仮面ライダークロス
第14話「オーズ!パンツとメダルと伸ばす手」
ライが龍騎ソウルを手に入れたとき、聖也の手元に新しいライダーソウルが現れた。ナイトの力を備えた「ナイトソウル」である。
「十時ライが龍騎たちと接触して、力を手に入れた・・その結果、私にもナイトの力が・・」
聖也がナイトソウルを見つめて呟く。
「十時ライが力を上げれば、私も力を上げられる。だが彼が力を付けていくのを、ゆっくり待っているわけにはいかない・・」
聖也はナイトソウルを握りしめて、意思を強める。
「やはり、彼の持つライダーソウルを手に入れる・・・!」
ライからライダーソウルを奪い取るため、聖也は再び行動を開始した。
新たに龍騎ソウルを手に入れて、ライは自信を付けてきた。彼は龍騎ソウルをひろしに見せていた。
「またライダーソウルを手に入れたか、ライ。」
「はい。真司さん、仮面ライダー龍騎も力を貸してくれたんです。」
ひろしが龍騎ソウルを見つめて、ライが答える。
「でもきっとこのソウルも、滝聖也は狙っているはずだ・・強くなって、ソウルを守らないと・・!」
ライが決意を強めて、戦いを続けていこうと考える。
「ライ・・・僕、ライの力になれてないね・・ゴメンね・・」
かなたが自分の無力を感じて、ライに謝る。
「かなたはライダーじゃないし、無理してライダーになる必要はない。」
するとライがかなたに励ましの言葉を送る。
「仮面ライダーは改造人間か、人間離れした体や能力を持ってる人ばかりだ・・そんなもの、好きで抱えるもんじゃない・・」
「でも僕、この先ずっと何もできないなんて・・・」
「力を持つことだけが、力になるってことじゃないよ・・」
「ライ・・・」
ライに気を遣われて、かなたが言葉を詰まらせる。かなたはライに対して何もできないのかと思うようになってしまった。
「ライ、かなた、2人とも落ち着けって・・」
ひろしが気まずくなって、ライたちを呼び止めた。
「どっちもあんまり気を張り詰めすぎると疲れてしまうぞ。お互い、ちょっとでも気楽にやってみてもいいんじゃないか?」
「おやっさん・・・」
ひろしが気さくに言いかけて、ライが戸惑いを感じていく。かなたは複雑な気分を感じたままだった。
怪人たちの引き起こす騒動に巻き込まれて、まりは怖さと不安を感じていた。同時にライたちがその事件に関わっていることにも、彼女はさらに不安をふくらませていた。
(TVの中の出来事が現実になるなんて・・それがこんなに怖いものだったなんて・・・!)
まりが怪人に襲われたことを思い出して、体を震わせる。
(しかもライくんがそれに関わっているみたい・・何がどうなっているのか、全然分かんないよ・・・!)
苦悩が深まっていって、まりは落ち込んでいく。
「まりちゃん・・」
そこへかなたがやってきて、まりにこえをかけてきた。
「かなたくん・・ライくん、何をしているのか知らない?」
「えっ?・・うん、よくは知らないよ・・」
まりから問いかけられて、かなたが笑みを作って答える。ごまかそうとした彼だが、深刻さを感じていたことにウソはなかった。
「僕も、ライに何かできたらいいんだけど・・・」
まりの前でもかなたが自分の無力を口にする。
「かなたくん・・・」
かなたもライを心配していると思って、辛さをふくらませていく。
(やっぱり、ライくんに直接聞いたほうがいいのかな・・でも、無理やり聞いたらライくんは怒ることになるよね・・)
ライに直接話を聞くことを、まりはためらっていた。
(ゴメン、まりちゃん・・まりちゃんまで巻き込むのはよくないと、僕も思うから・・)
かなたがまりに対して、心の中で謝っていた。
「ヤミー」。人の欲望がメダル「セルメダル」を媒体にして生まれた怪人である。
今、フクロウヤミーが警察を襲っていた。
「や、やめてくれ!助けてくれ!」
フクロウヤミーに首をつかまれた警官が、悲鳴を上げて助けを求める。
「これからはお前たちに代わって、オレがこの国を正してやるよ・・・!」
フクロウヤミーが鋭く言って、警官の首を絞めつけた。脱力した警官を放して、彼は歩き出す。
「世の中はもうおかしくなってしまった・・正義を完全に見失い、警察ですら私利私欲に走る者が出る始末・・これでは悪は、いつまでたっても淘汰されない・・・!」
