仮面ライダークロス

第10話「ドライブとひとっ走り付き合えよ!」

 

 

 響鬼からの教えと響鬼ソウルを受け取って、ライは迷いを和らげていた。彼は前向きになって、クロスの力を確かめながら体を動かして鍛えていた。

 ライは今、重い荷物を載せた荷台を引っ張ろうとしていた。

「こんなことをして、強くなるんだろうか?・・これだけの重さを動かすんだから、単純に体が強くなるとは思うのだけど・・」

「戦う相手の中には、上からのしかかってくるヤツがいるかもしれない。だから体重を掛けられてもある程度動けるようにしておいたほうがいいってことさ。」

 ため息をつくライに、ひろしが檄を飛ばす。

「そういうふうに具体的とかちょっとでも目標があったほうが、手応えを感じられるから納得できる・・」

「ライは一方的とか理不尽とかが嫌いだからな。オレはお前にこういう教え方を教わったと言っても過言じゃない。」

「そういう意味じゃ、おやっさんの教え方はうまいってことだな・・」

「よせよ。おだてたって何も出ないぞ・・」

 ライに褒められて、ひろしが照れ隠しに言い返す。

「ま、これを引っ張って進めるようになれば、そのくらいの重さが体にかかっても止まりにくくなるってことだな。」

「止まりにくくなる・・止まる・・・“重加速”・・・」

 ひろしのことを聞いて、ライはある現象について思い出していた。

 そのとき、ライの持つスマートフォンが鳴り出した。ライは荷台引きを中断して、電話に出る。

「もしもし?・・まりちゃん、どうしたんだ?」

“ライくん、街に怪物が出たの!近くにいた人たちの動きがおかしくなってる!”

 ライが声を掛けると、電話の相手、まりが慌ただしく話してきた。

「おかしくなってるって・・どういうふうに・・!?

“みんな遅くなってる!TVのスローモーションみたいに・・!”

 ライが問いかけて、まりが状況を説明する。

(重加速だ・・まりちゃんの近くに“ロイミュード”がいる・・!)

 ライは怪人、ロイミュードが現れたことを予感した。ロイミュードは重加速を引き起こすのが特徴である。

「まりちゃん、そのおかしなことが起こってるところからすぐに離れて!捕まったら動けなくなる!」

“う、うんっ!分かった!”

 ライが呼びかけて、まりが頷く。彼女との連絡を終えて、ライはスマートフォンをしまった。

「まりちゃんのところへ行ってきます!」

「ライ!まりちゃんを頼むぞ!」

 ライが声を掛けて、ひろしが呼びかける。ライが街に向かって走り出した。

 その途中、街に差し掛かったライを、騒動のニュースを聞いて街に出ていたかなたが目撃した。

(あれは、ライ!・・ライも現場に行くんだろうか・・!)

 かなたは思い立って、ライの後を付けていった。

 

 街中では人や物の動きが遅くなる重加速が起こっていた。その中心に1体の怪人がいた。

 ロイミュードの1体で、死神が持っているような鎌を持っていた。

「いいぞ、いいぞ・・獲物がより取り見取りだ・・・」

 ロイミュードが周りの人たちを見て、笑みをこぼす。

「狩りの時間だ・・人間を1人ずつ仕留めてやるぞ・・・」

 ロイミュードが鎌を構えて、人々を切り裂こうとした。その瞬間を、駆けつけたライが目撃した。

「間違いない・・あれはロイミュードだ・・!」

 ライが声を上げて、クロスドライバーとクロスソウルを取り出した。

“クロスドライバー!”

 ライがクロスドライバーに装着して、さらにクロスソウルを構えてスイッチを入れた。

“クロス!”

 音声の発したクロスソウルを、彼はクロスドライバーの中心にセットした。

“ライダーソウール!”

 ライは意識を集中して構えを取る。

「変身!」

 彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クロース!”

 クロスドライバーからさらなる光があふれ出す。光を浴びたライが、メタリックカラーの装甲とマスクを身にまとった。

 ライがロイミュードに向かって走り出す。だが彼の動きが突然遅くなった。

(ぐっ!・・重加速か・・!)

