仮面ライダークロス
第28話「アギト!目覚める魂、受け継ぐ魂」
クラールもヴァイスクラールとなってパワーアップを果たした。その知らせを聞いた死神博士とゾルが、緊張を覚える。
「クロスに続いてクラールも・・これは忌々しき事態だぞ・・・!」
「これではさすがのルシファーも、クロスとクラールの2人を同時に相手をするのは厳しいぞ・・!」
ゾルと死神博士がライと聖也を警戒する。
「これは我々ハイパーショッカーの総力を賭けなければならないようだな・・」
ジェネラルシャドウも危機感をふくらませていく。
「ゾル大佐、こちらへ連絡が入りました。援軍を送るとのことです。」
そこへ戦闘員が1人やってきて、ゾルたちに報告してきた。
「それで、その援軍というのは?」
ジェネラルシャドウが問いかけて、戦闘員がさらに報告した。
「まさか、あの者がこちらに出向くか・・・!」
報告を聞いたゾルが息をのむ。死神博士たちも緊張をふくらませていた。
「しかし、ヤツが来ればこちらの勝機が格段に増すか。ルシファーと共闘すれば・・」
「たとえ今のクロスとクラールといえども・・」
ジェネラルシャドウとゾルが報告を聞いて、笑みを浮かべる。
「クロスたちの監視を強化しろ。」
「イー!」
ゾルが命令を出して、戦闘員が答えて動き出した。
聖也がヴァイスソウルを使えるようになった。さらに強さが上がったことに、彼もライも自信を付けていた。
「すごくなってきたな、ライも聖也くんも。」
ひろしがライたちに向けて、喜びと驚きを込めた言葉を送る。
「でも、まだかなたを助けてはいないです・・アイツを助けられないんじゃ、この強さも意味がないです・・・!」
ライがかなたのことを気にして、表情を曇らせる。
「ライくん、ムチャはしないで・・ライくんまでいなくなったら、私・・・」
まりがライを心配して、胸に手を当てる。
「絶対に戻る・・オレもかなたもな・・」
「ライくん・・・うん・・・」
真剣な顔で答えるライに、まりが小さく頷いた。
「ライ、聖也くん、今、ニュースが怪物が現れたって・・!」
そのとき、ひろしがTVを見てライたちに向かって呼びかけてきた。
「怪物・・怪人がまた出たか・・!」
「おやっさん、オレたち、行ってきます!」
聖也が毒づいて、ライが彼とともに外へ飛び出した。
街では1人の怪人が現れて、無差別に人々を襲っていた。「アンノウン」の1人「クラブロード」である。
逃げ遅れた男性が、クラブロードにつかまれて苦しむ。
「やめろ!」
そこへライと聖也が駆けつけて、クラブロードが振り向く。
「あれは、アンノウン・・アギトたちと戦った怪人だ・・・!」
「ヤツらも私たちの前に出てきたか・・人々を襲うなら、私たちがお前を倒す!」
ライが声を上げて、聖也がクラブロードに向かって言い放つ。ライと聖也がクロスドライバーとクロスソウル、クラールドライバーとクラールソウルを手にした。
“クロスドライバー!”
ライがクロスドライバーを装着して、さらにクロスソウルを構えてスイッチを入れた。
“クロス!”
音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。
“ライダーソウール!”
ライは意識を集中して構えを取る。
「変身!」
彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クロース!”
クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。
“クラール!”
“ライダーソウール!”
聖也がクラールソウルのスイッチを入れて、クラールドライバーにセットした。
「変身!」
聖也は左手を斜め右上に振り上げて、クラールドライバーの左レバーを上に上げて、クラールタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クラール!”
