仮面ライダークロス
第35話「真・ZO・J 3つの強さ」
地獄谷にあるハイパーショッカーの基地にライ、聖也、かなたは乗り込んだ。しかし基地はもぬけの殻。ハイパーショッカーに関する情報も全て排除されていた。
「私たちが乗り込んでくると考えて、後始末を済ませたか・・・」
「ということは、ホントの本部は別の所に・・・!?」
聖也が基地の中を見回して言いかけて、ライが深刻さを覚える。
「ハイパーショッカーの基地はいろんなところにある・・そのどこに行ったのかは・・・」
かなたが自分に残っている記憶を思い返して、悲しい顔を浮かべる。
「近いうちに、ハイパーショッカーはまたオレたちを狙ってくる。その敵から本部のことを聞けばいいだけだ・・」
ライが微笑んで、かなたに励ましを投げかける。
「もしかしたら、他の仮面ライダーの誰かが知っているかもしれないし。」
「ライ・・・ありがとう・・」
希望を見出そうとするライに、かなたが感謝した。
「現時点では、その他のライダーのみなさんがハイパーショッカーの本拠地を見つけている可能性は低いだろう。もし見つけたなら、ライダーも何かしらの大きな動きを見せているはずだ・・」
聖也が状況を推測して、ライが深刻な顔を浮かべて頷いた。
「どちらにしても、オレは戦い続けます。ハイパーショッカーに、オレたちの居場所や仲間をムチャクチャにされたくないですからね。」
ライが自分の決意を聖也たちに告げる。
「ライ、それは僕も同じだよ・・もうライたちの命も心も、失いたくないから・・・!」
かなたも決意を口にして、ライと頷き合った。
そのとき、聖也は機械的な音を耳にして、警戒心を強めた。
(この音は・・もしや・・!?)
「ライくん、かなたくん、すぐに脱出だ!」
思い立った聖也が呼びかけて走り出す。ライとかなたも彼についていく。
ライたちが外へ出た直後、基地が爆発を起こした。
「危ないところだった・・聖也さんが気付かなかったら、僕たち・・・」
かなたが安心して、聖也に感謝した。
「敵や犯罪組織の基地や隠れ家に侵入するときにはよくあることだ。十分注意するのは当然・・と言いたいが、すっかり習慣になってしまったが・・」
聖也が答えて笑みをこぼす。彼らは基地のあったほうに目を向ける。
「完全に情報を消すだけでなく、同時に私たちを葬ろうとするとは・・」
「ハイパーショッカー・・どんな作戦も徹底的にやってくる・・・!」
聖也が呟いて、ライがハイパーショッカーのやり方に毒づく。
「まさか3匹とも脱出するとはな。」
そこへ声がかかって、ライたちが振り返る。彼らの前に現れたのは、地獄大使だった。
「お前は、ショッカーの地獄大使!」
「かつてのショッカーの幹部たちも、ハイパーショッカーの幹部になっているのか・・!」
ライと聖也が地獄大使に向かって声を上げる。
「だがそれで我らハイパーショッカーの手から逃れたと思ったら、大間違いだぞ!」
地獄大使が言い放つと、3体の怪人が姿を現した。ティーレックスドーパントとネオ生命体であるコウモリ男とクモ女である。
「部下の怪人を引き連れてきたか・・!」
「お前たち、クロスたちを倒せ!」
聖也が毒づいて、地獄大使がティーレックスドーパントたちをけしかける。
「ライくん、聖也くん、行くぞ!」
「はいっ!」
聖也が呼びかけて、ライとかなたが答える。彼らがクラールドライバーとクラールソウル、クロスドライバーとクロスソウル、ルシファードライバーとルシファーソウルを手にした。
“クロスドライバー!”
ライがクロスドライバーを装着して、さらにクロスソウルを構えてスイッチを入れた。
“クロス!”
音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。
“ライダーソウール!”
ライは意識を集中して構えを取る。
「変身!」
彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クロース!”
クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。
“クラール!”
“ライダーソウール!”
聖也がクラールソウルのスイッチを入れて、クラールドライバーにセットした。
「変身!」
聖也は左手を斜め右上に振り上げて、クラールドライバーの左レバーを上に上げて、クラールタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クラール!”
彼の体をオレンジ、黒、銀に彩られた装甲とマスクが包んだ。
“ルシファードライバー。”
“ルシファー!”
