仮面ライダークロス
第30話「黒き太陽・影の月」
地獄谷にあるハイパーショッカーの基地。そこに現れたのはシャドームーンだった。
「おぉ!来たか、シャドームーン!」
ゾルがシャドームーンを見て笑みをこぼす。
「ジェネラルシャドウはオレが倒した。これから先の戦いには役には立てないと判断した。」
「ジェネラルシャドウを・・・そうか・・」
シャドームーンからの報告を聞いて、死神博士が肩を落とす。
「早速だがクロス打倒の作戦を遂行する。ルシファー、出てこい。」
シャドームーンの呼び声を受けて、かなたが彼らの前に現れた。
「クロス、クラールを倒すため、お前の力を貸してもらうぞ。」
「分かりました、シャドームーン様。」
シャドームーンが呼びかけて、かなたが答える。2人はライと聖也を倒すために動き出した。
「クロスとクラールはどこだ?」
「現在、この基地を目指して走行しています。このままですと1時間ほどで到着することになります。」
ゾルが問いかけて、戦闘員の1人がレーダーとモニターを見て報告する。
「それまでにシャドームーンたちが接触することになるな。」
「そのときが、ヤツらの最期となる・・」
死神博士が言いかけて、ゾルが笑い声を上げた。
かなたを助けるため、地獄谷を目指すライと聖也。2人は山々の手前までたどり着いて、1度止まった。
「地獄谷・・その先にかなたが・・・!」
「ハイパーショッカーの基地があるのは間違いない。ここから先は気を引き締めて向かわなくては・・・!」
ライがかなたのことを考えて、聖也が注意を呼びかける。2人は先を急ごうとクロスレイダー、クラールジェットを走らせようとした。
そのとき、ライたちのいる場所に足音が響いた。重圧のある足音である。
「こ、この音は・・・!」
ライが緊張を覚えて、周りを見回す。足音はだんだんと大きくなって、近づいてきていると彼らは直感した。
そしてライたちの前に2つの影が現れた。それはかなたとシャドームーンだった。
「かなた・・・お前は・・!?」
ライがかなたとシャドームーンを見て、さらに緊張をふくらませる。
「ライくん、知っているのか・・!?」
「シャドームーン・・暗黒結社ゴルゴムの世紀王の1人・・仮面ライダーBLACK、そしてRXの最大の宿敵・・・!」
聖也からの疑問にライが答える。シャドームーンが彼らの前に姿を現したのである。
「十時ライ、クロス。そして滝聖也、クラール。ここをお前たちの墓場としてくれる。」
シャドームーンがライたちに向かって言いかける。
「そうはいかない。私たちはここで倒れるわけにはいかないのだから・・!」
聖也がシャドームーンに言い返して、クラールドライバーとクラールソウルを手にした。
「かなた、一緒に帰るんだ・・おやっさんもまりちゃんも心配している・・!」
「私はルシファー。クロス、クラール、お前たちを倒すのが私の使命だ。」
ライが呼びかけるが、かなたは無表情のまま言い返す。
「私はさらに力を高めた。カメンフォームも十分対応できる。」
かなたが言いかけて、ルシファードライバーとルシファーソウルを手にした。
“ルシファー!”
彼がルシファーソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウル。”
かなたがルシファーソウルのスイッチを入れて、ルシファードライバーの右側のソウルスロットに上からセットした。
「変身。」
彼がルシファーハリケーンを中心へ押し込んだ。
“ダークチェンジ・ルシファー。”
かなたが紫のラインの入った黒く鋭い装甲とマスクを身にまとった。彼はルシファーへと変身を果たした。
「かなた、どうしてもオレたちと戦おうっていうのか・・・!?」
ライがいら立ちを噛みしめて、クロスドライバーとクロスソウルを手にした。
“クロスドライバー!”
ライがクロスドライバーを装着して、さらにクロスソウルを構えてスイッチを入れた。
“クロス!”
音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。
“ライダーソウール!”
