仮面ライダークロス

第21話「復讐と正義・力と技のV3

 

 

 ルシファーに敵わない。ライはますます力を高めている。

 そのことが聖也の復讐心と力への渇望をさらに強めることになった。

「強くならなければならない・・一刻も早く・・ハイパーショッカーを倒し、みんなへの手向けにするために・・・!」

 今は亡き組織の仲間のことを思う聖也。しかしこの感情が、彼の焦りをふくらませていた。

「早くライダーソウルを・・十時ライの持つソウルを・・・!」

 聖也はハイパーショッカーだけでなく、ライにも狙いを向けていた。

 

 かなたが戻ってこないことに、まりも心配になっていた。ハイパーショッカーに関わろうとしているライのことも、彼女は気になっていた。

(ライくん・・かなたくんだけじゃなく、ライくんまでいなくなったら・・・)

 ライの動向を気にして、まりが陰からじっと見つめる。

「何をやってるんだ、まりちゃん?」

 そこへ声を掛けられて、まりが驚く。恐る恐る振り返る彼女のそばには、ひろしがいた。

「ひ、ひろしさん!・・ビックリさせないでよ〜・・!」

 まりが呼吸を整えながら、ひろしに文句を言う。

「ゴメン、ゴメン。でもライなら大丈夫だ・・」

「ひろしさん・・その根拠は・・!?

 謝るひろしに、まりが不安を見せる。

「ライは許せないものにとことん刃向かう性格だ。かなたを連れてったハイパーショッカーに、アイツは絶対に屈しないさ。」

「それでも、もしもライくんに何かあったら・・・!」

 ライへの信頼を口にするひろしだが、まりはライへの心配が消えなかった。

(ライ、そろそろ限界だぞ・・もうまりちゃんを止められそうにない・・・)

 ひろしが心の中で、ライに向けての深刻さを告げた。かなたを助けることに必死になっているライに、まりも気が気でなくなっていた。

 

 かなたが再調整を受けている中、ドクトルGはライたちに戦いを挑もうとしていた。戦闘員数人と暗黒結社「ゴルゴム」のカニ怪人とともに。

「私もそろそろ手柄を作らなければ、無能者扱いにされてしまう・・」

 自分の地位が脅かされることを気にするドクトルG。

「ヤツらと世界に、そろそろこのドクトルGの力を見せつけてやるぞ・・!」

 ドクトルGが掲げた手を握りしめて、カニ怪人と戦闘員たちが街の中で暴れ出した。

「さぁ、出てこい、ライダーども!我々が引導を渡してくれるぞ!」

 ライたちが現れることを見越して、ドクトルGが高らかに笑い声を上げた。

「ハイパーショッカー!」

 そこへ聖也が駆けつけて、ドクトルGたちの前に現れた。

「貴様は、滝聖也!」

「お前たちは、私が1人残らず倒す・・!」

 ドクトルGが声を上げて、聖也がクラールドライバーとクラールソウルを手にした。

“クラールドライバー!”

 聖也がクラールドライバーを装着して、クラールソウルを手にした。

“クラール!”

 聖也がクラールソウルのスイッチを入れた。

“ライダーソウール!”

 彼はクラールソウルをクラールドライバーにセットした。

「変身!」

 聖也は左手を斜め右上に振り上げて、クラールドライバーの左レバーを上に上げて、クラールタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クラール!”