かなたがルシファードライバーを装着して、ルシファーソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウル。”
彼がルシファーソウルのスイッチを入れて、ルシファードライバーの右側のソウルスロットに上からセットした。
「変身。」
かなたがルシファーハリケーンを中心へ押し込んだ。
“ダークチェンジ・ルシファー。”
紫のラインの入った黒く鋭い装甲とマスクを身にまとったかなた。ライ、聖也、かなたがクロス、クラール、ルシファーへの変身を果たした。
「全てを、オレが正す!」
「仮面ライダーと正義の力、お前も受けてみろ・・!」
「この悪魔の力で、みんなを守る!」
ライ、聖也、かなたが言い放った。ティーレックスドーパントたちが彼らに向かっていく。
突っ込んで牙を立ててくるティーレックスドーパントに対して、ライが回避を取っていく。
空から降下して翼を振りかざすコウモリ男に、聖也がパンチを振り上げて迎撃する。
クモ女が振りかざす爪を、かなたは素早くかわしていく。
「どいつもこいつもチョロチョロと・・だが!」
地獄大使がいら立ちを見せて、右手を掲げてビームを放った。
「おわっ!」
地面で爆発が起こって、ライたちが体勢を崩す。その隙を突かれて、ライがティーレックスドーパントにかみつかれた。
「しまった!うあっ!」
ライがさらに噛まれてうめく。聖也もコウモリ男に足でつかまれて、空中に持ち上げられる。
「聖也さん!ライ!」
ライたちを助けに行こうとしたかなただが、クモ女が口から吐き出した糸がかかって、動きを封じられる。
「ぐっ!動けない・・!」
糸に体を縛られて、かなたが焦りを覚える。彼らは3人とも、ティーレックスドーパントたちを相手に窮地に立たされていた。
「思い知ったか、クロスたちよ!この3人の怪人と、この私の指揮と援護があれば、お前たちとて敵ではない!」
地獄大使がライたちを見て、高らかに笑う。
「お前たち、このままヤツらの息の根を止めてやれ!」
地獄大使が命令を出して、ティーレックスドーパントがさらにライに噛みついていく。
「ぐあぁっ!」
さらに体を押しつぶされれて、ライが絶叫を上げる。
そのとき、ティーレックスドーパントが巨大な顔を切りつけられて、ライを放した。
「何っ!?」
突然のことに地獄大使が驚く。ライを助けたのは、怪人のような姿の戦士。
「あなたはシン・・仮面ライダーシン・・・!」
ライがその戦士、シンを見て声を上げた。
「お前がクロス。様々な仮面ライダーの力を使う新しいライダーか。」
シンがライを見下ろして呟く。ライがゆっくりと立ち上がって、シンに戸惑いを見せる。
次の瞬間、コウモリ男とクモ女がパンチを受けて突き飛ばされる。解放された聖也とかなたが地上に落ちる。
聖也たちの前に、さらに2人の戦士が現れた。
「あなたたちは、ZOとJ・・2人も来てくれたんですね!」
かなたが2人の仮面ライダー、ZOとJを見て感動を覚える。
「君たちがクロス、クラール、そしてルシファーか。」
「ここからはオレたちも加勢させてもらうぞ・・!」
JとZOが声を掛けて、コウモリ男たちに目を向けた。
「仮面ライダーが3人も出てくるとは・・だが何人集まろうと、この怪人たちが負けるはずがない!」
地獄大使が言い放って、ティーレックスドーパントたちが立ち上がる。
「立て、お前たち。仮面ライダーならば、大切なもののために己の全てを賭けろ・・!」
「オレたちライダーはそれぞれ、重い宿命を抱えている。常人離れした改造人間、そうでなくても常人離れした能力を備えた者も少なくない。」
「その宿命と戦い受け入れ、それでも平和や正義、大切なものを守るために戦う。それがオレたち、仮面ライダーだ。」
シン、ZO、Jがライ、聖也、かなたに激励を送る。シンたちに背中を押されて、ライたちが気を引き締めなおした。
「改造人間や特殊能力の持ち主なのが仮面ライダー・・でもみんな、その体や力に悩んだことがある・・・」
ライが仮面ライダーのことを考えて、その苦悩や辛さを噛みしめていく。
「その宿命とも戦って乗り越えたり受け入れたりして、その上で大切なものを守っている・・それが、仮面ライダー・・・!」
