仮面ライダークロス

第47話「全てのソウルが集まるとき」

 

 

 イカデビルを倒してガラガランダ、ヒルカメレオンと対峙する聖也とかなた。不意打ちが失敗したヒルカメレオンが、ガラガランダとともに焦りを感じていた。

「こうなればゾルと合流するしかないようだ・・!」

「やむを得ん・・体勢を立て直すぞ・・!」

 ヒルカメレオンとガラガランダが声を掛け合って、狼男たちと合流しようとする。

「そうはさせないぞ!」

 聖也が阻止しようとするが、ヒルカメレオンは姿を消して移動する。

「姿が見えなければ、追跡が困難になる・・!」

「僕が追いかけます!聖也さんはガラガランダを!」

 毒づく聖也に呼びかけて、かなたがダークカブトソウルを取り出した。

“ダークカブト!”

“ライダーソウル。”

 かなたがダークカブトソウルのスイッチを入れて、ルシファードライバーの右のソウルスロットにセットした。

“ダークチェンジ・ネクロム。”

 ルシファーハリケーンを中心へ押し込んだかなた。彼がダークカブトの姿と力を宿した「ダークカブトフォーム」となった。

「クロックアップ!」

 かなたが一気にスピードを上げて、ヒルカメレオンを追った。

(周りの色と同化して姿を消していても、移動すれば景色も変わる・・違う場所に移動した瞬間だけ、姿が見えてしまう・・普通だったら一瞬すぎて分からないけど、クロックアップの状態なら見切るのは不可能じゃない・・!)

 かなたが冷静に判断して、周りの動きを見回す。普通とは違う色の変化を、彼は見極めた。

「そこだ!」

 かなたが色の変化のある地点へ向かう。彼はスピードを上げたまま、足を振りかざした。

 かなたのキックが、姿を消していたヒルカメレオンの体に命中した。

「ギャッ!」

 ヒルカメレオンが絶叫を上げて、倒れたと同時に姿を現した。

「なぜオレの居場所が分かったのだ・・!?

「クロックアップとかを使って見つけたんだ。僕からは逃げられないぞ、ヒルカメレオン!」

 驚きを隠せないでいるヒルカメレオンに、かなたが言い放つ。

「このままやられてたまるか・・我ら3人が集結すれば、まだ勝機が・・・!」

「僕も聖也さんもライも、お前たちには負けないよ!」

 声を振り絞るヒルカメレオンに、かなたが言い返す。

“デスセイバー!”

 かなたがデスセイバーソウルを使って、ルシファーデスセイバーを呼び出した。

「こうなれば、貴様のベルトを奪い取って、戦力を奪って形勢逆転するしかない・・!」

 ヒルカメレオンがまた姿を消して、かなたからルシファードライバーを奪おうと企む。

「姿を消してもムダだと言っている!」

 かなたが高速でルシファーデスセイバーを振りかざした。

「ギャアッ!」

 彼に連続で切りつけられて、ヒルカメレオンが絶叫して倒れた。

「逃がさないぞ、ブラック将軍!みんなのところに行くのは僕だ!」

 かなたが決意を口にすると、元のルシファーに戻ってから、シャドームーンソウルを取り出した 。

“シャドームーン!”

 かなたがシャドームーンソウルのスイッチを入れて、ルシファードライバーの左のソウルスロットにセットした。

“ダークチャージ・シャドームーン。”

 ルシファードライバーから緑の光があふれ出して、かなたの両足に集まっていく。

「ルシファーシャドーキック!」

 ジャンプしたかなたが両足のキックを繰り出して、ヒルカメレオンに直撃させた。

「ぐあぁっ!・・わ、私が倒れても、ハイパーショッカーは滅びぬ・・我らの支配がついえることは決してない・・・!」

 うめくヒルカメレオンがかなたに向かって笑みをこぼす。ヒルカメレオンが力尽きて、倒れて爆発した。

「やった・・ヒルカメレオンも、ブラック将軍も倒した・・」

 ヒルカメレオンの最期を見て、かなたが呟く。

「残る地獄大使も、きっと聖也さんが・・今はライのところに行くのを優先しよう・・・」

 かなたはライのところへ向かうことを決めた。

 

