仮面ライダークロス

第17話「超変身・クウガ!」

 

 

 新しいライダーソウル、クロスワイズソウルを手に入れて、聖也から奪われたライダーソウルを取り戻すことができたライ。しかし直後に意識を失って、ひろしに介抱されることになった。

 その後にひろしがかなたを捜したが、彼を見つけることができなかった。

「ライくん、ひろしさん!」

 まりがライたちを心配して訪れた。

「まりちゃん・・・」

「ライくん、大丈夫なの!?・・かなたくんは・・!?

 動揺を見せるひろしに、まりが心配の声を掛ける。

「ライが疲れて倒れて・・かなたはどこにいるのか分かんないんだ・・・」

 ひろしが深刻な顔を浮かべて、まりに状況を話す。

「何があったんですか!?・・ライくんもかなたくんも、何かに巻き込まれてるんじゃないかって思うんです・・!」

 まりがライたちのことを気にして、ひろしに問い詰める。

「仮面ライダーも怪物も出てきているし・・かなたくんに何かあったら・・・!」

「まりちゃん、落ち着いて!・・かなたはどこかで無事でいるし、ライもすぐに目を覚ますって・・!」

 動揺をふくらませるまりを、ひろしが呼びかけてなだめる。

「今はライが目を覚ますのを待つしかない・・まりちゃんも、落ち着いて。でないとライが慌てちゃうぞ。」

「ひろしさん・・・」

 ひろしが微笑んで、まりが落ち着きを取り戻していく。

「お、おやっさん・・まり・・・」

 そのとき、ライが意識を取り戻して、ベッドから体を起こした。

「ライ、目が覚めたか!」

 ひろしがライが目覚めたことを喜ぶ。

「オレ・・どうしたんですか・・・?」

「ライ、いきなり倒れたんだぞ・・ビックリしたんだから・・」

 周りを見回すライに、ひろしがため息まじりに答える。

(そうか・・オレは新しいライダーソウルを使って、他のライダーソウルを取り戻したところで意識がなくなって・・・)

 ライが記憶を呼び起こして、これまでのことを思い出す。

「かなた!・・かなたはどこだ!?戻っていないですか、おやっさん!?

 ライがかなたのことを思い出して、ひろしに問いかける。

「いや・・あれからお前をここに運んでから捜しに行ったんだが、全然見つからなかった・・・」

 ひろしが深刻な顔を浮かべて答える。

(かなた、まさかハイパーショッカーに捕まったんじゃ!?・・あの聖也って人が連れていった可能性は低いだろうな・・)

 かなたがいなくなった理由をライが模索していく。

「ライくん、何が起こっているのか、ちゃんと話してほしいよ・・・!」

 まりが悲しい顔を見せて、ライに問い詰めてきた。

「ハイパーショッカーって怪人の集まりに、かなたが捕まったかもしれない・・」

「ハイパーショッカー・・!?

 ライが話を切り出して、まりが息をのむ。

「自分たちの戦力となる戦士を作り出すことも、ヤツらの企みの1つだ・・早くしないと、かなたが・・・!」

 ライがかなたを心配して立ち上がろうとするが、体に力が入らなくてふらつく。

「今はまだ休んだほうがいいって!どうしてもっていうなら、明日にしろ!」

 ひろしがライを支えて呼びかける。ライは焦りを噛みしめながらも、またベッドに横たわることにした。

「ふぅ・・ライはハイパーショッカーと戦ってるんだ・・ヤツらの悪だくみを知ってしまったからな・・」

 ひろしがひと息ついて、まりにさらに語りかける。

「いくら自分勝手が許せないからって、そこまで首を突っ込まなくても・・・」

 まりがライの行動に対して、不満を覚える。

(ライも仮面ライダーになったことは、内緒にしないとな・・ライも内緒にしてるみたいだし・・)

 ライがクロスであることまでは明かしてはいけないと、ひろしは心の中で思っていた。

 

 ライが再び眠りについてから一夜が過ぎた。朝に目を覚ましたライは、体力が回復していると考えた。

(早くかなたを捜さなくちゃ・・ホントは寝ている場合でもなかったんだから・・・!)

