仮面ライダークロス
第5話「ドクターゲーマー・エグゼイド」
クロスだけでなく、ビルドの力も使えるようになった。ライはビルドソウルを見つめて、考えを巡らせていた。
(ライダーソウルは、クロスとビルドだけじゃない。きっと他の仮面ライダーのライダーソウルもあるはずだ・・)
ライは予感していた。他の仮面ライダーとの出会いと、他のライダーソウルの存在を。
「ライ、また仮面ライダーが現れたってニュースだよ!」
そこへかなたが顔を出して、ライに呼びかけてきた。
「えっ!?仮面ライダー!?」
ライが声を上げて、腰かけていた椅子から立ち上がった。
ライ、かなた、まりがTVに目を向ける。TVでは仮面ライダーと怪人の登場のニュースが流れていた。
「ねぇ、この仮面ライダー、エグゼイドだよ!」
「エグゼイド?」
かなたが声を上げて、まりが疑問符を浮かべる。
「仮面ライダーエグゼイド!“バグスター”っていう怪人と戦ってるライダーだよ!」
かなたが高らかにエグゼイドについて説明する。
「変身するのは宝生永夢♪医者であり、最強のゲーマー“M”でもあるんだよ♪」
「医者でゲーマーで仮面ライダー?いろいろあるみたいだけど・・?」
かなたの話を聞いて、まりはさらに疑問符を浮かべていく。
(ビルドだけじゃなく、エグゼイドも・・ホントに仮面ライダーの世界が、オレたちの世界と1つになったみたいだ・・)
ライが今の世界について考えていく。
(でも、エグゼイドの話も、ビルドのように・・・)
ライはエグゼイドに対しても不安を感じていた。
「オレ、ちょっと出てくる・・」
「ライ・・!?」
家から飛び出したライに、かなたが声を上げる。
「ライ、待って!僕も行くよー!」
かなたもライを追いかけて走り出した。
「かなたくん!・・2人とも落ち着きないんだから・・」
まりがライとかなたの行動に呆れて、肩を落としていた。
永夢を追い求めて街中の病院の前に来たライ。彼は周りを見回して、永夢の行方を追う。
(この大きい病院なら、たとえいないとしても知っている人はいるはずだ・・)
ライが永夢を追い求めて、病院の中に入ろうとした。
「ライ、待ってよー!」
そこへかなたが走ってきて、ライに追いついた。
(かなた!?・・エグゼイドに会いに来たみたいだけど、オレと一緒にいたら、オレがクロスとして戦えなくなる・・!)
彼が来てしまったことに、ライは心の中で気まずくなっていた。
「永夢さんを捜しに来たんだよね?僕も会いたくなっちゃって〜♪」
「かなた、これはオレの用事だ。オレ1人でやらなくちゃいけないことだから、ついてこないでほしい・・」
上機嫌になっているかなたに耐えられなくなって、ライが不満を口にしてきた。
「そんな〜!そりゃないよ、ライ〜!一緒に行ってもいいじゃな〜い!」
「今は1人で済ませたいんだよ、用事を・・だから別行動だ。」
「何で僕を邪険にするのさー!別に別れ別れになる必要なんてないじゃなーい!」
「オレはお前と一緒にいなくちゃいけない決まりはない!」
「もー!ライってば!僕の気持ちを分かってないくせに!」
「オレの気持ちを分かってないのはお前だろうが!」
かなたとライが言い合いになって、不満をぶつけ合う。
「もういいよ!ライなんて知らないから!」
かなたが怒鳴り声を上げて、ライから離れようとした。
「うっ!」
そのとき、かなたが胸に痛みを覚えてうずくまった。
「かなた!?かなた、どうした!?」
ライが振り返ってかなたに近寄る。
「かなた、どこか痛いのか!?」
「む・・胸が・・・!」
問いかけるライに、かなたが声を振り絞る。
「病院の前だ・・すぐに連れていくから・・!」
