仮面ライダークロス
第31話「絶望!クロスの死」
ゴルドドライブの力を得たかなたのキックを受けて、ライが大きく突き飛ばされた。
「ライくん!」
倒れたライに聖也が叫ぶ。ライが力を振り絞って立ち上がって、かなたに目を向ける。
「たとえBLACKの力を得ても、今の私には勝てない。おとなしく命を捧げるか、でなければ我々に従う以外にない。」
かなたがライに向けて忠告を送る。
「どちらも選ばない・・お前はオレが、必ず助け出す・・力ずくでも!」
ライが言い放って、カメンソウルを手にした。
「ダメだ、ライくん!体力を消耗している状態で、カメンソウルを使うのは・・!」
「しかし、コレを使わないと、かなたを助けることはできないんです・・!」
聖也が呼び止めるが、ライはやめようとしない。
“カメン!”
“ライダーソウール!”
ライはカメンソウルをクロスドライバーにセットした。
「超変身!」
彼がクロスドライバーの左レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“超変身・カメーン!”
ライの体を赤と緑のラインの入った装甲が包む。彼はカメンフォームへの変身を果たした。
「カメンソウルを使っても私に勝てないことは、前の戦いで理解しているはずだ。」
かなたが口調を変えずに、ライに言いかける。
「それで諦めるわけにはいかない!」
ライが言い返して、かなたに向かって走り出す。
「ムダなあがきを・・」
かなたが言い返して、ライが繰り出すパンチとキックをかわしていく。
「今のかなたくんは、カメンソウルの力をも超えている・・!」
聖也がかなたの力を痛感して、焦りを浮かべる。
かなたが反撃を仕掛けて、ライにパンチとキックを叩き込んでいく。
「カメンソウルでも、かなたを止められないのか・・・!?」
追い詰められていくライが、絶望を痛感していく。
「これで終わりだ、クロス。」
かなたが言いかけると、新たなライダーソウルを手にした。
「それは・・!」
ライがそのライダーソウルに対して目を疑う。それはシャドームーンのライダーソウル「シャドームーンソウル」である。
「BLACKのライダーソウルが現れたと思われる時期に、シャドームーン様のライダーソウルも現れた。あの方の力、使わせていただきます。」
“シャドームーン!”
かなたが言いかけて、シャドームーンソウルのスイッチを入れて、ルシファードライバーの左のソウルスロットにセットした。
“ダークチャージ・シャドームーン。”
ルシファードライバーから緑の光があふれ出して、かなたの両足に集まっていく。
「今のオレの持てる全部を、この1発に込める・・!」
ライが言い放って、クロスドライバーの右のレバーを上に上げてクロスタイフーンを回転させる。
“ライダースマッシュ・カメーン!”
全身からまばゆい光を発するライ。ライがジャンプして、右足のキックを繰り出す。
「カメンクロスキック!」
「ルシファーシャドーキック。」
ライのキックとかなたの両足のキックがぶつかり合って、爆発のような衝撃を巻き起こした。
「うっ!」
その衝撃にあおられて、聖也とBLACKが身構える。ライとかなたが着地して、互いに目を向ける。
次の瞬間、ライがふらついて地面に膝を付いた。キックのぶつけ合いで決定打を受けたのは、ライのほうだった。
「ライくん!」
聖也が叫んでライに駆け寄ろうとする。だがシュバリアンに行く手を阻まれる。
「貴様の相手はこのオレだ!」
高らかに笑うシュバリアンに、聖也が焦りをふくらませる。ライはクロスカリバーを手にして、地面に突き立てて立ち上がる。
「往生際の悪いヤツだ。ならばオレの刃にかかり果てるがいい。」
シャドームーンが前に出てきて、ライに向かって言いかける。
「シャドーセイバー!」
彼が長短2本の剣「シャドーセイバー」を手にした。
「オレは・・負けるわけにはいかないんだ・・・!」
ライが声と力を振り絞って、立ち上がってクロスカリバーを構える。
“ブラック!”
彼がブラックソウルのスイッチを入れて、クロスカリバーの左のスロットにセットした。
“ブラックパワー!”
クロスカリバーの刀身に、赤い光が集まっていく。
「ブラック・ライドカリバー!」
ライがシャドームーンに向かってクロスカリバーを振り下ろす。シャドームーンは正確にかわして、クロスカリバーが叩いた地面が切り裂かれた。
「BLACKのライダーチョップと同じ動き。ならば見切れないことはない。」
シャドームーンが冷静に告げて、ライが絶望を痛感する。シャドームーンがシャドーセイバーをライ目がけて突き出した。
「ぐっ・・!」
シャドーセイバーに体を貫かれて、ライがうめく。シャドームーンがシャドーセイバーを引き抜いて、もう1本のシャドーセイバーでライを切りつけた。
「ライくん!」
倒れたライに聖也とBLACKが叫ぶ。行く手を阻むシュバリアンに、聖也が怒りを向ける。
「そこをどけ!」
“ヴァイス!”
