仮面ライダークロス

第26話「フォーゼキター!タイマン張らせてもらうぜ!」

 

 

 かなたの居場所を求めて、ライは地獄谷を目指していた。まりもかなたが心配で、ライについてきていた。

「かなた、どこにいるんだ!?・・今度こそ、お前をハイパーショッカーから助け出してみせる・・!」

 かなたへの思いをふくらませていくライ。まりも彼の気持ちをよく理解していた。

「まりちゃん、これ以上深入りしたら、ハイパーショッカーの罠に引っかかることになる・・だから戻ったほうが・・!」

「でも、どうしてもかなたくんが心配で・・」

 呼び止めてきたライだが、まりはかなたを思って気が気でなくなっていた。

「オレもかなたを絶対に助けたいと思ってる・・それでもかなたと戦わなくちゃならなくなるかもしれない・・最悪、オレとかなた、どっちかが死ぬことになる可能性も・・・」

「そんなのダメだよ!絶対に2人とも戻らないと!」

 覚悟を口にするライに、まりがたまらず声を上げる。

「それはもちろんだ・・オレもかなたと戦いたくはない!」

 ライもかなたに対する思いを口にする。かなたを助けたいという気持ちをふくらませて、ライは感情をあらわにした。

 そのとき、近くから騒音が聞こえてきて、ライとまりが振り返った。

「今の爆発・・まさか、またハイパーショッカーが・・!?

「あそこに、かなたがいるかも・・!」

 ライとまりがその騒音のしたほうに向かって走り出す。2人がたどり着いたのは、高校の近くの道だった。

 そこでは1体の怪人が暴れて、周囲の人々を襲っていた。

「あれはゾディアーツ・・りゅう座のドラゴンゾディアーツだ・・!」

 ライが怪人、ドラゴンゾディアーツを見て声を上げる。

「まりちゃんはみんなを避難させて!オレがアイツを!」

「うん!」

 ライが呼びかけて、まりが頷いて避難に回る。

「ゾディアーツ、お前はオレが止める!」

 ライがドラゴンゾディアーツの前に出て言い放つ。

「学校を破壊してやる・・誰にも邪魔はさせないぞ・・・!」

 ドラゴンゾディアーツがライに向かって、不満を鋭く言う。

「それでみんなにイヤな思いをさせてもいいっていうのか・・!?

 ライが怒りをあらわにして、クロスドライバーとクロスソウルを手にした。

“クロスドライバー!”

 ライがクロスドライバーを装着して、さらにクロスソウルを構えてスイッチを入れた。

“クロス!”

 音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。

“ライダーソウール!”

 ライは意識を集中して構えを取る。

「変身!」

 彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クロース!”

 クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。

 クロスに変身したライが、ドラゴンゾディアーツに飛びかかる。ライが力を込めてパンチを繰り出して、ドラゴンゾディアーツの体に当てた。

 しかしドラゴンゾディアーツはパンチを直撃されてもビクともしない。

「頑丈だ・・クロスでも歯が立たないか・・・!」

 ライが毒づきながらも、パンチとキックを連続で繰り出す。しかし何度攻撃を当てられても、ドラゴンゾディアーツは平然としている。

 ドラゴンゾディアーツが反撃に出る。ドラゴンゾディアーツが繰り出すパンチを受けて、クロスの装甲から火花が散る。

「このままじゃホントに力負けする・・こうなったら・・!」

 ライが思い立って、響鬼ソウルを取り出した。

“ヒビキー!”

 ライが響鬼ソウルを手にしてスイッチを入れた。

“ライダーソウール!”

 彼が響鬼ソウルをクロスドライバーにセットして、左レバーを上げてクロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!ヒビキー!”

 ライが響鬼フォームになって、再びドラゴンゾディアーツに向かっていく。力を込めてパンチを繰り出すライだが、ドラゴンゾディアーツを少し押すだけだった。

「何だ?痛くもかゆくもないぞ・・」

 ドラゴンゾディアーツがライをあざ笑う。ドラゴンゾディアーツがパンチを振りかざして、ライを突き飛ばした。

「がはっ!」

 ライが壁に叩きつけられてうめく。ふらつく彼にドラゴンゾディアーツが近づいていく。

「いろんな仮面ライダーになれるようだが、弱い弱い・・」

 ドラゴンゾディアーツがため息をついて、ライに攻撃しようと手を振りかぶる。

「ちょっと待ったー!」

 そこへ声がかかって、ライとドラゴンゾディアーツが振り向いた。2人の前に1人の青年が現れた。

「あ、あなたは・・!」

 ライがその青年を見て、驚きを覚える。

「この学園とみんなに、これ以上手出しはさせないぞ!」

 青年が強気に言い放つと、ベルト「フォーゼドライバー」を装着した。彼はフォーゼドライバーの4つのスイッチソケットを入れた。

3,2,1..