彼の体をオレンジ、黒、銀に彩られた装甲とマスクが包んだ。
「全てを、オレが正す!」
「仮面ライダーと正義の力、お前も受けてみろ・・!」
ライと聖也がクラブロードに向かって言い放つ。クラブロードが男性を放して、ライたちに向かっていく。
ライと聖也がクラブロードに向かっていく。クラブロードが右手のハサミを振りかざすが、ライと聖也が素早くかわしていく。
「その程度の動きでは、私たちには追いつけないぞ・・!」
聖也が鋭く言って、体勢を低くしてクラブロードに連続でパンチを叩き込む。クラブロードが押されて、ダメージでふらつく。
「お前はハイパーショッカーの一員か!?何が目的だ!?」
聖也がクラブロードに向かって問いかける。しかしクラブロードは答えずに後ずさりしていく。
「何も答えずに悪事を働くなら、何も聞かずにお前を倒すだけだ・・!」
聖也は迷いを振り切って、とどめを刺そうとクラールドライバーを操作しようとした。
そのとき、クラールの装甲から火花が散って、聖也が突き飛ばされた。
「聖也さん!」
倒れた聖也にライが叫ぶ。攻撃をしてきたのは、青い体のクラブロードではなく、もう1人の赤い体のクラブロードだった。
「もう1人のアンノウン!?」
「色違いの同じタイプのアンノウンか・・!」
ライと聖也が2人のアンノウン、ブルークラブロードとレッドクラブロードを見て驚く。2人のクラブロードが体勢を整えて、ライたちを見て構えを取る。
「ここはヴァイスを使って、一気に決めるべきか・・!」
聖也はヴァイスソウルを使おうと考えた。そのとき、2人のクラブロードが突然横に振り向いた。
その先には1人の男がいた。クラブロードたちは男に対して警戒を感じていた。
「あ、あの人は・・!」
ライが男を見て戸惑いを覚える。構えを取った男の腰に、ベルト「オルタリング」が現れた。
「変身!」
男がオルタリングの左右のボタンを押すと、彼の姿が金色の仮面ライダーに変わった。
男の名は津上翔一。仮面ライダーアギトである。
「アギト・・アギトが来た・・・!」
ライがアギトを見て戸惑いを覚える。クラブロードたちがアギトへの警戒を強める。
アギトがクラブロードに向かっていって、攻撃を仕掛ける。彼のパンチに、飛びかかったクラブロードたちを返り討ちにする。
「すごい・・アンノウン2人を同時に相手をして、優勢とは・・!」
アギトの戦いと戦闘力を目の当たりにして、聖也がライとともに驚きを感じていく。
ブルークラブロードが振りかざしたハサミを、アギトが受け止める。レッドクラブロードが突っ込むが、アギトが足を突き出して蹴り飛ばす。
アギトがそのままブルークラブロードを投げ飛ばす。
アギトが構えを取って意識を集中すると、足元に紋章の形のエネルギーが現れた。そのエネルギーを足に集めて、彼はジャンプしてキックを繰り出した。
アギトの繰り出したキックを受けて、ブルークラブロードが突き飛ばされる。決定打を受けた彼が爆発を起こした。
「やった・・!」
ライがアギトに向かって声を上げる。劣勢を感じたレッドクラブロードが、彼らの前から慌てて逃げ出した。
アギトがライたちに振り向いて、小さく頷いた。
“変身カイジョー。”
ライと聖也がクロス、クラールへの変身を解いた。アギトも変身を解除して、翔一が彼らに振り向いた。
「はじめまして、2人とも。僕は津上翔一。アギトだ。」
「オレはクロス。十時ライです。」
「私は滝聖也です。よろしく、津上さん。」
翔一、ライ、聖也が自己紹介をする。翔一がライたちを見て笑顔を見せた。
「津上さん、あのアンノウンを追って来たんですか・・?」
「それだけじゃなく、他の怪人が出てきてもね。」
ライの問いかけに翔一が答える。
「仮面ライダーのみんなから話は聞いているし、その前から異変が起きたという気がしていたよ。」
翔一が自分のことをライたちに話す。翔一も世界の異変やハイパーショッカーを始めとした怪人たちの動きについて、警戒をしていた。