地に落ちている正義、警察への憎悪を、フクロウヤミーがふくらませていく。
「もうオレが手を下すしかない・・オレが、真の正義を示す・・!」
自分の意思を口にして、フクロウヤミーが翼をはばたかせて空に飛び上がった。彼の去っていく姿を、1人の青年が目撃していた。
フクロウヤミーの起こした騒動は、すぐにニュースになった。それを聞いたライは、かなたとともに街に繰り出した。
「ホントに警官がやられちゃってるよ・・・!」
かなたが周りを見回して気まずくなる。ライが警官の1人に駆け寄って支えた。
「大丈夫ですか!?しっかりしてください!」
ライが呼びかけて、警官が意識を取り戻す。
「ば・・バケモノが、我々を襲って・・・!」
「バケモノ・・・!?」
警官が声を振り絞って、ライが緊張をふくらませる。
(怪人の仕業だ・・ハイパーショッカーのヤツらか・・!?)
彼は怪人の出現を予感して、周りを見回す。
「は、早く消火しなくては・・そこのビルで、火の手が上がっている・・・!」
警官が声を振り絞って、煙が出ているビルのほうを指さす。
「かなたはこの警官を頼む!オレが消火してくる!」
「ライ!」
ライが呼びかけてビルに向かって走り出して、かなたが声を上げる。
「君、行ったら危ない!・・ぐっ!」
警官が呼び止めるが、体に痛みを感じて顔を歪める。
「今はここを離れて、病院へ行きましょう!」
かなたは警官に肩を貸して、この場から歩き出す。
(ライ・・僕にも、何かできることがあるよね・・・!)
かなたは心の中でライに向けて言いかけていた。
煙に包まれているビルの中に飛び込んだライ。スプリンクラーは作動しているが、まだ鎮火には至っていない。
(オレが中にいる人を助け出すしかないか・・!)
思い立ったライが、クロスドライバーとクロスソウルを取り出した。
“クロスドライバー!”
ライがクロスドライバーに装着して、さらにクロスソウルのスイッチを入れた。
“クロス!”
音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。
“ライダーソウール!”
ライは意識を集中して構えを取る。
「変身!」
彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クロース!”
クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。
「誰かいるかー!?いるなら返事をしてくれー!」
ライが周りを見回しながら呼びかける。クロスの装甲は煙と炎からライを守っていた。
そのとき、ライの耳に子供に泣き声が入ってきた。
「近くに誰かいる・・この先の部屋か・・!」
ライが言いかけて、煙であふれている廊下を進んでいく。彼は声を聞きながら、子供のいる場所を探る。
「どこにいるんだー!?返事をしてくれー!」
「ここだよー!助けてー!」
ライが呼びかけると、子供からの返事が返ってきた。ライがそばの部屋に飛び込むと、子供がその隅で座り込んでいたのを見つけた。
「無事だったみたいだ・・オレから離れるんじゃないぞ・・!」
「う、うん・・!」
ライが呼びかけて、子供が頷く。ライが子供を抱えて部屋を出て、廊下を進む。
だが彼らの前をさえぎるように、炎が強まった。
「もう火がここまで・・オレだけなら突っ切れるが・・・!」
炎に行く手を阻まれて、ライが危機感を覚える。炎を突っ切ろうとすれば、子供が危険な状態になってしまう。
「こっちだ!」
そこへ声がかかって、ライが振り向く。そばの部屋から手が差し伸べられていた。
ライはとっさに手のほうへ方向を変える。その先の部屋に、1人の青年がいた。
「あなたは・・!」
青年の顔を見て、ライが驚く。彼は青年とともに窓から外へ飛び出して外へ出た。
「ふぅ・・危ないところだった・・・大丈夫か、君!?」
「う、うん・・ありがとう、仮面ライダー・・!」
ひと息つくライが心配の声を掛けて、子供が安心の笑みを浮かべて答えた。
「ここはまだ危ないから、早く逃げて。」
「うん・・それじゃあね・・」
