仮面ライダークロス
第29話「オレは正義の戦士、ストロンガー!」
休息を終えたライと聖也の戦いの映像を、かなたは目を通して対応できるようにしていた。その様子を見て、ゾルは笑みを浮かべていた。
「今度こそクロスとクラールを倒してもらうぞ、ルシファー。たとえヤツらが強くなろうと、勝つのはルシファーだ。」
かなたへの期待を感じて、ゾルが頷いていく。
「しかし念には念を入れておいたほうがいい。私が先に攻撃を仕掛ける。」
ジェネラルシャドウが出てきて、ゾルに言いかけてきた。
「貴様だけでいいのか、ジェネラルシャドウ?」
「いつまでも仮面ライダーにやられているわけにはいかないからな。ヤツらに私の力を思い知らせる・・!」
ゾルが問いかけて、ジェネラルシャドウがライたちへの敵意を浮かべる。
「その志は喜ばしいが、くれぐれもムチャはするな。貴様もハイパーショッカーをまとめる戦士の1人なのだから・・」
「分かっている。そのような心配は無用だ。」
ゾルの言葉に答えて、ジェネラルシャドウは戦闘員たちを引きつれて基地を出た。
「ところで、あの者はどうしたのだ?」
「まだ連絡はない。他に何かやることがあるのか・・」
ゾルが問いかけると、死神博士が現れて答えた。
「近いうちにここに来るだろう。それまでジェネラルシャドウが倒されなければいいが・・」
ジェネラルシャドウを気にして、ゾルはため息をついた。
クロスレイダー、クラールジェットに乗ってライと聖也はハイパーショッカーの本拠地のある地獄谷を目指していた。
(待っていてくれ、かなた・・お前を必ず、おやっさんとまりちゃんのところに連れて帰る・・!)
かなたへの思いを感じながら、ライがクロスレイダーを加速させた。
そのとき、聖也はクラールジェット、クロスレイダーとは違うエンジン音を耳にして、警戒を強めた。
「もしかして、ハイパーショッカーが・・・!」
ライが言いかけて、聖也が頷く。2人は道を外れて広場に来たところで停車して、追跡者を迎え撃つ。
追跡してきたのは、バイクに乗った戦闘員たち。彼らは停車することなく、ライたちに向かって突っ込んできた。
「ハイパーショッカー、いきなり仕掛けてきて・・!」
「やるぞ、ライくん!」
毒づくライに聖也が呼びかける。2人がクロスソウルとクロスドライバー、クラールソウルとクラールドライバーを手にした。
“クロスドライバー!”
ライがクロスドライバーを装着して、さらにクロスソウルを構えてスイッチを入れた。
“クロス!”
音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。
“ライダーソウール!”
ライは意識を集中して構えを取る。
「変身!」
彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クロース!”
クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。
“クラール!”
“ライダーソウール!”
聖也がクラールソウルのスイッチを入れて、クラールドライバーにセットした。
「変身!」
聖也は左手を斜め右上に振り上げて、クラールドライバーの左レバーを上に上げて、クラールタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クラール!”