 かなたの心配をして、ライはベッドから起きて立ち上がった。体に痛みや違和感はないことを確かめて、彼は部屋を出た。

「ライくん!・・一晩休んだだけなのに・・・追いかけなくちゃ・・!」

 朝早く起きて橘モーターショップを訪れたまりが、外へ飛び出したライを目撃した。まりもライを追って走り出した。

 

 かなたを捜して外を駆け回るライ。しかし心当たりのある場所やそれ以外の所へ行っても、かなたは見つからない。

「かなた・・どこにいるんだ!?・・・今のオレでも見つけられないなんて・・・!」

 調整されたことにより高まっているはずの感覚を使っても、かなたを見つけることができなくて、ライが苦悩を深めていく。

 かなたへの心配をふくらませながら、ライは街外れに足を踏み入れた。

 そのとき、ライは人々の悲鳴を耳にして足を止めた。数人の人が慌ただしく走ってきた。

「どうしたんですか・・・!?

 ライがその中の1人に声を掛けてきた。

「黒い服のおかしなヤツらが現れて・・!」

 その男の人が状況を話す。

(黒い服・・ショッカーの戦闘員が出たのか・・!)

 再び走り出した男の人を見届けて、ライも動き出した。その先にある廃墟に、戦闘員たちがいた。

 戦闘員たちは1人の青年を取り囲んでいた。

「あれは・・!」

 ライがその青年を見て、驚きを覚える。青年が意識を集中して構えを取った。

 すると青年の腰にベルト「アークル」が現れた。

「変身!」

 ポーズを取った青年の体を、赤い装甲と仮面が包み込んだ。

「あの姿・・間違いない!クウガだ!」

 ライが青年が変身した仮面ライダー、クウガを見て声を上げる。ライはクウガについて知っていた。

 クウガがパンチを繰り出して、戦闘員たちを突き飛ばしていく。他の戦闘員たちが彼に脅威を感じて後ずさりする。

 他の戦闘員たちが剣や鉄パイプを持って構えた。

「オレも黙っちゃいられない・・!」

 ライが思い立って、クロスドライバーとクロスソウルを取り出した。

“クロスドライバー!”

 ライがクロスドライバーに装着して、さらにクロスソウルを構えてスイッチを入れた。

“クロス!”

 音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。

“ライダーソウール!”

 ライは意識を集中して構えを取る。

「変身!」

 彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クロース!”

 クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。

「な、何だ、アイツは・・!?

 クロスに変身したライを見て、クウガが驚きを覚える。ライの登場に、戦闘員たちがさらに緊張する。

「こっちも切羽詰っているんだ・・早く片付けさせてもらうぞ・・!」

 ライが言いかけて、戦闘員たちに向かっていく。ライの打撃は戦闘員たちを軽々と突き飛ばしていく。

「クウガだけでなくクロスまで・・!」

「撤退だ!一時撤退する!」

 戦闘員たちが危機感を覚えて、ライたちから離れていった。

「逃げられたか・・今はそれどころじゃないからいいけど・・」

 ライがため息をついてから、クウガに振り返った。

“変身カイジョー。”