青年が呼びかけて、子供が頷いて走っていった。
「よかった・・無事に助けられた・・・」
ライが笑みをこぼして、青年に目を向けた。
「もしかしてあなた、火野映司さんですか・・!?」
「えっ!?そうだけど、オレのことを知ってるの・・!?」
ライが問いかけて、青年、映司が驚きを見せる。
「映司さん・・仮面ライダーオーズ・・!」
ライが映司との出会いに戸惑いを感じていく。
“変身カイジョー。”
彼はクロスドライバーを外して、クロスへの変身を解除した。
「オーズとは違う・・新しい仮面ライダーなのか・・・!」
映司がライを見て戸惑いを感じていく。
「ここ最近、おかしな事件がたくさん起きてる・・もしかして、君と関係のあることなのか・・!?」
「いえ、今の世界の状況は、ハイパーショッカーが引き起こしているんじゃないかって思ってます・・・!」
映司が投げかけた疑問を受けて、ライがハイパーショッカーのことを話す。
「ショッカーって、あの世界征服を企んだ、あのショッカーか・・!?」
「はい・・今まで仮面ライダーたちが戦ってきた怪人たちが手を組んで、ハイパーショッカーとして動き出しているんです・・オレはヤツらに調整をされて、クロスに変身する能力を得たんです・・」
映司がさらに疑問を投げかけて、ライが説明をする。彼は映司にクロスドライバーとクロスソウルを見せた。
「これでオレはクロスに変身します。さらに、他のライダーのみなさんが貸してくれた力で、そのライダーになることもできます・・」
「すごい・・ということは、オーズにもなれるってことなのか・・!?」
「いえ、それはまだ・・映司さんから力を借りないと・・・」
協力的な映司だが、ライがさらに事情を説明していく。
「力の貸すといっても・・オレにできるのは、今みたいに手を伸ばすことぐらいしか・・」
「それが大事なことだと、オレは思います・・それが、映司さんの強みですし・・!」
悩む素振りを見せる映司に、ライが言いかける。
「目の前に泣いていたり困っていたりする人がいたら、手を伸ばして助けたい・・そう思うだけでも強さを持っているって思えますよ・・!」
「ライくん・・・」
ライが口にした言葉に、映司が戸惑いを覚える。
「オレはオーズとなって力を手に入れた・・だからオレはその気持ちだけじゃなく、ホントに手を伸ばしてつかんで助けなくちゃって・・」
「ホントに、助ける・・・!」
映司の決心を聞いて、ライも戸惑いを感じていく。彼は力を持った宿命と責任を痛感していた。
「オレ、守ってみせます・・オレの親友やおやっさんのことを・・・!」
ライも映司に自分の決意を口にする。
「ライくん、君も守ろうとする思いは強いってことだね。」
映司が頷いて、ライに手を差し伸べてきた。
「君も、オレの守りたい人の1人だ・・」
「映司さん・・ありがとうございます!」
映司に励まされて、ライが笑みを見せて感謝した。彼は映司の手を取って握手を交わした。
「ラーイ!」
そこへかなたが走ってきて、ライたちのところへ来た。
「え、ええーっ!?火野映司さん!?」
かなたが映司を見て驚きの声を上げる。
「ライ、オーズにも会ってたなんて〜♪」
「だからいつも騒ぎすぎだって、かなた・・」
笑顔を振りまくかなたに、ライが呆れる。2人を見て映司が笑みをこぼした。
「にぎやかだね、2人とも。こっちまで元気になれるよ。」
「そ、そうですか?アハハハ・・」
映司が投げかけた言葉を聞いて、かなたが照れ笑いを見せた。
そのとき、ライたちのいる場所に影が差しこんだ。彼らが見上げた空に、フクロウヤミーが現れた。
「ヤミー!コイツが街や警察を襲って・・!」
映司がフクロウヤミーを見て身構える。
「かなたは離れていてくれ!オレがアイツを倒す!」
「ライ・・・!」
ライが呼びかけて、かなたが戸惑いを覚える。彼は動揺しながら後ずさりして離れていく。
「仮面ライダーにも世の中を任せておけない・・オレが正してやるぞ・・!」
フクロウヤミーがライたちを見下ろして、自分の意思を口にする。
「自分が正義か・・そういう一方的なのは納得できないな!」
ライが怒りの声を上げて、クロスドライバーとクロスソウルを手にした。
“クロスドライバー!”