「変身!」

 フォーゼドライバーのレバーを引くと、青年の体をスーツが包み込んだ。ロケットを思わせる容姿をした白いスーツである。

「宇宙キター!」

 青年が空に向けて高らかに叫ぶ。

「間違いない・・あなたは!」

如月(きさらぎ)弦太朗(げんたろう)、仮面ライダーフォーゼ、タイマン張らせてもらうぜ!」

 ライが声を上げる中、青年、弦太朗がドラゴンゾディアーツに向かって名乗りを上げる。

「フォーゼ・・お前が出てくるとは・・!」

 ドラゴンゾディアーツが弦太朗を見て毒づく。

「えっ!?響鬼先輩・・じゃないよな・・もしかして、新しい仮面ライダーか!?

 弦太朗が響鬼フォームとなっているライを見て、驚きを見せる。

「オレはクロス・・仮面ライダークロスです!」

 ライが弦太朗に向けて自己紹介をする。

「そうか、お前がクロスか!よろしくな、後輩!」

 弦太朗が気さくに言って、握り拳をライに向けた。

「はい!よろしくお願いします、フォーゼ!」

 ライが答えて立ち上がって、弦太朗とともに構えを取った。

「フォーゼが出てきたんじゃ、厄介だ・・ここは出直しだ・・!」

 ドラゴンゾディアーツが焦りを感じて、ライたちの前から逃げ出した。

「おいおい、いきなりそれはないって・・!」

 自分が戦う前にゾディアーツに逃げられて、弦太朗が肩を落とす。

“変身カイジョー。”

 ライがクロスドライバーを外して、クロスへの変身を解いた。弦太朗もフォーゼへの変身を解除した。

「クロスのことは、仮面ライダーのみんなから聞いてたぜ。」

「ありがとうございます・・ということは、ここは“天ノ川学園”・・!」

 笑みを見せる弦太朗に答えて、ライが学園に目を向けた。天ノ川学園は弦太朗が卒業した高校で、彼は今、この学園で教師をしていた。

「キャー!」

 そのとき、ライたちがまりの悲鳴を耳にして振り返った。

「まりちゃんの悲鳴だ!・・まだ怪人がいたのか!?

 ライが緊張を覚えて、弦太朗とともにまりのところへ向かう。2人は昇降口に来たところで、まりを見つけた。

「どうしたの、まりちゃん!?

 ライがまりに駆け寄って声を掛ける。

「へ、へへ、変な人が・・・!」

「変な人!?・・怪人が・・!?

 動揺するまりの言葉に、ライが息をのむ。まりが指さす方に、ライと弦太朗が目を向けた。

「ちょっとー!誰が変な人だよー!」

 その先にいた男の人が不満の声を上げる。

「お、大杉先生!?ここにいたんですか!?

 弦太朗が男性、大杉(おおすぎ)忠太(ちゅうた)に驚きを見せる。忠太は天ノ川学園の教師の1人で、弦太朗は彼の教え子である。

「大丈夫だよ、まりちゃん。弦太朗さんもこの人も、この学園の先生だよ・・」

「えっ・・・!?