 ライはクロスドライバーを外して変身を解除した。クウガも彼の正体を目の当たりにして戸惑いを感じてから、変身を解いた。

「あなたはクウガ・・五代(ごだい)雄介(ゆうすけ)さんですね?」

「そうだけど・・君もクウガ・・いや、仮面ライダーだね?」

 ライと青年、雄介が互いに声をかけ合う。

「オレは十時ライ。仮面ライダークロスです。」

「仮面ライダークロス?」

 自己紹介をするライに、雄介が疑問符を浮かべる。

「オレたちの日常を壊そうとするハイパーショッカーが許せなくて、オレは戦ってます。」

「ハイパーショッカー・・さっきのヤツらのことだね。」

 ライの話を聞いて、雄介が頷く。

「オレがクロスになったのは、ヤツらにそう調整されたんです・・そしてもしかしたら、オレの友達がヤツらに捕まったかもしれないんです・・・!」

 ライは友達であるかなたを捜していることも、雄介に告げた。

「大切な人を守る、か・・オレもみんなを守りたいって気持ちはあるからね。」

 雄介がライの思いに共感して微笑む。

「大丈夫。その気持ちを失わなければ、君のその気持ちは叶うよ。」

「雄介さん・・はい!」

 雄介に励まされて、ライが笑みを見せて答えた。ライはかなたを見つけ出す決意を強くしていた。

 そのとき、ライと雄介は近づいてくる足音を耳にした。2人が振り返った先に現れたのは、アポロガイストだった。

「お前は、アポロガイスト・・!」

「久しぶりだな、クロス。今日こそ決着を付けさせてもらう。」

 身構えるライに、アポロガイストが言いかける。

「オレは今はお前の相手をしている場合じゃないんだよ・・邪魔するな!」

「お前の仲間、市川かなたが我々の手の中にあるとしてもか?」

 不満の声を上げるライに、アポロガイストがかなたのことを切り出す。

「かなたが!?・・かなたがハイパーショッカーに捕まった・・・!?

 それを聞いてライが動揺を覚える。

「かなたを返せ!アイツはどこにいる!?

「お前の仲間はハイパーショッカーの研究施設にいる。だがお前は私によって倒されることになる。」

 問い詰めるライだが、アポロガイストは彼に挑戦しようとする。

「邪魔をするなら、今度こそお前を倒して、かなたのところに行く!」

 ライが言い放って、再びクロスドライバーとクロスソウルを手にした。

“クロスドライバー!”

“クロス!”

“ライダーソウール!”

 彼がクロスドライバーを装着して、クロスソウルをセットした。

「変身!」

 ライが左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クロース!”

 クロスドライバーからあふれた光を浴びて、ライはクロスに変身した。

「ライくん、ダメだ!君は早く友達のところに行かなくちゃ!」

 雄介がライを心配して呼び止める。

「アイツの相手はオレがする!だからライくんは先に・・!」

「そうはいかない。クウガ、お前はコイツの相手をしてもらうぞ。」

 するとアポロガイストが言いかけて、1体の怪人を呼んだ。

「マッハアキレス、クウガを倒せ。私とクロスの戦いの邪魔をさせるな。」

「グエー!」

 アポロガイストが命令を出して、怪人、マッハアキレスが答える。

「ライくん!」

 雄介がライに駆け寄ろうとするが、マッハアキレスに行く手を阻まれる。

「戦うしかないか・・・変身!」

 雄介が焦りを噛みしめて、クウガへ変身した。

「オレたちの邪魔をしないでくれ!」

「そうはいかん!お前もクロスも、ここで地獄に落ちるのだ!」

 呼びかける雄介に、マッハアキレスが言い放つ。

「これで邪魔が入らず、私とお前の一騎打ちが行われる。」

 アポロガイストがライに視線を戻して言いかける。

「かなたに何かあったら、オレはお前たちを絶対に許さないぞ・・!」

 ライが怒りをふくらませて、アポロガイストに向かっていく。

 ライが力任せにパンチを繰り出していく。しかしアポロガイストは冷静にパンチをかわしていく。

「攻撃が単調になっている。回避はたやすいぞ。」

 アポロガイストが言いかけて、足を振りかざしてライを蹴り飛ばす。

「くっ・・!」

 踏みとどまるライが、アポロガイストに対して劣勢に立たされて毒づく。

「この前のようにはいかんぞ。確実にお前を仕留める。」

 アポロガイストが告げて、アポロショットとガイストカッターを手にした。

「オレは倒れるわけにはいかない・・絶対にかなたを助け出す!」

 ライが怒りを言い放って、クロスワイズソウルを取り出した。

“クロスワイズ!”

 ライがクロスワイズソウルのスイッチを入れた。

“ライダーソウール!”

 彼がクロスドライバーにセットされているクロスソウルを、クロスワイズソウルと入れ替える。

「大変身!」

 ライがクロスドライバーの左レバーを上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“大変身!クロスワーイズ!”

 クロスの装甲に赤いラインが入って、マスクの形と目元も鋭くなった。ライはクロスワイズへと変身した。

「その姿・・新しいクロスか・・!?

 ライの姿を見て、アポロガイストが驚く。

「ムダな時間は過ごせない・・さっさと終わらせてやる・・!」

 ライが言い放って、アポロガイストに真正面から向かっていく。

 アポロガイストがガイストカッターを投げつけるが、ライに軽々とかわされる。すかさずアポロショットを発射するアポロガイストだが、ライは射撃を当てられても平然としていた。

「私の攻撃が通じないだと!?

