仮面ライダークロス
第25話「エックスライダー!強さと未来へ」
クロスの新たな姿、カメンフォームになったライに返り討ちにされて、かなたは撤退を余儀なくされた。この事態に死神博士たちも驚きを感じていた。
「クロスワイズさえも凌駕するまでになった、ルシファーの力が・・・!?」
かなたの敗北に死神博士が体を震わせる。
「クロスが初めて見せたあの姿と力。データになかったため、ルシファーも驚かされたということか・・」
ゾルがかなたとライの戦いについて考える。
「これ以上の急激な強化の調整を行えば、クロスたちと戦う前に力尽きることになる・・」
「じっくり強化を図るしかないということか・・」
死神博士が苦言を呈して、ゾルが毒づく。
「だが、このままクロスたちを野放しにすれば、あの力にも慣れてしまうだろう。」
ジェネラルシャドウがライへの警戒を口にする。
「私がヤツらを攻める。ヤツらのパワーアップに対する足止めになるだろう。」
彼がライたちへの攻撃を買って出る。
「いいのか、ジェネラルシャドウ?おぬしにクロスの相手を任せて・・」
「我々ハイパーショッカーは全ての世界を支配するのが目的。その計画を阻む者、クロスや仮面ライダーは排除しなければならない。そのために我々が行動するのは当然のこと。」
死神博士が問いかけて、ジェネラルシャドウが自分たちの意思を口にする。
「よし。ではクロスとクラールの打倒はジェネラルシャドウに任せる。」
「ルシファーも休養が完了次第、おぬしのところへ向かわせる。」
ゾルと死神博士がジェネラルシャドウに進言する。
「分かった。ここは私に任せてもらおう。それと、怪人を1人使わせてもらうぞ。」
ジェネラルシャドウが頷いて、視線を移した。
「シオマネキング、お前にもクロスたちの相手をしてもらうぞ。ついてこい。」
「アビー!」
ジェネラルシャドウの呼びかけで怪人、シオマネキングが現れた。2人は戦闘員たちとともに、ライたちの打倒のために動き出した。
まりと聖也に支えられて、ライは橘モーターショップに戻ってきた。カメンソウルを使ったことで大きく体力を消耗していたライだが、それ以上に、かなたを取り戻せなかったことへの辛さが大きかった。
「新しいソウル、カメンソウルか・・」
聖也がカメンソウルについて考える。
「ものすごいパワーだったが、どうやって出てきたのだろう・・?」
「分からないです・・いきなり、ライくんの手の中から出てきて・・・」
聖也が疑問を口にして、まりが記憶を巡らせる。
「分かっているのは、クロスワイズ以上のパワーを発揮できることと、それに相当する負担がかかるということだけだ・・」
クロスワイズについて語って、聖也がライに目を向ける。
「この力にも、慣れないといけないってことか・・・」
ライがカメンソウルを手にして、さらに強くならなければいけないと自分に言い聞かせていた。
「しかし今は休め、ライ。新しい力に慣れるのは、その後だ。」
ひろしが真剣な顔で、ライに言いかけてきた。
「おやっさん・・分かっています・・・」
ライも真剣な顔で頷いて、カメンソウルをそばの机の上に置いた。
(かなた、次こそお前を助け出す・・そのためなら、オレはどんなことでも・・!)