ライは意識を集中して構えを取る。
「変身!」
彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クロース!”
クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。
“クラール!”
“ライダーソウール!”
聖也がクラールソウルのスイッチを入れて、クラールドライバーにセットした。
「変身!」
聖也は左手を斜め右上に振り上げて、クラールドライバーの左レバーを上に上げて、クラールタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クラール!”
彼の体をオレンジ、黒、銀に彩られた装甲とマスクが包んだ。
「全てを、オレが正す!」
「仮面ライダーと正義の力、お前も受けてみろ・・!」
ライと聖也がかなたとシャドームーンに向かって言い放つ。
「ムダな抵抗はしないことだ。お前たちの命は、既に我が手中にある。」
シャドームーンがライたちに対して強気を示す。
「お前もハイパーショッカーの戦士なら、容赦はしないぞ!」
聖也が言い放って、シャドームーンに向かっていく。
「気を付けて、聖也さん!シャドームーンは・・!」
ライが慌てて聖也に呼びかける。聖也が攻撃を仕掛けるが、シャドームーンは回避と防御をこなしてみせた。
「やっぱり動きを読んでいる・・ヤツは、オレたちの戦いをモニターしている・・!」
ライがシャドームーンの能力を思い出して、息をのむ。
シャドームーンの両目「マイティアイ」は透視などの様々な能力が備わっているだけでなく、モニター機能もある。相手の動きをモニターして、対応することもできる。
「オレたちの今までの戦いを見ていたとしたら、オレたちはアイツに太刀打ちができない・・・!?」
自分たちの動きがシャドームーンに読まれていると思って、ライが危機感を覚える。
聖也が繰り出したパンチをかわして、シャドームーンが彼の後ろに回り込んだ。
「ぐっ!」
シャドームーンの後ろから腕をつかまれて、聖也がうめく。
「くっ・・本当に私の動きが読めているというのか・・・!?」
聖也が毒づいて、足を上げて後ろに伸ばす。彼は両足のキックでシャドームーンを引き離す。
「先読みされたとしても、対応できない攻撃をすればいいだけのことだ・・!」
聖也が言いかけると、アクセルソウルを手にした。
“アクセル!”
“ライダーソウール!”
彼がアクセルソウルのスイッチを入れて、クラールドライバーにセットして、クラールタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!アクセール!”
聖也のまとうクラールの姿が赤い装甲に変わった。彼はアクセルフォームへの変身を果たした。
「振り切るぞ!」
聖也が一気にスピードを上げて、シャドームーンに向かっていく。聖也はその勢いのまま、足を振りかざしてキックを繰り出す。
シャドームーンが左腕を掲げて、聖也のキックを防いだ。
「何っ!?」
「その程度の動きも、私には通用しない。」
驚く聖也にシャドームーンが言いかける。彼が右手をかざして、ビームを放ってきた。
「ごあっ!」
聖也がビームに持ち上げられて振り回されていく。
「聖也さん!」
ライが聖也を助けようとするが、かなたが行く手を阻む。
「お前の相手は私がする。」
「かなた・・・やはりベルトを外すしかないのか・・・!」
戦おうとするかなたに、ライが焦りを噛みしめる。
かなたが飛びかかって、ライを攻め立てる。ライは素早く動いて、攻撃をかわしていく。
「通常でもこれだけの動きができるようになったか。しかし強くなったのは私も同じ。」
かなたが言いかけてスピードを上げる。彼がライの右腕を左手でつかんで、右手でパンチを連続で叩き込む。
ダメージを負うライが、続けてかなたに右腕を引っ張られて投げられる。地面に倒れるライだが、すぐに立ち上がって体勢を整える。
「もはやお前が私に勝つ要素はない。たとえカメンフォームになったとしても。」
「そこまで言うなら、やってやるさ・・!」
勝利を確信しているかなたに言い返して、ライがカメンソウルを手にした。
“カメン!”
“ライダーソウール!”
ライはカメンソウルのスイッチを入れて、クロスドライバーにセットした。
「超変身!」
彼がクロスドライバーの左レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“超変身・カメーン!”