聖也が言い放って、ヴァイスソウルを手にしてスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
彼がヴァイスソウルをクラールドライバーにセットして、クラールタイフーンを回転させた。
“大革命・ヴァーイス!”
クラールの装甲とマスクが白くなった。聖也はヴァイスクラールへ変身して、シュバリアンに向かってパンチを繰り出した。
「ぐおっ!」
力のあるパンチを受けて、シュバリアンが突き飛ばされて倒れる。聖也がライを抱えて、かなたとシャドームーンから離れる。
「ライくん、大丈夫か!?ライくん!」
聖也がライに向かって呼びかける。しかしライからの返事がない。
「また引き上げるしかない・・!」
危機感を膨らませた聖也が、クラールジェットソウルを手にした。だがそのとき、シャドームーンが放ったビームで、聖也がクラールジェットソウルをはじかれた。
「同じ手で逃げられると思わないことだ。ここはクロスだけでなく、お前たちの墓場でもある。」
シャドームーンが聖也に向かって言いかける。シャドームーンはクラールジェットを使って逃げることも想定していた。
「いけない・・このままでは全員やられてしまうぞ・・!」
ジャークと戦っているBLACKも、焦りを感じていく。
「うあっ!」
ジャークが突き出した杖に体を持ち上げられて、BLACKが投げ飛ばされる。彼も聖也もかなたたちによって、窮地に立たされていた。
「次はクラールにとどめを刺す。ヴァイスソウルの力も、オレには通用しない。」
シャドームーンが言いかけて、聖也たちに向かって前進する。聖也がシャドームーンを迎え撃とうと、構えを取った。
そのとき、1台の車がライたちのいるほうに向かって走ってきた。
「あれは・・!」
ジャークがその車を見て声を上げる。車は走りながらBLACKを、さらにライと聖也を乗せた。
「逃がさない・・・!」
「待て。いくらお前でも追いつくことはできない。」
追いかけようとしたかなたを、シャドームーンが呼び止める。
「まさかヤツまで現れるとは・・しかし我々と戦おうとするなら、ヤツとてオレの敵ではない。」
シャドームーンが記憶を巡らせて、次の戦いに備えていた。
駆けつけた光の車「ライドロン」に助けられたライたち。彼らとともにライドロンから降りたのは、もう1人の仮面ライダー。
「君も近くに来ていたか、RX・・!」
「遅くなって済まなかった・・もう少し早く来ていたら・・・」
BLACKが声を掛けて、もう1人の仮面ライダー、BLACK RXが謝罪する。
「ライくん、しっかりするんだ!ライくん!」
聖也が呼びかけるが、ライは動かない。
“変身カイジョー。”
聖也がライからクロスドライバーを外して、クロスへの変身を解いた。ライは目を閉じていて、全く動かない。
「心臓が動いていない・・・ライくんは、死んだ・・・!?」
聖也は目と耳を疑った。シャドームーンの手にかかって、ライは命を落とした。
「本当にすまない・・オレが早く来ていれば、クロスを、ライくんを助けることができたのに・・」
RXが再び聖也たちに謝罪した。
「いえ・・あなたが来てくれなかったら、私たちも全滅していたところです・・・」
聖也が落ち着きを取り戻そうとしながら、RXに答える。
“変身カイジョー。”
聖也もクラールへの変身を解いた。BLACKとRXも変身を解いた。
「あ、あなたは・・!?」
聖也が驚きを覚える。RXの正体も光太郎だった。
「どういうことですか!?・・BLACKもRXも、光太郎さん・・!?」
「オレは仮面ライダーBLACKの未来。生まれ変わった姿、RXなんだ。」
声を荒げる聖也に、光太郎が事情を話す。
ゴルゴムとの戦いを終えた光太郎だが、クライシス帝国によってBLACKへの変身機能を破壊されてしまう。しかし体内にあるキングストーンが太陽エネルギーを吸収したことで、彼はRXへと生まれ変わったのである。
「世界は今、空間を歪められて1つに合わさっている。時空や時間も混じっている。」
「だから違う時間にいるはずのオレたちも、こうして会うことができたんだ。」
2人の光太郎が話を続ける。時空の歪みによって、2人は奇しくも対面を果たせた。
「RXとしての力、君たちに渡そうと思っていたのだが・・」
光太郎がRXのライダーソウル「RXソウル」を取り出した。
「それは、ライダーソウル!・・しかし、ライくんは・・・!」
聖也がRXを見てさらに驚くが、ライの死を目の当たりにして心を痛める。
「もしかしたら、コレがライくんの命を呼び起こすきっかけになるかもしれない・・」
光太郎は聖也にRXソウルを渡した。
「ありがとうございます・・試しに、ライくんに使ってみせます。」
“クロスドライバー!”