 重加速による束縛を痛感して、ライが毒づく。しかし彼は完全に止められずに、前進を続けていく。

「仮面ライダー・・ドライブたちではないな・・それでも重加速に逆らうとは、大したヤツだ・・」

 ライに振り向いたロイミュードが笑みをこぼす。

「だけどそんな動きじゃ、オレに敵うわけもない・・」

 ロイミュードがあざ笑いながら、動きの鈍いライに近づいていく。

「どこの仮面ライダーかは知らないが、オレがここで八つ裂きにしてやるよ・・!」

 ロイミュードが鎌を振りかざしてきた。

「ぐっ!」

 クロスの装甲が切りつけられて火花を散らして、ライがうめく。倒された彼は重加速のために、起き上がるのもままならなくなる。

「くそっ・・これじゃまともに戦えない・・・!」

「それじゃ少し早いが、とどめを刺させてもらおうか・・・」

 危機感を覚えるライに対して、ロイミュードが鎌を振り上げた。

 そのとき、ロイミュードの手から鎌がはじき飛ばされた。彼の手元に射撃が飛び込んできたのである。

「だ、誰だ・・!?

 ロイミュードが射撃の飛んできたほうに振り向く。そこにいたのは、銃を構えた白いスーツの仮面ライダー。

「追跡、撲滅、いずれもー、マッハー!仮面ライダー、マッハー!」

 仮面ライダー、マッハが高らかに名乗りを上げた。

「マッハ・・仮面ライダードライブと一緒にロイミュードと戦った・・・!」

 ライがマッハを見て戸惑いを覚える。

「マッハがここに現れるなんて、最悪だぞ、こりゃ・・!」

 ロイミュードがマッハの登場に焦りを覚える。

「まだロイミュードがいたとはな・・けど、オレがここで倒してやるぜ!」

 マッハがロイミュードを指さして言い放つ。彼が銃「ゼンリンシューター」を構えて発射した。

「おわっ!」

 ロイミュードが慌てて射撃をよけて、落としていた鎌を拾って振りかざした。射撃が鎌にはじかれて地面に当たって、土煙を舞い上げた。

「コイツ!汚いぞ!」

 マッハが不満の声を上げて、前進して土煙をかき分ける。しかしその先には既にロイミュードの姿はなかった。

「このオレが逃げられるとは、情けねぇな、こりゃ・・」

 マッハが毒づいてため息をつく。重加速が消えて、ライがひと息ついて落ち着きを取り戻した。

「あなたは、仮面ライダーマッハ・・詩島(しじま)(ごう)さんですね・・!」

 ライがマッハに駆け寄って声を掛けてきた。

“オツカーレ。”

 マッハがアイテム「シグナルバイク」の1つ「シグナルマッハ」をベルト「マッハドライバー炎」から外した。マッハへの変身を解いて、正体である剛が姿を現した。

「オレも有名になったもんだな。確かにオレは詩島剛。仮面ライダーマッハー!」

 剛が気さくに言いかけて、高らかに名乗りを上げた。

“変身カイジョー。”

 ライはクロスドライバーを外して、クロスへの変身を解いた。

「お前、新しい仮面ライダーか?けどマッハとかとは違うみたいだな。重加速に慣れてなかったし・・」

 剛がライを見回して呟いていく。

「それに、今の世界はちょっとおかしなことになってるみたいなんだけど・・・」

 剛はさらに世界の現状についても疑問を感じていた。

「そのことですが、ちょっとややこしいことになっているんですよ・・」

 ライが動揺を見せながら、剛に説明をした。

 

 ロイミュードから逃げてきたまりが、ライを追いかけてきたかなたと対面した。

「か、かなたくん!?

「まりちゃん!?ライは来てない!?