“クロス!”
“ライダーソウール!”
ライがクロスドライバーを装着して、クロスソウルをセットした。
「変身!」
彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!クロース!”
クロスドライバーからあふれた光を浴びて、ライはクロスに変身した。
「よし!オレもやるぞ!」
映司もベルト「オーズドライバー」を装着して、3種のメダル「オーメダル」をセットしていく。
「変身!」
彼がアイテム「オースキャナー」でオーメダル3枚をスキャンする。
“タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タトバ・タ・ト・バ!”
映司が上から赤、黄色、緑の模様が入った装甲に身を包んだ。彼は仮面ライダー、オーズに変身した。
「クロスとオーズ・・2人のライダーも、粛清してやる・・!」
フクロウヤミーがいきり立って、羽根の手裏剣を飛ばす。ライと映司が左右に転がって、手裏剣をかわす。
ライがジャンプしてフクロウヤミーを攻撃しようとする。しかしフクロウヤミーが上昇して、ライは彼に届かない。
「ダメだ!クロスのジャンプじゃヤミーに届かない!」
かなたがライの危機に動揺を見せる。
「だったらコイツで・・!」
“ソードガン!”
ライがソードガンソウルのスイッチを入れて、クロスソードガンを手にした。
“ガンモード!”
彼はクロスソードガンをガンモードにして、フクロウヤミーを狙って射撃する。しかしフクロウヤミーは素早く動いて、射撃をかわしていく。
「これでもダメなのか・・オレの攻撃は、アイツに届かないのか・・・!」
あらゆる攻撃が通じないことに、ライがいら立ちを感じていく。
「諦めたらダメだ!諦めずに手を伸ばすんだ!」
そこへ映司が呼びかけて、ライが戸惑いを覚える。
「助けようという気持ちを強く持てば、攻撃を届かせようという気持ちを強くすれば、必ず届く!」
「映司さん・・・!」
映司に励まされて、ライが頷く。
“ビルド!”
彼がビルドソウルを取り出して、クロスソードガンの中心部にセットした。
“ライダーシュート・ビルドー!”
先端にエネルギーが集まっていくクロスソードガンを構えるライ。クロスソードガンのエネルギーの先に、光の標準も現れる。
「狙いを定めて、素早く撃ち抜く・・ビルドライダーシュート!」
ライがフクロウヤミーの位置を見抜いて、クロスソードガンの引き金を引いた。クロスソードガンから鋭いビームが放たれて、フクロウヤミーの翼を射抜いた。
「おわっ!」
フクロウヤミーが体勢を崩して、地上に落下した。
「よし!このまま一気に決める!」
ライがフクロウヤミーに対して畳み掛ける。
そのとき、映司のまとうオーズの装甲から光があふれ出した。
「えっ!?な、何だ!?」
突然のことに映司が驚く。ライもたまらず足を止めて、彼に振り向いた。
「あの光・・映司さんの、オーズの力が・・!」
ライがライダーソウルが出てくることを予感した。オーズの装甲から出た光が、ライダーソウル「オーズソウル」になった。
「オーズのライダーソウル・・映司さん・・!」
オーズソウルを見つめるライに、映司が頷いた。
「オーズの力、使わせてもらいます!」
“オーズ!”
“ライダーソウール!”
ライがオーズソウルのスイッチを入れて、クロスドライバーにセットされているクロスソウルと入れ替えて、左レバーを上げてクロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!オーーズ!”
クロスの装甲が変化して、オーズそっくりの姿となった。ライはオーズの姿と力を備えた「オーズフォーム」となった。
「何っ!?オーズが2人だと!?」
フクロウヤミーがライの姿を見て驚く。
「どっちにしても、ここで2人とも倒す!」
フクロウヤミーが翼をはばたかせて、突風を起こす。少し押されるライだが、すぐに耐えて前進する。
「クロスよりも動きが軽い・・これならこの風も突破できる・・!」
オーズの力を確かめて、ライがさらに前進する。彼はフクロウヤミーの放つ突風をものともしていない。
“ソードモード!”