 狼男たちを倒し、ライが司との戦いに臨んでいた。

「今度はお前を倒す・・オレとみんなの力を合わせて・・!」

「お前たち全員が束になったとしても、オレには勝てはしない。お前たち全員、オレが破壊する。」

 ライが鋭く、司が強気な態度で言いかける。ライダーカードを収納しているアイテム「ライドブッカー」を手にして、剣型の「ソードモード」にした。

 ライがクロスカリバーを構えて、司に向かっていく。2人がクロスカリバーとライドブッカーを振りかざして、ぶつけ合う。

「くっ・・!」

 オールフォームとなっているライの力に押されて、司が毒づく。ライを蹴り飛ばして引き離そうとした司だが、キックを押し返されて逆に突き飛ばされた。

「たくさんのライダーの力を束ねているのは伊達じゃないってわけか・・」

 司が呟くと、ライダーカードをディケイドライバーにセットした。

Final attack ride,decade.”

 司がライドブッカーを構えて、眼前に現れた光のカードを通って振りかざす。

“ジオウ!”

 ライがジオウソウルを取り出して、クロスカリバーの右のスロットにセットした。

“グランドジオウパワー!”

 全身から金色の光を発したライが、クロスカリバーを構える。彼の後ろで、ジオウの最強形態「グランドジオウ」の幻影が剣「サイキョージカンギレード」を同じように構えていた。

「ジオウ・オールカリバー!」

 刀身から巨大な光の刃を発したクロスカリバーを、ライが司目がけて振り下ろす。司もライドブッカーを振りかざして、2人が一閃をぶつけ合った。

「うぐっ!」

 ライの光の刃に押し切られる司。クロスカリバーが地面に叩きつけられて、彼が吹き飛ばされる。

「ここまでとはな・・だが仮面ライダーの力を1つにできるのは、お前だけじゃない。」

 体勢を立て直した司が、携帯電話「ケータッチ」を取り出した。

Kuuga,Agito,Ryuki,Faiz,Blade,Hibiki,Kabuto,Den-o,Kiba.”

 彼がケータッチに表示されているクウガからキバまでの仮面ライダーのアイコンをタッチしてなぞっていく。

Final kamen ride,Decade.”

 司がケータッチをディケイドライバーにセットする。ディケイドの装甲の黒と銀が増して、両肩と胸部にはクウガからキバまでの9人の仮面ライダーのライダーカードが配置された。

 ディケイドの最強形態「コンプリートフォーム」である。

「数ではお前には勝てないが、質はどうだろうな。」

 宿る仮面ライダーの力の数を念頭に置いて、司がライを挑発する。

「お前は仮面ライダーの強さをはき違えている・・正義と平和、大切なものを守るため、仮面ライダーは戦い続けている・・お前のように、全てを壊すために使っていいものじゃない!」

 ライが怒りを噛みしめて、クロスカリバーの切っ先を司に向ける。

「オレも怒りと憎しみを持って戦っている・・間違いをしているヤツに間違いを分からせるために・・オレ自身が正しくないとしても、間違いを野放しにするつもりはない・・!」

「フン。破壊者で、仮面ライダーの力を利用して世界を壊しているオレは、確実にお前の敵ということか・・」

 ライの怒りを聞いて、司がため息をつく。

「お前や他のヤツの考えなど知ったことじゃない。オレはオレの道を行くだけだ。」

「それが間違った道だということを、理解しようともしないから・・お前を倒すしかなくなるんだろうが・・!」

 自分の考えを変えない司に、ライが怒りをふくらませていく。

「ならばもう言葉は意味がない。やるかやられるかのどちらかだけだ。」

 司がため息まじりに言って、ライドブッカーを構えた。ライもクロスカリバーを構えて、司と同時に飛び出す。

 振りかざしたクロスカリバーとライドブッカーが激しくぶつかり合う。司はライに押されることなく、互角の力を見せる。

 ライと司がさらに刃を交えていく。2人の攻撃が同時に互いの装甲を切りつけて火花を散らした。

「これじゃらちが明かないか・・・!」

 ライが毒づいて、アギトソウルを取り出した。

“アギト!”