かなたを助けたい一心のライ。その時のために、ライは束の間の休息を取ることにした。
ライと別れて自分の家に帰ろうとするまり。ライとかなたのことを気に掛けて、まりは晴れない気分を抱えていた。
「まりちゃん、今日はありがとうね。ライくんを介抱してくれて・・」
ひろしが声を掛けてきて、まりが足を止めて振り向いた。
「いえ・・戦える力のない私には、ライくんにしてあげられるのはこのくらいしかないので・・」
答えるまりが悲しい顔を浮かべる。彼女の心境を察して、ひろしは複雑な気分を感じていた。
「ライくんもオレも、まりちゃんがこの戦いに巻き込まれることを望んでいなかった・・この戦いは、危険と隣り合わせになるから・・」
ひろしが深刻な表情で、まりに自分たちの気持ちを告げる。
「だから、まりちゃんが戦いに参加する必要はない。ライくんたちの手当てをしてくれるだけでも、十分ありがたいことだよ。」
「そうですか・・私、力になれてますか・・?」
「あぁ。ライくんもそう思っている・・」
戸惑いを覚えるまりに、ひろしが答えて微笑んだ。
「これからもライくんを支えたり、応援したりしてくれないだろうか・・?」
「もちろんです!ライくんやかなたくんを助けたいって気持ちは、私にもあります!」
ひろしからの頼みに、まりが気持ちを込めて答えた。
「ありがとう・・改めてよろしくね、まりちゃん・・!」
ひろしが喜んで、まりに感謝する。
「それじゃひろしさん、また明日・・」
まりはひろしに挨拶して、改めて歩き出した。
休息を取ったライは、カメンソウルについて考えていた。
「このライダーソウルは、クロスワイズ以上のパワーが出るが、負担もクロスワイズ以上だ・・またオレが慣れるしかない・・!」
カメンソウルを長い時間使いこなせるようになることを、ライは心に誓った。
ライは聖也とともに荒野に赴いて、カメンソウルを使うことにした。
「やるのか、ライくん?」
「はい。どんな力も、使いこなせなかったら意味がないですから・・
聖也の声に答えて、ライがクロスドライバーとカメンソウルを手にした。
“クロスドライバー!”
ライがクロスドライバーを装着した。
“カメン!”
“ライダーソウール!”
彼は続けてカメンソウルをクロスドライバーにセットした。
「超変身!」
ライがクロスドライバーの左レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“超変身・カメーン!”
彼の体を装甲が包む。クロス・カメンフォームが再び現れた。
「ライくん、体のほうは・・?」
「今のところは何ともないです。動いたり力を使ったりすると、負担が大きくなるのかも・・」
聖也が問いかけて、ライが自分の状態を確かめる。
ライはその場で体を動かしたり、攻撃の素振りをする。
「間違いない・・このカメンソウルも、使うほどに体力も使っていく・・・!」
自分の呼吸を確かめていくライ。そこで彼は腰に剣の形をした武器が装着されていることに気付いた。
「これは・・!」
ライがその武器「クロスカリバー」を手に取って、腰から外した。
「多分、このカメンフォーム専用の武器だと思うけど・・・」
「その剣にはくぼみがある。そこにライダーソウルを入れるのだろう。単純に剣として使うだけでなく、ライダーソウルの力を引き出すこともできる。」
ライがクロスカリバーを見回して、聖也が推測をしていく。クロスカリバーの柄の部分には、ライダーソウルを入れるためのスロットが2つあった。
「試しに使ってみよう・・ぶっつけ本番ばかりというわけにはいかないから・・」
ライが言いかけて、クロスソウルを手にした。
“クロス!”
彼はクロスソウルのスイッチを入れて、クロスカリバーの左のスロットに入れた。
“クロスパワー!”
クロスカリバーから音声が流れる。クロスカリバーの刀身に光が発せられる。
ライがクロスカリバーを構えて、視線の先の岩場を狙って振りかざす。彼の一閃が岩場を斜めに切り裂いた。
「す、すごい威力・・セットしたソウルの力を引き出しているようだが、威力は格段に上がっている・・!」
聖也がクロスカリバーの威力を見て、驚きを覚える。ライダーソウルの力を得たことで、クロスカリバーの力もアップしていた。
「うっ・・!」
ライが体力を消耗して、その場に膝を付いて、エクスカリバーを地面に突き立てた。
「ライくん!」
聖也がライに駆け寄って支える。
「ライくん、大丈夫か!?」
「はい・・ちょっと体力を消耗しただけです・・すぐに回復するはずです・・!」
聖也が心配の声を掛けて、ライが声を振り絞る。ライは落ち着きを取り戻して、立ち上がってクロスカリバーを引き抜く。