彼の体をオレンジ、黒、銀に彩られた装甲とマスクが包んだ。
ライと聖也はクロス、クラールに変身してクロスレイダー、クラールジェットに再び乗って走り出した。
戦闘員たちもバイクを走らせて突っ込む。しかしクロスレイダーのクラールジェットの突進を受けて、戦闘員たちが転倒したりバイクから跳ね飛ばされたりする。
「かなたはどこだ!?すぐに案内するんだ!」
ライが戦闘員の1人の前に詰め寄って問い詰める。
「お前たちをこれ以上先へ進ませるわけにはいかんぞ。」
そこへ声がかかって、ライと聖也が振り向いた。シャドウ剣を手にしたジェネラルシャドウが、彼らの前に現れた。
「ジェネラルシャドウ!」
「オレたちはかなたを連れ戻す!お前たちに邪魔はさせない!」
聖也とライがジェネラルシャドウに向かって言い放つ。
「ルシファーはハイパーショッカーの戦力。お前たちにとっては敵でしかない。」
ジェネラルシャドウが言い返して、シャドウ剣の切っ先をライに向けた。ライがクロスレイダーを走らせて、ジェネラルシャドウに向かっていく。
ジェネラルシャドウが左手で持ったトランプを投げつける。
「ぐっ!」
ライがトランプをぶつけられて、クロスレイダーから投げ出された。
「ライくん!」
地面に落ちたライに、聖也が叫ぶ。すぐに立ち上がったライが、ジェネラルシャドウに視線を戻す。
「行くぞ、クロス。これ以上お前たちに、我々の邪魔はさせんぞ。」
ジェネラルシャドウが言いかけて、ライに飛びかかってシャドウ剣を振りかざす。ライが回避しようとするが、シャドウ剣にクロスの装甲が切りつけられる。
「これでは私の攻撃をかわすことはできんぞ。」
「だったら、もっと速く強くなればいいだけだ・・!」
強気に告げるジェネラルシャドウに言い返して、ライが仮面ライダーGのライダーソウル「Gソウル」を手にした。
“G!”
“ライダーソウール!”
彼がGソウルをクロスドライバーにセットして、左レバーを上げてクロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!ジー!”
クロスの装甲がGそっくりになった。ライは「Gフォーム」へ変身した。
「これは、仮面ライダーGの・・!」
ジェネラルシャドウがライを見て警戒を抱く。
「そのような小細工で勝てると思うなら、見事私を倒してみるか・・!」
ジェネラルシャドウが笑みをこぼして、シャドウ剣を突き出す。ライはジャンプしてシャドウ剣をかわして、着地してからソードガンソウルを手にした。
“ソードガン!”
ライはクロスソードガンを呼び出して、ジェネラルシャドウが振りかざすシャドウ剣とぶつけ合う。
「スピードはまともになったようだが、まだ私には及ばん・・!」
ジェネラルシャドウはライを引き離すと、マントをひるがえして姿を消した。ライが周りを見回して、ジェネラルシャドウを捜す。
そのとき、上空からトランプが飛んできて、ライに次々に命中した。
「ぐあっ!」
ライがダメージを受けて地面に倒れる。ジェネラルシャドウが姿を現して、苦痛を覚える彼を見下ろす。
「変則的な攻撃はパワーもスピードも無効にすることが可能だ。お前は私の動きに完全についてこれるわけではない。」
冷静に告げるジェネラルシャドウの目の前で、ライが力を振り絞って立ち上がる。
「それでもオレはお前たちを倒して、かなたのところへ行く!」
ライが感情をあらわにして、クロスドライバーの右レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“ライダースマッシュ・ジー!”
彼が構えを取って、左足にエネルギーを集めていく。
「クロススワリングキック!」
ライがジャンプして回転して、ジェネラルシャドウに向かってキックを繰り出す。ジェネラルシャドウが大きなトランプを出して、ライのキックを受け止めた。
ライのキックはトランプを押し込んだが、その先にジェネラルシャドウの姿はない。