 聖也の体をオレンジ、黒、銀に彩られた装甲とマスクが包んだ。彼はクラールへの変身を果たした。

「仮面ライダーと正義の力、お前も受けてみろ・・!」

 聖也が鋭く言って、ドクトルGに向かっていく。戦闘員たちが行方を阻むが、聖也に次々に返り討ちにされる。

 続けてカニ怪人が聖也の前に立ちはだかる。聖也が力を込めて攻撃を仕掛けるが、カニ怪人は彼のパンチを受けても平然としている。

 聖也は驚きながらも、続けてキックを連続で繰り出す。しかしカニ怪人はダメージを受けていない。

「効いていない!?・・なんという硬さだ・・!」

 聖也がカニ怪人の体の硬さに驚かされる。

「カニの硬さを甘く見ないことだ。カニ怪人の体の硬さをな!」

 ドクトルGが聖也をあざ笑って、カニ怪人が前進する。

 カニ怪人が振りかざすハサミにクラールの装甲を切りつけられて、聖也が苦痛を覚える。彼がハサミを両手で受け止めるが、カニ怪人に押し込まれる。

「力が足りない・・力がほしい・・・!」

 聖也が力への渇望をふくらませて、カニ怪人のハサミを払いのけた。聖也はブレイガンソウルを手にした。

“ブレイガン!”

 スイッチの入ったブレイガンソウルの形が変わって、クラールブレイガンとなった。聖也がクラールブレイガンを手にして振りかざして、カニ怪人のハサミとぶつけ合う。

「この私がいること、忘れては困るぞ!」

 ドクトルGが斧を手にして、聖也に向かって飛びかかる。

「ぐあっ!」

 ドクトルGの斧に切られて、聖也が突き飛ばされる。ドクトルGとカニ怪人の猛襲を受けて、聖也は窮地に立たされた。

「まずはお前だ、クラール!貴様の命とライダーソウルをいただくぞ!」

 ドクトルGがライダーソウルを奪い取ろうと、聖也に手を伸ばした。

「そこまでだ、ドクトルG!」

 そのとき、ドクトルGが横からキックを受けて突き飛ばされる。聖也の前に1人の仮面ライダーが現れた。

「何だ、今のは!?・・貴様は!?

 立ち上がったドクトルGが、そのライダーを見て驚く。

「仮面ライダーV3!ドクトルG、お前たちの悪だくみは、オレたちが阻止する!」

 現れた仮面ライダー、V3が名乗りを上げて、ドクトルGに向かって言い放つ。

V3、貴様がここに出てくるとは丁度いい!ここで私が引導を渡してくれる!」

 ドクトルGが笑みを浮かべて、斧をV3に向けた。

「オレもいるぞ!」

 さらに声がかかって、聖也とドクトルGが振り返る。その先にはもう1人の仮面ライダーがいた。

「このライダーマンも、お前たちの野望を打ち砕いてやるぞ!」

 もう1人のライダー、ライダーマンがドクトルGに言い放つ。

「ここで貴様たちが現れるとは・・引き上げるぞ、カニ怪人!」

 焦りを噛みしめるドクトルGが、カニ怪人とともに撤退した。

「逃げたか・・・大丈夫か、君?」

 V3がひと息ついてから、聖也に歩み寄る。

「ハイパーショッカーの幹部ばかりか、怪人にも手も足も出ないとは・・・!」

 聖也が自分を無力と思って悔しがる。

「私は、ヤツらを滅ぼさなければならない・・そうしなければ、みんなの死が無意味なものにされてしまう・・・!」

「復讐・・それが今のお前の戦う理由か?」

 聖也の口にした言葉を聞いて、V3が疑問を投げかける。

「復讐に身を焦がす戦いなら、オレたちも経験している。オレたちの戦いの始まりも、復讐だったからな・・」

 ライダーマンも聖也に向けて言いかける。

「どういうことだ・・・!?

 聖也が納得できなくて声を上げた。

「あ、あなたたちは・・!?