「僕たちだって、その宿命を乗り越えられる・・僕たちも、仮面ライダーになっているんだから・・・!」
ライとかなたが仮面ライダーの、自分たちの大切なことを考えていく。
「自分を見失うな、何があっても・・自分たちにとって大切なことも・・・!」
「お前たちもオレたちも、決して1人ではない・・!」
「たとえ離れていても、オレたちはお互いを感じて戦い続けていく・・君たちも、その思いを感じているはずだ・・!」
シン、ZO、Jからの激励を受けてライ、聖也、かなたが頷いた。決意や覚悟を新たにして、ライたちは大切なものを守る戦いを続けようとしていた。
「おのれ、ライダーども・・だがそれで勝ったと思ったら、大間違いだぞ!」
地獄大使がいら立ちをふくらませて、ライたちに向かって言い放つ。
「怪人たちよ、ライダー全員まとめて始末しろ!」
地獄大使が呼びかけて、ティーレックスドーパントたちがライたちに向かって飛びかかる。
「行くぞ、クロス!」
「はい、シン!」
シンが呼びかけて、ライが答えて構える。
「次こそは必ずヤツを倒す・・この世界と正義のために・・!」
「ここからはオレも戦うぞ・・!」
決意を口にする聖也に、ZOが呼びかける。
「力を合わせて、ヤツらの企みを打ち砕くぞ!」
「分かりました、J!」
Jが呼びかけて、かなたが頷いた。彼らにティーレックスドーパント、コウモリ男、クモ女が飛びかかる。
噛みつこうとしてきたティーレックスドーパントの頭を、ライとシンが両手で止める。
「はっ!」
ライとシンが腕を振りかざして、ティーレックスドーパントを投げ飛ばす。
“ブレイガン!”
急降下してきたコウモリ男を、聖也がクラールブレイガンを手にして迎え撃つ。彼が振りかざしたクラールブレイガンが、コウモリ男の体を切りつけた。
宙に跳ね上げられたコウモリ男に、ZOもパンチを振り上げて当てた。コウモリ男が地面を転がって、ダメージを負ってうめく。
クモ女が口から糸を吐いて、かなたとJが左右に動いてかわす。かなたが足を振り上げて爪を蹴って、クモ女を怯ませる。
Jが繰り出した両手のパンチを受けて、クモ女が押されてふらついた。
「おのれ、ライダーども・・これでもくらえ!」
地獄大使がいら立って、手から光線を放つ。ライたちの周りで爆発が起こって、ライたちが押される。
「負けてたまるか・・オレは守るんだ・・オレたちの大切なものを・・!」
ライが自分の意思を口にする。彼はかなたやまり、ひろしや聖也のことを思い出していく。
「そのために戦うなら、どんな困難も乗り越えてみせる・・・!」
揺るぎない決意を口にするライ。かなたも彼に共感していたが、聖也は抱えている不安をぬぐえないでいた。
そのときシン、ZO、Jの体から光があふれ出して、外に飛び出した。それぞれの光がライ、聖也、かなたの手元に来て、ライダーソウルに変わった。
「これは、シンさんたちの・・・シンさん・・・!」
「遠慮しなくていい・・オレたちの力、お前たちも使うんだ・・!」
戸惑いを覚えるライに、シンが呼びかける。
“シン!”
ライが頷いて、ライダーソウル「シンソウル」のスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
彼がクロスドライバーにシンソウルをセットして、クロスドライバーの左レバーを上に上げてクロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!シーン!”
クロスの姿がシンそっくりになった。ライは新たなる姿「シンフォーム」となった。
“ZO!”
聖也がZOのライダーソウル「ZOソウル」のスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
彼がZOソウルをクラールドライバーにセットして、クラールタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!ゼットオー!”
クラールの姿がZOそっくりとなった。聖也は「ZOフォーム」への変身を果たした。
“J!”