 彼がアギトソウルのスイッチを入れて、クロスカリバーの右のスロットにセットした。

“シャイニングアギトパワー!”

 光り輝いたクロスカリバーが2本になって、ライがそれぞれの手で持つ。

「アギトで来たか。だったらオレも・・」

 司が呟いて、ケータッチの画面にあるアギトの紋章とFの文字をタッチする。

Agito.Kamen ride,Shining.”

 司もライドブッカーを構える。彼とライのそばにそれぞれ、シャイニングアギトの幻影が現れた。

「アギト・オールカリバー!」

 ライが2本のクロスカリバーを斜めに振りかざす。司もライドブッカーを振りかざして、クロスカリバーとぶつけ合った。

「ぐっ!」

 激突の強い反動で、ライと司が押し返された。2人は倒れるも、すぐに立ち上がって互いに視線を戻す。

「互角か・・ならこれならどうだ?」

 司が言いかけて、ケータッチの龍騎の紋章をタッチする。

Ryuki.Kamen ride,Survive.”

 ライドブッカーの刀身に赤い炎が灯る。

「龍騎・・!」

“龍騎!”

 思い立ったライが、龍騎ソウルを取り出して、クロスカリバーにセットされているアギトソウルと入れ替えた。

“サバイブ龍騎パワー!”

 クロスカリバーの刀身にも炎が灯った。2人が振りかざした炎の刃が、立て続けにぶつかり合う。

「同じライダーの力じゃ、太刀打ちできないというのか・・!?

 攻防が拮抗して、ライが焦りを噛みしめる。

「それなら、ディケイドが使えないライダーの力を使えばいいだけ・・!」

 思い立ったライが、ゴーストソウルを取り出した。

“ゴースト!”

 彼はゴーストソウルのスイッチを入れて、クロスカリバーにセットした。

“ムゲンゴーストパワー!”

 クロスカリバーから青い光が発せられる。

「ゴーストの力を使ってきたか。ならこれで差が付けられるか。」

 司が呟いてから、ケータッチの画面の響鬼の紋章にタッチした。

Hibiki.Kamen ride,Armed.”

 彼が装甲(アームド)響鬼(ひびき)の幻影とともに、ライドブッカーを構えた。

「ゴースト・オールカリバー!」

 ライがクロスカリバーを振りかざして、青い光の一閃を繰り出す。司もライドブッカーを振りかざして、三日月形の光の刃を放つ。

 ライがクロスカリバーに力を込めて、三日月の刃を押し込んでいく。

「仮面ライダーは、みんなや大切な人の支えになる存在だ!自分の目的のために他を傷付けたり利用したりするために、その力が使われていいわけがない!」

 ライが思いを言い放って、クロスカリバーを振り抜いた。彼の一閃が三日月の刃を打ち砕いた。

「オレは倒す・・世界の破壊者であり、夢の破壊者であるお前を・・・!」

 ライが怒りと意思をふくらませて、クロスタイフーンの右のレバーを右手で上げて回転を加えた。

“ライダースマッシュ・オール!”

 クロスの装甲からまばゆい光があふれ出して、ジャンプした彼の両足に集まっていく。

「オレはオレを滅ぼそうとするヤツを倒す。たとえ同じ仮面ライダーが相手だろうと・・」

 司も告げて、ライダーカードをディケイドライバーにセットした。

Final attack ride,decade.”