 ライが説明をして、まりが戸惑いを浮かべる。

「まさかまたゾディアーツが出てくるとはな・・逃げられちまったけど、今度はやっつけてやるさ!」

「オレも戦います!今回はやられてしまいましたけど、今度は・・!」

 弦太朗とライが気持ちを切り替えて意気込みを見せる。

「ところで君たちは何なんだ?」

 忠太がライを指さして問いかける。

「オレは十時ライ。仮面ライダークロスです。」

「私は緑川まりです。」

 ライとまりが忠太に自己紹介をする。

「オレはハイパーショッカーと戦っています。そして、ヤツらに捕まっている友達を助けようとも考えています。」

「えっ!?ハイパーショッカーだって!?しかもダチが捕まってるって・・!」

 ライが自分たちのことを話して、弦太朗が驚きの声を上げる。

「はい。ルシファーという仮面ライダーに調整、洗脳されてヤツらのいいように動かされているんです・・」

「ルシファー・・それならオレも聞いたことがあるが、そいつがお前らのダチだったなんて・・・!」

 ライが話を続けて、弦太朗が動揺を見せる。

「よし!もしもルシファーを見つけたら、オレもお前らのとこに連れ戻してやるぜ!」

「ホントですか!?ありがとうございます!」

 かなたを助けることを約束する弦太朗に、まりが感謝する。

「ちょっとちょっと!教師の仕事を忘れないようにしてくれよな、如月くん!」

 忠太が慌てて弦太朗に注意する。

「大丈夫ッスよ、大杉先生!授業も部活の顧問もちゃんとしますよ!」

「そうか・・それなら結構だが・・」

 気さくに答える弦太朗に、忠太が納得する。

「とにかくよろしくな、後輩!」

「はい、先輩!」

 弦太朗とライが笑顔で声をかけ合って、握った拳を合わせて、友情を分かち合った。

「バッドボーイと見ていたコイツが、友情に熱い先生になるとはな。」

 忠太が弦太朗を見て、大きく頷いていく。

「えっと・・弦太朗さんのこと、よく知っているんですね・・」

「まぁな。アイツは学生のとき、学園の生徒全員と友達になるって言い張ってたが、今ではそればかりか、仮面ライダー全員と友達になる男だと言うようになっちまった。」

 まりが聞いてきて、忠太が弦太朗のことを話す。

「事実、アイツはいろんな生徒と友達になって、“仮面ライダー部”の一員として一所懸命になってたもんだ。」

「仮面ライダー部!?・・何ですか、それは・・!?

 忠太が語りかけて、まりが疑問符を浮かべる。

「学園をゾディアーツから守るのが活動の部活だ。今は如月がその部の顧問ということだ。」

「学園を守る・・みんなを守る・・本当に、仮面ライダーですね・・」

 忠太の話を聞いて、まりが苦笑いを見せた。

「ライくんも今は、仮面ライダーの1人です・・」

「如月なら、アイツの支えになるはずだ。」

 まりがライへの思いを口にして、忠太も彼と弦太朗の友情を信じていた。

 

 天ノ川学園の近くにある裏路地。そこに足を踏み入れた聖也を、1人の青年が待っていた。

「待たせてすみませんでした、朔田捜査官。」

 聖也が青年、朔田(さくた)流星(りゅうせい)に挨拶をする

「お前と直接会うのは、今回が初めてになるな、滝聖也。オレも捜査官の仕事が増えていたからな。」

 流星が聖也に言いかけて笑みを見せる。

 流星はかつて天ノ川学園に通っていたことがあった。現在、彼はインターポールの捜査官として、事件を追っていた。

「ハイパーショッカーの動きが活発になっている。その戦いの合間にお前と連絡を取り合い、こうして会うことができた。」

 流星が事情を語りかけて、2つのアイテムを取り出した。それはライダーソウルだった。

「これは、ライダーソウル!・・1つはメテオのソウルだけど、もう1つは・・・!?

 聖也がライダーソウルを見て、驚きを見せる。ライダーソウルの1つは、流星が変身する仮面ライダー、メテオの力を宿した「メテオソウル」である。

「もう1つは分からない。ただ君たちなら使えるのではないかと思って、一緒に持ってきた。」

「そうだったのですか・・分かりました。ありがとうございます。」

 事情を説明した流星からライダーソウルを受け取って、聖也が感謝した。

「面白そうなものを持っているみたいだなぁ・・」

 そこへ声がかかって、聖也と流星が振り返る。2人の前に現れたのは、ドラゴンゾディアーツだった。

「ゾディアーツ!?

「尾行されないように注意していた!・・偶然見つけられたか・・!」

 流星が声を上げて、聖也が毒づく。

「そいつを手に入れれば、少しはオレにマシになるかな・・」

 ドラゴンゾディアーツが笑みをこぼして、聖也たちに向かってくる。

「ここを出るぞ!」

 流星が呼びかけて、聖也とともに裏路地を出る。通りに出たところで、2人はドラゴンゾディアーツを迎え撃つ。

「ここなら狭さはないな・・!」

 流星が呟いて、聖也が頷く。

「逃がさないぞ・・お前たちもあの学園もぶっ潰してやるぞ・・!」

 ドラゴンゾディアーツが聖也たちを見て笑みをこぼす。

「この学園を?・・そんなマネ、絶対にさせないぞ!」

 流星がドラゴンゾディアーツに対して怒りをあらわにする。

「聖也さん!」

「流星!」

 そこへライと弦太朗が駆けつけて、聖也たちと合流した。まりと忠太もやってきて、近くの物陰から彼らを見守る。

「さっきのゾディアーツか!逃がさないぜ!」

「さっきは負担を考えて力加減してしまったけど、今度はそうはいかない!」

 弦太朗とライがドラゴンゾディアーツに向かって言い放つ。

「ライくん、行くぞ!」

「はい!」

 聖也が呼びかけて、ライが答える。2人がそれぞれクラールドライバーとクラールソウル、クロスドライバーとクロスソウルを取り出した。

“クロスドライバー!”