「やめてよ、ライ・・ライなんて、僕のことなんか・・・!」
ライが差し伸べた手を、かなたが振り払う。
「かなた・・こんなときにそんなこと・・!」
ライがかなたの態度に不満を感じていく。
「待って!」
そこへ1人の青年が声を掛けて、手を出してライを制止した。青年に目を向けたライが戸惑いを覚える。
「この症状・・彼は今、“ゲーム病”にかかっている・・!」
「ゲーム病って・・アンタは、やっぱり・・!」
青年が告げた言葉を聞いて、ライが彼の正体に気付く。
「宝生永夢・・M・・エグゼイド・・・!」
ライが青年、永夢を見て戸惑いを浮かべた。
そのとき、かなたが体からあふれた不気味なエネルギーに取り込まれた。彼が西洋の騎士のような姿の怪人になった。
「か、かなた!?」
「しまった!もうバグスターになってしまった!」
ライが驚いて、永夢が危機感を覚える。かなたはゲーム病が進行して、アーマーバグスターと化してしまった。
怪人「バグスター」はウィルスとして人に感染する。ストレスをきっかけにしてウィルスが増大して、やがては感染者を取り込んで怪人化してしまう。
「早くかなたを元に戻さないと・・・!」
ライがかなたを元に戻そうとする。
「待って、君!僕がバグスターから元に戻してみせる!」
すると永夢が前に出て、ライに呼びかける。彼は1つのゲームカセット型のアイテムを取り出した。
「あれは、ガシャット・・ライダーガシャットだ・・!」
ライが永夢の手にしたアイテム「ライダーガシャット」を見て声を上げる。
“マイティアクションX!”
ライダーガシャット「マイティアクションXガシャット」を起動して、永夢が構える。
「変身!」
彼がマイティアクションXガシャットを、装着しているベルト「ゲーマドライバー」のスロットにセットする。
“ガシャット!レッツゲーム・メッチャゲーム・ムッチャゲーム・ワッチャネーム!アイムアカメンライダー!”
永夢の体を装甲が包み込んだ。ただしその姿は戦士としてはあまりにも間の抜けたものだった。
「そうだった・・エグゼイドは最初はその姿だった・・・」
ライが今の永夢を見て肩を落とす。永夢の変身した仮面ライダー、エグゼイドにはフォームによってレベルが違うのである。
「まずはバグスターから彼を引き離す!」
永夢がゲーマドライバーにあるマイティアクションXガシャットを外して、腰にある「キメワザスロットホルダー」のスロットにセットして、上のボタンを押した。
“キメワザ!”
永夢がアーマーバグスターに向かって前進して、ジャンプしてキックを繰り出した。彼のキックがアーマーバグスターに命中した。
“マイティクリティカルストライク!”
アーマーバグスターからかなたが飛び出して、地面に倒れた。
「かなた!」
ライが駆け寄って、気絶しているかなたを支える。
「気を失っているだけだ。後はこのバグスターを倒すだけ・・」
永夢がライに呼びかけて、ゲーマドライバーのレバーを右に開いた。
「大変身!」
“ガッシャーン!レベルアップ!マイティジャンプ・マイティキック・マイティマイティアクションX!”
永夢のまとうエグゼイドの装甲がはじけ飛んで、新たな姿のライダーが現れた。彼は第2形態「レベル2」に変身した。
「患者の運命は、オレが変える!」
永夢が言い放って、アーマーバグスターに向かっていく。永夢が繰り出すパンチが、次々にアーマーバグスターに命中して押していく。
「はっ!」
永夢が足を突き出して、アーマーバグスターを突き飛ばした。
「このまま一気にゲームクリアだ!」
“キメワザ!”
永夢が言い放って、キメワザスロットホルダーのボタンを再び押した。
“マイティクリティカルストライク!”