クロスの装甲とマスクが、緑と赤の横のラインの入ったものになった。ライはカメンフォームへと変身を果たした。
「かなた、ベルトを外して、お前を元に戻す・・!」
「私はルシファー。お前を倒すだけだ。」
鋭く言いかけるライに対して、かなたは口調を変えない。
ライが正面からかなたに向かっていく。ライがかなたの体にパンチを当てて、そのまま地面に押し付ける。
「お前のベルトを外す!」
ライが言い放って、ルシファードライバーに手を掛けた。だが次の瞬間、かなたが繰り出したパンチがライの体を持ち上げた。
「なっ!?」
驚くライが押されて、地面を転がる。かなたが立ち上がって、倒れているライを見下ろす。
「オレを押してきた・・!?」
「言ったはずだ。カメンフォームでも私には勝てないと。」
声を荒げるライに、かなたが言いかける。
「これで負けを認めると思わないことだな・・!」
ライが再びかなたに向かっていく。ルシファードライバーを外そうとするライだが、彼の手をかなたは素早くかわしていく。
「カメンソウルの力を使っているのに、かなたに追いつけない・・!?」
手が届かないことに、ライは驚きをふくらませていく。かなたが足を突き出して、ライを蹴り飛ばす。
「うっ!」
ライが痛みを覚えてうめく。彼がすぐに立ち上がって、迫るかなたを迎え撃つ。
“リュウガ!”
かなたがリュウガソウルを手にして、ルシファードライバーの左のソウルスロットにセットした。
“ダークチャージ・リュウガ。”
かなたが足に黒い炎を灯して、ジャンプしてライ目がけてキックを繰り出した。
「がはっ!」
ライが蹴り飛ばされて、強く地面に叩きつけられた。
「技の威力も上がっている・・ホントに、カメンソウルの力を超えているのか・・!?」
ライが痛みに耐えながら立ち上がる。
「私はさらなる調整によって力を高めた。クロス、お前の力を完全に超えるほどに。」
かなたが自分の力について告げる。
「またハイパーショッカーに再調整されて、強化されたというのか・・・!」
聖也が今のかなたの状態を悟って、危機感をふくらませていく。
「慎重になれ、ライくん!カメンソウルでも油断ならないぞ!」
「分かっています・・ここはオレも、本気にならないと・・!」
聖也が呼びかけて、ライが気を引き締める。彼がクロスドライバーの右のレバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させる。
“ライダースマッシュ・カメーン!”
全身からまばゆい光を発するライ。ライがジャンプして、右足のキックを繰り出す。
“ダークキバ!”
かなたもダークキバソウルを手にして、ルシファードライバーにセットした。
“ダークチャージ・ダークキバ。”
両足に黒い煙のような光が集めて、かなたが飛び上がる。
「ルシファースバーストエンド。」
かなたが両足のキックを繰り出して、ライのキックとぶつかり合った。その衝撃がまばゆい閃光を巻き起こした。
衝撃が治まった果てに地面に倒れたのは、ライだった。
「ライくん!」
大きなダメージを負ったライに、聖也が叫ぶ。
「これで分かっただろう。もはやお前たちに勝ち目はない。」
着地したかなたがライを見下ろす。
「ぐっ!」
かなたから受けたダメージに加えて、カメンフォームの負担ものしかかって、ライが激痛に襲われてうめく。
「もはやお前自身、限界を迎えているようだ。諦めろ。」
かなたが自分の手を軽く動かしてから、ライに忠告する。
「かなた、やめろ・・お前は罪のない人を苦しめる企みに加わって、平気なのか・・・!?」
ライが声を振り絞って、かなたに呼びかける。しかしかなたの様子が変わることはない。
「お前たちは終わりだ。2人とも地獄に落ちるがいい。」
シャドームーンが言いかけて、右手からのビームで聖也を地面に叩きつけた。
「ルシファー、クロスのとどめはお前が刺せ。オレはクラールを倒す。」
「分かりました。」