 そこへライが駆けつけて、V3たちを見て驚きを見せた。

「仮面ライダーV3とライダーマン・・2人がここにいたなんて・・!」

「君が十時ライくん・・仮面ライダークロスだね?」

 V3がライに振り向いて声を掛けてきた。

「本郷さんと一文字さんから君たちのことは聞いている。君の友人がハイパーショッカーの戦士、ルシファーにされてしまったことも。」

「はい・・オレはかなたを助けるためにも、戦いを続けています!」

 V3が話しかけて、ライが答える。

「君の友人は君にも危害を加えようとしている。それでも君は彼を助けるための戦いを続けるつもりか?」

「それはかなたがハイパーショッカーに操られているからです。必ずアイツの目を覚まさせて、一緒に帰ります・・!」

 V3が問い詰めるが、ライの決意は変わらない。

「友達思い・・いや、仲間思いだな。」

「その一方で、クラールは復讐に駆り立てられているようだな・・」

 V3がライを称賛して頷くが、ライダーマンは聖也に対して深刻な気分を感じていた。

「あなたたち2人、復讐のために戦ったことがあるような口ぶりだが・・・」

 聖也がV3たちに対する不信感を示す。

「オレは“デストロン”によって両親と妹を殺された。デストロンを倒すことを誓ったオレは、2人の仮面ライダーに頼んで改造人間にしてもらった・・」

「オレはデストロンの一員だったが、ヤツらに裏切り者の汚名を着せられて処刑されそうになった。オレを利用したデストロンへの復讐のためだけに、最初は戦っていた・・」

 V3とライダーマンが自分たちのことを、ライと聖也に話す。

「しかしオレたちは戦いを続けていくうちに、みんなを守る大切さを覚えた。復讐よりも守るための戦いのほうが、オレたちをより強くしてくれた・・」

「しかし力を手に入れてハイパーショッカーを滅ぼさなければ、私の仲間は浮かばれない・・それだけは、絶対に我慢がならない・・・!」

 V3が語りかけるが、聖也は自分の考えを変えようとしない。

「そういう考えを続けていく限り、お前は絶対に本当の強さをつかむことはできない。」

 ライダーマンが聖也の言葉を拒絶する。

「黙れ!仲間の死を無意味にすれば、私は生きる意味すら見失う!」

 聖也が感情をあらわにして、ライダーマンに言い返す。

「ならばお前には、仮面ライダーとして戦う資格はない・・自分が死ぬだけでなく、関係のない人まで巻き込むことになる・・・!」

「そうなったとき、オレたちも他の仮面ライダーも、お前を敵と認識することになるぞ・・!」

 V3とライダーマンが聖也に冷たく言いかける。

「たとえ誰が敵に回ろうと、私は私の戦いをする・・・!」

「あくまでその道を進むか・・ならばオレが力の差を見せつける・・!」

 それでも考えを変えない聖也に、ライダーマンが戦いを挑む。

「ライダーマン・・1人でいいんですか・・!?

「心配ない。アイツならクラールに意思を伝えられるし、ヤツが深く傷つくこともない。」

 心配するライに、V3が答える。彼はライダーマンが大切なことを教えられること、聖也が大切なことを見出すことを信じていた。

 ライダーマンがジャンプをして、聖也に一気に詰め寄った。ライダーマンがパンチを連続で繰り出して、聖也の体に叩き込んでいく。

「このままではやられる・・力を上げなければ・・・!」

 聖也が毒づいて、ライに目を向けた。彼はライダーソウルを奪い取ろうと、ライに向かっていく。

「ロープアーム!」

 ライダーマンが右手から発言する「カセットアーム」の1つ「ロープアーム」を使用した。伸びたロープが聖也の体に巻きついて、動きを止めた。

「他人の力を利用しようとするなら、隙を作ることになる!」

 ライダーマンが言い放って、聖也を引っ張る。聖也が引き寄せられて、地面に倒される。

「お前もライくんも、他のライダーの力を使うこともあるが、そればかりに依存しても、本当の強さはつかめはしない!最終的な力は、自分自身の力に左右される!」

「私自身の力・・・!?

「そうだ!お前は力を求めるあまり、自分を信じることができなくなっている!」

 ライダーマンが投げかけた言葉を耳にして、聖也が戸惑いを覚える。

「自分を信じろ・・自分には強さがある。この先強くなれると信じるんだ・・!」

「私が・・自分の力を信じていない!?・・・違う・・私には力があった・・だからクラールへの調整に耐えられた・・・!」

 呼びかけるライダーマンと、自分の意思を頑なに貫こうとする聖也。

「その力は紛れもなくお前自身の力だ。クラールになろうとしたお前の力だ。」

「私の力・・私は弱くない、力があるというのか・・・!?