 司もエネルギーを集中させて、大きくジャンプする。

「オールクロスキック!」

 ライが司とともにキックを繰り出してぶつけ合う。キックの激突による爆発と閃光が、周囲に広がった。

「ライ!」

 そこへかなたが駆けつけたが、爆発と閃光で視界をさえぎられて足を止めた。やがて衝撃が治まって、光が弱まっていく。

 激突の果てに立っていたのはライだった。司が大きなダメージを負って、仰向けに倒れていた。

「オレがお前に、力負けするとは・・・」

 声を振り絞る司だが、起き上がることができない。彼の前にライが近づいてくる。

「ディケイドのライダーソウル、持っているなら渡してくれ・・そして2度と仮面ライダーの力を使うな・・・!」

 ライが司に向けて忠告する。

「オレを見逃すつもりか?・・オレはオレのやり方を変えるつもりはないぞ・・・」

「次にまたライダーの力を使うなら、今度こそオレがお前にとどめを刺す・・お前が不意打ちを狙ってきてもだ・・・!」

 笑みをこぼす司に、ライが鋭く言いかける。

「さっきのキックで落とした・・近くにあるはずだ・・オレは動けないなら、ほしければ勝手に持っていけ・・・」

 司が言いかけて、近くに落ちているライダーソウル「ディケイドソウル」に目を向けた。

「悪いけど、ライダーソウルは全部僕がいただくよ。」

 そのとき、ディケイドソウルをライより先に拾い上げた男がいた。

「お前は・・海東(かいとう)大樹(だいき)・・仮面ライダーディエンド・・・!」

 ライが大樹を見て警戒を見せる。

「2人がこうして勝負して、決着がつくのを待ってたんだよ。どっちが勝っても、余裕で勝つまでとはいかないはずだからね。」

「それを狙って、ソウルを手に入れようと・・・!」

 大樹が語りかけて、ライがいら立ちを浮かべる。

「これだけじゃない。君たちの持っているライダーソウル、ベルトと一緒に全部もらうよ。」

 大樹が告げて、ライダーカードと銃型アイテム「ディエンドライバー」を手にした。

Kamen ride,Diend.”

 彼がライダーカードをセットしたディエンドライバーを上に向けた。

「変身!」

 引き金が引かれたディエンドライバーから放たれた光を浴びて、大樹は水色の装甲と仮面を身にまとう。彼は仮面ライダー、ディエンドに変身した。

「ライダーソウルを、奪われてたまるか・・・うぐっ・・!」

 戦おうとするライだが、ふらついて倒れそうになる。

「ディケイドとの戦いで、体力が・・・!」

 体力の消耗を痛感して、ライが緊張をふくらませる。

「このままじゃライが・・!」

 かなたが飛び出して、ライに向かってくる大樹の前に立ちはだかった。

「ルシファーも来てたか。邪魔されると司とクロスが回復してしまうからね・・」

 大樹が呟いて、もう1枚のライダーカードを取り出して、ディエンドライバーにセットした。

Kamen ride,Knight.”