「ハイパーショッカーが指揮をして動いている怪人だけじゃない。独自に現れて、自分だけの目的で動いているのもいるんだ。今のアンノウンたちのように。」
「その独自に動いている怪人を、ハイパーショッカーはあえて見逃しているようだ・・」
翔一が説明して、聖也が言いかける。
「これじゃ、どんなに強くなっても、あちこちで怪人が出てきたんじゃ、さすがに対応しきれない・・・!」
怪人が次々にいろんな場所で悪事を働いている事態に、ライが焦りを感じていく。
「心配ないよ、2人とも。いろんなところにいるのは、怪人ばかりじゃない。仮面ライダーのみんなもね。」
「仮面ライダーのみなさん・・みなさんも、戦い続けている・・・!」
翔一が仮面ライダーのことを話して、ライが励みを覚える。
「みんなそれぞれの大切なもののために戦っている・・悪い怪人や悪人と・・・!」
仮面ライダーの戦う姿を想像して、ライが心身を揺さぶられていく。自分の知らないところでも、ライダーは戦っていることを、彼は改めて理解していた。
「仮面ライダーのみんなが長く戦っているのは、仲間や大切な人の支えやつながりがあるからなんだ。」
「翔一さん・・・」
「仮面ライダーといっても、1人で何でもできるわけじゃない。人同士、仲間同士で支え合って困難を乗り越えている。」
翔一の言葉を聞いて、ライと聖也は戸惑いを感じていく。
「君たちにできないことを、オレたちがしていく。でも僕たちにできないことを君たちがやってほしい。」
翔一がライの肩に手を乗せて、励ましの言葉を送る。
「これはある人からの受け売りだけど、オレもそう思う。他の人ができないことのどれかを、オレのできることを全力でやる・・」
「オレのできることを・・・」
翔一の言葉を受けて、ライが自分のこと、自分の周りのことを思い返していく。
「オレたちの居場所を守って、かなたを助ける・・それは、オレのできること・・・!」
「いや、私たちのできること、そしてやるべきことだ。」
ライと聖也が自分たちの決意を確かめて、頷き合った。2人を見て翔一も笑みをこぼした。
ライたちから逃走したレッドクラブロード。彼は体勢を整えてから、再び人間を襲おうとしていた。
「仮面ライダーを倒すつもりなら、我々も加勢させてくれないか?」
そこへ声がかかって、レッドクラブロードが振り向いた。その先にいたのは、ハイパーショッカーに所属している怪人、シードラゴンである。
「我々と手を組めば、仮面ライダーに勝てる可能性が増えることになる・・」
シードラゴンの誘いを、レッドクラブロードは受けることにした。アギトである翔一を倒すために。
再び暴れ出したレッドクラブロード。その場所での異変に、翔一は感付いた。
「また事件が起きている・・あのアンノウンが、また動き出したのかもしれない・・!」
翔一が声を上げて、ライと聖也が緊張を覚える。
「オレたちも行きます!アイツらのいいようにさせないって気持ちは、オレたちも同じです!」
ライが翔一に向かって呼びかけてきた。
「ありがとう、ライくん。よし、行こう!」
翔一が感謝してライ、聖也とともに駆け出した。彼らは人々を襲っているレッドクラブロードとシードラゴンを発見した。
「あれはショッカーの怪人・・!」
「アンノウン、ヤツと手を組んだか・・!」
ライと聖也がシードラゴンを見て毒づく。
「クロス、クラール、アギト、オレもお前たちの始末をさせてもらうぞ!」
シードラゴンがライたちを見てあざ笑う。
「そんなことにはならない!」
「お前たちの悪事は、私たちが阻止する!」
ライと聖也が言い放って、クロスドライバーとクロスソウル、クラールドライバーとクラールソウルを手にした。
“クロスドライバー!”
ライがクロスドライバーを装着した。
“クロス!”
“ライダーソウール!”
彼がクロスソウルをクロスドライバーにセットした。
「変身!」
ライが左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クロース!”