 ライのクロスワイズの力に、アポロガイストが驚きを隠せなくなる。ライが走り出して、アポロガイストとの距離を一気に詰めた。

「ぐおっ!」

 アポロガイストがガイストカッターで攻撃を防ごうとするが、ライが繰り出したパンチを止め切れずに押された。

「今まで以上のパワーとスピード・・この私が押されるほどとは・・!」

 ライの力を痛感して、アポロガイストが焦りを感じていく。

「だが私は与えられた任務は果たす・・お前を倒し、ハイパーショッカーの障害を減らす!」

 アポロガイストが言い放って、再びアポロショットを発砲する。ライはジャンプして射撃をかわして、アポロガイストを飛び越える。

「オレはかなたを捜し出す・・だからさっさとお前を倒す!」

 ライが言い放って、クロスドライバーのクロスタイフーン回転させる。

“ライダースマッシュ・クロスワーイズ!”

 ライのまとうクロスの装甲から光があふれ出す。彼は前に走り出してジャンプして、アポロガイストに向かって右足を出す。

 ライの右足の足裏にあるX字から、光が3つ放たれる。ガイストカッターを構えるアポロガイストだが、光によって動きを封じられる。

「クロスワイズキック!」

 ライがアポロガイストに向かってキックを繰り出す。アポロガイストがアポロショットを放つが、キックに射撃がはじかれる。

「ぐはぁっ!」

 キックを受けたガイストカッターが打ち砕かれて、アポロガイストが絶叫を上げて突き飛ばされた。

「ぐっ!・・ガイストカッターを壊し、私にもこれほどのダメージを負わせるとは・・!」

 立ち上がろうとするアポロガイストだが、体に痛みを感じて立ち上がることができない。

「アポロガイスト様!・・おのれ、クロス!」

 マッハアキレスが慌ててクロスに向かっていく。ライが彼に気付いて身構えた。

「うっ!」

 そのとき、ライが突然ふらついて倒れかかる。

「どうしたんだ、ライくん!?

「分からない・・・まさか、クロスワイズを使って、消耗して・・!?

 雄介が声を上げて、ライがふらついた理由を推測する。

(この前気絶したのも、体力が一気になくなったからなのか!?・・だったらなおさら多用はできないぞ・・・!)

 クロスワイズのリスクを実感して、ライが焦りをふくらませる。

“変身・ライダー!クロース!”

 彼はクロスに戻って、体力の消耗を抑えた。

「決定打を受けるのは避けられたが、休ませるわけにはいかないようだ・・!」

 アポロガイストが力を振り絞って立ち上がって、ライへの警戒心を強める。

「やってやる・・クロスワイズが使えなくても、オレは絶対にかなたを捜し出す!」

 ライが諦めずに意思を貫いて、戦いを続けようとする。

「どんな敵が出てきても、どんな困難が来ても、オレが超えてやる!」

 自分の揺るぎない意思を、ライが言い放った。

 そのとき、マッハアキレスと戦っていた雄介の体から光があふれ出した。

「こ、これは!?

 自分から出ている光に、雄介が動揺を見せる。あふれ出た光はライの前に集まって、新しいライダーソウルに変わった。

「これはクウガ!・・クウガのライダーソウル・・!」

 ライがライダーソウル「クウガソウル」を見て戸惑いを覚える。視線を向けてきた彼に、雄介が頷いてサムズアップを見せた。

「雄介さん・・クウガの力、使わせていただきます!」

“クウガ!”

 ライが雄介に感謝して、クウガソウルのスイッチを入れた。

“ライダーソウール!”

 彼がクロスドライバーにクウガソウルをセットして、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クウガー!”