 ライがクロスドライバーを装着した。

“クロス!”

“ライダーソウール!”

 彼がクロスソウルをクロスドライバーにセットした。

「変身!」

 ライが左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クロース!”

 クロスドライバーからあふれた光を浴びて、ライはクロスに変身した。

“クラール!”

“ライダーソウール!”

 聖也がクラールソウルのスイッチを入れて、クラールドライバーにセットした。

「変身!」

 彼は左手を斜め右上に振り上げて、クラールドライバーの左レバーを上に上げて、クラールタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クラール!”

 聖也の体をオレンジ、黒、銀に彩られた装甲とマスクが包んだ。彼もクラールへと変身を果たした。

「オレたちも行くぞ、流星!」

「あぁ。久しぶりに、やらせてもらうぞ!」

 弦太朗が呼びかけて、流星が笑みを見せる。弦太朗がフォーゼドライバーを装着して、スイッチソケットを入れた。

3,2,1..

「変身!」

 弦太朗がフォーゼに変身して、構えを取った。

「オレとメテオの力は、まだ錆びついてはいないぞ!」

 流星が気を引き締めて、ベルト「メテオドライバー」とアイテム「アストロスイッチ」の1つ「メテオスイッチ」を手にした。

Meteor on.Ready?

 流星がメテオドライバーを装着して、左のソケットにメテオスイッチをセットした。

Meteor,ready?

「変身!」

 流星はメテオドライバーの中心部「セレスティアルドライブユニット」を回転させる。彼の体を青と銀のスーツと仮面が包み込んだ。

 流星は仮面ライダー、メテオへの変身を果たした。

「全てを、オレが正す!」

「仮面ライダーと正義の力、お前も受けてみろ・・!」

「仮面ライダーフォーゼ、タイマン張らせてもらうぜ!」

「お前の運命(さだめ)は、オレが決める!」

 ライ、聖也、弦太朗、流星がドラゴンゾディアーツに向かって言い放つ。

「すげー!仮面ライダーが4人キター!」

 忠太がライたちを見て、感動の声を上げた。それを見てまりが苦笑いを見せる。

「たとえ何人出てきても、このパワーを止めることはできない!」

 ドラゴンゾディアーツがいきり立って、ライたちに向かって飛びかかる。ライと流星が左右に動いてかわしたが、聖也と弦太朗がドラゴンゾディアーツの突撃を受けて押される。

「マジですごいパワーだな・・!」

「だけど、我々が力を合わせれば、できないこともできるようになるはずだ・・!」

 毒づく弦太朗と、打開の糸口があると思っている聖也。

「軽い・・軽いぞ、お前たち!」

 ドラゴンゾディアーツが聖也と弦太朗を持ち上げて放り投げる。

「おわっ!」

 聖也は着地したが、弦太朗は体勢を整え切れずに地面に倒れる。

「弦太朗さん、大丈夫ですか!?

「あ、あぁ。ドジっちゃったな・・」

 ライが心配の声を掛けて、弦太朗が苦笑いを浮かべる。

「どうした?教師ばかりやっていて、体がなまったか?」

 流星が弦太朗に近づいて、挑発を投げかける。

「そんなことねぇぜ。ここからはそんなことにはならないぜ!」

 弦太朗が立ち上がって自信を見せる。

「どこまでその余裕が続くか!」

 ドラゴンゾディアーツが両手を握りしめて、ライたちに向かっていく。聖也と流星がジャンプして、彼を飛び越えて後ろに回る。

 次の瞬間、ライと弦太朗が体勢を低くして、足を振りかざした。

「ぬおっ!」

 2人に足払いをされて、ドラゴンゾディアーツがバランスを崩して、前のめりに倒れる。

「パワーだけに頼るのはよくないぜ。頭を使うことも大切だ・・まぁ、昔のオレも頭がよかったわけじゃなかったんだけどな・・」

 弦太朗が言いかけて、昔の自分を思い出して苦笑いする。

「ま、オレたちの1番の強さは、熱い熱い友情パワーだけどな!」

「友情・・・!」

 前向きに言う弦太朗に、ライが戸惑いを覚える。

“もしもルシファーを見つけたら、オレもお前らのとこに連れ戻してやるぜ!”