「とんでもないパワーですよ・・ライダーソウル1つ付けただけで・・・!」
「もう1つ付ければさらに強力になるが、消耗もそれだけ・・・!」
ライと聖也がカメンソウルとクロスカリバーについて語っていく。
「まだ2つのソウルをこの剣に使うのはやめたほうがいい。1つの場合も、いや、このソウルを使うのも極力避けたほうがよさそうだ・・」
「はい・・でもコレを使わないと、かなたを助けることができない・・そう思うんです・・・!」
聖也からの警告を聞き入れるも、ライはかなたと対峙したときにカメンソウルを使うことを心に決めていた。
「そのためにも、お前たち自身が強くなる必要がある。」
そこへ声がかかって、ライと聖也が振り向く。彼らの前に現れたのは、1人の仮面ライダー。
「あ、あなたは、仮面ライダーX・・エックスライダー・・!」
ライがその仮面ライダー、エックスの登場に驚きと戸惑いを見せる。
「君が十時ライくん、仮面ライダークロスだな。そして滝聖也、仮面ライダークラール。君たちの噂は耳にしている。」
「エックスライダー、あなたとここで会えるとは、嬉しいです・・!」
言いかけるエックスにライが笑みをこぼす。
「その新しい姿は知らなかったが、それを使おうというなら、自分を厳しく鍛えることを覚悟しなければならない。そしてその姿やその剣に溺れてはならないことも、肝に銘じておく必要もある。」
「はい・・ハイパーショッカーと戦うために、かなたを助けるために・・・!」
エックスからの言葉に答えて、ライが決意を口にする。
「ならば一刻も早くその力を使いこなせるようになるのだ。オレも協力しよう。」
「エックスが!?・・いいんですか・・!?」
力を貸すエックスに、ライが戸惑いをふくらませる。
「君の中にもある正義の心を、オレも強くしていきたいと思っている。そのための力になれるのなら、オレは遠慮はしない。」
「エックス・・分かりました・・お願いします!」
正義を信じるエックスに感謝して、ライが立ち上がる。
「もしもハイパーショッカーが現れたら、私が先に行くぞ。」
「聖也さん・・はい。」
聖也も協力を示して、ライが頷いた。
「では行くぞ、ライくん。いや、クロス!」
エックスが言い放って、ライとともに構えを取る。2人が飛び出して、拳を交える。
純粋な力はカメンフォームとなっているライが上だった。しかしカメンフォームの力を使いこなせていないことと、経験の差から、ライはエックスに対して劣勢に追い込まれていく。
「どうした?それでは到底ハイパーショッカーと戦えないし、君の仲間も救えないぞ!」
エックスが呼びかけて、動きの鈍るライの肩をつかんで、そのまま大きくジャンプした。彼は空中回転をして、ライを思い切り投げ飛ばす。
「エックスキック!」
エックスはその勢いのまま、ライに向かってキックを繰り出した。キックが体に命中して、地上に落下した。
「ライくん!」
倒れたライに聖也が叫ぶ。ライが力を振り絞って立ち上がる。
「これが、エックスライダーの力・・・!」
着地したエックスを見て、ライがその力を痛感する。
「ライドルスティック!」
エックスがベルトから万能武器「ライドル」を棒型の「ライドルスティック」に変えて手にした。ライもクロスカリバーを手にして、エックスを迎え撃つ。
エックスがライドルスティックを振りかざして、ライがクロスカリバーで受け止めていく。しかしエックスの速い連続攻撃で、ライは反撃に出られない。
「しかもライドルを使ったときの彼は、さらに強さが増してくる・・!」
エックスの強さをさらに痛感するライ。
「そのような使い方では、武器もないのと変わらないぞ!」
言い放つエックスがライドルスティックを突き出す。
「ぐっ!」
ライが突き飛ばされてうめく。彼は足に力を入れて踏みとどまる。
「ただ振り回してばかりでは勝てない。相手の動きを見定めて、確実に当てられると判断したときに、力を込めて叩き込む。」
エックスが語りかけて、ライドルスティックを構える。ライがとっさにクロスカリバーを構えて防ごうとするが、エックスはフェイントを織り交ぜて、クロスカリバーのない側からライドルスティックを振りかざした。
「くっ!」
不意を突かれたライがふらつく。身構えたのに攻撃を当てられたことに、彼は動揺を感じていた。
「フェイントを入れることによって、そのチャンスを作りやすくできる。」
エックスからの教えを聞いて、ライが戸惑いをふくらませていく。
「集中力と判断力を高めれば、技も武器もより有効に使うことができる。ライくん、そうすればその力も武器も、負担が大きくなることなく使えるようになるはずだ。」
「エックス・・はい!ありがとうございました!」
エックスからの助言を受けて、ライは感謝して頭を下げた。