シャドームーンの指示にかなたが答える。2人がライと聖也にとどめを刺そうと迫る。
「待て!」
そこへ声がかかって、かなたたちが振り向く。彼らの前に1人の男が姿を現した。
「あ、あなたは・・!」
ライがその男を見て、驚きと戸惑いを覚える。
「シャドームーン、お前もハイパーショッカーに入っていたのか・・オレも、お前たちを止めてみせる!」
男がシャドームーンに向かって言い放つと、両手を握りしめて構えた。
「変・・身!」
男がポーズを取ると、ベルトが現れて光が放たれる。すると彼の体が変化して、怪人「バッタ男」を経て、黒い体の戦士へと変身を果たした。
「仮面ライダー、BLACK!」
男が名乗りを上げてポーズを決めた。
「南光太郎さん・・仮面ライダーBLACKだ・・!」
ライが男、仮面ライダーBLACKを見て心を動かされる。
光太郎はシャドームーンと並ぶ暗黒結社「ゴルゴム」の世紀王「ブラックサン」に改造された。ゴルゴムを脱出した彼は、自由と平和のための戦いに身を投じたのである。
「シャドームーン、ハイパーショッカー、全ての世界はオレたちが守るぞ!」
BLACKがシャドームーンに向かって言い放つ。
「お前もここに来ていたか、ブラックサン。いや、仮面ライダーBLACK。お前もオレがこの手で葬ってやるぞ。」
シャドームーンがBLACKに目を向けて言いかける。
「シャドームーン・・!」
BLACKもシャドームーンを見て、緊張を感じていく。
「クロスとクラールは追い詰められている・・オレが加勢しても状況はよくはならない・・・!」
BLACKが状況を把握して、最善の方法を見出す。
「オレが2人を食い止める!2人ともここを離れろ!」
BLACKがライと聖也に呼びかけて、シャドームーンに向かっていく。BLACKが力を込めてパンチを繰り出すが、シャドームーンに回避と防御をされる。
「仮面ライダー!・・・ライくん、撤退するぞ!」
“クラールジェット!”
聖也が呼びかけて、クラールジェットソウルを手にしてスイッチを入れた。クラールジェットが駆けつけて、聖也が乗って走り出す。
「ライくん!」
聖也が手を伸ばして、ライが体を起こしてその手をつかむ。2人はクラールジェットに乗って、この場を後にした。
「逃がしはしない。」
かなたがライたちを追おうとしたのを、BLACKが気付いた。
「キングストーンフラッシュ!」
BLACKが体内に埋め込まれている世紀王の石「キングストーン」のエネルギーを、光にしてベルトから放出した。
「うっ!」
かなたが光で視界をさえぎられて、ライたちを見失う。
「おのれ、ライダー・・!」
シャドームーンがマイティアイでBLACKの行方を探る。光を放ったBLACK自身も、即座にこの場を離れていた。
「全員に逃げられたか。しかしここで待機していれば、ヤツらを確実に見つけられる。」
シャドームーンはライたちを追おうとせず、かなたに目を向ける。
「我々はここで待機だ。もうじき援軍が到着する。」
「分かりました、シャドームーン様。」
“ダークリリース。”
シャドームーンの指示に答えて、かなたがルシファーへの変身を解いた。
「たとえ仮面ライダーが何人集まろうと、我らの勝利は揺るがない。」
シャドームーンがライたちの打倒を狙って、この場で待機していた。
BLACKに助けられて、ライと聖也はかなたたちの攻撃から逃げることができた。クラールジェットから降りた2人が、大きく深呼吸をする。
「危ないところだった・・」
「BLACKがいなかったら、オレたちは助からなかったです・・・」
聖也とライが安心を覚えて、ため息をついた。
「2人とも、無事でよかった・・」
そこへ声がかかって、ライたちが振り向いた。彼らの前にBLACKが戻ってきた。
BLACKは歩きながら変身を解いて、ライたちと合流した。
「やっぱり、光太郎さんだったんですね・・!」