 弦太朗の言葉と友情を噛みしめて、ライは心を動かされていく。

「弦太朗さん、あなたの思いに感謝します・・でもあなたたちに頼り切りにはならないですよ・・かなたはオレが助け出す・・オレも大切な友達のために戦う!」

 弦太朗に自分の決意を口にするライ。彼はかなたを助けたいという願いを強めた。

 そのとき、弦太朗のまとうフォーゼのスーツから光があふれ出した。飛び出した光はライの手元に来て、ライダーソウル「フォーゼソウル」に変わった。

「これは!?・・弦太朗さん!」

「オレの力を使ってくれ!フォーゼの、オレたちの絆の力だ!」

 戸惑いをふくらませるライに、弦太朗が気さくに呼びかける。

「はいっ!」

“フォーゼ!”

 ライが答えて、フォーゼソウルのスイッチを入れた。

“ライダーソウール!”

 彼がクロスドライバーにフォーゼソウルをセットして、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!フォーゼー!”

 クロスの姿がフォーゼそっくりになった。ライはフォーゼの力を宿した「フォーゼフォーム」になった。

「フォーゼキター!」

 ライが両腕を広げて、高らかに叫ぶ。

「ラ、ライくん・・・」

 まりが彼を見てあ然となる。

「いやぁ、体が勝手に動いちゃって・・」

 ライが苦笑いを見せてから、気を引き締めなおす。

「アイツもフォーゼになった!?どういうことだ!?

 ドラゴンゾディアーツがライを見て驚く。

「流星さん、あなたのも使わせてもらいますよ。」

 聖也がメテオソウルを手にして、流星に見せた。

「遠慮するな。全力で使いこなせ。」

 流星が答えて、聖也が頷いた。

“メテオ!”

“ライダーソウール!”

 聖也がメテオソウルのスイッチを入れて、クラールドライバーにセットされているクラールソウルと入れ替えて、クラールタイフーンを回転させていく。

“変身・ライダー!メテオー!”

 クラールの姿もメテオになった。聖也も「メテオフォーム」への変身を果たした。

「アイツもメテオになった!?わ、わけが分かんなくなってきた・・!」

 ドラゴンゾディアーツが混乱して頭を抱える。

 ライと聖也が頷き合ってから、ドラゴンゾディアーツに向かっていく。ドラゴンゾディアーツが拳を振りかざすが、2人は一気にスピードを上げてかわした。

 後ろに回り込んだライと聖也が、ドラゴンゾディアーツにキックを叩き込んだ。押されたドラゴンゾディアーツが、彼らにいら立ちを感じていく。

「小賢しいマネをしたところで、この力が負けることはない!」

 ドラゴンゾディアーツが両手を強く握りしめて、ライたちに飛びかかる。ライたちがクロスタイフーン、クラールタイフーンの右のレバーを右手で上げて回転を加える。

“ライダースマッシュ・フォーゼー!”

 ライが右腕に装備「ロケットモジュール」を装着して、噴射で飛び上がる。彼は左足に「ドリルモジュール」を装着する。

“ライダースマッシュ・メテオー!”

 聖也も足にエネルギーを集めてジャンプする。

「クロスロケットドリルキック!」

「クラールメテオストライク!」

 ライと聖也が繰り出したキックが、ドラゴンゾディアーツの体に直撃した。

「ぐっ!・・こんなことで、勝ったなどと思わないことだ・・・!」

 押されてうめくドラゴンゾディアーツが、ライたちに対して笑みをこぼす。

「だったら、コイツでフィニッシュを決める!」

 ライが言い放って、カメンソウルを取り出した。

「頼む・・オレに力を貸してくれ・・・!」

 ライがカメンソウルを見つめて言いかける。

“カメン!”

“ライダーソウール!”

 ライはカメンソウルのスイッチを入れて、クロスドライバーにセットした。

「超変身!」

 彼がクロスドライバーの左レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“超変身・カメーン!”

 クロスの装甲とマスクが、緑と赤の横のラインの入ったものになった。ライはカメンフォームへと変身を果たした。

「クロス・・コロコロと姿を変えて・・!」

 ドラゴンゾディアーツがいら立ちをふくらませて、ライに飛びかかる。ドラゴンゾディアーツが繰り出したパンチを、ライが片手で受け止めた。

「何っ!?