彼がジャンプして、アーマーバグスターに向かってキックを当てた。これでアーマーバグスターが倒れたかに思われた。
そのとき、アーマーバグスターの鎧のような体がはじけ飛んだ。中からもう1人の怪人が現れた。
「な、何っ!?」
「バグスターの中から、別のバグスターが!?」
ライと永夢が新たに現れた黒い悪魔のような姿の怪人、デビルバグスターに驚く。
「前よりパワーアップしたってことか・・でも逃がさないぞ!」
永夢がそのままの勢いで、デビルバグスターに向かっていく。そのとき、デビルバグスターが背中の翼をはばたかせて飛び上がって、永夢を狙って急降下してきた。
「うおっ!」
永夢がデビルバグスターの突撃を受けて突き飛ばされる。地面を転がる彼を横目にして、デビルバグスターはそのまま飛び去ってしまった。
「いけない!バグスターが・・!」
永夢が追いかけようとしたが、かなたを気にして足を止めた。
「彼を病院で休ませよう。僕が手配するよ。」
「でも、アイツを急いで追いかけないと・・!」
かなたを気遣う永夢だが、ライがデビルバグスターを追おうとする。
「バグスターはまた見つければいい。それよりも彼を保護するのが先だよ。」
永夢はエグゼイドへの変身を解除して、かなたを連れて病院に向かう。ライはやるせない気持ちを抱えたまま、2人を追うように病院に入った。
永夢が手配した病室のベッドで、かなたは眠ることになった。ライは永夢に世界で起きていることを話そうと、病院の屋上に出た。
「えっ!?僕たちのことが、TVドラマの話になってる!?」
「信じられないかもしれないけど、オレの世界じゃ、仮面ライダーは架空の特撮ヒーローで、アンタたちはその話の中の登場人物なんだ・・」
驚きを隠せなくなる永夢に、ライが自分たちの世界のことを語る。
「今、オレたちやアンタたち、たくさんの世界が次元を歪められて1つになってしまったんだ・・そこの詳しいことは分かんないけど、ハイパーショッカーの仕業みたいなんだ・・」
「ハイパーショッカー・・新しく現れた、怪人たちの組織のことかな・・・!」
ライがさらに説明して、永夢が頷いた。
「でも、僕たちの話や戦いを、この世界のみんなに見られていたなんて・・」
「だけど、オレは許せない・・エグゼイドも、その話に出てくる女たちが!」
永夢が照れ笑いを見せたところで、ライが不満を口にしてきた。
「暴力を振るってイヤな思いをさせて、脅しや考えの押し付けをして・・ゲーム病を進めて大きくして、患者を苦しめているのに・・何のおとがめもなく正しいことにして・・・!」
「そういうことを、僕に言われても・・」
不満をふくらませていくライに、永夢が困り顔を見せる。
「人や世界を守るためだったら、誰かを傷付けていいっていうのか!?・・目的のためなら何でもしていいなんて、認められるわけがないだろうが!」
ライに怒鳴りかかられて、永夢が胸を締め付けられるような辛さに襲われた。
「ごめん・・僕の力と配慮が足りなかったから・・・」
「今さら謝るくらいなら、最初からそんなことしなければいいのに・・・!」
謝る永夢だが、ライは不満を絶やさない。
「医者に失敗は許されない・・それでも、失敗しないように心掛けても、人間は完璧じゃない・・」
「だから、この過ちも許されるっていうことなのか・・・!?」
自分を責める永夢だが、ライは怒りをふくらませていく。
「オレはそんなやり方には屈しない・・無理やり言うことを聞かせようとするなら、オレは必ず反発する・・言いなりになるのは、絶対に強さじゃない・・!」
ライが永夢に背中を向けて、自分の意思を告げる。
「オレは戦う・・みんなをムチャクチャにするバケモノだけじゃなく、理不尽を強いる相手とも・・・!」
ライの口にする決意に、永夢が戸惑いを感じていく。
そのとき、病院の近くで爆発が起こって、ライと永夢が振り返る。デビルバグスターが飛び回って、火を放って人々を襲っていた。
「あのときのバグスターが暴れている・・アイツを倒して、かなたくんを助ける・・!」
永夢がデビルバグスターを倒しに向かおうとした。
「いや、今度はオレがアイツを倒す・・!」
するとライが前に出て、永夢に声を掛けてきた。
「でも、バグスターを倒して患者を助けるのは、ゲーマドライバーの仮面ライダーじゃないと・・!」