 大樹がディエンドライバーの引き金を引くと、放たれた光からナイトが現れた。

「ナイト!」

 かなたがナイトを前にして身構える。

 大樹はライダーカードを使って、仮面ライダーを呼び出すことができる。目の前に現れたナイトが本物でないことに、かなたは気付いていた。

「君は彼の相手をしていてくれ。僕はクロスの相手をするから。」

 大樹はナイトに言ってから、改めてライに向かっていく。ライがクロスカリバーを振りかざすが、大樹に軽々とかわされた。

「うあっ!」

 クロスドライバーがディエンドライバーの射撃に撃たれて外されて、ライがクロスへの変身が解けた。

「ライ!」

 かなたがライに向かって叫ぶ。ライを助けようとするかなただが、ナイトの攻撃で行く手を阻まれる。

「邪魔するな!」

 かなたが怒りをあらわにして、右足を振り上げた。彼に強く蹴り飛ばされて、ナイトが姿を消した。

「やるね。でももう手遅れだよ。」

 クロスドライバーを手にした大樹が、かなたに目を向けて言いかける。そこへカイザとゼロノス現れて、かなたを挟み撃ちにした。

「カイザ、ゼロノス・・2人も呼び出していたのか!」

 ライに近づけず、かなたが焦りをふくらませていく。

「これで残りのソウルを呼び出して、全てのライダーの力を1つにする。それでどんなお宝が出てくるか・・」

 大樹が笑みをこぼして、クロスドライバーを使ってライダーソウルを取り出そうとした。

「やめろ!そんなことはさせないぞ!」

 声を張り上げるライの姿が、クロスホッパーに変化した。彼が一気にスピードを上げて大樹に突撃した。

「おわっ!」

 押された大樹が持っていたクロスドライバーとディケイドソウルを手放した。2つのアイテムを手にしたところで、ライは人の姿に戻った。

「そういえばその姿にもなれたんだったね、君は・・」

 大樹がクロスホッパーのことを考えて笑みをこぼす。

「勝手な理由で、仮面ライダーの力を使わせはしないぞ・・ディケイドにも、ディエンドにも・・!」

“クロスドライバー!”

“ディケイド!”

 ライが怒りを噛みしめて、クロスドライバーを身に付けて、ディケイドソウルのスイッチを入れた。

“ライダーソウール!”

 彼がディケイドソウルをスカイソウルをセットして、クロスタイフーンを回転させた。

「変身!」

“変身・ライダー!ディケーイド!”

 ライの変身したクロスの装甲は、ディケイドそっくりの姿だった。彼は「ディケイドフォーム」への変身を果たした。

「ディケイドの力、オレが正しく使う・・!」

 自分の決意を口にして、ライが構えを取る。

「言ってくれるね。司の力、君がどこまで使えるかな。」

 大樹が笑みをこぼして、ライにディエンドライバーの銃口を向けた。大樹が放った射撃を、ライはスピードを上げて回避していく。

 ライは大樹に一気に詰め寄って、パンチとキックを繰り出していく。大樹が打撃を当てられて、射撃がままならなくなる。

「ディケイドになっているのは伊達じゃないってことか・・それなら・・!」

 大樹が呟くと、かなたに突き飛ばされたナイトが戻ってきて、ライの前に立ちはだかった。

 ナイトがライに向かって走ってきて、ダークバイザーを振りかざす。ライはジャンプしてナイトを飛び越えて、大樹に詰め寄る。

「他のライダーを呼び出して戦わせてもムダだ!お前が戦え!」

 ライが言い放って、力を込めてパンチを繰り出した。

「うおっ!」

 重みのあるパンチを体に受けて、大樹が強く突き飛ばされる。一気にダメージが蓄積されて、彼がふらつく。

「あくまで僕を集中攻撃するなら・・・!」

 大樹は余裕の態度を消して、ライダーカードを取り出してディエンドライバーセットした。

Final attack ride,Diend.”

 彼が構えるディエンドライバーの銃口に、エネルギーが集まる。

「これが、本当の仮面ライダーの強さだ・・!」

 ライが思いを口にして、クロスドライバーの右レバーを上に上げてクロスタイフーンを回転させた。

“ライダースマッシュ・ディケーイド!”

 ジャンプした彼の前に、5枚の光のカードが現れた。

「クロスディメンションキック!」

 ライが光のカードを通って、大樹が引き金を引いたディエンドライバーからの光線に対してキックを繰り出した。キックが光線を押し返して、ディエンドライバーに直撃した。

「うぐっ!」

 大樹が突き飛ばされて、地面を大きく転がる。彼の変身が解けて、ライがその眼前に着地した。

「これが、君にとってのディケイドの力の使い方か・・・!」

 見下ろしてくるライを見て、大樹が呟く。

「これで今度こそ、全てのライダーソウルがそろったってことか・・・」

“変身カイジョー。”

 ライが呟いて、クロスへの変身を解いた。

 そのとき、ライの身に着けていたクロスドライバーから光があふれ出した。彼が持っているライダーソウルの全ても。

「ベルトとソウルが・・・!?