「そうだと信じていれば、お前自身強くなれる。」

 ライダーマンからの励ましを受けて、聖也が心を揺さぶらせていく。

「強くなれ、お前自身が。他の力を使うのはそれからだ。」

 ライダーマンが呼びかけて、V3が頷いた。聖也が自分の両手を見つめて、握りしめて力と自分の意思を噛みしめる。

「私は強い・・今でも十分に強いはずだ・・・!」

 聖也が強さがあると自分に言い聞かせていく。

「自分以外の誰かのために戦おうとするなら、オレも認めないわけじゃない。互いに心から力を合わせるっていうなら、オレも協力する・・」

 ライも自分の考えを聖也に伝える。聖也が考えや態度を変えてくれるなら受け入れると、ライは思っていた。

「この私を、許すというのか・・・!」

 聖也が心を動かされて、ライに目を向ける。

“変身カイジョー。”

 聖也がクラールへの変身を解いて、ライをじっと見つめる。

「力を・・貸してはもらえないだろうか・・・?」

「あなたが、みんなのことをちゃんと考えて戦うなら・・・」

 聖也の問いかけに、ライが真剣な顔で答えた。2人が手を差し伸べて、握手を交わした。

「ようやく分かり合えたというところか。」

「自分を信じ、仲間や大切な人を信じて戦うことが、本当の戦士であり、本当の正義だ。」

 ライダーマンが言いかけて、V3がライたちを見て頷く。

「考えの根底はそれぞれだとしても、大切なものを守ろうとする考えは共通している。それはオレたちも同じだ。」

「そうだな。オレも復讐に囚われるあまり、最初はお前とも対立していたな・・」

「そうだったな・・しかし和解をして、今はともに世界のために戦い続けている。」

「そしてそれは、クロスとクラールも同じだ。」

 自分たちのことを振り返りながら、V3とライダーマンがライと聖也の和解と成長を確信していた。

 

 V3とライダーマンの登場に、ドクトルGが焦りといら立ちをふくらませていた。

V3たちまで現れるとは・・ならば私も本気を出さなければならないようだ・・・!」

 ドクトルGは仮面ライダーたちの打倒に向けて全力を出す決意をした。

「カニ怪人、私に続け!ヤツらの首、必ず持ち帰るぞ!」

 ドクトルGが呼びかけて、カニ怪人が頷く。2人と戦闘員たちがライたちをおびき出そうと、再び暴れ出した。

 

 別の場所で騒動が起こったことに気付いて、ライたちが振り返る。

「また、ハイパーショッカーが・・・!?

 ライが深刻さを浮かべてから、聖也を顔を見合わせて頷いた。2人は騒ぎの起こっているほうに向かって走り出した。

「オレたちも行くぞ!」

「もちろんだ!」

 V3とライダーマンも声をかけ合って、ライたちを追いかけた。

 

 駆けつけたライたちが、ドクトルGたちが暴れているのを目撃した。

「ハイパーショッカー、性懲りなくまた・・!」

 ライがドクトルGたちに怒りを感じて、クロスドライバーとクロスソウルを手にした。

“クロスドライバー!”

 ライがクロスドライバーを装着して、さらにクロスソウルを構えてスイッチを入れた。

“クロス!”

 音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。

“ライダーソウール!”

 ライは意識を集中して構えを取る。

「変身!」

 彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クロース!”

 クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。

「私もやるぞ・・私自身の力を信じて・・・!」

 聖也が自分に言い聞かせて、クラールドライバーとクラールソウルを手にした。

“クラールドライバー!”

“クラール!”

“ライダーソウール!”

 聖也が装着したクラールドライバーに、クラールソウルをセットした。

「変身!」

“変身・ライダー!クラール!”