“ライダーソウル。”
かなたもJのライダーソウル「Jソウル」のスイッチを入れて、ルシファードライバーにセットした。
“ダークチェンジ・J。”
かなたはJそっくりの姿「Jフォーム」に変身した。ライたちはシンたちの姿と力を宿したのだった。
「クロスたちがシンたちと同じ姿になっただと!?こしゃくな!」
地獄大使がいら立ちを見せて、ティーレックスドーパントたちが飛びかかる。
ライとシンが爪「ハイバイブネイル」を伸ばして、ティーレックスドーパントの体を切りつけた。ティーレックスドーパントが絶叫を上げてふらつく。
飛行して突っ込んできたコウモリ男を、聖也とZOが手を伸ばしてつかむ。2人は力強く投げつけて、コウモリ男を地面に叩きつけた。
クモ女が吐き出した糸を、かなたがジャンプでかわす。Jが滑り込んでクモ女に足払いをして、バランスを崩した彼女の背中にかなたがキックを当てて地面に倒した。
「ライくん、かなたくん、行くぞ!」
「はい!」
聖也が呼びかけて、ライとかなたが答えた。
“シャドームーン!”
ライと聖也がクロスドライバー、クラールドライバーのクロスタイフーン、クラールタイフーンの右のレバーを上に上げて回転させて、かなたがシャドームーンソウルを手にしてルシファードライバーの左のソウルスロットにセットした。
“ライダースマッシュ・シーン!”
“ライダースマッシュ・ゼットオー!”
“ダークチャージ・シャドームーン。”
ライ、聖也、かなたが同時にジャンプしてキックを繰り出した。彼らのキックがティーレックスドーパント、コウモリ男、クモ女に命中した。
ティーレックスドーパントたちが突き飛ばされて、コウモリ男とクモ女が力尽きて倒れて爆発した。
「おのれ、仮面ライダー・・よくも我らの怪人たちを・・!」
地獄大使がライたちにさらなるいら立ちを浮かべた。
「観念しろ、地獄大使!オレたちがいる限り、お前たちの思い通りにはさせないぞ!」
ZOが地獄大使に振り返って言い放つ。
「思い通りにならないだと?・・それは私のセリフだ!これで勝ったと思ったら、大間違いだぞ!」
地獄大使があざ笑うと、倒れていたティーレックスドーパントが体を震わせた。ティーレックスドーパントは体から磁力を発して、周りにある機械や金属を引き寄せてまとっていく。
「あのドーパント、スクラップを集めることで巨大化できるんだよ!」
「何っ!?」
かなたが声を上げて、聖也が驚く。ティーレックスドーパントは巨大化を果たして、ビッグティーレックスとなった。
「あ、あんな巨大な敵、どう相手すれば・・!?」
ライがビッグティーレックスを見上げて、緊張をふくらませていく。
「ハッハッハッハ!これで終わりだ、仮面ライダー!踏みつぶされるか、噛み砕かれるか、好きな方を選べ!」
地獄大使が高笑いをして、ビッグティーレックスがライたちを狙って迫る。
「ここはオレに任せろ!Jパワー!」
Jが呼びかけて、意識を集中する。すると彼の体が大きくなっていく。
Jは自然と意識を共有して、そのエネルギーを身にまとうことで巨大化することが可能である。ただし自然が必要だという判断がなければ使えない、奇跡の能力である。
雄叫びを上げて飛びかかってきたビッグティーレックスを、Jが迎え撃つ。彼が振りかざすパンチが、ビッグティーレックスの頭部を叩いていく。
ビッグティーレックスが突進を仕掛けるが、Jに軽々とかわされる。ビッグティーレックスが振り返って、口を開いてJを噛みつこうとするが、Jに口を押さえられる。
Jが足を振り上げて、ビッグティーレックスに膝蹴りを当てた。ビッグティーレックスが怯んで後ずさりする。
「Jが押している!このまま行けば勝てる!」
ライがJの戦いを見て、勝利を確信する。
「フフフ・・それはどうかな?ティーレックスよ、貴様の真の力を見せるときだ!」
地獄大使が笑みを浮かべて、ビッグティーレックスに呼びかける。ビッグティーレックスが磁力を発して、金属や機械をさらに引き寄せていく。
スクラップをさらに取り込んだビッグティーレックスが、分身を作り出して3体に分裂した。
「3体に増えた!?あれではJ1人では不利だ!」
形勢が逆転されたと推測して、聖也が危機感を覚える。3体のビッグティーレックスたちが、Jに同時に飛びかかる。
ビッグティーレックスの1体を止めるJだが、他の2体の突撃を受けて追い込まれていく。
「J!」