 驚くまりにかなたがライのことを聞く。

「ううん・・ライには連絡したけど・・もしかしたら、すれ違いになっちゃったのかも・・!」

「それじゃもしかしたら、こっちに来てるかもしれない・・・!」

 まりの答えを聞いて、かなたがライのことを気にする。

「オレ、ライのことを捜しに行くよ!」

「かなたくん・・私も行くよ・・!」

 ライを追いかけるかなたに、まりもついていこうとする。

「まりちゃんは危ないから逃げたほうがいいって・・・!」

「でも、私もライくんのことが心配だよ!」

 かなたが呼び止めるが、まりは聞こうとしない。

「まりちゃん・・・もしも危なくなったら、逃げることを第1に考えてね・・・!」

「かなたくん・・うん・・・!」

 かなたが言いかけて、まりが小さく頷いた。2人はライを捜しに街中を走り出した。

 

 ライは剛に今の世界と自分について話した。ある程度は納得した剛だが、まだ疑問を感じずにはいられなかった。

「オレたちが、お前らの世界じゃ、TVの中の世界だって・・そんなムチャクチャな・・!」

「でもホントなんです・・仮面ライダーは、TVや映像の中の物語なんです・・それでも、仮面ライダーがみんなのヒーローだってことに変わりはないです。」

 首をかしげる剛に、ライが語りかける。

「この世界でも、オレたちはヒーローか・・何だか照れちゃうなぁ〜♪」

 すると剛が照れ笑いを浮かべて、頭に手を当てた。

「オレはハイパーショッカーって連中にクロスの力を植え付けられたんです。洗脳されてヤツらの仲間にされる前に脱出できたけど、ヤツらはオレや世界を狙って襲い掛かってきます・・」

「なるほど。それが新しい仮面ライダー、クロスの誕生ってわけか。」

 ライがさらに話して、剛が納得する。

「どういうのが正義で、どうすることがみんなを守ることになるのか、まだよく分からないです・・でも、オレの家族や友達、オレの周りにいる人ぐらいは守らなくちゃって思ってます。」

「正義ねぇ・・オレも正直、そういうのがどういうのかはよく分かってなかったときがある・・」

 ライの考えを聞いて、剛が表情を曇らせた。

「オレの信じていた人が、実はものすごく悪い人だった・・自分の目的のためなら、他のものを平気で犠牲にするヤツだった・・自分の家族さえも・・・」

 自分の過去を思い返す剛。彼の話を聞いて、ライも記憶を呼び起こす。

 蛮野(ばんの)天十郎(てんじゅうろう)。天才的な頭脳を持つ科学者で、剛の父である。しかし彼は自己中心的で、全てが自分のものだと思っていた。

 悪の仮面ライダー、ゴルドドライブとなった天十郎だが、剛の怒りを込めた一撃を受けて倒れた。

(そうか・・剛さんは蛮野に利用されて・・・)

 TVで見てきたことを思い出すライ。剛の経験や気持ちを思い出して、ライは戸惑いを感じていた。

「何が正しくて、何が自分やみんなにとっていいことなのか。アドバイスされることもたくさんあるけど、その決断は自分でしなくちゃな・・」

「剛さん・・はい・・」

 剛に励まされて、ライが小さく頷いた。

 そのとき、ライと剛が突然違和感を覚えた。

「この感じは・・!」

「重加速・・さっきのロイミュードか・・!」

 ライと剛が死神のロイミュードが再び現れたと直感した。ライは先ほどと比べて重加速に耐えられるようになっていた。

「行けるか、ライ?」

「はい・・行きます・・!」

 剛に声を掛けられて、ライが頷いた。2人がロイミュードを追って走り出した。

 

 死神のロイミュードが獲物を求めて動き出していた。重加速を引き起こしている彼の近くに、かなたとまりが来ていた。

「間違いない・・あれはロイミュードだ・・!」

 かなたもロイミュードを見て、警戒を強める。

「ここにいたらまずい・・離れよう、まりちゃん・・!」

 かなたがまりを連れて離れようとした。だがそのとき、2人にも重加速がのしかかった。

「しまった・・重加速が・・・!」

 まりとともに身動きが取れなくなって、かなたがうめく。2人はロイミュードに気付かれていた。

「まだ人間がいたとは・・ますます狩りが楽しみになってきたぞ・・・」

 ロイミュードがかなたたちを見て笑みをこぼす。

「体が動かない・・どうなっているの〜!?

 まりが動けない理由が分からなくて悲鳴を上げる。

(このままじゃやられるのを待つだけじゃないか・・!)

 絶体絶命を感じて、かなたが危機感をふくらませていた。

 

 死神のロイミュードを発見したライと剛。ライはかなたとまりが近くにいるのも目撃した。

「まりちゃん!・・かなたまで、何でこんなところに・・!?