「どこへ行った!?・・姿を見せろ!」
「ここだ。」
着地したライの後ろに、ジェネラルシャドウが回り込んだ。
「しまっ・・!」
振り返るライに向かって、ジェネラルシャドウがシャドウ剣を突き出そうとした。
そのとき、シャドウ剣がジェネラルシャドウの手からはじき飛ばされた。彼らの前に現れたのは、1人の仮面ライダー。
「き、貴様は!」
驚くジェネラルシャドウが、ライダーが繰り出したキックを受けて突き飛ばされる。
「あ、あなたは・・!」
ライもライダーを見て戸惑いを覚える。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!悪を倒せとオレを呼ぶ!オレは正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
仮面ライダー、ストロンガーが高らかに名乗りを上げた。
「ストロンガー、貴様もここに来ていたか・・!」
「ジェネラルシャドウ、オレたちはお前たちハイパーショッカーの企みを阻止してきた!お前の動きもオレはつかんでいたぞ!」
毒づくジェネラルシャドウに、ストロンガーが言い放つ。
「ありがとうございます、ストロンガー・・!」
「お前がクロスか。みんなから話は聞いているぞ。」
お礼を言うライに、ストロンガーが声を掛ける。
「ここからはオレも加勢するぞ!ジェネラルシャドウ、決着を付けるぞ!」
「よかろう、ストロンガー・・貴様の首もいただくぞ・・!」
ストロンガーとジェネラルシャドウが言い放って、同時に飛び出す。ジェネラルシャドウが振りかざすシャドウ剣をかいくぐって、ストロンガーが後ろに回った。
「電ショック!」
ストロンガーが右手を地面に叩きつける。電気を帯びた彼の右手から、地面を張って火花が駆け抜ける。
ジェネラルシャドウは素早く横に動いて、ストロンガーの放った電気をかわした。
「ストロンガーは電気人間。自分の体から発する電気も、彼の武器の1つ・・」
ライがストロンガーの戦いを見て、戸惑いを感じていく。
「貴様の電気技、さすがだ。だがいつまでも貴様に後れを取るジェネラルシャドウではないぞ・・!」
ジェネラルシャドウが言いかけて、左手でトランプをつかんだ。
「必殺の電気技も、当たらなければ無力も同然・・!」
ジェネラルシャドウがトランプを投げて、ストロンガーの周囲の地面に突き立てる。トランプが爆発して、ストロンガーは舞い上がる土煙で視界をさえぎられる。
「くっ・・ヤツはどこだ・・・!?」
ストロンガーがジェネラルシャドウの行方を追う。視界がさえぎられている上、神出鬼没の動きをするジェネラルシャドウの位置を探り出すのは、難しいことだった。
「ぐっ!」
そのとき、ストロンガーが激痛を覚えてうめく。土煙から飛び出した彼の体を、シャドウ剣が貫いていた。
「ストロンガー!?」
ふらつくストロンガーを目の当たりにして、ライが驚きを隠せなくなる。
「私が新たに披露した変則的な攻撃。さすがの貴様も回避はできなかったな。」
ジェネラルシャドウが姿を現して、倒れたストロンガーを見下ろして笑みをこぼす。
「お前・・よくもストロンガーを!」
怒りを覚えるライが、クロスワイズソウルを手にした。
「カメンソウルは負担が大きい・・負担が比較的重くないクロスワイズで・・!」
ライが考えを巡らせて、あえてクロスワイズになることを選んだ。怒りを感じながらも、彼は冷静に判断していた。
“クロスワイズ!”
ライがクロスワイズソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
彼がクロスワイズソウルをクロスドライバーにセットした。
「大変身!」
ライがクロスドライバーの左レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“大変身!クロスワーイズ!”