 自信のあったパワーを止められたことに、ドラゴンゾディアーツが驚く。ライがそのまま彼の腕を引っ張って、投げ飛ばす。

 倒れたドラゴンゾディアーツがとっさに顔を上げる。彼の眼前にライが近づいてきた。

「学園にもオレたちにも、お前の思い通りにはさせないぞ・・!」

 ライが言い放って、クロスタイフーンを回転させる。

“ライダースマッシュ・カメーン!”

 体から発したエネルギーを右足に集めるライ。

「オレたちもやるぜ!」

「遅れるなよ!」

 弦太朗と流星が声をかけ合う。2人がそれぞれフォーゼドライバー、メテオドライバーの右の「エンターレバー」を倒す。

Limit break.

Limit break!

 ライ、弦太朗、流星が同時にジャンプして、ドラゴンゾディアーツに向かってキックを繰り出した。

「トリプルライダーキック!」

 3人のキックがドラゴンゾディアーツに命中した。

「ぐあぁっ!」

 ドラゴンゾディアーツがキックの威力による爆発に巻き込まれて、絶叫を上げる。アストロスイッチが砕けて、倒れたドラゴンゾディアーツが人間の姿に戻った。

 ドラゴンゾディアーツの正体は、天ノ川学園の制服を着た女子だった。

「お前は、龍崎(りゅうざき)レイナ!?お前がゾディアーツだったのか!?

 忠太が女子、レイナを見て驚きを見せる。

「龍崎・・お前、どうしてこんなことを・・!?

「学校なんてイヤだったんだよ・・みんな、自分のことしか考えてなくて・・・!」

 弦太朗が問いかけると、レイナが自分の抱えている不満を口にした。彼女は生徒や教師を自分の思い通りのものだと思い込んでいる学校の上層部への不満を抱えていた。

「なるほど。それで学園を壊そうとして・・・」

 流星がレイナの言い分に納得する。

「そういうヤツらのために、生徒が悲しむなんてのはオレがさせないぜ!そんな考えを消して、学園のみんなを友情の輪でつなげるさ!」

 弦太朗が気さくに言いかけると、フォーゼへの変身を解いた。

「オレは如月弦太朗!天ノ川学園のみんなと友達になる男だ!そしてそれは、今もこれからも変わんねぇぜ!」

 彼は高らかに言い放つと、レイナに向かって手を差し伸べた。

「如月先生・・・」

 戸惑いを覚えるレイナも手を伸ばして、弦太朗の手をつかんで立ち上がった。

“変身カイジョー。”

 ライがクロスへの変身を解除して、弦太朗とレイナを見て笑みをこぼした。だがその直後、ライはカメンフォームを使った体力の消耗でふらついた。

「ライくん!」

 まりが飛び出して、慌ててライを支えた。

「ライくん、大丈夫!?

「あぁ・・ちょっと力を使い過ぎただけだ・・」

 心配するまりにライが微笑みかける。

「いやぁ、熱いねぇ〜。これぞ絆ってもんだぁ。」

 忠太が2人を見て気さくに言いかける。彼の言葉を受けて、ライとまりが頬を赤くした。

 

 レイナは流星に保護されて、すぐに学園に戻るように取り計らおうとしていた。

「レイナ、これからはお前も、オレのダチだぜ!」

「先生・・・すみません・・すみませんでした・・・!」

 気さくに言って握った手を向けてきた弦太朗に、レイナが涙ながらに謝った。

「弦太朗さん、流星さん、ありがとうございました・・」

「あなたたちの友情に、私たちも助けられました。」

 ライと聖也が弦太朗たちに感謝した。

「たとえ離れていても、オレたちの絆はどこまでもつながってる。それを忘れないでくれよな。」

「オレたちもみんなを守るために、戦い続けていく。」

 弦太朗が激励を送って、流星が自分たちの意思を告げる。

「はい!オレもオレたちの居場所を守るために戦います!」

 ライが笑みを見せて答えて、聖也も頷いた。彼らはまりとともに、天ノ川学園を後にした。

「あの2人も立派な仮面ライダーになる。オレはそう信じてるぜ。」

「オレもだ。アイツらなら、友達を救い出せると、オレも思う。」

 弦太朗と流星がライたちの未来と可能性を信じる。彼らとの友情の中に、ライたちも加わった。

 

 

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