聖也が言いかけて、クロスドライバーを再びライに付けた。
“RX!”
“ライダーソウール!”
彼はRXソウルのスイッチを入れて、クロスドライバーにセットした。
「頼む、ライくん・・目を覚ますんだ・・・!」
聖也が呼びかけて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!アールエーックス!”
ライの体を新たな黒い装甲が包み込んだ。それはRXそっくりの姿だった。
「RXフォーム」への変身を果たしたライ。それでも彼は全く動かない。
「RXの力でも、ライくんは目を覚まさない・・・!」
聖也が絶望を感じてうつむく。
「ひとまず場所を変えよう。ここではこれ以上手立てが見つからないし、いつハイパーショッカーに見つかるか分からないから・・」
光太郎が呼びかけて、聖也が頷いた。彼らはライを連れて、ライドロンでこの場を後にした。
かなた、シャドームーンがジャークとともにハイパーショッカーの基地に戻ってきた。
「よくやったぞ、ルシファー、シャドームーン!クロスを倒したのは見事だ!」
ゾルがかなたたちに歩み寄って、喜びを見せる。
「しかしまだクラールとRXたちがいる。ヤツらも打ち倒さねば、世界支配は達成されない。」
「その通りじゃ。仮面ライダーの力、侮ってはいかんぞ。」
ジャークが言いかけて、死神博士が頷く。
「クラールたちの捜索を強化せよ!ヤツらに反撃の機会も与えてはならんぞ!」
「イー!」
ゾルが命令して、戦闘員が答えた。
「オレも出る。すぐにヤツらのところへ行けるように。」
「私も行きます。このまま一気にクラールや他の仮面ライダーを叩きます。」
シャドームーンとかなたも聖也たちを倒すために、再び行動を起こした。
「ルシファーもシャドームーン同様、洗脳も完全だ。我々の完璧な戦士だ。」
「この2人が手を組めば、どんなライダーでも太刀打ちできない。たとえ高速で動けるマッハやアクセルでも、無敵の能力を備えたエグゼイドでも・・」
ゾルと死神博士がかなたとシャドームーンについて言いかける。ゾルたちは世界支配が確実になったと考えていた。
「そんな・・・ライくんが、死んだ・・・!?」
「なんてことだ・・こんなことが・・・!」
まりとひろしがライの死を目の当たりにして、絶望と悲しみを感じていく。
「すまない・・私がついていながら・・・」
聖也が謝罪して、ひろしたちに頭を下げた。
「聖也くんが悪いわけじゃない。悪いのはハイパーショッカーなんだから・・」
ひろしが励まして、聖也を落ち着かせる。
「ライくん・・かなたくんを助けるために、戦って・・・」
ベッドに横たわったライに、まりがすがりついて泣きじゃくる。聖也がライの持っていたライダーソウルを取り出していく。
「ライくんが手にしてきた仮面ライダーのライダーソウル・・ビルドから始まり、エグゼイド、キバ、響鬼、ドライブ、龍騎、オーズ、そしてクロスワイズのソウルを手にしてきた・・」
聖也がライのそばに、ライダーソウルを置いていく。
「さらにクウガ、1号、V3、W、エックス、フォーゼ、アギト、ストロンガー、そしてこのカメンソウルも・・」
聖也はさらにライダーソウルをライのそばに置く。
「そしてBLACK、RXのライダーソウル・・・」
ライの持っていたライダーソウルを全て置いた聖也。これまでライが手にした強さを、聖也もまりもひろしも感じていた。
「ライくんがこんなことになったのに・・かなたくん、自分の心を取り戻してもいいのに・・・!」
まりがかなたのことを考えて、辛さをふくらませていく。
「かなたくんはハイパーショッカーによって完全に洗脳されている。ライくんが倒れてしまった以上、もう彼の目を覚まさせるのは絶望的だろう・・」
聖也が現状を察して、苦悩を感じていく。
「聖也さん・・そんな辛いこと、言わないでください・・・!」
「私もこんなことは考えたくはない・・しかし、最悪の事態から目を背けるわけにもいかない・・・!」
声を振り絞るまりに、聖也が感情を押し殺して言い返す。納得できなかったまりだが、反論する言葉が見つからない。
「私は光太郎さんたちのところへ行きます。ひろしさんたちは、ライくんをお願いします。」
聖也がひろしに向けて言いかける。
「そうか・・聖也くん、君は死ぬんじゃないぞ・・・!」
「もちろんです・・・」