 彼がクラールタイフーンを回転させて、クラールに変身した。

「全てを、オレが正す!」

「仮面ライダーと正義の力、お前も受けてみろ・・!」

 ライと聖也がドクトルGたちに向かって言い放つ。

「出てきたな、仮面ライダーども!だがここでまとめて始末してくれる!」

 ドクトルGがライたちに高らかに言い放つ。

「お前たちに、この私の本当の姿を見せてやろう!」

 ドクトルGが笑い声を上げて、盾を掲げて身を隠した。次に現した彼の姿が変化していた。

「その姿は・・!」

「そうだ!これがドクトルGの真の姿、カニレーザーだ!」

 ライが声を上げて、ドクトルGが変身したカニレーザーが名乗りを上げる。

「ドクトルG、いや、カニレーザー、お前の相手、オレたちもさせてもらうぞ!」

 V3がカニレーザーに向かって言い放つ。

V3、お前たちの相手はコイツらだ!」

 カニレーザーがカニ怪人と戦闘員たちに目を向ける。

「今度こそ、ヤツの硬さを打ち破る・・!」

 聖也がカニ怪人に再び挑もうとする。

「よし。オレがクラールとともにアイツらの相手をする。V3とクロスはカニレーザーを倒すんだ!」

「分かった!」

 ライダーマンが呼びかけて、V3が答える。聖也とライも頷いて、カニレーザーたちに立ち向かう。

「仮面ライダーども、お前たちの首、いただくぞ!」

 カニレーザーがカニ怪人たちとともに、ライたちを迎え撃つ。

 聖也とライダーマンがカニ怪人を果敢に攻め立てる。2人のパンチの連続が、カニ怪人を押していく。

「どこまで硬い体だ・・もっとパワーを上げなければ・・・!」

「オレが力を貸す!同時に攻撃すれば、ダメージを与えられるはずだ!」

 打開の糸口を探る聖也に、ライダーマンが呼びかける。2人が頷き合って、手を握りしめる。

 カニ怪人がハサミの形をした刃を投げつける。聖也とライダーマンが左右に動いて、刃をかわす。

 カニ怪人が続けて口から泡を吐き出す。聖也たちが泡をかわして、カニ怪人に向かって同時にパンチを繰り出した。

 2人のパンチの重みに耐えきれずに、カニ怪人が突き飛ばされた。

「やった・・!」

 カニ怪人を追い詰めたことを実感して、聖也が戸惑いを覚える。

 そのとき、ライダーマンから光があふれて、外へ飛び出した。光が聖也の手元に届いて、ライダーソウルに変わった。

「これは、ライダーマンのソウル・・・!」

 聖也がライダーソウル「ライダーマンソウル」を見て言いかけて、ライダーマンが頷いた。

“ライダーマン!”

“ライダーソウール!”

 聖也がライダーマンソウルをクラールドライバーにセットして、クラールタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!ライダーマーン!”

 聖也の姿がライダーマンになった。彼は「ライダーマンフォーム」へと変身した。

「オレの力を、カセットアームを使え!」

「了解!」

 ライダーマンが呼びかけて、聖也が答える。彼がクラールドライバーの右レバーを上に上げて、クラールタイフーンを回転させる。

“ライダースマッシュ・ライダーマーン!”

 聖也の右腕にカセットアーム「ブラスターアーム」が装着された。ブラスターアームにエネルギーが集まっていく。

「クラールブラスター!」

 聖也がブラスターアームから、強力なビームを放つ。ビームがカニ怪人の硬い体を貫いた。

 カニ怪人が力尽きて、倒れて爆発を起こした。

「勝った・・私たちの勝利だ・・!」

「そうだ。オレたちの勝ちだ・・」

 聖也がカニ怪人を倒したことに戸惑いを感じて、ライダーマンが頷く。

「お前が自分自身の力を見出した。だからオレの力がお前に届いたんだ。」

「私自身の力・・私の本当の強さが、高まった・・・!」

 ライダーマンからの言葉を受けて、聖也が自信を取り戻した。自分が求めていた力がどういうものなのかを、彼は実感していた。

 