クロスドライバーからあふれた光を浴びて、ライはクロスに変身した。
“クラールドライバー!”
“クラール!”
“ライダーソウール!”
聖也が装着したクラールドライバーに、クラールソウルをセットした。
「変身!」
“変身・ライダー!クラール!”
彼がクラールタイフーンを回転させて、クラールに変身した。
「変身!」
翔一もアギトに変身してライ、聖也とともに構えを取る。
「仮面ライダーども、3人ともまとめて八つ裂きにしてくれる!」
シードラゴンが言い放って、右手の鞭を振りかざす。ライたちが左右に動いて、鞭をかわす。
アギトがシードラゴンに向かっていって、攻撃を仕掛ける。シードラゴンが再び鞭を振りかざすが、アギトに軽々とかわされていく。
アギトがパンチとキックを繰り出して、シードラゴンを攻め立てる。
「おのれ、アギト・・おい、オレを助けろ!」
シードラゴンが焦りを感じて呼びかける。レッドクラブロードが援護しようとするが、ライと聖也が立ちはだかる。
「お前の相手はオレたちだ!」
ライが言い放って、聖也とともに構えを取った。
アギトが足を振りかざして、シードラゴンにキックを当てた。押されたシードラゴンに対して、アギトが力を集中した。
そのとき、別方向から鞭が伸びてきて、アギトの腰に巻きついた。
「何っ!?うあっ!」
アギトが鞭を通して流れてきた電撃に苦痛を覚える。
「アギト!」
ライが振り向いて叫ぶ。アギトを縛っている鞭は、彼が追い詰めていたシードラゴンのものではなかった。
「かかったな、仮面ライダー!もっとも、こんなに早くこの手を使うのは想定外だったが・・!」
アギトの前に現れたのは、もう1人のシードラゴン。彼らは複数いて、最初に現れたのが1世、今アギトを捕まえているのが2世である。
「まずはアギト、貴様の息の根を止めてやるぞ!」
シードラゴン2世が鞭を引っ張って、アギトの体を締め付ける。そこへシードラゴン1世が鞭を振りかざして、アギトを叩いていく。
「これ以上やらせないぞ!」
ライがアギトを助けようと、シードラゴンたちに向かっていく。そのとき、2人のシードラゴンとは別の鞭が出てきて、ライの首に巻きついた。
「うぐっ!・・3人目もいたのか・・!」
ライが息苦しさを感じながら言いかける。彼の前にシードラゴン3世が現れた。
「時間差での不意打ちを狙ったが、そこまで時間差とはならなかったか・・!」
シードラゴン3世が毒づきながら、鞭でライの首を締め付ける。
「ライくん!」
アギトが叫ぶが、シードラゴン1世、2世に攻撃されて、ライを助けに行くことができない。
「順番が変わりそうだ・・まずは貴様だ、クロス!」
シードラゴン3世が言い放って、ライをさらに締め付ける。するとライが鞭をつかんで、逆に引っ張って振り払おうとする。
「オレは、こんなところで倒れるわけにはいかない・・おやっさんもまりちゃんも、オレとかなたが帰ってくるのを待ってるんだから・・・!」
ライが思いを口にして、鞭を首から放す。
「まりちゃんたちがいて、オレがいて、かなたもいる・・それが、オレのいるべき場所だ!」
シードラゴンたちに向かって言い放つライ。彼の思いを聞いて、アギトが頷いた。
そのとき、アギトの体から光があふれ出して、ライに向かって飛んだ。光はライの手元に来て、ライダーソウル「アギトソウル」になった。
同時に聖也の手元にも光が現れた。光はアギトの仲間である戦士、G3のライダーソウル「G3ソウル」に変わった。
「新しいライダーソウル・・アギト・・!」
「オレたちの力を使ってくれ。2人なら大丈夫だ。」
戸惑いを覚えるライに、アギトが頷いた。
「ありがとうございます、アギト・・!」
「あなたたちの力、使わせてもらいます・・!」
ライと聖也がアギトに感謝する。
“アギト!”
ライがアギトソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
彼がクロスドライバーにアギトソウルをセットして、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!アギトー!”
クロスの装甲がアギトそっくりになった。ライは「アギトフォーム」への変身を果たした。
“G3!”
“ライダーソウール!”
聖也がG3ソウルのスイッチを入れて、クラールドライバーにセットして、クラールタイフーンを回した。
“変身・ライダー!ジースリャー!”
クラールの装甲もG3そっくりになった。聖也は「G3フォーム」となった。
「アイツら、アギトそっくりの姿になったぞ・・!」
「そんなのはこけおどしだ・・オレたちの前ではな・・!」
シードラゴンたちがライをたちを見てあざ笑う。
「アギトから、津上さんから離れるんだ!」
ライが飛びかかって、シードラゴン1世をパンチで突き飛ばした。アギトがとっさに鞭を引っ張って、シードラゴン2世を引き倒した。
「コイツら、いい気になりおって・・!」
シードラゴン3世がライを狙って鞭を振りかざす。気付いたライが即座にジャンプして、鞭をかわしてキックを繰り出す。
「おわっ!」
シードラゴン3世が体にキックを受けて押される。
「お、おのれ、クロス・・!」
「落ち着け!3人で同時攻撃を仕掛けるぞ!」
いら立ちを覚えるシードラゴン3世に、1世が呼びかける。3人のシードラゴンが頷き合って、狙いをライに絞る。
「くらえ!トリプルシーサンダー!」
シードラゴンたちが鞭を振りかざして、ライの体に巻きつけた。
「ぐあっ!」
ライが強力な電撃に襲われて、苦痛の声を上げる。
「ライくん!」
アギトが叫んで、構えを取って足元にエネルギーを集める。彼はジャンプしてキックを繰り出して、シードラゴンたちの鞭をなぎ払う。
「大丈夫、ライくん!?」
「は、はい・・助かりました、アギト・・!」
心配の声を掛けるアギトに、ライが微笑んだ。
「またあの攻撃を出される前に、全力で倒す!」
ライがシードラゴンたちに目を向けて、クロスドライバーの右レバーを上に上げてクロスタイフーンを回転させた。
“ライダースマッシュ・アギトー!”
足元にエネルギーを集めて、ライがジャンプしてキックを繰り出した。キックがシードラゴン1世に命中した。
「ギャアッ!」
シードラゴン1世が突き飛ばされて、致命傷を負って爆発を起こした。
「しまった・・1人やられた・・!」
「これでは3人同時攻撃が・・!」
シードラゴン2世、3世が危機感を覚える。
一方、聖也はG3としてのパワーで、レッドクラブロードのハサミ攻撃をはねのけていた。
「その程度では、オレたちの正義は砕けないぞ!」
聖也が言い放って、力を込めたパンチを繰り出す。レッドクラブロードがパンチを受けて、壁に叩きつけられた。
聖也がクラールドライバーの右レバーを上に上げて、クラールタイフーンを回転させる。
“ライダースマッシュ・ジースリャー!”
“ブレイガン!”
すると彼の持っていたブレイガンソウルが自動で起動して、クラールブレイガンに変わった。
“ガンモード!”
聖也はクラールブレイガンをガンモードにして構える。
「クラールケルベロスバルカン!」
聖也が引き金を引くと、クラールブレイガンから連続で光の球が放たれる。レッドクラブロードが体に連射されて爆発、消滅した。
「くっ・・アンノウンもやられたか・・だが!」
シードラゴン2世がいら立ちを噛みしめて、3世とともに鞭を振りかざす。鞭の電撃が地を走る火花となって、ライたちのそばで爆発を引き起こす。
「これで近づくことはできまい!」
「このまま距離を取って、貴様らを木っ端微塵にしてくれる!」
シードラゴン3世、2世があざ笑って、さらに鞭で地面を叩いて爆発を引き起こしていく。
「こうなったら、カメンソウルを・・!」
ライが思い立って、カメンソウルを手にした。
“カメン!”
