横に振って答える。
「キバーラ、どうすれば戦えるようになるの・・!?」
「私と意識を1つにすればいい。戦い方はシンクロしながら教えていくから。」
まりの問いかけにキバーラが優しく答える。
「キバーラと、意識を1つに・・・」
まりが気分を落ち着けてから、キバーラをつかんで掲げた。
「変身!」
まりとキバーラが同時に声を発する。キバーラからあふれた無数のハートがまりを包み込んで、白いコウモリを思わせる姿の仮面ライダーとなった。
「まりちゃんが、仮面ライダーキバーラに・・!」
変身したまりを見て、かなたが戸惑いをふくらませていく。
「私も、仮面ライダーになれた・・・!」
「これであなたも戦えるわ。分かっていると思うけど、攻撃されれば当然ダメージを受けるからね。」
まり自身も確信を持って、キバーラが彼女に注意を投げかける。キバーラはまりの装着しているベルトと一体化している。
「かなたくん、聖也さん、ライくんを止めてくるよ・・・!」
まりは聖也たちに声を掛けてから、ゆっくりとライとノゾムに近づいていく。
「ライくん、ノゾムさん、この戦い、私たちが止める・・・!」
決意を口にしたまりが構えを取る。彼女がライ、ノゾムとの三つ巴の戦いに飛び込んだ。