「ライくん、聖也くん、君たちのことは噂を聞いていた。うまく会うことができてよかった。」
感動の声を上げるライに、光太郎が微笑みかける。しかし光太郎の表情がすぐに曇った。
「ハイパーショッカーはシャドームーンも前線に出してきた。ルシファーと手を組んで出てくるとは・・」
「そのルシファーなんですけど、オレの友達なんです・・・」
危機感を感じている光太郎に、ライがかなたのことを話す。
「ルシファーが、君の友達・・!?」
光太郎がライのことを聞いて、動揺を覚える。
「シャドームーンは、光太郎さんの親友・・・!」
ライも光太郎のことを考えて、動揺をふくらませる。シャドームーンの正体は、光太郎の親友、秋月信彦である。
信彦は光太郎とともにゴルゴムに捕まり、月のキングストーンを埋め込まれてシャドームーンに改造された。脳改造も施された信彦は、シャドームーンとしての人格しか残されておらず、BLACKとの宿命の戦いを繰り広げることになった。
「親友と戦うことになった辛さは、オレもよく分かっている。オレも信彦と戦いたくはない・・しかし、その迷いで世界を危険に巻き込むことになるかもしれない。そのことを忘れてはいけない・・」
「オレは、かなたを忘れることはできない・・かなたは、何が何でも助けます・・・!」
光太郎の助言を聞くも、ライはかなたを助けようとする決意を変えない。
「希望があるなら、オレも君のその願いが叶ってほしいと思っている。しかしそのために他の大勢の人が危険にさらされるわけにはいかない。」
光太郎の投げかける言葉を聞いて、ライと聖也が息をのむ。
「世界と人々のために、かつての親友と戦う覚悟は、君たちにはあるか?」
「それは・・・」
光太郎からの問いかけに対して、ライが口ごもって答えることができない。
「その迷いは命取りになる。君たちにとっても、みんなにとっても・・」
「だからといって、かなたを見捨てることは、オレにはできません・・絶対に・・・!」
光太郎からの忠告を受けても、ライはかなたを見捨てようとしない。
「本当に厳しい戦いになるぞ。その覚悟はあるか・・!?」
「はい・・かなたを助けるためなら・・・!」
光太郎が問い詰めて、ライが真剣な顔で頷いた。
「ライくん・・そこまでいうなら、オレもできる限り力を貸そう。」
光太郎が頷くと、あるアイテムを取り出した。
「それは、ライダーソウル!」
「仮面ライダーBLACKのライダーソウルですね・・!」
ライと聖也がライダーソウル「ブラックソウル」を見て、戸惑いを覚える。
「オレの力の込められたこのソウル。君がその覚悟を持っていれば、使いこなせるはずだ。」
光太郎が信頼を口にして、ブラックソウルをライに手渡した。
「光太郎さん・・ありがとうございます・・!」
ライが感謝して、ブラックソウルを受け取った。
「しかし、シャドームーンは私たちの戦い方を分析している。たとえBLACKの力を使っても、簡単に勝てるとは言えない・・」
聖也がシャドームーンを警戒して、不安を感じていた。
「ライくんたちはかなたくんを取り戻すことを考えるんだ。彼の心を取り戻せるのは、君たちだけだ。」
「はい・・オレ、やってみせます・・!」
光太郎からの信頼を受けて、ライが頷いた。
「ここにいたか、クロス、クラール。」
そこへ声がかかって、ライたちが振り向く。彼らの前に1人の男が現れた。
「お前は、クライシス帝国のジャーク将軍!」
ライが男、ジャークを見て声を上げる。
異世界「怪魔界」に存在するクライシス帝国。ジャークは帝国の最高司令官である。
「余も全ての世界の攻略の作戦に加わることになった。お前たちを始末することも、作戦の1つだ。」
ジャークが言いかけて、持っていた杖の先をライたちに向けた。
「オレたちは、こんなところで倒れるわけにはいかない!」
「お前たちを倒して、お前たちのアジトに乗り込む!」
ライと聖也が言い放って、クロスソウルとクラールソウルを手にした。
“クロス!”