「関係ない・・アイツはオレたちの世界をムチャクチャにしてるんだ・・それにアイツはかなたにとりついて、かなたを苦しめて・・・!」
心配する永夢に自分の考えを告げるライだが、かなたと言い合いになったことを思い出して言葉を詰まらせた。
(かなた・・かなたをあんな目にあわせたのは、バグスターだけじゃない・・オレがかなたを巻き込みたくないと考えて、逆にアイツを追い詰めて・・・)
ゲーム病の進行とバグスターの覚醒が患者のストレスによって引き起こされることを思い出して、ライが後悔する。
「オレ・・自分も仮面ライダーになったことを、かなたにも話していいんだろうか・・・?」
迷いと苦悩を感じて、ライがうつむく。すると永夢が彼に微笑んできた。
「その人が心から信じてくれているなら、きっと受け入れてくれるよ。」
「・・・アンタに励まされるなんて・・・」
永夢の言葉を聞いて、ライが皮肉を感じていた。
そのとき、ゲーマドライバーとマイティアクションXガシャットから光があふれ出した。
「な、何だ!?」
突然のことに永夢が驚く。光は1つになって、ライの手元に来た。
「これは、もしかして・・!」
ライが声を上げると、光が彼の手の中で変化した。
「ライダーソウル!・・この絵柄は、エグゼイドのマスク・・・!」
光が変化して現れたライダーソウル「エグゼイドソウル」を見つめて、ライは戸惑いを覚える。
「これって・・もしかして、君に必要な力になるかもしれない・・」
永夢がエグゼイドソウルを見て、ライに言いかける。
「このソウルは、クロスのベルトで使えるはずだ・・!」
ライが言いかけて、永夢が頷いてからマイティアクションXガシャットを手にした。
“マイティアクションXガシャット!”
彼がマイティアクションXガシャットをゲーマドライバーにセットした。
「変身!」
“ガシャット!レッツゲーム・メッチャゲーム・ムッチャゲーム・ワッチャネーム!アイムアカメンライダー!”
永夢がエグゼイド・レベル1に変身した。
「大変身!」
“ガッシャーン!レベルアップ!マイティジャンプ・マイティキック・マイティマイティアクションX!”
彼は続けてレベル2へと変身した。
「オレもやってやる・・・!」
“エグゼイド!”
ライが意を決して、エグゼイドソウルのスイッチを入れた。
“ライダーソウール!”
彼はクロスドライバーの中心部に、エグゼイドソウルをセットした。
「変身!」
彼が左手を斜め右上に振り上げて、クロスドライバーの左レバーを上に上げて、クロスタイフーンを回転させた。
“変身・ライダー!エグゼーイド!”
ライの体を新たなスーツとマスクが包み込んだ。その姿はエグゼイド・レベル2とそっくりだった。
「何と!エグゼイドになった!?」
永夢がライの今の姿を見て戸惑いを浮かべる。
「オレもエグゼイドになれた・・オレもバグスターを倒せるということか・・!」
ライが確信を感じて、デビルバグスターのいるほうに目を向けた。彼と永夢が走り出して、屋上から飛び出した。
街と人々を襲って、火の球を放っていくデビルバグスター。悲鳴が上がるこの場を見下ろして、デビルバグスターが笑みをこぼす。
そこへライと永夢が急降下してきて、デビルバグスターにキックを当てた。デビルバグスターが地面に叩き落とされる。
立ち上がるデビルバグスターの前に、ライと永夢が着地した。
「全てを、オレが正す!」
「今度こそノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」
ライと永夢がデビルバグスターに向かって、高らかに言い放つ。デビルバグスターが翼をはばたかせて、宙に上がる。
「アイツは空から急降下で突っ込んでくる・・そこが攻撃チャンスだ・・!」
「言われなくてもそのつもりだ・・!」
永夢の口にした言葉に、ライが返事をする。
デビルバグスターが口から火の球を連射する。ライと永夢が左右に動いて、火の球をかわす。
デビルバグスターが放つ火の球を、ライたちは素早くかわしていく。
いら立つデビルバグスターが、ライたちを狙って急降下してきた。
「今だ!」
ライが声を上げて、クロスタイフーンの右のレバーを上げて回転を加えた。
“ライダースマッシュ・エグゼーイド!”