 ライがかなたもいたことにさらに驚く。

「マッハで助けて、ロイミュードをブッ倒すぞ!」

「はいっ!」

 剛の呼びかけにライが答える。彼がクロスドライバーとクロスソウルを手にした。

“クロスドライバー!”

 ライがクロスドライバーを装着した。

“クロス!”

“ライダーソウール!”

 彼がクロスソウルをクロスドライバーにセットした。

「変身!」

 ライが左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!クロース!”

 クロスドライバーからあふれた光を浴びて、ライはクロスに変身した。

 剛もシグナルマッハを手にして、マッハドライバーにセットした。

「変身!」

“シグナルバイク!ライダー!マッハ!”

 彼がマッハに変身して、ライとともに走り出す。2人は重加速の中、かなたたちに迫るロイミュードをキックで横から蹴り飛ばした。

「あ、あれは・・マッハー!仮面ライダーマッハだー!」

 重加速が解けたところで、かなたが剛を見て目を輝かせる。

「2人とも、早く逃げるんだ・・!」

「仮面ライダークロス・・う、うんっ!」

 ライが呼びかけて、かなたが動揺しながら頷く。

「かなたくん、行こう・・!」

 まりも呼びかけて、かなたとともにこの場を離れた。

「追跡、撲滅、いずれもー、マッハー!仮面ライダー、マッハー!」

「全ては、オレが正す・・!」

 剛が高らかに、ライが鋭く言い放つ。

「暗いなぁ〜・・もうちょっとカッコよく名乗ったほうがいいぞ・・」

 剛がライを見て肩を落とす。ライは少し考えてから小さく頷いた。

「仮面ライダー、クロース!」

 ライも高らかに名乗りを上げてポーズを決めた。

(クロスのベルトの音声みたいに言ってみたが・・・)

 彼が心の中でクロスドライバーの音声を気にした。

「そうそう。その調子で気持ちを前面に押し出すくらいでな。」

 剛が気さくに言って、ロイミュードに視線を戻した。

「もう逃げられそうにないな・・こうなったら、2人とも仕留めてやるぞ・・・!」

 ロイミュードがいきり立って、ライたちに向かっていく。ロイミュードが手にした鎌を2人に向かって振り下ろした。

 ライと剛が横に動いて、鎌をかわしていく。ライたちが同時にキックを繰り出して、ロイミュードを蹴り飛ばす。

「まだ体が重い・・重加速をまだはねのけられないのか・・・!?

 重加速に完全に耐えていないことに、ライが毒づく。

「もっと速く動かなくちゃ・・パワーが強いだけじゃなく、スピードも速くなくちゃ、オレはアイツらから、かなたたちを守れない・・・!」

 ライがアポロガイストのことを思い出して、怒りを噛みしめる。重加速に耐えられなければアポロガイストに太刀打ちできないと、ライは考えていた。

「オレはもっと速く突っ走る・・トップギアまで!」

 ライが言い放ったとき、空から光が飛んできた。ライが手にした光が、1つのライダーソウルに変わった。

「このライダーソウル・・仮面ライダードライブだ・・!」

「何っ!?

 ライが声を上げて、剛も驚く。

「ドライブ・・あなたの力、使わせていただきます!」

“ドラーイブ!”

 ライが言いかけて、ライダーソウル「ドライブソウル」を起動した。

“ライダーソウール!”

 彼はクロスドライバーにドライブソウルをセットして、クロスドライバーの左レバーを上げてクロスタイフーンを回転させた。

“変身・ライダー!ドラーイブ!”

 クロスの装甲が変化して、さらに1つのタイヤが斜めに装着された。ライは仮面ライダードライブの姿と力を得た。

「ええーっ!?ドライブになったー!?