ひろしの言葉に頷いて、聖也は外へ出た。
「聖也さん・・・ライくん・・・」
まりがライに視線を戻して、辛さをふくらませていた。
橘モーターショップから出た聖也が、2人の光太郎と合流した。
「ここに長く滞在すれば、ハイパーショッカーとの戦いにここが巻き込まれることになる。」
「ここを離れて、ヤツらを迎え撃つぞ。」
光太郎たちが聖也に呼びかける。
「はい。行きましょう・・」
聖也が答えて、光太郎たちとともに歩き出した。聖也はライの仇を討つことを、強く心に誓っていた。
街外れの廃工場に、聖也たちはやってきた。彼らはここでハイパーショッカーを迎え撃つことを決めた。
(ライくん、まりさん、君たちには悪いが、かなたくんは倒させてもらう・・そうしなければ、もはや君たちとこの世界を守ることはできそうにない・・)
聖也は罪の意識を感じながらも、かなたと本気で戦うことを考えていた。
そのとき、重圧のある足音が響き渡って、聖也たちが振り返る。彼らの前にシャドームーンとかなたが現れた。
「シャドームーン・・!」
「かなたくん・・・!」
光太郎と聖也がシャドームーンとかなたを見て、緊張を浮かべる。
「お前たちもここで終わりだ。クロスの後を追わせる。」
「そうはいかない・・オレたちは、負けるわけにはいかないんだ!」
「シャドームーン、世界と人々を守るため、オレたちは貴様を倒す!」
言いかけるシャドームーンに、光太郎たちが決意を口にする。
「それは不可能だ。我々がここでお前たちを滅ぼすからだ。」
「私たちは滅びはしない・・たとえ滅びることになるとしても、お前たちも道連れにする・・・!」
無表情のまま言いかけるかなたに言い返して、聖也がクラールドライバーとクラールソウルを手にした。
“クラールドライバー!”
聖也がクラールドライバーを装着した。
“クラール!”
彼がクラールソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
聖也はクラールソウルをクラールドライバーにセットした。
「変身!」
彼は左手を斜め右上に振り上げて、クラールドライバーの左レバーを上に上げて、クラールタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クラール!”
聖也の体をオレンジ、黒、銀に彩られた装甲とマスクが包んだ。彼はクラールへの変身を果たした。
「変・・身!」
光太郎がポーズを取って、BLACKへ変身した。
「変身!」
もう1人の光太郎もポーズを取る。BLACKとは違うポーズである。
光太郎の腰から現れたベルトも形状が違う。ベルト「サンライザー」から光があふれ出して、彼はRXへ変身した。
「仮面ライダー、BLACK!」
「オレは太陽の子!仮面ライダー、BLACK!RX!」
BLACKとRXが名乗りを上げてポーズを決める。
「仮面ライダーと正義の力、お前も受けてみろ・・!」
聖也がかなたたちに向かって言い放つ。
「抵抗はムダだ。ここがお前たちの墓場となるのだ。」
シャドームーンが言いかけて、かなたがルシファードライバーとルシファーソウルを手にした。
“ルシファードライバー。”
“ルシファー!”
彼がルシファーソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウル。”
かなたがルシファーソウルのスイッチを入れて、ルシファードライバーの右側のソウルスロットに上からセットした。
「変身。」
彼がルシファーハリケーンを中心へ押し込んだ。
“ダークチェンジ・ルシファー。”
かなたが紫のラインの入った黒く鋭い装甲とマスクを身にまとった。彼はルシファーへと変身を果たした。
「私がかなたくんを倒します・・2人はシャドームーンを・・!」
聖也はRXたちに言って、かなたに向かっていく。
「たとえクラールでも、私に勝つことはできない。カメンフォームのクロスでも敵わなかったのだから・・」
「だとしても、ヴァイスはカメンフォームに負けず劣らずの強さを発揮できるはずだ・・!」
かなたが投げかけた言葉に言い返して、聖也がヴァイスソウルを取り出した。
“ヴァイス!”
“ライダーソウール!”
聖也もヴァイスソウルを手にして、クラールドライバーにセットして、クラールタイフーンを回転させた。
“大革命・ヴァーイス!”