クロスの装甲に赤いラインが入って、マスクの形と目元も鋭くなった。ライはクロスワイズへと変身した。
「カメンフォームではなくクロスワイズか。それならば対処はたやすい。」
ジェネラルシャドウが笑みを浮かべて、ライを迎え撃つ。
ライが真正面からジェネラルシャドウに飛びかかる。ジェネラルシャドウはストロンガーからシャドウ剣を引き抜いて、ライ目がけて振りかざす。
ライが両腕を構えて、ジェネラルシャドウの腕と組み合って、シャドウ剣を止める。
「それでオレを止められると思っているのか?」
ジェネラルシャドウが左手でトランプを投げつける。
「ぐっ!」
至近距離からクロスの装甲にトランプを当てられて、ライがうめく。彼はふらついて、ジェネラルシャドウから引き離される。
「クロスワイズもパワーとスピードが通常以上だが、この戦法を覆すことはできん。」
ジェネラルシャドウが言いかけて、シャドウ剣の切っ先をライに向ける。
「ライくん!」
聖也がライに向かって叫ぶが、戦闘員たちに行く手を阻まれる。
「次は貴様の命をもらうぞ、クロス。」
「オレは負けない・・こんなところで倒れるわけにはいかない!」
とどめを刺そうとするジェネラルシャドウに向かって、ライが強い意思を示す。
「ルシファーの手をわずらわせることなく終わるか・・」
ジェネラルシャドウがライを狙って、シャドウ剣を突き出した。
そのとき、ジェネラルシャドウが突然激痛を覚えて怯む。
「な、何っ!?」
驚きを覚えるジェネラルシャドウが、後ろに目を向ける。そこにいたのは、倒れたはずのストロンガーだった。
「き、貴様はストロンガー!?なぜだ!?貴様の息の根は止まったはず!?」
「そんなことオレが知るか!」
ジェネラルシャドウが投げかけた問いを、ストロンガーがはねつけた。
「もしかして、反射的に急所を突かれるのを避けたんじゃ・・・!?」
ライがストロンガーが無事だった理由を推測する。立ち上がったストロンガーが、ジェネラルシャドウに後ろからつかんで、電気を送り込んだのである。
「ならば確実に貴様の息の根を止めてくれるぞ!」
「今度はそうはいかないぞ、ジェネラルシャドウ!」
ジェネラルシャドウがシャドウ剣を構えて、ストロンガーが構えを取る。
「ストロンガー、オレも戦います!ハイパーショッカーを許せないのは、オレも同じですから!」
ライが気を引き締めて、ストロンガーに呼びかける。
「協力は感謝する!だが今のオレは敵が許せないから戦っているわけではない!自由と平和、正義と命を守るために戦っている!」
「ストロンガー・・!」
「君も復讐や倒すための戦いでなく、大切なものを守る戦いを続けるんだ!守るものはそれぞれでも、守ろうとする強さは同じはずだ!」
ストロンガーからの激励を受けて、ライが戸惑いを感じていく。
「オレも、かなたを助けようとして、おやっさんやまりちゃん、みんなを守ろうとしている・・そのために、オレは戦い続ける・・・!」
「よし!ならばオレの力を使え!」
決意を口にしたライに頷いて、ストロンガーがアイテムを手にした。それはライダーソウル「ストロンガーソウル」だった。
「それは!」
驚くライに、ストロンガーがストロンガーソウルを投げて渡す。
「それならば、今の状態よりも負担が少ないはずだ!」
「ストロンガー・・ありがとうございます!」
呼びかけるストロンガーに、ライが感謝した。
“ストロンガー!”
“ライダーソウール!”
彼がクロスドライバーにストロンガーソウルをセットして、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!ストロンガー!”
クロスの装甲がストロンガーそっくりになった。ライは「ストロンガーフォーム」への変身を果たした。
「ストロンガーが2人だと!?またしてもこのような小細工を・・!」
ジェネラルシャドウがライの姿を見て毒づく。
「クロス、電ショックだ!」
「はい!」
ストロンガーからの指示に、ライが答える。
「今のオレには、ストロンガーの力が宿っている・・オレにも、電気技が使えるはずだ・・!」
ライが自分とストロンガーの力を信じて、右手を握りしめる。その手に電気が集まって力に変わる。
「電ショック!」
ライとストロンガーが同時に地面に手を付けて、電気を放出する。ジェネラルシャドウが上にジャンプして、迫る電気の火花をかわそうとする。
ライとストロンガー、2人の電気がぶつかり合ったとき、火花が火柱のように上に伸びた。
「ごあっ!」
ジェネラルシャドウが火花を直撃されて、体勢を崩して倒れた。
「やった!・・オレたちの電気エネルギーが合わさって、威力が上がった・・!」
ライが自分たちの電気技に驚いていた。
「ストロンガーの力が、これほどまでにアップするとは・・!」
ジェネラルシャドウがライたちの強さを痛感して、息をのむ。
「クロス、このまま一気に決めるぞ!」
「はい!」
ストロンガーの呼びかけに答えて、クロスドライバーの右レバーを上に上げてクロスタイフーンを回転させた。
“ライダースマッシュ・ストロンガー!”