「何か起こるのか・・!?

 ライとかなたがクロスドライバーとクロスソウルを見つめて、緊張を覚える。

 次の瞬間、ライダーソウルの多くが飛び出して、ライの周りを取り囲んで浮遊した。

「ライダーソウル・・昭和ライダーと、平成シリーズの主役ライダーの・・・!」

 ライがライダーソウルを見渡して、戸惑いを感じていく。そのライダーソウルから出ている光が、クロスドライバーに集まっていく。

「べ、ベルトに力が・・大きすぎる・・・!」

 ライダーソウルの力を制御できず、ライが苦痛を覚えてふらつく。

「ライ、どうしたんだ!?

 かなたが心配してライに駆け寄る。だがライダーソウルの光が電磁波のような壁に阻まれる。

「全てのライダーの力が集まっているんだ・・近づくこともできない・・・!」

「ライダーのみんなから認められていても、1つになった力をコントロールすることができないとはな・・」

 ライの異変を見て、大樹と司が呟く。

「これはアイツもオレ以上の破壊者として、世界を脅かすことになる・・・」

「そんな!?・・ライが世界を壊したり支配したりするわけがない!」

 司が口にした言葉に、かなたが反発する。

「まさか、怪人になったときみたいに暴走するっていうのか!?・・でもさっき、怪人になったけど、ライは暴走していなかった!」

「それとこれとは別だ・・怪人になったときとは別の力だ・・いや、仮面ライダーも改造人間や怪人の力を借りるヤツがいたりするからな。全く別とは言い切れない・・」

 ライの暴走を認めないかなたに、司が言いかける。

「何にしろ、アイツは仮面ライダーの力の全部を受け止めるまでに大きな器じゃないってことだ・・」

「勝手なことを言うな!ライは、優しい心の持ち主を大切に思ってる!そのライが、仮面ライダーの力に認められないはずはない!」

 ため息まじりに言う司に、かなたが感情を込めて言い返す。

「ならばお前たちの目で確かめろ。アイツがこれからどうなって、何をするのかを・・」

 立ち上がった司がライに目を向ける。光に包まれたライは、クロス・オールフォームに変身していた。

「ライ・・・!?

 かなたが恐る恐るライに近づいていく。

「私は全てのライダーの力を得た・・それは全ての世界を束ねるに等しい・・」

 ライが無感情な声で言いかけてきた。彼の様子にかなたが息をのむ。

「自分以外の全ての者に、私の力を見せつける・・」

 ライがかなたに向かってキックを繰り出してきた。

「うわっ!」

 かなたが蹴り飛ばされて、その先の壁に叩きつけられた。

「も、ものすごい威力・・前のオールフォーム以上の力だ・・・!」

 今のライの力を痛感して、かなたが緊張をふくらませる。

「こ、これは!?

 そこへガラガランダが駆けつけて、ライたちを見て動揺を見せる。追いかけてきた聖也も、ライの異変を目の当たりにする。

「ライくん!かなたくん!」

「聖也さん・・ライダーソウルが全部集まったんですが・・そしたらライが・・・!」

 呼びかける聖也に、かなたが状況を話す。

「仮面ライダーがもう1人来たか。私に集まったライダーの力、お前にも見せてやるぞ。」

 ライが聖也に振り向いて、腰に提げていたクロスカリバーを手にした。

「どうやら、オレの危険だと思った通りになったようだな・・・!」

 司が抱えていた一抹の不安。1つに束ねられた仮面ライダーの力を制御できずに囚われたライによって、その不安が現実になろうとしていた。

 

 

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