クロスのスーツからエネルギーが発せられる。
“キメワザ!”
永夢がキメワザスロットホルダーにマイティアクションXガシャットを移して、上のボタンを押した。エグゼイドのスーツからも同様の光があふれ出した。
ライと永夢が頷き合うと、同時にジャンプする。2人は急降下してきたデビルバグスターを捉えた。
ライと永夢がデビルバグスターに向かってキックを繰り出した。
“マイティクリティカルストライク!”
2人のキックがデビルバグスターの体に命中した。
“会心の一発!”
デビルバグスターが突き飛ばされて、爆発を起こして消滅した。
“ゲームクリア!”
デビルバグスターを倒した、ライと永夢がひと息ついた。
「かなたくんのところに戻ろう、ライくん。」
「あぁ・・」
永夢の呼びかけにライが答える。2人はかなたのいる病院へ戻った。
デビルバグスターが倒れたことで、かなたはゲーム病から解放されて意識を取り戻した。
「かなた・・・!」
ライが永夢とともに病室を訪れた。
「かなた・・・悪い・・突き放すようなことを言って・・・」
ライが辛さを噛みしめて、かなたに謝る。永夢がかなたを診察して、体の様子を確認した。
「もう大丈夫だ。体を動かしても構わないよ。」
「永夢さん・・ありがとうございまーす♪」
診察を終えて微笑む永夢に、かなたが感謝して深々と頭を下げた。
「患者を助けるのは医者の務めです。体の怪我や病気だけでなく、心に対してもね。」
「心に、対しても・・・」
永夢がかなたに投げかけた言葉を聞いて、ライが戸惑いを感じていく。
(オレは思いつめている・・この世の中と、仮面ライダーの在り方に対して・・そしてかなたは、そんなオレに腹を立てて、ストレスを溜めたためにゲーム病にかかってしまった・・)
かなたとケンカになってしまい、そのことでかなたを苦しめてしまったことを、ライは気に病んでいた。
「ゴメン、かなた・・お前のことを考えてたつもりが、お前を傷付けてた・・」
ライが深刻な顔を見せて、かなたに謝る。
「今は言えないけど、終わったらきちんと話すから・・・」
「ライ・・・」
ライの口にする言葉に、かなたが戸惑いを浮かべた。
「そのときが来たら、必ず話してよね!」
かなたが呼びかけて、ライが頷いた。
かなたと1度別れたライと永夢は、病院の屋上に来ていた。ライは永夢にさらに話を切り出した。
「自分と自分の大切な人を守るために・・それが戦う理由でもいいと思うよ。」
永夢が自分の考えをライに告げる。
「僕を救ってくれた医者みたいになりたいと思って、僕は医者を目指した。患者やみんなを救いたいと思ったから、僕はエグゼイドになって戦ってきた。」
自分の人生を振り返って、永夢が微笑む。
「世界のためとか、自由や平和のためとかもいいけど、自分の大切な人、大切なものを守るために戦うことも、悪いことじゃないと、僕は思う。」
「永夢さん・・・」
永夢が投げかけた言葉に、ライが戸惑いを感じていく。
「君は君の大切なものを守ろうとしている。僕はその思いを信じているよ。」
「そうですね・・あなたにだってその思いがあるんだから・・・」
信頼を口にする永夢に、ライが微笑んだ。2人が手を出して握手を交わした。
「僕は医者と仮面ライダーの両方で、みんなを助けていくよ。もしまた会うことがあったら、今日のように力を合わせよう。」
「はい。」
永夢の言葉にライが頷く。エグゼイドとクロス、2人の仮面ライダーに結束が生まれたのである。
「お待たせ、ライ!もう帰れるよー!」
かなたが屋上に来て、ライに声を掛けてきた。
「それじゃオレは行きます。」
ライは永夢と別れて、かなたとともに病院を後にした。
(新しい仮面ライダー、クロス・・仮面ライダーのつながりを1つに束ねるライダー、か・・)
クロス、ライのことを思って、永夢は考えさせられていた。どうすうことが、人を助けることにとって大切なのかを、改めて。