「君のこれからを信じて、オレの力を貸そう。」
エックスはそう言ってから、ライダーソウルをライに差し出した。
「それは、エックスのライダーソウル!?」
ライがライダーソウル「エックスソウル」を見て、驚きをあらわにする。
「突然オレの手の中に現れた。君たちに関わりのあるものと思って、持っていたんだ。」
「そうだったのですか・・あなたの強さ、使わせていただきます。」
エックスが事情を話して、ライがエックスソウルを手にして感謝した。
“変身カイジョー。”
ライはクロスへの変身を解いて、ひと息つく。
「ライくん、大丈夫か?」
聖也がライに歩み寄って声を掛ける。
「はい・・エックスが鍛えてくれたから、早く強くなれた気がします・・・!」
ライが聖也に答えて、エックスに視線を戻す。
「君たちの成長、オレも信じているぞ。そして他のみんなも君たちを案じていることを忘れないように。」
「はい!」
エックスからの激励に、ライと聖也が答えた。
「そこまでだ、クロス。」
そこへ声がかかって、ライたちが振り返る。彼らの前にジェネラルシャドウとシオマネキング、戦闘員たちが現れた。
「ハイパーショッカー!」
ライが声を上げて聖也、エックスとともに身構える。
「エックスライダー・・貴様もここにいたか。」
「ジェネラルシャドウ、お前もハイパーショッカーの一員になっていたか!」
ジェネラルシャドウが視線を移して、エックスが言い返す。
「まぁいい。貴様たちをまとめてここで葬り去ってくれる!」
ジェネラルシャドウが言い放つと、シオマネキングが前に出てきた。
「ライくん、ここは私に任せてくれ!今の君には体力がない!」
聖也がライに呼びかけて、シオマネキングと戦おうとする。
「いや、オレも戦いますよ・・!」
「ライくん・・!」
戦いに加わろうとするライに、聖也が驚きを見せる。
「まりちゃんやおやっさんを守って、かなたを助けなくちゃいけない・・だからオレは、戦わずにじっとしているわけにはいかない・・!」
「ライくん・・ムチャしないことを優先させるんだぞ・・!」
自分の決意をくちにするライに、聖也が注意を呼びかける。
「もちろんです・・!」
ライが答えて、クロスドライバーとクロスソウルを手にした。
“クロスドライバー!”
ライがクロスドライバーを装着した。
“クロス!”
“ライダーソウール!”
彼がクロスソウルをクロスドライバーにセットした。
「変身!」
ライが左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クロース!”
クロスドライバーからあふれた光を浴びて、ライはクロスに変身した。
「私もやらせてもらうぞ・・!」
聖也が言いかけて、クラールドライバーとクラールソウルを手にした。
“クラールドライバー!”
“クラール!”
聖也がクラールドライバーを装着して、クラールソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
彼がクラールドライバーにクラールソウルをセットした。
「変身!」
“変身・ライダー!クラール!”
聖也がクラールタイフーンを回転させて、クラールに変身した。
「全てを、オレが正す!」
「仮面ライダーと正義の力、お前も受けてみろ・・!」
ライと聖也がジェネラルシャドウたちに向かって言い放つ。
「エックスライダー、貴様の相手は私だ。」
「望むところだ、ジェネラルシャドウ!」
言いかけるジェネラルシャドウに、エックスが近づいていく。ジェネラルシャドウがフェンシングの剣の形をした武器「シャドウ剣」を手にした。
エックスがライドルスティックを手にして、ジェネラルシャドウが振りかざすシャドウ剣とぶつけ合う。
「アビー!」
シオマネキングがライと聖也に飛びかかって、左手のハサミを振りかざす。ライが聖也とともに左右に動いてかわすが、体力を消耗している彼の動きが鈍い。
「アビー!アビアビアビー!」
シオマネキングが口から白い泡を噴射する。回避が間に合わないライが泡を浴びて、クロスの装甲から火花が散る。
「ライくん!」
聖也が叫ぶ先で、ライが苦痛を浮かべて地面に膝を付く。
「アビー!」
シオマネキングがさらに振りかざしたハサミで、クロスの須高が切りつけられていく。ライを助けようとするが、戦闘員たちに行く手を阻まれる。
「クロス、まずは貴様の首をいただくぞ!」
シオマネキングが不気味な笑みを浮かべて、ライに迫る。
「今の状態ではカメンソウルでもクロスワイズでも負担が大きすぎる・・!」
ライが打開の方法を探って、焦りを噛みしめる。
「エックスの力、使わせていただきます・・!」
“エックス!”