ライはフクロウヤミーに詰め寄って、ソードモードに戻したクロスソードガンを振りかざす。
「ぐおっ!」
クロスソードガンに体を切りつけられて、フクロウヤミーがうめく。彼がとっさに羽根の手裏剣を放つが、ライはクロスソードガンを振りかざして、手裏剣をはじいていく。
「オレは正義を正さないといけないんだ・・この世の中、どいつもこいつも自分のことばかり・・それでは世界から悪は消えないのだぞ・・!」
フクロウヤミーが今の正義に対する不満を口にしていく。
「アンタ、今の正義に納得していないから、警察を襲ったのか・・!?」
ライがフクロウヤミーのやり方に不満を覚える。
「もしも警察のほうが間違っていたとしたなら、仕方のないことかもしれない・・でもそのために、関係ない人まで危険に巻き込むんじゃない!」
「間違った正義を黙認してきた他の者たちにも罪はある・・誰もが罪を償わなければならない!」
呼びかけるライに、フクロウヤミーが怒りを言い放つ。
「そんな勝手な考え、オレは絶対に認めない!正義だなんて認めない!」
ライも怒りをふくらませて、フクロウヤミーに向かって突っ込む。フクロウヤミーが飛び上がるが、ライが手を伸ばして彼の足をつかんだ。
「何っ!?」
「届いた!」
驚くフクロウヤミーと、手が届いたことを実感するライ。ライが手を引いて、フクロウヤミーを引きずりおろした。
「よし!ライくん、一緒にやるよ!」
「はい!」
映司が呼びかけて、ライが答える。彼がクロスタイフーンの右のレバーを上げて回転を加えた。
“ライダースマッシュ・オーーズ!”
ライの体を赤、黄色、緑の光が取り巻く。
“スキャニングチャージ!”
オースキャナーで再びオーメダルをスキャンする映司。彼も同じ3色の光を身にまとう。
ライと映司が同時にジャンプする。彼らの前に色の違う3つの光の輪が現れる。
ライたちが光の輪を通って、フクロウヤミーにキックを叩き込んだ。
「ごあぁっ!」
フクロウヤミーが突き飛ばされて、ビルの壁に強く叩きつけられた。
「こ、こんなところで倒れるわけにはいかない・・オレは、今の正義を正さなければならない・・・!」
フクロウヤミーが声を振り絞るが、決定打を受けたために力が残っていない。
「オレがやらなければ・・誰がやる・・・」
うめくフクロウヤミーが倒れて、爆発を起こした。
「正義か・・このヤミーの考え方はよくないけど、正義については考えないといけないのかもしれないね・・」
映司が考えを巡らせて、ライが頷いた。
“変身カイジョー。”
ライがクロスへの変身を解除した。映司もオーズへの変身を解いて、彼とともにかなたに駆け寄った。
「かなた、大丈夫だったか・・!?」
「うん・・僕、また力になれなかったね・・ライの力に・・・」
心配するライに、かなたが悲しい顔を見せる。
「あの警官、無事に医者のところに連れて行ったんだよな・・?」
「えっ?・・う、うん・・」
ライが問いかけて、かなたが小さく頷いた。
「だったら、かなたも十分力になっているじゃないか。」
「そうだよ。かなたくんの伸ばした手が、助けようとした人にきちんと届いているじゃない。」
ライに続いて、映司もかなたに微笑みかけた。
「映司さん・・そうですか・・ありがとうございます・・」
かなたが微笑んで、映司に感謝した。
(でも、やっぱりライの力になりたい・・ライと一緒に戦える力が、僕にあったら・・・)
それでもかなたはライの力になれていないと思って、表情を曇らせていた。
「それじゃそろそろ行くよ。ライくん、かなたくん、お互いがんばろうね。」
映司が声を掛けて、ライたちに挨拶をしてきた。
「はい。今日はありがとうございました。」
ライが映司に感謝して、頭を下げた。彼らに見送られながら、映司は旅立った。
ライが感謝と安らぎを感じる中、かなたは不安を抱えたままだった。