“クラール!”
“ライダーソウール!”
2人がライダーソウルをクロスドライバー、クラールドライバーにセットした。
「変身!」
“変身・ライダー!クロース!”
“変身・ライダー!クラール!”
ライ、聖也がクロス、クラールに変身した。
「変・・身!」
光太郎がポーズを取って、BLACKへの変身を果たした。
「サイ怪人、シュバリアン、ライダーたちを倒せ!」
ジャークが呼びかけて、ゴルゴムのサイ怪人とクライシス帝国の怪魔ロボット、シュバリアンが現れた。
「サイ怪人にシュバリアン・・クライシスもハイパーショッカーの一員に・・!」
ライが緊張をふくらませて、サイ怪人が足を鳴らして彼らに向かって走り出す。
「ぐっ!」
ライがサイ怪人の突進を受けて押される。サイ怪人の角が当たって、クロスの装甲から火花が散る。
「ライくん!」
聖也がライに向かって叫ぶが、シュバリアンに行く手を阻まれる。
「貴様の相手はこのオレだ!」
シュバリアンが言い放って、右手の爪を振りかざす。聖也がとっさに回避するが、ライの援護に行くことができない。
「突進のパワーがとんでもない・・・まだオレの体力も回復していない・・そんな状態じゃ、カメンソウルもクロスワイズも使えない・・・!」
今の自分の状態を確かめるライ。
「BLACKの力を使うしかない・・・光太郎さん、使わせていただきます・・!」
“ブラック!”
ライがBLACKへの思いを胸にして、ブラックソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
彼がクロスドライバーにブラックソウルをセットして、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!ブラーック!”
クロスの装甲がBLACKそっくりになった。その装甲の隙間から蒸気があふれ出す。
ライはBLACKの姿と力を宿した「ブラックフォーム」となった。
サイ怪人が再びライに向かって突進する。ライが右手を強く握りしめて、パンチを繰り出した。
ライのパンチを頭に受けて、サイ怪人が逆に突き飛ばされて横転した。
ライがサイ怪人に対して、続けてパンチとキックを繰り出していく。サイ怪人はダメージを増してふらついていく。
「これが、光太郎さんの強さ・・・!」
自分が今使っているBLACKの強さを感じて、ライが戸惑いを覚える。サイ怪人がまた足を鳴らして、ライに向かって突っ込む。
ライがクロスドライバーの右レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“ライダースマッシュ・ブラーック!”
クロスドライバーから光があふれて、右足に集まる。
「クロスライダーキック!」
ライが大きくジャンプして、サイ怪人にキックを繰り出した。サイ怪人が蹴り飛ばされて、大きく突き飛ばされた。
1度立ち上がるサイ怪人だが、力尽きて倒れて爆発した。
「サイ怪人をたやすく倒すとは・・BLACKの力を備えたクロス、侮れんか・・」
ジャークがライの戦いを見て呟く。
「我々と合流する前に、クロスたちと接触していたか、ジャーク将軍。」
そこへシャドームーンが現れて、ジャークに声を掛けてきた。ルシファーに変身しているかなたも来ていた。
「シャドームーン・・かなた・・・!」
ライがかなたたちを見て、息をのむ。
「クロス、今度こそお前を倒す。もう逃げられはしない。」
かなたが言いかけて、ライに向かってジャンプする。
「ルシファー、オレも援護をさせてもらう。クロスのとどめ、確実に刺すのだ。」
シャドームーンがかなたに呼びかけると、ライに向かっていく。
“ゴルドドライブ!”
かなたがルシファードライバーの左のソウルスロットに、ゴルドドライブソウルをセットした。
“ダークチャージ・ゴルドドライブ。”
彼がスピードを上げて、ライに向かってキックを繰り出した。
「ぐあっ!」
ライが体にキックを受けて、強く突き飛ばされた。