彼がエックスソウルを手にして、スイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
そしてクロスドライバーにセットされているクロスソウルを、エックスソウルと入れ替える。
“変身・ライダー!エーックス!”
クロスの姿がエックスそっくりとなった。ライは「エックスフォーム」へと変身を果たした。
「エックスライダー!」
ライが言い放って構えを取る。
「アビー!アビアビアビー!」
シオマネキングが放つ泡を、ライは素早くかわす。彼はシオマネキングの後ろに回って、つかんでジャンプする。
ライは回転を加えて、シオマネキングを投げ飛ばす。シオマネキングが地面に叩きつけられて、ダメージを負う。
「おのれ、クロス・・今度こそ!」
シオマネキングがいら立って、着地したライに飛びかかる。
“ソードガン!”
ライがソードガンソウルを手にして、クロスソードガンを手にした。シオマネキングが振りかざしたハサミを、ライがクロスソードガンで受け止める。
ライがハサミを払いのけて、クロスソードガンでシオマネキングを連続で切りつける。
「がはっ!」
ダメージを大きくして、シオマネキングがふらつく。ライがクロスソードガンを地面に置いて、クロスドライバーの右レバーを上に上げてクロスタイフーンを回転させた。
“ライダースマッシュ・エーックス!”
ライの足にエネルギーが集まっていく。彼はジャンプして空中で回転する。
「クロスエックスキック!」
ライが急降下して、シオマネキングに向かってキックを当てた。
「アビー!」
蹴り飛ばされたシオマネキングが、空中で爆発を起こした。
「やった!怪人の1人を倒した!」
聖也が勝利を感じて、戦闘員たちを撃退する。
「クロス・・エックスライダーの力も使うようになったか・・・!」
ジェネラルシャドウがクロスの強さに毒づく。
「お前の相手はオレだ!」
エックスが言い放つと、真上に大きくジャンプする。彼はライドルスティックを駆使して、空中で回転する。
「エックスキック!」
エックスがこの回転で勢いを付けて、ジェネラルシャドウに向かってキックを繰り出した。ジェネラルシャドウが巨大なトランプを出して、盾にしてエックスのキックを防いだ。
「エックス、クロス、クラール、貴様たちの首、預けておくぞ!」
ジェネラルシャドウはライたちに告げると、マントをひるがえして姿を消した。エックスが着地して、ライと聖也に目を向けた。
「ハイパーショッカーを退けることができた。君はオレの力も使いこなせたようだな。」
「いえ、まだ使っただけのことです。それに、エックスが教えてくれなかったら、使うこともできなかったと思います。」
称賛するエックスに、ライが感謝をする。
「大切なものを守ろうとする心、悪に立ち向かう勇気が、君たちを成長させていく。間違いなく君たちの強さだ。」
エックスからさらに励まされて、ライは戸惑いを感じていく。
「君たちの強さの可能性も、オレたちとのつながりも果てしない。大きく広がる海のように・・そのことを、決して忘れるな。」
「はい。」
エックスの言葉を受けて、ライと聖也が答えた。
「ではオレは行く。しかし、オレもみんなもいることを覚えておいてくれ。」
「もちろんです。」
「ありがとうございました、エックス!」
歩き出すエックスに、聖也とライが感謝した。
(オレは戦い続けます・・かなたを助けるために・・オレたちの心を守るために・・・!)
エックスを見送るライは、改めて決意を固めて、気を引き締めなおしていた。