 ライのまとうクロスの姿に変化が起こった。それはクウガ・マイティフォームそのものだった。

「クロスが、クウガになった・・!」

 クウガの姿と力を宿した「クウガフォーム」となったライに、アポロガイストが警戒を強める。

「たとえ他のライダーになったとしても、先ほどのクロスよりは劣るはず・・!」

「そうかもしれない・・それでも、お前を倒すことは不可能じゃない!」

 戦意を見せるアポロガイストに、ライが言い放つ。

 アポロガイストがアポロショットを発砲する。ライは大きくジャンプして射撃をかわして、アポロガイストとの距離を詰めた。

 ライはすかさずパンチを繰り出して、アポロガイストに当てていく。力のあるライのパンチに、アポロガイストが押されていく。

「通常のクロスよりはパワーがある・・これが、クウガの力・・!」

 アポロガイストがライの力に危機感をふくらませていく。

「アポロガイスト様!」

 マッハアキレスが声を荒げて、アポロガイストを援護しようとする。

「そうはさせない!」

 雄介が反撃に転じて、マッハアキレスにパンチを叩き込む。

「おのれ、クウガ・・お前を始末してでも!」

 マッハアキレスがいら立って、雄介に飛びかかる。彼のスピードを伴った突撃に押されて、雄介がうめく。

 そのとき、集中力を高めた雄介の手首と足首に金のラインが入った。金のラインから稲妻が発せられる。

 雄介の力が高まって、踏みとどまってマッハアキレスを押し返す。

「ぐぬっ!?コ、コイツ・・!」

「お前たちに、みんなを傷付けさせはしない!」

 驚くマッハアキレスに言い放って、雄介が彼を突き飛ばす。

「ぐっ!」

 ふらつくマッハアキレスに、雄介が追撃を仕掛ける。マッハアキレスが体にパンチを受けて、さらに足払いを掛けられる。

「ぐあぁっ!」

 マッハアキレスが足に激痛を感じて、絶叫を上げる。俊敏さに長けている彼は、足が弱点だった。

「今だ!」

 雄介が右足に力を集中させる。彼は大きくジャンプして、起き上がろうとするマッハアキレスに右足のキックを繰り出した。

「ギャアッ!」

 マッハアキレスが体にキックを受けて、爆発を起こして吹き飛んだ。

「アキレスがやられたか・・!」

 アポロガイストが毒づいて、またアポロショットを構える。

「オレもやってやる・・!」

 ライが言いかけて、クロスタイフーンの右のレバーを右手で上げて回転を加える。

“ライダースマッシュ・クウガー!”

 ライの右足にエネルギーが集まる。彼はジャンプして、アポロガイストに向かってキックを繰り出した。

「がはぁっ!」

 アポロガイストがキックを受けて、突き飛ばされて地面を転がる。着地したライが、立ち上がるのがやっとになったアポロガイストに目を向ける。

「かなたはどこだ!?かなたのところへ案内しろ!」

 ライがアポロガイストに向かって問い詰める。

「市川かなたは・・・」

 アポロガイストがかなたのことを言おうとした。

 そのとき、足音が響いてきて、ライたちが振り向く。彼らの前に現れたのはかなただった。

「かなた・・かなた!」

 ライがかなたを見つけて、喜びを覚える。彼がかなたに駆け寄って、安心を感じていく。

「クロス・・世界征服の邪魔をする敵・・・」

 かなたが低い声でライに向けて言いかけた。

「かなた、何を言って・・・!?

 ライがかなたに対して疑問を感じたときだった。かなたが手を出して、ライを突き放す。

「どうしたんだ、かなた・・!?

 ライが驚きを見せながら、かなたに問い詰める。するとかなたが腰に着けていたベルト「ルシファードライバー」を見せた。

「そのベルト・・まさかお前・・!?

 ライがかなたに対して目を疑う。

“ルシファー!”

 かなたがさらにライダーソウル「ルシファーソウル」を手にして、スイッチを入れた。

“ライダーソウル。”

 彼がルシファードライバーの中心にある2つのスロット「ソウルスロット」のうちの右側に、ルシファーソウルを上からセットした。

「変身。」

 かなたがルシファードライバーの両側にあるレバー「ルシファーハリケーン」を中心へ押し込んだ。

“ダークチェンジ・ルシファー。”

 かなたの体を黒い装甲とマスクが包み込んだ。どちらも形状に鋭さがあって、紫のラインも入っていて、悪魔を思わせる姿だった。

 かなたは漆黒の仮面ライダーになって、ライの前に立ちはだかった。

 

 

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