ライの右足に電気エネルギーが集まっていく。彼とストロンガーが同時にジャンプする。
「クロス!」
「ストロンガー!」
「電キック!」
ライとストロンガーが繰り出したキックが、ジェネラルシャドウの体に同時に命中した。
「がはぁっ!」
回避がままならなかったジェネラルシャドウが絶叫を上げる。着地したライとストロンガーの前で、ジェネラルシャドウが地面に膝を付く。
「ス、ストロンガーのパワーが2倍になったかのようだ・・・!」
大きなダメージを痛感して、危機感を覚える。
「ジェネラルシャドウ、ここで決着を付けるぞ!」
「そうはいかん・・私は倒れるわけにはいかんのだ・・・!」
言い放つストロンガーに、ジェネラルシャドウが声を振り絞って言い返す。彼はマントを翻して姿を消した。
「くっ・・逃げられた・・・!」
ストロンガーがジェネラルシャドウに対して毒づく。
「すみません、ストロンガー・・オレの力が至らなかったせいで・・・」
「いや、それならオレの油断でもある・・君だけが気に病むことはない。」
謝るライにストロンガーが言い返す。
「クロス、クラール、オレもお前たちの強さと可能性を信じている。君たちは君たちのこの戦いを続けていけばいい。」
「ストロンガー・・本当に、ありがとうございました・・!」
激励を送るストロンガーに、ライが感謝して頭を下げた。
「ではオレは行く。君たちも本当の強さ、忘れないようにな。」
「はい。」
ストロンガーが呼びかけて、聖也が頷いた。ライと聖也に見送られて、ストロンガーは立ち去っていった。
「強き電気の力を持つ正義の戦士、ストロンガー・・オレたちはまた、仮面ライダーの先輩に背中を押された・・・」
歴代の仮面ライダーの助けを実感して、ライが戸惑いをふくらませていく。
「仮面ライダーのみなさんは、私たちを信じてくれている。その信頼を踏みにじるようなことは、してはいけないな・・」
「はい・・!」
聖也が投げかけた言葉に、ライが微笑んで頷いた。
「では私たちは地獄谷に向かうぞ。私たちのやるべきことを果たさなければ・・」
聖也が呼びかけて、ライが頷く。2人はクラールジェット、クロスレイダーに乗って、地獄谷を目指して走り出した。
ライたちの攻撃でダメージを負って、ジェネラルシャドウは撤退を余儀なくされた。
「このまま基地に引き返すわけにはいかん・・体力を回復させ次第、再びヤツらに攻撃を・・」
「その必要はない。」
ライたちへの逆襲を図るジェネラルシャドウに向かって声がかかった。ジェネラルシャドウがシャドウ剣を構えて振り返る。
その先にいたのは、銀の鎧のような姿の人物。
「き、貴様は!」
「お前は先走った上に失敗を繰り返した。役目はここまでだ。」
声を上げるジェネラルシャドウに、男が告げる。男が剣を突き出して、ジェネラルシャドウの体を貫いた。
「貴様・・私に、このようなこと・・・!」
「しかしお前のおかげで、クロスたちの能力を知ることができた。感謝しているぞ。」
驚きを隠せなくなるジェネラルシャドウに、男が言いかける。男が剣を引き抜いて、ジェネラルシャドウが倒れる。
「ここからはオレが作戦を遂行する。オレとルシファーが共闘すれば、クロスもクラールも、他の仮面ライダーも打倒は確実だ。」
「おのれ・・私は、こんなところで倒れるわけには・・・!」
これからのことを告げるシャドームーンに対して、ジェネラルシャドウが声を振り絞る。しかしジェネラルシャドウが力尽きて、その場で動かなくなった。
「クロス、クラール、お前たちの命ももうすぐ終わる。オレかルシファー、どちらかがお前たちを倒すからだ。」
ライ、聖也の打倒を決意して、シャドームーンはこの場を後にした。重圧のある足音を響かせながら。