 カニレーザーが頭の角からレーザーを発射する。V3は素早い身のこなしでかわすが、ライは当てられてクロスの装甲から火花が散る。

「聖也さんと力を合わせる時が来たんだ・・オレがやられるわけにいかない・・!」

 ライが聖也の新たな意思に触発されて気を引き締めていく。

「そしてオレは、かなたを助けなくちゃいけない・・絶対にかなたを助けて、一緒に帰るんだ!」

 ライが決意を言い放ったときだった。V3の体からも光が飛び出して、ライの手元でライダーソウルに変わった。

V3のライダーソウルだ・・・!」

「使うんだ、ライくん!君なら私の力も使いこなせる!」

 ライダーソウル「V3ソウル」を見て戸惑いを覚えるライに、V3が呼びかける。

「分かりました・・使わせていただきます!」

V3

“ライダーソウール!”

 答えたライがV3ソウルを、クロスドライバーにセットした。

“変身・ライダー!ブイスリャー!”

 ライの姿がV3そっくりとなった。彼は「V3フォーム」へ変身を果たした。

「クロスの姿もV3になっただと!?

 カニレーザーがライを見て驚きを見せる。

「カニレーザー、いや、ドクトルG、お前を倒して、かなたを必ず取り戻す!」

 ライが言い放ってカニレーザーに向かって走り出す。カニレーザーが放つレーザーをかいくぐって、ライが詰め寄っていく。

 ライが繰り出すパンチとキックを、カニレーザーが盾で防いでいく。彼は斧を使って反撃を仕掛けるが、ライに素早くかわされる。

「力と速さ、技・・まさにV3そのもの・・!」

 カニレーザーがライの戦いに驚かされる。振り下ろされる斧をかわして、ライがジャンプしてカニレーザーの肩に向かって足を振り下ろす。

「ぐっ!」

 肩にキックを食らって、カニレーザーが怯む。

「行くぞ、ライくん!同時攻撃だ!」

「はいっ!」

 V3の呼びかけに答えて、ライがクロスドライバーの右レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させる。

“ライダースマッシュ・ブイスリャー!”

 クロスドライバーから光が現れて、ライがV3と同時にジャンプする。

V3!」

「クロス!」

「反転キック!」

 V3とライがカニレーザーにキックを叩き込んで、そのままさらにジャンプ。空中で反転して再びキックを繰り出した。

「ギャアッ!」

 2人の連続キックを受けて、カニレーザーが絶叫を上げる。大きなダメージを受けた彼が1度倒れて、ドクトルGの姿に戻って立ち上がる。

「おのれ仮面ライダーども・・これで勝ったと思うな・・たとえ私が倒れても、お前たちはルシファーに倒される運命・・寿命がわずかに伸びただけなのだ・・・」

 ドクトルGがライたちに向かって声を振り絞る。

「オレは必ずかなたを助け出す!アイツもオレも、お前たちの思い通りにはならない!」

「フフフ・・その強がりがいつまで持つかな・・・ハハハハハ・・・」

 言い放つライをあざ笑うドクトルGが、力尽きて倒れた。その直後に爆発を起こして、彼は消滅した。

「ドクトルGを倒した・・この調子でハイパーショッカーを倒して、あなたを助けないと・・!」

 ライがかなたに対する思いを口にする。彼とV3に聖也とライダーマンが合流した。

「しかし本当に覚悟を決めなければならないのは分かっているな?」

 V3が問いかけると、ライが小さく頷いた。

「たとえ戦うことになっても、かなたを助けるっていう気持ちは変わんないです。」

「そうか・・君の覚悟と思い、オレたちも確かめさせてもらったぞ。」

 ライの決意を聞いて、V3が頷いた。彼はライダーマンとともに、ライたちの前から歩き出す。

「ありがとうございました、V3、ライダーマン。」

「私は戦いますよ。倒すためでなく、守るために・・」

 ライと聖也がV3とライダーマンを見送って、改めて決意を口にする。

“変身カイジョー。”

 変身を解除した2人は、迷いや焦りを和らげていた。

 

 

22

 

小説

 

TOP

inserted by FC2 system