 剛がライの姿を見て、驚きの声を上げた。

「さぁ、ひとっ走り付き合えよ!」

 ライがロイミュードに向かって指さして言い放つ。

「その姿・・進兄さんそっくりだ・・・!」

 剛がライを見て、ドライブに変身する青年、(とまり)進之介(しんのすけ)を思い出していた。剛はライの姿を進之介と重ねていた。

「アイツ、ドライブになった!?・・こうなったら、アイツも仕留めてやるぞ・・!」

 ロイミュードがいきり立って、ライを狙って鎌を振りかざす。ライは体勢を低くして鎌をかわすと、ロイミュードの体にパンチを連続で当ててきた。

「この動き・・間違いなくドライブだ・・!」

 ロイミュードもライの力を痛感して、動揺を隠せなくなる。

「速い!・・重加速を感じるけど、体が軽い・・!」

 「ドライブフォーム」となった自分に、ライ自身戸惑いを感じていた。

「たとえドライブと同じになっても、オレはお前を仕留めてやる・・!」

 ロイミュードがいら立ちを噛みしめて、ライに飛びかかる。

“マッハ!”

 そこへ剛が高速で飛びかかって、ロイミュードを横から突き飛ばした。

「オレがいることを忘れるなよな。」

 倒れているロイミュードを指さして、剛が言いかける。

「それじゃフィニッシュを決めるぜ!」

 剛が呼びかけてライが頷く。ライがクロスタイフーンの右のレバーを上げて回転を加えた。

“ライダースマッシュ・ドラーイブ!”

 ライがタイヤ型のエネルギーを放って、ロイミュードを包囲した。彼はタイヤの中に飛び込んで反射しながら、ロイミュードにキックを連続で叩き込んでいく。

“ヒッサツ!フルスロットル!マッハ!”

 剛も大きくジャンプをして、ロイミュードに向かってキックを繰り出した。

「ぐあぁっ!」

 ロイミュードが蹴り飛ばされて、空中で爆発を起こした。

「よし!決まったぜ!」

 剛が勝ち誇ってポーズを決めた。

「剛さんにフィニッシュを持ってかれましたけどね・・」

「ま、そこはサンキューと言っとくかな。」

 苦笑いをこぼすライに、剛が言いかけた。

 

 ロイミュードから街を守ったライと剛。2人は握手を交わして、結束を確かめ合った。

「まさか進兄さんの、ドライブの力を使えるようになるとはな。」

「ドライブが、進之介さんが力を貸してくれたんだと、オレは思います・・」

 感心の声を上げる剛に、ライがドライブソウルを見つめて言いかける。

「そうだな。オレもそう思う。ライ、お前ならドライブの力も使いこなせるはずだ。」

「剛さん・・はい。ありがとうございます。」

 激励を投げかけた剛に、ライは感謝した。

「オレ、かなたとまりちゃん・・友達のところに戻ります。」

「そうか。また会うことがあったら、また一緒に戦おうな。」

 ライが挨拶して、剛が気さくに答えた。2人は握った拳を軽く当てて、再会を約束した。

 

 先にロイミュードから逃げていたかなたとまり。2人は少し離れてから、ライの行方を追った。

「ライくん、どこにいるの・・!?

「もう1度、ライと連絡してどこにいるのかを・・!」

 まりが心配して、かなたがライへの連絡を試みようとした。

「かなた、まりちゃん!」

 そのとき、ライが戻ってきてかなたたちに声を掛けてきた。

「ライ!どこにいたんだよ〜!?

 かなたが声を上げて、ライに駆け寄った。

「悪かったな・・けど、あのロイミュードは仮面ライダーがやっつけたみたいだぞ。」

「そうだったかぁ〜・・やっぱり仮面ライダーはすごいやぁ〜♪」

 ライが事情を話すと、かなたが仮面ライダーに対して目を輝かせる。

「ライくん・・すごく心配したんだから・・・!」

 まりがライに悲しい顔を見せてきた。

「まりちゃん・・・ゴメン・・・」

 するとライが表情を曇らせて、まりに謝った。

「ライくん・・あんまり心配させないでね・・かなたくんも心配してたんだから・・」

「だから悪かったって・・・」

 さらに心配するまりに、ライが大きく肩を落とす。

「もういいだろ・・早くおやっさんのとこへ帰るぞ・・」

「ライくん、待ってって・・!」

 歩き出したライを、まりが慌てて追いかけていく。

(ライ・・やっぱり、仮面ライダーや怪人の関わっている事件に首を突っ込んで・・・)

 ライが危険に飛び込んでいることを確信して、かなたは不安をふくらませていた。

 

 

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