「このままではJがやられる・・だが、オレたちに巨大化の能力の持ち主はいない・・!」
ライが声を上げて、ZOが焦りを噛みしめる。
「かなた、Jのライダーソウルを使って巨大化できないのか!?」
「Jのライダーソウル・・それを使えば・・・!」
ライに言われて、かなたが思い立つ。
“ダークチェンジ・ルシファー。”
かなたは元のルシファーに戻って、ルシファードライバーの左のスロットにJソウルをセットした。
“ダークチャージ・J。”
するとかなたの体も大きくなっていく。Jソウルの力を集中させた彼も、巨大化の能力を発動させたのである。
「あれに自然の力が込められているとすれば、あれで巨大化の力を発動できるのも納得だ・・!」
シンがJソウルについて推測する。
「やった・・僕も大きくなれた・・!」
巨大化した自分を実感して、かなたが戸惑いを覚える。
「かなた、Jを援護するんだ!」
「あ、そうだった・・よし、やるぞ!」
ライが呼びかけて、かなたが我に返ってビッグティーレックスたちに向かっていく。
ビッグティーレックス2体を相手に、かなたが果敢にパンチとキックを当てていく。いら立ったビッグティーレックスたちが、かなたを狙って突っ込んできた。
かなたが大きくジャンプする。ビッグティーレックスたちが頭部をぶつけ合って、仰向けに倒れる。
残り1体のビッグティーレックスも、Jに頭部をつかまれて投げ飛ばされる。
「かなたくん、ダブルキックだ!」
「はい!」
Jが呼びかけて、彼方が答える。2人が同時にジャンプして、右足を前に出した。
「ダブルジャンボライダーキック!」
かなたとJが繰り出したキックが、3体のビッグティーレックスたちに直撃した。キックのもたらす爆発に巻き込まれて、ビッグティーレックスたちが消滅した。
「バカな!?あのドーパントすら倒すとは・・!」
ビッグティーレックスたちが倒されたことに、地獄大使が驚く。
「次は貴様だ、地獄大使・・ここでオレたちが倒す・・!」
シンが地獄大使に言い放って、構えを取る。
「そうはいくか・・次こそは貴様たちの首、必ずもらい受けるぞ!」
地獄大使が捨て台詞を吐いて、ライたちの前から姿を消した。
「逃げられたか・・しかし、みなさんがいなかったら、私たちはこの戦いを乗り切ることができませんでした・・」
地獄大使に逃げられたことに毒づいてから、シンたちに感謝した。かなたとJが元の大きさに戻った。
「いや、君たちが諦めずに立ち向かおうとしたのが、オレたちとのつながりを強くしたんだ。」
ZOがライたちに励ましの言葉を送る。
「そのつながりが、オレたちの力を君たちに届けて、君も大自然の力を使うことができた。」
Jも言いかけて、かなたの肩に優しく手を乗せた。
「君たちにも、確かな力と信念がある。オレたちもそのことを理解している。」
「J・・シン、ZO、ありがとうございます・・!」
Jからも励まされて、かなたが笑みをこぼしてお礼を言った。
「オレたちはそろそろ行くぞ。ハイパーショッカーの企みは、各地で進められているからな。」
シンが言いかけてZO、Jとともに歩き出す。
「オレたちも君たちも1人ではない。遠く離れていても、必ず仲間がいる。それは、他の仮面ライダーにも言えることだ。」
「だからこそオレたちは1人でも戦える。本当の独りではないから・・」
ZOとJもライたちに激励を送った。
「はい!ありがとうございました、先輩!」
「僕たち、諦めずにみんなを信じて、ハイパーショッカーに立ち向かいます!」
ライとかなたが感謝して、シンたちに向かって頭を下げた。
「オレたちは戦っていく・・ハイパーショッカーを倒す・・大切なものを守るために・・・」
自分たちの決意を口にするライ。彼はかなたたちだけでなく、数多くの仮面ライダーとつながりがあると確信していた。
ハイパーショッカーの本拠地に関する手がかりを失くしてしまったライたち。それでも彼らはハイパーショッカーの捜索を諦めていなかった。
「1度戻ってヤツらの情報を調べ直そう。わずかな異変でも追及していこう。」
「仮面ライダーのみなさんも、ハイパーショッカー打倒のために行動している。彼らとの出会いも、その手がかりになるだろう。」
ライと聖也が呼びかけて、かなたが頷いた。
「ここからは、一緒に頑張っていこう、かなた。」
「ライ・・うん・・」
ライが声を掛けて、かなたが答えた。3人のハイパーショッカーとの戦いは、さらに激しさを増していった。