“ライダーソウール!”
ライはカメンソウルをクロスドライバーにセットした。
「超変身!」
彼がクロスドライバーの左レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“超変身・カメーン!”
ライの体を赤と緑のラインの入った装甲が包む。彼はカメンフォームへの変身を果たした。
「私もヴァイスを使わせてもらうぞ・・!」
“ヴァイス!”
“ライダーソウール!”
聖也もヴァイスソウルを手にして、クラールドライバーにセットして、クラールタイフーンを回転させた。
“大革命・ヴァーイス!”
クラールの装甲とマスクが白くなった。聖也はヴァイスクラールへ変身した。
「強き正義で、悪に制裁を下す・・!」
聖也がシードラゴンたちを指さして、鋭く言い放つ。
「新しいクロスとクラール・・!」
「そんなことで、オレたちの攻撃を突破できるものか!」
シードラゴン2世と3世が言い放って、さらに鞭を振りかざす。ライと聖也が地面の爆発をかいくぐって、シードラゴンたちに近づいていく。
ライと聖也がクロスカリバー、ヴァイスブレイカーを手にして振りかざす。シードラゴン3世がクロスカリバーで突き飛ばされて、2世がヴァイスブレイカーで鞭を切られた。
“G3!”
“バース!”
聖也はヴァイスブレイカーのスロットに、G3ソウルとバースソウルをセットした。
“パワーヴァーイス!”
ヴァイスブレイカーから赤い光があふれ出して、刀身の1つから巨大な光の刃が伸びた。
「パワーブレイカー!」
聖也がヴァイスブレイカーを振り下ろす。巨大な光の刃が、シードラゴン2世を真っ二つに切り裂いた。
「ギャアッ!」
シードラゴン2世が絶叫を上げて、爆発して消えた。
「そんな・・そんなことが・・!」
シードラゴン3世が恐怖を覚えて後ずさりしていく。ライがクロスカリバーの左のスロットに、アギトソウルをセットした。
“アギトパワー!”
クロスカリバーの刀身に、赤い炎が灯った。
「アギト・ライドカリバー!」
ライがクロスカリバーを連続で振りかざす。
「グギャアッ!」
シードラゴン3世が連続で切りつけられて、絶叫を上げて爆発した。
クラブロードとシードラゴンたちを倒して、ライと聖也がひと息ついた。
“変身カイジョー。”
クロス、クラールへの変身を解いた2人が、体に痛みを感じて一瞬ふらついた。
「大丈夫、2人とも!?」
アギトから元に戻った翔一が、ライたちに駆け寄って支える。
「はい・・カメンソウルとヴァイスソウルは、負担がかかるもので・・」
ライが頷いて、翔一に苦笑いを見せた。
「ありがとうございます。津上さんの、津上さんたちの力が、オレたちの背中を押してくれたんです・・」
「オレたちは本当にそれだけだよ。君たちなら、君たちにしかできないことをやり遂げられると、オレは信じている。」
感謝するライに、翔一が微笑んで信頼を送る。
「あなたはあなたの、私たちは私たちの戦い、生き方を続けていくのですね。」
「そしてオレたちの思いや魂は、これからを生きるみんなに伝わっていく。」
聖也も言いかけて、翔一が思いを告げた。ライと聖也が頷いて、翔一の思いをしっかりと受け止めた。
「それじゃそろそろ戻るよ。いつまでもお店を留守にするわけにいかないからね。」
自分の店のことを気に掛けて、翔一がライたちと別れた。
「はい。ありがとうございました、津上さん。」
ライが頭を下げて、聖也とともに翔一を見送った。ライたちは自分たちのできること、自分たちのやるべきことのために戦っていくことを、改めて決意していた。
クラブロードたちと戦ったライたち。その動きを見ていた1つの影があった。
影はライたちに気付かれることなく、この場を立ち去った。