クラールの装甲とマスクが白くなった。聖也はヴァイスクラールへ変身した。
「強き正義で、悪に制裁を下す・・!」
聖也がかなたに向かって言い放つ。
「お前も私に倒される。お前たちに生き延びる道はない。」
「それを決めるのは君ではない。私たちだ・・!」
かなたの投げかける言葉に言い返して、聖也が飛びかかる。加速した彼が連続でパンチを繰り出すが、かなたは正確に回避していく。
「ヴァイスクラールでも、今のかなたくんには及ばないというのか・・!?」
聖也がかなたの強さに驚きを覚える。かなたが足を振り上げて、聖也にキックを当てた。
「ぐっ!」
聖也が蹴り飛ばされて、地面を転がる。彼はすぐに立ち上がって、クラールドライバーの右レバーを上に上げて、クラールタイフーンを回転させる。
“ライダースマッシュ・ヴァーイス!”
クラールドライバーからまばゆい光があふれ出して、聖也の足に集まる。大きくジャンプした彼の姿が、何人にも増えた。
「分身、残像・・いずれにしても、惑わされる私ではない。」
“ゴルドドライブ!”
かなたが言いかけて、ゴルドドライブソウルを手にして、ルシファードライバーの左のソウルスロットにセットした。
“ダークチャージ・ゴルドドライブ。”
右足にエネルギーを集めて、高速でキックを繰り出す。聖也も分身たちとともにキックを繰り出す。
2人のキックがぶつかり合って閃光がきらめいた。かなたが着地して、聖也は地面に倒れた。
「聖也くんの力も、かなたくんに破られた・・!?」
BLACKが聖也を見て声を上げる。
「ヴァイスクラールはカメンフォームを大きく超えているとはいえない。ならばルシファーの敵ではない。」
シャドームーンがかなたに目を向けて、RXたちに言いかける。
「そしてお前たち2人がそろって挑んできても、オレに勝つことはできない。」
「それでもオレたちは諦めない!自由と平和を守るため、オレたちは戦い続ける!」
勝利を確信するシャドームーンに、RXが揺るぎない意思を言い放つ。
「ならばこのオレを見事倒してみるか・・!」
シャドームーンが言いかけて、RXに向かっていく。シャドームーンが仕掛ける攻撃を、RXがかいくぐっていく。
「RX!」
BLACKが飛び込んで、シャドームーンに向けてパンチを繰り出す。シャドームーンはジャンプしてパンチをかわして、2人を飛び越えて着地する。
BLACKが両手を握りしめて力を込めて、シャドームーンに向かってジャンプする。
「ライダーパンチ!」
「シャドーパンチ!」
BLACKとシャドームーンがエネルギーを込めたパンチを繰り出して、ぶつけ合う。
「うあっ!」
BLACKがシャドームーンに押し負けて、大きく突き飛ばされる。
「BLACK、大丈夫か!?」
「オレは大丈夫だ・・だが油断は禁物だ・・!」
RXが駆け寄って、BLACKが立ち上がって答える。
「ここはダブルキックだ!」
「分かった!」
RXとBLACKが声をかけ合って、同時にジャンプした。シャドームーンも直後にジャンプする。
「ライダーキック!」
「RXキック!」
「シャドーキック!」
3人が繰り出したキックがぶつかって、爆発のような衝撃を巻き起こした。
「ぐっ!」
3人とも体勢を崩して、地面に叩きつけられる。
「互角・・読めただけで対処できるということではないということか。」
かなたがRXたちの戦いを見て呟く。
マイティアイで相手の動きを見定めて対処するのがシャドームーンの戦い方。しかしそれだけで彼の戦闘能力が直接上がるわけではない。
「このまま2人で戦えば、オレたちにも勝機がある・・!」
「それでも厳しい戦いということは変わらない・・決して油断はできない・・!」
BLACKとRXが声をかけ合って、シャドームーンに視線を戻す。
「それでも我々は負けることはない。我々の共闘の前では、ヤツらは敗北するしかない。」
勝利を確信しているかなたが、聖也に視線を戻す。
「負けるわけにはいかない・・ここで負けたら、ライくんが浮かばれない・・・!」
聖也が集中力を高めて、かなたと戦い抜くことを心に決めていた。
まりに見守られる中、ライは眠り続けていた。
(ライくん・・・)
ライを失った悲しみを抱えていたまりは、気分を落ち着かせようと部屋を出た。
その直後、ライの周りに置かれていたライダーソウルから光があふれ出した。光はライの体に流れ込んで集まっていく。
命を閉ざしたライに、変化が起きようとしていた。